説明

マット材、組立体、および排気ガス処理装置

【課題】リテーナを使用しないでも、排気ガス処理体の軸方向のズレを抑制することが可能な組立体を提供することを目的とする。
【解決手段】第1および第2の開口面と、該第1および第2の開口面をつなぐ外周面とを有する排気ガス処理体の前記外周面の少なくとも一部に、保持シール材を配置することにより構成される組立体であって、前記保持シール材は、前記排気ガス処理体の第1の開口面の少なくとも一部を覆うように配置された、係止部を有することを特徴とする組立体。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マット材、組立体、および排気ガス処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車の台数は、今世紀に入って飛躍的に増加しており、それに比例して、自動車の内燃機関から排出される排気ガスの量も急激な増大の一途を辿っている。特にディーゼルエンジンの排気ガス中に含まれる種々の物質は、汚染を引き起こす原因となるため、現在では、世界環境にとって深刻な影響を与えつつある。
【0003】
このような事情の下、各種排気ガス処理装置が提案され、実用化されている。一般的な排気ガス処理装置は、エンジンの排気ガスマニホールドに連結された排気管の途上に筒状部材(ケーシング)を設け、その中に、排気ガスの入口および出口用の開口面を有し、内部に微細な気孔を多数有する排気ガス処理体を配置した構造となっている。排気ガス処理体の一例としては、触媒担持体、またはディーゼルパティキュレートフィルタ(DPF)等の排気ガスフィルタがある。例えばDPFの場合、上述の構造により、排気ガスが排気ガス処理体の入口開口面から出口開口面を通って排出される間に、気孔の周囲の壁に微粒子がトラップされ、排気ガス中から微粒子(PM)を除去することができる。
【0004】
このような排気ガス処理体とケーシングの間には、通常保持シール材が設置される。保持シール材は、車両走行中等における排気ガス処理体とケーシングの当接による破損を防ぎ、さらにケーシングと排気ガス処理体との隙間から排気ガスが漏れる(リーク)することを防止するために用いられる。また、保持シール材は、ケーシング内で排気ガス処理体の位置がずれることを抑制する役割を有する。さらに排気ガス処理体は、反応性を維持するため高温に保持する必要があり、保持シール材には断熱性能も要求される。これらの要件を満たす保持シール材の部材としては、アルミナ系繊維等の無機繊維を含むマット材がある。
【0005】
このマット材は、排気ガス処理体の開口面を除く外周面の少なくとも一部に巻き付けられた後、端面同士を接合し、排気ガス処理体と一体固定化されることにより、組立体が形成される。そして、マット材は、保持シール材として機能する。その後、この組立体は、ケーシング内に装着され、これにより排気ガス処理装置が構成される。
【0006】
排気ガス処理装置において使用される保持シール材は、ケーシング内において、排気ガス処理体が径方向にずれることを効果的に抑制する。しかしながら、排気ガス処理装置内に高圧の排気ガスが導入された場合などにおいて、排気ガス処理体がケーシング内で排気ガスの出口方向にずれる可能性がある。
【0007】
そこで、排気ガス処理体のこのような軸方向のズレを抑制するため、排気ガス処理体の出口側の端面に係合するようにして、「リテーナ」などと呼ばれるワイヤメッシュ部材を設置することが開示されている(例えば特許文献1〜3)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2004−36398号公報
【特許文献2】特開昭56−23512号公報
【特許文献3】特開昭57−183511号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、特許文献1〜3のような「リテーナ」用のワイヤメッシュ部材は、例えばステンレス鋼製の針金を編み込んで網状に構成する必要があり、比較的高価であるという問題がある。このため、「リテーナ」を有する排気ガス処理装置では、製作コストが上昇してしまう。
【0010】
また、微視的には、ワイヤメッシュ部材は、排気ガス処理体の端部(正確には、開口面の外周部分)に対して、複数のステンレス鋼線を「線状」に当接させることにより、排気ガス処理体を支持する構造となっており、十分なクッション性を有するとは言い難い。例えば、この特許文献1〜3のような支持方法では、排気ガス処理体が相当の勢いでリテーナに当接した場合、リテーナに十分なクッション性がないため、排気ガス処理体の端部にワレおよびクラックが生じる可能性が高くなる。
【0011】
本発明は、このような課題に鑑みなされたものであり、本発明では、リテーナを使用しないでも、排気ガス処理体の軸方向のズレを抑制することが可能なマット材、そのようなマット材からなる組立体、および組立体を備える排気ガス処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明では、
無機繊維を含み、排気ガス処理体を保持する保持シール材として使用されるマット材であって、
当該マット材は、
第1および第2の主表面と、
長手方向に沿った上端面および下端面と、
前記長手方向と垂直な幅方向に沿った第1および第2の側端面と、
を有し、
前記下端面には、前記幅方向に沿って突出する、少なくとも一つの凸部が形成されていることを特徴とするマット材が提供される。
【0013】
ここで、本発明によるマット材において、前記凸部は、前記下端面の領域の5%〜100%を占めても良い。
【0014】
また、本発明によるマット材において、前記凸部は、前記幅方向に沿って、1mm〜30mmの長さを有しても良い。
【0015】
また、本発明によるマット材において、前記第1の主表面の前記凸部の付け根部には、前記長手方向に沿った切り込み線が形成されても良い。
【0016】
また、本発明によるマット材において、前記第2の主表面の前記凸部の付け根部には、前記長手方向に沿ったV状の溝が形成されても良い。
【0017】
また、本発明によるマット材において、前記凸部は、複数存在しても良い。
【0018】
また、本発明によるマット材において、前記凸部は、等間隔に3つ存在しても良い。
【0019】
また、本発明によるマット材において、前記係止部の少なくとも一つは、三角形、四角形、半円形、およびこれらの一部に凹部を有する形状からなる群から選定された形状を有しても良い。
【0020】
また、本発明によるマット材において、前記上端面には、前記幅方向に沿って突出する、少なくとも一つの凸部が形成されても良い。
【0021】
また、本発明によるマット材において、前記無機繊維は、アルミナ繊維、ムライト繊維、シリカアルミナ繊維、およびガラス繊維で構成された群から選定された、少なくとも一つを含んでも良い。
【0022】
また、当該マット材は、さらに、無機結合材および/または有機結合材を有しても良い。
【0023】
さらに、本発明では、
第1および第2の開口面と、該第1および第2の両開口面をつなぐ外周面とを有する排気ガス処理体と、該排気ガス処理体の外周面の少なくとも一部に配置された保持シール材とを含む組立体であって、
前記保持シール材は、前述の特徴を有するマット材で構成され、
前記保持シール材は、前記排気ガス処理体の第1の開口面の少なくとも一部を覆うように配置された、第1の係止部を有することを特徴とする組立体が提供される。
【0024】
ここで、本発明による組立体において、前記第1の係止部は、前記排気ガス処理体の前記第1の開口面の外周領域の5%〜100%を覆っても良い。
【0025】
また、本発明による組立体において、前記第1の係止部は、前記排気ガス処理体の第1の開口面の中心に向かって1mm〜30mmの高さを有しても良い。
【0026】
ここで、本発明による組立体において、前記第1の係止部は、複数存在しても良い。
【0027】
また、本発明による組立体において、前記第1の係止部は、等間隔に3つ存在しても良い。
【0028】
また、本発明による組立体において、前記第1の係止部の少なくとも一つは、三角形、四角形、半円形、およびこれらの一部に凹部を有する形状からなる群から選定された形状を有しても良い。
【0029】
また、本発明による組立体において、前記第1の係止部は、前記排気ガス処理体の第1の開口面の中心に対して、回転対称の位置に配置されても良い。
【0030】
また、本発明による組立体において、前記排気ガス処理体は、触媒担持体または排気ガスフィルタであっても良い。
【0031】
また、本発明による組立体において、前記保持シール材は、前記排気ガス処理体の第2の開口面の少なくとも一部を覆うように配置された、第2の係止部を有しても良い。
【0032】
また、本発明では、
第1および第2の開口面と、該第1および第2の開口面をつなぐ外周面とを有する排気ガス処理体と、前記排気ガス処理体の外周面の少なくとも一部に配置された保持シール材を含む組立体と、
前記組立体を収容する筒状部材と、
で構成される排気ガス処理装置であって、
前記組立体は、前述の特徴を有する組立体であることを特徴とする排気ガス処理装置が提供される。
【発明の効果】
【0033】
本発明では、リテーナを使用しないでも、排気ガス処理体の軸方向のズレを抑制することが可能なマット材、そのようなマット材からなる組立体、および組立体を備える排気ガス処理装置を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】従来の排気ガス処理装置の一例を模式的に示した断面図である。
【図2】本発明による排気ガス処理装置の一例を模式的に示した断面図である。
【図3】本発明による組立体の一例を概略的に示した斜視図である。
【図4】排気ガス処理体の開口面の「外周領域」を説明するための図である。
【図5】本発明に係る排気ガス処理体の第2の開口面の外周領域を覆う保持シール材の係止部の一形態を模式的に示した図である。
【図6】本発明に係る排気ガス処理体の第2の開口面の外周領域を覆う保持シール材の係止部の別の一形態を模式的に示した図である。
【図7】本発明に係る保持シール材として使用されるマット材の一構成例を模式的に示した図である。
【図8】本発明に係る保持シール材として使用されるマット材の別の一構成例を模式的に示した図である。
【図9】本発明に係る保持シール材として使用されるマット材のさらに別の一構成例を模式的に示した図である。
【図10】本発明に係る保持シール材として使用されるマット材のさらに別の一構成例を模式的に示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
以下、本発明について説明する。
【0036】
(従来の排気ガス処理装置)
まず、本発明をより良く理解するため、図1を参照して、従来の排気ガス処理装置について説明する。
【0037】
図1には、従来の排気ガス処理装置の一例を模式的に示した断面図を示す。図1に示すように、従来の排気ガス処理装置1は、排気ガス処理体10と、保持シール材20と、ケーシング50と、リテーナ80とで構成される。
【0038】
排気ガス処理体10は、軸方向の2つの端面が開口面12、13となるように構成された略円柱状の形状を有する。排気ガス処理体10は、排気ガス処理装置1の排ガス入口2から、第1の開口面12を介して導入された排気ガスを浄化し、浄化されたガスを、第2の開口面13を介して排ガス出口3から排出する役割を有する。
【0039】
ケーシング50は、排気ガス処理体10の外周面の少なくとも一部に保持シール材20を巻き回すことにより構成された組立体40を、内部空間に収容する役割を有する。
【0040】
保持シール材20は、ケーシング50内において、排気ガス処理体10が径方向にずれることを効果的に抑制する。ただし、保持シール材20の保持性は、排気ガス処理体10の軸方向(図1の左右方向)のズレの抑制に対しては、径方向ほどは有効ではなく、例えば排気ガス処理装置1において、排ガス入口2側から高圧の排気ガスが導入された場合などにおいて、排気ガス処理体10がケーシング50内で排気ガスの出口方向(図1の右方向)にずれる可能性がある。
【0041】
リテーナ80は、このような排気ガス処理体10の軸方向のズレを抑制するために使用される。すなわち、図1に示すように、リング形状のリテーナ80を、排気ガス処理体10の第1の開口面12および第2の開口面13の外周領域の一部と係合するようにして配置することにより、排気ガス処理体10の軸方向のズレが抑制される。
【0042】
リテーナ80は、ワイヤメッシュ部材で構成され、この部材は、例えばステンレス鋼製の針金をリング形状に編み込んで網状にすることにより作製される。
【0043】
しかしながら、このようなリテーナ80用のワイヤメッシュ部材は、比較的高価であるという問題がある。このため、リテーナ80を設置することにより、排気ガス処理装置1の製作コストが上昇してしまう。さらに、排気ガス処理装置1の製作に必要な部品数が増加するため、作業効率の低下や製造時間の増加という問題もある。
【0044】
また、このようなワイヤメッシュ部材は、微視的には、排気ガス処理体10の開口面12、13の外周領域に対して、複数のステンレス鋼線を「線状」に当接させることにより、排気ガス処理体10を支持する構造となっている。このため、ワイヤメッシュ部材は、十分なクッション性を有するとは言い難い。例えば、このような支持方法では、排気ガス処理体10が相当の勢いでリテーナ80に当接した際に、リテーナのクッション性が低いために衝撃を吸収しきれず、排気ガス処理体10の端部にワレおよびクラックが生じる可能性が高くなる。
【0045】
このように、従来の排気ガス処理装置の構成では、リテーナ80を使用することにより上記のような問題が生じ得る。
【0046】
(本発明の排気ガス処理装置)
図2を参照して、本発明による排気ガス処理装置の一構成例について説明する。
【0047】
図2には、本発明による排気ガス処理装置の一例を模式的に示した断面図を示す。
【0048】
図2に示すように、本発明による排気ガス処理装置100は、排気ガス処理体110と、保持シール材120と、ケーシング150とで構成される。
【0049】
排気ガス処理体110は、軸方向の2つの端面が開口面112、113となるように構成された略円柱状の形状を有する。排気ガス処理体110は、排気ガス処理装置100の排ガス入口102から、第1の開口面112を介して導入された排気ガスを浄化し、第2の開口面113を介して排ガス出口103から、浄化されたガスを排出する役割を有する。
【0050】
ケーシング150は、排気ガス処理体110の外周面の少なくとも一部に保持シール材120を巻き回すことにより構成された組立体140を、内部空間に収容する役割を有する。
【0051】
ここで、本発明では、組立体140は、保持シール材120を、排気ガス処理体110の第2の開口面113の外周領域の少なくとも一部を覆うようにして配置することにより構成される。なお、図2の例では、保持シール材120は、排気ガス処理体110の第1の開口面112の側、および第2の開口面113の側のそれぞれに設置されている。しかしながら、これは必ずしも必要ではなく、例えば、保持シール材120は、排気ガス処理体110の第2の開口面113の側のみに配置されていても良い。
【0052】
このような組立体140の構成では、保持シール材120の一部が従来のリテーナの役割を果たすようになるため、高価なリテーナを使用する必要がない。このため、組立体140を排気ガス処理装置100に使用した場合、排気ガス処理装置100の製造コストを有意に抑制することができる上、部品数を削減することが可能となる。
【0053】
また、このような組立体140を使用した場合、排気ガス処理体110の第2の開口面113の外周領域は、保持シール材120の一部と当接するようになる。すなわち、組立体140では、排気ガス処理体110の第2の開口面113の外周領域を、従来のリテーナのような複数の「線」で支持する方法とは異なり、「面」で支持することができる。このため、排気ガス処理体110に対するクッション性が向上し、仮に排気ガス処理体110に、軸方向のずれが生じても、これにより排気ガス処理体110の第2の開口面113等にワレおよびクラックが生じることを抑制することが可能となる。
【0054】
また、このような組立体140では、排気ガス処理体110が、リテーナおよびケーシングのような金属製(熱伝導性)の部材と直接接触する可能性が少なくなり、組立体140の断熱性を向上させることが可能となる。
【0055】
(本発明の組立体)
図3には、本発明の一例を概略的に示した模式図を示す。
【0056】
図3に示すように、本発明の排気ガス処理装置100に使用される組立体140は、略円柱状の排気ガス処理体110の外周面111の少なくとも一部に、保持シール材120を配置することにより構成される。なお、排気ガス処理体110の形状は、特に限られない。排気ガス処理体110は、例えば、角柱状、または楕円断面を有する柱状形状であっても良い。
【0057】
排気ガス処理体110は、例えば、触媒担持体または排気ガスフィルタ(例えばディーゼルパティキュレートフィルタ(DPF))であっても良い。
【0058】
ここで、これに限られるものではないが、保持シール材120は、第1および第2の側端面を有し、一つの側端面には、突起部121が形成されており、他方の側端面には、凹み部125が形成されている。このため、突起部121と凹み部125を嵌合させることにより、保持シール材120を排気ガス処理体110の外周面111に固定することができる。
【0059】
図3に示すように、保持シール材120は、さらに、排気ガス処理体110の第2の開口面113の外周領域を覆うように配置された係止部130を有する。(ただし、この組立体140は、図2に示した組立体140とは異なり、排気ガス処理体110の第1の開口面112の側には係止部を有さないことに留意する必要がある。)この係止部130は、従来の排気ガス処理装置におけるリテーナの役割を有する。すなわち、排気ガス処理装置100内において、この係止部130によって、排気ガス処理体110の軸方向のズレが抑制される。
【0060】
なお、本願において、(排気ガス処理体の第2の開口面の)「外周領域」とは、図4において規定される領域を意味するものとする。
【0061】
図4には、本発明に係る排気ガス処理体110の第2の開口面の「外周領域」を説明するための図を示す。図4に示すように、通常の場合、排気ガス処理体110の第2の開口面113には、多数のセル115と、該セルを区画するセル壁116とが形成されている。また、開口面113の最外周側には、外周壁117が形成されている。
【0062】
ここで、開口面113の外周線A1と、この外周線A1から、開口面113の中心Oの方向に2mmだけ内側にずれた位置にある内側線(破線)A2との間の領域、すなわち斜線で示した領域を「外周領域」Rと規定する。従って、外周領域Rは、外周壁117の全てを含む場合もあり得る(外周壁117の厚さが2mmよりも薄い場合)し、図4に示すように、外周壁117の一部のみを含む場合もあり得る(外周壁117の厚さが2mmよりも厚い場合)ことに留意する必要がある。
【0063】
なお、図3の例では、係止部130は、排気ガス処理体110の第2の開口面113の「外周領域」R全体を覆うように配置されている。しかしながら、これは一例であって、係止部130は、排気ガス処理体110の第2の開口面113の外周領域Rの少なくとも一部を覆うように配置されれば良い。
【0064】
図5および図6には、排気ガス処理体110の第2の開口面113の外周領域Rを覆う係止部の別の態様を示す。図5は、本発明に係る排気ガス処理体の第2の開口面の外周領域Rを覆う保持シール材120の係止部の一形態を示し、図6は本発明に係る排気ガス処理体の第2の開口面の外周領域Rを覆う保持シール材120の係止部の別の一形態を示す。
なお、これらの図では、明確化のため、セルおよびセル壁は、省略されている。
【0065】
図5では、係止部130Aは、略長方形状であり、開口面113の中心Oに対して回転対称な3箇所に設けられている。
【0066】
図6においても、略長方形状の係止部130Bは、第2の開口面113の中心Oに対して回転対称な3箇所に設けられている。ただし、この例では、係止部130Bは、先端に凹面を有するような形状となっている。これらの凹面は、第2の開口面113の外周線A1または内側線A2に対応するように(すなわち、各凹面部分が、第2の開口面113の外周線A1または内側線A2に対する同心円の一部となるように)形成されている。
【0067】
この他にも、様々な態様で、係止部を形成することができる。すなわち、係止部の数、形状、円周方向の幅(例えば図5の幅W)、半径方向の高さ(例えば図5の高さH)、および配置ピッチ等は、特に限られない。ただし、係止部130、130A、130Bは、図5および図6に示すように、第2の開口面113の中心Oに対して回転対称に配置されることが好ましい。これにより、組立体140をケーシング150内に配置した際に、排気ガス処理体110が係止部130、130A、130Bから受ける面圧を、均等化することができる。
【0068】
例えば、係止部130、130A、130Bは、第2の開口面113の外周領域Rのうちの5%〜100%の範囲を覆っても良く、この範囲は、例えば、10%〜50%の間であっても良い。
【0069】
また、係止部130、130A、130Bは、第2の開口面113の中心Oに向かって1mm〜30mmの高さを有しても良く、この高さは、例えば2mm〜5mmの範囲であっても良い。なお、第2の開口面113が係止部130、130A、130Bによって覆われる面積が極端に大きくなると、排気ガスの排気ガス処理体への流通が妨げられるようになる。逆に面積が小さくなると、十分なクッション性が得られなく可能性があり、軸方向に対して強い衝撃を受けた時に排気ガス処理体の端部にワレおよびクラックが生じやすくなる。従って、係止部130、130A、130Bの総面積は、第2の開口面113の総面積の0.5%〜10%であることが好ましく、1%〜5%であることがより好ましい。
【0070】
また、係止部130、130A、130Bの形状は、三角形、四角形(正方形、長方形、および台形などを含む)、および半円形等であっても良い。
【0071】
なお、図6のように、係止部130Bの先端に凹面を形成した場合、排気ガス処理体110の軸方向に対する保持シール材120の保持力をある程度維持したまま、係止部の存在によって排気ガスが排出されなくなるセル(すなわち開口が塞がれるセル)の数を低減することが可能になる。
【0072】
(マット材)
図7〜図10を参照して、本発明の組立体において、保持シール材120として使用されるマット材について説明する。
【0073】
図7には、本発明に係る保持シール材120として使用されるマット材230Aの一構成例を模式的に示した図を示す。
【0074】
図7に示すように、マット材230Aは、第1および第2の主表面240、241と、上端面250および下端面251と、第1および第2の側端面260、261とを有する。
【0075】
上端面250および下端面251は、長手方向(図のX方向)に沿って延伸しており、第1および第2の側端面260、261は、幅方向(図のY方向)に沿って延伸している。第1および第2の側端面260、261には、それぞれ、突起部270および凹み部271が形成されている。ただし本発明のマット材230Aにおいて、第1および第2の側端面260、261は、図7の形状に限られるものではなく、例えば、図7のような突起部270および凹み部271を全く有さないものや、各側端面260、261が、それぞれ、突起部270および凹み部271を複数有するもの等も使用できる。
【0076】
このようなマット材230Aを保持シール材として使用する際には、マット材230Aの長手方向(X方向)が巻回方向となるようにして使用される。すなわち、マット材230Aが、保持シール材120として排気ガス処理体110に巻き付けられた際には、マット材230Aの突起部270と凹み部271とが嵌合される。また、これにより、前述の図3に示すように、マット材230Aが排気ガス処理体110の外周上に固定され、組立体140が構成される。
【0077】
ここで、図7に示すように、マット材230Aは、下端面251に3つの凸部280Aを有する。この凸部280Aは、マット材230Aを排気ガス処理体110に巻き回して組立体140を構成した際に、長方形状の係止部を形成する。例えば、図7の例では、マット材230Aを排気ガス処理体110に巻き回した後、各凸部280Aを排気ガス処理体110の第2の開口面113の側に折り曲げることにより、排気ガス処理体110の第2の開口面113の外周上に、ほぼ等間隔で配置された3つの係止部が形成される(例えば図5参照)。
【0078】
図8には、本発明に係る保持シール材として使用されるマット材の別の一構成例を模式的に示す。また、図9には本発明に係る保持シール材として使用されるマット材のさらに別の一構成例を模式的に示す。さらに、図10に、本発明に係る保持シール材として使用されるマット材のさらに別の一構成例を模式的に示す。
【0079】
図8の例では、マット材230Bは、下端面251に3つの凸部280Bを有する。各凸部280Bは、先端部が凹面になっており、この凹面は、排気ガス処理体110の外周面111にマット材230Bを巻き回して、係止部を形成した際に、これらの係止部が、丁度、排気ガス処理体110の第2の開口面113の外周形状と対応するように構成されている。従って、このマット材230Bを保持シール材として使用して組立体140を構成した場合、組立体140の一方の端面側(排気ガスの出口側)は、前述の図6の係止部の先端に凹面を有するような形態となる。
【0080】
図9の例では、マット材230Cは、下端面251に3つの凸部280Cを有する。各凸部280Cは、付け根部分から先端部に向かって幅が短くなっており、略台形状の形態を有する。このような形状の凸部280Cでは、凸部の根本部分を幅広くすることができるため、凸部の剪断応力に対する強度が向上する。
【0081】
図10の例では、マット材230Dは、下端面251の全体にわたって、略台形状の凸部280Dを有する。このようなマット材230Dを保持シール材として使用して組立体140を形成した場合、排気ガス処理体110の第2の開口面113の外周領域Rは、実質的に全体が保持シール材の係止部で被覆されることになる(例えば図3の形態)。
【0082】
マット材には、この他にも、各種形態が存在する。すなわち、マット材230A〜230Dの下端面251に形成される凸部280A〜280Dの数、形状、寸法(幅および長さ、凹面の形状等)、ならびに配置ピッチ等は、特に限られない。また、凸部280A〜280Dは、不規則なピッチで配置されても良い。
【0083】
例えば、凸部280A〜280Dは、下端面251の領域の5%〜100%の部分に形成されても良く、この範囲は、例えば10%〜50%の間であっても良い。しかしながら、この範囲が10%未満など極端に小さくなると、組み付け時に十分なクッション性が得られなく可能性があり、軸方向に対して強い衝撃を受けた時に排気ガス処理体の端部にワレおよびクラックが生じやすくなる。
【0084】
また、例えば、凸部280A〜280Dの長さ(Y方向の全長)は、1mm〜30mmの範囲であっても良い。凸部280A〜280Dの長さが1mmより小さいと、リテーナの機能を有さなくなり、クッション性が乏しくなってしまう。一方、凸部280A〜280Dの長さが30mmより大きいと、排気ガスの排気ガス処理体への流通が妨げられるようになる。
【0085】
また、例えば、凸部280A〜280Dの形状は、三角形、四角形、半円形、およびこれらの先端に凹部を有する形状等であっても良い。
【0086】
また、マット材230A〜230Dの第1の主表面240または第2の主表面241において、凸部280A〜280Dの付け根部分には、長手方向に平行な切り欠き線が形成されても良い。このような切り欠き線を形成した場合、マット材230A〜230D(すなわち保持シール材)の凸部280A〜280Dを、排気ガス処理体110の第2の開口面113の側に折り曲げることが容易になる。この場合、凸部280A〜280Dの切り欠き線が形成された側が外側となるようにして、凸部280A〜280Dが折り曲げられることが好ましい。これにより、凸部280A〜280Dを折り曲げる際に、マット材230A〜230Dによる折り曲げにくさを緩和することができる。
【0087】
また、マット材230A〜230Dの第1の主表面240または第2の主表面241において、凸部280A〜280Dの付け根部分には、長手方向に平行な溝(例えばV形状の溝)が形成されても良い。このような溝を形成した場合も、マット材230A〜230D(すなわち保持シール材)の凸部280A〜280Dを、排気ガス処理体110の第2の開口面113の側に折り曲げることが容易になる。この場合、凸部280A〜280Dの溝が形成された側が内側となるようにして、凸部280A〜280Dが折り曲げられることが好ましい。これにより、凸部280A〜280Dを折り曲げる際に、マット材230A〜230Dによる折り曲げにくさを緩和することができる。
【0088】
ここで、本願において、「切り欠き線」とは、幅が1mm以下の連続的な窪みを表し、「溝」とは、幅が1mm以上の連続的な窪みを意味するものとする。
【0089】
なお、以上の説明では、マット材230A〜230Dの下端面251にのみ、凸部280A〜280Dが形成されている場合を例に説明した。しかしながら、そのような凸部は、さらに、マット材230A〜230Dの上端面250に設置されても良い。
【0090】
(マット材の製造方法)
次に、前述のような特徴を有するマット材(以下、「本発明によるマット材(230)」と称する)の製造方法について説明する。ただし、以下に記載する方法以外の方法で、マット材を製造しても良いことは、当業者には明らかである。
【0091】
まず、無機繊維からなる積層状シートを作製する。なお以下の説明では、無機繊維としてアルミナとシリカの混合物を用いるが、無機繊維材料は、これに限られるものではなく、例えばアルミナまたはシリカのみで構成されても良い。あるいは、無機繊維は、ガラス繊維(例えば、E−ガラス、S−ガラス、S2−ガラス、R−ガラス)または生体溶解性繊維で構成されても良い。
【0092】
アルミニウム含有量70g/l、Al/Cl=1.8(原子比)の塩基性塩化アルミニウム水溶液に、例えばアルミナ−シリカ組成比が60〜80:40〜20となるようにシリカゾルを添加し、無機繊維の前駆体を調製する。特にアルミナ−シリカ組成比は、70〜74:30〜26であることがより好ましい。アルミナ組成比が60%未満では、アルミナとシリカから生成されるムライトの組成比率が低くなるため、完成後のマット材の熱伝導度が高くなる。アルミナ組成が80%を越えると、耐熱性および圧縮荷重負荷時の反発力が十分に得られないことがある。
【0093】
次にこのアルミナ系繊維の前駆体にポリビニルアルコール等の有機重合体を加える。その後この液体を濃縮し、紡糸液を調製する。さらにこの紡糸液を使用して、ブローイング法により紡糸する。
【0094】
ブローイング法とは、エアーノズルから吹き出される空気流と紡糸液供給ノズルから押し出される紡糸液流とによって、紡糸を行う方法である。エアーノズルからのスリットあたりのガス流速は、40〜200m/sが好ましい。また紡糸ノズルの直径は0.1〜0.5mmが好ましく、紡糸液供給ノズル1本あたりの液量は、通常1〜120ml/hが好ましく、3〜50ml/h程度であることがより好ましい。このような条件では、紡糸液供給ノズルから押し出される紡糸液は、スプレー状(霧状)となることなく十分に延伸され、繊維相互で溶着されにくい紡糸条件を最適化することにより、繊維径分布の狭い均一なアルミナ繊維前駆体を得ることができる。
【0095】
ここで、作製されるアルミナ系繊維の平均繊維長は、250μm以上であることが好ましく、上限は、200mmが好ましい。平均繊維長が250μm未満では、繊維同士が十分に絡み合わず、十分な強度が得られないからである。また、平均繊維長が200mmを越えると、繊維同志の絡み合いが強くなりすぎるため、マット状の成形体にしたときに繊維が不均一に集積しやすくなり、復元面圧値にばらつきが大きくなりすぎることがある。また無機繊維の平均直径は、特に限られないが、3μmから50μmの範囲にあることが好ましく、5μmから15μmの範囲にあることがより好ましい。平均繊維径が3μm未満であると繊維自体の強度が低くなり、十分な復元面圧値を得ることができないことがあり、さらに繊維が人体の呼吸器系に吸い込まれやすくなり、人体に悪影響を及ぼしかねない。また、平均繊維径が50μmを越えると、マット状の成形体にしたときに通気抵抗がちいさくなり、シール性が悪くなることがあり、その他に繊維表面積の増加に伴う小さな傷の増加に起因して破壊強度が低下してしまうことがある。
【0096】
紡糸が完了した前駆体を積層して、積層状シートを作製する。さらに積層状シートに対してニードリング処理を行う。ニードリング処理とは、ニードルを積層状シートに抜き差しして、シートの肉薄化を行う処理である。ニードリング処理には、ニードリング装置が用いられる。
【0097】
ニードリング装置は、突き刺し方向(通常は上下方向)に往復移動可能なニードルボードと、積層状シートの表面および裏面の両面側に設置された一対の支持板とで構成される。ニードルボードには、積層状シートに突き刺すための多数のニードルが、例えば約25〜5000個/100cmの密度で取り付けられる。また各支持板には、ニードル用の多数の貫通孔が設けられている。従って、一対の支持板によって積層状シートを両面から押さえつけた状態で、ニードルボードを積層状シートの方に近づけたり遠ざけたりすることにより、ニードルが積層状シートに抜き差しされ、繊維の交絡された多数の交絡点が形成される。
【0098】
また、別の構成として、ニードリング装置は、2組のニードルボードを備えても良い。各ニードルボードは、それぞれの支持板を有する。2組のニードルボードを、それぞれ、積層状シートの表面および裏面に配設して、各支持板で積層状シートを両面から固定する。ここで、一方のニードルボードには、ニードリング処理時に他方のニードルボードのニードル群と位置が重ならないように、ニードルが配置されている。また、それぞれの支持板には、両方のニードルボードのニードル配置を考慮して、積層状シートの両面側からのニードリング処理時に、ニードルが支持板に当接しないように、多数の貫通孔が設けられている。このような装置を用いて、2組の支持板で積層状シートを両面側から挟み、2組のニードリングボードで積層状シートの両側からニードリング処理が行われても良い。このような方法でニードリング処理を行うことにより、処理時間が短縮される。
【0099】
次に、このようにニードリング処理の施された積層状シートを常温から加熱し、最高温度1250℃程度で連続焼成することで、所定の坪量(単位面積当たりの重量)のマット材が得られる。
【0100】
マット材のハンドリング性を向上させるため、得られたマット材には、一方のまたは両方の主表面の側から、有機バインダが含浸されることが好ましい。ただし、マット材に含浸される有機バインダは、そのようなマット材を備える排気ガス処理装置を使用した際に、装置から排出される有機成分量を増加させる一因となり、環境に悪影響を与える。従って、有機バインダの含有量(マット材の総重量に対する有機バインダの重量)は、例えば、1重量%〜10重量%の範囲である。これにより、完成後のマット材に含まれる総有機成分量を低減することができる。有機バインダ量が少なすぎるとハンドリング性が悪く、取扱性が悪くなる。逆に多すぎると装置から排出される有機成分量が多くなり、環境によくない。
【0101】
なお、このような有機バインダとしては、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、ゴム系樹脂、スチレン系樹脂などが使用できる。例えばアクリル系(ACM)、アクリロニトリル−ブタジエンゴム(NBR)、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)樹脂等を用いることが好ましい。
【0102】
このようにして製造されたマット材は、上端面および下端面の少なくとも一方に凸部を有する形状(例えば図7〜図10のいずれかに示す形状)に裁断される。
【0103】
その後、マット材の乾燥工程を経て、本発明によるマット材が得られる。
【0104】
なお、必要な場合、得られたマット材において、一方の主表面の凸部の付け根部には、マット材の長手方向に沿った切り欠き線、またはV状の溝等を形成しても良い。これにより、マット材を排気ガス処理体上に設置する際に、マット材の凸部を排気ガス処理体の開口面の側に折り曲げることが容易となる。
【0105】
以上、本発明の一態様について説明した。なお、上記記載では、保持シール材が、シート状のマット材を排気ガス処理体に巻き回すことにより構成される場合を例に、本発明の構成を説明した。しかしながら、本発明において、保持シール材の態様は、これに限られるものではない。例えば、保持シール材として、予め、排気ガス処理体の外周面の形状に適合した内周面を有する、筒状のマット部材を使用しても良い。
【0106】
また、本願において、「上端面」および「下端面」と言う用語は、部材の一部の相対的な位置関係を示すために使用されたものであり、例えば「上端面」を「下端面」と称し、「下端面」を「上端面」と称するなど、両用語は、入れ替えて使用しても良いことに留意する必要がある。同様に、本願において、「第1の」および「第2の」と言う用語は、複数ある同様の部材の一方を示すために使用されたものであり、これらの用語は、入れ替えて使用しても良いことに留意する必要がある。
【産業上の利用可能性】
【0107】
本発明は、例えば車両等に使用される排気ガス処理装置等に利用することができる。
【符号の説明】
【0108】
1 従来の排気ガス処理装置
2 排ガス入口
3 排ガス出口
10 排気ガス処理体
12、13 開口面
20 保持シール材
40 組立体
50 ケーシング
80 リテーナ
100 本発明による排気ガス処理装置
102 排ガス入口
103 排ガス出口
110 排気ガス処理体
111 外周面
112 第1の開口面
113 第2の開口面
115 セル
116 セル壁
117 外周壁
120 保持シール材
121 突起部
125 凹み部
130、130A、130B 係止部
140 組立体
150 ケーシング
230A、230B、230C、230D マット材
240 第1の主表面
241 第2の主表面
250 上端面
251 下端面
260 第1の側端面
261 第2の側端面
270 突起部
271 凹み部
280A〜280D 凸部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
無機繊維を含み、排気ガス処理体を保持する保持シール材として使用されるマット材であって、
当該マット材は、
第1および第2の主表面と、
長手方向に沿った上端面および下端面と、
前記長手方向と垂直な幅方向に沿った第1および第2の側端面と、
を有し、
前記下端面には、前記幅方向に沿って突出する、少なくとも一つの凸部が形成されていることを特徴とするマット材。
【請求項2】
前記凸部は、前記下端面の領域の5%〜100%を占めることを特徴とする請求項1に記載のマット材。
【請求項3】
前記凸部は、前記幅方向に沿って、1mm〜30mmの長さを有することを特徴とする請求項1または2に記載のマット材。
【請求項4】
前記第1の主表面の前記凸部の付け根部には、前記長手方向に沿った切り込み線が形成されていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一つに記載のマット材。
【請求項5】
前記第2の主表面の前記凸部の付け根部には、前記長手方向に沿ったV状の溝が形成されていることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一つに記載のマット材。
【請求項6】
前記凸部は、複数存在することを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一つに記載のマット材。
【請求項7】
前記凸部は、等間隔に3つ存在することを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一つに記載のマット材。
【請求項8】
前記係止部の少なくとも一つは、三角形、四角形、半円形、およびこれらの一部に凹部を有する形状からなる群から選定された形状を有することを特徴とする請求項6または7に記載のマット材。
【請求項9】
前記上端面には、前記幅方向に沿って突出する、少なくとも一つの凸部が形成されていることを特徴とする請求項1乃至8のいずれか一つに記載のマット材。
【請求項10】
前記無機繊維は、アルミナ繊維、ムライト繊維、シリカアルミナ繊維、およびガラス繊維で構成された群から選定された、少なくとも一つを含むことを特徴とする請求項1乃至9のいずれか一つに記載のマット材。
【請求項11】
当該マット材は、さらに、無機結合材および/または有機結合材を有することを特徴とする請求項1乃至10のいずれか一つに記載のマット材。
【請求項12】
第1および第2の開口面と、該第1および第2の両開口面をつなぐ外周面とを有する排気ガス処理体と、該排気ガス処理体の外周面の少なくとも一部に配置された保持シール材とを含む組立体であって、
前記保持シール材は、請求項1乃至11のいずれか一つに記載のマット材で構成され、
前記保持シール材は、前記排気ガス処理体の第1の開口面の少なくとも一部を覆うように配置された、第1の係止部を有することを特徴とする組立体。
【請求項13】
前記第1の係止部は、前記排気ガス処理体の前記第1の開口面の外周領域の5%〜100%を覆うことを特徴とする請求項12に記載の組立体。
【請求項14】
前記第1の係止部は、前記排気ガス処理体の第1の開口面の中心に向かって1mm〜30mmの高さを有することを特徴とする請求項12または13に記載の組立体。
【請求項15】
前記第1の係止部は、複数存在することを特徴とする請求項12乃至14のいずれか一つに記載の組立体。
【請求項16】
前記第1の係止部は、等間隔に3つ存在することを特徴とする請求項12乃至14のいずれか一つに記載の組立体。
【請求項17】
前記第1の係止部の少なくとも一つは、三角形、四角形、半円形、およびこれらの一部に凹部を有する形状からなる群から選定された形状を有することを特徴とする請求項15または16に記載の組立体。
【請求項18】
前記第1の係止部は、前記排気ガス処理体の第1の開口面の中心に対して、回転対称の位置に配置されることを特徴とする請求項15乃至17のいずれか一つに記載の組立体。
【請求項19】
前記排気ガス処理体は、触媒担持体または排気ガスフィルタであることを特徴とする請求項12乃至18のいずれか一つに記載の組立体。
【請求項20】
前記保持シール材は、前記排気ガス処理体の第2の開口面の少なくとも一部を覆うように配置された、第2の係止部を有することを特徴とする請求項12乃至19のいずれか一つに記載の組立体。
【請求項21】
第1および第2の開口面と、該第1および第2の開口面をつなぐ外周面とを有する排気ガス処理体と、前記排気ガス処理体の外周面の少なくとも一部に配置された保持シール材を含む組立体と、
前記組立体を収容する筒状部材と、
で構成される排気ガス処理装置であって、
前記組立体は、請求項12乃至20のいずれか一つに記載の組立体であることを特徴とする排気ガス処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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