説明

ボールペン用ボール及びその製造方法

【課題】十分な腐食防止効果を得ることができ、またバインダー金属の偏析を防止するができるボールペン用ボールを提供する。
【解決手段】少なくとも表面に金属皮膜を形成した金属炭化物粉体及び/又は金属酸化物粉体を焼結してボールペン用ボールを得る。また、前記金属皮膜を超臨界流体を用いためっき法及び/又は無電解めっき法で形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インキ通路である貫通孔の先端開口部より一部を突出して回転自在に抱持され、被筆記面に対して接触してインキ転写部材となるボールペン用ボール及びその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ボールペン用ボールは、クロムや、コバルトや、ニッケルなどの金属をバインダー成分とし、炭化タングステンや、炭化シリコンや、酸化アルミニウムや、酸化ジルコニアなどの金属炭化物及び/又は金属酸化物と焼結した合金(以下、焼結合金と称する)が使用されている。一般的な切削工具などに用いられる焼結合金は、酸性水溶液中ではバインダー成分に用いた金属が優先的に溶出し、また、アルカリ性水溶液中では金属炭化物や金属酸化物が優先的に溶出することが知られている。特に、アルカリ性水溶液では、水酸化ナトリウムなどの水酸化物を主成分とする水溶液で顕著になる。
一方、ボールペン用ボールにおいても基本的には同様な特性を有するが、アルカリ性を呈するインキでは、前記水酸化ナトリウムなどの水酸化物を極力使用しない設計となっているため、金属炭化物や金属酸化物の溶出は発生しにくい。しかし、酸性を呈するインキでは、バインダー成分である金属が溶出し、特にこの現象はコバルトの溶出が顕著になる。このようにボールペン用ボールにおいては、酸性を呈するインキや、アルカリ性を呈するインキが経年変化で酸性に変化したインキ(pHが変化したインキ)が問題となる。特に、電解質である水を主溶媒とする酸性インキ(所謂、酸性を呈する水性インキ)又は酸性に変化したインキが、電気化学的な作用が付加するためバインダー成分の金属の溶出が顕著に発生する。
また、焼結合金は、金属炭化物及び/又は金属酸化物の粉体と、その粉体を冶金的に結合させるバインダー成分の金属の粉体を機械的に混合して押し固め加熱することで合金化する、所謂、粉末冶金である。前記の各粉体を機械的に混合するが故に混合が不完全(不均一)な部分ができ、バインダー成分の金属の塊が焼結合金中に存在する欠点を有している(以下、バインダー金属の偏析と称する)。このバインダー成分の金属の偏析を有することで、金属炭化物及び/又は金属酸化物の粉体を冶金的に結合させるバインダー成分が見かけ上不足し、金属炭化物及び/又は金属酸化物の粉体間にバインダー成分の金属がなく隙間が発生する。その結果、金属炭化物及び/又は金属酸化物の粉体が脱落しやすくなる場合があった。
ボールペンに用いられるインキは、pHが極力一定になるように設計されているが、使用環境や保管環境などにより長期的にpHが変化すること(経年変化)を防止することは困難である。このインキのpH変化によってボールペン用ボールを構成するバインダー成分の金属が溶出し、その後、金属炭化物及び/又は金属酸化物が脱落する、所謂、腐食が発生する。前記ボールを構成する成分が溶出(脱落)すると、ボール表面が凹凸となり、書き味の滑らかさが失われる場合があった。
また、前記ボール表面が凹凸になる、所謂、腐食は、バインダー金属の偏析が多く存在するボールペン用ボールで顕著であった。
これを防止するために、インキ中に一般的な金属防錆剤であるカルボキシベンゾトリアゾールを添加したり(特許文献1)、ボール表面に物理的蒸着にて層状に酸化アルミニウムなどを被覆する(特許文献2)ことなどが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平08−199107公報
【特許文献2】特開2001−80262公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の発明では、インキ中に一般的な金属防錆剤であるカルボキシベンゾトリアゾールを添加する方法が記載されているが、インキ中に添加することで長期経時においてインキ中の他成分と反応してしまい十分な腐食防止効果を得ることができなかった。
また、特許文献2の発明では、ボール表面に物理的蒸着にて層状に酸化アルミニウムなどを被覆する方法が記載されているが、ボールペン用ボールのような小径の球状物質への均一な物理蒸着は困難であり、その結果被覆されていない箇所が多数存在してしまうため、十分な腐食防止効果を得ることができないと共に、バインダー金属の偏析を防止することもできなかった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、少なくとも表面に金属皮膜を形成した金属炭化物粉体及び/又は金属酸化物粉体を焼結したこと、少なくとも表面に金属皮膜を形成した金属炭化物粉体及び/又は金属酸化物粉体を焼結したボールペン用ボールにおいて、前記金属皮膜を超臨界流体を用いためっき法及び/又は無電解めっき法で形成することを要旨とするものである。
【0006】
本発明の金属炭化物粉体及び/又は金属酸化物粉体は、炭化タングステンや炭化シリコンや炭化チタニウムなどの金属炭化物、酸化アルミニウムや酸化ジルコニウムなどの金属酸化物を公知の方法で粉砕した粉体が用いられる。特に炭化タングステン粉体は、他の金属炭化物粉体や金属酸化物粉体と比較して、硬度が低く焼結後の表面を研磨しやすいことから好適に使用できる。粉体の形状は、焼結できるものであれば特に限定されない。また、粉体の平均粒子径D50も特に限定されないが、小球状の表面を研磨し、ナノスケールレベルの平滑性を要求されるボールペン用ボールにおいては、平均粒子径D50が10μm以下であることが望ましい。
【0007】
前記金属炭化物粉体及び/又は金属酸化物粉体の少なくとも表面に被覆される金属(金属皮膜)は、本発明において特に重要な要素である。前記金属皮膜の材質としては、金属炭化物粉体及び/又は金属酸化物粉体の表面に皮膜が形成できるものであればよく、具体的には、ニッケルまたはその合金、コバルトまたはその合金、クロムまたはその合金、鉄またはその合金、スズまたはその合金、金またはその合金、銀またはその合金、銅またはその合金、白金またはその合金、パラジウムまたはその合金、ロジウムまたはその合金、ルテニウムまたはその合金、チタニウムまたはその合金などが使用できる。
また、金属皮膜の材質としては、酸性水溶液に対する耐食性が優れ、溶融温度が1000℃位で酸化されないニッケル合金が好適に使用できる。具体的には、リン(P)、ホウ素(B)、炭素(C)から選択される成分とのニッケル合金であるニッケル−リン合金(Ni−P)や、ニッケル−ホウ素合金(Ni−B)や、ニッケル−リン−ホウ素合金(Ni−P−B)や、ニッケル−リン−炭素合金(Ni−P−C)や、ニッケル−ホウ素−炭素合金(Ni−B−C)や、ニッケル−リン−ホウ素−炭素合金(Ni−P−B−C)などが挙げられる。
前述した炭素(C)は、他の金属皮膜を構成する合金成分(ニッケル(Ni)やリン(P)やホウ素(B))と化学的に結合せず機械的な分散体として合金化するため炭素(C)の脱落による金属皮膜の欠陥を極力抑制するため微粉体を用いることがよく、特に、粒子径がナノサイズの所謂ナノカーボン粉体やナノダイヤモンド粉体が好適に使用できる。また、粒子径がナノサイズの炭素(C)を用いて金属皮膜中に見かけ上の凝集体を形成させることでボールペン用ボール表面に数ナノサイズ以下の凹凸が形成でき(ボールを構成する成分が溶出(脱落)しボール表面が凹凸になる腐食は、数十ナノサイズ以上の凹凸)、耐食性の向上のみならず、筆記面との接触面積を低下させ滑らかな書き味を付与できる。
【0008】
本発明のボールペン用ボールに用いられる前記金属皮膜の製造方法は、公知のめっき法でよく特に限定されないが、ミクロンオーダーの粉体表面全体に被覆ができる無電解めっき法がよい。無電解めっき法においては、ニッケル合金を直接粉体表面に被覆してもよいし、公知のめっき前処理として、パラジウムやスズなどの金属錯体(コロイド金属)を粉体表面に吸着・析出させる、所謂、センシタイザーやアクチベーターなどを行ってもよい。
また、亜臨界流体や超臨界流体を用いためっき法を用いても良い。亜臨界流体は未だ学術的に物質の状態の定義が不明確な点が多いが、液体と超臨界流体との間に存在するとされている。その特性は、実験的に強い酸化性が付与できるとされ、本発明においては、粉体表面が亜臨界流体の酸化性により活性化させ、粉体とめっき皮膜(金属皮膜)との密着性が向上する。
一方、超臨界流体は、流体(溶媒)の臨界点以上の温度と圧力下での物質の状態で、その特性として気体の拡散性と液体の溶解性の両方を有している(例えば二酸化炭素は、温度31.1℃以上、圧力7.38MPa以上で超臨界流体となる)。超臨界流体を用いることにより、粉体内部へのめっき液のナノレベルの浸透性(拡散性)が向上し、粉体内部へ浸透(拡散)しためっき液が反応しめっき皮膜を析出するため、粉体とめっき皮膜(金属皮膜)との密着性が優れている。所謂、ナノレベルでのアンカー効果により密着性が向上する。超臨界流体を用いためっき法は、少なくとも下記のいずれかの工程からなる。
1.超臨界二酸化炭素雰囲気内でパラジウム金属錯体(コロイド金属)を粉体内部へ浸透、吸着させる工程。
2.超臨界二酸化炭素雰囲気内で無電解めっき液を粉体内部(及び粉体表面)へ浸透させた後、還元反応(又は置換反応)によりめっき皮膜(金属皮膜)を形成させる工程。
前記無電解めっき液において、表面張力を低下させ、超臨界二酸化炭素に対する親和性を高める目的で、めっき液にエタノールなどのアルコール類を添加しても良い。その添加量は適宜であるが、めっき液に対して50重量%位添加(混合)すれば良い。
【0009】
金属皮膜の膜厚は、均一でなくてもよいが、粉体表面全体を被覆する必要がある(ただし粉体表面が一部被覆されない数十ナノレベル以下の金属皮膜の欠陥は、焼結工程での金属皮膜の溶融・再結晶化で修復される)。具体的には、0.01μm以上の膜厚であればよい。また、金属皮膜の膜厚に関しては、金属炭化物粉体及び/又は金属酸化物粉体の形状や大きさなどの要因で適宜変えることができ、金属炭化物粉体及び/又は金属酸化物粉体が最密構造を形成したときの空間(体積比)以上あるように設定すればよい。
【0010】
金属皮膜を形成した金属炭化物粉体及び/又は金属酸化物粉体を焼結する方法としては、熱プラズマ焼結法やマイクロ波焼結法やミリ波焼結法などの無加圧焼結法、ホットプレス焼結法や放電プラズマ焼結法や超高電圧焼結や熱間等方圧加圧焼結法や高圧ガス反応焼結法などの加圧焼結法が用いられる。焼結合金における欠陥を極力なくすためには加圧焼結法がよく、特に放電プラズマ焼結法は、粉体が自己発熱し表面の金属皮膜への熱の伝わりがよいことから好適に使用できる。
【発明の効果】
【0011】
本発明は、バインダー金属を使用せず表面に金属皮膜を形成した金属炭化物粉体及び/又は金属酸化物粉体を焼結したボールを用いることで、バインダー金属の偏析を防止することができ、また、金属皮膜をニッケル合金とすることで酸性を呈するインキ(アルカリ性が酸性に変化したインキ)中でのバインダー金属の溶出がなく、ボール表面の腐食を抑制でき、書き味の滑らかさを低下することを極力防止できるものである。
さらに前記ニッケル合金が、ニッケルと少なくともホウ素との合金(Ni−B、Ni−P−B、Ni−B−C、Ni−P−B−Cなど)を用いることで、他のニッケル合金より硬度が高くなり耐摩耗性の向上も付加でき、炭素がナノカーボン粉体やナノダイヤ粉体などの粒子径がナノサイズであるとボール表面に数ナノサイズ以下の凹凸が形成でき筆記面との接触面積を低下させ滑らかな書き味も付加できる。
さらに金属皮膜を超臨界流体を用いためっき法で形成することにより、金属皮膜が金属炭化物粉体及び/又は金属酸化物粉体の表面のみならず表面近郊の内部に析出させることで金属皮膜の欠陥(金属皮膜が形成させない箇所)が少なくなり、ボール表面の腐食を抑制でき、書き味の滑らかさを低下することを極力防止できるものである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明は、少なくとも表面に金属皮膜を形成した金属炭化物粉体及び/又は金属酸化物粉体を焼結しボールペン用ボールとすることで、長期的な経時で変化するインキにおいてもボールの腐食がなく、書き味の低下を防止した。
【0013】
(実施例1)
<焼結材料の作成>
炭化タングステン粉体(WC15;(株)アライドマテリアル製)を公知の方法(センシタイザー−アクチベータ法)により粉体表面を活性化させ、次にこの活性化した粉体を無電解ニッケル−リンめっき液(ブルーシューマー;日本カニゼン(株)製)を用いて、浴温95℃の条件で1分間処理し、粉体表面に膜厚0.4μmのニッケル−リン合金を被覆した炭化タングステン粉体を得た。
<焼結合金の作成>
前記ニッケル−リン合金を被覆した炭化タングステン粉体を内部が球状の金型に投入し、放電プラズマ焼結法にてφ0.8mmの球状焼結合金を得た。
なお、放電プラズマ焼結は、放電プラズマ焼結装置(SPS−1050;SPSシンテックス(株)製)を用いて、焼結圧力15MPa,on−off時間100ms,短形波直流パルス電流100Aの条件で900sの予備焼結を行った後、焼結圧力を40MPaに上げ焼結温度が1500℃になるように連続パルス通電を600s間行った。
<ボールペン用ボールの作成>
前記球状焼結合金の表面を鏡面研磨し、φ0.7mmのボールペン用ボールを得た。
【0014】
(実施例2)
<焼結材料の作成>
炭化タングステン粉体(WC15;(株)アライドマテリアル製)を公知の方法(センシタイザー−アクチベータ法)により粉体表面を活性化させ、次に、この活性化した粉体を無電解ニッケル−ホウ素めっき液(SFB−26;日本カニゼン(株)製)を用いて、浴温60℃の条件で5分間処理し、粉体表面に膜厚0.4μmのニッケル−ホウ素合金を被覆した炭化タングステン粉体を得た。
<焼結合金の作成>
前記ニッケル−ホウ素合金を被覆した炭化タングステン粉体を内部が球状の金型に投入し、放電プラズマ焼結法にてφ0.8mmの球状焼結合金を得た。
なお、放電プラズマ焼結は、放電プラズマ焼結装置(SPS−1050;SPSシンテックス(株)製)を用いて、焼結圧力15MPa,on−off時間100ms,短形波直流パルス電流100Aの条件で900sの予備焼結を行った後、焼結圧力を40MPaに上げ焼結温度が1500℃になるように連続パルス通電を600s間行った。
<ボールペン用ボールの作成>
前記球状焼結合金の表面を鏡面研磨し、φ0.7mmのボールペン用ボールを得た。
【0015】
(実施例3)
<焼結材料の作成>
炭化タングステン粉体(WC15;(株)アライドマテリアル製)を公知の方法(センシタイザー−アクチベータ法)により粉体表面を活性化させ、次にこの活性化した粉体を無電解ニッケル−リン−ホウ素めっき液(SKB−230;日本カニゼン(株)製)を用いて、浴温82℃の条件で1分間処理し、粉体表面に膜厚0.4μmのニッケル−リン−ホウ素合金を被覆した炭化タングステン粉体を得た。
<焼結合金の作成>
前記ニッケル−リン−ホウ素合金を被覆した炭化タングステン粉体を内部が球状の金型に投入し、放電プラズマ焼結法にてφ0.8mmの球状焼結合金を得た。
なお、放電プラズマ焼結は、放電プラズマ焼結装置(SPS−1050;SPSシンテックス(株)製)を用いて、焼結圧力15MPa,on−off時間100ms,短形波直流パルス電流100Aの条件で900sの予備焼結を行った後、焼結圧力を40MPaに上げ焼結温度が1500℃になるように連続パルス通電を600s間行った。
<ボールペン用ボールの作成>
前記球状焼結合金の表面を鏡面研磨し、φ0.7mmのボールペン用ボールを得た。
【0016】
(実施例4)
実施例3の炭化タングステン粉体を炭化チタニウム粉体(OP10;(株)アライドマテリアル製)に変更した以外は実施例1と同様な方法にてφ0.7mmのボールペン用ボールを得た。
【0017】
(実施例5)
実施例3の炭化タングステン粉体を酸化ジルコニウム粉体(EP酸化ジルコニウム;第一稀元素化学工業(株)製)に変更した以外は実施例1と同様な方法にてφ0.7mmのボールペン用ボールを得た。
【0018】
(実施例6)
実施例3のニッケル−リン−ホウ素合金を被覆した炭化タングステン粉体と実施例5のニッケル−リン−ホウ素合金を被覆した酸化ジルコニウム粉体を重量比で1:1に混合したニッケル−リン−ホウ素合金を被覆した混合粉体に変更した以外は実施例1と同様な方法にてφ0.7mmのボールペン用ボールを得た。
【0019】
(実施例7)
<焼結材料の作成>
炭化タングステン粉体(WC15;(株)アライドマテリアル製)を公知の方法(センシタイザー−アクチベータ法)により粉体表面を活性化させ、次にこの活性化した粉体を無電解ニッケル−リンめっき液(ブルーシューマー;日本カニゼン(株)製)にナノダイヤモンド粉体(商品名:uDiamond Blend エア・ブラウン株式会社製)をめっき液全量に対して5wt%添加し、攪拌分散したニッケル−リン−炭素合金めっき液(Ni−P−C合金めっき液)を用いて、浴温95℃の条件で1分間処理し、粉体表面に膜厚0.4μmのニッケル−リン−炭素合金を被覆した炭化タングステン粉体を得た。
<焼結合金の作成>
前記ニッケル−リン−炭素合金を被覆した炭化タングステン粉体を内部が球状の金型に投入し、放電プラズマ焼結法にてφ0.8mmの球状焼結合金を得た。
なお、放電プラズマ焼結は、放電プラズマ焼結装置(SPS−1050;SPSシンテックス(株)製)を用いて、焼結圧力15MPa,on−off時間100ms,短形波直流パルス電流100Aの条件で900sの予備焼結を行った後、焼結圧力を40MPaに上げ焼結温度が1500℃になるように連続パルス通電を600s間行った。
<ボールペン用ボールの作成>
前記球状焼結合金の表面を鏡面研磨し、φ0.7mmのボールペン用ボールを得た。
【0020】
(実施例8)
<焼結材料の作成>
炭化タングステン粉体(WC15;(株)アライドマテリアル製)を公知の方法(センシタイザー−アクチベータ法)により粉体表面を活性化させ、次に、この活性化した粉体を無電解ニッケル−ホウ素めっき液(SFB−26;日本カニゼン(株)製)にナノダイヤモンド粉体(商品名:uDiamond Blend エア・ブラウン株式会社製)をめっき液全量に対して5wt%添加し、攪拌分散したニッケル−ホウ素−炭素合金めっき液(Ni−B−C合金めっき液)を用いて、浴温60℃の条件で5分間処理し、粉体表面に膜厚0.4μmのニッケル−ホウ素−炭素合金を被覆した炭化タングステン粉体を得た。
<焼結合金の作成>
前記ニッケル−ホウ素−炭素合金を被覆した炭化タングステン粉体を内部が球状の金型に投入し、放電プラズマ焼結法にてφ0.8mmの球状焼結合金を得た。
なお、放電プラズマ焼結は、放電プラズマ焼結装置(SPS−1050;SPSシンテックス(株)製)を用いて、焼結圧力15MPa,on−off時間100ms,短形波直流パルス電流100Aの条件で900sの予備焼結を行った後、焼結圧力を40MPaに上げ焼結温度が1500℃になるように連続パルス通電を600s間行った。
<ボールペン用ボールの作成>
前記球状焼結合金の表面を鏡面研磨し、φ0.7mmのボールペン用ボールを得た。
【0021】
(実施例9)
<焼結材料の作成>
炭化タングステン粉体(WC15;(株)アライドマテリアル製)を公知の方法(センシタイザー−アクチベータ法)により粉体表面を活性化させ、次にこの活性化した粉体を無電解ニッケル−リン−ホウ素めっき液(SKB−230;日本カニゼン(株)製)にナノダイヤモンド粉体(商品名:uDiamond Blend エア・ブラウン株式会社製)をめっき液全量に対して5wt%添加し、攪拌分散したニッケル−リン−ホウ素−炭素合金めっき液(Ni−P−B−C合金めっき液)を用いて、浴温82℃の条件で1分間処理し、粉体表面に膜厚0.4μmのニッケル−リン−ホウ素−炭素合金を被覆した炭化タングステン粉体を得た。
<焼結合金の作成>
前記ニッケル−リン−ホウ素−炭素合金を被覆した炭化タングステン粉体を内部が球状の金型に投入し、放電プラズマ焼結法にてφ0.8mmの球状焼結合金を得た。
なお、放電プラズマ焼結は、放電プラズマ焼結装置(SPS−1050;SPSシンテックス(株)製)を用いて、焼結圧力15MPa,on−off時間100ms,短形波直流パルス電流100Aの条件で900sの予備焼結を行った後、焼結圧力を40MPaに上げ焼結温度が1500℃になるように連続パルス通電を600s間行った。
<ボールペン用ボールの作成>
前記球状焼結合金の表面を鏡面研磨し、φ0.7mmのボールペン用ボールを得た。
【0022】
(実施例10)
<焼結材料の作成>
炭化タングステン粉体(WC15;(株)アライドマテリアル製)を公知の方法(センシタイザー−アクチベータ法)により粉体表面を活性化させ、次にこの活性化した粉体を無電解ニッケル−リンめっき液(ブルーシューマー;日本カニゼン(株)製)にエタノールを50重量%添加しためっき液を用いて、80℃の高圧容器内で超臨界二酸化炭素導入し、15MPaの圧力下で粉体表面に膜厚0.4μmのニッケル−リン合金を被覆した炭化タングステン粉体を得た。
<焼結合金の作成>
前記ニッケル−リン合金を被覆した炭化タングステン粉体を内部が球状の金型に投入し、放電プラズマ焼結法にて球状焼結合金を得た。
なお、放電プラズマ焼結は、放電プラズマ焼結装置(SPS−1050;SPSシンテックス(株)製)を用いて、焼結圧力15MPa,on−off時間100ms,短形波直流パルス電流100Aの条件で900sの予備焼結を行った後、焼結圧力を40MPaに上げ焼結温度が1500℃になるように連続パルス通電を600s間行った。
<ボールペン用ボールの作成>
前記球状焼結合金の表面を鏡面研磨し、φ0.7mmのボールペン用ボールを得た。
【0023】
(実施例11)
<焼結材料の作成>
炭化タングステン粉体(WC15;(株)アライドマテリアル製)をパラジウム金属錯体(パラジウム(II)ヘキサフルオロアセチルアセトナート;SIGMA−ALDRICH社製)と高圧容器内で、温度150℃、圧力15MPaの条件で、超臨界二酸化炭素を導入し、粉体表面を活性化させた。次にこの活性化した粉体を無電解ニッケル−リンめっき液(ブルーシューマー;日本カニゼン(株)製)にエタノールを50重量%添加し、80℃の高圧容器内で超臨界二酸化炭素導入し、15MPaの圧力下で粉体表面に膜厚0.4μmのニッケル−リン合金を被覆した炭化タングステン粉体を得た。
<焼結合金の作成>
前記ニッケル−リン合金を被覆した炭化タングステン粉体を内部が球状の金型に投入し、放電プラズマ焼結法にて球状焼結合金を得た。
なお、放電プラズマ焼結は、放電プラズマ焼結装置(SPS−1050;SPSシンテックス(株)製)を用いて、焼結圧力15MPa,on−off時間100ms,短形波直流パルス電流100Aの条件で900sの予備焼結を行った後、焼結圧力を40MPaに上げ焼結温度が1500℃になるように連続パルス通電を600s間行った。
<ボールペン用ボールの作成>
前記球状焼結合金の表面を鏡面研磨し、φ0.7mmのボールペン用ボールを得た。
【0024】
(実施例12)
<焼結材料の作成>
炭化タングステン粉体(WC15;(株)アライドマテリアル製)をアンモニウム末端ハイパーブランチポリマーを安定化剤とした金属パラジウム超微粒子(MC−001;日産化学工業(株)製)と高圧容器内で、温度150℃、圧力15MPaの条件で、超臨界二酸化炭素を導入し、粉体表面を活性化させた。次にこの活性化した粉体を無電解ニッケル−リンめっき液(ブルーシューマー;日本カニゼン(株)製)にエタノールを50重量%添加し、80℃の高圧容器内で超臨界二酸化炭素導入し、15MPaの圧力下で粉体表面に膜厚0.4μmのニッケル−リン合金を被覆した炭化タングステン粉体を得た。
<焼結合金の作成>
前記ニッケル−リン合金を被覆した炭化タングステン粉体を内部が球状の金型に投入し、放電プラズマ焼結法にて球状焼結合金を得た。
なお、放電プラズマ焼結は、放電プラズマ焼結装置(SPS−1050;SPSシンテックス(株)製)を用いて、焼結圧力15MPa,on−off時間100ms,短形波直流パルス電流100Aの条件で900sの予備焼結を行った後、焼結圧力を40MPaに上げ焼結温度が1500℃になるように連続パルス通電を600s間行った。
<ボールペン用ボールの作成>
前記球状焼結合金の表面を鏡面研磨し、φ0.7mmのボールペン用ボールを得た。
【0025】
(実施例13)
<焼結材料の作成>
炭化タングステン粉体(WC15;(株)アライドマテリアル製)をパラジウム金属錯体(パラジウム(II)ヘキサフルオロアセチルアセトナート;SIGMA−ALDRICH社製)と高圧容器内で、温度150℃、圧力15MPaの条件で、超臨界二酸化炭素を導入し、粉体表面を活性化させた。次にこの活性化した粉体を無電解ニッケル−ホウ素めっき液(SFB−26;日本カニゼン(株)製)にエタノールを50重量%添加し、80℃の高圧容器内で超臨界二酸化炭素導入し、15MPaの圧力下で粉体表面に膜厚0.4μmのニッケル−リン合金を被覆した炭化タングステン粉体を得た。
<焼結合金の作成>
前記ニッケル−ホウ素合金を被覆した炭化タングステン粉体を内部が球状の金型に投入し、放電プラズマ焼結法にて球状焼結合金を得た。
なお、放電プラズマ焼結は、放電プラズマ焼結装置(SPS−1050;SPSシンテックス(株)製)を用いて、焼結圧力15MPa,on−off時間100ms,短形波直流パルス電流100Aの条件で900sの予備焼結を行った後、焼結圧力を40MPaに上げ焼結温度が1500℃になるように連続パルス通電を600s間行った。
<ボールペン用ボールの作成>
前記球状焼結合金の表面を鏡面研磨し、φ0.7mmのボールペン用ボールを得た。
【0026】
(実施例14)
<焼結材料の作成>
炭化タングステン粉体(WC15;(株)アライドマテリアル製)をパラジウム金属錯体(パラジウム(II)ヘキサフルオロアセチルアセトナート;SIGMA−ALDRICH社製)と高圧容器内で、温度150℃、圧力15MPaの条件で、超臨界二酸化炭素を導入し、粉体表面を活性化させた。次にこの活性化した粉体を無電解ニッケル−リン−ホウ素めっき液(SKB−230;日本カニゼン(株)製)にエタノールを50重量%添加し、80℃の高圧容器内で超臨界二酸化炭素導入し、15MPaの圧力下で粉体表面に膜厚0.4μmのニッケル−リン合金を被覆した炭化タングステン粉体を得た。
<焼結合金の作成>
前記ニッケル−リン−ホウ素合金を被覆した炭化タングステン粉体を内部が球状の金型に投入し、放電プラズマ焼結法にてφ0.8mmの球状焼結合金を得た。
なお、放電プラズマ焼結は、放電プラズマ焼結装置(SPS−1050;SPSシンテックス(株)製)を用いて、焼結圧力15MPa,on−off時間100ms,短形波直流パルス電流100Aの条件で900sの予備焼結を行った後、焼結圧力を40MPaに上げ焼結温度が1500℃になるように連続パルス通電を600s間行った。
<ボールペン用ボールの作成>
前記球状焼結合金の表面を鏡面研磨し、φ0.7mmのボールペン用ボールを得た。
【0027】
(実施例15)
実施例14の炭化タングステン粉体を炭化チタニウム粉体(OP10;(株)アライドマテリアル製)に変更した以外は実施例14と同様な方法にてφ0.7mmのボールペン用ボールを得た。
【0028】
(実施例16)
実施例14の炭化タングステン粉体を酸化ジルコニウム粉体(EP酸化ジルコニウム;第一稀元素化学工業(株)製)に変更した以外は実施例14と同様な方法にてφ0.7mmのボールペン用ボールを得た。
【0029】
(実施例17)
実施例14のニッケル−リン−ホウ素合金を被覆した炭化タングステン粉体と実施例7のニッケル−リン−ホウ素合金を被覆した酸化ジルコニウム粉体を重量比で1:1に混合したニッケル−リン−ホウ素合金を被覆した混合粉体に変更した以外は実施例14と同様な方法にてφ0.7mmのボールペン用ボールを得た。
【0030】
(実施例18)
<焼結材料の作成>
炭化タングステン粉体(WC15;(株)アライドマテリアル製)を公知の方法(センシタイザー−アクチベータ法)により粉体表面を活性化させた。次にこの活性化した粉体を無電解ニッケル−リン−ホウ素めっき液(SKB−230;日本カニゼン(株)製)にエタノールを50重量%添加し、25℃の高圧容器内で亜臨界二酸化炭素導入し、6MPaの圧力下で粉体表面に膜厚0.4μmのニッケル−リン合金を被覆した炭化タングステン粉体を得た。
<焼結合金の作成>
前記ニッケル−リン−ホウ素合金を被覆した炭化タングステン粉体を内部が球状の金型に投入し、放電プラズマ焼結法にてφ0.8mmの球状焼結合金を得た。
なお、放電プラズマ焼結は、放電プラズマ焼結装置(SPS−1050;SPSシンテックス(株)製)を用いて、焼結圧力15MPa,on−off時間100ms,短形波直流パルス電流100Aの条件で900sの予備焼結を行った後、焼結圧力を40MPaに上げ焼結温度が1500℃になるように連続パルス通電を600s間行った。
<ボールペン用ボールの作成>
前記球状焼結合金の表面を鏡面研磨し、φ0.7mmのボールペン用ボールを得た。
【0031】
(実施例19)
<焼結材料の作成>
炭化タングステン粉体(WC15;(株)アライドマテリアル製)をパラジウム金属錯体(パラジウム(II)ヘキサフルオロアセチルアセトナート;SIGMA−ALDRICH社製)と高圧容器内で、温度150℃、圧力15MPaの条件で、超臨界二酸化炭素を導入し、粉体表面を活性化させた。次にこの活性化した粉体を無電解ニッケル−リン−ホウ素めっき液(SKB−230;日本カニゼン(株)製)にエタノールを50重量%添加し、25℃の高圧容器内で亜臨界二酸化炭素導入し、6MPaの圧力下で粉体表面に膜厚0.4μmのニッケル−リン合金を被覆した炭化タングステン粉体を得た。
<焼結合金の作成>
前記ニッケル−リン−ホウ素合金を被覆した炭化タングステン粉体を内部が球状の金型に投入し、放電プラズマ焼結法にてφ0.8mmの球状焼結合金を得た。
なお、放電プラズマ焼結は、放電プラズマ焼結装置(SPS−1050;SPSシンテックス(株)製)を用いて、焼結圧力15MPa,on−off時間100ms,短形波直流パルス電流100Aの条件で900sの予備焼結を行った後、焼結圧力を40MPaに上げ焼結温度が1500℃になるように連続パルス通電を600s間行った。
<ボールペン用ボールの作成>
前記球状焼結合金の表面を鏡面研磨し、φ0.7mmのボールペン用ボールを得た。
【0032】
(実施例20)
<焼結材料の作成>
炭化タングステン粉体(WC15;(株)アライドマテリアル製)を公知の方法(センシタイザー−アクチベータ法)により粉体表面を活性化させ、次にこの活性化した粉体を無電解ニッケル−リンめっき液(ブルーシューマー;日本カニゼン(株)製)にナノダイヤモンド粉体(商品名:uDiamond Blend エア・ブラウン株式会社製)をめっき液全量に対して5wt%添加し、さらにエタノールを50重量%添加したニッケル−リン−炭素合金めっき液を用いて、80℃の高圧容器内で超臨界二酸化炭素導入し、15MPaの圧力下で粉体表面に膜厚0.4μmのニッケル−リン−炭素合金を被覆した炭化タングステン粉体を得た。
<焼結合金の作成>
前記ニッケル−リン−炭素合金を被覆した炭化タングステン粉体を内部が球状の金型に投入し、放電プラズマ焼結法にて球状焼結合金を得た。
なお、放電プラズマ焼結は、放電プラズマ焼結装置(SPS−1050;SPSシンテックス(株)製)を用いて、焼結圧力15MPa,on−off時間100ms,短形波直流パルス電流100Aの条件で900sの予備焼結を行った後、焼結圧力を40MPaに上げ焼結温度が1500℃になるように連続パルス通電を600s間行った。
<ボールペン用ボールの作成>
前記球状焼結合金の表面を鏡面研磨し、φ0.7mmのボールペン用ボールを得た。
【0033】
(実施例21)
<焼結材料の作成>
炭化タングステン粉体(WC15;(株)アライドマテリアル製)をパラジウム金属錯体(パラジウム(II)ヘキサフルオロアセチルアセトナート;SIGMA−ALDRICH社製)と高圧容器内で、温度150℃、圧力15MPaの条件で、超臨界二酸化炭素を導入し、粉体表面を活性化させた。次にこの活性化した粉体を無電解ニッケル−リンめっき液(ブルーシューマー;日本カニゼン(株)製)にナノダイヤモンド粉体(商品名:uDiamond Blend エア・ブラウン株式会社製)をめっき液全量に対して5wt%添加し、さらにエタノールを50重量%添加し、80℃の高圧容器内で超臨界二酸化炭素導入し、15MPaの圧力下で粉体表面に膜厚0.4μmのニッケル−リン−炭素合金を被覆した炭化タングステン粉体を得た。
<焼結合金の作成>
前記ニッケル−リン−炭素合金を被覆した炭化タングステン粉体を内部が球状の金型に投入し、放電プラズマ焼結法にて球状焼結合金を得た。
なお、放電プラズマ焼結は、放電プラズマ焼結装置(SPS−1050;SPSシンテックス(株)製)を用いて、焼結圧力15MPa,on−off時間100ms,短形波直流パルス電流100Aの条件で900sの予備焼結を行った後、焼結圧力を40MPaに上げ焼結温度が1500℃になるように連続パルス通電を600s間行った。
<ボールペン用ボールの作成>
前記球状焼結合金の表面を鏡面研磨し、φ0.7mmのボールペン用ボールを得た。
【0034】
(実施例22)
<焼結材料の作成>
炭化タングステン粉体(WC15;(株)アライドマテリアル製)をアンモニウム末端ハイパーブランチポリマーを安定化剤とした金属パラジウム超微粒子(MC−001;日産化学工業(株)製)と高圧容器内で、温度150℃、圧力15MPaの条件で、超臨界二酸化炭素を導入し、粉体表面を活性化させた。次にこの活性化した粉体を無電解ニッケル−リンめっき液(ブルーシューマー;日本カニゼン(株)製)にナノダイヤモンド粉体(商品名:uDiamond Blend エア・ブラウン株式会社製)をめっき液全量に対して5wt%添加し、さらにエタノールを50重量%添加し、80℃の高圧容器内で超臨界二酸化炭素導入し、15MPaの圧力下で粉体表面に膜厚0.4μmのニッケル−リン−炭素合金を被覆した炭化タングステン粉体を得た。
<焼結合金の作成>
前記ニッケル−リン−炭素合金を被覆した炭化タングステン粉体を内部が球状の金型に投入し、放電プラズマ焼結法にて球状焼結合金を得た。
なお、放電プラズマ焼結は、放電プラズマ焼結装置(SPS−1050;SPSシンテックス(株)製)を用いて、焼結圧力15MPa,on−off時間100ms,短形波直流パルス電流100Aの条件で900sの予備焼結を行った後、焼結圧力を40MPaに上げ焼結温度が1500℃になるように連続パルス通電を600s間行った。
<ボールペン用ボールの作成>
前記球状焼結合金の表面を鏡面研磨し、φ0.7mmのボールペン用ボールを得た。
【0035】
(実施例23)
<焼結材料の作成>
炭化タングステン粉体(WC15;(株)アライドマテリアル製)をパラジウム金属錯体(パラジウム(II)ヘキサフルオロアセチルアセトナート;SIGMA−ALDRICH社製)と高圧容器内で、温度150℃、圧力15MPaの条件で、超臨界二酸化炭素を導入し、粉体表面を活性化させた。次にこの活性化した粉体を無電解ニッケル−ホウ素−炭素めっき液(SFB−26;日本カニゼン(株)製)にナノダイヤモンド粉体(商品名:uDiamond Blend エア・ブラウン株式会社製)をめっき液全量に対して5wt%添加し、さらにエタノールを50重量%添加し、80℃の高圧容器内で超臨界二酸化炭素導入し、15MPaの圧力下で粉体表面に膜厚0.4μmのニッケル−リン合金を被覆した炭化タングステン粉体を得た。
<焼結合金の作成>
前記ニッケル−ホウ素−炭素合金を被覆した炭化タングステン粉体を内部が球状の金型に投入し、放電プラズマ焼結法にて球状焼結合金を得た。
なお、放電プラズマ焼結は、放電プラズマ焼結装置(SPS−1050;SPSシンテックス(株)製)を用いて、焼結圧力15MPa,on−off時間100ms,短形波直流パルス電流100Aの条件で900sの予備焼結を行った後、焼結圧力を40MPaに上げ焼結温度が1500℃になるように連続パルス通電を600s間行った。
<ボールペン用ボールの作成>
前記球状焼結合金の表面を鏡面研磨し、φ0.7mmのボールペン用ボールを得た。
【0036】
(実施例24)
<焼結材料の作成>
炭化タングステン粉体(WC15;(株)アライドマテリアル製)をパラジウム金属錯体(パラジウム(II)ヘキサフルオロアセチルアセトナート;SIGMA−ALDRICH社製)と高圧容器内で、温度150℃、圧力15MPaの条件で、超臨界二酸化炭素を導入し、粉体表面を活性化させた。次にこの活性化した粉体を無電解ニッケル−リン−ホウ素−炭素めっき液(SKB−230;日本カニゼン(株)製)にナノダイヤモンド粉体(商品名:uDiamond Blend エア・ブラウン株式会社製)をめっき液全量に対して5wt%添加し、さらにエタノールを50重量%添加し、80℃の高圧容器内で超臨界二酸化炭素導入し、15MPaの圧力下で粉体表面に膜厚0.4μmのニッケル−リン合金を被覆した炭化タングステン粉体を得た。
<焼結合金の作成>
前記ニッケル−リン−ホウ素−炭素合金を被覆した炭化タングステン粉体を内部が球状の金型に投入し、放電プラズマ焼結法にてφ0.8mmの球状焼結合金を得た。
なお、放電プラズマ焼結は、放電プラズマ焼結装置(SPS−1050;SPSシンテックス(株)製)を用いて、焼結圧力15MPa,on−off時間100ms,短形波直流パルス電流100Aの条件で900sの予備焼結を行った後、焼結圧力を40MPaに上げ焼結温度が1500℃になるように連続パルス通電を600s間行った。
<ボールペン用ボールの作成>
前記球状焼結合金の表面を鏡面研磨し、φ0.7mmのボールペン用ボールを得た。
【0037】
(比較例1)
バインダー金属としてコバルトとクロムを使用した炭化タングステンのボールペン用ボール(φ0.7mm PB−11;(株)ツバキナカシマ製)を用いた。
【0038】
実施例1〜8及び比較例1のボールペン用ボールを、水性ゲルインキボールペン(BL77;ぺんてる(株)製)のボールペンチップとして組み込み、評価用インキと組み合わせ評価用ボールペンとした。
【0039】
<評価用インキ(水性ゲルインキ)>
Water Blue 9(C.I.AcidBlue1、オリエント化学工業(株)製)
4.2wt%
ダイワレッド106WB(C.I.AcidRed52、ダイワ化成(株)製)
0.6wt%
エチレングリコール 10.0wt%
ジエチレングリコール 8.0wt%
プロクセルGXL(1,2−ベンゾイソチアゾリン−3−オンの20%ジプロピレングリコール溶液、ICIジャパン(株)製) 0.2wt%
サルコシネートOH(オレオイルサルコシン、日光ケミカルズ(株)製) 1.0wt%
ケルザンAR(キサンタンガム、三晶(株)製) 0.3wt%
ハイドロキノンスルホン酸カリウム 0.5wt%
水 75.2wt%
評価用インキは、前記ケルザンARの量に対して水を50wt%攪拌しながら加えプロペラ攪拌機で1時間攪拌してケルザンAR水溶溶液とし、次にこのケルザンAR水溶液と残りの前記成分を混合し均一になるまでさらに1時間攪拌した。pHの調整は、トリエタノールアミンでpH を8.5に調整し、その後1μm糸巻きフィルターでろ過し、粘度が800mPa・sの評価用インキ(青色)を得た。
【0040】
<ボール腐食の有無>
ボール腐食の有無は、初期状態のボールと経時後のボールのボール表面粗さを測定し確認した。なお、経時は、評価用ボールペンを温度50℃,湿度30%の環境下で、ペン先を下向きにして90日間放置した。
また、ボール表面粗さの測定は、走査型プローブ顕微鏡(SPI−400;(株)セイコーインスツルーメント製)を用いて、任意の20μm×20μmの表面粗さ(算術平均粗さRa)とした。
【0041】
<書き味の評価(滑らかさの評価)>
書き味の評価は、初期と経時後の評価用ボールペンを自動筆記装置(ぺんてる(株)製)にて、筆記荷重100g、筆記速度2mm/s、筆記角度70°の条件で直線筆記し、筆記方向にかかる荷重(筆記抵抗値)を測定した。なお、経時は、評価用ボールペンを温度50℃,湿度30%の環境下で、ペン先を下向きにして90日間放置した。
【0042】
各実施例、比較例、並びに、評価をまとめものを表1に示す。
【0043】
【表1】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも表面に金属皮膜を形成した金属炭化物粉体及び/又は金属酸化物粉体を焼結したことを特徴とするボールペン用ボール。
【請求項2】
前記金属皮膜がニッケルを主成分とする合金であることを特徴とする請求項1記載のボールペン用ボール。
【請求項3】
前記ニッケルを主成分とする合金が、リン(P)、ホウ素(B)、炭素(C)から選択される2種以上とのニッケル合金であることを特徴とする請求項2記載のボールペン用ボール。
【請求項4】
前記炭素(C)が、超微粒子炭素粉体であることを特徴とする請求項3記載のボールペン用ボール。
【請求項5】
前記金属炭化物粉体が、炭化タングステン粉体であることを特徴とする請求項1記載のボールペン用ボール。
【請求項6】
前記焼結が、放電プラズマ焼結法であることを特徴とする請求項1記載のボールペン用ボール。
【請求項7】
少なくとも表面に金属皮膜を形成した金属炭化物粉体及び/又は金属酸化物粉体を焼結したボールペン用ボールにおいて、前記金属皮膜を超臨界流体を用いためっき法及び/又は無電解めっき法で形成することを特徴とするボールペン用ボールの製造方法。

【公開番号】特開2013−99920(P2013−99920A)
【公開日】平成25年5月23日(2013.5.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−58057(P2012−58057)
【出願日】平成24年3月15日(2012.3.15)
【出願人】(000005511)ぺんてる株式会社 (899)
【Fターム(参考)】