説明

マスターバッチ型エポキシ樹脂用潜在性硬化剤及びそれを用いたエポキシ樹脂組成物

【課題】エポキシ樹脂に、優れた保存安定性及び加熱硬化性を付与することができる、エポキシ樹脂用潜在性硬化剤、及び優れた保存安定性及び加熱硬化を有する一液型硬化性エポキシ樹脂組成物の提供。
【解決手段】
(A)グリシジルエーテル型エポキシ樹脂、(B)(B−1)グリシジルエーテル型エポキシ樹脂及びポリアミン化合物を反応させて得られるアダクト変性アミンを50質量%〜99質量%、及び、(B−2)フェノール化合物を50質量%〜1質量%含有する混合物微粒子、(C)活性水素化合物、並びに、(D)イソシアネート化合物から得られることを特徴とするマスターバッチ型エポキシ樹脂用潜在性硬化剤、並びに該マスターバッチ型エポキシ樹脂用潜在性硬化剤及びエポキシ樹脂を含有してなる一液型硬化性エポキシ樹脂組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はマスターバッチ型エポキシ樹脂用潜在性硬化剤、及び、それを用いたエポキシ樹脂組成物に関し、特に、グリシジルエーテル型エポキシ樹脂、アダクト変性アミン及びフェノール樹脂の混合物微粒子、活性水素化合物、並びにイソシアネート化合物から得られ、硬化性、安定性に優れたマスターバッチ型エポキシ樹脂用潜在性硬化剤に関する。
【背景技術】
【0002】
エポキシ樹脂は、各種基材への接着性が優れており、また、エポキシ樹脂を硬化剤で硬化させた硬化物は、耐熱性、耐薬品性、電気特性、機械特性等が比較的優れているため、塗料、接着剤、各種成型材料等に、幅広く賞用されている。
【0003】
従来、エポキシ樹脂組成物は、使用直前に硬化剤や硬化促進剤を添加する二液系が主流であった。二液系は、常温あるいは低温において硬化させることができる特徴を有しているが、その反面、使用直前に計量、混合しなければならならず、さらに使用可能な時間が短く、自動機械への適用が困難である等、使用条件が制限されるという問題点がある。このような問題点を解消するために一液硬化性エポキシ樹脂組成物が望まれている。
【0004】
このような一液硬化性樹脂組成物を得るためには、室温では反応しないが、加熱により反応を開始し、硬化させる性質を有する硬化剤、いわゆる潜在性硬化剤が必要である。潜在性硬化剤としては、例えば、ジシアンジアミド、二塩基酸ジヒドラジド、三フッ化ホウ素アミン錯塩、グアナミン類、メラミン、イミダゾール類等が提案されている。
しかしながら、例えば、ジシアンジアミド、メラミン、グアナミン類をエポキシ樹脂と混合したものは、貯蔵安定性には優れているが、硬化させるためには150℃以上の高温を長時間かけることを必要とするという問題を有している。
【0005】
また、これらと硬化促進剤を併用して硬化時間を短縮することも広く行われているが、貯蔵安定性が著しく損なわれるという問題が生じる。
一方、二塩基酸ジヒドラジドやイミダゾール類は比較的低温で硬化するが、貯蔵安定性に乏しい。三フッ化ホウ素アミン錯塩は貯蔵安定性に優れ硬化時間は短いという長所があるが、耐水性に劣るばかりでなく、金属に対する腐食性を持つ等の問題を有している。
【0006】
また、アミンエポキシアダクト等のアミン系硬化剤を、ポリイソシアネートで表面処理してなるマイクロカプセル型のエポキシ樹脂用潜在性硬化剤が数多く提案されているが、未だ、保存安定性、加熱硬化性等の性能面において十分満足できるものは得られていない。
【0007】
例えば、硬化剤をコア成分、熱可塑性樹脂をシェル成分とするマイクロカプセル型硬化剤(特許文献1)、1級アミノ基または2級アミノ基を有する化合物と、3級アミノ基を有するが1級アミノ基および2級アミノ基を有さない化合物の混合物からなる微粉末とイソシアネート化合物を反応させてなるエポキシ樹脂用硬化剤(特許文献2)や、アミン化合物とエポキシ化合物から合成される固体付加体で、形状が球状のエポキシ樹脂用粉体硬化剤(特許文献3)が提案されているが、何れも、保存安定性及び加熱硬化性において満足することのできるものではなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開平9−3164号公報
【特許文献2】特開平4−314724号公報
【特許文献3】特許3098760号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の第一の目的は、エポキシ樹脂に、優れた保存安定性及び加熱硬化性を付与することができる、エポキシ樹脂用潜在性硬化剤を提供することにある。
また、本発明の第二の目的は、優れた保存安定性及び加熱硬化を有する一液型硬化性エポキシ樹脂組成物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者等は、鋭意検討を重ねた結果、特定の成分を含有するマスターバッチ型エポキシ樹脂用潜在性硬化剤を使用することにより、優れた保存安定性及び加熱硬化性を有する一液型硬化性エポキシ樹脂組成物が得られることを見出し、本発明に到達した。
【0011】
即ち、本発明は、下記の成分(A)〜(D)から得られるマスターバッチ型エポキシ樹脂用潜在性硬化剤、及び、エポキシ樹脂及び該マスターバッチ型エポキシ樹脂用潜在性硬化剤を含有してなる一液型硬化性エポキシ樹脂組成物である。
(A)グリシジルエーテル型エポキシ樹脂、
(B)(B−1)グリシジルエーテル型エポキシ樹脂及びポリアミン化合物を反応させて得られるアダクト変性アミンを50質量%〜99質量%、及び、(B−2)フェノール化合物を50質量%〜1質量%含有する混合物微粒子、
(C)活性水素化合物、及び、
(D)イソシアネート化合物。
本発明のマスターバッチ型エポキシ樹脂用潜在性硬化剤は、前記(A)〜(C)の混合系に前記成分(D)を反応させたものでもよい。
前記成分(A)に使用されるグリシジルエーテル型エポキシ樹脂中の塩素濃度は、2000ppm以下であることが好ましい。
また、本発明のマスターバッチ型エポキシ樹脂用潜在性硬化剤は、粘度が20Pa・s/25℃〜400Pa・s/25℃であることが好ましい。
【発明の効果】
【0012】
本発明のマスターバッチ型エポキシ樹脂用潜在性硬化剤により、保存安定性及び硬化性に優れたエポキシ樹脂組成物を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
本発明のマスターバッチ型エポキシ樹脂用潜在性硬化剤は、以下に述べる成分(A)〜(D)から得られる。
前記成分(A)、グリシジルエーテル型エポキシ樹脂としては、例えば、ハイドロキノン、レゾルシン、ピロカテコール、フロログルクシノール等の単核多価フェノール化合物のポリグリシジルエーテル化合物;ジヒドロキシナフタレン、ビフェノール、メチレンビスフェノール(ビスフェノールF)、メチレンビス(オルトクレゾール)、エチリデンビスフェノール、イソプロピリデンビスフェノール(ビスフェノールA)、イソプロピリデンビス(オルトクレゾール)、テトラブロモビスフェノールA、1,3−ビス(4−ヒドロキシクミルベンゼン)、1,4−ビス(4−ヒドロキシクミルベンゼン)、1,1,3−トリス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、1,1,2,2−テトラ(4−ヒドロキシフェニル)エタン、チオビスフェノール、スルホビスフェノール、オキシビスフェノール、フェノールノボラック、オルソクレゾールノボラック、エチルフェノールノボラック、ブチルフェノールノボラック、オクチルフェノールノボラック、レゾルシンノボラック、テルペンフェノール等の多核多価フェノール化合物のポリグリジルエーテル化合物;エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ヘキサンジオール、ポリグリコール、チオジグリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ソルビトール、ビスフェノールA−エチレンオキシド付加物等の多価アルコール類のポリグリシジルエーテル等が挙げられる。
成分(A)グリシジルエーテル型エポキシ樹脂において、塩素濃度が高いと、得られるマスターバッチ型エポキシ樹脂用潜在性硬化剤の粘度が高くなり、取り扱い性が低下すると共に、保存安定性も低下することから、成分(A)グリシジルエーテル型エポキシ樹脂中の塩素濃度は2000ppm以下であることが好ましい。
【0014】
成分(B)は、(B−1)グリシジルエーテル型エポキシ樹脂及びポリアミン化合物を反応させて得られるアダクト変性アミン、及び、(B−2)フェノール化合物の混合物微粒子である。
前記グリシジルエーテル型エポキシ樹脂の例としては、前記成分(A)として例示された化合物が挙げられる。また、(B−1)に使用されるグリシジルエーテル型エポキシ樹脂においても、前記成分(A)と同様、塩素濃度は2000ppm以下であることが好ましい。
【0015】
ポリアミンの例としては、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ヘキサメチレンジアミン、イソホロンジアミン、ビス(4−アミノ−3−メチルシクロヘキシル)メタン、ジアミノジシクロヘキシルメタン、メタキシレンジアミン、ジアミノジフェニルメタン、ジアミノジフェニルスルホン、メタフェニレンジアミン、2−メチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、2−イソプロピルイミダゾール、2−ウンデシルイミダゾール、2−ヘプタデシルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、2−フェニル−4−メチルイミダゾール、2−アミノプロピルイミダゾール等のイミダゾール類;N,N−ジメチルアミノエチルアミン、N,N−ジエチルアミノエチルアミン、N,N−ジイソプロピルアミノエチルアミン、N,N−ジアリルアミノエチルアミン、N,N−ベンジルメチルアミノエチルアミン、N,N−ジベンジルアミノエチルアミン、N,N−シクロヘキシルメチルアミノエチルアミン、N,N−ジシクロヘキシルアミノエチルアミン、N−(2−アミノエチル)ピロリジン、N−(2−アミノエチル)ピペリジン、N−(2−アミノエチル)モルホリン、N−(2−アミノエチル)ピペラジン、N−(2−アミノエチル)−N’−メチルピペラジン、N,N−ジメチルアミノプロピルアミン、N,N−ジエチルアミノプロピルアミン、N,N−ジイソプロピルアミノプロピルアミン、N,N−ジアリルアミノプロピルアミン、N,N−ベンジルメチルアミノプロピルアミン、N,N−ジベンジルアミノプロピルアミン、N,N−シクロヘキシルメチルアミノプロピルアミン、N,N−ジシクロヘキシルアミノプロピルアミン、N−(3−アミノプロピル)ピロリジン、N−(3−アミノプロピル)ピペリジン、N−(3−アミノプロピル)モルホリン、N−(3−アミノプロピル)ピペラジン、N−(3−アミノプロピル)−N’−メチルピペリジン、4−(N,N−ジメチルアミノ)ベンジルアミン、4−(N,N−ジエチルアミノ)ベンジルアミン、4−(N,N−ジイソプロピルアミノ)ベンジルアミン、N,N,−ジメチルイソホロンジアミン、N,N−ジメチルビスアミノシクロヘキサン、N,N,N’−トリメチルエチレンジアミン、N’−エチル−N,N−ジメチルエチレンジアミン、N,N,N’−トリメチルエチレンジアミン、N’−エチル−N,N−ジメチルプロパンジアミン、N’−エチル−N,N−ジベンジルアミノプロピルアミン;N,N−(ビスアミノプロピル)−N−メチルアミン、N,N−ビスアミノプロピルエチルアミン、N,N−ビスアミノプロピルプロピルアミン、N,N−ビスアミノプロピルブチルアミン、N,N−ビスアミノプロピルペンチルアミン、N,N−ビスアミノプロピルヘキシルアミン、N,N−ビスアミノプロピル−2−エチルヘキシルアミン、N,N−ビスアミノプロピルシクロヘキシルアミン、N,N−ビスアミノプロピルベンジルアミン、N,N−ビスアミノプロピルアリルアミン、ビス〔3−(N,N−ジメチルアミノプロピル)〕アミン、ビス〔3−(N,N−ジエチルアミノプロピル)〕アミン、ビス〔3−(N,N−ジイソプロピルアミノプロピル)〕アミン、ビス〔3−(N,N−ジブチルアミノプロピル)〕アミン等が挙げられる。
【0016】
前記(B−1)アダクト変性アミンを生成させるためには、ポリアミン1モルに対して、グリシジルエーテル型エポキシ樹脂0.25〜0.75モルを反応させることが必要であり、0.4〜0.6モルを反応させることが好ましい。
反応方法は、特に制限されるものではないが、例えば、溶剤中に2級もしくは3級アミノ基を有する化合物を溶解させ、そこにグリシジルエーテル型エポキシ樹脂を少量ずつ添加し、さらに100℃以上に加熱して反応させる方法がある。
【0017】
反応のために使用される溶剤としては、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン、シクロヘキセン、ミネラルスピリット、ナフサ等の炭化水素類;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類;酢酸エチル、酢酸−n−ブチル、プロピレングリコールモノメチルエチルエーテルアセテート等のエステル類;メタノール、イソプロパノール、n−ブタノール、ブチルセルソルブ、ブチルカルビトール等のアルコール類等が挙げられる。
【0018】
前記(B−2)フェノール化合物は、特に制限されるものではなく、例えば、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(ビスフェノールA)、又はフェノール類とアルデヒド類より合成されるフェノール樹脂が挙げられる。
フェノール類の例としては、フェノール、クレゾール、エチルフェノール、n−プロピルフェノール、イソプロピルフェノール、ブチルフェノール、第三ブチルフェノール、オクチルフェノール、ノニルフェノール、ドデシルフェノール、シクロヘキシルフェノール、フェニルフェノール、クロロフェノール、ブロモフェノール、キシレノール、レゾルシン、カテコール、ハイドロキノン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、4,4’−チオジフェノール、ジヒドロキシジフェニルメタン、ナフトール、テルペンフェノール、フェノール化ジシクロペンタジエン等が挙げられ、アルデヒド類としては、ホルムアルデヒド等が挙げられる。
【0019】
成分(B)の混合物粒子は、通常、溶剤中で前記(B−1)及び(B−2)成分を加熱混合した後、溶剤を溜去し、粉砕して得られる。
ここで使用される溶剤としては、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン、シクロヘキセン、ミネラルスピリット、ナフサ等の炭化水素類;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類;酢酸エチル、酢酸−n−ブチル、プロピレングリコールモノメチルエチルエーテルアセテート等のエステル類;メタノール、イソプロパノール、n−ブタノール、ブチルセルソルブ、ブチルカルビトール等のアルコール類等が挙げられる。
【0020】
前記(B−1)成分と(B−2)成分の混合比は、(B−1)成分が50質量%〜99質量%、(B−2)成分が1質量%〜50質量%であることが必要であり、(B−1)成分が70質量%〜90質量%、(B−2)成分が10質量%〜30質量%であることが好ましい。(B−2)成分の混合比が1質量%では、マスターバッチ型エポキシ樹脂用潜在性硬化剤の粘度が高くなり、取り扱い性が低下する。また、(B−2)成分が50質量%を超えると、エポキシ樹脂の硬化温度が高くなるため、硬化性が低下する。
また、(B)成分の混合物微粒子の体積平均粒径は、100μm以下であり、0.1〜10μmであることが好ましい。
【0021】
前記(C)活性水素化合物としては、水、1分子中に1個以上の1級及び/又は2級アミノ基を有する化合物、1分子中に1個以上の水酸基を有する化合物が挙げられる。
【0022】
前記1分子中に1個以上の一級及び/又は二級アミノ基を有する化合物の例としては、脂肪族アミン、脂環式アミン、芳香族アミン等が挙げられる
脂肪族アミンとしては、例えば、メチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、ブチルアミン、ジブチルアミン等のアルキルアミン、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、ブチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン等のアルキレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン等のポリアルキレンポリアミン、ポリオキシプロピレンジアミン、ポリオキシエチレンジアミン等のポリオキシアルキレンポリアミン類等が挙げられる。
また、脂環式アミンの例としては、シクロプロピルアミン、シクロブチルアミン、シクロペンチルアミン、シクロヘキシルアミン、イソホロンジアミン等が挙げられ、芳香族アミンの例としては、アニリン、トルイジン、ベンジルアミン、ナフチルアミン、ジアミノジフェニルメタン、ジアミノジフェニルスルホン等が挙げられる。
【0023】
前記1分子中に1個以上の水酸基を有する化合物の例としては、アルコール化合物とフェノール化合物等が挙げられる。
アルコール化合物としては、例えば、メチルアルコール、プロピルアルコール、ブチルアルコール、アミルアルコール、ヘキシルアルコール、ヘプチルアルコール、オクチルアルコール、ノニルアルコール、デシルアルコール、ウンデシルアルコール、ラウリルアルコール、ドテシルアルコール、ステアリルアルコール、エイコシルアルコール、アリルアルコール、クロチルアルコール、プロパルギルアルコール、シクロペンタノール、シクロヘキサノール、ベンジルアルコール、シンナミルアルコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチル等のモノアルコール類、エチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、水添ビスフェノールA、ネオペンチルグリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール等の多価アルコール類等が挙げられる。
また、フェノール化合物等の例としては、前記成分(B−1)として例示された化合物が挙げられる。
【0024】
前記(D)イソシアネート化合物の例としては、プロパン−1,2−ジイソシアネート、2,3−ジメチルブタン−2,3−ジイソシアネート、2−メチルペンタン−2,4−ジイソシアネート、オクタン−3,6−ジイソシアネート、3,3−ジニトロペンタン−1,5−ジイソシアネート、オクタン−1,6−ジイソシアネート、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート(TDI)、キシリレンジイソシアネート、メタテトラメチルキシリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート(3−イソシアネートメチル−3,5,5−トリメチルシクロヘキシルイソシアネート)、1,3−又は1,4−ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン、ジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート(MDI)、ジシクロヘキシルメタン−4,4’−ジイソシアネート(水添MDI)、水添トリレンジイソシアネート等、及びこれらの混合物が挙げられる。
【0025】
更に、イソシアヌレート型ポリイソシアネート、ビウレット型ポリイソシアネート、ウレタン型ポリイソシアネート、アロハネート型ポリイソシアネート等のアダクト型ポリイソシアネートも成分(D)として使用することができる。
【0026】
前記イソシアヌレート型ポリイソシアネートは、前述したイソシアネート化合物を、4級アンモニウム塩等を用いて環化3量化することにより得られる。
また、ビウレット型ポリイソシアネートは、前述したイソシアネート化合物を、水等のビウレット化剤と反応させることにより得られる。
また、ウレタン型及び/又はアロハネート型ポリイソシアネートは、前述したイソシアネート化合物を、モノアルコール及び/又はポリオールと反応させることにより得られる。
ここで用いられるモノアルコールの例としては、n−ブタノール、2−エチルヘキサノール、ブチルセロソルブ、ポリエチレングリコールモノエチルエーテル等、ポリオールとしては、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3ブタンジオール、1,4ブタンジオール、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、トリメチロールプロパン等が挙げられる。これらモノアルコール、ポリオールは単独で使用しても、2種以上を併用してもよい。
【0027】
本発明のマスターバッチ型エポキシ樹脂用潜在性硬化剤は、前記成分(A)、(B)及び(C)の混合物と、成分(D)とを反応させて得られたものでもよい。具体的には、成分(A)、(B)及び(C)の混合系に成分(D)を添加し、40〜60℃で加熱反応させ、IRによるイソシアネート基の吸収が消滅したことを確認した後、さらに、40〜60℃にて2〜12時間熟成反応させる。
各成分の配合比は、成分(A)が50‐78.9質量%、成分(B)が20‐48.9質量%、成分(C)が0.1‐1.5質量%、及び成分(D)が1‐15質量%である。
【0028】
また、本発明により得られるマスターバッチ型エポキシ樹脂用潜在性硬化剤は、作業性および配合優位性という理由から、粘度が20Pa・s/25℃〜400Pa・s/25℃であることが好ましい。
【0029】
本発明の一液型硬化性エポキシ樹脂組成物は、本発明のマスターバッチ型エポキシ樹脂用潜在性硬化剤とエポキシ樹脂を含有してなる。
本発明の一液型硬化性エポキシ樹脂組成物に使用されるエポキシ樹脂としては、例えば、ハイドロキノン、レゾルシン、ピロカテコール、フロログルシノール等の単核多価フェノール化合物のポリグリシジルエーテル化合物;ジヒドロキシナフタレン、ビフェノール、メチレンビスフェノール(ビスフェノールF)、メチレンビス(オルトクレゾール)、エチリデンビスフェノール、イソプロピリデンビスフェノール(ビスフェノールA)、イソプロピリデンビス(オルトクレゾール)、テトラブロモビスフェノールA、1,3−ビス(4−ヒドロキシクミルベンゼン)、1,4−ビス(4−ヒドロキシクミルベンゼン)、1,1,3−トリス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、1,1,2,2−テトラ(4−ヒドロキシフェニル)エタン、チオビスフェノール、スルホビスフェノール、オキシビスフェノール、フェノールノボラック、オルソクレゾールノボラック、エチルフェノールノボラック、ブチルフェノールノボラック、オクチルフェノールノボラック、レゾルシンノボラック、テルペンフェノール等の多核多価フェノール化合物のポリグリジルエーテル化合物;エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ヘキサンジオール、ポリグリコール、チオジグリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ソルビトール、ビスフェノールA−エチレンオキシド付加物等の多価アルコール類のポリグリシジルエーテル;マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、コハク酸、グルタル酸、スベリン酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ダイマー酸、トリマー酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、トリメリット酸、トリメシン酸、ピロメリット酸、テトラヒドロフタル酸、ヘキサヒドロフタル酸、エンドメチレンテトラヒドロフタル酸等の脂肪族、芳香族または脂環族多塩基酸のグリシジルエステル類およびグリシジルメタクリレートの単独重合体または共重合体;N,N−ジグリシジルアニリン、ビス(4−(N−メチル−N−グリシジルアミノ)フェニル)メタン、ジグリシジルオルトトルイジン等のグリシジルアミノ基を有するエポキシ化合物;ビニルシクロヘキセンジエポキシド、ジシクロペンタンジエンジエポキサイド、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキシルメチル−6−メチルシクロヘキサンカルボキシレート、ビス(3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキシルメチル)アジペート等の環状オレフィン化合物のエポキシ化物;エポキシ化ポリブタジエン、エポキシ化スチレン−ブタジエン共重合物等のエポキシ化共役ジエン重合体、トリグリシジルイソシアヌレート等の複素環化合物が挙げられる。
【0030】
これらのエポキシ樹脂としては、末端イソシアネートのプレポリマーによって内部架橋されたもの、又は、多価フェノール、ポリアミン、カルボニル基含有化合物、ポリリン酸エステル等の、多価の活性水素化合物によって高分子量化したものを使用することもできる。
【0031】
また、本発明の硬化性エポキシ樹脂組成物には、必要に応じて、硬化触媒;モノグリシジルエーテル類、ジオクチルフタレート、ジブチルフタレート、ベンジルアルコール、コールタール等の反応性または非反応性の希釈剤(可塑剤);ガラス繊維、炭素繊維、セルロース、ケイ砂、セメント、カオリン、クレー、水酸化アルミニウム、ベントナイト、タルク、シリカ、微粉末シリカ、二酸化チタン、カーボンブラック、グラファイト、酸化鉄、瀝青物質、金属粒子、金属で被覆された樹脂粒子等の充填剤もしくは顔料;増粘剤;チキソトロピック剤;難燃剤;消泡剤;防錆剤;コロイダルシリカ、コロイダルアルミナ等の常用の添加物を含有してもよく、更に、キシレン樹脂、石油樹脂等の粘着性の樹脂類を併用することもできる。
【実施例】
【0032】
以下、製造例及び実施例により、本発明のマスターバッチ型エポキシ樹脂用潜在性硬化剤を更に詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0033】
[製造例1:微粒子Aの製造]
メチルプロピレングリコール150g中に2‐メチルイミダゾールを164g(2.0mol)溶解し、60‐100℃でアデカレジンEP−4100E((株)ADEKA製の商品名、ビスフェノールAジグリシジルエーテル型エポキシ樹脂:エポキシ当量190)380g(1.0mol)を分割しながら添加し、熟成反応させた。次いで、180℃まで加熱してメチルプロピレングリコールを除去し、融点100℃の固形物(a)を得た。得られた固形物(a)を粉砕し、体積平均粒径5μmの微粒子Aを得た。
【0034】
[製造例2:微粒子Bの製造]
メチルプロピレングリコール150g中に2‐メチルイミダゾール82g(1.0mol)を溶解し、60−100℃でアデカレジンEP‐4100E((株)ADEKA製 ビスフェノールAジグリシジルエーテル型エポキシ樹脂:エポキシ当量190)190g(0.5mol)を分割しながら添加した後、更にN,N‐ジメチルアミノプロピルアミンを102g(1.0mol)溶解し、同様に60−100℃でアデカレジンEP‐4100E((株)ADEKA製 ビスフェノールAジグリシジルエーテル型エポキシ樹脂:エポキシ当量190)190g(0.5mol)を分割しながら添加し、熟成反応させた。次いで、180℃まで加熱してメチルプロピレングリコールを除去し、融点90℃の固形物(b)を得た。得られた固形物(b)を粉砕し、体積平均粒径5μmの微粒子Bを得た。
【0035】
[製造例3:混合物微粒子Cの製造]
メチルプロピレングリコール150g中に製造例1にて得られた固形物(a)480gを溶解させながら180℃まで加熱し、次いでフェノールノボラック樹脂(OH当量78、融点95℃)を120g添加した。次いで、減圧工程にてメチルプロピレングリコールを除去し、融点100℃の固形物を得た。得られた固形物を粉砕し、体積平均粒径5μmの混合物微粒子Cを得た。
【0036】
[製造例4:混合物微粒子Dの製造]
メチルプロピレングリコール150g中に製造例2にて得られた固形物(b)480gを溶解させながら180℃まで加熱し、次いでフェノールノボラック樹脂(OH当量78、融点95℃)を120g添加した。その後、減圧工程にてメチルプロピレングリコールを除去し、融点95℃の固形物を得た。得られた固形物を粉砕し、体積平均粒径5μmの混合物微粒子Dを得た。
【0037】
[製造例5:混合物微粒子Eの製造]
メチルプロピレングリコール150g中に製造例2にて得られた固形物(b)360gを溶解させながら180℃まで加熱し、次いでフェノールノボラック樹脂(OH当量78、融点95℃)を240g添加した。その後、減圧工程にてメチルプロピレングリコールを除去し、融点100℃の固形物を得た。得られた固形物を粉砕し、体積平均粒径5μmの混合物微粒子Eを得た。
【0038】
製造例6[混合物微粒子Fの製造]
フェノールノボラック樹脂の代わりにクレゾールノボラック樹脂(OH当量90、融点110℃)を使用した以外は製造例3と同様にして、体積平均粒径5μmの混合物微粒子Fを得た。
【0039】
[製造例7:混合物微粒子Gの製造]
メチルプロピレングリコール150g中に製造例2にて得られた固形物(b)240gを溶解させながら180℃まで加熱し、次いでフェノールノボラック樹脂(OH当量78、融点95℃)を360g添加した。その後、減圧工程にてメチルプロピレングリコールを除去し、融点100℃の固形物を得た。得られた固形物を粉砕し、体積平均粒径5μmの混合物微粒子Gを得た。
【実施例1】
【0040】
アデカレジンEP‐4100L((株)ADEKA製 ビスフェノールAジグリシジルエーテル型エポキシ樹脂:エポキシ当量170g/eq、塩素濃度600ppm)700gに水6.2gと、製造例3にて得られた混合物微粒子Cを300g加え、均一に混合した後に、トリレンジイソシアネート(TDI)を30.0g(0.34mol)加えて40‐50℃で2時間反応させた。IRにてNCOの吸収がなくなった事を確認した後、減圧条件下40‐50℃で更に2時間の熟成反応を行い、マスターバッチ型エポキシ樹脂用潜在性硬化剤を得た。
【実施例2】
【0041】
混合物微粒子Cの代わりに混合物微粒子Dを用いたこと以外は実施例1と同様にして、マスターバッチ型エポキシ樹脂用潜在性硬化剤を得た。
【実施例3】
【0042】
混合物微粒子Cの代わりに混合物微粒子Eを用いたこと以外は実施例1と同様にして、マスターバッチ型エポキシ樹脂用潜在性硬化剤を得た。
【0043】
[比較例1]
混合物微粒子Cの代わりに微粒子Aを用いたこと以外は実施例1と同様にして、マスターバッチ型エポキシ樹脂用潜在性硬化剤を得た。
[比較例2]
混合物微粒子Cの代わりに微粒子Bを用いたこと以外は実施例1と同様にして、マスターバッチ型エポキシ樹脂用潜在性硬化剤を得た。
【実施例4】
【0044】
アデカレジンEP‐4100Lの代わりにアデカレジンEP‐4100((株)ADEKA製 ビスフェノールAジグリシジルエーテル型エポキシ樹脂:エポキシ当量190g/eq、塩素濃度2,500ppm)を用いたこと以外は実施例1と同様にして、マスターバッチ型エポキシ樹脂用潜在性硬化剤を得た。
【実施例5】
【0045】
混合物微粒子Fを用いたこと以外は実施例1と同様にして、マスターバッチ型エポキシ樹脂用潜在性硬化剤を得た。
【実施例6】
【0046】
アデカレジンEP‐4100L((株)ADEKA製 ビスフェノールAジグリシジルエーテル型エポキシ樹脂:エポキシ当量170g/eq、塩素濃度600ppm)700gにグリセリン10.5gと、製造例3にて得られた混合物微粒子Cを300g加え、均一に混合した後に、トリレンジイソシアネート(TDI)30.0g(0.34mol)を加えて40‐50℃で2時間反応後、IRにてNCOの吸収がなくなった事を確認した。その後、減圧条件下40‐50℃で更に2時間の熟成反応させて、マスターバッチ型エポキシ樹脂用潜在性硬化剤を得た。
【実施例7】
【0047】
アデカレジンEP‐4100L((株)ADEKA製 ビスフェノールAジグリシジルエーテル型エポキシ樹脂:エポキシ当量170g/eq、塩素濃度600ppm)700gに水6.2gと、製造例3にて得られた混合物微粒子Cを300g加え、均一に混合した後に、ノルボルネンジイソシアネート(NBDI)を34.7g(0.34mol)加えて40‐50℃で2時間反応させた後、IRにてNCOの吸収がなくなった事を確認した。その後、減圧条件下40‐50℃で更に2時間の熟成反応させて、マスターバッチ型エポキシ樹脂用潜在性硬化剤を得た。
【0048】
[比較例3]
混合物微粒子Cの代わりに混合物微粒子Gを用いたこと以外は実施例1と同様にして、マスターバッチ型エポキシ樹脂用潜在性硬化剤を得た。
【0049】
以下に述べる手法により、実施例、比較例に関するマスターバッチ型エポキシ樹脂用潜在性硬化剤の物性評価試験を行った。
[エポキシ当量]
「エポキシ当量」とは、1当量のエポキシ基を含むエポキシ樹脂の質量(g)を意味する。各実施例及び比較例で使用したジグリシジルエーテル型エポキシ樹脂のエポキシ当量は、JIS K‐7236に従って測定した。
[塩素濃度]
各実施例及び比較例で使用したジグリシジルエーテル型エポキシ樹脂を、Ar/O雰囲気下で燃焼酸化し、生成した塩化水素を吸収液に捕集した後、電位差適定装置を用いて、銀イオンによって塩素濃度を測定し、エポキシ樹脂中の塩素濃度を算出した。
[粘度]
製造直後のマスターバッチ型エポキシ樹脂用潜在性硬化剤の25℃における粘度を、BM型粘度計を使用して測定した。
[融点]
Yanaco製の融点測定器を用いて融点を測定した。
[マスターバッチ型エポキシ樹脂用潜在性硬化剤の硬化性]
アデカレジンEP‐4901E((株)ADEKA製 ビスフェノールFジグリシジルエーテル型エポキシ樹脂:エポキシ当量170)100gに対して、得られたマスターバッチ型硬化剤120gを均一に混合し、DSC(昇温速度10℃/min)にて測定した。得られたDSCの発熱挙動チャートから読み取られる発熱最大温度を硬化温度とした。
[マスターバッチ型エポキシ樹脂用潜在性硬化剤の保存安定性]
各実施例及び比較例にて得られたマスターバッチ型硬化剤を、40℃雰囲気下にて保存し、40℃で1箇月間貯蔵した後、BM型粘度計を使用して粘度を測定し、製造直後の粘度に対する増粘率を算出した。
評価方法は、増粘率が2倍未満のものを◎、2倍以上4倍未満のものを○、4倍以上にものを△、ゲル化したものを×とした。
【0050】
[マスターバッチ型エポキシ樹脂用潜在性硬化剤の耐溶剤安定性]
アデカレジンEP‐4901E((株)ADEKA製 ビスフェノールFジグリシジルエーテル型エポキシ樹脂:エポキシ当量170)100gに対して、マスターバッチ型潜在性硬化剤120gを均一に混合し、一液性エポキシ樹脂組成物を製造した。
この一液性エポキシ樹脂組成物100質量部と、トルエン/酢酸エチル質量比が1/1の混合溶媒20質量部とを混合し、混合ワニスを作製した。
この混合ワニスについて、混合溶媒との混合直後、及び、40℃で6時間静置した後の、25℃における粘度をBM型粘度計を使用して測定し、増粘率を算出した。
また、同様にして酢酸エチル/MEK=1/1重量比の混合溶媒を使用した場合の増粘率も算出した。
溶剤安定性の評価方法は、増粘率が2倍未満のものを◎、2倍以上4倍未満のものを○、4倍以上にものを△、ゲル化したものを×とした。
【0051】
【表1】

【0052】
【表2】

【0053】
表1及び2に示された結果から、本発明のマスターバッチ型エポキシ樹脂用潜在性硬化剤は、エポキシ樹脂と組み合わせることによって、低粘度で硬化性及び溶剤安定性に優れた一液型硬化性エポキシ樹脂組成物が得られることが確認された。
また、(B−1)及び(B−2)成分からなる混合物粒子において、(B‐2)成分が50質量%を超えると、硬化性が低下することも確認された。
特に、塩素濃度が2000ppm以下のグリシジルエーテル型エポキシ樹脂を用いたエポキシアダクトを使用した場合、マスターバッチ型エポキシ樹脂用潜在性硬化剤自体が低粘度であることが確認され、このマスターバッチ型エポキシ樹脂用潜在性硬化剤自体を用いることによって、保存安定性が優れた一液硬化型エポキシ樹脂組成物が得られることも確認された。
【産業上の利用可能性】
【0054】
本発明のマスターバッチ型エポキシ樹脂用潜在性硬化剤は、保存安定性、硬化性に優れるものであり、接着剤、ペースト状組成物、フィルム状組成物、異方導電性材料、封止材料、塗料用材料、プリプレグ等の製造に有用な一液型硬化性エポキシ樹脂組成物を提供する事ができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記の成分(A)〜(D)から得られることを特徴とするマスターバッチ型エポキシ樹脂用潜在性硬化剤;
(A)グリシジルエーテル型エポキシ樹脂、
(B)(B−1)グリシジルエーテル型エポキシ樹脂及びポリアミン化合物を反応させて得られるアダクト変性アミンを50質量%〜99質量%、及び、(B−2)フェノール化合物を50質量%〜1質量%含有する混合物微粒子、
(C)活性水素化合物、及び、
(D)イソシアネート化合物。
【請求項2】
前記成分(A)〜(C)の混合系に前記成分(D)を反応させて得られる、請求項1に記載されたマスターバッチ型エポキシ樹脂用潜在性硬化剤。
【請求項3】
前記成分(A)に使用されるグリシジルエーテル型エポキシ樹脂中の塩素濃度が2000ppm以下である、請求項1又は2に記載されたマスターバッチ型エポキシ樹脂用潜在性硬化剤。
【請求項4】
粘度が20Pa・s/25℃〜400Pa・s/25℃である、請求項1〜3の何れかに記載されたマスターバッチ型エポキシ樹脂用潜在性硬化剤。
【請求項5】
請求項1〜4の何れかに記載されたマスターバッチ型エポキシ樹脂用潜在性硬化剤及びエポキシ樹脂を含有してなることを特徴とする一液型硬化性エポキシ樹脂組成物。

【公開番号】特開2012−126859(P2012−126859A)
【公開日】平成24年7月5日(2012.7.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−281409(P2010−281409)
【出願日】平成22年12月17日(2010.12.17)
【出願人】(000000387)株式会社ADEKA (987)
【Fターム(参考)】