マッサージ用マスク
【課題】本発明は顔に装着して美容効果を増進させるマッサージ用マスクに関し、マスク本体に設けられた突起によりマッサージ効果を確実に得ることができるようにすることを課題とする。
【解決手段】被装着者Ａの顔を覆うように装着されるマッサージ用マスクであって、マスク本体１１の内面１０ａの形状を被装着者Ａの個々の顔形状に一致した形状とすると共に、このマスク本体１１の内面１０ａで被装着者Ａが所望する顔のつぼ位置に、被装着者Ａの顔をマッサージする振動体１２を設ける。
【解決手段】被装着者Ａの顔を覆うように装着されるマッサージ用マスクであって、マスク本体１１の内面１０ａの形状を被装着者Ａの個々の顔形状に一致した形状とすると共に、このマスク本体１１の内面１０ａで被装着者Ａが所望する顔のつぼ位置に、被装着者Ａの顔をマッサージする振動体１２を設ける。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【０００１】
本発明はマッサージ用マスクに係り、特に顔に装着して美容効果を増進させるマッサージ用マスクに関する。
【背景技術】
【０００２】
一般に、美顔の方法の一つとして、顔のつぼを指圧したりマッサージしたりすることが行われている。特にマッサージを行う場合には、施術者或いは本人が希望する顔のつぼを指によりマッサージすることが一般に行われる。これにより施術位置における血行の増進及び代謝の向上等を図ることができる。
【０００３】
しかしながら、施術者或いは本人等の人の指によるマッサージでは、施術者或いは本人の負担が大きくなってしまう。マッサージを行う際、細かい振動を強く与えるほど、血行の向上が図れることが知られている。よって、より高いマッサージ効果を得ようとした場合、負担は更に大きくなってしまう。
【０００４】
これを改善すねため、顔に触れる内側の複数個所に振動子を設けた美顔マスクが提供されている（特許文献１）。この美顔マスクを顔に装着することにより、指でマッサージする方法に比べて施術を行う者の負担を軽減することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【０００５】
【特許文献１】特開平０７−０５１３３８号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【０００６】
しかしながら従来では、マスクの大きさは通常Ｌ，Ｍ，Ｓの３タイプ程度の大きさしか用意されていないのが一般的であり、マスクを装着する個々の使用者の顔に対応して個々にマスクを作成することは行われていなかった。
【０００７】
マッサージ位置は顔に存在するつぼの位置とすることが望ましいが、顔に存在するつぼは３０箇所以上の多数箇所に及び隣接するつぼの位置は近接している。よって、所望する効果に対応したつぼの位置をマッサージしようとした場合、このつぼの位置を正確にマッサージする必要がある。
【０００８】
しかしながら従来のマスクは、上記のようにマスクが被装着者の顔の形状に正確に一致していないため、マスクに設けられた振動子が所望する効果を実現できるつぼの位置からずれてしまうという問題点があった。
【０００９】
また、美顔マスクの形状が被装着者の顔の形状と一致していないため、美顔マスクの内面と顔との離間距離は均一でなく、近接した部位と離間した部位が発生してしまう。このため、近接した位置に設けられた振動子は顔を強くマッサージすることとなり、逆に離間した位置に設けられた振動子によるマッサージは弱くなるため、従来の美顔マスクではマッサージ効果を十分に得ることができないという問題点があった。
【００１０】
本発明は上記の点に鑑みてなされたものであり、マスク本体に設けられた振動子により適切なマッサージ効果を得ることができるマッサージ用マスクを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【００１１】
上記の課題は、第１の観点からは、
被装着者の顔を覆うように装着されるマッサージ用マスクであって、
マスク本体の内面形状を前記被装着者の個々の顔形状に一致するよう形成されたマスク本体と、
前記マスク本体に固定される固定部と、該固定部から内側に向け突出するエラストマーからなる支柱部と、該支柱部の先端部に配設された振動子とを有する振動体とを有することを特徴とするマッサージ用マスクにより解決することができる。
【発明の効果】
【００１２】
開示のマッサージ用マスクによれば、マスク本体の内面が被装着者の個々の顔形状に一致した形状を有しているため、被装着者の顔におけるつぼの位置に振動子を正確に当ててマッサージを行うことができるため、高いマッサージ効果を得ることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【００１３】
【図１】図１は、本発明の一実施形態であるマッサージ用マスクを装着している状態を示す部分断面図である。
【図２】図２は、振動体が被装着者の肌に触れた状態を拡大して示す図である。
【図３】図３は、本発明の一実施形態であるマッサージ用マスクの内側を示す斜視図である。
【図４】図４は、本発明の一実施形態であるマッサージ用マスクに用いる振動体を拡大して示す斜視図である。
【図５】図５は、本発明の一実施形態であるマッサージ用マスクの製造方法を説明するための図である（その１）。
【図６】図６は、本発明の一実施形態であるマッサージ用マスクの製造方法を説明するための図である（その２）。
【図７】図７は、本発明の一実施形態であるマッサージ用マスクの製造方法を説明するための図である（その３）。
【図８】図８は、本発明の一実施形態であるマッサージ用マスクの製造方法を説明するための図である（その４）。
【図９】図９は、振動体のマスク本体への装着方法の変形例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【００１４】
次に、本発明の実施の形態について図面と共に説明する。
【００１５】
図１は、被装着者Ａが本発明の一実施形態であるマッサージ用マスク１０を装着した状態を示している。同図に示すように、本実施形態に係るマッサージ用マスク１０は、被装着者Ａの鼻から下の部分を覆うように装着される美顔用のマスクである。しかしながら、本発明に係るマッサージ用マスクは必ずしも鼻から下の部分を覆う構成に限定されるものではなく、顔全体を覆うような構成とすることも可能である。
【００１６】
マッサージ用マスク１０は、マスク本体１１と振動体１２とを有した構造とされている。このマスク本体１１は、アモルファス・ポリエチレンテレフタレート（Ａ−ＰＥＴ）、ポリ塩化ビニル（ＰＶＣ）、ポリプロピレン（ＰＰ）等の樹脂により形成されている。尚、マスク本体１１は、被装着者Ａの鼻及び口に対向する位置に図示しない通気孔が設けられており、マッサージ用マスク１０の装着時に被装着者Ａが息苦しくならないよう構成されている。
【００１７】
また、本実施形態に係るマッサージ用マスク１０は、振動体１２の配設位置を除き、マスク本体１１の内面１０ａが被装着者Ａの顔形状に一致した形状を有するよう構成されている。即ち、個々の被装着者Ａはそれぞれ異なる顔立ちを有し、よって顔表面の凹凸形状も異なっている。本実施形態ではマッサージ用マスク１０をいわゆるオーダーメードで製造することにより、その内面１０ａを個々の被装着者Ａの顔表面の形状に一致させた（沿った）形状としている。
【００１８】
これにより、被装着者Ａがマッサージ用マスク１０を装着した際、マッサージ用マスク１０は被装着者Ａの顔にフィットさせることができる。ここで、マッサージ用マスク１０を被装着者Ａの顔にフィットさせることができるということは、つぼの位置を個々人に合わせることができることをいう。
ここで、マッサージ用マスク１０が被装着者Ａの顔にフィットするとは、マッサージ用マスク１０（マスク本体１１）の内面１０ａと被装着者Ａの顔表面とが接触した状態或いは一定の間隔以下（例えば１mm以下）である状態をいうものとする。
【００１９】
振動体１２は、図２及び図３に示すようにマッサージ用マスク１０の内面１０ａに複数個配設されている。この振動体１２は、振動することにより顔のつぼをマッサージする機能を奏するものである。振動体１２が被装着者Ａの顔のつぼを振動によりマッサージすることにより、被装着者Ａの血行の増進及び代謝の向上等を図ることができ、よって当該つぼに対応した適応症状の改善を図ることができる。
【００２０】
この振動体１２は、図２及び図４に示すように固定部１３、支柱部１４、振動モータ１５、及び球状部１７等を有している。固定部１３は、マスク本体１１に固定される部位である。マスク本体１１の振動体１２が配設される部位にはマスク内面に対して有底筒状に窪んだ装着部１１ａが形成されており、固定部１３はこの装着部１１ａの底部に固定される（図２参照）。
【００２１】
支柱部１４は弾性材であるエラストマーからなり、固定部１３に対して柱状に立設されている。この支柱部１４はエラストマーにより形成されているため、弾性的に変位可能な構成とされている。支柱部１４の内側（マスク本体１１側）の端部は固定部１３に固定され、他端部には球状部１７が配設されている。この固定部１３及び球状部１７は、ポリプロピレン（ＰＰ），ＡＢＳ樹脂，ポリカーボネート（ＰＣ），ポリエチレンテレフタレート（ＰＥＴ）等により形成されている。
【００２２】
球状部１７は、球形状を有している。被装着者Ａがマッサージ用マスク１０を装着した際、この球状部１７が被装着者Ａの肌に当接する。また、球状部１７の側部には装着溝１７ａが形成されており、この装着溝１７ａには振動モータ１５が装着されている。振動モータ１５は小型円盤形状を有し、内設された重心が偏って作られた回転子を回転させることにより振動を生成する構成とされている。
【００２３】
顔には３０箇所以上の多数のつぼが存在し各つぼの位置は近接しているが、本実施形態に係るマッサージ用マスク１０は、個々の被装着者に対応して個別に製造されるオーダーメードのマスクである。よってマッサージ用マスク１０によれば、被装着者Ａが希望するつぼの位置に振動体１２を正確に当接させることができ、効率の高いマッサージを行うことが可能となる。
【００２４】
また、マスク本体１１に設けられた複数の振動体１２は、コントローラ１８（図３参照）に接続されている。このコントローラ１８は、各振動体１２の振動の強さを個々に調整することが可能な構成とされている。よって、被装着者Ａの各つぼの位置の凝りの状態により振動体１２の振動強さを調整でき、よってより効率の高いマッサージを行うことができる。
【００２５】
上記構成とされたマッサージ用マスク１０を用いてマッサージを行うには、先ず被装着者Ａの顔にマッサージ用マスク１０装着した上で、コントローラ１８を操作して振動体１２を起動する。この際、直接被装着者Ａの肌に当接する球状部１７はエラストマーよりなる支柱部１４に支持されているため、球状部１７が肌に接する感触は良好である。
【００２６】
本実施形態に係るマッサージ用マスク１０によれば、マッサージ用マスク１０の内面１０ａに形成された各振動体１２は、被装着者Ａが望む改善したい症状に対応したつぼを適正にマッサージする。よって、マッサージ用マスク１０によれば、被装着者Ａの血行の増進及び代謝の向上を確実に図ることができ、当該つぼに対応した適応症状の改善を図ることができる。
【００２７】
次に、上記構成とされたマッサージ用マスク１０の製造方法について説明する。
【００２８】
図５乃至図８は、マッサージ用マスク１０の製造方法を製造手順に沿って示している。マッサージ用マスク１０を製造するには、先ず被装着者Ａの顔の三次元画像データを取り込む。この被装着者Ａの顔の三次元画像データを取り込むには、図５に示す三次元計測ユニット２０を用いる。三次元計測ユニット２０は、大略するとカメラ２１と画像生成装置２２とを有している。
【００２９】
カメラ２１はＣＣＤカメラであり、被装着者Ａの顔を撮像する。撮像された被装着者Ａの撮像データは、画像生成装置２２に送信される。この際、カメラ２１の解像度は高い方が望ましいが、市販されているデジタルカメラ程度の解像度であっても対応可能である。
【００３０】
本実施形態では、パーソナルコンピュータにより画像生成装置２２を実現している。パーソナルコンピュータには、三次元画像生成用のソフトウェアがインストールされている。そして、この三次元画像生成用ソフトウェアが実行されることにより、カメラ２１から送信された撮像データに基づき被装着者Ａの三次元画像データが生成される。
【００３１】
また、予め被装着者Ａには、顔に存在する多数のつぼの位置から、マッサージを行いたいつぼを選定してもらう。上記の三次元画像生成用のソフトウェアには、この顔のつぼの位置のデータが格納されており、被装着者Ａが指定したつぼの位置に対しては装着部１１ａを形成するための凸部１９を前記被装着者Ａの三次元画像データに付加する処理を実施する。
【００３２】
上記のようにして生成された被装着者Ａの三次元画像データは、図示しない三次元精密加工装置に送られる。この三次元精密加工装置は多軸（例えば５軸）のマシニングセンターであり、被装着者Ａの三次元画像データに基づき基材を切削加工することにより、被装着者Ａの顔形状に対応した顔モデル（被装着者Ａの希望するつぼの位置に凸部１９を有する）を作製する。
【００３３】
図６は、このようにして作製された被装着者Ａの顔モデルを示している。この顔モデルは、後述するマッサージ用マスク１０を成形する工程において成形型として機能するものである（以下，顔モデルを成形型２３という）。上記の説明から明らかなように、成形型２３の表面２３ａの形状は被装着者Ａの顔形状と一致している。
【００３４】
上記のようにして凹部１７を有する成形型２３が製造されると、この成形型２３を用いてマスク本体１１の成形を行う。図７は、成形型２３を用いてマッサージ用マスク１０の成形を行う工程を示している。
【００３５】
マッサージ用マスク１０の成形処理は、真空成形装置３５を用いて実施される。この真空成形装置３５は、成形型２３、ヒータ２４、マスク素材２５、及び成形用基台２７等により構成されている。
【００３６】
成形型２３は、同図に示すように成形用基台２７の上部に搭載される。成形用基台２７は、成形型２３が搭載される面に多数の吸引孔２８が形成されている。また、成形用基台２７の内部には空間部２７ａが形成されており、吸引孔２８はこの空間部２７ａに連通している。
【００３７】
更に、成形用基台２７の側部に形成された通路２９は図示しない真空ポンプに接続されている。よって、真空ポンプが起動することにより空間部２７ａ内は負圧となり、吸引孔２８の形成位置では吸引処理が行われる。この吸引力により、成形型２３は成形用基台２７に固定される。
【００３８】
マスク素材２５は、マッサージ用マスク１０となる素材シートである。前記したように、マスク素材２５の材質としては、Ａ−ＰＥＴ、ＰＶＣ、ＰＰ等の樹脂を用いることができる。本実施形態では、マスク素材２５として熱成形性（真空成形性）、ガスバリヤー性、衛生性、耐薬品性等に優れたＡ−ＰＥＴを用いている。
【００３９】
このマスク素材２５の外周は、枠材２６により保持されている。また、マスク素材２５の上部にはヒータ２４が配設されている。マスク素材２５は、このヒータ２４により加熱されて軟化する。
【００４０】
上記構成を有した真空成形装置３５を用いてマッサージ用マスク１０の成形を行うには、先ず成形型２３を成形用基台２７に装着する。この際、まだ真空ポンプは停止された状態であり、よって吸引力は作用していない。次に、枠材２６を下動させてマスク素材２５を成形型２３の表面２３ａ上に載置させる。
【００４１】
このように、成形用基台２７に対する成形型２３及びマスク素材２５の装着処理が終了すると、ヒータ２４及び真空ポンプが起動される。ヒータ２４が起動することにより、マスク素材２５は加熱されて軟化した状態となる。
【００４２】
尚、本実施形態では、マスク素材２５に対する加熱をマスク素材２５が成形型２３に当接した後に開始する方法を示している。しかしながら、マスク素材２５が成形型２３上に載置する前から、上部に位置するヒータ２４により予熱する構成としてもよい。また、成形型２３の表面に、予め離型材を塗布しておいてもよい。
【００４３】
マスク素材２５を保持する枠材２６は、成形用基台２７に吸着されることにより密着固定される。そして、マスク素材２５は枠材２６の内面で成形用基台２７により真空吸引処理が行われるため、成形型２３の表面２３ａに密着する。
【００４４】
前記のようにマスク素材２５はヒータ２４により加熱されることにより軟化しているため、よってマスク素材２５は成形型２３の表面２３ａに隙間なく密着した状態となる。この際、マスク素材２５は成形型２３に形成された凹部１７内にも入り込み、よって振動体１２が形成される。
【００４５】
このようにマスク素材２５が成形型２３の表面２３ａに密着されると、ヒータ２４を停止させる。これによりマスク素材２５の温度は低下し、マスク素材２５は樹脂硬化し、振動体１２が一体的に形成されたマスク本体１１が形成される。このようにマスク本体１１が形成されると、図８に示すようにマスク本体１１は成形型２３から離型され、これによりマッサージ用マスク１０が製造される。尚、凸部１９の形成位置によっては、マスク本体１１を成形型２３から離型させるのが困難な場合がある。このような場合には、成形型２３を複数に分割しうる分割型としてもよい。
【００４６】
このようにして製造されたマッサージ用マスク１０は、その内面１０ａの形状が被装着者Ａの顔形状に一致した形状となる。また、マッサージ用マスク１０で振動体１２の配設位置には、装着部１１ａが高い位置精度を持って形成される。
【００４７】
一方、上記したマッサージ用マスク１０の製造とは別工程で、振動体１２が製造される。固定部１３及び球状部１７は、ポリプロピレン（ＰＰ），ＡＢＳ樹脂，ポリカーボネート（ＰＣ），ポリエチレンテレフタレート（ＰＥＴ）等により形成されている。
【００４８】
また、球状部１７の成形時には、振動モータ１５を装着するための装着溝１７ａも同時形成される。また、固定部１３には振動モータ１５に接続される配線１６を通すための貫通孔が形成される。また支柱部１４は、熱硬化性エラストマー，熱硬化性樹脂系エラストマー，熱可塑性エラストマー等を用いることができる。この支柱部１４も中央部に配線１６を挿通するための貫通孔が形成されており、よって円柱形状とされている。
【００４９】
固定部１３と支柱部１４、及び支柱部１４と球状部１７は接着剤を用いて固定される。この際、予め球状部１７の装着溝１７ａに振動モータ１５を装着し、振動モータ１５の配線１６を支柱部１４及び固定部１３に形成された貫通孔に挿通した上で、上記接着処理を行う。
【００５０】
上記のようにして製造された振動体１２は、マスク本体１１に形成された各装着部１１ａに装着される。また、マスク本体１１に装着された各振動体１２の配線１６は、コントローラ１８に接続される。
【００５１】
この際、振動体１２のマスク本体１１に対する装着は、本実施形態では接着剤を用いて装着（固定）している。しかしながら、図９に示すように、固定部１３にアンダーカット部１３ａを形成すると共に、装着部１１ａにこのアンダーカット部１３ａと嵌合する嵌合鍔部１１ｂを形成しておき、図９（Ａ）に示すように振動体１２と装着部１１ａを位置決めした後、外側から振動体１２を装着部１１ａ内に挿入し、図９（Ｂ）に示すようにアンダーカット部１３ａと嵌合鍔部１１ｂとを嵌合することにより振動体１２を装着部１１ａに装着することとしてもよい。
【００５２】
このように、本実施形態によるマッサージ用マスク１０の製造方法では、被装着者Ａの顔形状と一致すると共に被装着者Ａの希望するつぼの位置に振動体１２を高精度にかつ容易に配置することができる。
【００５３】
ところで、三次元計測ユニット２０を構成する画像生成装置２２及び真空成形装置３５は、被装着者Ａの自宅に設置することは事実上困難である。よって、画像生成装置２２及び真空成形装置３５は、マッサージ用マスク１０の製造工場等（以下、マスク作製施設という）に設置される。しかしながら、被装着者Ａの顔の撮像処理は、上記のように市販されているデジタルカメラを用いることが可能であるため、自宅で行うことが可能である。
【００５４】
前記のようにマッサージ用マスク１０はオーダーメードで製造されるが、デジタルカメラにより撮像した被装着者の画像データ（写真データ）は、ＳＤメモリカード（登録商標）等の記録媒体に記録することにより、又はインターネットを利用して送信することにより、容易にマスク作製施設に送付することができる。よって、オーダーメードのマッサージ用マスク１０であっても、個々の被装着者に対してマッサージ用マスク１０を容易かつ確実に提供することができる。
【００５５】
以上、本発明の好ましい実施形態について詳述したが、本発明は上記した特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能なものである。
【００５６】
例えば、上記した実施形態では、支柱部１４のみをエラストマーにより形成し、固定部１３及び球状部１７を支柱部１４と別材料により構成したが、固定部１３，支柱部１４，及び球状部１７の全てを、熱可塑性エラストマー或いはシリコーンゴム等で一体的に形成した構成としてもよい。
【００５７】
また、上記した実施形態では、美顔用マスク１０を製造する方法として、画像生成装置２２で生成された被装着者Ａの三次元画像データを三次元精密加工装置に送り成形型２３を形成した後に、これを型として美顔用マスク１０を製造した。しかしながら、美顔用マスク１０の製造方法はこれに限定されるものではなく、型を用いずマスク本体１１を立体造形する方法を用いることも可能である。
【００５８】
この型を用いることなく造形物の製造を行う技術としては、例えばインクジェット方式のＲＰ造形装置、或いは光造型技術や液体ジェット技術を用いた３次元造型装置を用いることができる。具体的には、インクジェット方式のＲＰ造形装置としてはDimension Elite(STRATASYS社)［プラスチック（ABS樹脂）の熱溶融、射出、積層方式］を用いることができ、また光造型技術や液体ジェット技術を用いた３次元造型装置としてはディーメック社製の光造型装置ＳＣＳ−８０００、ＳＣＳ−３０００等を用いることができる。
【００５９】
これらの型を用いない３次元造型装置を用いることにより、マスク本体１１の製造を容易かつ短時間で製造することが可能となる。
【００６０】
更に、上記した実施形態ではマッサージ用マスク１０を顔のマッサージに適用した例について説明したが、肩，脚等の被装着者Ａの他の部位をマッサージする構成とすることも可能である。
【符号の説明】
【００６１】
１０ マッサージ用マスク
１１ マスク本体
１２ 振動体
１３ 固定部
１４ 支柱部
１５ 振動モータ
１７ 球状部
１９ 凸部
２０ 三次元計測ユニット
２１ カメラ
２２ 画像生成装置
２３ 成形型
２５ マスク素材
２７ 成形用基台
３５ 真空成形装置
Ａ 被装着者
【技術分野】
【０００１】
本発明はマッサージ用マスクに係り、特に顔に装着して美容効果を増進させるマッサージ用マスクに関する。
【背景技術】
【０００２】
一般に、美顔の方法の一つとして、顔のつぼを指圧したりマッサージしたりすることが行われている。特にマッサージを行う場合には、施術者或いは本人が希望する顔のつぼを指によりマッサージすることが一般に行われる。これにより施術位置における血行の増進及び代謝の向上等を図ることができる。
【０００３】
しかしながら、施術者或いは本人等の人の指によるマッサージでは、施術者或いは本人の負担が大きくなってしまう。マッサージを行う際、細かい振動を強く与えるほど、血行の向上が図れることが知られている。よって、より高いマッサージ効果を得ようとした場合、負担は更に大きくなってしまう。
【０００４】
これを改善すねため、顔に触れる内側の複数個所に振動子を設けた美顔マスクが提供されている（特許文献１）。この美顔マスクを顔に装着することにより、指でマッサージする方法に比べて施術を行う者の負担を軽減することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【０００５】
【特許文献１】特開平０７−０５１３３８号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【０００６】
しかしながら従来では、マスクの大きさは通常Ｌ，Ｍ，Ｓの３タイプ程度の大きさしか用意されていないのが一般的であり、マスクを装着する個々の使用者の顔に対応して個々にマスクを作成することは行われていなかった。
【０００７】
マッサージ位置は顔に存在するつぼの位置とすることが望ましいが、顔に存在するつぼは３０箇所以上の多数箇所に及び隣接するつぼの位置は近接している。よって、所望する効果に対応したつぼの位置をマッサージしようとした場合、このつぼの位置を正確にマッサージする必要がある。
【０００８】
しかしながら従来のマスクは、上記のようにマスクが被装着者の顔の形状に正確に一致していないため、マスクに設けられた振動子が所望する効果を実現できるつぼの位置からずれてしまうという問題点があった。
【０００９】
また、美顔マスクの形状が被装着者の顔の形状と一致していないため、美顔マスクの内面と顔との離間距離は均一でなく、近接した部位と離間した部位が発生してしまう。このため、近接した位置に設けられた振動子は顔を強くマッサージすることとなり、逆に離間した位置に設けられた振動子によるマッサージは弱くなるため、従来の美顔マスクではマッサージ効果を十分に得ることができないという問題点があった。
【００１０】
本発明は上記の点に鑑みてなされたものであり、マスク本体に設けられた振動子により適切なマッサージ効果を得ることができるマッサージ用マスクを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【００１１】
上記の課題は、第１の観点からは、
被装着者の顔を覆うように装着されるマッサージ用マスクであって、
マスク本体の内面形状を前記被装着者の個々の顔形状に一致するよう形成されたマスク本体と、
前記マスク本体に固定される固定部と、該固定部から内側に向け突出するエラストマーからなる支柱部と、該支柱部の先端部に配設された振動子とを有する振動体とを有することを特徴とするマッサージ用マスクにより解決することができる。
【発明の効果】
【００１２】
開示のマッサージ用マスクによれば、マスク本体の内面が被装着者の個々の顔形状に一致した形状を有しているため、被装着者の顔におけるつぼの位置に振動子を正確に当ててマッサージを行うことができるため、高いマッサージ効果を得ることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【００１３】
【図１】図１は、本発明の一実施形態であるマッサージ用マスクを装着している状態を示す部分断面図である。
【図２】図２は、振動体が被装着者の肌に触れた状態を拡大して示す図である。
【図３】図３は、本発明の一実施形態であるマッサージ用マスクの内側を示す斜視図である。
【図４】図４は、本発明の一実施形態であるマッサージ用マスクに用いる振動体を拡大して示す斜視図である。
【図５】図５は、本発明の一実施形態であるマッサージ用マスクの製造方法を説明するための図である（その１）。
【図６】図６は、本発明の一実施形態であるマッサージ用マスクの製造方法を説明するための図である（その２）。
【図７】図７は、本発明の一実施形態であるマッサージ用マスクの製造方法を説明するための図である（その３）。
【図８】図８は、本発明の一実施形態であるマッサージ用マスクの製造方法を説明するための図である（その４）。
【図９】図９は、振動体のマスク本体への装着方法の変形例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【００１４】
次に、本発明の実施の形態について図面と共に説明する。
【００１５】
図１は、被装着者Ａが本発明の一実施形態であるマッサージ用マスク１０を装着した状態を示している。同図に示すように、本実施形態に係るマッサージ用マスク１０は、被装着者Ａの鼻から下の部分を覆うように装着される美顔用のマスクである。しかしながら、本発明に係るマッサージ用マスクは必ずしも鼻から下の部分を覆う構成に限定されるものではなく、顔全体を覆うような構成とすることも可能である。
【００１６】
マッサージ用マスク１０は、マスク本体１１と振動体１２とを有した構造とされている。このマスク本体１１は、アモルファス・ポリエチレンテレフタレート（Ａ−ＰＥＴ）、ポリ塩化ビニル（ＰＶＣ）、ポリプロピレン（ＰＰ）等の樹脂により形成されている。尚、マスク本体１１は、被装着者Ａの鼻及び口に対向する位置に図示しない通気孔が設けられており、マッサージ用マスク１０の装着時に被装着者Ａが息苦しくならないよう構成されている。
【００１７】
また、本実施形態に係るマッサージ用マスク１０は、振動体１２の配設位置を除き、マスク本体１１の内面１０ａが被装着者Ａの顔形状に一致した形状を有するよう構成されている。即ち、個々の被装着者Ａはそれぞれ異なる顔立ちを有し、よって顔表面の凹凸形状も異なっている。本実施形態ではマッサージ用マスク１０をいわゆるオーダーメードで製造することにより、その内面１０ａを個々の被装着者Ａの顔表面の形状に一致させた（沿った）形状としている。
【００１８】
これにより、被装着者Ａがマッサージ用マスク１０を装着した際、マッサージ用マスク１０は被装着者Ａの顔にフィットさせることができる。ここで、マッサージ用マスク１０を被装着者Ａの顔にフィットさせることができるということは、つぼの位置を個々人に合わせることができることをいう。
ここで、マッサージ用マスク１０が被装着者Ａの顔にフィットするとは、マッサージ用マスク１０（マスク本体１１）の内面１０ａと被装着者Ａの顔表面とが接触した状態或いは一定の間隔以下（例えば１mm以下）である状態をいうものとする。
【００１９】
振動体１２は、図２及び図３に示すようにマッサージ用マスク１０の内面１０ａに複数個配設されている。この振動体１２は、振動することにより顔のつぼをマッサージする機能を奏するものである。振動体１２が被装着者Ａの顔のつぼを振動によりマッサージすることにより、被装着者Ａの血行の増進及び代謝の向上等を図ることができ、よって当該つぼに対応した適応症状の改善を図ることができる。
【００２０】
この振動体１２は、図２及び図４に示すように固定部１３、支柱部１４、振動モータ１５、及び球状部１７等を有している。固定部１３は、マスク本体１１に固定される部位である。マスク本体１１の振動体１２が配設される部位にはマスク内面に対して有底筒状に窪んだ装着部１１ａが形成されており、固定部１３はこの装着部１１ａの底部に固定される（図２参照）。
【００２１】
支柱部１４は弾性材であるエラストマーからなり、固定部１３に対して柱状に立設されている。この支柱部１４はエラストマーにより形成されているため、弾性的に変位可能な構成とされている。支柱部１４の内側（マスク本体１１側）の端部は固定部１３に固定され、他端部には球状部１７が配設されている。この固定部１３及び球状部１７は、ポリプロピレン（ＰＰ），ＡＢＳ樹脂，ポリカーボネート（ＰＣ），ポリエチレンテレフタレート（ＰＥＴ）等により形成されている。
【００２２】
球状部１７は、球形状を有している。被装着者Ａがマッサージ用マスク１０を装着した際、この球状部１７が被装着者Ａの肌に当接する。また、球状部１７の側部には装着溝１７ａが形成されており、この装着溝１７ａには振動モータ１５が装着されている。振動モータ１５は小型円盤形状を有し、内設された重心が偏って作られた回転子を回転させることにより振動を生成する構成とされている。
【００２３】
顔には３０箇所以上の多数のつぼが存在し各つぼの位置は近接しているが、本実施形態に係るマッサージ用マスク１０は、個々の被装着者に対応して個別に製造されるオーダーメードのマスクである。よってマッサージ用マスク１０によれば、被装着者Ａが希望するつぼの位置に振動体１２を正確に当接させることができ、効率の高いマッサージを行うことが可能となる。
【００２４】
また、マスク本体１１に設けられた複数の振動体１２は、コントローラ１８（図３参照）に接続されている。このコントローラ１８は、各振動体１２の振動の強さを個々に調整することが可能な構成とされている。よって、被装着者Ａの各つぼの位置の凝りの状態により振動体１２の振動強さを調整でき、よってより効率の高いマッサージを行うことができる。
【００２５】
上記構成とされたマッサージ用マスク１０を用いてマッサージを行うには、先ず被装着者Ａの顔にマッサージ用マスク１０装着した上で、コントローラ１８を操作して振動体１２を起動する。この際、直接被装着者Ａの肌に当接する球状部１７はエラストマーよりなる支柱部１４に支持されているため、球状部１７が肌に接する感触は良好である。
【００２６】
本実施形態に係るマッサージ用マスク１０によれば、マッサージ用マスク１０の内面１０ａに形成された各振動体１２は、被装着者Ａが望む改善したい症状に対応したつぼを適正にマッサージする。よって、マッサージ用マスク１０によれば、被装着者Ａの血行の増進及び代謝の向上を確実に図ることができ、当該つぼに対応した適応症状の改善を図ることができる。
【００２７】
次に、上記構成とされたマッサージ用マスク１０の製造方法について説明する。
【００２８】
図５乃至図８は、マッサージ用マスク１０の製造方法を製造手順に沿って示している。マッサージ用マスク１０を製造するには、先ず被装着者Ａの顔の三次元画像データを取り込む。この被装着者Ａの顔の三次元画像データを取り込むには、図５に示す三次元計測ユニット２０を用いる。三次元計測ユニット２０は、大略するとカメラ２１と画像生成装置２２とを有している。
【００２９】
カメラ２１はＣＣＤカメラであり、被装着者Ａの顔を撮像する。撮像された被装着者Ａの撮像データは、画像生成装置２２に送信される。この際、カメラ２１の解像度は高い方が望ましいが、市販されているデジタルカメラ程度の解像度であっても対応可能である。
【００３０】
本実施形態では、パーソナルコンピュータにより画像生成装置２２を実現している。パーソナルコンピュータには、三次元画像生成用のソフトウェアがインストールされている。そして、この三次元画像生成用ソフトウェアが実行されることにより、カメラ２１から送信された撮像データに基づき被装着者Ａの三次元画像データが生成される。
【００３１】
また、予め被装着者Ａには、顔に存在する多数のつぼの位置から、マッサージを行いたいつぼを選定してもらう。上記の三次元画像生成用のソフトウェアには、この顔のつぼの位置のデータが格納されており、被装着者Ａが指定したつぼの位置に対しては装着部１１ａを形成するための凸部１９を前記被装着者Ａの三次元画像データに付加する処理を実施する。
【００３２】
上記のようにして生成された被装着者Ａの三次元画像データは、図示しない三次元精密加工装置に送られる。この三次元精密加工装置は多軸（例えば５軸）のマシニングセンターであり、被装着者Ａの三次元画像データに基づき基材を切削加工することにより、被装着者Ａの顔形状に対応した顔モデル（被装着者Ａの希望するつぼの位置に凸部１９を有する）を作製する。
【００３３】
図６は、このようにして作製された被装着者Ａの顔モデルを示している。この顔モデルは、後述するマッサージ用マスク１０を成形する工程において成形型として機能するものである（以下，顔モデルを成形型２３という）。上記の説明から明らかなように、成形型２３の表面２３ａの形状は被装着者Ａの顔形状と一致している。
【００３４】
上記のようにして凹部１７を有する成形型２３が製造されると、この成形型２３を用いてマスク本体１１の成形を行う。図７は、成形型２３を用いてマッサージ用マスク１０の成形を行う工程を示している。
【００３５】
マッサージ用マスク１０の成形処理は、真空成形装置３５を用いて実施される。この真空成形装置３５は、成形型２３、ヒータ２４、マスク素材２５、及び成形用基台２７等により構成されている。
【００３６】
成形型２３は、同図に示すように成形用基台２７の上部に搭載される。成形用基台２７は、成形型２３が搭載される面に多数の吸引孔２８が形成されている。また、成形用基台２７の内部には空間部２７ａが形成されており、吸引孔２８はこの空間部２７ａに連通している。
【００３７】
更に、成形用基台２７の側部に形成された通路２９は図示しない真空ポンプに接続されている。よって、真空ポンプが起動することにより空間部２７ａ内は負圧となり、吸引孔２８の形成位置では吸引処理が行われる。この吸引力により、成形型２３は成形用基台２７に固定される。
【００３８】
マスク素材２５は、マッサージ用マスク１０となる素材シートである。前記したように、マスク素材２５の材質としては、Ａ−ＰＥＴ、ＰＶＣ、ＰＰ等の樹脂を用いることができる。本実施形態では、マスク素材２５として熱成形性（真空成形性）、ガスバリヤー性、衛生性、耐薬品性等に優れたＡ−ＰＥＴを用いている。
【００３９】
このマスク素材２５の外周は、枠材２６により保持されている。また、マスク素材２５の上部にはヒータ２４が配設されている。マスク素材２５は、このヒータ２４により加熱されて軟化する。
【００４０】
上記構成を有した真空成形装置３５を用いてマッサージ用マスク１０の成形を行うには、先ず成形型２３を成形用基台２７に装着する。この際、まだ真空ポンプは停止された状態であり、よって吸引力は作用していない。次に、枠材２６を下動させてマスク素材２５を成形型２３の表面２３ａ上に載置させる。
【００４１】
このように、成形用基台２７に対する成形型２３及びマスク素材２５の装着処理が終了すると、ヒータ２４及び真空ポンプが起動される。ヒータ２４が起動することにより、マスク素材２５は加熱されて軟化した状態となる。
【００４２】
尚、本実施形態では、マスク素材２５に対する加熱をマスク素材２５が成形型２３に当接した後に開始する方法を示している。しかしながら、マスク素材２５が成形型２３上に載置する前から、上部に位置するヒータ２４により予熱する構成としてもよい。また、成形型２３の表面に、予め離型材を塗布しておいてもよい。
【００４３】
マスク素材２５を保持する枠材２６は、成形用基台２７に吸着されることにより密着固定される。そして、マスク素材２５は枠材２６の内面で成形用基台２７により真空吸引処理が行われるため、成形型２３の表面２３ａに密着する。
【００４４】
前記のようにマスク素材２５はヒータ２４により加熱されることにより軟化しているため、よってマスク素材２５は成形型２３の表面２３ａに隙間なく密着した状態となる。この際、マスク素材２５は成形型２３に形成された凹部１７内にも入り込み、よって振動体１２が形成される。
【００４５】
このようにマスク素材２５が成形型２３の表面２３ａに密着されると、ヒータ２４を停止させる。これによりマスク素材２５の温度は低下し、マスク素材２５は樹脂硬化し、振動体１２が一体的に形成されたマスク本体１１が形成される。このようにマスク本体１１が形成されると、図８に示すようにマスク本体１１は成形型２３から離型され、これによりマッサージ用マスク１０が製造される。尚、凸部１９の形成位置によっては、マスク本体１１を成形型２３から離型させるのが困難な場合がある。このような場合には、成形型２３を複数に分割しうる分割型としてもよい。
【００４６】
このようにして製造されたマッサージ用マスク１０は、その内面１０ａの形状が被装着者Ａの顔形状に一致した形状となる。また、マッサージ用マスク１０で振動体１２の配設位置には、装着部１１ａが高い位置精度を持って形成される。
【００４７】
一方、上記したマッサージ用マスク１０の製造とは別工程で、振動体１２が製造される。固定部１３及び球状部１７は、ポリプロピレン（ＰＰ），ＡＢＳ樹脂，ポリカーボネート（ＰＣ），ポリエチレンテレフタレート（ＰＥＴ）等により形成されている。
【００４８】
また、球状部１７の成形時には、振動モータ１５を装着するための装着溝１７ａも同時形成される。また、固定部１３には振動モータ１５に接続される配線１６を通すための貫通孔が形成される。また支柱部１４は、熱硬化性エラストマー，熱硬化性樹脂系エラストマー，熱可塑性エラストマー等を用いることができる。この支柱部１４も中央部に配線１６を挿通するための貫通孔が形成されており、よって円柱形状とされている。
【００４９】
固定部１３と支柱部１４、及び支柱部１４と球状部１７は接着剤を用いて固定される。この際、予め球状部１７の装着溝１７ａに振動モータ１５を装着し、振動モータ１５の配線１６を支柱部１４及び固定部１３に形成された貫通孔に挿通した上で、上記接着処理を行う。
【００５０】
上記のようにして製造された振動体１２は、マスク本体１１に形成された各装着部１１ａに装着される。また、マスク本体１１に装着された各振動体１２の配線１６は、コントローラ１８に接続される。
【００５１】
この際、振動体１２のマスク本体１１に対する装着は、本実施形態では接着剤を用いて装着（固定）している。しかしながら、図９に示すように、固定部１３にアンダーカット部１３ａを形成すると共に、装着部１１ａにこのアンダーカット部１３ａと嵌合する嵌合鍔部１１ｂを形成しておき、図９（Ａ）に示すように振動体１２と装着部１１ａを位置決めした後、外側から振動体１２を装着部１１ａ内に挿入し、図９（Ｂ）に示すようにアンダーカット部１３ａと嵌合鍔部１１ｂとを嵌合することにより振動体１２を装着部１１ａに装着することとしてもよい。
【００５２】
このように、本実施形態によるマッサージ用マスク１０の製造方法では、被装着者Ａの顔形状と一致すると共に被装着者Ａの希望するつぼの位置に振動体１２を高精度にかつ容易に配置することができる。
【００５３】
ところで、三次元計測ユニット２０を構成する画像生成装置２２及び真空成形装置３５は、被装着者Ａの自宅に設置することは事実上困難である。よって、画像生成装置２２及び真空成形装置３５は、マッサージ用マスク１０の製造工場等（以下、マスク作製施設という）に設置される。しかしながら、被装着者Ａの顔の撮像処理は、上記のように市販されているデジタルカメラを用いることが可能であるため、自宅で行うことが可能である。
【００５４】
前記のようにマッサージ用マスク１０はオーダーメードで製造されるが、デジタルカメラにより撮像した被装着者の画像データ（写真データ）は、ＳＤメモリカード（登録商標）等の記録媒体に記録することにより、又はインターネットを利用して送信することにより、容易にマスク作製施設に送付することができる。よって、オーダーメードのマッサージ用マスク１０であっても、個々の被装着者に対してマッサージ用マスク１０を容易かつ確実に提供することができる。
【００５５】
以上、本発明の好ましい実施形態について詳述したが、本発明は上記した特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能なものである。
【００５６】
例えば、上記した実施形態では、支柱部１４のみをエラストマーにより形成し、固定部１３及び球状部１７を支柱部１４と別材料により構成したが、固定部１３，支柱部１４，及び球状部１７の全てを、熱可塑性エラストマー或いはシリコーンゴム等で一体的に形成した構成としてもよい。
【００５７】
また、上記した実施形態では、美顔用マスク１０を製造する方法として、画像生成装置２２で生成された被装着者Ａの三次元画像データを三次元精密加工装置に送り成形型２３を形成した後に、これを型として美顔用マスク１０を製造した。しかしながら、美顔用マスク１０の製造方法はこれに限定されるものではなく、型を用いずマスク本体１１を立体造形する方法を用いることも可能である。
【００５８】
この型を用いることなく造形物の製造を行う技術としては、例えばインクジェット方式のＲＰ造形装置、或いは光造型技術や液体ジェット技術を用いた３次元造型装置を用いることができる。具体的には、インクジェット方式のＲＰ造形装置としてはDimension Elite(STRATASYS社)［プラスチック（ABS樹脂）の熱溶融、射出、積層方式］を用いることができ、また光造型技術や液体ジェット技術を用いた３次元造型装置としてはディーメック社製の光造型装置ＳＣＳ−８０００、ＳＣＳ−３０００等を用いることができる。
【００５９】
これらの型を用いない３次元造型装置を用いることにより、マスク本体１１の製造を容易かつ短時間で製造することが可能となる。
【００６０】
更に、上記した実施形態ではマッサージ用マスク１０を顔のマッサージに適用した例について説明したが、肩，脚等の被装着者Ａの他の部位をマッサージする構成とすることも可能である。
【符号の説明】
【００６１】
１０ マッサージ用マスク
１１ マスク本体
１２ 振動体
１３ 固定部
１４ 支柱部
１５ 振動モータ
１７ 球状部
１９ 凸部
２０ 三次元計測ユニット
２１ カメラ
２２ 画像生成装置
２３ 成形型
２５ マスク素材
２７ 成形用基台
３５ 真空成形装置
Ａ 被装着者
【特許請求の範囲】
【請求項１】
被装着者の顔を覆うように装着されるマッサージ用マスクであって、
マスク本体の内面形状を前記被装着者の個々の顔形状に一致するよう形成されたマスク本体と、
前記マスク本体に固定される固定部と、該固定部から内側に向け突出するエラストマーからなる支柱部と、該支柱部の先端部に配設された振動子とを有する振動体とを有することを特徴とするマッサージ用マスク。
【請求項２】
前記振動体を複数個設けると共に、各振動体に設けられた振動子の振動の強さを調整しうる調整装置を設けたことを特徴とする請求項１に記載のマッサージ用マスク。
【請求項３】
前記振動子は円盤型の振動モータである請求項１又は２に記載のマッサージ用マスク。
【請求項１】
被装着者の顔を覆うように装着されるマッサージ用マスクであって、
マスク本体の内面形状を前記被装着者の個々の顔形状に一致するよう形成されたマスク本体と、
前記マスク本体に固定される固定部と、該固定部から内側に向け突出するエラストマーからなる支柱部と、該支柱部の先端部に配設された振動子とを有する振動体とを有することを特徴とするマッサージ用マスク。
【請求項２】
前記振動体を複数個設けると共に、各振動体に設けられた振動子の振動の強さを調整しうる調整装置を設けたことを特徴とする請求項１に記載のマッサージ用マスク。
【請求項３】
前記振動子は円盤型の振動モータである請求項１又は２に記載のマッサージ用マスク。
【図１】
【図２】
【図３】
【図４】
【図５】
【図６】
【図７】
【図８】
【図９】
【図２】
【図３】
【図４】
【図５】
【図６】
【図７】
【図８】
【図９】
【公開番号】特開２０１１−１１０１５１（Ｐ２０１１−１１０１５１Ａ）
【公開日】平成２３年６月９日（２０１１．６．９）
【国際特許分類】
【出願番号】特願２００９−２６７７１５（Ｐ２００９−２６７７１５）
【出願日】平成２１年１１月２５日（２００９．１１．２５）
【出願人】（０００００１９５９）株式会社資生堂 (1,748)
【Ｆターム（参考）】
【公開日】平成２３年６月９日（２０１１．６．９）
【国際特許分類】
【出願日】平成２１年１１月２５日（２００９．１１．２５）
【出願人】（０００００１９５９）株式会社資生堂 (1,748)
【Ｆターム（参考）】
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