説明

ポンプゲート設備

【課題】ポンプとゲートを別工場で製作した場合でも、工場組合せ試験を省略でき輸送・検査コストを低減でき、且つ設置後にポンプが故障し、該ポンプを工場持帰り補修する場合でも、ゲート内に逆流防止弁を残しておく構造とすることで、ポンプを取り外してもゲート機能を維持することができるポンプゲート設備を提供すること。
【解決手段】水路1を開閉するゲート2にポンプ4及び逆流防止弁5を設け、該ゲート2で閉じた一方の水路1の水をポンプ4で汲み上げ逆流防止弁を通して他方の水路に排水するように構成されたポンプゲート設備において、ゲート2の止水板であるスキンプレートに台板10を設け、該台板10を介してポンプ4と逆流防止弁5を組合わせた。また、台板10にポンプ4及び逆流防止弁5をそれぞれ異なった取り合い位置に個別に脱着自在に取付けた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水路を開閉すると共に閉じた一方の水路の水をポンプで汲み揚げ逆流防止弁を介して他方の水路に排出するポンプゲートに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば河川(本流)に支流が流れ込む場所には、支流側に水路を開閉するゲートが設置されている。そして大雨等によって河川が増水したとき、前記ゲートを閉じることで、河川の水が支流に逆流するのを防止する。一方ゲートを閉じたときに支流の上流から流れてくる水は、ポンプによって河川側に強制的に排水している。そしてこの種のゲートの中には、省スペース化のため、ゲート自体に前記排水用のポンプを取付けた構造のポンプゲート設備があり、採用されている。
【0003】
【特許文献1】特開2001−82620号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記構造のポンプゲート設備において、ポンプとゲートが別メーカ又は別製作工場にて製作される場合が多く、その場合、個別の工場から出荷しても据付場所にて組合わせる際に、組合せ用接続ボルト穴位置等が合わず、組合せができないという不都合を防ぐため、予めポンプ又はゲートをお互いの工場に出荷し、組合せ試験を事前に行なわなければならない。そのため輸送、検査の労力及び費用が通常の排水ポンプ設備より余計に発生する場合が多かった。
【0005】
また、従来はポンプの吐出口に逆流防止弁を設置したポンプと、ゲートを組合せている場合が多く、その場合、ポンプが故障して工場持帰り補修が必要になった場合、ゲート側のポンプを外した部分に穴が空くため、ゲートとしての機能を維持するためにその部分を塞ぐ仮設板等が必要であった。
【0006】
本発明は上述の点に鑑みてなされたもので、ポンプとゲートを別工場で製作した場合でも、工場組合せ試験を省略でき輸送・検査コストを低減でき、且つ設置後にポンプが故障し、該ポンプを工場持帰り補修する場合でも、ゲート内に逆流防止弁を残しておく構造とすることで、ポンプを取り外してもゲート機能を維持することができるポンプゲート設備を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため請求項1に記載の発明は、水路を開閉するゲートにポンプ及び逆流防止弁を設け、該ゲートで閉じた一方の水路の水を前記ポンプで汲み上げ前記逆流防止弁を通して他方の水路に排水するように構成されたポンプゲート設備において、前記ゲートの止水板に台板を設け、該台板を介して前記ポンプと前記逆流防止弁を組合わせたことを特徴とする。
【0008】
請求項2に記載の発明は、水路を開閉するゲートにポンプ及び逆流防止弁を設け、該ゲートで閉じた一方の水路の水を前記ポンプで汲み上げ前記逆流防止弁を通して他方の水路に排水するように構成されたポンプゲート設備において、前記ゲートの止水板に台板を設け、該台板に前記ポンプ及び逆流防止弁をそれぞれ異なった取り合い位置に個別に脱着自在に取付けたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
請求項1に記載の発明によれば、ゲートの止水板に台板を設け、該台板を介してポンプと逆流防止弁を組合わせたので、ポンプとゲート及び逆流防止弁を別工場(又はメーカ)で製作した場合、組合せ試験のため搬送、組立て労力や費用を低減することができる。
【0010】
請求項2に記載の発明によれば、ゲートの止水板に台板を設け、該台板にポンプ及び逆流防止弁をそれぞれ異なった取り合い位置に個別に脱着自在に取付けたので、例えばポンプが故障し、ゲート内に逆流防止弁を残したままポンプを取り外してメンテナンスすることが可能となり、その場合でもゲートは止水機能を果たすことが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態例を図面に基いて説明する。
【実施例1】
【0012】
図1は本発明に係るポンプゲート設備の概略構成を示す側断面図である。図において、1は河川(本流)に流れ込む支流に設けられた水路、2は該水路1を開閉するゲート、4は横軸ポンプ、5は逆流防止弁である。ゲート2は止水板であるスキンプレート3を具備し、該スキンプレート3に台板10が取付ボルト等の台板取付部材6で取付けられている。台板10には、横軸ポンプ4の吐出口(図示せず)及び逆流防止弁5の流入口に連通する穴が設けられている。
【0013】
横軸ポンプ4の吐出口フランジ4aはボルト等のポンプ取付部材8で台板10に着脱自在に取付けられ、逆流防止弁5の流入口フランジ5aがボルト等の逆流防止弁取付部材7で台板10に着脱自在に取付けられている。ポンプ取付部材8の台板10への取付け位置と逆流防止弁取付部材7はそれぞれ台板10への取付け位置は互いに異なった位置に位置し、横軸ポンプ4の及び逆流防止弁5は個別に台板10に取付けることができるようになっている。また、9はゲート2と横軸ポンプ4及び逆流防止弁5の組立体を上下方向(矢印A方向)に移動させるためのワイヤロープ又はラック棒等の開閉装置である。
【0014】
河川(本流)が増水し、水路1を通って支流に流れ込む(逆流する)ような場合、上記ゲート2を下降させ水路1と閉じる。この状態で、支流から水路1のポンプ4側に流入する水を横軸ポンプ4で汲み揚げ逆流防止弁5を通して反ポンプ側の水路1、即ち河川側に排水する。
【0015】
上記のように、ゲート2の止水板であるスキンプレート3に台板10を設け、該台板10介して横軸ポンプ4と逆流防止弁5を組合わせることにより、横軸ポンプ4とゲート2及び逆流防止弁5を別工場(又はメーカ)で製作した場合でも、組合せ試験のため予め横軸ポンプ4やゲート2や逆流防止弁5をお互いの工場に出荷する必要がなく、輸送費用や労力を低減することができる。
【0016】
また、台板10に横軸ポンプ4及び逆流防止弁5をそれぞれ異なった取り合い位置に個別にポンプ取付部材8及び逆流防止弁取付部材7で取付けることができるようになっているため、例えば横軸ポンプ4が故障し、台板10に逆流防止弁5を残したままポンプ4を取り外してメンテナンスすることが可能となり、その場合でも逆流防止弁5は逆流防止機能を発揮できるからゲート2は止水機能を果たすことが可能となる。従来のようにゲート2側にポンプ4を外した部分の穴を塞ぐ仮設板等を取付ける必要がない。また例では、異なった取り合い位置として、異なる高さ位置にしているが、高さ位置は同じにしても、ポンプと弁が別々に取り外せる位置、フランジの円周方向の異なる位置等で取り合わせても良い。
【実施例2】
【0017】
図2は本発明に係るポンプゲート設備の他の概略構成を示す側断面図である。図2において、図1と同一符号を付した部分は同一又は相当部分を示すので、詳細な説明は省略する。なお、他の図面において同様とする。図2のポンプゲート設備が、図1のポンプゲート設備と異なる点は、ポンプに図1では横軸ポンプ4を用いたが、図2では立軸ポンプ11を用いた点である。立軸ポンプ11の吐出口フランジ11aをポンプ取付部材8を介して台板10に着脱自在に取付けている。
【0018】
ポンプゲート設備をこのような構成としても、図1のポンプゲート設備と同様、組合せ試験のため予め立軸ポンプ11やゲート2や逆流防止弁5をお互いの工場に出荷する必要がなく、輸送費用や労力を低減することができる。また、台板10に立軸ポンプ11及び逆流防止弁5をそれぞれ異なった取り合い位置に個別にポンプ取付部材8及び逆流防止弁取付部材7で取付けることができるようになっているため、例えば立軸ポンプ11が故障し、台板10に逆流防止弁5を残したままポンプ4を取り外してメンテナンスすることが可能となり、その場合でも逆流防止弁5は逆流防止機能を発揮できるからゲート2は止水機能を果たすことは、図1のポンプゲート設備と同様である。
【実施例3】
【0019】
図3は本発明に係るポンプゲート設備の概略構成を示す平断面図である。図示するように、本ポンプゲート設備は、複数台(図では2台)横軸ポンプ4、4をポンプ取付部材8を介して台板10に着脱自在に取付け、それに対応して複数台(図では2台)を逆流防止弁取付部材7で台板10に着脱自在に取付けている。このように、複数台の横軸ポンプ4及び逆流防止弁5を台板10に着脱自在に取付けた場合も、その作用効果は図1の場合と同様である。なお、図3において、12はゲート2の上下動を案内する案内部材である。また、図2に示すような立軸ポンプ11を台板10に着脱自在に取付け、それに対応して複数台を逆流防止弁5を着脱自在に設けても良いことは当然である。
【0020】
以上本発明の実施形態を説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲、及び明細書と図面に記載された技術的思想の範囲内において種々の変形が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明に係るポンプゲート設備の概略構成を示す側断面図である。(実施例1)
【図2】本発明に係るポンプゲート設備の概略構成を示す側断面図である。(実施例2)
【図3】本発明に係るポンプゲート設備の概略構成を示す平断面図である。(実施例2)
【符号の説明】
【0022】
1 水路
2 ゲート
3 スキンプレート
4 横軸ポンプ
5 逆流防止弁
6 台板取付部材
7 逆流防止弁取付部材
8 ポンプ取付部材
9 ロープ
10 台板
11 立軸ポンプ
12 案内部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
水路を開閉するゲートにポンプ及び逆流防止弁を設け、該ゲートで閉じた一方の水路の水を前記ポンプで汲み上げ前記逆流防止弁を通して他方の水路に排水するように構成されたポンプゲート設備において、
前記ゲートの止水板に台板を設け、該台板を介して前記ポンプと前記逆流防止弁を組合わせたことを特徴とするポンプゲート設備。
【請求項2】
水路を開閉するゲートにポンプ及び逆流防止弁を設け、該ゲートで閉じた一方の水路の水を前記ポンプで汲み上げ前記逆流防止弁を通して他方の水路に排水するように構成されたポンプゲート設備において、
前記ゲートの止水板に台板を設け、該台板に前記ポンプ及び逆流防止弁をそれぞれ異なった取り合い位置に個別に脱着自在に取付けたことを特徴とするポンプゲート設備。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2006−2521(P2006−2521A)
【公開日】平成18年1月5日(2006.1.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−182235(P2004−182235)
【出願日】平成16年6月21日(2004.6.21)
【出願人】(000000239)株式会社荏原製作所 (1,477)
【Fターム(参考)】