説明

マシニングセンタ用ツール着脱用具

【課題】 マシニングセンタの機種や種類を問わずに汎用的に使用でき、比較的弱い力で容易にマシニングセンタのツールマガジンにツールを装着でき、また、ツールマガジンの回動操作を伴わずに一度に多数のツールを着脱することのできるマシニングセンタ用ツール着脱用具を提供する。
【解決手段】 マシニングセンタのツールマガジンにツールを着脱するためのマシニングセンタ用ツール着脱用具2であって、ツールのV字形フランジ溝に係合する突条3が内周部に凸設され、一方に開口したU字形状又は円弧状のヘッド部材4と、該ヘッド部材4の外周両端部を所定角度の範囲内で回動自在に支持するU字形状又は円弧状のアーム部材6と、該アーム部材6の下端に直接的又は間接的に固設された長尺の把持棒10とを備えるツール押込具、並びに、ツールマガジンの少なくとも一部に沿った外周部近傍に取り付けられる支点を形成するための支点形成アングルからなるようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マシニングセンタのツールマガジンにツールを着脱するためのマシニングセンタ用ツール着脱用具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、フライス削り、穴あけ、中ぐり、ねじ立てなどの種々の一連の作業を一度の工作物取り付けで完全にあるいはほぼ完全に自動的に行うことのできる工具の自動交換機能を備えた数値制御(NC)工作機械として、マシニングセンタ(Machining Centers)が知られている。
【0003】
このマシニングセンタのツールマガジンにツール(工具)を着脱する補助的手段として、最も簡便で平易な手段は金属製のヘラ状レバーであり(特許文献1の第6図参照)、マガジンポケットの前面を支点として小さい力でツールを脱離せしめることができるようになっている。しかし、このヘラ状レバーはツールマガジンへのツールの装着の際には利用できないため、単純に人力によりツールを押し込むことになるが、ツールマガジンのプルスタッドの保持力は強力であるため相当な力を要するという問題がある。このような人力によるツールマガジンへのツールの装着作業は、特に、マシニングセンタの設置場所が高所であったり、狭い場所であったりすると非常に困難な作業となり、しかもツールの刃先は鋭利なものが多いため危険な作業ともなる。
【0004】
そのため、ツールのV字形フランジ溝に係合するカムねじと、このカムねじを増速するギア機構と、このギア機構の操作手段とからなるツール着脱装置(特許文献1参照)や、ツールのV字形フランジ溝に係合するカムプレートと、このカムプレートの回転中心に結合された回転軸と、この回転軸の操作手段と、前記回転軸を回動可能に支持するため前記ツールマガジンの外周に固定された軸受部とで構成され、前記カムプレートが四分円の一方の辺に沿って円心から偏心した位置に前記回転中心を有する略四分円からなり、かつ前記回転軸が前記回転中心において前記カムプレートの垂直線に対して傾斜して結合され、前記略四分円の円周が前記フランジ溝との係合部としたツール着脱装置(特許文献2参照)等も提案されている。
【0005】
しかし、上記従来のツール着脱装置はマシニングセンタ本体に一体的に取り付けられるものであるため、製造メーカがマシニングセンタの製造段階でツール着脱装置を取り付けておく必要があり、旧式のマシニングセンタにはツール着脱装置が取り付けられていなかったり、大型のマシニングセンタにはツール着脱装置が取り付けられていても中型や小型のマシニングセンタには取り付けらていなかったりする。また、ツール着脱装置が取り付けられていても、その取付位置は固定されているため、ツールを着脱する際にはツール着脱装置を使用できる位置までツールマガジンをそのつど回動させなければならず、一度に多数のツールを着脱したい場合等には非常に煩雑な作業となる。
【特許文献1】実開平3−130339号公報
【特許文献2】実開平5−67440号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上記問題点に鑑みて為されたものであり、マシニングセンタの機種や種類を問わずに汎用的に使用でき、比較的弱い力で容易にマシニングセンタのツールマガジンにツールを装着でき、また、ツールマガジンの回動操作を伴わずに一度に多数のツールを着脱することのできるマシニングセンタ用ツール着脱用具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明のマシニングセンタ用ツール着脱用具は、マシニングセンタのツールマガジンにツールを着脱するためのマシニングセンタ用ツール着脱用具であって、ツールのV字形フランジ溝に係合する突条が内周部に凸設され、一方に開口したU字形状又は円弧状のヘッド部材と、該ヘッド部材の外周両端部を所定角度の範囲内で回動自在に支持するU字形状又は円弧状のアーム部材と、該アーム部材の下端に直接的又は間接的に固設された長尺の把持棒とを備えるツール着脱具、並びに、ツールマガジンの少なくとも一部に沿った外周部近傍に取り付けられる支点を形成するための支点形成アングルからなることを特徴とする。
【0008】
前記把持棒は、梃子の支点となる部分に支点部材を備えるようにすれば、梃子が働きやすく、強度や安定性も増すので好ましい。
【0009】
前記支点部材は、前記把持棒に対して摺動自在とされ且つ所定位置で固定自在とされてなるようにすれば、支点部材の位置をマシニングセンタの機種や支点形成アングルの取り付け位置等に合わせて調整でき、汎用性が向上するので好適である。
【0010】
前記支点部材は、支点高さ調整手段を備えるようにすれば、支点部材の高さの微調整を行うことができ、汎用性が更に向上するので好ましい。
【0011】
前記把持棒は、曲折された段部を備えるようにすれば、支点形成アングルの下端面(支点形成面)がツールのV字形フランジ溝よりも奥側方向(ツールマガジン側方向)に位置しているような場合でも、本発明のマシニングセンタ用ツール着脱用具を利用できるので好適である。
【発明の効果】
【0012】
本発明のマシニングセンタ用ツール着脱用具によれば、マシニングセンタの機種や種類を問わずに汎用的に使用でき、比較的弱い力で容易にマシニングセンタのツールマガジンにツールを装着でき、また、ツールマガジンの回動操作を伴わずに一度に多数のツールを着脱することのできるマシニングセンタ用ツール着脱用具を提供することができるという大きな効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下に本発明の実施の形態を添付図面に基づいて説明するが、本発明の技術思想から逸脱しない限り、これらの実施の形態について種々の変更又は変形が可能なことは言うまでもない。
【0014】
図1は、本発明のマシニングセンタ用ツール着脱用具におけるツール着脱具の一例を示す斜視説明図である。図2は、図1の平面説明図である。図3は、図1の側面要部拡大説明図である。図4は、本発明におけるツール着脱具の他例を示す側面説明図である。図5は、本発明におけるツール着脱具の別例を示す側面説明図である。図6は、本発明のマシニングセンタ用ツール着脱用具における支点形成アングルを示す斜視説明図である。図7は、支点形成アングルの固定治具を示す斜視説明図である。図8は、ツールを装着する場合のツールマガジンと支点形成アングルとの側方からみた位置関係を示す側面説明図である。図9は、ツールを脱離する場合のツールマガジンと支点形成アングルとの側方からみた位置関係を示す側面説明図である。図10は、本発明のマシニングセンタ用ツール着脱用具の使用状態を示す斜視説明図である。
【0015】
図中、符号2はツール着脱具、符号20は支点形成アングル、符号30は支点形成アングルの固定治具、符号50はツールマガジン、符号40はツール、符号100は本発明のマシニングセンタ用ツール着脱用具、符号Mはマシニングセンタである。
【0016】
本発明のマシニングセンタ用ツール着脱用具100は、大別すると、ツール着脱具2と支点形成アングル20とからなり(図10参照)、支点形成アングル20によりツール着脱具2に支点を形成し、梃子の原理を利用して、ツールマガジンへのツールの装着を比較的弱い力で容易に行うことができるようにするものである。
【0017】
図1〜図3は、本発明のマシニングセンタ用ツール着脱用具100におけるツール着脱具2の一例を示し、ツール着脱具2はヘッド部材4とアーム部材6と把持棒10とを備え、また、把持棒10の梃子の支点となる支点部材8を有するものである。
【0018】
ヘッド部材4は、一方に開口したU字形状又は円弧形状をなしており、その内周部にはその略全周に亘って、後述するツール40のV字形フランジ溝43(図8参照)に係合する突条3が凸設されているものである。この突条3はヘッド部材4と一体形成することが強度や剛性の観点から望ましい。
【0019】
アーム部材6は、ヘッド部材4を保持するものであり、ヘッド部材4と同様に一方に開口したU字形状又は円弧形状をなし、ヘッド部材4の外径よりも一回り大きい内径を有するものである。そして、ヘッド部材4の外周両端部をネジ5,5で螺着して支持する。このアーム部材6によるヘッド部材4の支持態様は、ヘッド部材4が所定角度の範囲内で回動自在となるような支持態様である(図3参照)。この所定角度としては5〜20°程度、好ましくは8〜15°程度である。このようにヘッド部材4を所定角度の範囲内で回動自在とするのは、ヘッド部材4は梃子の作用点となる部分であり、ツール40をツールマガジン50のマガジンポケット52に押し込むためにツール着脱具2を傾けた場合等のようにツール着脱具2がツール40のV字形フランジ溝43に対して斜めに位置する場合でも、ツール40のV字形フランジ溝43に対してヘッド部材4が略直角に係合した状態を維持できるようにするためである。なお、ヘッド部材4はこのままであると回動可能な所定角度の範囲内では遊動状態にあるが、このようなヘッド部材4の遊動を規制したい場合は、適宜、アーム部材6とヘッド部材4の間に板バネを介在せしめる等して、ヘッド部材4が常時真っ直ぐな状態に付勢されるようにしておけばよい。
【0020】
把持棒10は、梃子の力点になる部分であり、アーム部材6の下端に固設された長尺の棒状部材である。固設態様は一体形成や螺着によるもの等の直接的なものでもよいし、後述する支点部材8を介在させる等の間接的なものでもよい。また、把持棒10はその一部が梃子の支点も兼ねるので、強度や剛性の高い材質のものであることが望ましい。
【0021】
支点部材8は、把持棒10の支点となる部分に設けられる部材であり、後述する支点形成アングル20に当接して梃子の支点となることができれば特に形状等に限定は無いが、例えば図示例の如く直方体状の部材である。また、図示例では、支点部材8を把持棒10と別体に設けた例を示したが、把持棒10の一部(支点となる部分)に直方体状の部分(支点部)を一体形成する等してもよい。なお、把持棒10の一部を梃子の支点として利用すれば必要充分なのであれば、支点部材8は必ずしも必須ではない。
【0022】
図4は、ツール着脱具の他例を示し、符号2aはツール着脱具の他例である。ツール着脱具2aは、支点部材8aが異なる以外は上述したツール着脱具2と略同様であり、ヘッド部材4とアーム部材6と把持棒10についての重複した説明は省略する。支点部材8aは、把持棒10に挿嵌されて上下に摺動自在とされており、ネジ13により所定位置で固定自在とされると共に、支点高さ調整手段としてのボルト14a,14bが支点部材8aの両面(支点形成アングル20に当接する部分)に螺挿されている。これにより、支点部材8aの把持棒10上での位置をマシニングセンタMの機種や支点形成アングル20の取り付け位置等に合わせて調整でき、また、支点部材8aの高さの微調整も行うことができるようになり、汎用性が高くなる。
【0023】
図5は、ツール着脱具の別例を示し、符号2bはツール着脱具の別例である。ツール着脱具2bは、把持棒10aが異なる以外は上述したツール着脱具2と略同様であり、ヘッド部材4とアーム部材6と支点部材8についての重複した説明は省略する。把持棒10aは、その一部に曲折された段部11を備えるものである。このような段部11を備えることにより、支点形成アングル20の下端面(支点形成面)がツール40のV字形フランジ溝43よりも奥側方向(ツールマガジン側方向)に位置しているような場合でも、本発明用具を利用できるようになる。
【0024】
次に、図6及び図7は、支点形成アングル20及びその固定治具30を示し、支点形成アングル20は、ツール着脱具2に支点を形成するための部材であり、ツールマガジン50の少なくとも一部に沿った外周部近傍に取り付けられるものである(図10参照)。支点形成アングル20は、ツールマガジン50の形状に沿って設ける必要があるので、ツールマガジン50が円形であれば、支点形成アングル20は図示例の如く弧状乃至弓状に形成し、ツールマガジン50が楕円形で(特許文献1の第2図参照)、ツールマガジン50の略直線状の部分に沿って取り付けるのであれば、支点形成アングル20も略直線状に形成すればよい。
【0025】
図示例では支点形成アングル20を基板22と側板24からなる断面L字形の部材で構成した例を示しているが、断面コ字形の部材でもよいし、撓みが少なく強度や剛性が必要充分なのであれば単に板状の部材であってもよいし、ツール着脱具2に支点を形成できれば棒状や柱状の部材であってもよい。
【0026】
また、固定治具30は、支点形成アングル20をマシニングセンタMのフレームFに取り付けるための治具であり、円柱状の治具本体32には一端側にネジ部34が凸設され、他端側にネジ孔36が凹設され、スパナ等の工具で締め付けやすいように凹部33が形成されている。そして、マシニングセンタMのフレームFに固定治具30のネジ部34を螺着し、固定治具30のネジ孔36と支点形成アングル20の基板22に穿孔されている貫通孔26a〜26cとを適宜ネジで螺着するようにして、支点形成アングル20をツールマガジン50の少なくとも一部に沿った外周部近傍に取り付ければよい(図10参照)。
【0027】
図8は、ツール40を装着する場合のツールマガジン50と支点形成アングル20との側方からみた位置関係を示している。図中、符号Aはフランジ42の上端ラインであり、符号Bはフランジ42の下端ラインである。なお、フランジ42の上端ラインAとフランジ42の下端ラインBとの間の距離D2(フランジの厚み)は例えば3cm程度である。
【0028】
マシニングセンタMのツールマガジン50は多数のマガジンポケット52が円形や楕円形に並設されてなるものである(図10及び特許文献1の第2図参照)。ツール40は、その先端に各種の工具41が取り付けられており、フランジ42にはV字形フランジ溝43が凹設され、その下方には円錐部44が設けられ、プルスタッド46が下端に設けられている。また、マガジンポケット52は、ポケット部53が凹設され、その奥部には係止ボール56とこの係止ボール56を内方に付勢するスプリング58を備え、ツール40の円錐部44の下端に設けられたプルスタッド46を押し込むことにより、ツール40がマガジンポケット52に固定されるようになっている。
【0029】
そして、ツールマガジン50と支点形成アングル20との側方からみた位置関係は、原則的には、支点形成アングル20がフランジ42の上端ラインAよりも手前方向(ツールマガジン側と逆方向)に位置するようにし、支点形成アングル20の下端面(支点形成面)とフランジ42の上端ラインAとの間に距離D1の分の間隔を開けるようにする。この距離D1としては、支点となる部分の遠近にもよるが、例えば0〜3cm程度である。なお、支点形成アングル20の下端面(支点形成面)がフランジ42の上端ラインAと同じライン上にある場合(即ち距離D1が0cmの場合)、ツール着脱具2がツール40のV字形フランジ溝43に対して斜めに位置させる必要があるが、前述したように、ヘッド部材4は所定角度の範囲内で回動自在となっているため、ツール40のV字形フランジ溝43に対してヘッド部材4を略直角に係合させることができる。
【0030】
また、ツール40がオイルスルーやタッチセンサー用位置決めアームを備えるような特殊なツールである場合は、支点形成アングル20をツールのフランジ42の上端(符号Aのライン)よりも手前方向(ツールマガジン側と逆方向)に位置すると邪魔になるため、フランジ42の上端(図8の符号Aのライン)よりも奥側方向(ツールマガジン側方向)に位置(即ち距離D1をマイナスに位置)させる必要があるが、その場合は、前述したツール着脱具2b(図5参照)を用いるようにすればよい。
【0031】
図9は、ツール40を脱離する場合のツールマガジン50と支点形成アングル20との側方からみた位置関係を示している。ツールマガジン50からツール40を脱離せしめるには、簡便で平易なヘラ状レバーがあるので、これをそのまま利用して従来と同様に、マガジンポケット52とフランジ42の間の間隙Gの部分(図8及び図9参照)にヘラ状レバーを差し込み、マガジンポケット52の前面を梃子の支点にして取り外すようにしてもよいが、ツール40の着脱に2種類の道具(ツール着脱具2とヘラ状レバー)を用意するのは不経済であるし、持ち替えたりするのが面倒な場合もあり得る。
【0032】
その場合は、ツール40の装着の場合(図8参照)とは逆の要領で、原則として支点形成アングル20をフランジ42の下端ラインBよりも奥側方向(ツールマガジン側方向)に位置するようにして、ツール着脱具2を用いてツール40の脱離を行うようにすればよい。支点形成アングル20の上端面(支点形成面)とフランジ42の下端ラインBとの間の距離D3については、前述した距離D2の場合と同様であるので重複した説明は省略する。
【0033】
なお、支点形成アングル20は、ツール40の装着用(図8参照)と脱離用(図9参照)とを別々に用意してもよいが、装着と脱離を兼用できるように、支点形成アングル20を奥側方向(ツールマガジン側方向)と手前方向(ツールマガジン側と逆方向)との両方に並べたものを用意してもよい。
【0034】
図10は、本発明のマシニングセンタ用ツール着脱用具100の使用状態を示している。ツール40を装着する場合(図8参照)は、マシニングセンタMのフレームFの適宜な場所に、固定治具30を螺着して支点形成アングル20をツールマガジン50の外周部近傍に取り付け、ツール着脱具2を支点形成アングル20の内側(ツールマガジン側)から、ツール着脱具2のヘッド部材4とツール40のV字形フランジ溝43とが係合するようにして差し入れ、ツール着脱具2の把持棒10を手前方向(ツールマガジン側と逆方向)に引くことにより、支点部材8と支点形成アングル20とが当接し梃子の支点となって、ツール40はマガジンポケット52に容易に押し込まれることとなる。
【0035】
また、ツール40を脱離する場合(図9参照)は図示していないが、上記と逆の要領で、ツール着脱具2を支点形成アングル20の外側(ツールマガジンの逆側)から、ツール着脱具2のヘッド部材4とツール40のV字形フランジ溝43とが係合するようにして差し入れ、ツール着脱具2の把持棒10を奥側方向(ツールマガジン方向)に押すことにより、支点部材8と支点形成アングル20とが当接し梃子の支点となって、ツール40はマガジンポケット52に容易に取り外されることとなる。
【0036】
支点形成アングル20が届く範囲内のマガジンポケット52であれば、同様の要領でツール着脱具2によりツール40をマガジンポケット52に着脱できるので、ツールマガジン50の回動操作を伴わずに一度に多数のツールを着脱することができる。
【0037】
以上述べた如く、本発明のマシニングセンタ用ツール着脱用具100によれば、マシニングセンタMの機種や種類を問わずに汎用的に使用でき、比較的弱い力で容易にマシニングセンタMのツールマガジン50にツール40を装着でき、また、ツールマガジン50の回動操作を伴わずに一度に多数のツール40を着脱することのできるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】本発明のマシニングセンタ用ツール着脱用具におけるツール着脱具の一例を示す斜視説明図である。
【図2】図1の平面説明図である。
【図3】図1の側面要部拡大説明図である。
【図4】本発明におけるツール着脱具の他例を示す側面説明図である。
【図5】本発明におけるツール着脱具の別例を示す側面説明図である。
【図6】本発明のマシニングセンタ用ツール着脱用具における支点形成アングルを示す斜視説明図である。
【図7】支点形成アングルの固定治具を示す斜視説明図である。
【図8】ツールを装着する場合のツールマガジンと支点形成アングルとの側方からみた位置関係を示す側面説明図である。
【図9】ツールを脱離する場合のツールマガジンと支点形成アングルとの側方からみた位置関係を示す側面説明図である。
【図10】本発明のマシニングセンタ用ツール着脱用具の使用状態を示す斜視説明図である。
【符号の説明】
【0039】
2,2a,2b:ツール着脱具、3:突条、4:ヘッド部材、5:ネジ、6:アーム部材、8,8a:支点部材、10,10a:把持棒、11:段部、13:ネジ、14a,14b:ボルト、20:支点形成アングル、22:基板、24:側板、26a,26b,26c:貫通孔、30:固定治具、32:治具本体、33:凹部、34:ネジ部、36:ネジ孔、40:ツール、41:工具、42:フランジ、43:V字形フランジ溝、44:円錐部、46:プルスタッド、50:ツールマガジン、52:マガジンポケット、53:ポケット部、56:係止ボール、58:スプリング、100:本発明のマシニングセンタ用ツール着脱用具、A:フランジの上端ライン、B:フランジの下端ライン、F:フレーム、G:間隙、M:マシニングセンタ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
マシニングセンタのツールマガジンにツールを着脱するためのマシニングセンタ用ツール着脱用具であって、ツールのV字形フランジ溝に係合する突条が内周部に凸設され、一方に開口したU字形状又は円弧状のヘッド部材と、該ヘッド部材の外周両端部を所定角度の範囲内で回動自在に支持するU字形状又は円弧状のアーム部材と、該アーム部材の下端に直接的又は間接的に固設された長尺の把持棒とを備えるツール着脱具、並びに、ツールマガジンの少なくとも一部に沿った外周部近傍に取り付けられる支点を形成するための支点形成アングルからなることを特徴とするマシニングセンタ用ツール着脱用具。
【請求項2】
前記把持棒は、梃子の支点となる部分に支点部材を備えることを特徴とする請求項1記載のマシニングセンタ用ツール着脱用具。
【請求項3】
前記支点部材は、前記把持棒に対して摺動自在とされ且つ所定位置で固定自在とされてなることを特徴とする請求項2記載のマシニングセンタ用ツール着脱用具。
【請求項4】
前記支持部材は、支点高さ調整手段を備えることを特徴とする請求項2又は3記載のマシニングセンタ用ツール着脱用具。
【請求項5】
前記把持棒は、曲折された段部を備えることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項記載のマシニングセンタ用ツール着脱用具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2006−224212(P2006−224212A)
【公開日】平成18年8月31日(2006.8.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−38458(P2005−38458)
【出願日】平成17年2月15日(2005.2.15)
【出願人】(301059400)有限会社小林製作所 (2)
【Fターム(参考)】