説明

マットレス装置

【課題】複数のマットレス部に分解して取り扱いの容易化を図り、しかも使用時には分解されていても性能が低下することのないようにしたこと。
【解決手段】複数のマットレス部5,6に分割されこれらマットレス部が端面を接触させて並設されるマットレス本体4と、並設された複数のマットレス部の隣り合う側面を分解可能かつ接触する上記端面の接触圧力を調整可能に連結したバックル13を具備する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は運搬時や収容時の取り扱いが容易に行なえるようにしたマットレス装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、マットレス装置は利用者の身長よりも大きな長さ寸法に形成されているため、その長さ寸法は2メートル程度になってしまう。マットレス装置が2メートル程度の長尺な寸法であると、出荷の際の運搬や倉庫などでの収容に際して取り扱いが不便であるという問題が生じる。
【0003】
そこで、マットレス装置を複数に分割して構成し、運搬や収容に際して取り扱いが容易に行なえるようにすることが考えられている。特許文献1にはマットレス装置を複数の分割できるようにした構成が示されている。
【0004】
すなわち、特許文献1に示されたマットレス装置はマットレスを複数の小マットに分割し、使用時には複数の小マットを並設するようにしている。隣り合う小マットの対向する端面にはそれぞれ面ファスナが設けられている。それによって、使用時には並設された複数の小マットの対向する端面の面ファスナを着脱可能に連結することで、これら小マットを一体化するようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】実用新案登録第3009335号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、マットレスを複数の小マットに分割し、隣り合う小マットの端面を面ファスナによって分解可能に連結する構成にすると、上記マットレスを複数の小マットに分解したり、分解された複数の小マットを連結してマットレスとするなどのことができるから、出荷の際の運搬や倉庫などに収容する際の取り扱いを容易に行なうことが可能となる。
【0007】
しかしながら、複数の小マットを連結してマットレスとし、そのマットレスの上面に利用者が仰臥して利用する際、隣り合う小マットの対向する端面を単に面ファスナによって連結するだけでは、連結部分の連結強度が十分に得られない。
【0008】
そのため、連結部分に加わる利用者の荷重などによって小マットの連結状態が損なわれたり、連結部分のクッション性能が他の部分と異なってしまうなどのことがあるから、マットレスとしての性能が十分に得られないということがある。
【0009】
この発明は、複数のマットレス部に分割して取り扱いの容易化を図ると同時に、複数のマットレス部を並設して利用するとき、隣り合うマットレス部の連結状態が損なわれることがないようにしたマットレス装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この発明は、複数のマットレス部に分割されたマットレス本体と、
各マットレス部の側面に設けられ分割された複数のマットレス部を並設して使用するとき、隣り合うマットレス部をこれらマットレス部の端面の接触圧力の調整可能に連結する連結手段と
を具備したことを特徴とするマットレス装置にある。
【0011】
上記マットレス部は2つであって、各マットレス部は折り畳み可能に連結された2つのクッション部によって構成されていることが好ましい。
【0012】
上記連結手段は、第1の連結具と第2の連結具とが着脱可能に連結されるバックルであって、
一方のマットレス部には、一方のクッション部の側面の端部に第1の連結具、他方のクッション部の側面の端部に第2の連結具が設けられ、
他方のマットレス部には、2つのマットレス部を並設したときに一方のマットレス部の他方のクッション部の側面に設けられた第2の連結具に連結される第1の連結具、他方のクッション部の側面の端部に第1の連結具が設けられていて、
2つのマットレス部を分解した状態で各マットレス部を折り畳んだときには、各マットレス部のクッション部の側面に設けられた第1の連結具と第2の連結具が連結可能であることが好ましい。
【0013】
上記第1の連結具と第2の連結具は、一端が上記クッション部の側面に回動可能に連結された連結部材の他端に設けられていることが好ましい。
【0014】
各マットレス部のクッション部は、弾性材料によって形成された枠状部材と、この枠状部材の内部に並設されたばね部材と、上記枠状部材を収容した袋状の外装地とによって構成されていて、隣り合う一対のクッション部は上記外装地によってこれら一対のクッション部が折り畳み可能に連結されていることが好ましい。
【0015】
この発明は、複数のマットレス部に分割されたマットレス本体と、
各マットレス部の側面に設けられ分割された複数のマットレス部を並設して使用するとき、隣り合うマットレス部をこれらマットレス部の端面の接触圧力の調整可能に連結する連結手段を具備し、
上記連結手段は着脱可能に連結される第1の連結具と第2の連結具とによって構成されていて、
上記第1の連結具と第2の連結具は、それぞれ一端が上記マットレス部の側面に回動可能に連結された連結部材の他端に設けられることを特徴とするマットレス装置にある。
【発明の効果】
【0016】
この発明によれば、分割された複数のマットレス部を並設して使用する際、隣り合うマットレス部を、これらマットレス部の端面の接触圧力の調整可能に連結できるようにしたから、使用時に隣り合うマットレス部の連結状態が損なわれることがないばかりか、隣り合うマットレス部の連結部分のクッション状態を、他の部分と違和感が生じないよう調整することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】この発明の一実施の形態のマットレス装置をベッド装置に使用した状態の斜視図。
【図2】図1に示すマットレス装置の側面図。
【図3】隣り合うマットレス部のそれぞれ一方のクッション部の連結部分を示す斜視図。
【図4】2つのマットレス部を分解して折り畳んだ状態で積み重ねた斜視図。
【図5】分解されて折り畳まれたマットレス部を立てた状態を示す斜視図。
【図6】2つのマットレス部をバックルを外さずに折り畳んだ状態を示す斜視図。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、この発明の一実施の形態を図面を参照しながら説明する。
【0019】
図1はこの発明の実施の形態のマットレス装置Mが使用されたベッド装置Bを示す斜視図である。このベッド装置Bはベッド本体1を備えている。このベッド本体1はベッドフレーム2と、このベッドフレーム2の長手方向一端に立設されたヘッドボード3によって構成されている。
【0020】
上記ベッドフレーム2の内部には図示しない床板が架設され、この床板上には上記マットレス装置Mが載置される。このマットレス装置Mはマットレス本体4を有し、このマットレス本体4は分割された2つのマットレス部、つまり第1のマットレス部5と第2のマットレス部6によって構成されている。各マットレス部5,6はさらに2つのクッション部5a,6aに分割されている。
【0021】
各クッション部5a,6aは図1に一部破断して示すように比較的硬質なウレタンフォームなどの弾性材料によって形成された枠状部材8と、この枠状部材8の内部に行列状に収容された、たとえばポケットコイルなどのばね部材9と、上記枠状部材8を収容した袋状の外装地11とによって構成されている。
なお、図示はしないが、ばね部材9が収容された枠状部材8の上下面にはサイザルなどの保護部材と弾性シートが積層される。
【0022】
第1、第2のマットレス部5,6の各一対のクッション部5a,5a及び6a,6aの外装地11は、各一対のクッション部5a,5a及び6a,6aの端面の厚さ方向の一端がそれぞれ全長にわたって連結されている。それによって、第1、第2のマットレス部5,6の各一対のクッション部5a,5a及び6a,6aは連結部分を支点として重なるように折り畳むことができるようになっている。
【0023】
各一対のクッション部5a,5a及び6a,6aをそれぞれ折り畳み可能に連結するには、上記外装地11をそれぞれ一対のクッション部5a,5a及び6a,6a毎に分割して縫製した後、これらクッション部5a,5a及び6a,6aの端面の厚さ方向の一端を全長にわたって縫合してもよいが、この実施の形態では外装地11の一対のクッション部5a,5a及び6a,6aの上面を覆う部分を1枚の布地とすることで、この布地によって各一対のクッション部5a,5a及び6a,6aを折り畳み可能に連結するようにしている。
【0024】
このように構成された第1マットレス部5と第2のマットレス部6の両側面には連結手段としてのバックル13が後述する配置状態で設けられる。図2と図3に示すように、バックル13は着脱可能な第1の連結具としてのオス連結具13aと第2の連結具としてのメス連結具13bとによって構成されている。これら連結具13a,13bは、キャンバスなどの可撓性の材料によって形成された帯状の連結部材14の一端に設けられている。
【0025】
一端に各連結具13a,13bが設けられた連結部材14の他端は、各クッション部5a,6aの側面にハト目などの取付け具15によって回動可能に連結されている。
【0026】
上記バックル13の取付け状態を図2と図3を参照しながら具体的に説明する。まず、第1のマットレス部5には、その一対のクッション部5aのうち、図1に示すヘッドボード3側に位置する一方のクッション部5aの側面の長手方向の一端にオス連結具13aが設けられた連結部材14が取付け具15によって回動可能に取り付けられ、他方のクッション部5aの側面の長手方向の他端にメス連結具13bが設けられた連結部材14が都立敬具15によって回動可能に取り付けられている。
【0027】
第2のマットレス部6には、その一対のクッション部6aのうち、上記ヘッドボード3側に位置する一方のクッション部5aの側面の長手方向の一端にオス連結具13aが設けられた連結部材14が回動可能に取り付けられ、他方のクッション部5aの側面の長手方向の他端にメス連結具13bが設けられた連結部材14が回動可能に取り付けられている。
【0028】
上記メス連結具13bを連結した上記連結部材14は、一端部を上記メス連結具13bとの連結部分で折り返されて長さ調整可能に連結されている。したがって、上記連結部材14の折り返し部分14aを上記メス連結具13bに対して押し引きすれば、上記連結部材14による上記メス連結具13bの取付け長さを調整することができるようになっている。
【0029】
上記構成のマットレス装置Mは、図1と図2に示すように第1、第2のマットレス部5,6のそれぞれ一対のクッション部5a,5a及び6a,6aを水平に展開し、これらクッション部を一列に並設して使用される。
【0030】
その際、端面を対向させた第1のマットレス部5の他方のクッション部5aと、第2のマットレス部6の一方のクッション部6aとの側面に設けられたメス連結具13bとオス連結部13aを連結する。
【0031】
メス連結具13bとオス連結部13aを連結したならば、メス連結具13bが設けられた連結部材14の折り返し部分14aを引いて上記連結部材14によるメス連結具13bの取付け長さを調整する。つまり、第1のマットレス部5と第2のマットレス部6を単に連結するだけでなく、連結されたときの各マットレス部5,6のクッション部5aと6aとの端面の圧接力を調整する。
【0032】
それによって、使用時に並設された第1のマットレス部5と第2のマットレス部6との連結部分に利用者の荷重などによって大きな隙間が生じて連結状態が損なわれ、マットレスMの性能低下を招くのを確実に防止することができる。
【0033】
しかも、各マットレス部5,6のクッション部5aと6aの端面の圧接力を調整することで、これらクッション部5aと6aの端面の接触部分、つまり第1のマットレス部5と第2のマットレス部6との連結部分のクッション性能を変えることができる。
【0034】
たとえば、クッション部5aと6aの端面の圧接力を強くすれば、各マットレス5,6の連結部分を硬くすることができ、逆に圧接力を弱くすれば柔らかくすることができる。つまり、各マットレス5,6の連結部分のクッション性能を調整することができる。
【0035】
したがって、マットレス装置Mを2つのマットレス部5,6に分割しても、使用時には並設された2つのマットレス部5,6の接続部分に違和感が生じ難い状態に、連結部分の硬さを調整することができるから、マットレス装置Mの性能向上を図ることができる。
【0036】
各マットレス部5,6のクッション部5a,5a及び6a,6aは、比較的硬質な枠状部材8内にばね部材9を収容して構成している。それによって、枠状部材8の硬さでクッション部5a,5a及び6a,6aの周辺部に程よい硬さを持たせることができるようにしている。
【0037】
そのため、クッション部5a,5a及び6a,6aの周縁部を枠線で補強して硬さを持たせる場合のように、枠線の局部的な硬さが利用者に伝わることがないから、そのことによってもマットレス装置Mの性能向上を図ることができる。
【0038】
上記構成のマットレス装置Mは、不使用時には図4に示すように連結された一対のマットレス部5,6を分解し、各マットレス部5,6の一対のクッション部5a,5a及び6a,6aを折り畳む。クッション部5a,5a及び6a,6aを折り畳むことで、これらクッション部5a,5a及び6a,6aの端面の長手方向の一端と他端にそれぞれ設けられたオス連結具13aとメス連結具13bが上下方向に対向位置するから、これら連結具13a,13bを連結すれば、各一対のクッション部5a,5a及び6a,6aを折り畳んだ状態で展開不能に保持することができる。
【0039】
したがって、持ち運び時や収納時などに各一対のクッション部5a,5a及び6a,6aの折り畳まれた状態が損なわれることがないから、マットレス部5,6を容易に取り扱うことができるようになる。
【0040】
また、マットレス装置Mを2つのマットレス部5,6に分割し、さらに各マットレス部5,6を折り畳み可能な2つのクッション部5a,6aによって構成した。
【0041】
そのため、図5に示すように不使用時に折り畳まれた各マットレス部5,6を立てれば、その奥行き寸法Dがマットレス装置Mの長さ寸法の4分の1になるから、その状態で、たとえば奥行き寸法が比較的小さな家庭のクローゼットなどに収容することが可能となる。
【0042】
上記実施の形態では、不使用時にマットレス装置Mを2つのマットレス部5,6に分解して折り畳むことで、それぞれのマットレス部5,6をマットレス装置Mの4分の1の長さ寸法にして取り扱うことができるようにしたが、図2に鎖線で示すように連結された2つのマットレス部5,6を分解せずに、第2のマットレス6を第1のマットレス部5に重なるよう折り畳む。
【0043】
そのとき、2つのマットレス部5,6を連結したオス連結具13aとメス連結具13bが取り付けられた連結部材14は、図6に示すように取付け具15を支点として回動するから、これら連結具13a,13bを取り外すことなく、第2のマットレス6を第1のマットレス部5に重なるよう折り畳むことができる。
【0044】
このようにすれば、連結部材14のオス連結具13aとメス連結具13bを外すことなく、マットレス装置Mを使用状態のときの長さ寸法の2分の1の長さにして取り扱うことができる。さらに、折り畳まれた2つのマットレス部5,6は、連結部材14のオス連結具13aとメス連結具13bが連結された状態で展開することもできる。
【0045】
なお、上記一実施の形態では連結手段としてオス連結具とメス連結具からなるバックルを例に挙げて説明したが、連結手段はバックルに限定されず、たとえば着脱可能に連結される第1の面状ファスナと第2の面状ファスナであっても差し支えない。
【符号の説明】
【0046】
4…マットレス本体、5…第1のマットレス部、6…第2のマットレス部、5a,6a…クッション部、8…枠状部材、9…ばね部材、11…外装地、13…バックル(連結手段)、13a…オス連結具(第1の連結具)、13a…メス連結具(第2の連結具)、14…連結部材、15…取付け具。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のマットレス部に分割されたマットレス本体と、
各マットレス部の側面に設けられ分割された複数のマットレス部を並設して使用するとき、隣り合うマットレス部をこれらマットレス部の端面の接触圧力の調整可能に連結する連結手段と
を具備したことを特徴とするマットレス装置。
【請求項2】
上記マットレス部は2つであって、各マットレス部は折り畳み可能に連結された2つのクッション部によって構成されていることを特徴とする請求項1記載のマットレス装置。
【請求項3】
上記連結手段は、第1の連結具と第2の連結具とが着脱可能に連結されるバックルであって、
一方のマットレス部には、一方のクッション部の側面の端部に第1の連結具、他方のクッション部の側面の端部に第2の連結具が設けられ、
他方のマットレス部には、2つのマットレス部を並設したときに一方のマットレス部の他方のクッション部の側面に設けられた第2の連結具に連結される第1の連結具、他方のクッション部の側面の端部に第1の連結具が設けられていて、
2つのマットレス部を分解した状態で各マットレス部を折り畳んだときには、各マットレス部のクッション部の側面に設けられた第1の連結具と第2の連結具が連結可能であることを特徴とする請求項2記載のマットレス装置。
【請求項4】
上記第1の連結具と第2の連結具は、一端が上記クッション部の側面に回動可能に連結された連結部材の他端に設けられていることを特徴とする請求項3記載のマットレス装置。
【請求項5】
各マットレス部のクッション部は、弾性材料によって形成された枠状部材と、この枠状部材の内部に並設されたばね部材と、上記枠状部材を収容した袋状の外装地とによって構成されていて、隣り合う一対のクッション部は上記外装地によってこれら一対のクッション部が折り畳み可能に連結されていることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載のマットレス装置。
【請求項6】
複数のマットレス部に分割されたマットレス本体と、
各マットレス部の側面に設けられ分割された複数のマットレス部を並設して使用するとき、隣り合うマットレス部をこれらマットレス部の端面の接触圧力の調整可能に連結する連結手段を具備し、
上記連結手段は着脱可能に連結される第1の連結具と第2の連結具とによって構成されていて、
上記第1の連結具と第2の連結具は、それぞれ一端が上記マットレス部の側面に回動可能に連結された連結部材の他端に設けられることを特徴とするマットレス装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−229623(P2011−229623A)
【公開日】平成23年11月17日(2011.11.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−101359(P2010−101359)
【出願日】平成22年4月26日(2010.4.26)
【出願人】(000010032)フランスベッド株式会社 (95)
【Fターム(参考)】