ポータブルトイレ

【課題】トイレ本体部へ開閉可能に連結された座部を備えた洗浄装置付きのポータブルトイレにおいて、椅子として使用する時もトイレとして使用する時も、トイレの座部をトイレ本体部から取り外すことなく、トイレ本体部の背もたれを利用することができるポータブルトイレを提供することを目的とする。
【解決手段】椅子型のトイレ本体部と、汚物入れバケツと、便座と、開閉可能に前記トイレ本体部へ取付けられている前記便座を覆う二つ折り可能な座部と、洗浄装置と、そして薄型の給水タンクとを備えたポータブルトイレにおいて、前記給水タンクを、前記汚物入れバケツの後方であって且つ前記洗浄装置の下方の空間の中に配置することにより、前記座部は二つ折りの状態で、前記背もたれと前記洗浄装置との間に形成された開口部を通って、前記背もたれの下方又はその後方へ回動可能なポータブルトイレを提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、洗浄装置を備えた椅子型形状をした省スペース型のポータブルトイレに関し、特に薄型形状をした給水タンクを洗浄装置の下方の空間の中に配置することで、トイレの座部(又は蓋部)を二つ折りの状態で背もたれの下方又はその後方へ回動可能とすることにより、使用者は、椅子として使用する時もトイレとして使用する時も、トイレの座部(又は蓋部)をトイレ本体部から取り外すことなく、トイレ本体部の背もたれを利用することを可能にした省スペース型の椅子型ポータブルトイレに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、老人や身体障害者などの身体の不自由な人が自室や病室などの室内で用を足すことができるように、持ち運び可能な椅子型形状をしたポータブルトイレが知られている。
【0003】
また、近年では、要介護者の局部の洗浄を容易にするため、特開2002−282164号公報(特許文献1)、特開2006−122664号公報(特許文献2)、特開2006−87724号公報(特許文献3)、特開2008−73094号公報(特許文献4)、特開2005−152340号公報(特許文献5)及び特開2002−78641号公報(特許文献6)などに記載されているように、洗浄装置付きの椅子型ポータブルトイレも普及している。洗浄装置付きの椅子型ポータブルトイレは、主に背もたれを備えた椅子形状をしたトイレ本体部と、汚物入れバケツと、便座と、前記便座を覆う座部と、洗浄装置と、そして前記洗浄装置へ洗浄水を供給するための給水タンクとから構成されている。
【0004】
さらに、近年では、ポータブルトイレの室内における調和やデザイン性が重要視される傾向にある。そのため、ポータブルトイレを家具調に仕上げたり、若しくはポータブルトイレの各装置、各装備が外部から見え難くなるように、各装置、各装備をポータブルトイレ本体部の領域内に収納する工夫などが施されている。しかしながら、洗浄装置付きの椅子型ポータブルトイレの場合、洗浄装置の他に給水タンクを具備しなければならないため、給水タンクの存在がポータブルトイレをコンパクトに設計する際の障害となったり、または一部の利便性の高い機能を無効にしてしまうという問題があった。
【0005】
例えば、特許文献1〜4に示される洗浄装置付きの椅子型ポータブルトイレでは、給水タンクの取付け取外しの容易性、タンクへの洗浄水の補給のし易さなどを考慮して、給水タンクを縦型の扁平な形状とした上で、給水タンクを洗浄装置や背もたれの後方などトイレ本体部の外部へ配置した構造が採用されている。
【0006】
しかしながら、このタイプのポータブルトイレでは、便座を覆う座部(又は蓋部)を開閉可能にトイレ本体部へ連結すると、給水タンクが邪魔となって、座部(又は蓋部)を背もたれの後方へ移動させることができないという制約を生じる(例えば、特許文献4の図1及び特許文献5の図2参照)。また、外観上も給水タンクが露出するため、ポータブルトイレの見栄えが悪くなるという問題もあった。
【0007】
さらに、特許文献4に記載されているポータブルトイレの場合、座部は、便座の上面を覆い、便座に着座させる水平位置で座部となり、特許文献4の図1に示されているように支持部材を介して二つ折りの状態で起立させると、用を足すときには椅子部材の背もたれ部に当接してクッション性のある背もたれとして利用することができる。
【0008】
しかしながら、ポータブルトイレを椅子として使用する時と、トイレとして使用する時のヒトの着座位置は基本的に変わらないので、特許文献4に記載されているポータブルトイレの場合、いずれかの使用形態において、座部の座面の奥行き、若しくは背もたれのトイレ先端部からの距離又は背もたれの高さが、ヒトが快適に着座するのを阻害する不適当な寸法となるという問題がある。
【0009】
例えば、トイレとして使用する時のヒトの着座位置を正しい位置として設計すると、椅子部材の背もたれは座部の厚みの分、予め余分に後方へ後退させて配置しなければならないため、ポータブルトイレを椅子として使用する時、椅子部材の背もたれは、ヒトが快適に着座するためには後退し過ぎた不自然な位置となる。一方、ポータブルトイレを椅子として使用する時のヒトの着座位置を正しい位置として設計すると、トイレとして使用する時、二つ折りの状態に起立させた座部の座面は、その厚みの分前方へ前進して配置されるため、トイレとして使用する時の座部の位置は、ヒトが快適に着座するためには前進し過ぎた不自然な位置となる。これらの問題は、座部の座面の奥行きを調整した場合にも同様に生じる問題である。
【0010】
また、ポータブルトイレのコンパクト性、デザイン性を考慮して、例えば特許文献1の図1および特許文献6に示されているように、給水タンクを洗浄装置の下方に配置した洗浄装置付きの椅子型ポータブルトイレも知られている。しかしながら、このタイプのポータブルトイレでは、給水タンクを収納するためのスペースを洗浄装置の下部に設けなければならないため、洗浄装置を背もたれに接近させて、ポータブルトイレの比較的上方に配置しなければならないという設計上の制約を生じていた。そのため、給水タンクを洗浄装置の下方に配置したポータブルトイレにおいても、便座を覆う座部(又は蓋部)を開閉可能にトイレ本体部へ連結すると、洗浄装置が邪魔となって、座部(又は蓋部)を背もたれの後方へ移動させることができなくなるという制約を生じていた(例えば、特許文献4の図1及び特許文献5の図2参照)。
【0011】
また、給水タンクを洗浄装置の下方に配置すると、給水タンクへ洗浄水を補給する際、給水タンク本体の奥側下部に手を回すなどして、一旦給水タンクを取り出さなければならず、低い位置からの給水タンクの出し入れには足腰に負担が掛かり、不便であった。また、給水タンクを取り出すことなく直接洗浄水を給水タンクへ補給する場合であっても、腰をかがめて補給しなければならず、足腰に負担が掛かるという問題があった。
【0012】
以上のように、従来の洗浄装置付きのポータブルトイレでは、トイレ使用時、使用者はトイレの背もたれを利用することができず、リラックスした状態で排便などを行うことができないという問題があった。また、特許文献1〜3,6に示されているように、座部(又は蓋部)をトイレ本体部から完全に取り外し可能とすることにより、トイレ使用時にも背もたれを利用可能とすることもできるが、この場合、トイレ使用の都度、座部(又は蓋部)をトイレ本体部から取り外してその周辺に借り置きしなければならないので、トイレの使用に手間が掛かるという問題があった。
【0013】
さらに、座部(又は蓋部)の借り置きは、衛生上も好ましくないという問題があり、さらに洗浄装置の下方に配置した給水タンクは、タンクの出し入れ、タンクへの洗浄水の補給、タンクへのポンプホースの接続などにおいてその取り扱いが不便であるという問題もあった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【特許文献1】特開2002−282164号公報
【特許文献2】特開2006−122664号公報
【特許文献3】特開2006−87724号公報
【特許文献4】特開2008−73094号公報
【特許文献5】特開2005−152340号公報
【特許文献6】特開2002−78641号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
そこで、本発明は、トイレ本体部へ開閉可能に連結された座部(又は蓋部)を備えた洗浄装置付きの椅子型ポータブルトイレにおいて、使用者は、椅子として使用する時もトイレとして使用する時も、トイレの座部(又は蓋部)をトイレ本体部から取り外すことなく、トイレ本体部の背もたれを利用することを可能にした省スペース型のポータブルトイレを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明者等は、洗浄装置付きの椅子型ポータブルトイレにおいて、トイレ使用時、トイレの背もたれを利用可能にするために、座部(又は蓋部)の取付け構造、洗浄装置や給水タンクなど各装置や各装備の配置などについて鋭意検討を重ねた結果、薄型形状をした給水タンクを洗浄装置の下方の空間の中に配置することで、トイレ本体部の座部(又は蓋部)を、二つ折りの状態で背もたれの下方又はその後方へ回動可能とすることにより、上述の課題を解決するに至った。
【0017】
また、給水タンクを洗浄装置の下方の空間の中に配置することにより生じる給水タンクの取り扱いの不便さ、若しくは給水タンクを薄型形状とすることにより生じる給水タンクのバランスの不安定さは、給水タンクの形状および該給水とポータブルトイレとの取付け構造などを工夫することにより解決した。
【0018】
すなわち、本発明によれば、背もたれを有する椅子形状をしたトイレ本体部と、汚物入れバケツと、便座と、前記便座を覆う二つ折り可能な座部であって、該座部は前記便座に対し開閉可能に前記トイレ本体部へ直接的又は間接的に取付けられている座部と、人体局部を洗浄するための洗浄装置と、そして前記洗浄装置へ洗浄水を供給するための薄型の給水タンクとを備えたポータブルトイレにおいて、前記給水タンクを、前記汚物入れバケツの後方であって且つ前記洗浄装置の下方の空間の中に配置することにより、前記座部は二つ折りの状態で、前記背もたれと前記洗浄装置との間に形成された開口部を通って、前記背もたれの下方又はその後方へ回動可能であることを特徴とするポータブルトイレが提供される。
【0019】
ここで、ポータブルトイレの前方又は前側とは、使用者が便座又は座部へ着座した時、使用者のお腹が向く方向を意味する。したがって、ポータブルトイレの後方又は後ろ側とは、使用者が便座又は座部へ着座した時、使用者の背中が向く方向を意味する。
【0020】
本発明のポータブルトイレは、主として、背もたれを有する椅子形状をしたトイレ本体部と、汚物入れバケツと、便座と、便座を覆う二つ折り可能な座部であって、便座に対し開閉可能にトイレ本体部へ直接的又は間接的に取付けられている座部と、洗浄装置と、そして洗浄装置へ洗浄水を供給するための給水タンクとから構成される。
【0021】
そして、本発明のポータブルトイレでは、給水タンクを横型で比較的薄型の形状とし、そして該給水タンクを汚物入れバケツの後方であって且つ洗浄装置の下方の空間の中に配置することにより、洗浄装置を背もたれからできるだけ下方の離れた位置に配置できるようにしている。そのため、本発明のポータブルトイレでは、背もたれと洗浄装置との間に二つ折りにした座部が通過できる開口部を形成することができ、その結果、座部は、二つ折りの状態で、背もたれと洗浄装置との間に形成された開口部を通して、背もたれの下方又はその後方へ回動させることが可能となる。
【0022】
その結果、本発明の洗浄装置付きの椅子型ポータブルトイレでは、座部がトイレ本体部へ開閉可能に連結されているにもかかわらず、使用者は、椅子として使用する時もトイレとして使用する時も、トイレの座部をトイレ本体部から取り外すことなく、トイレ本体部の背もたれを直接利用することができる。
【0023】
本発明において座部は、使用者が腰を掛ける座面を有し、そして便座を覆うものであればよい。したがって、座部は、汚物入れバケツの蓋部を兼ねていてもよく、またはバケツの蓋部は別に設け、蓋部とは別体のものとして構成されていてもよい。
【0024】
また、座部は、背もたれと洗浄装置との間の開口部を通過することができるように、二つ折りの状態とすることができる。このため、座部は前半部と後半部からなり、前半部は、その後端部が後半部の先端部と回動自在に連結されており、そして後半部は、その後端部が直接的に、または該後半部から延びたアームを介して間接的にトイレ本体部へ回動自在に取付けられる。
【0025】
本発明のポータブルトイレでは、給水タンクを洗浄装置の下方の空間の中に配置することにより生じる給水タンクの取り扱いの不便さや、給水タンクを薄型形状とすることによる給水タンクのバランスの不安定さなどを解消しなければならないので、給水タンクの形状および該給水タンクとトイレ本体部との取付け構造などにおいて、以下に述べるような工夫を施している。
【0026】
すなわち、本発明のポータブルトイレで使用される給水タンクは、少なくとも上面壁、下面壁、左側面壁、右側面壁、前面壁及び後面壁を含むタンク本体部と、前記タンク本体部の後面壁に設けられた把手と、そして前記タンク本体部から延びた給水口であって、前記給水口の開口面は前記タンク本体部の上面壁より上方に位置し、且つ前記開口面の中心は前記タンク本体部の後面壁より後方に位置するように配置されている前記給水口とから構成される。
【0027】
タンク本体部は、一般に上面壁、下面壁、左側面壁、右側面壁、前面壁及び後面壁を含む6面体からなるが、特に壁面の数や形状に制限はなく、それよりも壁面が多い多面体であっても、それよりも壁面が少ない球面を含む多面体又は球面体であってもよい。ただし、給水タンクは、汚物入れバケツの後方であって且つ洗浄装置の下方という限られた空間の中に配置しなければならないので、本発明の場合、該空間を有効利用するためには、少なくとも上面壁、下面壁、左側面壁、右側面壁、前面壁及び後面壁を含んでいることが好ましい。
【0028】
さらに、側面視において、上述のタンク本体部の上面壁と下面壁との間の平均高さ:Hを、前面壁と後面壁との間の平均長さ:Lより小さくすると、給水タンクはより平面方向に扁平した薄型の形状となるので、その上方に配置される洗浄装置の配置高さを下げることができ有利である。
【0029】
このように、本発明で使用される給水タンクは、比較的平面方向に扁平した薄型の形状を有していること望ましい。しかしながら、タンクをこのような形状とすると下面の面積が大きくなるため、洗浄水が十分に残っている場合でも液面レベルが低下して、洗浄装置のポンプで洗浄水を吸引することができなくなる。そこで、本発明で使用される給水タンクでは、タンク内の洗浄水を殆んど残すことなく吸引できるように、タンク本体部の下面壁の内面側に、洗浄装置のポンプと接続されたホースの吸引口をセットし且つ少量となった洗浄水を集合させて局所的に液面レベルを増加させるための凹部を設けている。
【0030】
また、本発明で使用される給水タンクは、把手及び給水口を備えている。把手は、タンク本体部の後面壁に設けられている。また、給水口は、タンク本体部から延びており、給水口の開口面がタンク本体部の上面壁より上方に位置し、且つ給水口の開口面の中心がタンク本体部の後面壁より後方に位置するように配置される。すなわち、給水口は、タンク本体部の上面壁及び前記後面壁により形成される角部近傍に配置される。
【0031】
把手をタンク本体部の後面壁に設けると、洗浄装置の下方へ潜り込んだ給水タンクであっても、把手をヒトの手で把持することにより、把手から手を離すことなく一回の操作で給水タンクをトイレ本体部の収納空間から取り出すことできる。また、把手は、タンク本体部の後面壁に設けられていれば特にその位置に制限はないが、後面壁の上方側に設けられていると、給水タンクを取り出す時、補給者が腰をかがめなければならない程度を軽減することができるので便利である。
【0032】
給水口も、また上述のように配置すると、給水タンクをポータブルトイレから取り出すことなく直接洗浄水を給水タンクへ補給する時、補給者が腰をかがめなければならない程度を軽減することができるので便利である。また、給水タンクをポータブルトイレから取り出して洗浄水を補給する場合であっても、把手を支持することによって給水タンクを吊上げた時、給水口が上向きとなるので洗浄水の補給のために都合がよい。
【0033】
したがって、給水タンクの給水口の開口面は、タンク本体部を、把手を支持することによって吊上げた時、略水平となるように配置すると、補給時の給水口からの液零れを少なくすることができるので好ましい。
【0034】
また、給水口は、鉛直方向から後方へ向けて傾斜している案内路を含んでいてもよい。この場合、案内路は、例えば筒状の通路であってもよく、又はその一部が給水タンクの壁面の一部を形成するような溝状の通路であってもよい。
【0035】
このように給水口に案内路を設けると、給水口をタンク本体部からより上方へ及び/又はより後方へ配置することができるので、上述したような、給水タンクを洗浄装置の下方の空間の中に配置することにより生じる取り扱いの不便性を殆んど解消することができる。また、洗浄水も、案内路を介してスムーズに補給することができるので、補給時の給水口からの洗浄水の飛散をさらに少なくすることができる。
【0036】
さらに、給水タンクは、案内路の形状が筒状であっても溝状であっても、タンク本体部を把手を支持することによって吊上げた時、案内路の中心軸が略鉛直となるように配置することで、補給時、洗浄水を案内路を介してより一層スムーズに補給することができるようになる。
【0037】
給水タンクの前面壁は、平面視において、タンク本体部の後端から先端へ向けて先細りした形状を有していることが好ましい。
【0038】
給水タンクの先端部分を尖った形状にすると、給水タンクを吊上げた状態で洗浄水を補給する時、補給初期の洗浄水はタンク本体部の先端部分の中心付近に集まり、そして中心付近から徐々に左右側面壁へ広がるように溜まる。このため、洗浄水を補給中、洗浄水がタンクの中で偏ることよって生じるタンクの振れや異常な傾きが抑えられ、タンクの把手を片手で支持する際のタンクの安定性が大幅に向上する。
【0039】
また、補給中の洗浄水のタンクの中での偏りをより一層抑制し、タンクの振れや異常な傾きをより軽減するためには、タンク本体部へ、タンク本体部内部空間の先端領域及び後端領域を除き、タンク本体部内部空間を幅方向に二分割する仕切り壁を設けることが好ましい。
【0040】
この場合、補給中の洗浄水は、仕切り壁によってタンク本体内部を幅方向へ移動するのが邪魔をされるので、洗浄水がタンクの中で幅方向へ移動することによって生じるタンクの振れや異常な傾きがより一層効果的に抑えられ、タンクのバランスが保たれる。なお、このタイプの給水タンクでは、タンクのバランスを保つために、仕切り壁によって二分割された両空間内に溜まる各洗浄水の液面高さを均等に保たなければならないので、一部において洗浄水が幅方向に移動できるよう、タンク本体部内部空間の先端領域及び後端領域には仕切り壁が配置されていない。
【0041】
本発明のポータブルトイレにおいて、上述したように、給水タンクを、把手から手を離すことなく一回の操作でスムーズにトイレ本体部の収納空間から取り出し、又は該収納空間へ収納できようにするためには、給水タンクをトイレ本体部によって直接的に又は間接的にスライド可能に支持することが好ましい。
【0042】
この場合、一の具体例としては、タンク本体部の左側面壁及び右側面壁上へフランジ部又はピンを設け、そして該フランジ部又は該ピンをトイレ本体部に設けた棚部で支持することにより、給水タンクをトイレ本体部に対しスライド可能に支持することができる。
【0043】
また、他の具体例としては、タンク本体部の左側面壁及び右側面壁上へ先端から後端まで延びたスロットを設け、そしてトイレ本体部に設けた棚部又はピンを該スロットの中へ挿入することにより、給水タンクをトイレ本体部に対しスライド可能に支持することができる。
【0044】
また、他の具体例としては、給水タンクをトレイの上に載置し、該トレイをトイレ本体部の補強用のサブフレームの上に装着し、そして該サブフレームをトイレ本体部へ固定することによっても、給水タンクを、トレイを介してトイレ本体部に対しスライド可能に支持することができる。また、トレイを固定手段によってトイレ本体部へ固定することにより、給水タンクをトレイ自体に対してスライド可能となるように支持してもよい。なお、給水タンクの支持にトレイを使用すると、該トレイをスライドさせることにより給水タンクの出し入れが容易になり、また、該トレイにより、洗浄水の補給時など生じる液零れや液垂れを飛散しないように受け止めることができる。
【0045】
トレイをトイレ本体部のサブフレーム上にスライド可能に装着する場合、トレイの縁部にストッパーを設け、サブフレームには該ストッパーと当接するストッパー受け部を設けることが好ましい。
【0046】
この場合、トレイは、ストッパーとストッパー受け部が当接することにより、サブフレーム上でのスライド移動が途中で規制されるので、意図することなくトレイがトイレ本体部から抜け落ちてしまうことが防止される。また、トレイは、トレイの後端部をサブフレームに対し上側へ離間させることにより、スライド移動の規制を解除することもできるので、メンテナンス時などにトレイをトイレ本体部から引き出すこともできて便利である。なお、トレイの縁部のストッパーとサブフレームのストッパー受け部は、移動方向に対し互いに当接することができる突起部/凸部のようなものであればよく、特にその構造が制限されるものではない。
【0047】
また、トレイには、つまみと連動して回動する偏心部材からなる固定手段を設け、サブフレームには該偏心部材を水平方向から受け入れるための受口を備えた抜き穴を設けることが好ましい。
【0048】
この場合、トレイは、つまみを回転することにより、サブフレームに対しスライド不可能に固定又はスライド可能に非固定とすることができるようになる。また、トレイをサブフレームに対しスライド不可能に固定した場合、トイレを傾けて移動させる際などにトレイが不意に後方へとスライドして給水タンクが後方に飛び出してしまうことを防止することができると共に、給水タンクが固定されたトレイの上を容易に滑るので、給水タンクを一回の操作でトイレ本体部から容易に取り出すことができるようになる。
【0049】
給水タンクを、トレイを介してトイレ本体部に対しスライド可能に支持する場合、該トレイは、トイレ本体部のサブフレーム上に装着せず、トイレ本体部へ直接的に装着することもできる。例えば、給水タンクを、少なくとも一対の平行なフランジ部を縁部に有するトレイの上に載置し、そしてトレイのフランジ部をトイレ本体部に設けた棚部で支持することにより、給水タンクを、トレイを介してトイレ本体部に対しスライド可能に支持することができる。
【発明の効果】
【0050】
本発明によれば、トイレ本体部へ開閉可能に連結された座部(又は蓋部)を備えた洗浄装置付きの椅子型ポータブルトイレにおいて、使用者は、椅子として使用する時もトイレとして使用する時も、トイレの座部(又は蓋部)をトイレ本体部から取り外すことなく、トイレ本体部の背もたれを利用することを可能にした省スペース型のポータブルトイレが提供される。
【0051】
また、本発明によれば、把手から手を離すことなく一回の操作でトイレ本体部の収納空間から取り出すことできるように特殊な形状が施された給水タンクについて、その使用に適したポータブルトイレが提供される。このため、本発明によれば、給水タンクを出し入れする時、または給水タンクを取り出すことなく直接給水タンクに洗浄水を補給する時に、補給者がそれらの目的を達成するために腰をかがめなければならない程度が軽減される。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1A】座部閉時の本発明のポータブルトイレを前方から見た概略図である。
【図1B】座部開時の本発明のポータブルトイレを前方から見た概略図である。
【図2A】座部閉時の本発明のポータブルトイレを後方から見た概略図である。
【図2B】座部開時の本発明のポータブルトイレを後方から見た概略図である。
【図3】座部閉時の本発明のポータブルトイレを側方から見た断面図である。
【図4】座部及び便座開時の本発明のポータブルトイレを側方から見た断面図である。
【図5】トイレ本体部に対する座部の取付け構造を示す概略図である。
【図6】給水タンクの後方から見た概略図である。
【図7A】図6に示されている給水タンクの平面図である。
【図7B】図6に示されている給水タンクの側面図である。
【図7C】図6に示されている給水タンクの正面図である。
【図8】給水タンクを吊上げた状態を示す側面図である。
【図9】他の実施例の給水タンクの前方から見た概略図である。
【図10】図6に示されている給水タンクの底面図である。
【図11】図10に示されている給水タンクのX−X断面図である。
【図12】トイレ本体部に対する給水タンクの支持構造を示す概略図である。
【図13】他の実施例のトイレ本体部に対する給水タンクの支持構造を示す概略図である。
【図14】トレイを後方から見た概略図である。
【図15A】トレイをサブフレームに対し非固定とした状態の固定手段を示す断面図及び概略図である。
【図15B】トレイをサブフレームに対し固定した状態の固定手段を示す断面図及び概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0053】
以下、本発明の一実施形態に係るポータブルトイレについて、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、本発明は、以下に示される実施例に限定されるものではなく、本発明の技術的思想を逸脱しない範囲内で各種の変更が可能である。
【実施例】
【0054】
図1A〜2B及び図3,4を用いて、本発明の一実施形態に係るポータブルトイレの主な構成を説明する。図1A及び2Aは、本実施例のポータブルトイレの座部を閉じた時の状態を示しており、図1B及び2Bは、本実施例のポータブルトイレの座部を開けた時の状態を示している。また、図3及び4は、本実施例のポータブルトイレの座部を閉じた時の状態及び座部を開けた時の状態の側面断面図を示している。
【0055】
図1A〜4に示されているように、本実施例のポータブルトイレ1は、主として、背もたれを有する椅子形状をしたトイレ本体部2と、汚物入れバケツ3と、便座4と、便座4を覆う二つ折り可能な座部5であって、便座4に対し開閉可能にトイレ本体部2へ直接的又は間接的に取付けられている座部5と、洗浄装置6と、そして洗浄装置6へ洗浄水を供給するための給水タンク7とから構成されている。
【0056】
また、トイレ本体部2には、椅子型形状をしたポータブルトイレの背もたれ21及び肘掛け22とそれらを支持する框23、トイレ本体部の側面を形成する化粧板24、トイレ本体部を床面へ安定して設置させるためのローラ付き水平脚部25が含まれている。
【0057】
ここで、ポータブルトイレ1の前方又は前側とは、使用者が便座4又は座部5へ着座した時、使用者のお腹が向く方向を意味する。したがって、ポータブルトイレ1の後方又は後ろ側とは、使用者が便座4又は座部5へ着座した時、使用者の背中が向く方向を意味する。
【0058】
図3,4に示されているように、本実施例のポータブルトイレ1の座部5は、使用者が腰を掛けるのに適した座面51を有しており、そして二つ折りの状態に畳むことができるように、座部5は前半部52と後半部53とから構成されている。座部5の前半部52は、その後端部54が後半部53の先端部55と蝶番により回動自在に連結されており、そして後半部53は、その後端部56から延びたアーム57を介して間接的にトイレ本体部2の框23へ回動自在に取付けられている(図5参照)。
【0059】
また、本実施例の座部5は、閉じた時、便座4のすべてを覆うので、その下部に位置する汚物入れバケツ3の蓋としても機能する。ただし、本実施例では、汚物入れバケツ3からの悪臭の拡散防止を確実にするため、座部5とは別に汚物入れバケツ専用の蓋部31が用意されており、該蓋部31は、取り外している時、余分なスペースを取ることなく衛生的に仮置きできるように、ポータブルトイレ1の後方へ立て掛けられるように設計されている(図4参照)。
【0060】
一方、本実施例のポータブルトイレ1で使用される給水タンク7は、図2A,2B及び図3,4に示されているように、横型で比較的水平方向に扁平した薄型の形状をしており、ポータブルトイレ1の汚物入れバケツ3の後方であって且つ洗浄装置6の下方に配置されている。このため、洗浄装置6は、背もたれ21から下方に離れた低位置に配置することができ、背もたれ21との間に大きな開口部26が形成される。
【0061】
本実施例のポータブルトイレ1では上述のような構成を採用することにより、トイレを使用しない時、座部5を便座4の上に倒すことにより、トイレ本体部2の背もたれ21を利用した椅子として使用することができる(図1A,3参照)。一方、トイレを使用する時は、座部5を二つ折りに畳んで背もたれ21と洗浄装置6との間に形成された開口部26を通し、そして背もたれ21の下方の邪魔とならない位置まで回動させることができる(図1B,4参照)。その結果、本実施例のポータブルトイレ1では、座部5がトイレ本体部2へ開閉可能に連結されているにもかかわらず、使用者は、トイレとして使用する時も座部5をトイレ本体部2から取り外すことなく、トイレ本体部の背もたれ21をそのままの位置で直接利用することができる(図1B,2B,4参照)。なお、図4には、汚物入れバケツ3を交換等するために、座部5が二つ折りに畳まれており且つ便座4も上方へ跳ね上げられた状態が示されている。
【0062】
次に、図6〜11を用いて、本実施例のポータブルトイレ1で使用される洗浄装置用の給水タンク7の主な構成を説明する。
【0063】
図6は、給水タンク7の概要を示しており、図7A〜7Cは、給水タンク7の平面、側面、正面を示している。図6及び7Bを見て理解されるように、本実施例の給水タンク7は、ポータブルトイレ1の汚物入れバケツ3の後方であって且つ洗浄装置6の下方という限られた空間の中に配置しなければならないので(図3,4参照)、全体としては、横型で比較的水平方向に扁平した薄型の特殊な形状をしている。また、本実施例では、給水タンク7を洗浄装置6の下方の空間の中に配置したことにより生じる給水タンク7の取り扱いの不便さや、給水タンク7を薄型形状としたことによる給水タンク7のバランスの不安定さなどを解消しなければならないので、給水タンク7の形状および給水タンク7とトイレ本体部2との取付け構造などにおいて様々な工夫が施されている。
【0064】
具体的には、図6〜7Cに示されているように、本実施例で使用される給水タンク7は、上面壁710、下面壁711、左側面壁712、右側面壁713、前面壁714及び後面壁715を含むタンク本体部71と、タンク本体部71の後面壁715に設けられた把手72と、そしてタンク本体部から延びた給水口73とから構成されている。また、給水口73の開口面74は、タンク本体部71の上面壁710より上方に位置し、且つ開口面74の中心がタンク本体部71の後面壁715より後方に位置するように配置されている。
【0065】
さらに、本実施例の給水タンク7は、図7Bに示されているように、側面視において、タンク本体部71の上面壁710と下面壁711との間の平均高さ:Hが、前面壁714と後面壁715との間の平均長さ:Lより小さいので、全体として平面方向に扁平した薄型の形状となっている。そのため、給水タンク7の上方に配置される洗浄装置6の配置高さを低く抑えることができ、それとは逆に、洗浄装置6と背もたれ21との間隔を広くすることができる(図3,4参照)。
【0066】
図10には、図6に示されている給水タンク7を底側から見た底面図が示されており、図11には、図10に示されている給水タンク7をX−X断面で切り取った断面図が示されている。図10,11に示されているように、本実施例の給水タンク7には、洗浄装置6のポンプに接続したホース61(図2A,2B)によってタンク内の洗浄水を吸引するため、タンク本体部71の下面壁711の内面側に、ホース61の吸引口をセットし且つ洗浄水を局所的に集合させて貯留させるための凹部75が設けられている。凹部75は、タンク内で少量となった洗浄水を集め、そして2箇所設けられた給水口73の略真下の位置から洗浄水を容易に吸引できるよう、タンク本体部71の下面壁711の略コーナー部分に沿って溝状に連結されている(図10参照)。
【0067】
その理由は、一般に給水タンクを平面方向に扁平した薄型の形状とすると、タンクの下面の面積が大きくなるため、洗浄水が十分に残っている場合でも液面レベルが低下して、洗浄装置のポンプで洗浄水を吸引することができなくなる。しかしながら、本実施例の給水タンク7のようにタンク本体部71の下面壁711に凹部75を設けると、少量となった洗浄水は凹部75へ集合し局所的に液面レベルを増加させるので、該凹部75からタンク内の洗浄水を殆んど残すことなく吸引することができるようになるからである。
【0068】
給水タンク7は、把手72及び給水口73を備えている(図6参照)。図7A,7Bに示されているように、把手72は、タンク本体部71の後面壁715に設けられている。また、給水口73は、タンク本体部71から延びており、給水口73の開口面74がタンク本体部71の上面壁710より上方に位置し、且つ給水口73の開口面74の中心がタンク本体部71の後面壁715より後方に位置するように配置されている。すなわち、給水口73は、タンク本体部71の上面壁710及び後面壁715により形成される角部近傍に配置されている。
【0069】
把手72をタンク本体部71の後面壁715に設けると、洗浄装置6の下方へ潜り込んだ平面方向に扁平した給水タンク7であっても、把手72をヒトの手で把持することにより、把手72から手を離すことなく一回の操作で、給水タンク7をトイレ本体部2の収納空間から容易に取り出すことできるようになる。また、本実施例では、把手72をタンク本体部71の後面壁715の上方側に設けているので、給水タンク7を取り出す時、補給者が腰をかがめなければならない程度を軽減することができるので便利である。
【0070】
一方、上述したような給水口73の配置も、また給水タンク7をポータブルトイレ1から取り出すことなく直接洗浄水を給水タンク7へ補給する時、補給者が腰をかがめなければならない程度を軽減することができるので便利である。また、給水タンク7をポータブルトイレ1から取り出して洗浄水を補給する場合であっても、把手72を支持することによって給水タンク7を吊上げた時、給水口73が上向きとなるので洗浄水の補給のために都合がよい(図8参照)。
【0071】
図8を参照して理解されるように、本実施例の給水タンク7の給水口73の開口面74は、タンク本体部71を、把手を支持することによって吊上げた時、略水平となるように配置されている。このため、本実施例の給水タンク7では、洗浄水補給時の給水口73からの液零れを少なくすることができる。
【0072】
また、給水口73は、開口面74近傍は筒状の通路から形成されており、その下部は給水タンク7の後面壁715の一部を形成する溝状の通路から形成されている、鉛直方向から後方へ向けて傾斜している案内路76を含んでいる(図6参照)。
【0073】
このため、本実施例の給水タンク7では、給水口73がタンク本体部71からより上方へ及びより後方へ配置されているので、上述したような、給水タンク7を洗浄装置6の下方の空間の中に配置することにより生じる取り扱いの不便性を殆んど解消することができる。また、洗浄水も、案内路76を介してスムーズに補給することができるので、補給時の給水口からの洗浄水の飛散をさらに少なくすることができる。
【0074】
さらに、本実施例の給水タンク7では、タンク本体部71を、把手72を支持することによって吊上げた時、案内路76の中心軸77が略鉛直となるように配置されているので、補給時、洗浄水を、案内路76を介してより一層スムーズに補給することができる。
【0075】
図9には、他の実施例の給水タンク7’の前方から見た概略図が示されている。給水タンク7’の前面壁714’は、平面視において、タンク本体部71’の後端から先端へ向けて先細りした形状を有している。
【0076】
このように、本実施例の給水タンク7’は先端部分が尖った形状となっているので、給水タンク7’を吊上げた状態で洗浄水を補給する時、補給初期の洗浄水はタンク本体部71’の先端部分の中心付近に集まり、そして中心付近から徐々に左右側面壁712’,713’へ広がるように溜まる。このため、洗浄水を補給中、洗浄水がタンク7’の中で偏ることよって生じるタンク7’の振れや異常な傾きが抑えられ、タンク7’の把手72’を片手で支持する際のタンク7’の安定性が大幅に向上する。
【0077】
図9では点線部分及び図11に示されているように、給水タンク7,7’のタンク本体部71,71’は、タンク本体部内部空間の先端領域716及び後端領域717を除き、タンク本体部内部空間を幅方向に二分割する仕切り壁78が設けられている。このため、本実施例の給水タンク7,7’では、補給中の洗浄水のタンク7,7’の中での偏りがより一層抑制され、タンク7,7’の振れや異常な傾きがより軽減される。
【0078】
このように、仕切り壁78により、タンク本体部内部空間を幅方向に二分割した場合、補給中の洗浄水は、仕切り壁78によってタンク本体内部を幅方向へ移動するのが邪魔をされる。そのため、洗浄水がタンク7,7’の中で幅方向へ移動することよって生じるタンク7,7’の振れや異常な傾きがより一層効果的に抑えられ、タンク7,7’のバランスが保たれる。なお、本実施例の給水タンク7,7’では、タンク7,7’のバランスを保つために、仕切り壁78によって二分割された両空間内に溜まる各洗浄水の液面高さを均等に保たなければならないので、一部において洗浄水が幅方向に移動できるよう、タンク本体部内部空間の先端領域716及び後端領域717には仕切り壁78が配置されていない。
【0079】
次に、図12〜15Bを用いて、本実施例のポータブルトイレ1における給水タンク7の支持構造について説明する。
【0080】
図12には、給水タンク7をトイレ本体部2に対しスライド可能に支持するための一実施例の給水タンク支持構造が示されており、図13には、他の実施例の給水タンクの支持構造が示されている。本実施例のポータブルトイレ1では、給水タンク7をトイレ本体部2によって直接的に又は間接的にスライド可能に支持しているので、給水タンク7を、把手72から手を離すことなく一回の操作でスムーズにトイレ本体部7の収納空間から取り出し、又は該収納空間へ収納することができる。
【0081】
図12(a)〜(c)を参照して理解されるように、このタイプの給水タンク支持構造では、タンク本体部71の左側面壁712及び右側面壁713上へフランジ部718(図12(c))又はピン719(図12(b))を設け、そして該フランジ部718又は該ピン719をトイレ本体部2に設けた棚部27(図12(a))で支持することにより、給水タンク7をトイレ本体部2に対しスライド可能に支持している。
【0082】
また、他のタイプの給水タンク支持構造としては、図13(a),(b)を参照して理解されるように、タンク本体部71の左側面壁712及び右側面壁713上へ先端から後端まで延びたスロット720(図13(b))を設け、そしてトイレ本体部2に設けた棚部27(図13(a))又はピン(図示せず)を該スロット720の中へ挿入することにより、給水タンク7をトイレ本体部2に対しスライド可能に支持している。
【0083】
また、さらなる他のタイプの給水タンク支持構造としては、図2A〜4を参照して理解されるように、給水タンク7をトレイ8の上に載置し、該トレイ8をトイレ本体部2の補強用のサブフレーム28の上に装着し、そして該サブフレーム28をトイレ本体部2へ固定することによって、給水タンク7を、トレイ8を介してトイレ本体部2に対しスライド可能に支持している。
【0084】
また、給水タンク7は、図15A,15Bに示される固定手段81によってトレイ8をトイレ本体部2の補強用のサブフレーム28へ固定することにより、給水タンク7をトレイ8自体に対してスライド可能となるように支持することもできる。なお、給水タンク7の支持にトレイ8を使用すると、該トレイ8をスライドさせることにより給水タンク7の出し入れが容易になり、また、該トレイ8により、洗浄水の補給時など生じる液零れや液垂れを飛散しないように受け止めることができる。
【0085】
図14には、本実施例で使用される給水タンク7を載置するためのトレイ8の概要が示されている。
【0086】
トレイ8は、底面82と、該底面82から略垂直に立ち上がった4つの周壁83から構成されており、周壁83の後方コーナー部には、掃除道具や掃除用の薬剤を収納するためのカップ状のホルダー84が2つ配設されている。
【0087】
また、本実施例のポータブルトイレ1では、トレイ8をトイレ本体部2のサブフレーム28上に安全にスライド可能とするために、トレイ8の周壁83の縁部85にはストッパー86が設けられており、そしてサブフレーム28には該ストッパー86と当接するストッパー受け部(図示せず)が設けられている。
【0088】
このため、本実施例のトレイ8は、ストッパー86とストッパー受け部が当接することにより、サブフレーム28上でのスライド移動が途中で規制されるので、意図することなくトレイ8がトイレ本体部2から抜け落ちてしまうことが防止される。また、トレイ8は、トレイ8の後端部をサブフレーム28に対し上側へ離間させるように持ち上げて引き出すことにより、スライド移動の規制を解除することもできるので、メンテナンス時などにトレイ8をトイレ本体部2から引き出すこともできて便利である。なお、トレイ8の縁部85のストッパーとサブフレーム28のストッパー受け部は、移動方向に対し互いに当接することができる突起部/凸部のようなものであればよく、特にその構造が制限されるものではない。
【0089】
また、本実施例のトレイ8は、給水タンク7をトレイ8自体に対してスライド可能に支持する目的で、トレイ8をトイレ本体部2の補強用のサブフレーム28へ固定するための固定手段81を備えている(図14参照)。
【0090】
図15Aには、トレイ8を固定手段81によってサブフレーム28に対し非固定状態とした時の固定手段81の周りを部分的に拡大した断面図(15A(a))と、サブフレーム側(下側)から見た平面図(15A(b))が示されており、図15Bには、トレイ8を固定手段81によってサブフレーム28に対し固定状態とした時の固定手段81の周りを部分的に拡大した断面図(15B(a))と、サブフレーム側(下側)から見た平面図(15B(b))が示されている。
【0091】
図15A,15Bに示されているように、トレイ8の固定手段81はつまみ87と連動して回動する偏心部材88からなり、該偏心部材88は、平面視において、長辺と短辺を有する略長方形の形状をなしている。一方、サブフレーム28には、平面視において偏心部材88の長辺の長さより僅かに大きな直径を有する円形の形状をなしている抜き穴29が設けられており、該抜き穴29の後端部には、偏心部材88を水平方向から受け入れるため、偏心部材88の短辺の長さよりは間口が広く且つ抜き穴29の直径よりは間口が狭い受口290が形成されている。
【0092】
このため、本実施例では、固定手段81のつまみ87を、偏心部材88の短辺が抜き穴29の受口290と向き合う方向へ回転することにより、トレイ8をサブフレーム28に対し固定されていない状態とすることができる(図15A参照)。一方、偏心部材88が抜き穴29の中に存在するようにトレイ8を配置した後、固定手段81のつまみ87を、偏心部材88の長辺が抜き穴29の受口290と向き合う方向へ回転することにより、トレイ8をサブフレーム28に対し固定されている状態とすることができる(図15B参照)。また、トレイ8をサブフレーム28に対しスライド不可能に固定した場合、トイレ1を傾けて移動させる際などにトレイ8が不意に後方へとスライドして給水タンク7が後方に飛び出してしまうことを防止することができると共に、給水タンク7が固定されたトレイ8の上を容易に滑るので、給水タンク7を一回の操作でトイレ本体部2から容易に取り出すことができるようになる。
【0093】
なお、給水タンク7を、トレイ8を介してトイレ本体部2に対しスライド可能に支持する場合、該トレイ8は、トイレ本体部2のサブフレーム28上に装着せず、トイレ本体部2へ直接的に装着することもできる。例えば、給水タンク7を、少なくとも一対の平行なフランジ部を縁部に有するトレイの上に載置し(図示せず)、そしてトレイのフランジ部をトイレ本体部2に設けた棚部で支持することにより、給水タンク7を、トレイを介してトイレ本体部2に対しスライド可能に支持することができる。
【符号の説明】
【0094】
1・・・・・ポータブルトイレ
2・・・・・トイレ本体部
21・・・・背もたれ
22・・・・肘掛け
23・・・・框
24・・・・化粧板
25・・・・水平脚部
26・・・・開口部
27・・・・棚部
28・・・・サブフレーム
29・・・・抜き穴
290・・・受口
3・・・・・汚物入れバケツ
31・・・・蓋部
4・・・・・便座
5・・・・・座部
51・・・・座面
52・・・・前半部
53・・・・後半部
54・・・・前半部の後端部
55・・・・後半部の先端部
56・・・・後半部の後端部
57・・・・アーム
6・・・・・洗浄装置
61・・・・ホース
7,7’・・・給水タンク
71,71’・・・・タンク本体部
710・・・上面壁
711・・・下面壁
712,712’・・・左側面壁
713,713’・・・右側面壁
714,714’・・・前面壁
715・・・後面壁
716・・・先端領域
717・・・後端領域
718・・・フランジ部
719・・・ピン
720・・・スロット
72、72’・・・・把手
73・・・・給水口
74・・・・開口面
75・・・・凹部
76・・・・案内路
77・・・・中心軸
78・・・・仕切り壁
8・・・・・トレイ
81・・・・固定手段
82・・・・底面
83・・・・周壁
84・・・・ホルダー
85・・・・縁部
86・・・・ストッパー
87・・・・つまみ
88・・・・偏心部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
背もたれを有する椅子形状をしたトイレ本体部と、
汚物入れバケツと、
便座と、
前記便座を覆う二つ折り可能な座部であって、該座部は前記便座に対し開閉可能に前記トイレ本体部へ直接的又は間接的に取付けられている座部と、
人体局部を洗浄するための洗浄装置と、そして
前記洗浄装置へ洗浄水を供給するための薄型の給水タンクと
を備えたポータブルトイレにおいて、
前記給水タンクを、前記汚物入れバケツの後方であって且つ前記洗浄装置の下方の空間の中に配置することにより、前記座部は二つ折りの状態で、前記背もたれと前記洗浄装置との間に形成された開口部を通って、前記背もたれの下方又はその後方へ回動可能であることを特徴とするポータブルトイレ。
【請求項2】
前記座部は、前記汚物入れバケツの蓋部を兼ねていることを特徴とする請求項1に記載のポータブルトイレ。
【請求項3】
前記座部は前半部と後半部からなり、前記前半部は、その後端部が前記後半部の先端部と回動自在に連結されており、前記後半部は、その後端部が直接的に、または該後半部から延びたアームを介して間接的にトイレ本体部へ回動自在に取付けられていることを特徴とする請求項1又は2に記載のポータブルトイレ。
【請求項4】
前記給水タンクは、
少なくとも上面壁、下面壁、左側面壁、右側面壁、前面壁及び後面壁を含むタンク本体部と、
前記タンク本体部の後面壁に設けられた把手と、そして
前記タンク本体部から延びた給水口であって、前記給水口の開口面は前記タンク本体部の上面壁より上方に位置し、且つ前記開口面の中心は前記タンク本体部の後面壁より後方に位置するように配置されている前記給水口と
を備えていることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載のポータブルトイレ。
【請求項5】
前記給水口の開口面は、前記タンク本体部を、前記把手を支持することによって吊上げた時、略水平となることを特徴とする請求項4に記載のポータブルトイレ。
【請求項6】
前記給水口は、鉛直方向から後方へ向けて傾斜している案内路を含んでいることを特徴とする請求項4又は5に記載のポータブルトイレ。
【請求項7】
前記案内路は中心軸を備え、前記タンク本体部を、前記把手を支持することによって吊上げた時、前記中心軸は略鉛直となることを特徴とする請求項6に記載のポータブルトイレ。
【請求項8】
側面視において、前記タンク本体部は、前記上面壁と前記下面壁との間の平均高さ:Hが前記前面壁と前記後面壁との間の平均長さ:Lより小さいことを特徴とする請求項4ないし7のいずれかに記載のポータブルトイレ。
【請求項9】
前記前面壁は、平面視において、前記タンク本体部の後端から先端へ向けて先細りした形状を有していることを特徴とする請求項4ないし8のいずれかに記載のポータブルトイレ。
【請求項10】
前記タンク本体部は、前記タンク本体部内部空間の先端領域及び後端領域を除き、前記タンク本体部内部空間を幅方向に二分割する仕切り壁を備えていることを特徴とする請求項4ないし9のいずれかに記載のポータブルトイレ。
【請求項11】
前記タンク本体部は、前記下面壁の内面側に、ホースの吸引口をセットするために洗浄水を貯留する凹部を備えていることを特徴とする請求項4ないし10のいずれかに記載のポータブルトイレ。
【請求項12】
前記給水タンクは、前記タンク本体部の前記左側面壁及び前記右側面壁上にフランジ部又はピンを備えており、そして該フランジ部又は該ピンを前記トイレ本体部に設けた棚部で支持することにより、前記給水タンクは前記トイレ本体部に対しスライド可能に取付けられていることを特徴とする請求項4ないし11のいずれかに記載のポータブルトイレ。
【請求項13】
前記給水タンクは、前記タンク本体部の前記左側面壁及び前記右側面壁上の先端から後端まで延びたスロットを備えており、そして前記トイレ本体部に設けた棚部又はピンを前記スロットの中へ挿入することにより、前記給水タンクは前記トイレ本体部に対しスライド可能に支持されていることを特徴とする請求項4ないし11のいずれかに記載のポータブルトイレ。
【請求項14】
前記給水タンクはトレイの上に載置され、前記トレイはトイレ本体部の補強用のサブフレームの上に装着され、そして前記サブフレームは前記トイレ本体部へ固定されていることを特徴とする請求項4ないし11のいずれかに記載のポータブルトイレ。
【請求項15】
前記トレイの縁部はストッパーを備えており、前記サブフレームはストッパー受け部を備えており、前記トレイは、前記ストッパーと前記ストッパー受け部が当接することにより、前記サブフレーム上でのスライド移動が途中で規制され、且つ前記トレイの後端部を前記サブフレームに対し上側へ離間させることにより、前記スライド移動の規制が解除されることを特徴とする請求項14に記載のポータブルトイレ。
【請求項16】
前記トレイはつまみと連動して回動する偏心部材を備えており、前記サブフレームは前記偏心部材を受け入れるための受口を備えた抜き穴を有しており、前記トレイは、前記つまみを回転することにより、前記サブフレームに対しスライド不可能に固定又はスライド可能に非固定とすることができる請求項14又は15に記載のポータブルトイレ。
【請求項17】
前記給水タンクは、少なくとも一対の平行なフランジ部を縁部に有するトレイの上に載置され、前記トレイは、前記フランジ部を前記トイレ本体部に設けた棚部で支持することにより、前記トイレ本体部に対しスライド可能に載置されていることを特徴とする請求項4ないし11のいずれかに記載のポータブルトイレ。

【図1A】
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【図1B】
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【図2A】
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【図2B】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7A】
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【図7B】
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【図7C】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15A】
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【図15B】
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【公開番号】特開2013−94180(P2013−94180A)
【公開日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−236626(P2011−236626)
【出願日】平成23年10月28日(2011.10.28)
【出願人】(000000505)アロン化成株式会社 (317)
【Fターム(参考)】