説明

ボトル搬送装置

【課題】ダメージを与えることなく、かつ、円滑にボトルを搬送でき、経済性や生産性などを向上させることができるボトル搬送装置の提供を目的とする。
【解決手段】ボトル搬送装置1は、エア搬送コンベア2、エア給気手段3、検出センサ4、ブロック搬送用エアストッパー5、及び積圧防止用エアストッパー6を備え、検出センサ4の検出信号に基づいて、ブロック搬送用エアストッパー5及び積圧防止用エアストッパー6が制御される構成としてある。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ボトル搬送装置に関し、特に、無菌状態においても、ボトルにダメージを与えることなく、かつ、円滑にプラスチックボトルを搬送でき、経済性や生産性などを向上させることができるボトル搬送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
飲料などの内容物をボトルに充填する充填システムにおいて、エアを利用してボトルを搬送するボトル搬送装置が使用されている。このボトル搬送装置は、ボトルのつば部を一対のガイド部材で摺動可能に支持し、この状態のボトルの口部にエアを吹き付けることにより、ボトルを搬送する。
また、近年、殺菌処理されたボトルに、殺菌処理された飲料などを無菌環境下で充填・密封するアセプティック充填システム(無菌充填システム)が実用化されている。このアセプティック充填システムにも、上記のエアを利用したボトル搬送装置が使用されている。
【0003】
本発明のボトル搬送装置に関連する様々な技術が提案されている。
たとえば、特許文献1には、つば部を有する口頸部と胴部の間に肩部を有するボトルを所定の搬送軌道に沿って搬送するもので、ボトルの搬送軌道に沿って延びる、つば部が摺動自在に係合するつば案内部を有し、該つば案内部にボトルを吊り下げた状態で空気を吹き付けて搬送するボトルのエア搬送装置の技術が開示されている。
この技術は、ボトルの搬送軌道に沿って延びボトルの肩部を押さえてボトルの搬送方向前後の揺れを規制する肩部ガイドを備えていることを特徴とする。
【0004】
また、特許文献2には、ボトルをその首部から吊り下げられた状態で支持しつつ所定の搬送経路に沿って案内するネックガイドと、ネックガイドに支持されたボトルに対してネックガイドに沿った推進力を加える送り手段と、ネックガイドに沿って搬送されるボトルの胴部を案内するボディガイドとを具備したボトルの搬送装置の技術が開示されている。
この技術は、ボディガイドに、ネックガイドから吊り下げられたボトルの胴部を当該ボトルの首部からみて搬送経路の側方に押し退ける方向変換部が設けられていることを特徴とする。
【0005】
ところで、プラスチックボトルは、ブロー成形により成形され、その後、内容物が充填される。内容物(たとえば、酸性炭酸飲料など)によっては、制菌作用があるために密封後の殺菌が必要でないものもあるが、内容物(たとえば、ミルク入りコーヒーなど)によっては、充填後密封されたボトル内に菌が存在しないよう殺菌が必要な場合がある。
殺菌方法は、充填密封後に殺菌する場合と、内容物、ボトル内外面、キャップ内外面を殺菌しておいて、無菌下で充填密封し、密封後の殺菌を不必要にする場合がある。この密封後の殺菌を不必要にする場合においては、ボトルに付着する菌を少なく管理することにより、ボトル殺菌の負荷を少なくすることができる。
【0006】
また、特許文献3に記載したように、空ボトルの輸送費用を削減するために、充填機の傍でブロー成形し、搬送コンベアで充填機まで搬送し、ブロー成形後充填前までにボトルを殺菌し、内容物を充填するシステムが採用されている。この場合も、成形工程や搬送工程において菌付着を少なく管理することにより、ボトル殺菌の負荷を低減することができる。
なお、搬送工程においては、ボトルへの菌汚染を防止するために、エア搬送コンベアは、通常、クリーンルームや滅菌室に設置されるとともに、無菌化されたエアにより内部を陽圧に維持したカバーで、ボトルを囲うことによって、さらに高いレベルの滅菌化が図られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2004−189363号公報
【特許文献2】特開平11−263439号公報
【特許文献3】特開平11−198916号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、前述したように、ボトル成形機と充填機とを連結するボトル搬送装置が、無菌化されたエアにより内部を陽圧に維持したカバーで、ボトルを囲う構成を有するとき、カバーの内部を陽圧に維持するために供給されるエアは、ボトルの口部に吹き付けられるエアとしても使用されている。ボトルの口部に吹き付けるエアの強さ(風量や風圧)は、あらかじめ設定されており、搬送中のボトルが加速し過ぎる場合があり、たとえば、図9に示すように、停止しているボトル100aに、加速し過ぎたボトル100bが衝突し、ボトル100a、100bが、ダメージ(潰れやへこみ等)を受けるといった問題があった。
なお、ダメージを受けたボトルは、通常、充填された内容物とともに廃棄されるので、経済性を向上させることができないといった問題があった。
【0009】
また、カバーの内部を陽圧に維持するため、図10に示すように、多数のボトル100が滞留する場合であっても、ボトルの口部に吹き付けるエアの強さ(風量や風圧)はあらかじめ設定されたままであり、多数のボトル100による押圧(適宜、積圧と略称する。)を受ける下流側のボトル100c、100dが、ダメージ(潰れやへこみ等)を受けるといった問題があった。
さらに、充填機が停止し、充填機のストッパーが作動すると、充填機入り口付近のボトルが、上流側のボトルの積圧によりダメージ(潰れやへこみ等)を強く受けるといった問題があった。
また、省資源化を目的として、ボトルを軽量化すると、機械的強度が低下することが想定されるが、このような場合であっても、ボトルにダメージを与えない搬送技術の確立が要望されている。
【0010】
また、ボトルの口部に吹き付けられるエアはカバー内部に充満しカバーの外部に排出されるが、排出口が配設されない場合あるいは位置が適切でない場合には、陽圧が高まりすぎたり、ボトル搬送方向での陽圧の程度にムラが生じたり、ボトル搬送方向と異なった方向へのエア流れが発生したりすることにより、ボトルの搬送効率が低下し、生産性が低下するといった問題があった。
なお、特許文献1〜3の技術は、本発明に関連する技術ではあるものの、上記の課題を解決することはできない技術である。
【0011】
本発明は、以上のような問題を解決するために提案されたものであり、ダメージを与えることなく、かつ、円滑にボトルを搬送でき、経済性や生産性などを向上させることができるボトル搬送装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を達成するため、本発明のボトル搬送装置は、ボトルのつば部を摺動可能に支持し、前記ボトルの口部にエアを吹き付けて、該ボトルを搬送するボトル搬送装置において、前記ボトルを半密閉空間に収容するエア搬送コンベアと、前記半密閉空間を陽圧とするエア給気手段とを備え、前記エア搬送コンベアが、前記ボトルの検出センサ、ブロック搬送用エアストッパー、及び積圧防止用エアストッパーを有し、前記検出センサの検出信号に基づいて、ブロック搬送用エアストッパー及び積圧防止用エアストッパーが制御される構成としてある。
【発明の効果】
【0013】
本発明のボトル搬送装置によれば、ダメージを与えることなく、かつ、円滑にボトルを搬送でき、経済性や生産性などを向上させることができる。
すなわち、搬送中のボトルが加速し過ぎるといった不具合を防止でき、加速し過ぎたボトルの衝突によって、ボトルがダメージ(潰れやへこみ等)を受けるといった不具合を回避することができ、経済性などを向上させることができる。
また、多数のボトルが滞留しても、多数のボトルによる積圧を受ける下流側のボトルが、ダメージを受けるといった不具合を回避することができる。
さらに、充填機が停止し、充填機のストッパーが作動しても、充填機入り口付近のボトルが、上流側のボトルの積圧によりダメージを受けるといった不具合を回避することができる。
また、カバー内部のボトル搬送方向での陽圧分布を好適にし、カバーの内部に好適なエアの流れを発生させて、ボトルを円滑に搬送し、生産性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】図1は、本発明の一実施形態にかかるボトル搬送装置を説明するための概略平面図を示している。
【図2】図2は、図1のA部拡大図を示している。
【図3】図3は、本発明の一実施形態にかかるボトル搬送装置のエア搬送コンベアを説明するための概略図であり、(a)は断面図を示しており、(b)はB−B断面図を示している。
【図4】図4は、本発明の一実施形態にかかるボトル搬送装置に使用されるエアノズルを説明するための概略図であり、(a)は断面図を示しており、(b)はC−C断面図を示している。
【図5】図5は、本発明の一実施形態にかかるボトル搬送装置に使用されるブロック搬送用エアストッパーの動作を説明するための概略図であり、(a)は平面図を示しており、(b)は側面図を示している。
【図6】図6は、本発明の一実施形態にかかるボトル搬送装置に使用される積圧防止用エアストッパーの動作を説明するための概略図であり、(a)は平面図を示しており、(b)は側面図を示している。
【図7】図7は、本発明の一実施形態の応用例にかかるボトル搬送装置のエア搬送コンベアの排気孔を説明するための概略図であり、(a)は断面図を示しており、(b)はD−D矢視図を示している。
【図8】図8は、本発明の一実施形態の応用例にかかるボトル搬送装置のエア搬送コンベアの排気孔の効果を説明するための概略図を示している。
【図9】図9は、本発明の第一の課題を説明するための概略図であり、(a)は平面図を示しており、(b)は正面図を示している。
【図10】図10は、本発明の第二の課題を説明するための概略図であり、(a)は平面図を示しており、(b)は正面図を示している。
【発明を実施するための形態】
【0015】
[ボトル搬送装置の一実施形態]
<充填システム>
図1は、本発明の一実施形態にかかるボトル搬送装置を説明するための概略平面図を示している。
図1において、充填システム10は、ボトル100を成形するボトル成形機11、ボトル成形機11からのボトル100の供給を停止するストッパー12、不良ボトル排出用のダンプゲート13、ボトル100を保管するアキューム手段14、不良ボトルを検出排除するボトル検査機16、成形されたボトル100を搬送するボトル搬送装置1、及び、搬送されたボトル100に内容物を充填する充填機17などを備えた構成としてある。
【0016】
なお、図示してあるストッパー12やダンプゲート13は、一例であり、通常、それぞれ複数箇所に設けられている。
また、アキューム手段14として、ボトル搬送装置1とほぼ同様の搬送ラインを、ボトル搬送装置1と並列に設けているが、この構成に限定されるものではない。さらに、ボトル搬送装置1及びアキューム手段14を含めたボトル搬送ライン全体では、通常、ボトル100を数百本〜千数百本収容する。
また、ボトル搬送装置1のレイアウトやボトル検査機16の設置位置なども、適宜設定することができる。
【0017】
<ボトル搬送装置>
図2は、図1のA部拡大図を示している。
図2において、本実施形態のボトル搬送装置1は、エア搬送コンベア2、エア給気手段3、検出センサ4、ブロック搬送用エアストッパー5、及び積圧防止用エアストッパー6などを備えた構成としてある。
このボトル搬送装置1は、ボトル100のつば部102を摺動可能に支持し、口部101にエアを吹き付けて、該ボトル100を搬送する。
【0018】
(エア搬送コンベア)
図3は、本発明の一実施形態にかかるボトル搬送装置のエア搬送コンベアを説明するための概略図であり、(a)は断面図を示しており、(b)はB−B断面図を示している。
図3において、エア搬送コンベア2は、上部カバー21、仕切り板22、下部カバー23、整流ケーシング24、つば部用ガイド25、上部空気室26、下部空気室27、及び、排気口28からなる排気部などを有している。このエア搬送コンベア2は、図1に示すように、ボトル成形機11と充填機17を連結しており、クリーンルーム(図示せず)に設置されている。
【0019】
上部カバー21は、上板及び一対の側板を有する構造としてあり、一対の側板がそれぞれ仕切り板22と密閉された状態で接合されており、上部空気室26を形成する。この上部空気室26には、エア給気手段3から無菌エアが供給される。
また、本実施形態では、上部空気室26及び下部空気室27が、半密閉空間である。すなわち、エア搬送コンベア2は、上部カバー21及び下部カバー23を有し、上部カバー21及び下部カバー23により形成された半密閉空間(上部空気室26及び下部空気室27)にボトル100を搬送可能に収容する。
この様に、上部空気室26及び下部空気室27を設けた構成とすることにより、後述するように、下部空気室27の下部カバー23の底部にスリット状の排気口28からなる排気部を設け、搬送効率を低下させることなく陽圧を維持した状態でボトル100の無菌搬送が可能となる。
【0020】
ここで、エア給気手段3は、図示してないが、ファン、ケーシング、HEPAフィルター、除菌フィルターなどを有しており、上部カバー21の上板に設けられたダクトから、上部空気室26に無菌エアを供給する。すなわち、エア給気手段3は、ボトル口部へのエア、ブロック搬送用エアストッパーへのエア、積圧防止用エアストッパーへのエアをそれぞれ供給することにより半密閉空間に無菌エアを供給し、この半密閉空間を陽圧とする。また、エア給気手段3は、たとえば、数mの間隔で複数箇所に設けられている。
【0021】
また、搬送方向に並列された一対の仕切り板22は、上面側の縁部に、整流ケーシング24が固定されている。この整流ケーシング24は、上板及び一対の側板を有し、各側板には、複数の噴出口241が形成されており、噴出口241から搬送方向に対してやや斜め方向に吹き出る無菌エアは、ボトル100の口部101に当たり、ボトル100を搬送方向に移動させる。
さらに、対向する一対の仕切り板22は、下面側の縁部に、それぞれつば部用ガイド25が固定されており、一対のつば部用ガイド25の中央側の端部が、ボトル100のつば部102を摺動可能に支持する。これにより、ボトル100は、一対のつば部用ガイド25にガイドされた状態で搬送される。
なお、噴出口241から吹き出た無菌エアは、一対のつば部用ガイド25どうしの隙間から下部空気室27に流れる。
【0022】
下部カバー23は、側板、傾斜板及び底板を有する構造としてあり、一対の下部カバー23は、ヒンジ231を介して回動可能に仕切り板22と連結されており、下部空気室27を形成する。この下部空気室27には、前述したように、一対のつば部用ガイド25どうしの隙間から無菌エアが供給される。
下部カバー23の材質はカバー可能な限りにおいて各種めっき鋼板、樹脂被覆鋼板、アルミニウム合金板、樹脂被覆アルミニウム合金板などの金属板、各種プラスチック製板が使用できるが、アクリル樹脂板であることが好ましい。アクリル樹脂板は透明性がよくカバー外部からボトル100の搬送状態を監視することができるためである。
また、本実施形態では、下部カバー23の底板どうしの間(中央)に、排気口28が形成され、この排気口28から無菌エアが排出される。すなわち、一対の下部カバー23の底部(あるいは、底部付近)に、一本のスリット状の排気口28が設けられている。
【0023】
更に、本実施形態の排気口28はエア搬送コンベア2の全ての領域にわたって設けることができるが、後述するようにエア搬送コンベア2の搬送方向に対して間隔を開けて設けることにより、ボトル100の搬送を効率的にすることもできる。また排気口28は、一対の下部カバー23の底部(あるいは、底部付近)に設けられるが、下部空気室27内を陽圧に維持できる限りにおいて、1本のスリット状に限定されるものではなく、複数のスリット状、複数の穴状、複数の角形状、あるいはメッシュ状であってもよく、それらの組み合わせであってもよい。
そして、排気口28は、一対の下部カバー23の底部(あるいは、底部付近)に設けられているので、陽圧が高まりすぎたりボトル搬送方向と異なった方向へのエア流れが発生したりすることを防止でき、搬送効率を低下することなく陽圧を維持しながらボトル100を無菌搬送することができる。
なお、下部空気室27のほぼ中央部に、ボトル100の胴部103の振れなどを防止する胴部用ガイド232が設けられている。また、下部カバー23の底板には、取手233が取り付けられている。
【0024】
(検出センサ)
検出センサ4(図2参照)は、図4に示すように、投光器41及び受光器42を有しており、エア搬送コンベア2に(下部空気室27内に)設けられ、ボトル100を検出する。この検出センサ4は、制御手段(図示せず)と接続されており、ボトル100を検出すると、検出した旨の検出信号を制御手段に出力する。
また、検出センサ4の取り付け位置は、ブロック搬送用エアストッパー5及び積圧防止用エアストッパー6の取り付け位置とほぼ対応している。すなわち、エア給気手段3に対応する検出センサ4は、エア搬送コンベア2の下流側に取り付けられ、各ブロック搬送用エアストッパー5に対応する検出センサ4は、ブロック搬送用エアストッパー5の取り付け位置から所定の距離(≒ブロック搬送するボトル100の本数(たとえば、10〜20本)×ボトル100の直径)だけ上流側の位置に取り付けられる。また、各積圧防止用エアストッパー6に対応する検出センサ4は、積圧防止用エアストッパー6の取り付け位置から下流側の位置に取り付けられる。
【0025】
(ブロック搬送用エアストッパー及び積圧防止用エアストッパー)
ブロック搬送用エアストッパー5及び積圧防止用エアストッパー6(図2参照)は、図4に示す一対のエアノズル51などを有しており、このエアノズル51は、搬送方向と反対の方向に対してやや斜め方向に無菌エアを吹き出すことができ、エアノズル51は、エア搬送コンベア2に(下部空気室27内に)設けられている。
そして、ブロック搬送用エアストッパー5及び積圧防止用エアストッパー6は、ボトル100の胴部103に搬送と反対方向に無菌エアを吹き付けてエア圧を作用させ、ボトル100を停止させたり(あるいは、搬送の速度を遅くしたり)、積圧を軽減させたりする。また、無菌エアの吹き付けを止めることにより、搬送と反対方向のエア圧が解除され、ボトル100は搬送される。なお、ブロック搬送用エアストッパー5、積圧防止用エアストッパー6の動作などについては後述する。
【0026】
(検出センサによる制御)
制御手段(図示せず)は、コンピュータやプログラマブルロジックコントローラなどの情報処理装置であり、各検出センサ4からの検出信号を入力し、該検出信号にもとづいて、対応するブロック搬送用エアストッパー5及び積圧防止用エアストッパー6を制御する。なお、ブロック搬送用エアストッパー5及び積圧防止用エアストッパー6の制御などについては後述する。
【0027】
ここで、好ましくは、制御(エア給気手段3の制御)は、エア搬送コンベア2の下流側に連結された充填機17が停止すると、充填機入口ストッパーの作動信号に基づいて、半密閉空間を陽圧とする条件を満足しつつ、半密閉空間に供給する無菌エアの風量を減少させるように、エア給気手段3(たとえば、風量の減少により、ボトル100が停止しても支障のない領域のエア給気手段3)を制御するとよい。このようにすると、充填機17が停止し、充填機17入口のストッパーが作動しても、充填機17の入り口付近のボトル100が、上流側のボトル100の積圧によりダメージ(潰れやへこみ等)を受けるといった不具合を効果的に回避することができ、損失の低減により経済性などを向上させることができる。
【0028】
また、さらに好ましくは、制御(積圧防止用エアストッパー6の制御)は、エア搬送コンベア2の下流側に連結された充填機17が停止すると、充填機入口ストッパーの作動信号に基づいて、ボトル100に無菌エアを吹き付けるように、積圧防止用エアストッパー6(たとえば、無菌エアの吹き付けにより、ボトル100が搬送方向と反対の方向に移動したとしても支障のない領域の積圧防止用エアストッパー6)を制御するとよい。このようにすると、充填機17の入り口付近のボトル100が、上流側のボトル100の積圧によりダメージ(潰れやへこみ等)を受けるといった不具合をより確実に回避することができ、また、積圧防止用エアストッパー6から無菌エアが吹き出るので、半密閉空間を陽圧とする条件を満足する上で好都合である。
【0029】
次に、上記構成のボトル搬送装置1の動作などについて説明する。
充填システム10は、プリフォーム受け入れ、ブロー成形工程(プリフォーム加熱及びブロー成形)、ボトル搬送、ボトル検査、ボトル搬送、充填工程(ボトル殺菌、充填及び密封)を経て、ボトル100に内容物を充填する(図1参照)。
【0030】
また、ボトル搬送装置1は、前述した図9に示すように、停止しているボトル100aに、加速し過ぎたボトル100bが衝突し、ボトル100a、100bが、ダメージ(潰れやへこみ等)を受けるといった不具合を回避するために、ブロック搬送用エアストッパー5などを用いて、ブロック搬送(所定数量のボトル100をまとめて搬送すること)を行うことができる。
【0031】
次に、ブロック搬送(所定数量のボトル100を停止させてブロック化するブロック搬送用エアストッパー5の動作)について、図面を参照して説明する。
図5は、本発明の一実施形態にかかるボトル搬送装置に使用されるブロック搬送用エアストッパーの動作を説明するための概略図であり、(a)は平面図を示しており、(b)は側面図を示している。
図5において、制御(ブロック搬送用エアストッパー5の制御)は、まず、ブロック搬送用エアストッパー5がボトル100への無菌エアの吹き付けを行うように制御しており、ブロック搬送用エアストッパー5は、ボトル100に無菌エアを吹き付けて停止させる。
これにより、後続のばらけた状態で搬送されるボトル100eは、次々滞留し、滞留しているボトル100の数量が増加する。すなわち、ブロック搬送用エアストッパー5は、所定数量(たとえば、10〜20本)のボトル100をまとめる。なお、まとめられた複数のボトル100は、ボトル群110とも呼ばれる。
【0032】
次に、ブロック搬送用エアストッパー5の上流側の検出センサ4が、ボトル100eが滞留している旨の検出信号を入力すると、ボトル100への無菌エアの吹き付けを所定の時間だけ中止するように、ブロック搬送用エアストッパー5を制御し、ブロック搬送用エアストッパー5は、無菌エアの吹き付けを所定の時間だけ中止する。ボトル100eが滞留していることは、例えば数秒とかの所定時間の間検出センサ4が連続してボトル100eを検出することなどで判断することができる。
これにより、フリーとなったボトル群110は、まとまった状態(すなわち、ブロック化された状態)で搬送される。すなわち、図9に示すばらけた状態で搬送されるボトル100は、前後左右に傾いたりするが、まとまった状態で搬送されるボトル群110は、ほぼ整列された状態で搬送されるので、傾きなどによりダメージを受けるといった不具合を回避することができる。
【0033】
また、ボトル搬送装置1は、複数のブロック搬送用エアストッパー5を配設してあるので、ほぼ整列された状態で搬送されるボトル群110は、下流側のブロック搬送用エアストッパー5において、前述したように、再びまとめられ、まとまった状態で搬送される。すなわち、ブロック搬送により、ボトル100は、ブロック搬送用エアストッパー5が設けられている位置で、所定数量にまとめられ、まとまった状態で搬送されるので、搬送中のボトル100が加速し過ぎるといった不具合を防止でき、加速し過ぎたボトル100の衝突によって、ボトル100がダメージを受けるといった不具合を効果的に回避することができる。
【0034】
次に、積圧によるダメージ防止(滞留したボトル100の積圧を軽減する積圧防止用エアストッパー6の動作)について、図面を参照して説明する。
図6は、本発明の一実施形態にかかるボトル搬送装置に使用される積圧防止用エアストッパーの動作を説明するための概略図であり、(a)は平面図を示しており、(b)は側面図を示している。
図6において、制御(積圧防止用エアストッパー6の制御)は、まず、ボトル100への無菌エアの吹き付けを行わないように、積圧防止用エアストッパー6を制御し、積圧防止用エアストッパー6は、ボトル100に無菌エアを吹き付けない。
そして、下流の充填機が停止した場合や充填速度が遅くなった場合などは、ボトル100(通常、ボトル群110)は、次々滞留し、滞留しているボトル100の数量が増加する。このため、積圧防止用エアストッパー6の下流側一番目の検出センサ4(積圧防止用エアストッパー6の左となりの検出センサ4)が、ボトル100を検出している旨の検出信号を入力している間、無菌エアを吹き付けるように、積圧防止用エアストッパー6を制御し、積圧防止用エアストッパー6は、無菌エアを吹き付け、ボトル100による積圧の発生を防止する。
【0035】
ここで、ボトル搬送装置1は、複数の積圧防止用エアストッパー6を配設してあるので、下流側の積圧防止用エアストッパー6から順にボトル100による積圧の発生を防止することができ、多数のボトル100が滞留しても、多数のボトル100による積圧を受ける下流側のボトル100が、ダメージ(潰れやへこみ等)を受けるといった不具合を確実に回避することができる。
なお、ボトル搬送装置1は、充填機17に毎秒十数個のボトル100を供給しており、さらに、ボトル100がブロック搬送されるので、積圧防止用エアストッパー6は、たとえば、積圧防止用エアストッパー6の下流側二番目の検出センサ4の検出信号にもとづいて制御される場合もある。このようにすると、ボトル搬送装置1は、搬送速度などに応じて、フレキシブルに対応することができ、付加価値を向上させることができる。
【0036】
また、ボトル搬送装置1は、前述したように、ブロック搬送や積圧によるダメージ防止対策を施すことにより、省資源化を目的として、軽量化され機械的強度が低下したボトル100であっても、ダメージを与えるといった不具合を回避することができる。
ただし、ブロック搬送や積圧によるダメージ防止対策によって、ボトル100をソフトに(あるいは、慎重に)搬送することにより、ボトル100が円滑に搬送されないといった不具合を回避することができるものの、ボトル100の滞留状態や半密閉空間の外部に排出される無菌エアの流量などによっては、搬送方向での陽圧の程度にムラが生じて半密閉空間に無菌エアの流れが好適に発生せず、ボトル100の搬送効率が低下し、生産性を向上させることができない場合がある。
【0037】
次に、上記場合の対策について、図面を参照して説明する。
図7は、本発明の一実施形態の応用例にかかるボトル搬送装置のエア搬送コンベアの排気孔を説明するための概略図であり、(a)は断面図を示しており、(b)はD−D矢視図を示している。
図7において、本応用例のボトル搬送装置において、上述したボトル搬送装置1と比べると、エア搬送コンベア2は、側面カバー235の底部に下部カバー枠23aが設けられ、下部カバー枠23aの底板に開閉用の取手233及び複数の排気孔234が設けられている点などが相違する。なお、本応用例の他の構成は、ボトル搬送装置1とほぼ同様としてある。
したがって、図7において、図3と同様の構成部分については同一の符号を付して、その詳細な説明を省略する。
【0038】
本応用例の排気部は、複数の排気孔234及び排気口28を有している。
また、排気部(複数の排気孔234及び排気口28)は、エア搬送コンベア2の所定の箇所に設けられるとよい。ここで、所定の箇所とは、エア搬送コンベア2の搬送方向に対して間隔を開けて部分的に存在する複数の領域における下部カバー枠23a(あるいは、下部カバー23)の底部をいう。
このようにすると、半密閉空間(特に、下部空気室27)におけるボトル搬送方向での陽圧の程度に大きなムラ(圧力差とも呼ばれる。)がなくなり、ボトル100が円滑に搬送されないといった不具合を回避することができる。
すなわち、図8に示すように、エア搬送コンベア2の搬送方向位置に対して、排気部(複数の排気孔234及び排気口28)を設ける領域(エリアX、Y、Z)を、間隔を開けて(搬送方向に対して部分的に、かつ、複数箇所に)存在させることにより、下部空気室27の内部の圧力は、エリアX、Y、Zにおいて、緩やかに低下し、エリアX、Y、Zを外れると、緩やかに上昇する。このグラフより、エリアX、Y、Zにおいて、排気部を介して無菌エア(他より多量の無菌エア)が下部空気室27から外部に排出されており、半密閉空間に無菌エアの流れが好適に発生し、ボトル100の搬送効率がアップし、生産性を向上させることができる。また、ボトル搬送方向での陽圧の程度に大きなムラがなくなることにより、ボトル100の滞留状態などに影響されることなく、効率よく、かつ、円滑にボトル100を搬送できる。
【0039】
なお、排気孔234は、丸状孔が千鳥状に配設してあるが、これに限定されるものではなく、たとえば、マトリックス状に配設してもよく、また角状であってもメッシュ状やスリット状であってもよい。
また、図7(b)において、排気部は、複数の排気孔234及び排気口28を有しているが、これに限定されるものではなく、たとえば、複数の排気孔234のみを有する構成、あるいは、排気口28のみを有する構成でもよい。さらに、エア搬送コンベア2のほぼ全長にわたり排気口28が設けられ、かつ、エア搬送コンベア2の所定の箇所に複数の排気孔234が設けられた構成でもよい。このようにしても、上述した効果とほぼ同様の効果が得られる。
【0040】
ここで、図1に示すように、エア搬送コンベア2の下流側に、充填機17が連結されている場合、エア搬送コンベア2の充填機側の下部カバー枠23aに排気部を設けることが好ましい。すなわち前記充填機17側に複数の排気孔234、前述した排気口28、又は両者からなる排気部が設けられているとよい。更に、この箇所では大量の排気量が要求されるため、複数の排気孔234とし、排気孔234がメッシュ状であることがより好ましい。
すなわち、充填機17の内圧は、充填機17の内部への菌の混入防止のため、ボトル搬送装置1の内圧よりも高く設定されており、ボトル搬送装置1は、充填機17側の端部において、充填機17からの気流によりエア搬送の推進力が低下する。また、ボトル搬送装置1は、充填機17側の端部において、ボトル100が充填機17に隙間なく供給されるように、連続的に隙間無く並ぶように制御される必要がある。上記の状況において、エア搬送コンベア2の充填機17側の端部(この端部は、通常、先端及び先端から数m以内の領域をも含むものとする。)に、複数の排気孔234、前述した排気口28、又は両者からなる排気部を設けると、前述したように、陽圧の程度に大きなムラがなくなって半密閉空間に無菌エアの流れが好適に発生し、ボトル100の搬送効率がアップし、ボトル100を確実に、かつ、隙間なく充填機17に供給することができる。この端部においては複数の排気孔234をメッシュ状に設けることが特に好ましい。
【0041】
なお、図7に示すエア搬送コンベア2は、下部カバー23の代わりに、金属製の下部カバー枠23a及びアクリル製の側面カバー235を有する構成としてあり、下部カバー23がアクリル製である場合と比べると、下部カバー23が割れたりする心配を排除することができ、安全性や信頼性などを向上させることができる。下部カバー枠23aの金属板としては各種めっき鋼板なども使用できるがアルミニウム合金板が好ましい。軽量で加工しやすく丈夫であるためである。
また、下部カバー枠23aを金属製にすることにより、複数の排気孔234をメッシュ状に設けた場合であっても強度を保つことができる。
【0042】
以上説明したように、本実施形態のボトル搬送装置1によれば、ダメージを与えることなく、かつ、円滑にボトル100を搬送でき、経済性や生産性などを向上させることができる。
また、ボトル100がダメージを受けるといった不具合を回避することができ、経済性などを向上させることができるとともに、半密閉空間(特に、下部空気室27)の陽圧の程度に大きなムラがなくなり、内部に好適な無菌エアの流れを発生させて、ボトル100を円滑に搬送し、生産性を向上させることができる。
【0043】
以上、本発明のボトル搬送装置について、好ましい実施形態などを示して説明したが、本発明に係るボトル搬送装置は、前述した実施形態などにのみ限定されるものではなく、本発明の範囲で種々の変更実施が可能であることは言うまでもない。
例えば、上述した実施形態のボトル搬送装置1は、エア給気手段3の制御、ブロック搬送用エアストッパー5の制御、及び、積圧防止用エアストッパー6の制御が行われる構成としてあるが、これに限定されるものではない。たとえば、エア給気手段3の制御、ブロック搬送用エアストッパー5の制御、及び、積圧防止用エアストッパー6の制御の少なくとも一つが行われる構成としてもよい。このようにしても、各制御の効果を有効に発揮することができる。
【符号の説明】
【0044】
1 ボトル搬送装置
2 エア搬送コンベア
3 エア給気手段
4 検出センサ
5 ブロック搬送用エアストッパー
6 積圧防止用エアストッパー
10 充填システム
11 ボトル成形機
12 ストッパー
13 ダンプゲート
14 アキューム手段
16 ボトル検査機
17 充填機
21 上部カバー
22 仕切り板
23 下部カバー
23a 下部カバー枠
24 整流ケーシング
25 つば部用ガイド
26 上部空気室
27 下部空気室
28 排気口
41 投光器
42 受光器
51 エアノズル
100 ボトル
101 口部
102 つば部
103 胴部
110 ボトル群
231 ヒンジ
232 胴部用ガイド
233 取手
234 排気孔
235 側面カバー
241 噴出口

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ボトルのつば部を摺動可能に支持し、前記ボトルの口部にエアを吹き付けて、該ボトルを搬送するボトル搬送装置において、
前記ボトルを半密閉空間に収容するエア搬送コンベアと、
前記半密閉空間を陽圧とするエア給気手段と
を備え、
前記エア搬送コンベアが、前記ボトルの検出センサ、ブロック搬送用エアストッパー、及び積圧防止用エアストッパーを有し、
前記検出センサの検出信号に基づいて、ブロック搬送用エアストッパー及び積圧防止用エアストッパーが制御されることを特徴とするボトル搬送装置。
【請求項2】
前記エア搬送コンベアが、上流側のボトル成形機と下流側の充填機を連結することを特徴とする請求項1に記載のボトル搬送装置。
【請求項3】
前記エア搬送コンベアが、クリーンルームに設置されていることを特徴とする請求項1又は2に記載のボトル搬送装置。
【請求項4】
前記半密閉空間へ供給されるエアが、無菌エアであることを特徴とする請求項1乃至3の何れかに記載のボトル搬送装置。
【請求項5】
充填機入口ストッパーの作動信号に基づいて、前記半密閉空間の陽圧状態を維持し、供給エア風量を減少させるエア給気手段の制御、前記エア搬送コンベアにおける前記ブロック搬送用エアストッパーの上流側の前記検出センサの検出信号に基づいて、前記ブロック搬送用エアストッパーの吹き付けを所定時間停止する制御、及び、前記充填機入口ストッパーの作動信号、或いは前記エア搬送コンベアにおける前記積圧防止用エアストッパーの下流側の前記検出センサの検出信号に基づいて、前記積圧防止用エアストッパーのエアを吹き付ける制御の少なくとも一つが行われることを特徴とする請求項1乃至4の何れかに記載のボトル搬送装置。
【請求項6】
前記半密閉空間がカバーから成り、仕切り板を介して上部空気室及び下部空気室から形成されていることを特徴とする請求項1乃至5の何れかに記載のボトル搬送装置。
【請求項7】
前記仕切り板に固定された整流ケーシングの側板に複数の噴出口を形成したことを特徴とする請求項6に記載のボトル搬送装置。
【請求項8】
前記噴出口からのエアが前記下部空気室に流れることを特徴とする請求項7に記載のボトル搬送装置。
【請求項9】
前記下部空気室のカバーの底部に排気部を設けたことを特徴とする請求項6乃至8の何れかに記載のボトル搬送装置。
【請求項10】
前記排気部が、排気口及び/又は複数の排気孔からなることを特徴とする請求項9に記載のボトル搬送装置。
【請求項11】
前記充填機側に前記排気部を設けたことを特徴とする請求項9又は10に記載のボトル搬送装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−246108(P2012−246108A)
【公開日】平成24年12月13日(2012.12.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−119952(P2011−119952)
【出願日】平成23年5月30日(2011.5.30)
【出願人】(000003768)東洋製罐株式会社 (1,150)
【出願人】(301065869)三友機器株式会社 (6)