説明

ボールタップ

【課題】設置スペースの縮小化と配置場所の自由度の向上とを実現可能であり、タンクの小幅化に寄与できるボールタップを提供する。
【解決手段】ボールタップ1は、本体20と、弁体24と、フロート40と、フロート40の上下動を規制する上下動規制機構30と、弁体操作機構50とを備える。上下動規制機構30は、本体20と、フロート40に固定された固定軸41と、第1アーム31と、第2アーム32とからなる四節リンク機構である。上下動規制機構30は、第1アーム31の動作によって弁体操作機構50を作動させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はボールタップに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に従来のボールタップが開示されている。このボールタップは、弁座が形成された水路を内部にもつ本体と、本体に対して移動することにより、弁座に着座又は離座可能な弁体と、タンク内に貯留された水の水位によって上下動するフロートと、フロートの上下動を規制する上下動規制機構と、フロートの上下動を弁体の移動に変換する弁体操作機構とを備えている。
【0003】
より具体的には、上下動規制機構は、フロートの上端に固定された固定軸と、固定軸上の第1点に上下揺動可能に軸支されているとともに、本体上の第2点に上下揺動可能に軸支されたアームと、本体の下側から垂直に下方に延びるように設けられた案内筒と、フロートの側面から案内筒に向けて延びる繋留部と、繋留部の先端に設けられ、案内筒を挿通する案内具とからなる。
【0004】
弁体操作機構は、アームにおける第2点側の一端に形成された軸部と、この軸部によって弁体が水平方向に移動するように弁体に一体に形成されたフックとからなる。
【0005】
このような構成である特許文献1のボールタップは、例えば、水洗式便器等に適用される。そして、水洗式便器を洗浄する際にタンク内の水が排出されると、上下動規制機構及び弁体操作機構の協働によってタンク内への一定量の給水が行われる。
【0006】
すなわち、タンク内に貯留された水の水位が下がれば、フロートが下降して、アームの軸部がフックから外れる。そして、給水圧により、弁体が弁座から離座する。この際、フロートは、固定軸、アーム及び本体によって下方への揺動が規制されつつ、案内具が案内筒に沿って下方に摺動することによって下降も規制される。そして、本体内の水路が開通し、タンク内に給水されることとなる。
【0007】
その後、給水によりタンク内の水位が上がれば、フロートが上昇し、一定位置までフロートが上昇すると、アームの軸部がフックと係合することによって弁体が弁座に着座する。この際も、フロートは、固定軸、アーム及び本体によって上方への揺動が規制されつつ、案内具が案内筒に沿って上方に摺動することによって上昇も規制される。そして、本体内の水路が閉鎖され、タンク内への給水が止まることとなる。
【0008】
一方、特許文献2に従来の他のボールタップが開示されている。このボールタップでは、ボール状のフロートに固定され、本体上の第1点に上下揺動可能に軸支されたアームによって上下動規制機構が構成されている。つまり、このボールタップの上下動規制機構は、特許文献1のような案内筒を有しておらず、1体のアームからなっている。また、本体上の第2点を支点として上下揺動可能なレバーと、レバーの一端上の第3点とアーム上の第4点との間でそれぞれ上下揺動可能に軸支された第1リンクと、レバーの他端上の第5点で弁体を上下摺動可能に軸支していることとにより、弁体操作機構が構成されている。
【0009】
このような構成である特許文献2のボールタップも、特許文献1のものと同様、上下動規制機構及び弁体操作機構の協働によってタンク内への一定量の給水を行う。
【0010】
【特許文献1】特開平9−196227号公報
【特許文献2】実開平5−17283号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかし、上記特許文献1、2のボールタップは、設置スペースの縮小化が困難であったったり、配置場所の自由度が低くなったりせざるを得なかった。
【0012】
すなわち、特許文献1のボールタップは、案内筒をタンク内に配置しなければならないため、設置スペースの縮小化が困難であった。また、案内筒の位置が制約されるため、配置場所の自由度も低くならざるを得なかった。
【0013】
また、特許文献2のボールタップは、案内筒を有してはいないが、フロートが本体上の第1点を枢軸として大きな円弧を描くように上下動するものである。このため、このボールタップを用いる場合には、タンク内にフロートの水平方向の移動スペースを確保しなければならず、やはり設置スペースの縮小化が困難であった。
【0014】
本発明は、上記従来の実情に鑑みてなされたものであって、設置スペースの縮小化と配置場所の自由度の向上とを実現可能であり、タンクの小幅化に寄与できるボールタップを提供することを解決すべき課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明のボールタップは、弁座が形成された水路を内部にもつ本体と、該本体に対して移動することにより、該弁座に着座又は離座可能な弁体と、タンク内に貯留された水の水位によって上下動するフロートと、該フロートの上下動を規制する上下動規制機構と、該上下動規制機構の動作を該弁体の移動に変換する弁体操作機構とを備えたボールタップにおいて、
【0016】
前記上下動規制機構は、前記本体と、前記フロートに固定された固定軸と、該固定軸上の第1リンク点に上下揺動可能に軸支されているとともに、該本体上の第2リンク点に上下揺動可能に軸支された第1アームと、該第1アームと平行に延び、該固定軸上における該第1リンク点から下方に離反された第3リンク点に上下揺動可能に軸支されているとともに、該本体上における該第2リンク点から下方に離反された第4リンク点に上下揺動可能に軸支された第2アームとからなり、該第1アーム又は該第2アームの動作によって前記弁体操作機構を作動させる四節リンク機構であることを特徴とする。
【0017】
本発明のボールタップにおいて、上下動規制機構は本体と固定軸と第1アームと第2アームとからなる四節リンク機構である。
【0018】
本体は、弁座が形成された水路を内部にもつ。この本体上には第2リンク点と第4リンク点とが設けられている。第4リンク点は第2リンク点から下方に離反されている。
【0019】
固定軸はフロートに固定されている。この固定軸には第1リンク点と第3リンク点とが設けられている。第3リンク点は第1リンク点の下方に離反されている。
【0020】
第1アームは、固定軸上の第1リンク点に上下揺動可能に軸支されているとともに、本体上の第2リンク点に上下揺動可能に軸支されている。
【0021】
第2アームは、固定軸上の第3リンク点に上下揺動可能に軸支されているとともに、本体上の第4リンク点に上下揺動可能に軸支されている。また、第2アームは第1アームと平行に延びている。
【0022】
なお、第1、2アームが平行であるとは、第1、2アームが揺動範囲の特定の位置、例えば水平方向を向く位置にあるときに少なくとも平行であればよい。第1〜4リンク点が平行四辺形の各頂点に位置する場合、第1、2アームは、揺動範囲の全域で常に平行である。他方、第1、2アームが揺動範囲の特定の位置にあるときに、第1〜4リンク点が台形の各頂点に位置する場合、第1、2アームは、その位置では平行であるが、その位置以外の揺動範囲では平行にならない。また、平行は、幾何学上の平行度までは要求されず、ある程度の誤差が許容される。
【0023】
第1〜4リンク点が四節リンク機構の節を構成する。また、上下動規制機構は、第1アーム又は第2アームの動作によって弁体操作機構を作動させ、上下動規制機構の動作を弁体の移動に変換する。
【0024】
このような構成である本発明のボールタップは、例えば、水洗式便器等に適用される。そして、水洗式便器を洗浄する際にタンク内の水が排出されると、上下動規制機構及び弁体操作機構の協働によってタンク内への一定量の給水が行われる。
【0025】
すなわち、タンク内に貯留された水の水位が下がれば、フロートが下降し、それに伴って第1アーム及び第2アームが揺動する。そして、第1アーム又は第2アームの動作によって弁体が弁座から離座する。この際、フロートは、四節リンク機構によって規制されつつ下降する。そして、本体内の水路が開通し、タンク内に給水されることとなる。
【0026】
その後、給水によりタンク内の水位が上がれば、フロートが上昇し、一定位置までフロートが上昇すると、それに伴って第1アーム及び第2アームが逆方向に揺動する。そして、第1アーム又は第2アームの動作によって弁体が弁座に着座する。この際も、フロートは、四節リンク機構によって規制されつつ上昇する。そして、本体内の水路が閉鎖され、タンク内への給水が止まることとなる。
【0027】
これらの間、本発明のボールタップは、特許文献1のボールタップのような案内筒を有していないので、案内筒をタンク内に配置する必要がなく、その分だけ設置スペースの縮小化が可能となるとともに、配置場所の自由度も高くなる。
【0028】
また、本発明のボールタップでは、上下動規制機構は、本体、固定軸及び第1、2アーム並びに第1〜4リンク点によって構成され、第1、2アームが平行の四節リンク機構からなる。このため、このボールタップでは、特許文献1のボールタップのような案内筒と案内具とによるスライダを有していなくても、フロートの上下動の際に固定軸の下端が常にタンクの底側に向くように規制され、固定軸が固定されたフロートは、水平方向の可動範囲を少なくしながら、垂直に近い軌跡を描くように上下動することとなる。また、このボールタップでは、フロートが特許文献2のボールタップのように大きな円弧を描かない。このため、このボールタップは、タンク内に確保すべきフロートの水平方向の移動スペースを狭くすることができ、やはり設置スペースの縮小化が可能となる。
【0029】
したがって、本発明のボールタップは、設置スペースの縮小化と配置場所の自由度の向上とを実現可能であり、その結果としてタンクの小幅化に寄与できる。
【0030】
本発明のボールタップにおいて、前記第2アームにおける前記第3リンク点と前記第4リンク点との距離は、前記第1アームにおける前記第1リンク点と前記第2リンク点との距離と等しいものであり得る。
【0031】
この場合、四節リンク機構は平行四辺形を形成する。本体上の第2リンク点と第4リンク点とが垂直の位置関係にあれば、固定軸上の第1リンク点と第3リンク点とも垂直の位置関係になる。そして、フロートの上下動の際に、固定軸の下端がタンクの底側に向かって、常に同じ姿勢を取ることとなる。このため、フロートは、水平方向の可動範囲を確実に少なくしながら、より垂直に近い軌跡を描くように上下動することとなる。
【0032】
本発明のボールタップにおいて、前記第2アームにおける前記第3リンク点と前記第4リンク点との距離は、前記第1アームにおける前記第1リンク点と前記第2リンク点との距離より長いものであり得る。
【0033】
この場合、四節リンク機構は、第1、2アームが揺動範囲の特定の位置にあるときに、台形を形成する。そして、フロートの上下動の際に、固定軸の下端が所望の軌跡を描くように、固定軸の姿勢を変化させることを容易に実現できる。このため、フロートは、水平方向の可動範囲を少なくしながら、垂直に近い所望の軌跡を描くように上下動することとなる。これにより、このボールタップによれば、側面が斜面や曲面となったタンクを採用し、そのタンクの側面に沿ってフロートを上下動させることも可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0034】
以下、本発明を具体化した実施例1、2を図面を参照しつつ説明する。
【実施例1】
【0035】
図1〜図3に示すように、実施例1のボールタップ1は、本体20と、弁体24と、フロート40と、上下動規制機構30と、弁体操作機構50とを備えている。
【0036】
本体20では、図3に示すように、上流側水路21と下流側水路22とが水平方向の一方向に延在されており、それらは弁座23を介して水平方向に延びるガイド穴25に連通されている。ガイド穴25には径内方向に突出するストッパ部26が形成されている。
【0037】
本体20上には、各々ピン穴によって第2リンク点31b及び第4リンク点32bが設けられている。第4リンク点32bは第2リンク点31bから垂直下方に離反されている。
【0038】
上流側水路21には水道水の供給源からの配管(図示しない)が接続されるようになっている。下流側水路22には図示しないタンク内に給水するためのホースが接続されるようになっている。
【0039】
弁体24は、本体20のガイド孔25内を移動することにより、弁座23に着座又は離座可能とされている。そして、弁体24が弁座23に着座すれば、上流側水路21及び下流側水路22が遮断状態とされ、弁体24が弁座23から離座すれば、上流側水路21及び下流側水路22が連通状態とされるようになっている。
【0040】
フロート40は、図1及び図2に示すように、ポリプロピレン樹脂のブロー成形品等からなる中空体であり、その中央には固定孔40aが形成されている。
【0041】
上下動規制機構30は、本体20と固定軸41と第1アーム31と第2アーム32とからなる。
【0042】
固定軸41は、フロート40に形成された固定孔40aに挿通されることにより、フロート40の上端に固定されている。固定軸41の上方には、各々ピン穴によって第1リンク点31a及び第3リンク点32aが設けられている。第3リンク点32aは第1リンク点31aから垂直下方に離反されている。
【0043】
第1アーム31は両端にピンを有する棒状のものである。この第1アーム31は、一端側のピンによって固定軸41上の第1リンク点31aに上下揺動可能に軸支されているとともに、他端側のピンによって本体20上の第2リンク点31bに上下揺動可能に軸支されている。
【0044】
第2アーム32も両端にピンを有する棒状のものである。この第2アーム32は、一端側のピンによって固定軸41上の第3リンク点32aに上下揺動可能に軸支されているとともに、他端側のピンによって本体20上の第4リンク点32bに上下揺動可能に軸支されている。
【0045】
第2アーム32は第1アーム31と平行に延びている。また、第2アーム32における第3リンク点32aと第4リンク点32bとの距離は、第1アーム31における第1リンク点31aと第2リンク点31bとの距離と等しくされている。このため、第1〜4リンク点31a、31b、32a、32bは、平行四辺形の各頂点に位置することとなり、四節リンク機構の節を構成する。
【0046】
弁体操作機構50は、図1〜図3に示すように、ガイド孔25と、第1アーム31の第2リンク点31b側から、弁体24の背面24aに向かって伸びるカム31cとからなる。第1アーム31が上方に揺動すれば、カム31cが弁体24の背面24aを押すように揺動するため、弁体24は、ガイド孔25に規制されつつ移動して、弁座23に着座する。他方、第1アーム31が下方に揺動すれば、カム31cが弁体24の背面24aから離れるように揺動するため、弁体24は、水の供給圧に押されてガイド孔25に規制されつつ移動し、弁座23から離座する。そして、弁体24はストッパ部26に当接して止まる。こうして、弁体操作機構50は、上下動規制機構30を構成する第1アーム31の動作により、弁体24を弁座23に着座又は離座させることが可能とされている。
【0047】
このような構成である実施例1のボールタップ1は、例えば、水洗式便器等に適用される。そして、水洗式便器を洗浄する際にタンク内の水が排出されると、上下動規制機構30及び弁体操作機構50の協働によってタンク内への一定量の給水が行われる。
【0048】
すなわち、図4に示すように、タンク内に貯留された水の水位が下がれば、フロート40が下降し、それに伴って第1アーム31及び第2アーム32が下方に揺動する。そして、第1アーム31の動作によって、カム31cが弁体24から離れるように揺動し、弁体24が水の供給圧に押されて弁座23から離座する。この際、フロート40は、四節リンク機構を構成する上下動規制機構30によって規制されつつ下降する。そして、本体20内の上流側水路21及び下流側流路22が連通状態とされ、タンク内に給水されることとなる。
【0049】
その後、給水によりタンク内の水位が上がれば、フロート40が上昇し、一定位置までフロート40が上昇すると、それに伴って第1アーム31及び第2アーム32が上方に揺動する。そして、第1アーム31の動作によって、カム31cが弁体24を押すように揺動し、弁体24が弁座23に着座する。この際も、フロート40は、四節リンク機構を構成する上下動規制機構30によって規制されつつ上昇する。そして、本体20内の上流側水路21及び下流側水路22が遮断状態とされ、タンク内への給水が止まることとなる。
【0050】
これらの間、このボールタップ1は、特許文献1のボールタップのような案内筒を有していないので、案内筒をタンク内に配置する必要がなく、その分だけ、設置スペースの縮小化が可能となるとともに、配置場所の自由度も高くなっている。
【0051】
また、このボールタップ1では、上下動規制機構30は、本体20、固定軸41及び第1、2アーム31、32並びに第1〜4リンク点31a、31b、32a、32bによって構成され、第1、2アーム31、32が平行の四節リンク機構からなる。このため、このボールタップ1では、特許文献1のボールタップのような案内筒と案内具とによるスライダを有していなくても、フロート40の上下動の際に固定軸41の下端が常にタンクの底側に向くように規制され、フロート40は、水平方向の可動範囲L1を少なくしながら、垂直に近い軌跡を描くように上下動することとなっている。また、このボールタップ1では、フロート40が特許文献2のボールタップのように大きな円弧を描かない。このため、このボールタップ1は、タンク内に確保すべきフロート40の水平方向の移動スペースを狭くすることができており、やはり設置スペースの縮小化が可能となっている。
【0052】
したがって、このボールタップ1は、設置スペースの縮小化と配置場所の自由度の向上とを実現できており、その結果としてタンクの小幅化に寄与できる。
【0053】
特に、このボールタップ1は、第2リンク点31bと第4リンク点32bとは垂直の位置関係にあり、第2アーム32における第3リンク点32aと第4リンク点32bとの距離は、第1アーム31における第1リンク点31aと第2リンク点32aとの距離と等しいものである。このため、このボールタップ1は、フロート40の上下動の際に、固定軸41の下端がタンクの底側に向かって、常に同じ姿勢を取る。このため、フロート40は、水平方向の可動範囲L1を確実に少なくしながら、より垂直に近い軌跡を描くように上下動することとなっており、本発明の効果をより確実に奏することができている。
【実施例2】
【0054】
実施例1のボールタップ1の上下動規制機構30が平行四辺形をなす四節リンク機構を構成するものであるのに対して、実施例2のボールタップ2は、図5〜図7に示すように、第1、2アーム301、302が揺動範囲の特定の位置にあるときに、上下動規制機構300が台形をなす四節リンク機構を構成する。それ以外の構成は実施例1のボールタップ1と同様であるので、同一の構成の説明は省く。
【0055】
このボールタップ2において、本体20上には、第2リンク点301b及び第4リンク点302bが設けられている。第4リンク点302bは第2リンク点301bから垂直下方に離反されている。
【0056】
上下動規制機構300は、本体20と固定軸401と第1アーム301と第2アーム302とからなる。
【0057】
固定軸401は、フロート40に形成された固定孔40aに挿通されることにより、フロート40の上端に固定されている。固定軸401の上方には、第1リンク点301a及び第3リンク点302aが設けられている。第3リンク点302aは、第1リンク点31aから垂直下方ではなく、斜め下方に離反されている。
【0058】
第1アーム301は、固定軸401上の第1リンク点301aに上下揺動可能に軸支されているとともに、本体20上の第2リンク点301bに上下揺動可能に軸支されている。
【0059】
第2アーム302は、固定軸401上の第3リンク点302aに上下揺動可能に軸支されているとともに、本体20上の第4リンク点302bに上下揺動可能に軸支されている。
【0060】
第2アーム302は、図6に示すように、第1アーム301が水平状態にある際に、第1アーム301と平行に延びるようにされている。また、第2アーム302における第3リンク点302aと第4リンク点302bとの距離は、第1アーム31における第1リンク点31aと第2リンク点31bとの距離よりも長くされている。このため、第1〜4リンク点301a、301b、302a、302bは、上辺と底辺が平行な台形の各頂点に位置することとなり、四節リンク機構の節を構成する。
【0061】
このような構成であるボールタップ2も、例えば、水洗式便器等に適用されて、実施例1のボールタップ1と同様に機能する。これらの間、図7に示すように、このボールタップ2も、特許文献1のボールタップのような案内筒を有していないので、案内筒をタンク内に配置する必要がなく、その分だけ、設置スペースの縮小化が可能となるとともに、配置場所の自由度も高くなっている。
【0062】
また、このボールタップ2では、上下動規制機構300は、本体20、固定軸401及び第1、2アーム301、302並びに第1〜4リンク点301a、301b、302a、302bによって、上辺と底辺が平行な台形をなす四節リンク機構を構成する。このため、このボールタップ2では、特許文献1のボールタップのような案内筒と案内具とによるスライダを有していなくても、フロート40の上下動の際に、固定軸401の下端が所望の軌跡であるほぼ垂直の軌跡を描くように規制され、固定軸41が固定されたフロート40は、水平方向の可動範囲L2を少なくしながら、ほぼ垂直に近い軌跡を描くように上下動することとなっている。また、このボールタップ2では、フロート40が特許文献2のボールタップのように大きな円弧を描かない。このため、このボールタップ2は、タンク内に確保すべきフロート40の水平方向の移動スペースを狭くすることができており、やはり設置スペースの縮小化が可能となっている。
【0063】
したがって、このボールタップ2も、設置スペースの縮小化と配置場所の自由度の向上とを実現できており、その結果としてタンクの小幅化に寄与できる。
【0064】
以上において、本発明を実施例1、2に即して説明したが、本発明は上記実施例1、2に制限されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更して適用できることはいうまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0065】
本発明のボールタップは、洋風水洗式便器、和風水洗式便器等の水洗式便器等に利用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0066】
【図1】実施例1のボールタップに係り、フロートが上限位置にある状態を示す概略断面図である。
【図2】実施例1のボールタップに係り、フロートが中間位置にある状態を示す概略断面図である。
【図3】実施例1のボールタップに係り、本体及び弁体操作機構を示す要部拡大断面図である。
【図4】実施例1のボールタップに係り、フロートが下方位置にある状態を示す概略断面図である。
【図5】実施例2のボールタップに係り、フロートが上限位置にある状態を示す概略断面図である。
【図6】実施例2のボールタップに係り、フロートが中間位置にある状態を示す概略断面図である。
【図7】実施例2のボールタップに係り、フロートが下方位置にある状態を示す概略断面図である。
【符号の説明】
【0067】
1、2…ボールタップ
20…本体
21、22…水路(21…上流側水路、22…下流側水路)
23…弁座
24…弁体
30、300…上下動規制機構
31、301…第1アーム
31a、301a…第1リンク点
31b、301b…第2リンク点
32、302…第2アーム
32a、302a…第3リンク点
32b、302b…第4リンク点
40…フロート
41、401…固定軸
50…弁体操作機構

【特許請求の範囲】
【請求項1】
弁座が形成された水路を内部にもつ本体と、該本体に対して移動することにより、該弁座に着座又は離座可能な弁体と、タンク内に貯留された水の水位によって上下動するフロートと、該フロートの上下動を規制する上下動規制機構と、該上下動規制機構の動作を該弁体の移動に変換する弁体操作機構とを備えたボールタップにおいて、
前記上下動規制機構は、前記本体と、前記フロートに固定された固定軸と、該固定軸上の第1リンク点に上下揺動可能に軸支されているとともに、該本体上の第2リンク点に上下揺動可能に軸支された第1アームと、該第1アームと平行に延び、該固定軸上における該第1リンク点から下方に離反された第3リンク点に上下揺動可能に軸支されているとともに、該本体上における該第2リンク点から下方に離反された第4リンク点に上下揺動可能に軸支された第2アームとからなり、該第1アーム又は該第2アームの動作によって前記弁体操作機構を作動させる四節リンク機構であることを特徴とするボールタップ。
【請求項2】
前記第2アームにおける前記第3リンク点と前記第4リンク点との距離は、前記第1アームにおける前記第1リンク点と前記第2リンク点との距離と等しいことを特徴とする請求項1記載のボールタップ。
【請求項3】
前記第2アームにおける前記第3リンク点と前記第4リンク点との距離は、前記第1アームにおける前記第1リンク点と前記第2リンク点との距離より長いことを特徴とする請求項1記載のボールタップ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2006−283927(P2006−283927A)
【公開日】平成18年10月19日(2006.10.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−107434(P2005−107434)
【出願日】平成17年4月4日(2005.4.4)
【出願人】(000000479)株式会社INAX (1,429)
【Fターム(参考)】