説明

ポリ(アルキレンカーボネート)化合物の製造方法

【課題】本発明の課題は、少量の加水分解酵素の存在下、簡便な操作で、速やかにポリ(アルキレンカーボネート)化合物を収率良く取得することができる、工業的に優れ、かつ環境的負荷の少ない製造法を提供することにある。
【解決手段】加水分解酵素の存在下、ジオール化合物とエステル化合物とからポリ(アルキレンカーボネート)化合物を得る製造方法において、反応で生じるアルコール化合物を除去することで、触媒の失活を低減させたことで、従来よりも少量の酵素の使用で、かつ反応速度の速い新規な工業的製造プロセスを見出し本発明に至った。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、加水分解酵素を用いたポリ(アルキレンカーボネート)化合物の製造方法に関する。
【0002】
本発明の方法により、製造されるポリ(アルキレンカーボネート)化合物は、生分解性を有する、優れた高分子機能性材料として有用な化合物である。
【背景技術】
【0003】
従来より、ポリ(アルキレンカーボネート)化合物は、優れた生分解性に加え、高い生体への安全性から、例えば、医薬品や香粧品分野における徐放性薬剤の基材等としての利用をはじめ、機能性或いは、高性能有機材料分野等、高分子素材として様々な分野での使用が期待されている。
【0004】
オリゴアルキレンカーボネート化合物、又はポリアルキレンカーボネート化合物を得る方法としては、古くから、ホスゲンとジオール化合物とから製造する方法が広く知られている。しかし、有毒なホスゲンを用い、ハロゲン化合物を廃棄物として副生しながら製造するため、別の製造方法が望まれてきた。
また近年、加水分解酵素を用いた重合反応により、アルキレンジオール化合物とカーボネート化合物とを酵素を用いて反応させる方法についても報告されている(例えば、特許文献1、非特許文献1、及び非特許文献2参照)。
これらの酵素を用いる方法は、多くの場合、大量の酵素を用いて反応が行なわれている。その理由として、この酵素反応において、基質であるアルコール、または副生するアルコール化合物により、酵素は、失活しやすいことが一般的に知られており、例えば、C.antarcticaからのリパーゼは、グリセロールにより阻害されるということも既に報告されている(例えば、特許文献2参照)。更に同文献では、第二級アルコールを初期反応混合物に含まないことが好ましいとも記載されている。従って、アルキレンジオール化合物とカーボネート化合物とから、ポリ(アルキレンカーボネート)化合物を得るような重合反応においても同様に、原料のアルキレンジオール化合物や反応により副生するアルコール化合物は、酵素の変性剤となり、その活性を消失させる場合が多く、その結果、反応自体を止めてしまうことが分かっている。そのため、反応を十分に進行させるためには、この失活分を補うべく大量の酵素を適宜追加することが必要となるが、このような大量の薬品の使用、及び廃棄物を産出する方法は、工業的に好適な製造方法とはいい難かった。
【0005】
【特許文献1】特開2000−80160号公報
【特許文献2】特表平08−503850号公報
【非特許文献1】Macromol.Chem.Phys.,201,1632(2000)
【非特許文献2】Macromolecules,40,7934(2007)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の課題は、少量の加水分解酵素の存在下、アルキレンアルコール化合物、エステル化合物、及びカーボネート化合物とから、簡便な操作で、速やかにポリ(アルキレンカーボネート)化合物を収率良く取得することができる、工業的に優れ、環境的負荷の少ない製造法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、課題を解決するために鋭意検討を重ねた結果、加水分解酵素(特にリパーゼ)存在下、アルキレンアルコール化合物とエステル化合物とのエステル交換反応により得られるアルキレンアシレート化合物とカーボネート化合物とから、ポリ(アルキレンカーボネート)化合物を得る製造方法において、触媒の変性作用を及ぼしてきた副生するアルコール化合物を反応系外に留去することで、触媒を失活させず安定に存在させることで、従来、多量に使用されてきた酵素の使用量を少量とした、工業的製造プロセスを見出し、本発明に至った。
【発明の効果】
【0008】
本発明により、少量の加水分解酵素存在下、アルキレンアルコール化合物、エステル化合物、及びカーボネート化合物とから穏和な条件下、簡便かつ工業的に好適な方法によって、様々なアルキレン基の組み合わせのポリ(アルキレンカーボネート)化合物の製造が可能となった。
即ち、本発明の製造方法により、副生するアルコール化合物を反応系外に除去することで、従来問題であったアルコール化合物による酵素の変性作用と失活を回避し、酵素を安定に存在させることで、アルキレンアシレート化合物を、効率的に製造することが可能となった。更に、得られたアルキレンアシレート化合物は、カーボネート化合物と反応させることで、前記と同様に、アルコール化合物を副生しない製造方法にて、ポリ(アルキレンカーボネート)を得ることが可能となった。
また、酵素を安定に存在させることで、重合反応を長期間行なうことが可能になり、様々な重合度のポリ(アルキレンカーボネート)を得ることが可能となった。
更に本発明で副生するエステル化合物は、従来の原料としてジオール化合物を使用した場合に副生するアルコール化合物よりも、低沸点であるという点から、反応系外への除去操作は有利である。そこで、副生するアルコール化合物を反応系から除去することで、可逆反応である本反応の平衡が目的物の生成方向へ移動し、速やかに反応が進行することを見出し、これを利用して、短い反応時間、かつ少量の酵素の使用でオリゴアルキレンカーボネート、及びポリアルキレンカーボネート化合物を得ることが可能となった。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明の課題は、次に示す工程Aを行ったのち、次いで工程B、又は、工程Cで示される方法により、同一のアルキレン基を有するホモポリマー、又は異なるアルキレン基を有するコポリマーのポリ(アルキレンカーボネート)化合物の合成を行なうことにて解決される。
【0010】
工程A;
下記反応式〔I〕より、加水分解酵素の存在下、式(1)で示されるアルキレンアルコール化合物(化合物(1))、式(2)で示されるエステル化合物(化合物(2))とを、副生する式(4)で示されるアルコール化合物を留去しながら反応を行い、式(3)で示されるアルキレンアシレート化合物(化合物(3))を得る。
【0011】
【化1】

【0012】
(式中、Rは、炭素原子数1から20の直鎖状、分岐鎖状又は環状のアルキレン基、又は芳香環含有又は複素環含有アルキレン基を示し、Rが炭素原子数1から3のアルキル基を示し、Rは、炭素原子数1から4のアルキル基を示し、R、R、及びRは、いずれも置換基を有していても良い。)
工程B;
次に、下記反応式〔II〕より、工程Aで得られた化合物(3)に、式(5)で示されるカーボネート化合物(化合物(5))を加え、撹拌等により混合しながら、副生する化合物(7)を留去しながら反応を行なうことによって、目的物である式(6)で示されるポリ(アルキレンカーボネート)化合物を得る。
【0013】
【化2】

【0014】
(式中、R及びRは、前記と同義である。また、R及びRは、同一又は相互に異なっていても良い、アルキル基、アリール基、及びアラルキル基を示し、置換基を有していても良い。また、X、Yは、互いに同一又は異なっていても良く、前記と同義のR、OR、又はORそれぞれ一つ選ばれる。Zは、R、又はRから一つ選ばれる。nは重合度で、2以上の整数を示す。)
工程C;
或いは、下記反応式〔III〕より、工程Aで得られた化合物(3)に、式(8)で示されるカーボネート化合物(化合物(8))を加え、反応によって発生するエステル化合物(化合物(7’))を留去しながら反応を行なうことによって、目的物である式(9)で示されるポリ(アルキレンカーボネート)化合物を得る。
【0015】
【化3】

【0016】
(式中、R、及びRは、前記と同義である。式中、Rは、炭素原子数1から20の直鎖状、分岐鎖状又は環状のアルキレン基、又は芳香環含有又は複素環含有アルキレン基を示し、置換基を有していても良い。また、RとRは、同一又は相互に異なっていても良い、アルキル基、アリール基、及びアラルキル基を示し、置換基を有していても良い。更に、RとRが一緒になって環を形成してもよい。A及びBは、互いに同一又は異なっていても良く、前記と同義のR、又はRからそれぞれ一つ選ばれる。X’及びY’は、互いに同一又は異なっていても良く、前記と同義のR、OR、又はORからそれぞれ一つ選ばれる。Wは、前記と同義のR又はRから一つ選ばれる。n’は重合度を表わし、1以上の整数を示す。)
【0017】
本発明の反応は、次の2つの操作方法にて行なわれる。
【0018】
(方法1;ワンポット合成法)方法1は、以下の操作より行なわれる。
有機溶媒存在下、又は非存在下、加水分解酵素、式(1)で示されるアルキレンアルコール化合物、式(2)で示されるエステル化合物(化合物(2))とを撹拌等により混合し、引き続き、この溶液を減圧下、化合物(1)及び化合物(2)が除去されない程度の減圧下、及び/又は加熱条件下にて、反応により生じる式(4)で示されるアルコール化合物を留去しながら、目的物の式(3)で示されるアルキレンアシレート化合物(化合物(3))を含有する反応溶液を得る。
【0019】
次に、得られた化合物(3)を含有する反応溶液に、化合物(5)又は化合物(8)を加え、撹拌等により混合しながら、例えば、化合物(5)が除去されない程度の減圧下、及び/又は加熱条件下にて、副生する化合物(7)又は化合物(7’)を除去しながら反応を行なうことにより、目的物である式(6)、或いは式(9)で示されるポリ(アルキレンカーボネート)化合物を合成する。
【0020】
(方法2;段階合成法)方法2は、以下の操作より行なわれる。
方法1と同様の反応条件、反応操作を行い、反応終了後、化合物(3)を含有する反応溶液から、目的とする化合物(3)の単離取得を行なう。
次に、得られた化合物(3)に、化合物(5)、又は化合物(8)を加え、撹拌等により混合しながら、例えば、化合物(5)、又は化合物(8)が除去されない程度の減圧下、及び/又は加熱条件下にて、副生する化合物(7)を除去しながら反応を行なうことによって、目的物である式(6)、或いは式(9)で示されるポリ(アルキレンカーボネート)化合物を合成する。
【0021】
本発明の工程Aにおいて、原料のアルキレンアルコール化合物は、前記反応式〔I〕中、式(1)、又は化合物(1)として示される。
【0022】
式(1)において、Rは、置換基を有していても良い、炭素原子数1から20の直鎖状、分岐鎖状又は環状のアルキレン基、及び芳香環又は複素環含有のアルキレン基を示す。
におけるアルキレン基としては、メチレン基、エチレン基、ヘキサメチレン基、ドデカメチレン基等の飽和の直鎖状アルキレン基;例えば、下記の式にも示されるような、2−ブテン基(式(10))、2−ブチン基(式(11))、2,4−ヘキサジエン基(式(12)等の不飽和結合を有する直鎖状アルキレン基、2−メチル−1,3−プロピレン基(式(13))、2,2−ジメチル−1,3−プロピレン基、2−メチル−2−エチル−1,3−プロピレン基(式(14))、2−シクロプロピル−1,3−プロピレン基(式(15))、2−シクロペンチル−1,3−プロピレン基等の飽和の分岐状アルキレン基;2−メチル−1,4−ブチル−2−エン基(式(16))等の不飽和結合を有する分岐状アルキレン基、及びシクロブチレン基、シクロへキサメチレン基(式(17))等の飽和の環状アルキレン基;1,4−シクロへキサ−2−エン基(式(18))、1,4−シクロへキサ−2、5−ジエン基等の不飽和結合を有する環状アルキレン基を示す。
なお、不飽和結合を含有するアルキレン基において、不飽和結合は、結合末端部分以外の炭素原子と形成することが出来る。
【0023】
【化4】

【0024】
(式中の波線は、酸素原子との結合部位を示す。また、式(17)は置換基の位置を限定しないことを示す。)
【0025】
における芳香環含有又は複素環含有アルキレン基としては、例えば、下記式にも示されるような、1,4−ビス(アルキレン)フェニル基(式(19))、1,1’−ビス(アルキレン)ビフェニル基、2,6−ビス(アルキレン)ナフチル基(式(20))等の芳香環を含有するアルキレン基;2,5−ビス(アルキレン)ピリジル基(式(21))、1,4−ビス(アルキレン)チオフェニル基(式(22))等の芳香族性の複素環を含有するアルキレン基;1,4−ビス(アルキレン)ピペリジル基(式(23))、2,3−ビス(アルキレン)エポキシル基、(式(24))等の脂環式の複素環を含有するアルキレン基が挙げられる。なお、式(19)〜式(24)中、L,Mは、前記と同義の飽和、又は不飽和結合を含有する直鎖状、分岐鎖状又は環状アルキレン基から、それぞれひとつ選ばれ、l、mは、前記L又はMの個数を示し、それぞれ、0又は1〜3の整数を示すが、その際、芳香環含有又は複素環含有アルキレン基としての総炭素原子数は、20を超えない。なお、芳香環含有又は複素環含有アルキレン基において、芳香環、複素環、及び式(19)〜式(24)のL,Mにおける不飽和結合は、結合末端部分以外の炭素原子と形成することが出来る。
【0026】
【化5】

【0027】
(式中の波線は、酸素原子との結合部位を示す。L、Mは、直鎖状、分岐鎖状、又は環状の飽和、又は不飽和のアルキレン基から、それぞれひとつ選ばれ、l、mは、置換基L又はMの個数を示し、それぞれ0又は1〜3の整数を示す。)
【0028】
式(1)中、Rにおけるアルキレン基は、置換基を有していてもよい。置換基としては、例えば、ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子);メトキシル基、エトキシル基、プロポキシル基、ブトキシル基等の炭素数1から4のアルコキシル基(各種異性体を含む);アミノ基;ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジプロピルアミノ基等の炭素数1から3のアルキル基を有するジアルキルアミノ基(各種異性体を含む);シアノ基、及びニトロ基、フェニル基、ナフチル基、ビフェニル基、ビニル基、ヒドロキシル基が挙げられるが、総炭素原子数は20を超えない。好ましくは、フッ素原子、塩素原子、アミノ基、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ヒドロキシル基である。
置換基を有するアルキレン基の具体例としては、2−メチルペンチレン基、2−フルオロペンチレン基、3−クロロペンチレン基、3−メトキシペンチレン基、3−アミノペンチレン基、2−ジメチルアミノペンチレン基、3−クロロヘキシレン基、3,4−ジクロロヘキシレン基、及び3−シアノヘキシレン基、2―シアノ−2−ブテン基、2―フルオロ−2−ブテン基、1,4−ビス(メチレン)テトラフルオロフェニル基、2,5−ビス(メチレン)−3−ニトロ−チオフェニル基等が挙げられる。
【0029】
また、水酸基を置換基に有するアルキレン基を有する化合物(1)の具体例としては、グリセロール、エリスリトール、アラビトール、及びソルビトール等の鎖状及び分岐状の多価アルコール;ガラクトース、デオキシグルコース、グルコヘプトース、ジメチルグルコピラノース等の糖及びその誘導体;イノシトール等の環状の多価アルコールが挙げられる。
【0030】
そこで、本発明において、アルキレン基の置換基に水酸基を有する化合物(1)を原料として、例えば、式(25)で表わされるようなアルキレン多価アルコール化合物(化合物(25))を用いて、工程A、及び工程Cと同様の操作を行なった場合、以下の反応式〔IV〕、式(26)で表わされるようなアルキレン多価アシレート化合物(化合物(26))を経て、反応式〔V〕、式(27)で表わされるような網目状のポリ(アルキレンカーボネート)化合物(Crosslinked Poly(AlkyleneCarbonate))を製造することができる。
【0031】
【化6】

【0032】
(式中、R、R前記と同義である。Rは、炭素原子数1から20の直鎖状、分岐鎖状又は環状のアルキレン基、又は芳香環含有又は複素環含有アルキレン基を示し、置換基を有していても良い。pは、Rに置換した水酸基の個数を表わし、1以上の整数を示す。)
【0033】
【化7】

【0034】
(式中、R、R〜R、及びpは、前記と同義である。X’’及びY’’は、互いに同一又は異なっていても良く、前記と同義のR、OR、OR、O−R−OHからそれぞれ一つ選ばれる。ここで、q、r、s、t、及びuは、括弧内の化学構造の個数を表わし、1以上の整数を示す。vは、Rを有するアシル基末端が加水分解され水酸基になった個数を示す。)
【0035】
として、好ましくは、炭素原子数2から12の飽和、又は不飽和結合を有する直鎖状、分岐鎖状又は環状のアルキレン基、及び炭素原子数4から20の芳香環含有又は複素環含有アルキレン基、より好ましくは、炭素原子数2から12の飽和、又は不飽和結合を有する直鎖状、分岐鎖状又は環状のアルキレン基である。なお、これらのアルキレン基には、水酸基を置換基に有するものを含む。
【0036】
本発明の工程Aにおいて、原料のエステル化合物は、前記反応式〔I〕中の式(2)又は化合物(2)として示される。
式(2)において、Rが炭素原子数1から3のアルキル基を示し、置換基を有していても良い。Rは、炭素原子数1から4のアルキル基を示し、置換基を有していても良い。
、及びRにおけるアルキル基は、置換基を有していてもよい。置換基としては、例えば、ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子);メトキシル基、エトキシル基、プロポキシル基、ブトキシル基等の炭素数1〜4のアルコキシル基(各種異性体を含む);アミノ基;ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジプロピルアミノ基等のジアルキルアミノ基(各種異性体を含む);シアノ基;ニトロ基等が挙げられるが、好ましくはフッ素原子、塩素原子、ヒドロキシル基、アミノ基及びジアルキルアミノ基が、挙げられるが、好ましくは、Rが置換基を有していても良い、メチル基、又はエチル基で、かつRが、置換基を有していても良い、メチル基、又はエチル基、より好ましくは、Rがメチル基、及びエチル基で、かつRが、メチル基、又はエチル基である。
【0037】
本発明の工程Aにおいて、反応後、前記反応式〔I〕中の式(3)又は化合物(3)で示されるアルキレンアシレート化合物と、式(4)又は化合物(4)で示されるアルコール化合物が生成する。
【0038】
本発明の工程Bにおいて、原料のカーボネート化合物は、前記反応式〔II〕中の式(5)、又は化合物(5)として示される。
式(5)において、R及びRは、同一又は相互に異なっていても良い、アルキル基、アリール基、アラルキル基を示し、置換基を有していても良い。
式(5)中、R、及びRにおけるアルキル基としては、炭素原子数1〜10の直鎖状、又は炭素原子数3〜10の分岐鎖状、或いは環状のアルキル基を示し、直鎖状のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、及びデシル基が挙げられ、分岐状のアルキル基としては、イソプロピル基、イソブチル基、及びアミル基等が挙げられる。なお、これらの基は、各種異性体を含む。環状のアルキル基としては、例えば、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、シクロノニル基、及びシクロデシル基等の炭素原子数3〜10のシクロアルキル基が挙げられる。好ましくは、炭素原子数1〜4の直鎖状のアルキル基、イソプロピル基、イソブチル基、及び炭素原子数3〜8の環状のアルキル基、より好ましくは、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、及びシクロプロピル基である。
【0039】
、及びRにおけるアルキル基は、置換基を有していてもよい。置換基としては、例えば、ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子);メトキシル基、エトキシル基、プロポキシル基、ブトキシル基等の炭素数1〜4のアルコキシル基(各種異性体を含む);アミノ基;ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジプロピルアミノ基等のジアルキルアミノ基(各種異性体を含む);シアノ基;ニトロ基等が挙げられるが、好ましくはフッ素原子、塩素原子、ヒドロキシル基、アミノ基及びジアルキルアミノ基である。これらの置換基は、前記アルキル基に対して、1種以上有していてもよい。
置換基を有するアルキル基の具体例としては、3−メチルシクロブチル基、3−エチルシクロペンチル基、1−フルオロシクロプロピル基、2−クロロシクロプロピル基、3−フルオロシクロブチル基、2−クロロシクロブチル基、2−メトキシシクロプロピル基、3−アミノシクロペンチル基、4−ジメチルアミノシクロヘキシル基、2−クロロシクロヘキシル基、2,2−ジクロロシクロヘキシル基、及び2−シアノシクロヘキシル基等が挙げられる。好ましくは3−メチルシクロブチル基、1−フルオロシクロプロピル基、及び2−クロロシクロブチル基である。
【0040】
式(5)中、R、及びRにおけるアリール基としては、例えば、フェニル基、ナフチル基、アントリル基、及びフェナントリル基等の炭素原子数6〜14の芳香族炭化水素基が挙げられるが、好ましくはフェニル基及びナフチル基等の炭素原子数6〜10の芳香族炭化水素基である。
、及びRにおけるアリール基は、置換基を有していてもよい。置換基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等の炭素原子数1〜4のアルキル基(各種異性体を含む);ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、及びヨウ素原子);メトキシル基、エトキシル基、プロポキシル基、ブトキシル基等の炭素原子数1〜4のアルコキシル基(各種異性体を含む);メチレンジオキシ基等の炭素原子数1〜4のアルキレンジオキシ基、及びニトロ基が挙げられる。なお、これらの置換基は、前記アリール基に対して、1種以上有していてもよい。
【0041】
、及びRにおける置換基を有していてもよいアリール基の具体例としては、2−トリル基、3−トリル基、4−トリル基、2,3−キシリル基、2,6−キシリル基、2,4−キシリル基、3,4−キシリル基、メシチル基、2−クロロフェニル基、3−クロロフェニル基、4−クロロフェニル基、3,4−ジクロロフェニル基、4−ブロモフェニル基、4−ヨードフェニル基、2−フルオロフェニル基、3−フルオロフェニル基、4−フルオロフェニル基、2−メトキシフェニル基、3−メトキシフェニル基、3,4−ジメトキシフェニル基、4−エトキシフェニル基、4−ブトキシフェニル基、4−イソプロポキシフェニル基、3,4−メチレンジオキシフェニル基、2−ニトロフェニル基、4−ニトロフェニル基、1−ナフチル基、及び2−ナフチル基等が挙げられる。好ましくは2−トリル基、4−トリル基、2,3−キシリル基、3,4−キシリル基、2−クロロフェニル基、4−クロロフェニル基、3,4−ジクロロフェニル基、2−フルオロフェニル基、4−フルオロフェニル基、4−ヒドロキシフェニル基、3,4−ジヒドロキシフェニル基、3−ブロモ−5−クロロ−2−ヒドロキシフェニル基、2−メトキシフェニル基、3,4−ジメトキシフェニル基、4−エトキシフェニル基、3,4−メチレンジオキシフェニル基、2−ニトロフェニル基、4−ニトロフェニル基、1−ナフチル基、及び2−ナフチル基、より好ましくは4−トリル基、4−クロロフェニル基、4−フルオロフェニル基、4−ヒドロキシフェニル基、3,4−ジヒドロキシフェニル基、3,4−ジメトキシフェニル基、3,4−メチレンジオキシフェニル基、4−ニトロフェニル基、1−ナフチル基、及び2−ナフチル基である。
【0042】
式(5)中、R、及びRにおけるアラルキル基としては、例えば、ベンジル基、1−ナフチルメチル基、2−ナフチルメチル基、フェネチル基、フェニルプロピル基及びフェニルブチル基等の炭素原子数1〜6のアルキル基に炭素数6〜14のアリール基が置換したアラルキル基が挙げられる。
【0043】
、及びRにおけるアラルキル基は、アリール環上、又はアルキル鎖上に置換基を有していてもよい。置換基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等の炭素原子数1〜4のアルキル基(各種異性体を含む);ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子);ヒドロキシル基;メトキシル基、エトキシル基、プロポキシル基、ブトキシル基等の炭素原子数1〜4のアルコキシル基(各種異性体を含む);メチレンジオキシ基等の炭素原子数1〜4のアルキレンジオキシ基、及びニトロ基が挙げられる。なお、これらの置換基は、前記アラルキル基に対して、1種以上有していてもよい。
【0044】
、及びRにおける置換基を有していてもよいアラルキル基の具体例としては、2−メチルベンジル基、3,4−ジメチルベンジル基、2−フルオロベンジル基、3−クロロベンジル基、3,4−ジクロロベンジル基、4−ブロモベンジル基、4−ヨードベンジル基、4−ヒドロキシベンジル基、3,4−ジヒドロキシベンジル基、4−メトキシベンジル基、3,4−ジメトキシベンジル基、4−イソプロポキシベンジル基、3,4−メチレンジオキシベンジル基、2−ニトロベンジル基、2−(4−フルオロフェニル)プロピル基、1−(3−メチルナフチル)メチル基、及び2−(1,3−ジメチルナフチル)メチル基等が挙げられる。好ましくは2−メチルベンジル基、2−フルオロベンジル基、3−クロロベンジル基、3,4−ジクロロベンジル基、4−ヒドロキシベンジル基、3,4−ジヒドロキシベンジル基、4−メトキシベンジル基、3,4−ジメトキシベンジル基、3,4−メチレンジオキシベンジル基、2−ニトロベンジル基、1−(3−メチルナフチル)メチル基、及び2−(1,3−ジメチルナフチル)メチル基である。
【0045】
本発明の工程Bにおいて、反応後、前記反応式〔II〕中の式(6)で示される、同一のアルキレン基を有するホモポリマーとして、ポリ(アルキレンカーボネート)化合物とエステル化合物(化合物(7))が生成する。
式(7)中、Zは、R、又はRから一つ選ばれる。
【0046】
本発明の工程Cにおいて、原料のカーボネート化合物は、前記反応式〔III〕及び反応式〔V〕中の式(8)、又は化合物(8)として示される。
式(8)において、Rは、炭素原子数1から20の直鎖状、分岐鎖状又は環状のアルキレン基、芳香環含有又は複素環含有アルキレン基を示し、置換基を有していても良い。また、RとRは、同一又は相互に異なっていても良い、アルキル基、アリール基、及びアラルキル基を示し、置換基を有していても良い。更に、RとRが一緒になって環を形成してもよい。
【0047】
の当該直鎖状、分岐鎖状又は環状のアルキレン基、及び芳香環含有又は複素環含有アルキレン基は、前記R記載と同義である。
として、好ましくは、炭素原子数2から12の飽和、又は不飽和結合を有する直鎖状、分岐鎖状又は環状のアルキレン基、及び炭素原子数4から20の芳香環含有又は複素環含有アルキレン基、より好ましくは、炭素原子数2から12の飽和、又は不飽和結合を有する直鎖状、分岐鎖状又は環状のアルキレン基である。
【0048】
、及びRの当該アルキル基、アラルキル基、及びアリール基は、前記R、及びR記載と同義のものを示す。また、環状カーボネート化合物としては、例えば、ジエチレンカーボネート等が挙げられる。
、及びRとして、好ましくは、炭素原子数1〜4の直鎖状、及び炭素原子数3又は4の分岐鎖状又は環状のアルキル基、フェニル基、ナフチル基、ベンジル基、及びジエチレンカーボネート、より好ましくは、R、Rが同一で、かつメチル基、エチル基、フェニル基、及びベンジル基である。
【0049】
本発明の工程Cにおいて、反応後、式(7’)で示されるエステル化合物(化合物(7’))が生成する。
式(7’)中、Rは、前記と同義である。また、Wは、前記と同義のR又はRから選ばれる。
【0050】
本発明において、目的物であるポリ(アルキレンカーボネート)化合物は、前記反応式〔II〕、反応式〔III〕又は反応式〔V〕中、式(6)、式(9)、又は式(27)としてそれぞれ示される。
式(6)において、その末端基;X及びYは、互いに同一又は異なっていても良く、前記と同義のR、OR、又はORから、それぞれ一つ選ばれる。
式(9)において、A及びBは、互いに同一又は異なっていても良く、前記と同義のR、又はRからそれぞれ一つ選ばれる。X’及びY’は、互いに同一又は異なっていても良く、前記と同義のR、OR、又はORからそれぞれ一つ選ばれる。n’は重合度を表わし、1以上の整数を示す。
ここで、末端基;X、Y、X’及びY’は、原料の仕込み比、反応条件によって左右されるが、多くの場合、Rを有するアシル基、又はOR、OR、OR又はORを有するカーボネート基である。
【0051】
本発明の反応において、反応中に微量の水を、例えば添加する等により存在させると、本発明の重合反応と加水分解が同時に進行するため、アシル基末端またはカーボネート末端基の一部が加水分解を受け、反応式〔II〕からは、以下の式(28)で示される、ポリ(アルキレンカーボネート)化合物(化合物(28));
【0052】
【化8】

【0053】
(式中、Rは、前記と同義である。また、X’’’は、前記と同義のR、OR、OR、又はO−R−OHから、それぞれ一つ選ばれる。n’は重合度を表わし、1以上の整数を示す。)
、及び反応式〔III〕からは、以下の式(29)で示されるオリゴアルキレンカーボネート化合物、又はポリアルキレンカーボネート化合物(化合物(29));
【0054】
【化9】

【0055】
(式中、Y’’’は、前記と同義のR、OR、OR、O−R−OH、又はO−R−OHから、それぞれ一つ選ばれる。また、A、B、及びGは、互いに同一又は異なっていても良く、前記と同義のR、又はRから、それぞれ一つ選ばれる。n’は重合度を表わし、1以上の整数を示す。)
として、末端に水酸基を有する目的物を製造することが出来る。
また、これらの化合物は、試薬または触媒中に含まれる水分、あるいは系外から混入した微量の水分によっても生成することがある。
【0056】
また、反応式〔V〕中、原料の例として挙げた、アルキレン基の置換基に水酸基を有する化合物(25)、及びその反応生成物である式(26)で表わされるようなアルキレン多価アルコール化合物において、Rの当該直鎖状、分岐鎖状又は環状のアルキレン基、及び芳香環含有又は複素環含有アルキレン基は、前記R記載と同義である。pは、Rに置換した水酸基の個数を表わし、1以上の整数を示す。
式(27)において、X’’及びY’’は、互いに同一又は異なっていても良く、前記と同義のR、OR、OR、O−R−OHからそれぞれ一つ選ばれる。ここで、q、r、s、t、及びuは、括弧内の化学構造の個数を表わし、1以上の整数を示す。vは、Rを有するアシル基末端が加水分解され水酸基になった個数を示す。
【0057】
本発明の反応において、化合物(2)の使用量は、化合物(1)1モルに対して、好ましくは1.0〜20モル、より好ましくは1.05〜10モル、特に好ましくは1.1〜5.0モルである。
【0058】
本発明の反応において、化合物(5)又は化合物(8)の使用量は、化合物(3)1モルに対して、好ましくは1.0〜20モル、より好ましくは1.05〜10モル、特に好ましくは1.1〜5.0モルである。
【0059】
本発明で使用する加水分解酵素としては、例えば、プロテアーゼ、エステラーゼ、リパーゼ等が挙げられるが、好ましくは豚肝臓由来のエステラーゼ(PLE)、豚肝臓由来のリパーゼ(PPL)、酵母又は細菌から単離可能な微生物のリパーゼ、より好ましくはバルクホルデリア・セパシア(シュードモナス・セパシア)(Burkholderia cepacia (Pseudomonas cepacia))を起源とするリパーゼ(例えば、Amano PS(アマノエンザイム社製)等)、カンジダ・アンタークティカ(Candida antarctica)を起源とするリパーゼ(例えば、Novozym 435(ノボザイム社製)等)、リゾムコール・ミエヘイ(Rhizomucor Miehei)を起源とするリパーゼ(例えば、Lipozyme RM IM(ノボザイム社製)等)、サーモマイセス・ラヌギノサス(Thermomyces lanuginosus)を起源とするリパーゼ(Lipase TL)、ムコール・ミエヘイ(Mucor Miehei)を起源とするリパーゼ(Lipase MM)、特に好ましくはCandida antarcticaを起源とするリパーゼが使用される。なお、これらの加水分解酵素は、天然の形又は固定化酵素として市販品をそのまま使用することが出来、単独又は二種以上を混合して使用しても良い。
【0060】
前記の加水分解酵素は、天然の形又は固定化酵素として市販されているものを、化学的処理又は物理的処理を行った後に使用することも出来る。
前記化学的処理又は物理的処理方法としては、例えば、加水分解酵素を緩衝液に溶解させ(必要に応じて有機溶媒を存在させても良い)、これをそのまま、又は攪拌した後、凍結乾燥する等の方法が挙げられる。なお、ここでの凍結乾燥とは、例えば、J.Am.Chem.Soc.,122(8),1565−1571(2000)記載の水溶液又は水分を含む物質を急速に氷点以下の温度で凍結させ、その凍結物の水蒸気圧以下に減圧して水を昇華させて除去し、物質を乾燥させる方法である。なお、当該処理によって、触媒活性(反応性や選択性等)を向上させることができる。
【0061】
前記加水分解酵素の使用量は、化合物(1)1gに対して、好ましくは0.1〜1000mg、より好ましくは1〜200mg、特に好ましくは10〜100mgである。
【0062】
本発明の反応は、有機溶媒中、又は無溶媒下にて行なうことが出来る。
本発明の反応において使用される有機溶媒としては、酵素を失活させない溶媒であれば特に限定されないが、脱水された溶媒を用いることが望ましい。
本発明の反応において使用される有機溶媒としては、例えば、n−ペンタン、n−ヘキサン、n−ヘプタン、n−オクタン、シクロペンタン、シクロヘキサン及びシクロヘプタン等の脂肪族炭化水素類;ベンゼン、トルエン及びキシレン等の芳香族炭化水素類;ジエチルエーテル、t-ブチルメチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、シクロペンチルメチルエーテル、テトラヒドロフラン及び1,4−ジオキサン等のエーテル類;アセトン及びメチルエチルケトン等のケトン類;アセトニトリル、プロピオニトリル等のニトリル類から選ばれる少なくとも一種が挙げられるが、好ましくはn−ヘキサン、n−ヘプタン、シクロペンタン、シクロヘキサン、トルエン、ジイソプロピルエーテル、t-ブチルメチルエーテル、シクロペンチルメチルエーテル又はテトラヒドロフラン、更に好ましくはn−ヘキサン、シクロヘキサン、トルエン、ジイソプロピルエーテル、t-ブチルメチルエーテル、シクロペンチルメチルエーテル、及びアセトニトリル、特に好ましくはシクロヘキサン、トルエン、t-ブチルメチルエーテルである。なお、これらの有機溶媒は、単独又は二種以上を混合して使用しても良い。
【0063】
前記有機溶媒の使用量は、化合物(1)1gに対して、好ましくは2〜200mL、より好ましくは5〜50mL、特に好ましくは2〜20mLである。
【0064】
本発明の反応は、前記記載の方法1、及び方法2で示される2つの方法により行われる。いずれの方法においても、使用するそれぞれの酵素の特性に合わせ、失活しない範囲にて行うことが望ましい。反応溶液のpHは特に限定されないが、好ましくは、pH値5〜9、より好ましくは、pH値6〜8.5、特に好ましくは、pH値6.5〜8である。
【0065】
また、本発明の反応は可逆反応であり、化学平衡を生成物側へ移動させることで、反応が速やかに進行する。また、反応式〔I〕においては、アルコール化合物(化合物(4))が副生する。
そこで、本発明の方法では、このアルコール化合物(化合物(4)を、加熱下、又は/及び減圧下にて、反応系外に除去する操作を行いながら反応を行なう。
さらに、例えば、反応式〔II〕においては、原料のカーボネート化合物(化合物(5))よりも、より沸点の低いエステル化合物(化合物(7))が副生する。
そこで、本発明の方法では、このエステル化合物(化合物(7))を、加熱下、又は/及び減圧下にて、反応系外に除去する操作を行なうことが好ましい。
上記の操作により、反応の化学平衡が生成系へと移動することで、本反応が速やかに進行することが可能となり、より短い反応時間で、より高分子量の式(6)、式(9)、或いは式(27)で示されるポリカーボネート化合物を得ることができる。また、除去したエステル化合物(例えば、化合物(7))は、再度反応溶媒として使用することも出来る。
【0066】
本発明の反応温度は、0〜130℃、より好ましくは10〜90℃、特に好ましくは40〜70℃にて行なわれる。
【0067】
本発明の工程Aの反応は、原料である化合物(1)、化合物(2)又は化合物(3)に対し、好ましくは、反応にて生じる化合物(4)が選択的に除去できるような、圧力条件を考慮した反応温度であり、より好ましくは、反応終了時に前記化合物(4)が完全に除去されるような反応温度で実施することである。
本発明の工程B、及びCの反応は、例えば、化合物(5)に対し、好ましくは、反応にて生じるエステル化合物(化合物(7)又は化合物(7’))が選択的に除去できるような、圧力条件を考慮した反応温度であり、より好ましくは、反応終了時に前記化合物(7)又は化合物(7’)が完全に除去されるような反応温度で実施することである。
【0068】
本発明の反応圧力は、特に制限されず、常圧下又は減圧下のいずれの条件でも行なうことができる。
反応式〔I〕では、原料である化合物(1)、化合物(2)又は化合物(3)に対し、反応にて生じる化合物(4)が選択的に留去できるような反応圧力に調整することが好ましく、反応式〔1〕終了時に前記化合物(4)が完全に留去されるように、0.13kPa以上、101.3kPa未満(1mmHg以上、760mmHg未満)にて反応圧力を調整することがより好ましい。
また、本発明の反応式〔II〕及び反応式〔III〕における反応圧力も、特に制限されず、常圧下、又は減圧下のいずれの条件でも行なうことができる。通常は、原料である化合物(3)、化合物(5)又は化合物(8)に対し、反応にて生じるエステル化合物(化合物(7)又は化合物(7’))が選択的に留去できるような、反応圧力に調整することが好ましく、反応式〔II〕及び反応式〔III〕終了時に前記化合物(7)又は化合物(7’)が完全に留去されるように、反応圧力の調整することがより好ましい。
【0069】
本発明の製造装置は、特に制限されず、例えば、反応容器、加熱(冷却)装置等、一般的な製造装置にて行なうことができる。更に、反応容器から化合物(4)、及び/又は化合物(7)又は化合物(7’)を留去するために、例えば、蒸留装置、蒸留物の回収装置等を設けることが好ましく、反応圧力が調整できる装置を備えた製造装置を用いることがより好ましい。また、回収装置により、回収された蒸留物のうちエステル化合物(化合物(7)又は化合物(7’))は、工程Aにて、再度反応に使用することもできる。
【0070】
本発明の方法は、反応中の溶液を、例えば、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)等を用いて分析しながら行なうことができる。そこで、反応を適宜分析し、例えば、反応時間、反応温度等を調整しながら行なうことで、所望の分子量(重合度)のポリ(アルキレンカーボネート)化合物を目的物として得ることもできる。
【0071】
本発明の反応によって得られた式(6)、式(9)、又は式(27)で示されるポリ(アルキレンカーボネート)化合物は、例えば、前記反応式〔II〕、反応式〔III〕又は反応式〔V〕終了後、得られた反応混合物に、これらを溶解させるために前記反応の際に使用される有機溶媒と同義の有機溶媒を適量加え(又は、もし、使用した有機溶媒に溶解した状態であれば、そのまま)、次いでろ過により酵素もしくは固定化酵素を分離した後、得られた濾液を減圧下にて有機溶媒を留去することにより取得することが出来る。また、得られたポリ(アルキレンカーボネート)化合物は、晶析、再結晶、分液、抽出、及びカラムクロマトグラフィー等の一般的な方法によって、更に精製することも出来る。
【0072】
本発明の方法にて得られる式(6)、又は式(9)で示されるポリ(アルキレンカーボネート)化合物は、重量平均分子量1000以上、及び分散度3.0以下で、ホスゲンを用いる従来法と比べ、ハロゲン化合物を含まない点で、化学的により安全な製品である。また、生分解性を有することから環境的負荷の少ない高分子材料でもある。
【実施例】
【0073】
次に、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明の範囲はこれらに限定されるものではない。なお、得られた目的物は、IR、NMRスペクトル分析等のほか、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC;使用カラム;TSK gel G2000HXL(TOSOH製)、及びGPC KF−804L(Shodex製))を用いて、分子量測定を行った。
【0074】
実施例1(ポリ(ブチレンカーボネート)の合成)
ディーンスターク蒸留装置、圧力調整装置、温度調整装置、温度計、滴下装置及び撹拌措置を備えたガラス製反応容器に、酢酸メチル370g(5.0mol)、1,4-ブタンジオール90.1g(1.0mol)、カンジダ・アンタークティカ(Candida antarctica)由来のリパーゼ9.0g(Novozym 435(商品名);ノボザイム社製)とを加え、攪拌しながら40〜50℃で15.5時間反応させた後、減圧下で濃縮し、296.4gの酢酸メチルとメタノールの混合溶液を除去した。その残渣に酢酸メチル185g(2.5mol)を加え、攪拌しながら40〜50℃で9.0時間反応させた。反応後、158.1gの酢酸メチルとメタノールの混合溶液を除去した。その残渣に酢酸メチル74.1g(1.0mol)を加え、攪拌しながら40〜50℃で7.5時間反応させた。反応後、92.0gの酢酸メチルとメタノールの混合溶液を除去し、1,4−ブタンジオールジアセテート、1,4−ブタンジオールモノアセテート,1,4-ブタンジオールの混合溶液を得た。
次に、上記混合液に炭酸ジメチル450.1g(5.0mol)を加え、攪拌しながら50℃で16.5時間反応させた。その後、減圧下(6.0〜46.0kPa)で攪拌しながら、50℃で60時間反応させた。更に、この反応液にNovozym435 2.25gを添加し、減圧下(6.0kPa)で攪拌しながら75〜85℃で19時間反応させた(このときのpHをpH試験紙にて測定したところ、pH=6から7.5の範囲を呈色した)。
反応終了後、反応液を室温まで冷却し、アセトニトリル600mLを添加した。この溶液をろ過し、Novozym435を除去した。そのろ液を減圧下で濃縮した後、134.5gの濃縮物を得た。この濃縮物にメチル−ter−ブチルエーテル150mLを添加したところ白色結晶が析出したので、これをろ過した後、減圧下乾燥し、ポリ(ブチチレンカーボネート)112,7gを白色結晶として得た。
得られたポリ(ブチチレンカーボネート)の物性値は、以下の通りであった。
【0075】
IR(KBr,cm−1);1732.5(carbonate;C=O)
H−NMR(CDCl,δ(ppm));1.77(4H,m)、4.16(4H,m)
13C−NMR(CDCl,δ(ppm));25.2、67.3、155.2
元素分析;Calcd(C:C51.71%;H,6.96%
Found:C,51.09%;H,6.72%
融点:63〜64℃
GPC(ポリスチレン基準:溶離液 テトラヒドロフラン)
数平均分子量 :3934
重量平均分子量 :7024
分散度 :2.077
【0076】
参考例1(共重合体の合成:ポリ(エチレンカーボネート−co−ヘキサメチレンカーボネート))
圧力調整装置、温度調整装置、温度計、滴下装置及び撹拌措置を備えたガラス製反応容器に、1,6−ヘキサンジオールジアセテート681mg(3.4mmol)と1,2−ビス(メトキシカルボニルオキシ)エタン600mg(3.4mmol)を混合し、30℃に保ったままカンジダ・アンタークティカ(Candida antarctica)由来のリパーゼ34mg(Novozym 435(商品名);ノボザイム社製)を加え、同温度で3時間攪拌して反応させた。次いで反応系内圧力を0.1kPa(1mmHg)に減圧して70℃で6時間攪拌して反応させた(このときのpHをpH計にて測定したところ、pH8.5であった。)。反応終了後、得られた反応溶液にテトラヒドロフラン5mLを加え、ろ過後、得られた濾液を減圧濃縮にて溶媒を除去したところ、目的物のポリ(エチレンカーボネート−co−ヘキサメチレンカーボネート)524mgを白色固体として得た。
得られたポリ(エチレンカーボネート−co−ヘキサメチレンカーボネート)の物性値は、以下の通りであった。
【0077】
IR(液膜,cm−1);1745.5(carbonate;C=O).
H−NMR(CDCl,δ(ppm));1.40−1.43(m)、1.67−1.68(m)、4.10−4.16(m)、4.35−4.53(m).
13C−NMR(CDCl,δ(ppm));(25.3,25.4)、(28.5,28.6)、(65.1,65.2,65.5,65.6)、155.0、155.4.
GPC(ポリスチレン基準:溶離液 テトラヒドロフラン)
数平均分子量 :4973
重量平均分子量 :8459
分散度 :1.70
【0078】
比較例1(カーボネート化合物に対するアルコールとエステルの反応速度の比較)
n−ブチルアルコールとジメチルカーボネートとからn−ブチルメチルカーボネートを合成する反応初速度(V)と酢酸n−ブチルとジメチルカーボネートからn−ブチルメチルカーボネートを合成する反応初速度(V)を、以下に示す同一の反応条件下にて測定を行い、反応速度の比較を行なった。
攪拌装置を備えた内容積10mlのガラス製容器に、n−ブチルアルコール1.00g(13.5mmol)、ジメチルカーボネート5.68ml(67.4mmol))、及びカンジダ・アンタークティカ(Candida antarctica)由来のリパーゼ50.4mg(Novozym 435(商品名);ノボザイム社製)を混合し、攪拌しながら30℃の恒温槽内で1時間反応させた。同様に、酢酸n−ブチル1.01g(8.69mmol)、ジメチルカーボネート3.63ml(43.1mmol)、及びカンジダ・アンタークティカ(Candida antarctica)由来のリパーゼ50.5mg(Novozym 435(商品名);ノボザイム社製)を混合し、攪拌しながら30℃の恒温槽内で1時間反応させた。反応終了後、反応液をガスクロマトグラフィーにて分析(内部標準法)したところ、n−ブチルアルコールを用いた場合は0.997gのn−ブチルアルコールが残存していた(転化率0.3%、V1=0.0134μmol/min・mg)。酢酸n−ブチルを用いた場合は0.967gの酢酸n−ブチルが残存しいていた(転化率4.3%、V=0.122μmol/min・mg)。結果はV/V=9であった。
【0079】
上記実施例より、本発明の製造方法は、加水分解酵素を失活させることなく、良好な重合度のポリ(アルキレンカーボネート)化合物を合成することが出来る方法である。そのため、従来に比べ加水分解酵素の使用量を低減させることが可能となり、環境への負荷が低い製造方法である。
【0080】
また、従来、ポリ(アルキレンカーボネート)化合物の製造において、アルキレンジオール化合物とカーボネート化合物とのエステル交換反応速度は、ジアシレート化合物とカーボネート化合物とのエステル交換速度より著しく速いというこれまでの化学常識を覆し、比較例1の結果から、本発明の方法ではこの常識と異なる結果、すなわち、ジアシレート化合物とカーボネート化合物のエステル交換反応の方が、反応速度が速いことから、本発明の製造方法は、従来に比べ製造時間が短縮できる、より効率的な方法である。
【産業上の利用可能性】
【0081】
本発明は、加水分解酵素存在下、アルキレンジオール化合物とカーボネート化合物とを用いたポリ(アルキレンカーボネート)化合物の製造方法に関する。本発明により、得られたポリ(アルキレンカーボネート)化合物は、生分解性を有する、優れた高分子機能性材料として有用な化合物である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記反応式〔I〕より、加水分解酵素の存在下、式(1)で示されるアルキレンアルコール化合物、式(2)で示されるエステル化合物とを、副生する式(4)で示されるアルコール化合物(化合物(4))を留去しながら反応を行い、式(3)で示されるアルキレンアシレート化合物(化合物(3))を得た後、下記反応式〔II〕より、得られた化合物(3)に、式(5)で示されるカーボネート化合物を加えて混合して反応させることを特徴とする、式(6)で示されるポリ(アルキレンカーボネート)化合物の製造方法。
【化1】

(式中、Rは、炭素原子数2から20の直鎖状、分岐鎖状、又は環状のアルキレン基、又は芳香環含有又は複素環含有アルキレン基を示し、Rが炭素原子数1から3のアルキル基を示し、Rは、炭素原子数1から4のアルキル基を示し、R、R、及びRは、いずれも置換基を有していても良い。)
【化2】

(式中、R及びRは、前記と同義である。又、R及びRは、それぞれ独立して、置換基を有していても良い、アルキル基、アリール基、アラルキル基を示し、同一又は相互に異なっていても良い。又、X、Yは、互いに同一又は異なっていても良く、前記と同義のR、OR、ORから、それぞれ一つ選ばれる。Zは、R、又はRから一つ選ばれる。nは重合度で、2以上の整数を示す。)
【請求項2】
下記反応式〔III〕より、請求項1の方法により得られた化合物(3)に、式(8)で示されるカーボネート化合物を加えて混合して反応させることを特徴とする、式(9)で示されるポリ(アルキレンカーボネート)化合物の製造方法。
【化3】

(式中、R、及びRは、前記と同義である。式中、Rは、炭素原子数1から20の直鎖状、分岐鎖状又は環状のアルキレン基、又は芳香環含有又は複素環含有アルキレン基を示し、置換基を有していても良い。又、RとRは、同一又は相互に異なっていても良い、アルキル基、アリール基、及びアラルキル基を示し、置換基を有していても良い。更に、RとRが一緒になって環を形成してもよい。A及びBは、互いに同一又は異なっていても良く、前記と同義のR、又はRからそれぞれ一つ選ばれる。X’及びY’は、互いに同一又は異なっていても良く、前記と同義のR、OR、又はORからそれぞれ一つ選ばれる。Wは、前記と同義のR又はRから一つ選ばれる。n’は重合度を表わし、1以上の整数を示す。)
【請求項3】
化合物(4)の留去が、0.13kPa以上、101.3kPa未満の反応圧力にて、行われることを特徴とする、請求項1又は請求項2記載の式(6)で示されるポリ(アルキレンカーボネート)化合物の製造方法。
【請求項4】
反応により生じる式(7)、又は式(7’)で示されるエステル化合物を除去しながら行なう、請求項1から請求項3記載のポリ(アルキレンカーボネート)化合物の製造方法。
【請求項5】
式(7)、又は式(7’)で示されるエステル化合物の留去が、0.13kPa以上、101.3kPa未満の反応圧力にて、行われることを特徴とする、請求項4記載のポリ(アルキレンカーボネート)化合物の製造方法。
【請求項6】
請求項1から請求項4記載の方法により得られる、重量平均分子量500から100000を有することを特徴とする、請求項1記載の式(6)又は式(9)記載のポリ(アルキレンカーボネート)化合物。
【請求項7】
請求項1から請求項4記載の方法により得られる、数平均分子量500から100000を有することを特徴とする、請求項1記載の式(6)又は式(9)記載のポリ(アルキレンカーボネート)化合物。
【請求項8】
請求項1から請求項4記載の方法により得られる、分子量分布3.0以下を有することを特徴とする、請求項1記載の式(6)又は式(9)記載のポリ(アルキレンカーボネート)化合物。
【請求項9】
式(1)の代わりに式(25)で示されるアルキレンアルコール化合物;
【化4】

(Rは、炭素原子数2から20の直鎖状、分岐鎖状、又は環状のアルキレン基、又は芳香環含有又は複素環含有アルキレン基を示し、置換基を有していても良い。pは、R中の水酸基の個数を表わし、1以上の整数を示す。)
を使用し、得られた式(26)で示されるアルキレン多価アシレート化合物;
【化5】

(R、R、及びpは前記と同義である。)
を式(3)の代わりに使用することを特徴とする、請求項1及び請求項4記載の方法により得られる網目状のポリ(アルキレンカーボネート)化合物。
【請求項10】
加水分解酵素が、プロテアーゼ、エステラーゼ、又はリパーゼである、請求項1から4及び請求項9記載のポリ(アルキレンカーボネート)化合物の製造方法。
【請求項11】
加水分解酵素が、リパーゼである、請求項10記載のポリ(アルキレンカーボネート)化合物の製造方法。
【請求項12】
リパーゼが、カンジダ・アンタークティカ(Candida antarctica)を起源とするリパーゼである、請求項11記載のポリ(アルキレンカーボネート)化合物の製造方法。
【請求項13】
が、炭素原子数2から20のアルキレン基である、請求項1から請求項4記載のポリ(アルキレンカーボネート)化合物の製造方法。
【請求項14】
が、メチル基、又はエチル基である、請求項1から請求項4及び請求項9記載のポリ(アルキレンカーボネート)化合物の製造方法。
【請求項15】
が、メチル基、又はエチル基である、請求項1記載のポリ(アルキレンカーボネート)化合物の製造方法。
【請求項16】
及びRが、同一で、炭素原子数1から4のアルキル基である、請求項1記載のポリ(アルキレンカーボネート)化合物の製造方法。
【請求項17】
及びRが、同一で、炭素原子数1から4のアルキル基である、請求項2記載のポリ(アルキレンカーボネート)化合物の製造方法。
【請求項18】
化合物(4)の留去が、0.13kPa以上、101.3kPa未満の反応圧力にて、行われることを特徴とする、請求項1記載の式(3)で示されるアルキレンアシレート化合物の製造方法。
【請求項19】
反応を有機溶媒中で行なう、請求項1から4及び請求項9記載のポリ(アルキレンカーボネート)化合物の製造方法。
【請求項20】
有機溶媒が、ニトリル類、エーテル類、ケトン類、エステル類、脂肪族炭化水素類及び芳香族炭化水素類からなる群より選ばれる1種以上の有機溶媒である、請求項1から4及び請求項8記載のポリ(アルキレンカーボネート)化合物の製造方法。
【請求項21】
反応をpH5から9で行なう、請求項1から請求項4及び請求項9記載のポリ(アルキレンカーボネート)化合物の製造方法。
【請求項22】
反応溶液を、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)にて分析しながら反応を行なうことにより、所望の分子量(重合度)のポリアルキレンカーボネート化合物、又は分子量が1000以下のオリゴアルキレンカーボネート化合物を得ること特徴とする、請求項1から請求項4記載のポリ(アルキレンカーボネート)化合物の製造方法。
【請求項23】
反応中に微量の水が存在することを特徴とする、請求項1から請求項4及び請求項9記載のポリ(アルキレンカーボネート)化合物の製造方法。
【請求項24】
請求項1の方法において、反応中に微量の水を存在させて得られる、下式(28)で示されるポリ(アルキレンカーボネート)化合物。
【化6】

(式中、Rは、前記と同義である。又、X’’’は、前記と同義のR、OR、OR、又はO−R−OHから、それぞれ一つ選ばれる。n’は重合度を表わし、1以上の整数を示す。)
【請求項25】
請求項2の方法において、反応中に微量の水を存在させて得られる、下式(29)で示されるポリ(アルキレンカーボネート)化合物。
【化7】

(式中、Y’’’は、R、OR、OR、O−R−OH、又はO−R−OHから、それぞれ一つ選ばれる。又、A、B、及びGは、互いに同一又は異なっていても良く、前記と同義のR、又はRから、それぞれ一つ選ばれる。n’は重合度を表わし、1以上の整数を示す。)

【公開番号】特開2009−292994(P2009−292994A)
【公開日】平成21年12月17日(2009.12.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−150703(P2008−150703)
【出願日】平成20年6月9日(2008.6.9)
【出願人】(000000206)宇部興産株式会社 (2,022)
【Fターム(参考)】