説明

ポリエステル系繊維の染色助剤

【目的】 通常のポリエステル系繊維だけでなく、新合繊ポリエステル(ファインデニ−ル,異収縮混繊ポリエステル)に対しても染色時使用することで、再現性良く均染な染色物が得られるポリエステル系繊維用染色助剤を得ること。
【構成】 ポリアルキレングリコ−ルの脂肪酸エステル、多環フェノ−ル類(環数4〜20)のアルキレンオキシド付加物の硫酸エステル塩およびヒンダ−ドフェノ−ル類からなるポリエステル系繊維の染色助剤。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ポリエステル系繊維の染色助剤に関する。更に詳しくは、ポリエステル系繊維を分散染料で染色するときに使用する染色助剤に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、ポリエステル系繊維の染色助剤としては、HLB6以上のポリオキシアルキレン系界面活性剤とヒンダ−ドフェノ−ル系化合物を含有してなるもの(特公昭55−4877号公報)、多価アルコ−ルのオキシアルキレンエ−テルとジカルボン酸および脂肪族モノカルボン酸との混合エステルからなるもの(特公平4−18070号公報)、スチレン化フェノ−ル類のアルキレンオキサイド付加物硫酸エステル塩(特公昭50−12036号公報)などが知られている。しかし、通常のポリエステル繊維の場合では、従来レベル以上の均染性と分散性が求められている。また、近年新合繊と総称されるファインデニ−ル、異収縮混繊糸からなるポリエステル系繊維を染色する場合、上記技術では良好な均染性が得られない。特公昭55−4877号公報には、HLB6以上のポリオキシアルキレン系界面活性剤とヒンダ−ドフェノ−ル系化合物にポリオキシアルキレンアルキルフェニルエ−テル硫酸エステル塩を併用しても良いとの記載があるが、この系では、通常のポリエステル繊維の場合は高レベル化に対応できず、新合繊の場合は均染性および分散性が不足する。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、通常のポリエステル繊維を染色する場合には近年の高レベル化に対応し、新合繊を染色する場合にも、染色時染浴中で染料に良好な分散性、移染性を付与して均染な染色物が得られ、かつ再現性が良好な染色助剤を得ることである。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記目的を達成するため、通常のポリエステル繊維には高レベル化に対応し、新合繊に対しても再現性良く均染性を付与する染色助剤について鋭意検討した結果、本発明に到達した。
【0005】すなわち本発明は、ポリアルキレングリコ−ルの高級脂肪酸エステル(A)、多環フェノ−ル類(環数4〜20)のアルキレンオキシド付加物の硫酸エステル塩(B)およびヒンダ−ドフェノ−ル類(C)からなるポリエステル系繊維の染色助剤である。
【0006】ポリアルキレングリコ−ルの高級脂肪酸エステル(A)を形成するポリアルキレングリコ−ルは、多価アルコ−ルにオキシアルキレン基を付加させたものである。多価アルコ−ルとしては、エチレングリコ−ル、プロピレングリコ−ルなどの2価アルコ−ル、グリセリン、トリメチロ−ルプロパンなどの3価アルコ−ル、ペンタエリスリト−ルなどの4価アルコ−ル、ソルビタン、ソルビト−ル、蔗糖などの4価以上のアルコ−ルなどがあげられる。多価アルコ−ルの中で好ましいのはエチレングリコ−ル、プロピレングリコ−ルなどの2価のアルコ−ルである。
【0007】オキシアルキレン基としては、オキシエチレン基、オキシプロピレン基、オキシブチレン基、オキシスチレン基およびこれらの混合物があげられる。好ましいものは、オキシエチレン基と、オキシエチレン基・オキシプロピレン基(ランダム型および/またはブロック型)である。
【0008】ポリアルキレングリコ−ルの平均分子量は通常200〜2,000好ましくは400〜1,000である。ポリアルキレングリコ−ルの平均分子量が200未満の場合および2,000を越える場合、いずれも染色時染料の移染性が低下し、染色物の均染性が低下する。
【0009】高級脂肪酸としては炭素数10〜22の飽和、不飽和の高級脂肪酸たとえばラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、イソステアリン酸、エルシン酸、オレイン酸、リノ−ル酸、リノレイン酸、リシノレン酸、牛脂脂肪酸、パ−ム油脂肪酸および大豆油脂肪酸などがあげられる。好ましいのはミリスチン酸、ステアリン酸、オレイン酸およびリノ−ル酸である。とくに好ましいものはステアリン酸およびオレイン酸である。
【0010】(A)は通常モノ〜トリエステルであり、好ましくはジエステルである。
【0011】多環フェノ−ル類(環数4〜20)のアルキレンオキシド付加物の硫酸エステル塩(B)を形成する多環フェノ−ル類(環数4〜20)としては、スチレン化フェノ−ル、スチレン化クレゾ−ル、α−メチルスチレン化フェノ−ルなどの単環フェノ−ル(フェノ−ル、アルキルフェノ−ル、多価フェノ−ル)にスチレン類(スチレン、α−メチルスチレンなど)を1〜19モル付加させたもの;スチレン化フェニルフェノ−ル、スチレン化クミルフェノ−ル、スチレン化ナフト−ル、α−メチルスチレン化フェニルフェノ−ルなどの多環フェノ−ルにスチレン類(スチレン、α−メチルスチレンなど)を1〜18モル付加させたものがあげられる。好ましいものは、スチレン化(3〜10モル)フェノ−ル、スチレン化(3〜10モル)クミルフェノ−ル、α−メチルスチレン化(3〜10モル)フェノ−ルである。
【0012】アルキレンオキシドとしては、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシド、スチレンオキシドおよびこれらの混合物等があげられる。好ましいものはエチレンオキシド、プロピレンオキシドおよびエチレンオキシド・プロピレンオキシド併用(ブロックおよびまたはランダム)である。アルキレンオキシドの付加モル数としては、通常3〜100好ましくは5〜50である。
【0013】(B)は上記の多環フェノ−ル類(環数4〜20)のアルキレンオキシド付加物を常法に従って、硫酸エステル化し、アルカリ性化合物で中和することおよびスルファミン酸アンモニウムなどと反応させることにより得られる。アルカリ性化合物としては、苛性ソ−ダ、苛性カリ、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、アンモニア、炭素数1〜5のアルキルアミン、モノエタノ−ルアミン、ジエタノ−ルアミン、トリエタノ−ルアミンなどがあげられ、好ましいものは苛性ソ−ダ、苛性カリ、アンモニアおよびモノエタノ−ルアミンである。
【0014】ヒンダ−ドフェノ−ル類(C)としては、6−tert−ブチル−2,4−キシレノ−ル、2−tert−ブチル−4−エチルフェノ−ル、2,6−ジ−tert−ブチル−4−エチルフェノ−ル、2,6−ジ−tert−ブチル−p−クレゾ−ル、2,6−ジ−tert−ブチルフェノ−ル、n−オクタデシル−3−(4’−ヒドロキシ−3,5’−ジ−tert−ブチルフェニル)プロピオネ−ト、ジオクタデシル−4−ヒドロキシ−3,5−ジ−tert−ブチルベンジルホスホネ−ト、ジエチル−4−ヒドロキシ−3,5−ジ−tert−ブチルベンジルホスホネ−トなどの単環式ヒンダ−ドフェノ−ル類;4,4’−チオビス(6−tert−ブチル−3−メチルフェノ−ル)、4,4’−ブチリデンビス(6−tert−ブチル−3−メチルフェノ−ル)、4,4’−メチレンビス(6−tert−ブチルフェノ−ル)、4,4’−ビス(2,6−ジ−tert−ブチルフェノ−ル),4,4’−チオビス(6−tert−ブチル−o−クレゾ−ル)、4,4’−メチレンビス(6−tert−ブチル−o−クレゾ−ル)、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−tert−ブチル−p−クレゾ−ル)、2,2’−チオビス(6−tert−ブチル−4−メチルフェノ−ル),1,6−ビス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−2−メチルフェニル)ブタンなどの二環式ヒンダ−ドフェノ−ル類;1,1,3−トリス(5−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−2−メチルフェニル)ブタン、2,4,6−トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)メシチレン、1,3,5−トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)メシチレン、1,3,5−トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)イソシアヌレ−ト、テトラキス[(β−3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシメチル]メタンなどの多環(三環以上)式ヒンダ−ドフェノ−ル類があげられる。これらのうち好ましいものは単環式ヒンダ−ドフェノ−ル類、二環式ヒンダ−ドフェノ−ル類であり、特に好ましいものは2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノ−ル、2,2’メチレンビス−(6−tert−ブチル−4−メチルフェノ−ル)、4,4’−ブチリデン−ビス(6−tert−ブチル−3−メチルフェノ−ル)、4,4’−チオビス(6− tert−ブチル−3−メチルフェノ−ル)である。
【0015】(A):(B):(C)の配合比は、重量比で1:(0.1〜2):(0.001〜0.1)、好ましくは1:(0.3〜1.5):(0.005〜0.05)である。(B)が0.1未満の場合染料分散性が不良となり、タ−リング発生の原因となる。2を越えると染料のポリエステル系繊維への移染性が不良となり、染色物での均染性が得られない。(C)が0.001未満の場合高温染浴中で染料分解が起こり、再現性良い染色物が得られない。0.1を越えると染料の分散性を阻害し、タ−リング発生の原因となる。
【0016】本発明の染色助剤には必要により染色キャリヤ−組成物(メチルナフタリン、クロルベンゼン、ベンジルベンゾエ−ト、o−フェニルフェノ−ルなどの乳化物)、消泡剤、糊剤等を含有させることもできる。
【0017】本発明の染色助剤は、ポリエステル系繊維を分散染料で高温染色するのに使用される。本発明におけるポリエステル系合成繊維としては、ポリエチレンテレフタレ−ト、ポリエチレンテレフタレ−ト・イソフタレ−ト、ポリエチレンテレフタレ−ト・パラオキシベンゾエ−ト、ポリエチレンテレフタレ−ト・ブチレンテレフタレ−トなどのポリエステル繊維からなる綿、糸、トウ、トップ、カセ、編織物、不織布などがあげられる。さらに上記ポリエステル繊維と他の天然、再生、半合成、合成繊維との混紡、交織織物等があげられる。
【0018】本発明における分散染料としては、アゾ染料、アントラキノン染料、ニトロジフェニルアミン染料、ナフタルイミド染料、メチン染料などからなる非イオン性の染料である。通常分散染料は、1ミクロン以下の微小粒子に微粉砕されておりナフタリンスルホン酸ソ−ダのホルマリン縮合物などの染料分散剤が配合されている。
【0019】本発明の染色助剤は、(A)、(B)および(C)を予め混合して染浴や捺染糊等(以下染浴で代表させる)に添加してもよく、それぞれを別々に染浴に添加してもよい。(A)、(B)および(C)を予め混合する場合は、安定した染色助剤とするために(A)、(B)以外の乳化剤や溶剤を添加してもよい。乳化剤としてはポリオキシエチレンアルキルアリルエ−テル、ポリオキシアルキレンアルキルエ−テルなどの非イオン系乳化剤が好ましい。溶剤としては、水、メタノ−ル、エタノ−ル、イソプロピルアルコ−ル、エチレングリコ−ル、エチレングリコ−ルエチルエ−テル、ジメチルホルムアミドなどの水溶性溶剤、キシレン、トルエン、n−ヘキサン、シクロヘキサンなどの非水性溶剤などがあげられる。
【0020】本発明の染色助剤の使用量は、固形分で染浴に対して通常0.05〜10g/l、好ましくは0.1〜5g/lである。分散染料の使用量は通常0.001〜20%o.w.f.である。浴比は通常(1:3)〜(1:50)である。本発明の染色助剤を使用して染色を行う方法は、通常の方法で行うことができ、浸染、捺染、連染などいずれの方法でも良い。ポリエステル繊維の浸染の一例を示せば、まず分散染料、本発明の染色助剤からなる染浴を作成し、pHを4〜6に調整し、繊維を入れ110〜140℃まで昇温し、高温高圧染色機を用いて染色する。染色時間は通常30分〜2時間である。染色後水洗、ソ−ピングあるいは必要に応じて還元洗浄を行い、染色物が得られる。
【0021】
【実施例】以下実施例により本発明をさらに説明するが本発明はこれに限定されるものではない。実施例中の部は重量部、%は重量%を示す。なお、試験方法は以下の通り。
【0022】〈均染性試験〉(1)移染性:下記染料で染色(130℃×60分,還元洗浄なし)した新合繊ポリエステル織布およびこれと同じ素材の未染色布を染色助剤0.5g/lの溶液中で浴比1:30,130℃×60分処理し、未染色布への染料の移行程度を比較した。
染料a:ダイアニックスブル−KB−FS(三菱化成製)2%o.w.f.
染料b:ダイアニックスレッドF3B−FS(三菱化成製)2%o.w.f.
(2)均染性:下記染料,染色条件で新合繊ポリエステル(東レ製)を染色し、各布(A,B,C,D:同重量)の染色濃度を比較した。
染料c:スミカロンレッドEF−BL(住友化学製)0.7%o.w.f.
レゾリンブル−FB−RS(バイエル製) 0.7%o.w.f.
パラニ−ルイエロ−3G(バディッシュ製)0.7%o.w.f.
染色助剤濃度 0.5g/l浴比 1:30(全布投入後)
pH 5(酢酸で調整)
温度×時間 常温から60℃に昇温し、60℃で布Aを投入し、90℃まで昇温(1℃/分)し、90℃で布Bを投入、さらに110℃ままで昇温(1℃/分)後、90℃まで降温し、布Cを投入、さ、さらに130℃まで昇温(1℃/分)後、90℃まで降温して布Dを投入し、再度130℃まで昇温(1℃/分)し、130℃で45分染色する。
染色機 カラ−マスタ−HD−24(辻井染機製)
【0023】〈分散性試験〉カラ−ペットホルダ−に新合繊ポリエステル織布(東レ製)を巻取り下記各染料,染色条件で染色し、ケ−シングスポットの発生状況を肉眼で観察することにより染料の凝集性を判定した。
染料d:ミケトンポリエステルオレンジBコンク(三井東圧製)3%o.w.f.
染料e:ダイアニックスタ−コイズブル−G−FS 2%o.w.f.
染色助剤濃度 0.5g/l浴比 1:30pH 5(酢酸で調整)
温度×時間 (1)60℃より1℃/分で昇温し、90℃になればホルダ−を取り出す。
(2)60℃より1℃/分で昇温し、110℃になれば90℃まで降温し、ホルダ−を取り出す。
染色機 カラ−ペット24(日本染色機械製)
【0024】〈消色性試験(再現性試験)〉新合繊ポリエステル(東レ製)を下記各染料,染色条件で染色し、色相差を肉眼判定した。
染料f:スミカロンブル−SE−PRO(住友化学製)0.05%o.w.f.
染料g:ダイアニックスイエロ−F−3GE(三菱化成製)
ダイアニックスブル−BG−FS(三菱化成製)
ダイアニックスボルドックスGR−SE(三菱化成製)
各染料を1:1:1(重量比)配合したものを0.05%o.w.f.
染料h:ミケトンポリエステルディスチャ−ジブル−R(三井東圧製)0.05%o.w.f.
染色助剤 0.5g/l浴比 1:30pH 5(酢酸で調整)
温度×時間 130℃×60分染色機 カラマスタ−HD−24(辻井染機製)
【0025】実施例1下記配合処方に従い、55℃にて櫂型反応槽で均一になるまで配合し、淡黄色液状でpH8(1%水溶液)の本発明の染色助剤1,000部[1]を得た。
配合処方: ポリエチレングリコ−ル(平均分子量500)ジオレ−ト 300部 スチレン化(5モル)フェノ−ルエチレンオキサイド 30モル付加物硫酸エステルナトリウム塩 300部 2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノ−ル 10部 メタノ−ル 100部 水 290部
【0026】実施例2下記配合処方に従い、60℃にて櫂型反応槽で均一になるまで配合し、淡黄色液状で、pH8(1%水溶液)の本発明の染色助剤1,000部[2]を得た。
配合処方: ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコ−ルジラウレ−ト (平均分子量600,オキシエチレン:オキシプロピレン =1:1重量比ランダム付加物) 300部 スチレン化(7モル)クミルフェノ−ルエチレンオキサイド 20モル付加物硫酸エステルアンモニウム塩 300部 2,2’−メチレンビス−(6−tert−ブチル −4−メチルフェノ−ル) 10部 イソプロピルアルコ−ル 100部 水 290部
【0027】実施例3下記配合処方に従い、80℃にて櫂型反応槽で均一になるまで配合し、淡黄色液状でpH8(1%水溶液)の本発明の染色助剤1,000部[3]を得た。
配合処方: ポリオキシエチレングリコ−ル(平均分子量400)
ジラウレ−ト 300部 スチレン化(7モル)クミルフェノ−ルエチレンオキサイド 15モルプロピレンオキサイド5モルブロック付加物 硫酸エステルトリエタノ−ルアミン塩 300部 2,2’−メチレンビス−(6−tert−ブチル −4−メチルフェノ−ル) 10部 エチレングリコ−ルモノエチルエ−テル 100部 水 290部
【0028】実施例4下記配合処方に従い、50℃にて櫂型反応槽で均一になるまで配合し、淡黄色液状でpH8(1%水溶液)の本発明の染色助剤1,000部[4]を得た。
配合処方: グリセリンエチレンオキサイド20モルプロピレンオキサイド 10モル付加物(ブロック)ジオレ−ト 300部 α−メチルスチレン化(5モル)フェノ−ルエチレンオキサイド 40モル付加物硫酸エステルカリウム塩 300部 4,4’−チオビス(6−tert−ブチル −3−メチルフェノ−ル) 10部 メタノ−ル 100部 水 290部
【0029】比較例1下記配合処方に従い、80℃にて櫂型反応槽で均一になるまで配合し、淡黄色液状でpH6.5(1%水溶液)の比較の染色助剤1,000部[5]を得た。
配合処方: ポリオキシエチレングリコ−ル(平均分子量400)
ジラウレ−ト 600部 2,2’−メチレンビス−(6−tert−ブチル −4−メチルフェノ−ル) 10部 エチレングリコ−ルモノエチルエ−テル 100部 水 290部
【0030】比較例2下記配合処方に従い、80℃にて櫂型反応槽で均一になるまで配合し、淡黄色液状でpH8(1%水溶液)の比較の染色助剤1,000部[6]を得た。
配合処方: スチレン化(5モル)フェノ−ルエチレンオキサイド 30モル付加物硫酸エステルナトリウム塩 600部 2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノ−ル 10部 メタノ−ル 100部 水 290部
【0031】比較例3下記配合処方に従い、80℃にて櫂型反応槽で均一になるまで配合し、淡黄色液状でpH8(1%水溶液)の比較の染色助剤1,000部[7]を得た。
配合処方: ポリエチレングリコ−ル(平均分子量500)ジオレ−ト 300部 スチレン化(5モル)フェノ−ルエチレンオキサイド 30モル付加物硫酸エステルナトリウム塩 300部 メタノ−ル 100部 水 300部
【0032】比較例4下記配合処方に従い、80℃にて櫂型反応槽で均一になるまで配合し、淡黄色液状でpH8(1%水溶液)の比較の染色助剤1,000部[8]を得た。
配合処方: ポリエチレングリコ−ル(平均分子量500)ジオレ−ト 300部 ノニルフェノ−ルエチレンオキサイド20モル付加物 硫酸エステルナトリウム塩 300部 2,2’−メチレンビス−(6−tert−ブチル −4−メチルフェノ−ル) 10部 メタノ−ル 100部 水 290部
【0033】性能試験1染色助剤[1]〜[8]を用いて、新合繊ポリエステル未染色織布(東レ製)を使用し、染色剤としての性能試験をした結果を表1に示す。
【0034】
【表1】


性能試験判定:●:極めて良好、◎:非常に良好、○:良好、△:やや不良△〜×:不良、×:非常に不良
【0035】表1の結果から、本発明の染色助剤は新合繊に対しても、優れた均染性、分散性および消色性(再現性)を有していることが判る。
【0036】性能試験2染色助剤[1]〜[8]を用いて、通常のポリエステル繊維(加工糸織物:谷頭商店より購入)を使用し、染色剤としての性能試験をした結果を表2に示す。
【0037】
【表2】


性能試験判定:●:極めて良好、◎:非常に良好、○:良好、△:やや不良△〜×:不良、×:非常に不良
【0038】表2の結果から、本発明の染色助剤は、通常のポリエステル繊維に対してレベルアップされた均染性および分散性を満たしていることが判る。
【0039】
【発明の効果】本発明の染色助剤は、通常のレギュラ−ポリエステルだけでなく、新合繊とよばれるファインデニ−ルのポリエステル繊維に対しても染色時使用することにより、均染性良好なポリエステル染色物を再現性良く得ることができる有用な染色助剤である。上記効果を奏することから本発明の染色助剤は、ポリエステル系繊維を染色する場合の染色助剤として有用である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】 ポリアルキレングリコ−ルの高級脂肪酸エステル(A)、多環フェノ−ル類(環数4〜20)のアルキレンオキシド付加物の硫酸エステル塩(B)およびヒンダ−ドフェノ−ル類(C)からなるポリエステル系繊維の染色助剤。
【請求項2】 (A):(B):(C)の配合比が、重量比で1:(0.1〜2):(0.001〜0.1)である請求項1記載の染色助剤。
【請求項3】 ポリアルキレングリコ−ルの数平均分子量が200〜2,000である請求項1または2記載の染色助剤。