説明

マッサージ器

【課題】組付け作業面及びコスト面において有利なマッサージ器を提供する。
【解決手段】患部に当てる押圧部1が本体部に支持されているマッサージ器であって、前記押圧部1が熱を蓄える蓄熱材からなり、前記押圧部1が本体部に対して着脱自在に構成され、また、前記本体部は、前記押圧部1を前記本体部に着脱可能に取り付けるカバー部材2を備え、前記押圧部1には、突出部11が形成されていて、前記カバー部材2は、前記突出部11が外部に突出するように前記押圧部1を覆っている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、人体又はペット(犬や猫)など動物の生体の患部を温めながらマッサージするための簡易式(携帯式)のマッサージ器に関する。
【背景技術】
【0002】
かかるマッサージ器としては、人体の患部を温めながらマッサージすることができるように発熱ランプを備えたものが提案されている。具体的には、前記マッサージ器は、把持部から延出されたアーム部の先端に発熱ランプを備えた押圧部と、発熱ランプに電力を供給する電力源と、電力源からの電力を制御して発熱ランプを所定温度に維持する温度制御回路部と、発熱ランプに電力を供給する状態と電力を供給しない状態とに切り替える入り切りスイッチとを備えている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実用新案登録第3159973号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1の構成では、発熱ランプの他に、電力源、温度制御回路部、入り切りスイッチが必要となるだけでなく、それらを接続するための配線等も必要になる。このため、多数の構成部材が必要になり、組付け作業面及びコスト面において不利になるものであった。
【0005】
本発明が、前述の状況に鑑み解決しようとするところは、組付け作業面及びコスト面において有利なマッサージ器を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のマッサージ器は、前述の課題解決のために、患部に当てる押圧部が本体部に支持されているマッサージ器であって、前記押圧部が熱を蓄える蓄熱材からなり、前記押圧部が前記本体部に対して着脱自在に構成されていることを特徴としている。
【0007】
上記構成によれば、本体部から取り外した押圧部に熱を蓄え、熱を蓄えた押圧部を本体部に取り付け、押圧部を患部に当てるだけで、患部を温めることができる。押圧部が冷めてきたら、押圧部を取り外して熱を蓄えることにより、患部を再度温めることができる。
【0008】
また、本発明のマッサージ器は、前記本体部は、前記押圧部を前記本体部に着脱可能に取り付けるカバー部材を備え、前記押圧部には、突出部が形成されていて、前記カバー部材は、前記突出部が外部に突出するように前記押圧部を覆っていてもよい。
【0009】
上記構成によれば、カバー部材で、突出部が外部に突出するように押圧部を覆っておけば、押圧部の熱が外部に放出され難く、その分長い時間、患部を温めることができる。特に、長時間のマッサージを行う場合、押圧部を再度温める回数を減らすことができる。
【0010】
また、本発明のマッサージ器は、前記カバー部材で覆われている押圧部の外面と該カバー部材の内面との間に断熱空間を形成していてもよい。
【0011】
上記構成によれば、カバー部材で覆われている押圧部の外面とカバー部材の内面との間に断熱空間を形成しておけば、押圧部の熱が外部に放出されることを断熱空間がより一層抑えることができ、さらに長い時間、患部を温めることができる。特に、長時間のマッサージを行う場合、押圧部を再度温める回数をより一層減らすことができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、蓄熱材からなる押圧部を着脱自在にするだけの簡素な構成で患部を温めながらマッサージすることができる。よって、組付け作業面及びコスト面において有利なマッサージ器を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の手持ち式のマッサージ器を示し、(a)はそれの正面図、(b)はそれの平面図である。
【図2】同手持ち式のマッサージ器の側面図である。
【図3】図1(a)におけるI−I線断面図である。
【図4】(a)は図3におけるII−II線断面図、(b)は図4(a)におけるIII−III線断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
図1〜図4に、本発明の手持ち式(簡易式又は携帯式)のマッサージ器を示している。このマッサージ器は、患部に当てる押圧部1と、押圧部1を支持する本体部とから構成されている。本体部は、押圧部1の突出部11が外部に突出するように押圧部1を覆うカバー部材2と、カバー部材2を支持するアーム部3と、アーム部3のカバー部材2側とは反対側から延びる把持部31とを備えている。従って、押圧部1を人体の患部に当てることによって、患部をマッサージすることができる。
【0015】
押圧部1は、熱を蓄える蓄熱材からなり、カバー部材2から外部へ突出して患部に当てる突出部11と、カバー部材2内に収納される収納部12とを備えている。
【0016】
蓄熱材としては、水や岩石、金属塊などの高比熱の材料を冷やしたり加熱して熱を蓄える顕熱蓄熱材と、物質が融けたり凍ったりする際の相変化時に発する熱を利用した潜熱蓄熱材とがあり、ここでは、顕熱蓄熱材を用いているが、潜熱蓄熱材を用いてもよい。
【0017】
突出部11は、収納部12側に位置する第1突出部分111と、第1突出部分111から更に突出する第2突出部分112とからなる二段階に突出する形状になっている。
【0018】
第1突出部分111は、突出側ほど小径となる断面形状が略台形状に形成されている。第2突出部分112は、第1突出部分111の突出端から突出する断面形状が略半円形状に構成されている。このように二段階に突出させる構成にすることによって、第2突出部分112による指圧効果を高めることができながらも、第2突出部分112の広がった広い部分で身体を徐々に(じんわりと)温めることができる。
【0019】
収納部12は、図3に示すように、後述する固定側カバー部分21に入り込む円柱状の収納部分121と、固定側カバー部分21から外部に突出しかつ突出する側に向かうほど小径に形成され、しかも外側に凸となるように湾曲されたテーパー部分122と、テーパー部分122からさらに外部に突出しかつ略同一径で突出する円柱状の先端部分123とを有している。
【0020】
また、押圧部1は、マイクロ波を吸収し自己発熱性に優れるマイクロ波吸収用陶磁器と、マイクロ波吸収用陶磁器の表面を覆うシリコンでなる被覆部材とから構成されている。従って、押圧部1を電子レンジに入れてマイクロ波を照射することによってマイクロ波吸収用陶磁器が発熱して、蓄熱できるようになっている。そして、被覆部材により高温になったマイクロ波吸収用陶磁器からの熱が直接伝わらないようにしているため、火傷等の心配もなく、押圧部1を取り扱うことができる。
【0021】
マイクロ波吸収用陶磁器を構成する陶磁器材料としては、コージェライト、ムライト、ぺタライト、チタン酸アルミニウム、アルミナ等のセラミックス粉体、あるいはこれらのセラミックス複合粉末、さらには陶磁器用陶土、各種粘度鉱物が挙げられ、粒径が0.1mm以下、例えば5μm以下の粉末状のものが使用される。
【0022】
カバー部材2は、アーム部3の先端から延びる連結部分311に一体形成された固定側カバー部分21と、この固定側カバー部分21に着脱自在に取り付けられる可動側カバー部分22とを備えている。固定側カバー部分21と連結部分311とアーム部3とが各種の合成樹脂で一体形成されている。また、可動側カバー部分22は、ポリカーボネイト樹脂などの硬質な合成樹脂で構成されている。
【0023】
固定側カバー部分21には、押圧部1の一部が入り込むことができる収納空間が形成され、連結部分311側とは反対側に収納空間内に押圧部1を挿入するための開口21Aが形成されている。つまり、連結部分311に一体形成されている円盤状部211と、この円盤状部211の外周縁から図3において下方に延びる円環状の側壁部222とを備えている。側壁部222は、円盤状部211の外周縁から外側に凸となるように湾曲されかつ開口21A側ほど大径となるように形成されたお椀状の基端部222Aと、この基端部222Aの開口21A側端で内周縁から開口21A側に延出形成した円筒状の先端部222Bとを備えている。この先端部222Bは、基端部222Aよりも肉厚に構成された肉厚部222bと、基端部222Aよりも薄肉に構成された薄肉部222cとからなっている。この薄肉部222cの外面に、後述する被係止溝212が形成されており、この被係止溝212に後述する可動側カバー部分22の係止片221が係止する。
【0024】
可動側カバー部分22は、図3において上下方向両端に円形の開口22A,22Bを備えた略円筒状に構成されている。第1開口22Aは、第2開口22Bよりも小さく構成され、第2開口22Bから第1開口22Aに向かうほど小径に形成され、かつ、外側に凸となるように湾曲した形状になっている。この可動側カバー部分22の第1開口22Aを形成する内側縁に内側(図4(b)では上側)に突出する環状の突出部22T(図4(b)参照)が形成されている。この突出部22Tが、可動側カバー部分22の装着完了により押圧部1のテーパー部分122の図4(b)において下端部側の外面に食い込むことによって、後述する押圧部1を固定側カバー部分21側へ押し付けて固定するとともに、第1開口22Aを閉じることができる。押圧部1の突出部11の突出量は、押圧部1を患部に押し当てたときに可動側カバー部分22の突出端部が少し触れる程度が好ましい。
【0025】
固定側カバー部分21に対して可動側カバー部分22が係止構造を介して着脱自在に取付られている。この係止構造は、可動側カバー部分22の内面に周方向に沿って所定間隔を置いて略山形状に形成された複数(図4(a)では4個)の係止片221と、これら係止片221に係止及び係止解除自在となるように固定側カバー部分21の内面に周方向に沿って所定間隔を置いて略V字状に形成された複数(図4(a)では4個)の被係止溝212とから構成されている。従って、固定側カバー部分21に可動側カバー部分22を被せて一方(例えば時計回り)に回転させることによって、係止片221が被係止溝212に係止して可動側カバー部分22が回転不能に固定される。また、固定状態から可動側カバー部分22を反時計回りに回転させることによって、前記係止が解除されて、可動側カバー部分22を固定側カバー部分21から取り外すことができる。固定側カバー部分21に前記薄肉部222cを備えているから、可動側カバー部分22を薄肉部222cに装着することで、可動側カバー部分22の外面と固定側カバー部分21との外面とを面一にすることができる。
【0026】
前記のように押圧部1の一部が突出するように押圧部1の他の部分を覆うカバー部材2を設けることによって、押圧部1の熱が外部に放出され難く、その分長い時間、患部を温めることができる。また、カバー部材2で覆われている押圧部1の外面とカバー部材2の内面との間に断熱空間4が形成されている。このように断熱空間4が形成されることにより、押圧部1の熱が外部に放出されることを断熱空間4がより一層抑えることができ、さらに長い時間、患部を温めることができる。
【0027】
断熱空間4は、図4(a),(b)に示すように、固定側カバー部分21の内面21Aと固定側カバー部分21に入り込んでいる押圧部1の収納部分121の外面1Aとの間に形成されている第1断熱空間部分41と、押圧部1のテーパー部分122の外面122Aとこれに対応する可動側カバー部分22の突出側部分の内面22Nとの間に形成されている第2断熱空間部分42とからなっている。
【0028】
第1断熱空間部分41は、固定側カバー部分21に形成された補強用の第1リブ21Rと、補強用の第2リブ21Sとで形成できるようになっている。第1リブ21Rは、連結部分311側端の内面に内側に向けて突出形成された円環状のリブである。また、第2リブ21Sは、固定側カバー部分21の側壁部222の内面に周方向に間隔を置いて突出方向に伸びる複数(図4(a)では6個)の直線状のリブである。従って、押圧部1の外面が第1リブ21R及び第2リブ21Sに当接した状態になることによって、第1リブ21R及び第2リブ21Sの突出量に応じた間隔の隙間が、押圧部1の外面と固定側カバー部分21の内面との間に形成され、第1断熱空間部分41が形成される。
【0029】
第2断熱空間部分42は、押圧部1のテーパー部分122の外面122aとこれに対応する可動側カバー部分22の内面22Nとの間に隙間が形成されるように可動側カバー部分22の内径をテーパー部分122の外径よりも大きく設定することで、形成されている。
【0030】
アーム部3は、図1(a),(b)及び図2に示すように、把持部31から円弧状に延びた形状からなり、前記連結部分311に一体形成される先端部分32と、把持部31と先端部分32とを繋ぐ中間部分33とを備えている。
【0031】
把持部31は、他の部分よりも正面視において左右幅が大きく設定され、横断面形状が略楕円形に構成されている。また、先端部分32は、中間部分33から延びるとともに先端側ほど小径となる断面形状が略円形の第1部分321と、先端に位置し、前記連結部分311に一体形成される幅広で板状に構成された第2部分322とを備えている。また、中間部分33は、同一径で延びる丸棒に構成されている。
【0032】
前記のように構成されたマッサージ器の使用方法について説明する。まず、可動側カバー部分22を前述のように取り外して、押圧部1を固定側カバー部分21から取り出す(図2の二点鎖線参照)。取り出した押圧部1を電子レンジに入れてマイクロ波を所定時間照射することによって、押圧部1が発熱し、所定温度(例えば50℃から60℃)になる。この所定温度になった押圧部1を固定側カバー部分21に収納して可動側カバー部分22を取り付けて準備が完了する。この状態になったマッサージ器の把持部31を持って患部に押圧部1の突出部11を押し当てることによって、患部を温めながらマッサージすることができる。長時間のマッサージを行いたい場合には、前記手順を繰り返し行うことになる。
【0033】
尚、本発明は、前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【0034】
前記実施形態では、アーム部3を備えたマッサージ器を示したが、アーム部3の無いマッサージ器であってもよい。つまり、把持部のみを備えるマッサージ器であってもよい。尚、この場合、把持部が本体部を構成することになり、どのような形状の把持部であってもよい。
【0035】
また、前記実施形態では、固定側カバー部分21に対して可動側カバー部材22を取り外して押圧部1を取り出し、取り出した押圧部1のみを加熱する構成としたが、押圧部1が収納された状態のカバー部材を取り外して押圧部1をカバー部材と共に加熱する構成であってもよい。
【0036】
また、前記実施形態では、押圧部1がマイクロ波吸収用陶磁器(顕熱蓄熱材)から構成したが、固形ではなく、液状のものやゲル状のもの(潜熱蓄熱材)を袋に収納して構成してもよい。
【0037】
また、前記実施形態では、固定側カバー部分21に対して可動側カバー部材22を係止構造により着脱自在に構成したが、ねじ込み構造や嵌合構造など各種の構造を用いて着脱自在に構成してもよい。また、固定側カバー部分21に対して可動側カバー部材22を取り外した状態で、可動側カバー部材22が固定側カバー部分21又はアーム部3に繋がっているように両者が連結部材で連結されている構成であってもよい。このようにしておけば、可動側カバー部材22を取り外したまま無くしてしまうといったトラブル発生がない。
【0038】
また、前記実施形態では、押圧部1を覆うカバー部材2を設けたが、カバー部材2を省略した構成であってもよい。つまり、押圧部1が露呈した状態で本体部に対して着脱自在に構成してもよい。
【符号の説明】
【0039】
1…押圧部、1A…外面、2…カバー部材、3…アーム部、4…断熱空間、11…突出部、12…収納部、21…固定側カバー部分、21A…開口、21A…内面、21R,21S…リブ。22…可動側カバー部分、22A,22B…開口、22N…内面、22T…突出部、31…把持部、311…連結部分、32…先端部分、33…中間部分、41…第1断熱空間部分、42…第2断熱空間部分、111,112…突出部分、121…収納部分、122…テーパー部分、122A,122a…外面、123…先端部分、211…円盤状部、212…被係止溝、221…係止片、222…側壁部、222A…基端部、222B…先端部、321…第1部分、322…第2部分

【特許請求の範囲】
【請求項1】
患部に当てる押圧部が本体部に支持されているマッサージ器であって、
前記押圧部が熱を蓄える蓄熱材からなり、前記押圧部が前記本体部に対して着脱自在に構成されていることを特徴とするマッサージ器。
【請求項2】
前記本体部は、前記押圧部を前記本体部に着脱可能に取り付けるカバー部材を備え、前記押圧部には、突出部が形成されていて、前記カバー部材は、前記突出部が外部に突出するように前記押圧部を覆っていることを特徴とする請求項1に記載のマッサージ器。
【請求項3】
前記カバー部材で覆われている押圧部の外面と該カバー部材の内面との間に断熱空間を形成していることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のマッサージ器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2013−99375(P2013−99375A)
【公開日】平成25年5月23日(2013.5.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−243613(P2011−243613)
【出願日】平成23年11月7日(2011.11.7)
【出願人】(391057052)株式会社サンパック (16)
【Fターム(参考)】