説明

ポリフェノール含有顆粒またはポリフェノール含有チュアブル錠剤およびその製造方法

【課題】 強い苦味、渋みおよび植物臭を有する縮合型ポリフェノールまたはその単量体を、その化学的構造を変化させることなく、無味無臭化する。
【解決手段】 縮合型ポリフェノールまたはその単量体および水溶性セルロース誘導体を含むことを特徴とするポリフェノール含有顆粒またはポリフェノール含有チュアブル錠剤。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、縮合型ポリフェノールまたはその単量体が有する特異な苦味、渋みが抑制されたポリフェノール含有顆粒またはポリフェノール含有チュアブル錠剤およびその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ポリフェノール類は、分子内に複数のフェノール性ヒドロキシ基をもつ植物成分の総称であり植物に含有される物質である。ポリフェノール類の多くは、これら植物を素材とした食品に含まれているが、近年、食品業界においても、その抗酸化作用を利用した臨床開発・応用が進み、リンゴ由来のポリフェノールを含有する食品等が上市されている。
【0003】
しかしながら、ポリフェノール類、中でも縮合型ポリフェノールまたはその単量体は、水溶性が高く、特異な苦味並びに渋みを有する物質が多い。
【0004】
その機能性を生かすために必要な配合量を食品中に配合するために、茶抽出物をシクロデキストリンで乾燥粉末化する方法(特許文献1)や、ポリフェノールとシクロデキストリン及びシクロフラクタンを含有する飲食品が知られている(特許文献2)。
【0005】
特許文献1、2に示すようなマスキング技術を用いても、縮合型ポリフェノールまたはその単量体を高濃度で含有し、特異な苦味、渋味がマスキングされ、服用が容易な顆粒剤、チュアブル錠型の食品の実現は困難であった。
【0006】
また、縮合型ポリフェノールまたはその単量体の呈味並びに臭気を抑制する方法としてカプセルに充填する方法や、錠剤化し、その外面をコーティングする方法が考えられる。しかしながら、カプセルに充填する方法は、ポリフェノールの摂取時の問題は少ないが、カプセル剤皮の特性上、湿度に対する耐性が低く、また服用時水もしくは他の飲料が必要になる等の問題もあり、携帯性に劣る。錠剤化し、その外面をコーティングする方法は、錠剤表面のコーティングのために縮合型ポリフェノールまたはその単量体を胃内で速やかに溶解せしめることが困難であった。さらに、縮合型ポリフェノールまたはその単量体は固有の強い呈味のため、顆粒剤型の服用は非常に困難であった。
【0007】
なお、ポリフェノール類ではないが、水溶性コーティング剤で不快味の発生要因である中性・アルカリ性領域で水溶性の低い薬物あるいは水溶性酸性物質をコーティングし、薬物と水溶性酸性物質との接触を防ぐ口腔内速崩壊性錠が開示されている。(特許文献3)。
しかし特許文献3に示された錠剤は、アルコール系溶媒に溶解性の水溶性結合剤を必須とし、製造に際しては、一定硬度の錠剤とするために、錠剤に含まれる水溶性結合剤を除去する必要がある。水溶性結合剤を除去するには、加圧成型で得られた錠剤をアルコール系溶媒で処理して水溶性結合剤を溶解し、乾燥せねばならず、煩雑な工程を要する(請求項17、段落番号0039参照)。
【特許文献1】特開2000-253820号公報
【特許文献2】特開2006-67896号公報
【特許文献3】特開2002-316923号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明が解決しようとする課題は、強い苦味、渋みおよび植物臭を有する縮合型ポリフェノールまたはその単量体を、無味無臭加工をすることである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
呈味及び臭気が抑制された、縮合型ポリフェノールまたはその単量体を高濃度含有する顆粒製剤もしくはチュアブル錠剤製剤を得るために、鋭意研究を行なった結果、縮合型ポリフェノールまたはその単量体を水溶性セルロース誘導体でコーティングすると呈味及び臭気が抑制された顆粒製剤もしくはチュアブル錠剤製剤が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0010】
すなわち、本発明は下記を要旨とするものである。
【0011】
(1) 縮合型ポリフェノールまたはその単量体および水溶性セルロース誘導体を含むことを特徴とするポリフェノール含有顆粒またはポリフェノール含有チュアブル錠剤。
【0012】
(2) 縮合型ポリフェノールまたはその単量体に水溶性セルロース誘導体をコーティングしたことを特徴とする(1)に記載のポリフェノール含有顆粒またはポリフェノール含有チュアブル錠剤。
【0013】
(3) 縮合型ポリフェノールまたはその単量体がリンゴ由来、グァバ由来、茶由来、松由来またはブドウ由来である(1)または(2)に記載のポリフェノール含有顆粒またはポリフェノール含有チュアブル錠剤。
【0014】
(4) 水溶性セルロース誘導体がヒドロキシプロピルセルロースまたはヒドロキシプロピルメチルセルロースであることを特徴とする(1)ないし(3)のいずれか1項に記載のポリフェノール含有顆粒またはポリフェノール含有チュアブル錠剤。
【0015】
(5) 縮合型ポリフェノールまたはその単量体に水溶性セルロース誘導体を含有させて造粒することを特徴とするポリフェノール含有顆粒の製造方法。
【0016】
(6) 水溶性セルロース誘導体を含有させる方法が、縮合型ポリフェノールまたはその単量体に水溶性セルロース誘導体をコーティングする方法である(5)に記載のポリフェノール含有顆粒の製造方法。
【0017】
(7) 縮合型ポリフェノールまたはその単量体がリンゴ由来、グァバ由来、茶由来、松由来またはブドウ由来である(5)または(6)に記載のポリフェノール含有顆粒の製造方法。
【0018】
(8) 水溶性セルロース誘導体がヒドロキシプロピルセルロースまたはヒドロキシプロピルメチルセルロースであることを特徴とする(5)ないし(7)のいずれか1項に記載のポリフェノール含有顆粒の製造方法。
【0019】
(9) (5)ないし(8)のいずれか1項に記載の方法により製造したポリフェノール含有顆粒を圧縮成形することを特徴とするポリフェノール含有チュアブル錠剤の製造方法。
【発明の効果】
【0020】
本発明により、強い苦味、渋みおよび植物臭を有する縮合型ポリフェノールまたはその単量体が、無味無臭化されるため、縮合型ポリフェノールまたはその単量体の服用性を高め、栄養成分または機能性成分としての摂取が容易になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
本発明で縮合型ポリフェノールまたはその単量体とは、リンゴ、茶、ブドウ、グァバ、カカオ、ホップ、松等の植物に含有され、必要に応じて抽出・精製等を行い、そのポリフェノール濃度を高めたものの総称である。しかしながら、非常に水への溶解性が高く、その溶解性の高さから、服用時に強い呈味並びに特異臭を発現し、長時間に渡って、口腔内で、その不快な苦味、渋みおよび臭気を継続的に感じる物質である。本発明で、縮合型ポリフェノールまたはその単量体として好ましくは、プロアントシアニジンとその単量体であり、リンゴ由来、グァバ由来、ブドウ由来、松樹皮由来のものである。
【0022】
縮合型ポリフェノールまたはその単量体の呈味および特異臭を抑制する化合物は、水溶性セルロース誘導体である。水溶性セルロース誘導体は、水への溶解性を高めるために、木材パルプから精製したセルロースにヒドロキシプロピル基やヒドロキシメチル基を化学的に導入したものであり、食品添加物や医薬品添加物としても汎用されている水溶性高分子である。一般には、水溶性高分子は、その水への溶解性の高さから、水溶性物質の呈味や臭気のマスキングには不向きであり、かかる特異なマスキング機能の発現は容易に予想することが困難である。
【0023】
水溶性セルロース誘導体としては、たとえばヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース等が挙げられる。
【0024】
無味無臭化された縮合型ポリフェノールまたはその単量体の顆粒は、縮合型ポリフェノールまたはその単量体と水溶性セルロース誘導体を含むものであればよく、たとえば単純に両者を混合することによっても得られる。混合により顆粒を製造する場合、水溶性セルロース誘導体が10.00〜80.00wt%、好ましくは20.00wt%以上含まれるように混合すればよい。10.00wt%未満では十分なマスキング量に達しないため、80.00wt%を超えるとポリフェノール含有量が少なくなり、一日目安摂取量が多くなるため好ましくない。混合方法としては、製剤分野で慣用の混合方法で混合することができる。
【0025】
混合法によっても、縮合型ポリフェノールまたはその単量体の呈味の軽減が得られるが、好ましくは縮合型ポリフェノールまたはその単量体を水溶性セルロース誘導体でコーティングすることが好ましい。水溶性セルロース誘導体をコーティングする方法は、製剤分野で慣用された方法を採用すればよいが、例えば、流動層造粒法で造粒することにより、コアとなる縮合型水溶性セルロース誘導体またはその単量体に均一に水溶性セルロース誘導体をコーティングすることができるので、効率的である。
【0026】
流動層造粒法以外にも攪拌造粒法、転動造粒法、転動流動造粒法、混練造粒法などの各種造粒法により造粒することができるが、特に、流動造粒法が好ましい。
【0027】
流動層造粒法で顆粒を製造するには、縮合型ポリフェノールまたはその単量体を流動層造粒機またはそれに類する造粒装置内に投入し、熱気流下で、予め水に溶解した水溶性セルロース誘導体を縮合型ポリフェノールまたはその単量体に噴霧し攪拌すればよい。噴霧する水溶性セルロース誘導体の水溶液は、1.00〜15.00wt%、好ましくは、3.00〜10.00wt%の濃度のものを用いればよい。濃度が1.00wt%未満では、コーティング時間の大幅な増大のため、15.00wt%を超えると溶液の粘度が高くなりすぎるため好ましくない。また、水溶性セルロース誘導体水溶液の噴霧量は、10.00〜50.00wt%、好ましくは、20.00〜35.00wt%の範囲で行えばよい。噴霧量が10.00wt%未満の場合は、十分なマスキング量に達しない。また、50.00wt%を超える場合は、コーティングよりも急激な造粒が進むため好ましくない。
【0028】
流動層造粒法で造粒することにより、縮合型ポリフェノールまたはその単量体に水溶性セルロース誘導体によるコーティング被膜を形成し、当該被膜によって内包される縮合型またはその単量体の水への溶解性が低減することにより、縮合型ポリフェノールまたはその単量体由来の味、臭気が被覆されることにより達成される。
【0029】
縮合型ポリフェノールまたはその単量体の顆粒を製造する際に、糖類や賦形剤、流動化剤等の添加剤を加えても良い。
上記した方法により製造した水溶性セルロース誘導体を含んだ縮合型ポリフェノールまたはその単量体の顆粒を加圧成型することにより、口腔用速崩壊性錠剤を製造することができる。本発明におけるチュアブル錠剤とは、単に速崩錠と呼ぶこともあるが、一般的に、唾液により口腔内で5秒から数十秒の間で速やかに崩壊する錠剤である。口腔内速崩錠剤には、チュアブル錠剤と呼ばれるものも含まれる。
【0030】
チュアブル錠剤は、製剤分野で慣用された方法により製造すればよいが、例えば以下のような方法で製造することができる。
【0031】
水溶性セルロース誘導体を含んだ縮合型ポリフェノールまたはその単量体の顆粒に賦形剤、甘味料、滑沢剤などの添加剤を加えて混合し、錠剤を製造すればよい。
【0032】
賦形剤とは、例えば、デンプン(トウモロコシデンプン、馬鈴薯デンプン、コムギデンプン、コメデンプン等)、ラクトースコロイダルシリカ、結晶セルロース、無水ケイ酸、無水リン酸カルシウム、沈降炭酸カルシウム、ケイ酸カルシウム、軽質無水ケイ酸、含水二酸化ケイ素、二酸化ケイ素、酸化アルミニウム、炭酸マグネシウム、沈降炭酸カルシウム、結晶セルロース、合成ケイ酸アルミニウム、ケイ酸マグネシウム、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム、デキストリン、カルメロースカルシウム等が挙げられる。これらの担体は、単独または2種以上を併用して用いても良い。前記結晶セルロースとしては、微結晶セルロースを含む。
【0033】
糖類とは、例えば、糖、糖アルコールが挙げられ、グルコース、フルクトース、ガラクトース、マンノース、ラクトース、マルトース、スクロース、白糖(精製白糖を含む。)、トレハロース、マンニトール、ソルビトール、マルチトール、アスパルテーム、エリスリトール、キシリトール等が挙げられ、これらを単独または2種以上を併用して用いても良い。
【0034】
滑沢剤とは、例えば、ステアリン酸マグネシウムやステアリン酸カルシウム、フマル酸ステアリルナトリウム、ステアリン酸、タルク、ショ糖脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ポリエチレングリコール、植物油脂等が挙げられる。滑沢剤は、打錠する前に顆粒に加え混合する方法、あるいは打錠時に杵または臼に直接付着させる方法の何れの方法で添加しても良い。
【0035】
ポリフェノール含有顆粒を錠剤化する方法は、製剤分野で慣用化された方法であればよく、例えば、ロータリー式打錠機、単発打錠機などで圧縮成型することにより、チュアブル錠剤を製造することができる。また、圧縮成型を行う際の圧力については、口腔内での崩壊性やテクスチャーが適切で、製造時、運搬時に割れ欠けなどを生じない範囲であれば特に限定されることはなく、100〜2000kgf、好ましくは300〜1500kgである。
【0036】
(実施例1)
リンゴポリフェノール(商品名アップルフェノンSH:アサヒフードアンドヘルスケア社製)250gを流動層造粒機(株式会社パウレック製流動層造粒機MP−01型)に入れ、熱気流下で、精製水:99.5%エタノールを9:1で調整した溶液に、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(METLOSE SE-06:信越化学工業株式会社製)を固形分として10wt%になるように調液し、二流体ノズル型で噴霧した。噴霧空気圧力は2〜4kgf/cmとし、乾燥空気温度は65〜75℃とした。造粒、コーティング中の粉体流動並びに乾燥に使用する空気量は、造粒物の流動状態に応じて10〜35L/分に設定した。コーティング液の噴霧速度は、粉体の流動高さと造粒の進行を指標に、適宜調整した。最終的に製品中の水分値が3%以下まで乾燥し、コーティング顆粒を得た。水分測定には、メトラー社製赤外水分計を使用し、85℃15分間での乾燥減量を元に計測した。
【0037】
1000μmのJIS篩を使用して整粒し、ポリフェノールコーティング顆粒を得た。コーティング量は、ヒドロキシプロピルメチルセルロースの固形分として、0.99wt%、9.09wt%、23.08wt%、33.33wt%、50.00wt%をそれぞれ噴霧し、6種のコーティング顆粒を得た。
【0038】
(実施例2)
リンゴポリフェノール(商品名アップルフェノンSH:アサヒフードアンドヘルスケア社製)200gを流動層造粒機(株式会社パウレック製流動層造粒機MP−01型)に入れ、熱気流下で、精製水:99.5%エタノールを9:1で調整した溶液に、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC−L:日本曹達株式会社製)を固形分として10wt%になるように調液し、二流体ノズル型で噴霧した。以下、操作方法は実施例1と同様に行い、コーティング量はヒドロキシプロピルセルロース固形分として、33.33wt%噴霧し、コーティング顆粒を得た。
【0039】
(実施例3)
リンゴポリフェノール(商品名アップルフェノンSH:アサヒフードアンドヘルスケア社製)200gを流動層造粒機(株式会社パウレック製流動層造粒機MP−01型)に入れ、熱気流下で、精製水:99.5%エタノールを9:1で調整した溶液に、プルラン(株式会社林原製)を固形分として10wt%になるように調液し、二流体ノズル型で噴霧した。以下、操作方法は実施例1と同様に行い、コーティング量はヒドロキシプロピルセルロース固形分として、33.33wt%噴霧し、コーティング顆粒を得た。
【0040】
(実施例4)
リンゴポリフェノール(商品名アップルフェノンSH:アサヒフードアンドヘルスケア社製)200gを流動層造粒機(株式会社パウレック製流動層造粒機MP−01型)に入れ、熱気流下で、精製水:99.5%エタノールを9:1で調整した溶液に、ポリビニルピロリドン(kollidon (R)90F:BASF社製)を固形分として10wt%になるように調液し、二流体ノズル型で噴霧した。以下、操作方法は実施例1と同様に行い、コーティング量はヒドロキシプロピルセルロース固形分として、33.33wt%噴霧し、コーティング顆粒を得た。
【0041】
(実施例5)
グァバ葉ポリフェノール(グァバフェノン:備前化成株式会社製)200gを流動層造粒機(株式会社パウレック製流動層造粒機MP−01型)に入れ、熱気流下で、精製水:99.5%エタノールを9:1で調整した溶液に、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(METLOSE SE-06:信越化学工業株式会社製)を固形分として10wt%になるように調液し、二流体ノズル型で噴霧した。以下、操作方法は実施例1と同様に行い、コーティング量はヒドロキシプロピルメチルセルロース固形分として、33.33wt%噴霧し、コーティング顆粒を得た。
【0042】
(実施例6)
松樹皮抽出物(ピクノジェノール:株式会社トレードピア社製)200gを流動層造粒機(株式会社パウレック製流動層造粒機MP−01型)に入れ、熱気流下で、精製水:99.5%エタノールを9:1で調整した溶液に、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(METLOSE SE-06:信越化学工業株式会社製)を固形分として10wt%になるように調液し、二流体ノズル型で噴霧した。以下、操作方法は実施例1と同様に行い、コーティング量はヒドロキシプロピルメチルセルロース固形分として、33.33wt%噴霧し、コーティング顆粒を得た。
【0043】
(実施例7)
ブドウ種子ポリフェノール(グラヴィノール:kikkoman社製)200gを流動層造粒機(株式会社パウレック製流動層造粒機MP−01型)に入れ、熱気流下で、精製水:99.5%エタノールを9:1で調整した溶液に、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(METLOSE SE-06:信越化学工業株式会社製)を固形分として10wt%になるように調液し、二流体ノズル型で噴霧した。以下、操作方法は実施例1と同様に行い、コーティング量はヒドロキシプロピルメチルセルロース固形分として、33.33wt%噴霧し、コーティング顆粒を得た。
【0044】
(実施例8)
茶カテキン抽出物(ポリフェノン70A:三井農林株式会社製)200gを流動層造粒機(株式会社パウレック製流動層造粒機MP−01型)に入れ、熱気流下で、精製水:99.5%エタノールを9:1で調整した溶液に、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(METLOSE SE-06:信越化学工業株式会社製)を固形分として10wt%になるように調液し、二流体ノズル型で噴霧した。以下、操作方法は実施例1と同様に行い、コーティング量はヒドロキシプロピルメチルセルロース固形分として、33.33wt%噴霧し、コーティング顆粒を得た。
【0045】
(実施例9)
ブドウ由来ポリフェノール(レスベラトロール-P5:オリザ油化株式会社製)200gを流動層造粒機(株式会社パウレック製流動層造粒機MP−01型)に入れ、熱気流下で、精製水:99.5%エタノールを9:1で調整した溶液に、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(METLOSE SE-06:信越化学工業株式会社製)を固形分として10wt%になるように調液し、二流体ノズル型で噴霧した。以下、操作方法は実施例1と同様に行い、コーティング量はヒドロキシプロピルメチルセルロース固形分として、33.33wt%噴霧し、コーティング顆粒を得た。
【0046】
(実施例10)
リンゴポリフェノール(商品名アップルフェノンSH:アサヒフードアンドヘルスケア社製)270g及びキシリトール(商品名キシリット微粉:三菱商事フードテック株式会社製)330gを流動層造粒機(株式会社パウレック製流動層造粒機MP−01型)に入れ、実施例1に順じ、熱気流下で、精製水2000gに溶解したヒドロキシプロピルメチルセルロース(METLOSE SE-06:信越化学工業株式会社製)100gを噴霧し、ポリフェノールコーティング顆粒を得た。得られたコーティング顆粒800gにキシリトール250g、γシクロデキストリン(シクロケム社製)100g、トウモロコシデンプン(日澱化学社製)100g、アスパルテーム(味の素社製)16g、コーヒーフレーバー(小川香料社製)10g、ショ糖脂肪酸エステル(商品名リョートーシュガーエステル:三菱フードケミカル社製)24gを加え、壽工業製ボーレコンテナミキサーLM−20を用いて15分間混合後、菊水株式会社製VIRGO 512HUK型を使用し、回転盤40回転毎分で、得られる錠剤の重量が約1gとなるように、約2,000kgfの圧力で圧縮を行った。金型は、直径15mmR15を使用した。
【0047】
(実施例11)
リンゴポリフェノール(商品名アップルフェノンSH:アサヒフードアンドヘルスケア社製)270g及びキシリトール(商品名キシリット微粉:三菱商事フードテック株式会社製)330gを流動層造粒機(株式会社パウレック製流動層造粒機MP−01型)に入れ、実施例1に順じ、熱気流下で、精製水2000gに溶解したヒドロキシプロピルメチルセルロース(METLOSE SE-06:信越化学工業株式会社製)100gを噴霧し、ポリフェノールコーティング顆粒を得た。得られたコーティング顆粒800gにキシリトール250g、γシクロデキストリン(シクロケム社製)100g、トウモロコシデンプン(日澱化学社製)100g、アスパルテーム(味の素社製)16g、グレープフルーツフレーバー(小川香料社製)10g、ショ糖脂肪酸エステル(商品名リョートーシュガーエステル:三菱フードケミカル社製)24gを加え、壽工業製ボーレコンテナミキサーLM−20を用いて15分間混合後、菊水株式会社製VIRGO 512HUK型を使用し、回転盤40回転毎分で、得られる錠剤の重量が約1gとなるように、約2,000kgfの圧力で圧縮を行った。金型は、直径15mmR15を使用した。
【0048】
[服用性評価方法]
実施例1〜11について5名のパネリストが、下記に示す服用性スコアを用いて、その苦味及び渋味に対する評価を行った。各パネリストの評価の平均値を求め、結果を表1に示す。尚、本服用性スコアは、服用中後の不快感のみに着目し、美味しさは評価の対象としていない。最も不快に感じる服用性スコアの最高点である4は、予め、当該ポリフェノールそのものを口に入れたときの不快感を基準として確認して評価を行った。
【0049】
服用性スコア(0から6までの1刻みで採点)
0 全く苦味渋味を感じない。
1 ほとんど苦味渋味を感じない。
2 少し苦味渋味を感じる。
3 強い苦味渋味を感じる。
4 非常に強い苦味渋味を感じる。
【0050】
【表1】

【産業上の利用可能性】
【0051】
強い苦味、渋みおよび植物臭を有する縮合型ポリフェノールまたはその単量体が、その化学的構造を変化させることなく無味無臭化されるため、縮合型ポリフェノールまたはその単量体の服用性を高め、栄養成分または機能性成分としての摂取が容易となるため極めて有用である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
縮合型ポリフェノールまたはその単量体および水溶性セルロース誘導体を含むことを特徴とするポリフェノール含有顆粒またはポリフェノール含有チュアブル錠剤。
【請求項2】
縮合型ポリフェノールまたはその単量体に水溶性セルロース誘導体をコーティングしたことを特徴とする請求項1に記載のポリフェノール含有顆粒またはポリフェノール含有チュアブル錠剤。
【請求項3】
縮合型ポリフェノールまたはその単量体がリンゴ由来、グァバ由来、茶由来、松由来またはブドウ由来である請求項1または請求項2に記載のポリフェノール含有顆粒またはポリフェノール含有チュアブル錠剤。
【請求項4】
水溶性セルロース誘導体がヒドロキシプロピルセルロースまたはヒドロキシプロピルメチルセルロースであることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載のポリフェノール含有顆粒またはポリフェノール含有チュアブル錠剤。
【請求項5】
縮合型ポリフェノールまたはその単量体に水溶性セルロース誘導体を含有させて造粒することを特徴とするポリフェノール含有顆粒の製造方法。
【請求項6】
水溶性セルロース誘導体を含有させる方法が、縮合型ポリフェノールまたはその単量体に水溶性セルロース誘導体をコーティングする方法である請求項5に記載のポリフェノール含有顆粒の製造方法。
【請求項7】
縮合型ポリフェノールまたはその単量体がリンゴ由来、グァバ由来、茶由来、松由来またはブドウ由来である請求項5または請求項6に記載のポリフェノール含有顆粒の製造方法。
【請求項8】
水溶性セルロース誘導体がヒドロキシプロピルセルロースまたはヒドロキシプロピルメチルセルロースであることを特徴とする請求項5ないし請求項7のいずれか1項に記載のポリフェノール含有顆粒の製造方法。
【請求項9】
請求項5ないし請求項8のいずれか1項に記載の方法により製造したポリフェノール含有顆粒を圧縮成形することを特徴とするポリフェノール含有チュアブル錠剤の製造方法。

【公開番号】特開2010−154769(P2010−154769A)
【公開日】平成22年7月15日(2010.7.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−333613(P2008−333613)
【出願日】平成20年12月26日(2008.12.26)
【出願人】(000000055)アサヒビール株式会社 (535)
【出願人】(397009004)アサヒフードアンドヘルスケア株式会社 (14)
【Fターム(参考)】