説明

マットレス装置

【課題】身長や体型が異なる使用者であっても、補助部材をマットレス上の任意の位置(好みの位置)で容易に配置して、使用者に適した寝姿勢を保ち、快適な寝心地となるマットレス装置を提供する。
【解決手段】マットレス装置1は、上面21の両端の長手方向に延びる第1被貼付部23及び第1貼付部を除く上面21を覆うように形成されている第2被貼付部24を有するマットレス20と、第1被貼付部23に着脱可能な第1貼付部を有しマットレス20の上面21を覆う外装体30と、第2被貼付部24に着脱可能な第2貼付部42を有する補助部材40とを備え、マットレス20と外装体30との間に挟み込まれた補助部材40が任意の位置に取り付け自在な構成とした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、使用者の身長や体型又は好みにあわせて補助部材をマットレスに配置し、使用者の寝姿勢及び寝心地を補助するマットレス装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来のマットレス装置について、特許文献1に示されるものが知られている。
【0003】
特許文献1のマットレス装置は、凹部を有するクッション枠1と、クッション枠の凹部に配置されるポケットスプリングの集合体2と、クッション枠を覆う開閉自在な外装体3を有しており、弾性特性の異なるポケットスプリング集合体2を選択してクッション枠に収容して全体を外装体で被覆しているスプリング組み替え式の構造と成っている。このポケットスプリング集合体は、ポケットコイル12が封入された袋11で構成されたスプリングの集合体であり、このポケットコイルの線径を変更や、袋内にポリウレタンを注入することで弾性特性を変化させている。これにより、ポケットスプリング集合体は、弾性特性の異なるスプリングの組み合わせやスプリング挿入位置の入れ替えによって、使用者の身長や体型に合わせて寝姿勢時のマットレスへの体の部分的な落ち込みの抑制と、快適な寝心地を提供することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平11−56536号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記したマットレス装置は、本来の使用者と異なる使用者が同じポケットスプリング集合体を使用した際に、本来の使用者の身長や体型に合わせたポケットスプリング集合体ではサポート位置が異なるため、使用者が異なると寝姿勢時の部分的な落ち込みの抑制と快適な寝心地を提供できないおそれがある。このため、使用者が異なる時、このマットレス装置は、ポケットスプリング集合体ごと取り替える必要があるため、使用者が変わるごとに取り替え作業を行うのは容易ではない。また、使用者は、日々の状況や好みに応じてポケットスプリングのサポート位置を切り替えることは困難である。
【0006】
従って、本発明は、身長や体型が異なる使用者であっても、補助部材をマットレス上の任意の位置(好みの位置)で容易に配置して、使用者に適した寝姿勢を保ち、快適な寝心地となるマットレス装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するために講じた手段は、マットレス装置は、上面端部に第1被貼付部及び上面に第2被貼付部を有するマットレスと、第1被貼付部に着脱可能な第1貼付部を有しマットレスの上面を覆う外装体と、第2被貼付部に着脱可能な第2貼付部を有し、マットレスの硬さ調整を行う補助部材とを備え、マットレスと外装体とに挟み込まれた状態で補助部材が前記マットレス上の任意の位置に取り付け自在な構成である。
【0008】
この場合、補助部材は、シート形状であるとよい。
【0009】
そして、この補助部材は、少なくとも裏面に第2貼付部を有しているとよい。
【0010】
また、マットレスは、上下両面に第1被貼付部と第2被貼付部とを有しているとよい。
【0011】
また、外装体の裏面には、マットレスの第2被貼付部と着脱可能な第3貼付部を幅方向の端部に設けているとよい。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、このマットレス装置は、マットレスの第1被貼付部と外装体の第1貼付部が着脱可能であるため、マットレスからの外装体の取り外しが容易である。このマットレスの上面に第2被貼付部が設けられていることから、第2被貼付部と容易に着脱可能な第2貼付部を有する補助部材は、マットレスの上面に対して任意の位置で着脱が可能となる。このため、マットレス装置は、身長や体型が異なる使用者でも自分の好みの位置で補助部材を配置できる。さらに、マットレス装置は、補助部材を取り付けることで、任意の位置でマットレスの弾力性を変更することができる。このため、マットレス装置は、マットレスを使用者の適した弾力性に変更できるため、マットレスに対して体の落ち込みを抑制することが可能である。これらから、このマットレス装置は、使用者にあった寝姿勢を保つことができ、快適な寝心地を提供できる。また、補助部材は、第2被貼付部と着脱可能な第2貼付部を有していることから、マットレスに対するずれを抑制することができる。さらに、外装体と挟んで補助部材をマットレス上に取り付けることで、マットレス装置は補助部材を収納できるためマットレス装置の外観を損なうことなく、使用者がマットレスを使用できる。
【0013】
この場合、マットレスと外装体との間にシート形状の補助部材を取り付けることで、補助部材によって生じる外装体の表面の凹凸を抑制することができる。
【0014】
また、シート形状の補助部材は、片面に第2貼付部が取り付けられていれば、マットレス上面の第2被貼付部に着脱が自在となる。
【0015】
また、マットレスが、上面及び下面の両面に第1被貼付部及び第2被貼付部を有していることで、補助部材が必要のない場合に、補助部材をマットレスの下面へ貼り付けて保管することができ、マットレスの両面を使用できることにより片面だけの使用に比べて長期間使用することが可能となる。
【0016】
また、外装体にマットレスの第2被貼付部に対して着脱可能な第3貼付部を設けることで、外装体はマットレスと密着し、マットレスとの密着性を高めることができ、ずれを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の実施例に係わるマットレス装置の構成を示す分解斜視図である。
【図2】図1に示すマットレスの(a)上視図、(b)側面図である。
【図3】図1に示す外装体の(a)下視図、(b)端部の要所部分拡大図である。
【図4】図1に示す補助部材の下視図である。
【図5】マットレス装置の取付図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明の実施例に係わるマットレス装置1の構成について、図1を用いて説明する。図1はマットレス装置1の構成を示す分解斜視図を示している。
【0019】
図1に示すように、マットレス装置1は、マットレス20と、マットレス20の上面21を覆うように取り付けられる外装体30と、マットレス20及び外装体30との間に取り付けられる補助部材40とで構成されている。このマットレス20は、上面21の幅方向の端部22には長手方向に沿って第1被貼付部23(例えば、ファスナー)が設けられ、両側に設けられた第1被貼付部23の間の上面21の一部若しくは全体に第2被貼付部24(例えば、起毛生地)が設けられている。また、この第1被貼付部23及び第2被貼付部24は、上面のみならず、下面25にも同様に設けることも可能である。また、外装体30は、下面31の幅方向の端部32には、長手方向に沿ってマットレス20の第1被貼付部23に対応する第1貼付部33を設けている。さらに、外装体30は、マットレス20の第2被貼付部24に着脱可能な下面31の長手方向端部34に幅方向に沿った第3貼付部35(例えば、面ファスナー)が設けられている。また、このマットレス装置1の補助部材40は、シート形状を成しており、マットレス20と着脱する下面41に第2貼付部42を設けている。
【0020】
次に、マットレス装置1を構成する各部材について、図2から図4を用いて説明する。図2はマットレス20の(a)上視図、(b)側面図を示し、図3は外装体30の(a)下視図、(b)端部の要所部分拡大図を示している。図4は、補助部材40の下視図を示している。
【0021】
図2より、マットレス20は、例えば、スプリングのマット部26を上面21及び下面25の生地を側面27の生地で縫合することによって繋ぎ合わせてマット部26を覆う。上面21及び下面25は、側面27と繋ぎ合わせた幅方向の端部22に長手方向に沿った第1被貼付部23(ファスナー)を設けている。また、上面21及び下面25の全体又は一部には、例えば、起毛生地等を用いることで上面の表面に第2被貼付部24を設けている。この第2被貼付部24である上面21及び下面25は、キルティング加工が施されており、補助部材40や外装体30との着脱の際の引っ張りを抑制し、着脱を容易に行うことが可能である。
【0022】
図3より、外装体30の下面31には、マットレス20の第1被貼付部23に着脱可能な第1貼付部33が、第1被貼付部23に対応するように幅方向の端部32に設けられている。この外装体30は、長手方向方向の端部34(ヘッドボードを取り付けない側)に第2被貼付部24と着脱可能な第3貼付部35(面ファスナー)を設けている。このため、外装体30は、マットレス20への取り付けた後に、マットレス20に対しての浮きを抑制することができる。また、外装体30の表面36は、マットレス20の上面21及び下面25と同様にキルティング加工が施されており、外装体30内部の材料との密着性を高めている。
【0023】
図4に示す補助部材40は、シート形状を成しており、下面41にはマットレス20の第2被貼付部24に着脱可能な第2貼付部42が設けられている。この補助部材40は、例えば硬質材や半硬質材、及び軟質材等といった材料(例えば、ウレタン、フェルト)に限定されることなく用途に合ったものを使用できる。ただし、軟質材等を生地で覆いキルティング加工等を施した際は、第2貼付部42を下面41に取り付けると縫い目が表面に表れるおそれがある。このため、図4に示すようにキルティング加工等が施された補助部材40では、第2貼付部42は4隅に取り付けられている。このとき、第2貼付部42は、角を形成する2辺と第2貼付部42の2つの端部43とを外枠の縫合とともに取り付けることで上面及び下面41の表面に縫い目が表れないように取り付けている。硬質材等で補助部材40が形成されている場合は、補助部材40の下面41にテープ等で第2貼付部42を取り付ければよい。
【0024】
次にマットレス装置1の取り付けについて、図5を用いて説明する。図5は、マットレス装置1の取付図を示している。
【0025】
図5に示すように、このマットレス装置1は、外装体30がマットレス20に取り付けられた補助部材40を覆うように組み付けられている。この外装体30は、補助部材40による表面の凹凸の形成を抑制できる。これは、補助部材40の厚さが、例えば、10mmから20mmであれば、使用者への補助と同時に外装体30の表面に補助部材40の形が表れることがないように形状としているためである。マットレス20の下面25が上面21と同様の構造であるため、補助部材40を使用しないときには、補助部材40を直接下面41に貼り付けて収納することが可能である。さらに、洗濯が可能な素材で外装体30を形成しているため、外装体30を洗って取り付ける際に、マットレス20を上面21から下面25へ取り付け場所を替えることで、マットレス20を清潔に保ち、マットレス20の使用期間も伸ばすことができる。
【0026】
以上、実施例の構成について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、以下に示す態様に変更してもよい。
【0027】
・マットレス20の第2被貼付部24と着脱可能な外装体30の第3貼付部35が外装体30の長手方向と垂直な両端部34に設けていても良い。これは、ヘッドボード(図示せず)側では、第3貼付部35がファスナーのようなものであれば、外装体30を取り外すのは困難である。しかし、第3貼付部35が面ファスナーのようなものであれば、外装体30の取り外しは容易である。
【0028】
・補助部材40の形状等は実施例に限定されるものではなく、クッションのようなものであってもよい。
【0029】
・このマットレス装置1は、使用者が外装体30に故意に段差をつけて使用する場合があるため使用目的に応じて補助部材40を何枚か重ねて使用すること可能である。ただし、シート形状の補助部材40は、1枚では外装体30の外観を損ねない厚さであるとよい。
【0030】
・補助部材40の第2貼付部42は、キルティング加工が施された表面に縫い目が表れないように取り付ければよい。例えば、第2貼付部42が対向する端部に取り付けられてもよい。
【0031】
・シート形状の補助部材40が、硬質材や半硬質材に限定されることなく発熱体であっても良い。補助部材40は、外装体30に被覆されているため、発熱体である補助部材40が使用者に直接触れることなく熱を享受できる。さらに、補助部材40は、マットレスに貼り付けられているために、ずれることなく、一定の位置で温めることが可能となる。
【符号の説明】
【0032】
1 マットレス装置
20 マットレス
21 上面(マットレス)
23 第1被貼付部
24 第2被貼付部
25 下面(マットレス)
30 外装体
33 第1貼付部
34 幅方向の端部
35 第3貼付部
40 補助部材
41 下面(補助部材)
42 第2貼付部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
上面端部に第1被貼付部及び上面に第2被貼付部を有するマットレスと、
前記第1被貼付部に着脱可能な第1貼付部を有し前記マットレスの上面を覆う外装体と、
前記第2被貼付部に着脱可能な第2貼付部を有し、前記マットレスの硬さ調整を行う補助部材とを備え、
前記マットレスと前記外装体とに挟み込まれた状態で前記補助部材が前記マットレス上の任意の位置に取り付け自在であることを特徴とするマットレス装置。
【請求項2】
前記補助部材は、シート形状であることを特徴とする請求項1に記載されているマットレス装置。
【請求項3】
前記補助部材は、少なくとも裏面に前記第2貼付部を有することを特徴とする請求項2に記載されているマットレス装置。
【請求項4】
前記マットレスは、上下両面に前記第1被貼付部と前記第2被貼付部とを有すること特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載されているマットレス装置。
【請求項5】
前記外装体の裏面には、前記マットレスの前記第2被貼付部と着脱可能な第3貼付部を幅方向の端部に設けていることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか一項に記載されているマットレス装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−153(P2012−153A)
【公開日】平成24年1月5日(2012.1.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−135381(P2010−135381)
【出願日】平成22年6月14日(2010.6.14)
【出願人】(000000011)アイシン精機株式会社 (5,421)
【Fターム(参考)】