説明

ボルト用緩み止め剤の塗布に供するボルト支持装置

【課題】構造が簡単で安価なボルト用緩み止め剤の塗布に供するボルト支持装置を提供すること。
【解決手段】往復駆動機構Cを構成するエアシリンダ16が作動してロッド17が伸張すると、支持装置本体部Bに設けた左右移動体7が複数のボルト10の頭部10Aを支承した状態で右方へ移動する。そして、タイマが所定時間を計時すると、前記エアシリンダ16が作動してロッド17が収縮すると、前記左右移動体7が左方へ移動する。このとき、左右移動体7の左右方向への移動に伴い、各ボルト10の頭部10Aが転がることとなって、各ボルト10は正転方向又は逆転方向に回動する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ボルト用緩み止め剤の塗布に供するボルト支持装置に関するものである。詳述すれば、ボルトにボルト用緩み止め剤を塗布するに際して、複数のボルトを支持するボルト支持装置であって、ボルト用緩み止め剤の塗布に供するボルト支持装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ボルト用ゆるみ止め剤の塗布装置が提案され、自動化が図られている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実開平7−39961号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、ボルトにボルト用緩み止め剤を塗布するに際して、塗布までも含めて自動化された提案であり、構造が複雑で効果な塗布装置であって、塗布までは至らない構造が簡単で安価なボルト用緩み止め剤の塗布に供するボルト支持装置が求められている。
【0005】
そこで本発明は、塗布までは至らない構造が簡単で安価なボルト用緩み止め剤の塗布に供するボルト支持装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
このため第1の発明は、ボルト用緩み止め剤の塗布に供するボルト支持装置であって、支持装置本体部と、この支持装置本体部に着脱可能に組み込まれるボルト支持体部とを備え、
前記ボルト支持体部に開設された複数の挿通孔内にはボルトが回動可能に挿通され、
前記各挿通孔内に挿通された前記複数のボルトの頭部を支承した状態で往復移動機構により往復移動する移動体を前記支持装置本体部に設けた
ことを特徴とする。
【0007】
また第2の発明は、第1の発明において、前記支持装置本体部の基台の傾斜面上に前記ボルト支持体部を上方から組み込んだ状態で、前記前記支持装置本体が前記複数のボルトの頭部を支承できるように、前記ボルト支持体部の下部を前方へ押しやる押圧部材を前記支持装置本体部に設けたことを特徴とする。
【0008】
更に第3の発明は、第1又は第2の発明において、前記往復移動機構による移動体の往復移動動作をタイマにより所定時間毎に切替えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、塗布までは至らない構造が簡単で安価なボルト用緩み止め剤の塗布に供するボルト支持装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】エアシリンダのロッドが伸張した状態のボルト支持装置の斜視図である。
【図2】エアシリンダのロッドが収縮した状態のボルト支持装置の斜視図である。図である。
【図3】図1のX−X断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態について、図1乃至図3に基づいて説明する。先ず、1はボルト支持装置で、ボルト用緩み止め剤の塗布に供する。このボルト支持装置1は、大きく分けて支持装置本体部Aと、この支持装置本体部Aに着脱可能に組み込まれるボルト支持体部Bとから構成される。
【0012】
初めに、支持装置本体部Aについて説明する。図3に示すように、2は縦断面が概ねクランク状を呈する基台で、作業台3に載置されるか固定されるが、この作業台3に下面が接する平面部2Aと、この平面部2Aに連なる垂直面部2Bと、この垂直面部2Bに連なると共に下端部が作業台3に接する傾斜面部2Cとを備えている。
【0013】
そして、前記基台2の左右の端部にはそれぞれ案内支持部材4A、4Bが設けられて、連結部材4Cにより連結されている。この左右の案内支持部材4A、4Bの上面にはそれぞれ案内溝5が左右方向に沿って開設されて、各片7A、7Bの下面に形成された各突部6が僅か隙間を存して各案内溝5に嵌合して、平面視コ字形状の左右移動体7の対向する各片7A、7Bの各突部6がこの案内溝5に沿って摺動することにより左右移動体7は左右方向に移動可能である。
【0014】
なお、各片7A、7Bは左端部において連結部材7Cにより連結されている。また、左右移動体7の各片7A、7Bの下面に各突部6を形成すると共に案内支持部材4A、4Bに前記各突部6がそれぞれ嵌合する案内溝5を形成するようにしたが、種々の変形例が考えられる。例えば、左右移動体7の各片7A、7Bの下面に各案内溝を形成すると共に案内支持部材4A、4Bの上面に前記各案内溝に嵌合する各突部を形成するようにしてもよい。
【0015】
一方の前記左右移動体7の片7A上には、前記支持装置本体部Aにボルト支持体部Bが組み込まれると複数のボルト10の頭部10Aを支承して、これらの頭部10Aが転がりながら左右方向に移動可能に載置される緩衝体11が固定されている。
【0016】
次に、前記ボルト支持体部Bについて説明すると、このボルト支持体部Bは複数のボルト10が複数並設するように開設された挿通孔12Cにそれぞれ挿通されて、これらのボルト10を回動可能に支持する一対の支持板12A、12Bが連結部材13により連結され、一体化されて構成される。
【0017】
そして、支持装置本体部Aにボルト支持体部Bを上方から組み込むと、具体的には、前後の前記左右移動体7の片7Aと7Bとの間において、上方から前記ボルト支持体部Bを配設するように、作業者が前記連結部材13に固定された杷手14を掴みながら基台2の傾斜面部2C上方に前記ボルト支持体部Bが位置するように組み込むと、支持板12A、12Bの挿通孔12Cに挿通された各ボルト10は傾斜面部2Cと平行となると共に前記緩衝体11上にその頭部10Aが支承される状態となる。
【0018】
即ち、前述したように、基台2の傾斜面部2C上方に前記ボルト支持体部Bが位置するように組み込むと、この傾斜面部2C上にその下端部が固定された縦断面がくの字形状の押圧部材21が支持板12Aの裏面(奥側側面)の下部を前方へ押圧するように構成する。これにより、前記複数のボルト10の手前部が左右移動体7の一方の片7B上面に接しないように浮かせる状態として、ボルト10の頭部10Aを他方の片7A上に固定された緩衝体11に接触させるようにして、ボルト10の頭部10Aを支承する。このため、支持装置本体部Aにボルト支持体部Bが組み込まれると、確実に複数のボルト10の頭部10Aが転がりながら左右方向に移動可能な状態となる。
【0019】
なお、左右移動体7の右端部には、取付板15を介して基台2に取り付けられた往復駆動機構Cのエアシリンダ16のロッド17と第1連結部材18とを介して、第2連結部材19が連結されている。従って、前記エアシリンダ16が作動してロッド17が伸張するとロッド17、第1連結部材18、第2連結部材19を介して左右移動体7が右方へ移動し(図1参照)、また逆に前記エアシリンダ16が作動してロッド17が短縮するとロッド17、第1連結部材18、第2連結部材19を介して左右移動体7が左方へ移動し(図2参照)、結果として左右移動体7が左右に往復移動する。
【0020】
具体的には、タイマにより切替え電磁弁を所定時間毎に切替え制御することにより、エア供給源又はエア吸引源にエアシリンダ16を連通させ、前記エアシリンダ16のロッド17を伸張又は短縮して、所定時間毎に左右移動体7を左右に往復移動させる。
【0021】
従って、前記エアシリンダ16が作動してロッド17が伸張すると、ロッド17、第1連結部材18、第2連結部材19を介して左右移動体7が右方へ移動し、案内支持部材4A、4Bの案内溝5に沿って左右移動体7の片7A、7B下面の突部6摺動しながら左右移動体7は右方向に移動する。そして、前記タイマが所定時間を計時すると、前記エアシリンダ16が作動してロッド17が収縮すると、ロッド17、第1連結部材18、第2連結部材19を介して左右移動体7が左方へ移動し、案内支持部材4A、4Bの案内溝5に沿って左右移動体7の片7A、7B下面の突部6摺動しながら左右移動体7は左方向に移動する。
【0022】
この場合、左右移動体7の左右方向への移動に伴い、各ボルト10の頭部10Aが転がることとなって、各ボルト10は正転方向又は逆転方向に回動することとなる。従って、作業者は、ブラシや刷毛に付けたボルト用緩み止め剤を軸部に満遍なく、均等に塗布することができる。
【0023】
そして、この塗布を終えると、前記エアシリンダ16を停止させてもよいが、停止させない状態で、作業者は前記杷手14を掴みながら前記ボルト支持体部Bを支持装置本体部Aから取り外す。更に、この取出したボルト支持体部Bからボルト用緩み止め剤が塗布された各ボルト10を抜く。
【0024】
次に、ボルト用緩み止め剤を塗布する別な複数のボルト10を支持板12A、12Bの挿通孔12Cに挿通して、支持装置本体部Aにボルト支持体部Bを組み込む。即ち、前後の前記左右移動体7の片7Aと7Bとの間において、上方から前記ボルト支持体部Bを配設するように、作業者が前記杷手14を掴みながら基台2の傾斜面部2C上方に前記ボルト支持体部Bが位置するように組み込むと、押圧部材21が支持板12Aの裏面(奥側側面)の下部を前方へ押圧するようにして、支持板12A、12Bの挿通孔12Cに挿通された各ボルト10は傾斜面部2Cと平行となると共に前記緩衝体11上にその頭部10Aが支承される状態となる。
【0025】
従って、左右移動体7の左右方向への移動に伴い、各ボルト10の頭部10Aが転がることとなって、各ボルト10は正転方向又は逆転方向に回動することとなり、前述したように、作業者はボルト用緩み止め剤を各ボルト10の軸部に満遍なく、均等に塗布することができる。
【0026】
なお、本発明に係る技術は、長さの異なるボルトに対しても適用でき、またボルトに限らず、その他のネジなどにも適用することができる。
【0027】
以上のように本発明は、構造が簡単で安価なボルト用緩み止め剤の塗布に供するボルト支持装置を提供することができる。
【0028】
以上本発明の実施態様について説明したが、上述の説明に基づいて当業者にとって種々の代替例、修正又は変形が可能であり、本発明はその趣旨を逸脱しない範囲で前述の種々の代替例、修正又は変形を包含するものである。
【符号の説明】
【0029】
1 ボルト支持装置
A 支持装置本体部
B ボルト支持体部
C 往復駆動機構
4A、4B 案内支持部材
7 左右移動体
10 ボルト
10A 頭部
12C 挿通孔
12A、12B 支持板
16 エアシリンダ
21 押圧部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ボルト用緩み止め剤の塗布に供するボルト支持装置であって、支持装置本体部と、この支持装置本体部に着脱可能に組み込まれるボルト支持体部とを備え、
前記ボルト支持体部に開設された複数の挿通孔内にはボルトが回動可能に挿通され、
前記各挿通孔内に挿通された前記複数のボルトの頭部を支承した状態で往復移動機構により往復移動する移動体を前記支持装置本体部に設けた
ことを特徴とするボルト支持装置。
【請求項2】
前記支持装置本体部の基台の傾斜面上に前記ボルト支持体部を上方から組み込んだ状態で、前記前記支持装置本体が前記複数のボルトの頭部を支承できるように、前記ボルト支持体部の下部を前方へ押しやる押圧部材を前記支持装置本体部に設けたことを特徴とする請求項1に記載のボルト支持装置。
【請求項3】
前記往復移動機構による移動体の往復移動動作をタイマにより所定時間毎に切替えることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のボルト支持装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2012−139662(P2012−139662A)
【公開日】平成24年7月26日(2012.7.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−885(P2011−885)
【出願日】平成23年1月6日(2011.1.6)
【出願人】(000100366)しげる工業株式会社 (95)
【Fターム(参考)】