説明

マイクアダプタおよび通信システム

【課題】新たなインタフェースやデバイスドライバをコンピュータに設けることなく、従来より一般的な通信用マイクロホンをコンピュータで使用することを可能にするマイクアダプタを提供する。
【解決手段】マイクが接続され、該マイクが収音した音声信号が入力される音声信号入力部と、スイッチが接続され、該スイッチのオン/オフ信号が入力されるスイッチ接続部と、前記スイッチ接続部から入力されたオン/オフ信号に応じて、特定周波数のオーディオ信号であるスイッチ信号を発生する信号発生部と、前記信号発生部が発生したスイッチ信号と前記音声信号入力部から入力された音声信号とをミキシングして合成信号として出力する信号合成部と、コンピュータのオーディオ入力部に接続され、前記合成信号を該コンピュータに入力するコンピュータ接続部と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、通信用のマイクロホンとパーソナルコンピュータとを接続するマイクアダプタ、および、このマイクアダプタを用いた通信システムに関する。
【背景技術】
【0002】
据え置き型の通信機に一般的に用いられているマイクとして、プッシュトゥトーク(PTT)スイッチを有するデスクトップ用スタンドマイクがある。この種のマイクは、脚の部分にPTTスイッチが設けられており、オペレータは、PTTスイッチを押しながらマイクに向かって話すという自然な操作で発話音声を送信することができる。通信分野ではこの形態のデスクトップマイクが長年使用されて広く普及している。
【0003】
一方、近年、通信機をコンピュータで制御する通信システムが提案されている(たとえば非特許文献1)。このような通信システムでは、通信機の周波数設定、音量、メモリ編集等をコンピュータから容易な操作で行うことができる。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】「DIGITAL TRANSCEIVER ID-1 取扱説明書」第38−119頁、[online]、平成20年6月23日、アイコム株式会社、[平成21年 6月26日検索]、インターネット〈URL:http://www.icom.co.jp/support/download/manual/pdf/ID-1.pdf〉
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
非特許文献1に記載の通信システムでは、通信機の設定をコンピュータを介して操作するシステムであるが、これからさらに進んで無線通信のオペレーションの制御までコンピュータで行おうとする場合、オペレータによる通信音声の入出力、送受信の切り換え操作もコンピュータが中継して通信機を制御することになる。すなわち、上述したPTTスイッチ付きのデスクトップマイクをコンピュータに接続する必要が生じる。
【0006】
パーソナルコンピュータは、一般にオーディオ入力端子を有しているため、オペレータの発話音声、すなわちマイクに入力された音声信号は、コンピュータに入力して通信機に伝達することが可能であるが、一般のコンピュータはPTTスイッチのオン/オフ信号を取り込むためのインタフェースを備えていない。
【0007】
したがって、コンピュータがPTTスイッチのオン/オフ信号を取り込むことができるようにするためには、そのためのインタフェースやデバイスドライバを新たに設ける必要があった。USBインタフェースを介してPTTスイッチのオン/オフ信号をコンピュータに取り込むことも考えられるが、そのためには、やはり専用のUSBデバイスドライバのインストールが必要であった。しかし、新たなインタフェースやデバイスドライバを備えることは、開発経費が掛かるうえ、コンピュータに新たなインタフェースを装着したり、デバイスドライバをインストールする必要があり面倒であった。また、セキュリティ規約等の制約により新たなデバイスドライバをインストールできないコンピュータも存在する。
【0008】
この発明は、新たなインタフェースやデバイスドライバをコンピュータに設けることなく、従来より一般的な通信用マイクロホンをコンピュータで使用することを可能にするマイクアダプタ、および、このマイクアダプタを用いた通信システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1の発明であるマイクアダプタは、マイクが接続され、該マイクが収音した音声信号が入力される音声信号入力部と、スイッチが接続され、該スイッチのオン/オフ信号が入力されるスイッチ接続部と、前記スイッチ接続部から入力されたオン/オフ信号に応じて、特定周波数のオーディオ信号であるスイッチ信号を発生する信号発生部と、前記信号発生部が発生したスイッチ信号と前記音声信号入力部から入力された音声信号とをミキシングして合成信号として出力する信号合成部と、コンピュータのオーディオ入力部に接続され、前記合成信号を該コンピュータに入力するコンピュータ接続部と、を備えたことを特徴とする。
【0010】
この発明では、PTTスイッチ等のスイッチのオン/オフ状態に応じて特定周波数のスイッチ信号を発生する。たとえば、スイッチがオンしているときのみスイッチ信号を発生する。このスイッチ信号がマイクから入力された音声信号とともに、コンピュータに入力される。一般的なコンピュータはオーディオインタフェースを標準で備えているため、コンピュータに新たなインタフェースやデバイスドライバを備えることなく、上記の音声信号およびスイッチ信号はコンピュータに入力される。
【0011】
請求項2の発明は、前記スイッチ接続部および前記信号発生部を、複数のスイッチに対応してそれぞれ複数備え、該複数の信号発生部は、それぞれ異なる周波数のスイッチ信号を発生することを特徴とする。
【0012】
請求項3の発明は、前記音声信号入力部と前記信号合成部との間に、前記マイク音声信号の周波数帯域を制限するフィルタを更に備え、前記信号発生部は、前記フィルタの通過帯域外の周波数でスイッチ信号を発生することを特徴とする。
【0013】
請求項4の発明は、前記音声信号入力部および前記スイッチ接続部は、プッシュトゥトークスイッチを含むスイッチ付きのマイクを接続する一体型のコネクタであることを特徴とする。
【0014】
請求項5の発明は、コンピュータに、請求項1乃至請求項4のいずれかに記載のマイクアダプタと、通信機とを接続した通信システムであって、
前記コンピュータは、前記マイクアダプタから前記合成信号を入力するオーディオ入力部と、前記オーディオ入力部から入力した前記合成信号に前記スイッチ信号の有無を検出する信号判定部と、前記信号判定部による前記特定周波数の信号の検出の有無に応じて前記通信機を制御する通信制御部と、を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
この発明によれば、PTTスイッチ等のスイッチのオン/オフをオーディオインタフェースを介してコンピュータに対して入力することができるため、コンピュータに新たなインタフェースやデバイスドライバを設ける必要がなく、従来より一般的でオペレータが使い慣れているマイクロホンを簡便にコンピュータに対して使用することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】この発明の実施形態であるマイクアダプタが適用される通信システムの構成を示す図である。
【図2】通信システムに用いられるマイクの構成を示す図である。
【図3】この発明の実施形態であるマイクアダプタの構成を示すブロック図である。
【図4】マイクアダプタが出力する合成信号の信号成分の周波数分布を示す図である。
【図5】通信システムに用いられるパーソナルコンピュータの機能ブロック図である。
【図6】パーソナルコンピュータコンピュータの動作を示すフローチャートである。
【図7】マイクアダプタの他の実施形態を示すブロック図である。
【図8】上記通信システムの他の実施形態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
図1はこの発明の実施形態であるマイクアダプタが適用されるリモートコミュニケーションシステムの構成図である。リモートコミュニケーションシステムは、パーソナルコンピュータ(PC)3を介して通信機(無線通信機)4を制御するシステムである。パーソナルコンピュータ3には、マイクアダプタ2を介してマイク1が接続されている。マイク1は、一般の無線通信機用のデスクトップマイクであり、プッシュ・トゥー・トーク(PTT)スイッチ11およびモニタ(MONI)スイッチ12を有している。
【0018】
マイクアダプタ2は、パーソナルコンピュータ3のオーディオ入力端子に接続され、マイク1から入力された音声信号をパーソナルコンピュータ3に入力するとともに、PTTスイッチ11、MONIスイッチ12のオン/オフ状態をパーソナルコンピュータ3に入力する。パーソナルコンピュータ3は、PTTスイッチ11、MONIスイッチ12のオン/オフ状態に応じて通信機4を制御する。たとえば、PTTスイッチ11がオンされたとき、パーソナルコンピュータ3は、通信機4を送信モードに切り換え、マイクアダプタ2を介してマイク1から入力された音声信号を通信機4に入力する。なお、この実施形態では、受信した音声を放音するスピーカ5が通信機4に直接接続されているが、パーソナルコンピュータ3にスピーカ5を接続し、受信音声をパーソナルコンピュータ3を介して放音するようにしてもよい。
【0019】
図2はマイク1のブロック図である。マイク1は、マイクユニット10、PTTスイッチ11、MONIスイッチ12を筐体表面に備え、マイク用のアンプ13を内蔵している。また、マイク1をマイクアダプタ2に接続するためのコネクタ15を有している。コネクタ15は、マイク1の本体とケーブル14で接続されている。
【0020】
コネクタ15は、電源入力端子15A、音声出力端子15B、マイク接地端子15C、PTT端子15D、スイッチ接地端子15E、MONI端子15Fを有している。コネクタ15としては、例えばモジュラプラグやDINコネクタが用いられる。
【0021】
マイクユニット10は、オペレータが発した声を電気信号である音声信号に変換する。マイクユニット10としては一般にダイナミックマイクが用いられるが、これに限定されるものではない。この音声信号はアンプ13に入力される。アンプ13はいわゆるマイクアンプであり、マイクユニット10が出力した微弱な電気信号を、マイクアダプタ2等の外部装置に出力できるレベルまで増幅する。アンプ13には、コネクタ15の電源入力端子15Aを介して外部装置から電源が供給される。
【0022】
PTTスイッチ11は、PTT端子15D−スイッチ接地端子15E間に接続された第1スイッチ11Aおよびアンプ13と音声出力端子15Bとの間に接続された第2スイッチ11Bからなっている。第1スイッチ、第2スイッチともに、オペレータによるPTTスイッチ11の押し下げによってオン(閉成)する。第1スイッチ11Aがオンすると、PTT端子15Dが接地状態になる。外部装置は、PTT端子15Dが接地状態になったことにより、PTTスイッチ11のオンを検出する。また、第2スイッチがオンすると、アンプ13から出力された音声信号がコネクタ15の音声出力端子15Bを介して外部装置(マイクアダプタ2)に出力される。
【0023】
MONIスイッチ12は、MONI端子15F−スイッチ接地端子15E間に接続されている。オペレータによる押し下げによってMONIスイッチ12がオンする。MONIスイッチ12がオンすると、MONI端子15Fが接地状態になる。外部装置は、MONI端子15Fが接地状態になったことにより、MONIスイッチ12のオンを検出する。
【0024】
通信機において、PTTスイッチ11は、動作モードを受信モードまたは送信モードに切り換えるスイッチとして使用される。MONIスイッチ12には、トーンスケルチを解除してトーンの異なる他局の通信を傍受(モニタ)するモニタモードを設定する機能などが設定される。
【0025】
図3はマイクアダプタ2のブロック図である。コネクタ20には、マイク1のコネクタ15が接続される。コネクタ20はコネクタ15と同数の端子を有するが、この図では、音声出力端子15Bに対応する音声入力端子20B、PTT端子15Dに対応するPTT入力端子20D、MONI端子15Fに対応するMONI入力端子20Fのみ示している。
【0026】
音声入力端子20Bから入力された音声信号はリミッタ21を介してバンドパスフィルタ(BPF)24に入力される。リミッタ21は音声信号が所定のレベルを超えたとき、これを制限する回路である。BPF24は、音声信号の周波数帯域を通信に用いられる周波数帯域に制限するフィルタである。通常の無線通信の場合、300Hz〜3.4kHzの帯域が用いられるため、BPF24はこの300Hz〜3.4kHzの周波数帯域を通過させるフィルタとして構成される。BPF24によって帯域を制限された音声信号(以下マイク音声信号と呼ぶ)はミキサ27に入力される。
【0027】
コネクタ20のPTT入力端子20Dはトーンジェネレータ(TG)22に接続されている。トーンジェネレータ22は、16kHzの正弦波信号を生成する発振回路である。トーンジェネレータ22は、PTT入力端子20Dが接地状態のとき、すなわちPTTスイッチ11がオンされているとき、16kHzの正弦波信号を発生する。以下、この16kHzの正弦波信号をPTT信号と呼ぶ。
【0028】
また、コネクタ20のMONI入力端子20Fはトーンジェネレータ(TG)23に接続されている。トーンジェネレータ23は、10.6kHzの正弦波信号を発生する発振回路である。MONI入力端子20Fが接地状態のとき、すなわちMONIスイッチ12がオンされているとき、10.6kHzの正弦波信号を発生する。以下、この10.6kHzの正弦波信号をMONI信号と呼ぶ。
【0029】
トーンジェネレータ22が発生したPTT信号は、BPF25で高調波成分等を除去されたのちミキサ27に入力される。BPF25は16kHzの信号のみを通過させる狭帯域のバンドパスフィルタである。トーンジェネレータ23が発生したMONI信号は、BPF26で高調波成分等を除去されたのちミキサ27に入力される。BPF26は10.6kHzの信号のみを通過させる狭帯域のバンドパスフィルタである。
【0030】
ミキサ27は、入力されたマイク音声信号、PTT信号、MONI信号をミキシングして音声出力端子(Audio out)28に出力する。音声出力端子28は、たとえばステレオミニジャック等で構成される。
【0031】
また、このマイクアダプタ2は、マイク1に付属しない他のPTTスイッチ、MONIスイッチを接続可能にするため、スイッチ専用コネクタ29をさらに備えている。スイッチ専用コネクタ29は、PTT入力端子29A、MONI入力端子29B、接地端子29Cを備えている。PTT入力端子29Aはトーンジェネレータ22に接続され、MONI入力端子29Bはトーンジェネレータ23に接続されている。
【0032】
なお、信号処理をデジタルで行う場合には、リミッタ21の後段にA/Dコンバータを挿入して音声信号をデジタル信号に変換し、ミキサ27の後段にD/Aコンバータを挿入してミキシングされたオーディオ信号をアナログ信号に変換すればよい。
【0033】
図4は音声信号、PTT信号、MONI信号の周波数分布を示す図である。音声信号は、300〜3.4kHzに分布し、PTT信号、MONI信号はこの帯域外にスペクトル線を有する16kHz、10.6kHzの正弦波である。したがって、これらの信号はミキシングされてもスペクトルが重なり合うことなく分離可能である。
【0034】
このように、PTTスイッチ11のオンに対応して特定周波数のPTT信号を発生し、MONIスイッチ12のオンに対応して特定周波数MONI信号を発生することにより、スイッチのオン/オフ状態をオーディオ信号としてオーディオインタフェースを介してパーソナルコンピュータ3に入力することができる。
【0035】
図5は、パーソナルコンピュータ3の機能ブロック図である。パーソナルコンピュータ3は、通信制御プログラムに基づいて動作することにより通信制御装置として機能している。通信制御装置として機能するパーソナルコンピュータ3は、オーディオボード30、BPF31、32、33、通信制御部34、信号判定部35、ユーザインタフェース(UI)36、および、ネットワーク制御部37を備えている。ユーザインタフェース36は、キーボード、マウス、ディスプレイ等を含んでいる。パーソナルコンピュータ3と通信機4とは、ネットワークを介して接続されている。ネットワーク制御部37はネットワークを介した通信機4との通信を制御する。
【0036】
オーディオボード30は、オーディオ入力端子30Aを有している。このオーディオ入力端子30Aに、オーディオケーブルを介して、マイクアダプタ2のオーディオ出力端子28が接続される。オーディオボード30は、オーディオ入力端子30Aから入力されたオーディオ信号をデジタル信号に変換してBPF31、32、33に入力する。
【0037】
BPF31は、マイクアダプタ2のBPF24と同じ特性のものであり、入力されたオーディオ信号から300Hz〜3.4kHzの周波数帯域の成分(マイク音声信号)のみを通過させる。BPF32は、マイクアダプタ2のBPF25と同じ特性のものであり、入力されたオーディオ信号から16kHzの周波数成分(PTT信号)のみを通過させる。BPF33は、マイクアダプタ2のBPF26と同じ特性のものであり、入力されたオーディオ信号から10.6kHzの周波数成分(MONI信号)のみを通過させる。
【0038】
BPF31がろ波したマイク音声信号は、通信制御部34に入力される。また、BPF32、33がろ波したPTT信号およびMONI信号は、信号判定部35に入力される。
【0039】
信号判定部35は、BPF32、33からの入力に基づき、PTTスイッチ11またはMONIスイッチ12がオンされているか否かを判定する。この判定結果は通信制御部34に入力される。
【0040】
通信制御部34は、信号判定部35から入力された判定結果およびユーザインタフェース36からの操作入力等に基づいて通信機4を制御する。すなわち、PTTスイッチ11およびMONIスイッチ12の両方がオフのときは、通信機4を受信モードに設定して他の通信機から送られてくる信号を受信させる。PTTスイッチ11がオンしているときは、通信機4を送信モードに切り換えて、マイク音声信号を通信機4に入力し、マイク音声信号を(無線で)他の通信機に送信させる。MONIスイッチ12がオンしているときは、通信機のトーンスケルチを解除して、現在送信されている全てのトーンの通信音声を再生出力させる。
【0041】
このように、パーソナルコンピュータ3からネットワークを介して通信機4を制御することができるため、オペレータは通信機4から離れた場所に居ても、通信機4を制御して通信が可能である。
【0042】
図6は、信号判定部の動作を示すフローチャートである。この動作は一定時間ごと(例えば20ms毎)に実行される。まず、16kHzの信号レベルがしきい値以上であるかを判定する(S1)。16kHzの信号レベルがしきい値以上であれば(S1でYES)、PTT信号が入力されていると判断し、通信制御部34に対してPTTスイッチオンを通知して(S4)動作を終了する。次に、10.6kHzの信号レベルがしきい値以上であるかを判定する(S2)。10.6kHzの信号レベルがしきい値以上であれば(S2でYES)、MONI信号が入力されていると判断し、通信制御部34に対してMONIスイッチオンを通知して(S5)動作を終了する。一方、16kHzの信号レベルも10.6kHzの信号レベルもともに所定のしきい値を超えていなかった場合には(S1、S2でNO)、通信制御部34に対してスイッチオフを通知して(S3)動作を終了する。
【0043】
なお、この動作では、PTTスイッチのオンをMONIスイッチのオンよりも先に判定しており、PTTスイッチのオンがMONIスイッチのオンに優先するようになっているが、これは逆でもよい。また、両スイッチのオン状態を並行して通信制御部34に通知するようにしてもよい。
【0044】
図7はマイクアダプタ2の他の実施形態を示す図である。図3に示したマイクアダプタは、アナログの音声出力端子28を有し、オーディオケーブルを介してパーソナルコンピュータ3と接続され、パーソナルコンピュータ3に内蔵のオーディオボードでデジタル信号に変換される形態であった。図7に示すマイクアダプタは、アナログの音声信号端子28に代えてUSBオーディオインタフェース40を内蔵し、デジタルの音声信号をUSBインタフェースを介して直接パーソナルコンピュータ3に入力する形態のものである。なお、代表的なパーソナルコンピュータのオペレーティングシステムであるWindows(登録商標)XPは、USBオーディオのドライバを標準で装備しているため、この形態であっても、新たなデバイスドライバをインストールする必要はない。
【0045】
図7のマイクアダプタの説明において、図3に示したマイクアダプタと同一構成の部分は同一番号を付して説明を省略する。このマイクアダプタでは、リミッタ21とBPF24との間にA/Dコンバータ41が設けられている。A/Dコンバータ41はマイク1から入力された音声信号をデジタル信号に変換する。なお、トーンジェネレータ22、23、BPF24、25、26、および、ミキサ27は、全てデジタル信号処理部で構成されている。ミキサ27でミキシングされたデジタルオーディオ信号はUSBオーディオインタフェース40からパーソナルコンピュータ3のUSBインタフェースを介してパーソナルコンピュータ3に入力される。
【0046】
このように、パーソナルコンピュータ3に内蔵のオーディオボードを使用することなく、USBインタフェースを介してパーソナルコンピュータにオーディオ信号を入力することができるため、オーディオボードを備えないパーソナルコンピュータにも使用することができ、また、パーソナルコンピュータのオーディオボードの性能に機能が左右されることがない。
【0047】
なお、マイクアダプタが発生する信号は、PTT信号、MONI信号の2種類に限定されない。いずれか一方のみでもよく、さらに、他の信号を発生するようにしてもよい。また、各信号の周波数はこの実施形態の周波数に限定されない。ただし、誤検出を避けるため、単純な分数関係にない2つの周波数を選択することが望ましい。
【0048】
また、この実施形態では、PTTスイッチがオンしているときのみPTT信号を発生するようにしているが、PTT信号の発生時期はこれに限定されない。たとえば、PTTスイッチがオフしている間、PTTスイッチのオンタイミング、オフタイミング等に発生してもよい。また、PTTスイッチのオン期間とオフ期間で異なる周波数の信号を発生するようにしてもよい。また、MONI信号についても同様である。
【0049】
上記実施形態では、無線通信を行う通信機4をPC3と別体に備え、PC3が通信機4を制御する構成のリモートコミュニケーションシステムについて説明した。
図8は、パーソナルコンピュータ(PC3)が通信機を兼ねる構成のリモートコミュニケーションシステムを示す図である。この実施形態においてPC3は、通信機4のように一般の無線通信を行うのではなく、IPネットワーク6を介して、IPプロトコルに基づいて他の通信機との通信を行う。他の通信機は、IPネットワーク6に接続されている他のパーソナルコンピュータ(PC)やレピータ7を介して通信するトランシーバ8を含んでいる。
【0050】
上記構成のリモートコミュニケーションシステムにおいて、PC3は、音声信号の送信時、音声信号に対してIPネットワーク6に送出できるように帯域制御、圧縮等の信号処理を施し(上位レイヤ処理)、音声信号を封入した通信フレームに対して送信先となるトランシーバ8のIDやそのトランシーバ8が属するレピータ7のID等を付加する(下位レイヤ処理)。音声信号の受信時は、IPネットワーク6を介して、自装置宛に送られてきた通信フレームを受信し(下位レイヤ処理)、復調して(上位レイヤ処理)スピーカ5から音声を出力する。
【0051】
このような構成のリモートコミュニケーションシステムにおいても、図3に示したマイクアダプタを同様に用いることができる。PC3においては、通信機の機能を実現するために必要なアプリケーション(たとえばフィルタ処理)に、PTT信号とMONI信号を検出するための処理を追加するのみでよい。
【符号の説明】
【0052】
1 マイク
2 マイクアダプタ
3 パーソナルコンピュータ
4 通信機
6 IPネットワーク
7 レピータ
8 トランシーバ
10 マイクロホンユニット
11 PTT(プッシュトゥトーク)スイッチ
12 MONI(モニタ)スイッチ
35 信号判定部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
マイクが接続され、該マイクが収音した音声信号が入力される音声信号入力部と、
スイッチが接続され、該スイッチのオン/オフ信号が入力されるスイッチ接続部と、
前記スイッチ接続部から入力されたオン/オフ信号に応じて、特定周波数のオーディオ信号であるスイッチ信号を発生する信号発生部と、
前記信号発生部が発生したスイッチ信号と前記音声信号入力部から入力された音声信号とをミキシングして合成信号として出力する信号合成部と、
コンピュータのオーディオ入力部に接続され、前記合成信号を該コンピュータに入力するコンピュータ接続部と、
を備えたマイクアダプタ。
【請求項2】
前記スイッチ接続部および前記信号発生部を、複数のスイッチに対応してそれぞれ複数備え、
該複数の信号発生部は、それぞれ異なる周波数のスイッチ信号を発生する請求項1に記載のマイクアダプタ。
【請求項3】
前記音声信号入力部と前記信号合成部との間に、前記音声信号の周波数帯域を制限するフィルタを更に備え、
前記信号発生部は、前記フィルタの通過帯域外の周波数でスイッチ信号を発生する請求項1または請求項2に記載のマイクアダプタ。
【請求項4】
前記音声信号入力部および前記スイッチ接続部は、プッシュトゥトークスイッチを含むスイッチ付きのマイクを接続する一体型のコネクタを含む請求項1乃至請求項3のいずれかに記載のマイクアダプタ。
【請求項5】
コンピュータに、請求項1乃至請求項4のいずれかに記載のマイクアダプタと、通信機とを接続した通信システムであって、
前記コンピュータは、
前記マイクアダプタから前記合成信号を入力するオーディオ入力部と、
前記オーディオ入力部から入力した前記合成信号に前記スイッチ信号の有無を検出する信号判定部と、
前記信号判定部による前記特定周波数の信号の検出の有無に応じて前記通信機を制御する通信制御部と、
を備えた通信システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−35521(P2011−35521A)
【公開日】平成23年2月17日(2011.2.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−177698(P2009−177698)
【出願日】平成21年7月30日(2009.7.30)
【出願人】(000100746)アイコム株式会社 (273)
【Fターム(参考)】