説明

マルチライン無線LANの省電力方法とそのシステム。

【課題】 シングルライン携帯端末にはキーランプが具備されておらず、それによるバッテリーの消耗がない。マルチライン携帯端末では消費電流は、複数個のキーランプが点灯状態となるために消費電流が増大し、例えば4倍程度となる。待機時間をシングルライン携帯端末と同等の時間に引き伸ばすことが、課題である。

【解決手段】 複数の局線(2)を収容し、構内通信網(LAN)に接続されたアクセス・ポイント(AP)を介してマルチライン携帯端末(MLP)との間で無線で交信する場合に、マルチライン携帯端末との間で複数の局線の使用状況を省電力情報としてやりとりする省電力主装置(10)を設け、マルチライン携帯端末においては、省電力情報により、複数の局線のうちの空いた1回線を選択可能とするべく表示するための複数の局線のそれぞれに対応したキーランプを非通信状態において消灯する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マルチライン無線LANの省電力方法と装置に関する。具体的には、主装置に複数の局線(マルチライン)を収容し、構内通信網に接続されたアクセス・ポイントを介してマルチライン携帯端末との間を無線交信する場合における省電力の新規な方法とシステムと装置とマルチライン携帯端末を提供する。
【背景技術】
【0002】
携帯無線電話装置においては、小型化および軽量化が重要なポイントであり、容積重量ともに大きな割り合いを占めるバッテリーを低容量のものに抑えるための省電力化技術が重要となる。携帯無線電話装置における無線部およびその制御回路の低消費電力化は著しく進んできているが、携帯無線電話装置の高機能化および無線伝送の高速化による消費電力の増大もあり、携帯無線電話装置における省電力化の要求は依然として大きい。このような問題を解決するための技術もいくつか開示されている。
【0003】
特許文献1は、携帯無線電話装置におけるバックライトに関するものであり、あらかじめ設定した省電力化の条件が満足された場合に、バックライトの発光素子数を減少させて省電力化するものである。
【0004】
特許文献2および特許文献3は、携帯無線電話装置に磁気ディスクを搭載する場合における端末動作の制御方法に関し、通話あるいはバックライトの点灯と磁気ディスクの起動が同時に起こらないように制御することにより、ピーク時の消費電力を抑え、より小容量のバッテリーでの磁気ディスク搭載を可能としている。
【0005】
これら特許文献1〜3の開示する省電力化技術の内容は、複数の局線(マルチライン)に関するものではなく1局線(シングルライン)用の携帯無線電話装置(以下、シングルライン携帯端末という)に関するものであり、マルチライン化に基因して増大するマルチライン用の携帯無線電話装置(以下、マルチライン携帯端末という)の消費電力に対しては、解決手段を開示してはいない。そこで、マルチライン携帯端末について説明する。
【0006】
図12には、従来の通信網構成図が示されている。1は公衆網であり、主装置10Bは、たとえば4局線の公衆マルチライン2を収容している。同時にIP網3からのIPライン4も収容している。主装置10Bは、たとえば、Ethernet(登録商標)などの構内通信網LANに接続されている。構内通信網LANには、インターネット・プロトコルにもとづく有線のIPボタン電話機IPBおよび無線中継局として動作するアクセス・ポイントAP1,2・・・が接続されている。
【0007】
マルチライン携帯端末MLPB1,2・・・は、アクセス・ポイントAP1,2・・・を介して主装置10Bの制御により公衆マルチライン2のうちの空いている1局線、あるいは、着信を示している1局線を選択して公衆網1側と通信している。主装置10Bは、マルチライン携帯端末MLPB1,2・・・に対する呼制御、ランプ制御および、たとえば、液晶表示(LCD)の表示制御を行う。
【0008】
図13には、従来のマルチライン携帯端末MLPBの外観の一例が示されている。アンテナAT、受話用のスピーカ75、送話用のマイク74、充電状態表示部82、液晶ディスプレイなどである情報表示部83、「通話」を開始するときに押下する通話ボタン、通話を「終」るときに押下する終話ボタン、テンキーボタンを含むキー操作部85および回線選択用のランプつきキーランプ81が具備されている。キーランプ81が具備されていることを除けば、シングルラインの携帯端末と同じである。
【0009】
ここで、キーランプ81は、4局線の公衆マルチライン2を主装置10Bが収容している場合を示し、公衆マルチライン2の4局線のうちの1局線を選択可能とするために、L1〜4のキーランプ81を設けているが、公衆マルチライン2が8局線の場合には、2列にしたL1〜8のキーランプ81が設けられる。各キーランプ81は、各局線の使用状況、あるいは、着信を、たとえば、赤と緑の発光素子により、明滅あるいは点灯することにより、主装置10Bから送られてくる局線情報に基づき、キーランプ81の操作に応じて発光する。
【0010】
図13に示す例では、回線キーとキーランプは一体化されてキーランプ81となっている。すなわち、回線キーの直下に具備されたランプによりキーランプ81自体が点灯、消灯あるいは点滅動作をし、これにより各回線の使用状況、あるいは、着信を表示している。例えば、使用中のキーランプ81は点灯、未使用は消灯、回線保留中は緩やかな点滅、着信は速い点滅のように表示する。また、2色のキーランプを使用し、外線と内線を点灯色で区別することもできる。
【0011】
発信をする場合には、未使用回線のキーランプ81を押下し、回線を捕捉した後に相手先の電話番号を入力し通話ボタンを押す。着信時には、着信中のキーランプ81を押下し、回線を捕捉することにより通話状態となる。ボタン電話のように、通話中の呼を他のマルチライン携帯端末に保留転送することもできる。
【0012】
マルチライン化に起因した消費電力の増大には2つの要因がある。第1の要因は、キーランプ81の点灯に起因した消費電力の増大である。この内容について、規格IEEE802.11標準(ISO/IEC 8802-11:1999(E))に準拠したシングルライン携帯端末における待機時の消費電流について説明する。シングルライン携帯端末には、キーランプ81は不要であるから具備されてはいない。
【0013】
待機時におけるシングルライン携帯端末は、アクセス・ポイントAPが一定の周期で送信する報知信号であるビーコンの送信タイミングに同期して受信状態となり、その他の期間はスリープ状態となっている。スリープ状態での消費電流は、技術の進歩とともに大幅に低下してきており、現状では1mA程度である。ビーコン周期は通常100msであり、受信状態での消費電流は400mA程度、ビーコン受信期間は0.5ms程度であるので、待機時における平均消費電流は1mA+400mA×0.5ms/100ms = 3mA程度となる。
【0014】
図14は、従来のマルチライン携帯端末MLPBにおける待機時(非通信状態)の消費電流を示す消費電流図である。シングルライン携帯端末の場合と比較すると、キーランプ81での消費電流の分だけ増大している。キーランプ81における消費電流は、赤色で1mA程度、緑色になると10mAにもなる。マルチライン携帯端末MLPBには、例えば赤色と緑色の合計8個のキーランプ81が具備されており、トラフィック輻輳時には、複数個のキーランプ81が点灯状態となる。
【0015】
平均的に1個の赤色ランプと1個の緑色ランプが点灯している場合には、キーランプでの消費電流は11mAであり、マルチライン携帯端末MLPBの平均消費電流は11mA+400mA×0.5ms/100ms = 13mA程度となる。従来のシングルライン携帯端末における待機時の消費電流3mAに較べると著しく増大していることがわかる。
【0016】
すなわち、シングルライン携帯端末と比較すると、マルチライン携帯端末MLPBではトラフィック輻輳時の消費電流は、複数個のキーランプ81が点灯状態となるために増大し、例えば4倍程度となる。このような場合にはバッテリーの消耗が激しく、待機時間が1/4程度にまで短くなってしまう。上記の計算例では、キーランプでの消費電流のみを考慮したが、キーランプ81の点滅をCPUで行う場合には、さらにCPUの消費電力も増大し、待機時間はさらに短くなる。
【0017】
待機状態にあるシングルライン携帯端末の消費電力は、一般に小さな値をとる。例えば、規格IEEE802.11準拠の携帯無線VoIP装置(インターネット・プロトコルを利用した音声電話)の待機時における消費電流は、最近では数mA程度にまで低下している。このため、例えば600mAh程度のバッテリーを用いた場合でも、数100時間の待機時間を実現できる。一方、キーランプ81における消費電流は、赤色で1mA、緑色は10mAにもなり、トラフィック輻輳時には、常時、複数個のキーランプが点灯状態となっている。
【0018】
図15には、図12の構成要素である従来の主装置10Bの内部構成が示されている。着信が発生したマルチライン携帯端末MLPBには、鳴音指示を含んだ制御パケットが制御フレーム22により、有線LANI/F14を介して、主装置10Bより伝送される。マルチライン携帯端末MLPBが鳴音指示を含んだ制御パケットを受信すると、局線I/F(インタフェース)11から着信情報が制御信号19として通信制御部12Bに伝達される。
【0019】
通信制御部12Bでは、着信情報に含まれる内線番号に対応したマルチライン携帯端末MLPB(またはIPボタン電話機IPB)宛てに呼制御情報を制御フレーム22により有線LANI/F(インタフェース)14を介して通知する。これと同時に、通信制御部12Bは、すべてのマルチライン携帯端末MLPB(およびIPボタン電話機IPB)に対して、当該内線が使用中であることをLED表示するためのランプ情報および必要な情報を表示するための表示情報を送る。通信制御部12Bが必要とするマルチライン携帯端末MLPB(またはIPボタン電話機IPB)に関するランプ情報や表示情報は、記憶部13Bに格納され読み出される。
【0020】
ランプ情報および表示情報は、記憶部13Bから記憶制御信号17Bにより読み出して生成し、すべてのマルチライン携帯端末MLPB(およびIPボタン電話機IPB)に対してこの情報をランプ制御フレーム23Bおよび表示制御フレーム24Bとして有線LANI/F14を介して伝送する。公衆網1側とマルチライン携帯端末MLPB(またはIPボタン電話機IPB)との通話は、音声信号18、音声フレーム21を用いてなされる。
【0021】
図16には、図15の構成要素である従来の通信制御部12Bの内部の回路構成が示されている。通信制御部12Bには、交換制御部31、呼制御部32B、ランプ情報保持部34Bおよび表示情報保持部35Bが含まれている。交換制御部31は、音声信号18と音声フレーム21の間で交換制御している。呼制御部32Bは、制御信号19と制御フレーム22との間で制御信号の変換をしている。さらに、呼制御部32Bは、記憶制御信号17Bにより、ランプと表示に関する情報を取り込みランプ情報45と表示情報46として、ランプ情報保持部34Bおよび表示情報保持部35Bからランプ制御フレーム23Bおよび表示制御フレーム24Bとして送出している。
【0022】
図17には、図15の構成要素である従来の記憶部13Bの内部構成を示している。そこには、ランプ情報記憶部50Bと表示情報記憶部60Bが含まれている。各マルチライン携帯端末MLPB(およびIPボタン電話機IPB)ごとのランプ情報および表示情報が、記憶制御信号17Bとして、それぞれ格納され読み出される。
【0023】
図18には、図12の構成要素である従来のマルチライン携帯端末MLPBの内部構成が示されている。そこには、メイン制御部71B、アンテナATを備えた無線通信部72、音声制御部73、マイク74、スピーカ75、キーランプ81、充電状態表示部82、情報表示部83、端末状態記憶部84B、キー操作部85、プログラム記憶部86B、リンガー87および電源部88が含まれている。
【0024】
音声制御信号91は、メイン制御部71Bと音声制御部73の間でやりとりされる信号である。無線通信信号92Bは、メイン制御部71Bと無線通信部72の間でやりとりされる信号である。キーランプ信号93Bは、メイン制御部71Bとキーランプ81の間でやりとりされる信号である。このキーランプ信号93Bには、キーランプ81を押下した場合の押下信号やランプ点滅の信号が含まれている。充電状態表示信号94は、充電状態表示部82で表示するための信号である。
【0025】
情報表示信号95Bは、液晶などによるディスプレイである情報表示部83で表示する内容を伝えるための信号である。端末状態記憶信号96Bは、変化する端末状態、すなわち、キーランプ81や情報表示部83の表示内容や主装置10Bから送られてきた局線の状況などをメイン制御部71Bと端末状態記憶部84Bとの間でやりとりする信号である。キー操作信号97は、キー操作部85での操作内容をメイン制御部71Bに伝える信号である。
【0026】
プログラム記憶部86Bには、マルチライン携帯端末MLPBの動作に必要なプログラムとプログラムの実行中に一時的に格納された記憶内容とがあり、これらをプログラム信号98Bで読み出し、あるいは、書込みしている。リンガー信号99は、呼び出し音をリンガー87に伝える信号である。
【0027】
図19には、図18の構成要素である従来のメイン制御部71Bの内部構成が示されている。そこには、端末制御部110Bがあり、端末の各構成要素をインタフェース(I/F)を介して制御している。無線通信部I/F112Bは、端末制御部110Bと無線通信部72との間のインタフェースをしている。キーランプI/F113Bは、端末制御部110Bとキーランプ81Bとの間のインタフェースをしている。
【0028】
充電状態監視I/F114Bは、端末制御部110Bと充電状態表示部82との間のインタフェースをしている。表示I/F115Bは、端末制御部110Bと情報表示部83との間のインタフェースをしている。端末状態記憶部I/F116Bは、端末制御部110Bと端末状態記憶部84Bとの間のインタフェースをしている。キー操作部I/F117Bは、端末制御部110Bとキー操作部85との間のインタフェースをしている。プログラム記憶部I/F118Bは、端末制御部110Bとプログラム記憶部86Bとの間のインタフェースをしている。リンガーI/F119は、端末制御部110Bとリンガー87との間のインタフェースをしている。
【特許文献1】特開平6-120864号公報
【特許文献2】特開2003-158770号公報
【特許文献1】特開2003-179687号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0029】
シングルライン携帯端末にはキーランプによる局線選択の必要性がないために、キーランプが具備されてはおらず、それによるバッテリーの消耗がない。シングルライン携帯端末と比較すると、マルチライン携帯端末ではトラフィック輻輳時の消費電流は、複数個のキーランプが点灯状態となるために増大し、例えば4倍程度となる。
【0030】
このような場合にはバッテリーの消耗が激しく、待機時間が1/4程度にまで短くなってしまう。前述の計算例では、キーランプでの消費電流のみを考慮したが、キーランプの点滅をCPUで行う場合には、さらにCPUの消費電力も増大し、待機時間はさらに短くなる。この待機時間をシングルライン携帯端末と同等の時間に引き伸ばすことが、本願発明の課題である。
【課題を解決するための手段】
【0031】
複数の局線を収容し、構内通信網に接続されたアクセス・ポイントを介してマルチライン携帯端末との間で無線で交信する場合に、マルチライン携帯端末との間で複数の局線の使用状況を含む情報を省電力情報としてやりとりする省電力主装置手段を設け、
マルチライン携帯端末においては、省電力情報により、複数の局線のうちの空いた1局線、あるいは、着信を示すために明滅する1局線を選択可能とするべく表示するための複数の局線のそれぞれに対応したキーランプを非通信状態において、消灯するように制御している。さらに、本発明によれば、制御フレームをユニキャストで送受信している。これにより、マルチキャストで送受信する方法に比べて、送信(交信)電力をさらに節約することができる。
【発明の効果】
【0032】
複数の局線を収容し、マルチライン携帯端末との間を無線交信する場合に、マルチライン携帯端末との間で複数の局線の使用状況を含む情報を省電力情報としてやりとりする省電力主装置を設け、マルチライン携帯端末においては、省電力情報により、複数の局線のうちの空いた1局線、あるいは、着信を示すために明滅する1局線を選択可能とするべく表示するための複数の局線のそれぞれに対応したキーランプを非通信状態(待機時間)において、消灯するように制御している。これにより、待機時間をシングルライン携帯端末と同等の時間に引き伸ばすことができた。
【発明を実施するための最良の形態】
【0033】
複数の局線を収容し、構内通信網に接続されたアクセス・ポイントを介してマルチライン携帯端末との間で無線で交信する場合に、マルチライン携帯端末との間で複数の局線の使用状況を含む情報を省電力情報としてやりとりする省電力主装置手段を設け、
マルチライン携帯端末においては、省電力情報により、複数の局線のうちの空いた1局線、あるいは、着信を示すために明滅する1局線を選択可能とするべく表示するための複数の局線のそれぞれに対応したキーランプを非通信状態において、消灯するように制御する形態としている。
【実施例1】
【0034】
図1は、本願発明の実施例を示した通信網構成図であり、従来例を示した図12に対応している。1は公衆網であり、省電力主装置10は、たとえば4局線の公衆マルチライン2を収容している。同時にIP網3からのIPライン4も収容している。省電力主装置10は、たとえば、Ethernet(登録商標)などの構内通信網LANに接続されている。構内通信網LANには、インターネット・プロトコルにもとづく有線のIPボタン電話機IPBおよび無線中継局として動作するアクセス・ポイントAP1,2・・・が接続されている。
【0035】
マルチライン携帯端末MLP1,2・・・は、アクセス・ポイントAP1,2・・・を介して省電力主装置10の制御により公衆マルチライン2のうちの空いている1局線を選択して公衆網1側と通信している。省電力主装置10は、マルチライン携帯端末MLP1,2・・・に対する呼制御、ランプ制御および、たとえば、液晶表示(LCD)の表示制御を行う。マルチライン携帯端末MLPの外観は、図13に示した従来例と同じである。これらの制御フレーム(パケット)は、ユニキャストで送信するのが好ましい。
【0036】
図2は、本発明によるマルチライン携帯端末MLPにおける待機時(非通信状態)の消費電流を示す消費電流図であり、図14の従来例に対応している。 待機時におけるマルチライン携帯端末MLPは、アクセス・ポイントAPが一定の周期で送信する報知信号であるビーコンの送信タイミングに同期して受信状態となり、その他の期間はスリープ状態となっている。
【0037】
待機時においては、複数個のキーランプ81が消灯されているので、消費電流は1mA程度である。ビーコン周期は通常100msであり、受信状態での消費電流は400mA程度、ビーコン受信期間は0.5ms程度であるので、待機時における平均消費電流は1mA+400mA×0.5ms/100ms = 3mA程度となる。この平均消費電流値は、図14の従来例の13mAに較べて4分の1程度に減少している。この減少した値は、前述したシングルライン携帯端末の場合と同じである。すなわち、マルチライン携帯端末MLPであるにもかかわらずシングルライン携帯端末の場合と同程度の待機時間を得ることができた。
【0038】
図3は、図1の重要な構成要素である省電力主装置10の内部構成を示す回路構成図であり、図15の従来例に対応している。着信が発生したマルチライン携帯端末MLPには、鳴音指示を含んだ制御パケットが制御フレーム22により、有線LANI/F14を介して、省電力主装置10より伝送される。マルチライン携帯端末MLPが鳴音指示を含んだ制御パケットを受信すると、局線I/F(インタフェース)11から着信情報が制御信号19として省電力通信制御部12に伝達される。省電力通信制御部12が必要とするマルチライン携帯端末MLP(またはIPボタン電話機IPB)に関するランプ情報や表示情報は、記憶部13に格納され読み出される。これらの制御フレーム(パケット)は、ユニキャストで送信するのが好ましい。
【0039】
省電力通信制御部12では、着信情報に含まれる内線番号に対応したマルチライン携帯端末MLP(またはIPボタン電話機IPB)宛てに呼制御情報を制御フレーム22により有線LANI/F(インタフェース)14を介して通知する。これと同時に、省電力通信制御部12は、すべてのマルチライン携帯端末MLP(およびIPボタン電話機IPB)に対して、当該内線が使用中であることをLED表示するためのランプ情報および必要な情報を表示するための表示情報を送る。該当するマルチライン携帯端末MLPに対しては、キーランプ81を消灯するための省電力情報も同時に送る。
【0040】
この送るべきランプ情報、表示情報および省電力情報は、記憶部13から記憶制御信号17により読み出して生成し、それぞれのマルチライン携帯端末MLP(およびIPボタン電話機IPB)に対してこの情報を個別にランプ制御フレーム23および表示制御フレーム24として有線LANI/F14を介して伝送する。公衆網1側とマルチライン携帯端末MLP(またはIPボタン電話機IPB)との通話は、音声信号18、音声フレーム21を用いてなされる。
更に、図1,3を参照して、本発明の一実施の形態について具体的に説明する。公衆電話網からの着信(着呼)が発生すると、局線インタフェース11から着信情報が省電力通信制御部12に伝達される。通信制御部12では、着信情報に含まれる内線番号に対応したマルチライン携帯端末MLPと/又はボタン電話機IPB宛てに呼制御情報を通知する。これと同時に、通信制御部12は、すべてのマルチライン携帯端末MLPと/又はボタン電話機IPBに対して、当該内線が使用中であることをLED表示するための表示情報を生成し、この情報を伝送する。
また、マルチライン携帯端末MLP2が発信(発呼)動作を行うと、無線伝送路上に呼制御パケットが送信される。これらは、端末MLP2が接続中のアクセスポイトAP2において受信され、ブリッジ処理後、有線伝送路LAN経由で主装置10に伝送される。主装置10では、有線LANインタフェース14においてパケットが受信され、発信情報が通信制御部12に伝達される。通信制御部12では、発信情報が外線宛てであれば、局線インタフェースI/F11を介して、公衆電話網に対して発信動作を行う。発信情報が内線宛てであれば、発信情報に含まれる内線番号に対応したマルチライン携帯端末MLPと/又はボタン電話機IPB宛てに有線/無線伝送路を介して呼制御情報を通知する。これと同時に、通信制御部12は、すべてのマルチライン携帯端末MLPおよびボタン電話機IPBに対して、当該内線が使用中であることをLED表示するための表示情報を生成し、この情報を伝送する。
このようなマルチライン携帯端末MLP1に対するLED表示情報の通知においては、無線区間即ち無線伝送路のデータ伝送の信頼性が低いので、通常は各マルチライン無線端末MLP毎に個別に通知を行う。このとき、発着信の度に、すべてのマルチライン携帯端末MLPに対してLED制御情報を伝送するため、例えば30台のマルチライン携帯端末MLPを収容しているアクセス・ポイントAPは、少なくとも30個のLED表示制御パケットを送信しなければならない。無線区間での伝送エラーが発生すると、アクセス・ポイントAPは再送制御を行うので、送信されるパケットの数は30よりも大きくなる。無線VoIP通信においては、通話品質を確保するためにQoS制御が一般に行われるが、このような場合には、同時通話数が大きいと、優先度の低い制御データはほとんど伝送されない。このため、LED表示制御パケットの伝送に秒オーダの時間がかかるようになり、LED表示の応答がトラフィック輻輳時に遅くなるという問題点がある。また、この問題を解消する方法として、LED表示制御パケットをマルチキャストで送信する方法がある。しかし、マルチキャストにより、制御データを送信する方法では、当該アクセス・ポイントAP2の配下のマルチライン携帯端末2だけでなく、すべてのマルチライン携帯端末MLPあてのLED表示制御パケットを各端末が受信するようになる。これを避ける為、本発明においては、制御フレームはユニキャストで送信している。
マルチライン携帯端末MLPは、消費電力を抑えるために、受信パケットの有無を通知する報知パケットまたはその一部を間欠的に受信しており、その他の期間はスリープ状態となっている。報知信号の周期は例えば100ミリ秒(ms)であるのに対して、報知信号のパケット長は数100マイクロ秒(us)程度であるので、この仕組みにより本来無線LANにおける端末の消費電力を大幅に抑えることができる。しかしながら、LED表示制御パケットをマルチキャストで送信すると、システム内のいずれかのマルチライン携帯端末MLPの発着信状況が変化する度にマルチキャストパケットが生成され、各端末MLPはそれら全て受信してしまう。QoS制御を行う場合には、LED表示制御パケットよりも音声パケットの方が優先されるため、ビーコン直後にLED表示制御パケットを受信するとは限らず、トラフィック輻輳時にはすべてのマルチライン携帯端末1のスリープ状態となる時間率が大幅に減少してしまう問題点がある。
【0041】
図4は、図3の構成要素である省電力通信制御部12の内部構成を示す回路構成図であり、図16の従来例に対応している。省電力通信制御部12には、交換制御部31、呼制御部32、省電力情報部33、ランプ情報保持部34および表示情報保持部35が含まれている。交換制御部31は、音声信号18と音声フレーム21の間で交換制御している。
【0042】
呼制御部32は、制御信号19と制御フレーム22との間で制御信号の変換をしている。さらに、呼制御部32は、省電力情報を含んでいる記憶制御信号17により、ランプと表示に関する情報を取り込み、ランプ情報45と表示情報46として、ランプ情報保持部34および表示情報保持部35からランプ制御フレーム23および表示制御フレーム24によって送出している。
【0043】
記憶制御信号17に含まれた省電力情報が省電力情報41として取り出され省電力情報部33で、該当するマルチライン携帯端末MLPに対するキーランプ81および表示部83に関する省電力指示42を出力して、ランプ情報保持部34および表示情報保持部35を介して出力される。
【0044】
図5は、図3の構成要素である記憶部13の内部構成を示す記憶内容構成図であり、図17の従来例に対応している。そこには、ランプ情報記憶部50と表示情報記憶部60が含まれている。各マルチライン携帯端末MLPのランプ情報およびランプに関する省電力情報と、表示情報および表示に関する省電力情報が記憶制御信号17として、それぞれ格納され読み出される。
図5の上側に示すように、本発明の記憶部13に含まれるランプ情報記憶部50には、端末毎のランプ情報に加えて、端末ごとの端末n(n=1,N)省電力情報を記憶する領域を有する。マルチライン携帯端末が、通常モードにある時には、対応する省電力情報は、「省電力なし」と表示される。一方、マルチライン携帯端末が、省電力モードにある時には、対応する省電力情報は、「省電力あり」と表示される。省電力情報が「省電力なし」と表示されている場合には、ランプ制御フレームを伝送していた(従来と同様である)。一方、この省電力情報が「省電力あり」と表示されている場合には、ランプ情報の一部が変更になっても、ランプ制御フレームによる端末への通知は行わない。端末ランプ情報のみを更新する。
図5の下側に、本発明の記憶部13に含まれる表示情報記憶部60を示す。表示情報の場合もランプ情報の場合と同様であり、端末毎の端末n(n=1,N)省電力情報も記憶されている。 省電力情報が「省電力なし」の場合には、従来どおり表示情報の一部が変更になった端末に対しては、表示制御フレームを伝送する。一方、省電力情報が「省電力あり」の場合には、表示情報の一部が変更になっても、表示制御フレームによる端末への通知は行わない。端末表示情報のみ更新する。ただし、分単位の時刻表示のように発生頻度が低いものについては、「省電力あり」の場合においても、表示制御フレームを伝送してもよい。
【0045】
図6は、図1の重要な構成要素であるマルチライン携帯端末MLPの内部構成を示す回路構成図であり、図18の従来例に対応している。そこには、省電力メイン制御部71、アンテナATを備えた無線通信部72、音声制御部73、マイク74、スピーカ75、キーランプ81、充電状態表示部82、情報表示部83、端末状態記憶部84、キー操作部85、プログラム記憶部86、リンガー87および電源部88が含まれている。
【0046】
音声制御信号91は、省電力メイン制御部71と音声制御部73の間でやりとりされる信号である。無線通信信号92は、省電力メイン制御部71と無線通信部72の間でやりとりされる信号である。キーランプ信号93は、省電力メイン制御部71とキーランプ81の間でやりとりされる信号である。このキーランプ信号93には、キーランプ81を押下した場合の押下信号やランプ点滅の信号および非通信状態においてランプを消灯せしめる信号が含まれている。充電状態表示信号94は、充電状態表示部82で表示するための信号であり、非通信状態においてはキーランプ81を消灯せしめる信号である。
【0047】
情報表示信号95は、液晶などによるディスプレイである情報表示部83で表示する内容を伝えるための信号であり、非通信状態においては液晶表示のバックライトを消灯せしめるための信号である。端末状態記憶信号96は、通信状態と非通信状態の間で変化する端末状態、すなわち、キーランプ81や情報表示部83の表示内容や省電力主装置10から送られてきた局線の状況や省電力に関する情報などを省電力メイン制御部71と端末状態記憶部84との間でやりとりする信号である。キー操作信号97は、キー操作部85での操作内容を省電力メイン制御部71に伝える信号である。
【0048】
プログラム記憶部86には、マルチライン携帯端末MLPの動作に必要なプログラムとプログラムの実行中に一時的に格納される記憶内容とがあり、これらをプログラム信号98で読み出し、あるいは、書き込みしている。プログラム記憶部86に記憶された内容には、省電力用のプログラムも含まれている。リンガー信号99は、呼び出し音をリンガー87に伝える信号である。
図6を参照しながら、具体的動作を以下説明する。着信(着呼)が発生したマルチライン携帯端末MLPには、鳴音指示を含んだ制御パケットが主装置10より伝送される。マルチライン携帯端末MLPが鳴音指示を含んだ制御パケットを受信すると、メイン制御部71でその内容が解析される。メイン制御部71はリンガー87を鳴音させ、情報表示部83に着信表示を行う。また、着信のあったキーランプ81を点滅させる。キー操作部の通話ボタンが押下されると、メイン制御部71はオフフック情報を作成し、無線通信部72経由で主装置10に通知する。呼が確立すると、主装置10から音声フレームが伝送される。メイン制御部71は、音声フレームを無線通信部72で受信すると、音声制御部73でエコーキャンセラおよびジッタバッファの処理を施した後にスピーカ75から出力する。また、メイン制御部71は、マイク74からの音声データをフレーム化した後に無線通信部72経由で主装置10に送信する。通話中は、着信のあった回線のキーランプ81は点灯状態なる。一方、発信時には、キー操作部より入力されたダイヤル情報が無線通信部経由で主装置10に伝送される。着信先からの応答があれば、呼が確立する。呼が確立した後の動作は、着信時と同様である。ここで、問題となるのは、発着信を行っていないマルチライン携帯端末MLPに対しても、キーランプ情報が主装置10より転送され、使用中のキーランプ81が点灯することである。キーランプ81の消費電力は、赤色で1mA、緑色では10mAである。キーランプ81を除いた待機時の消費電流が3mA程度であることを考えると、待機時におけるキーランプ25での消費電力は非常に大きい。
本発明を実施するため、始めにマルチライン携帯端末MLPの省電力ステータス(情報)は、通常モードと省電力モードに分けられる。通常モードではキーランプ表示およびLCD表示を行う。マルチライン携帯端末MLPが充電状態にある場合は通常モードで動作する。また、マルチライン携帯端末MLPが通信状態にある場合も、マルチライン携帯端末MLPは通常モードで動作する。マルチライン携帯端末MLPが充電状態になく、かつ通信状態にもない場合には、一定時間(30秒)後に省電力モードに遷移する。この間の時間はキー表示継続タイマでカウントする。
【0049】
図7は、図6の構成要素である省電力メイン制御部71の内部構成を示す回路構成図であり、図19の従来例に対応している。そこには、端末制御部110があり、端末の各構成要素をインタフェース(I/F)を介して制御している。無線通信部I/F112は、端末制御部110と無線通信部72との間のインタフェースをしている。キーランプI/F113は、端末制御部110とキーランプ81との間のインタフェースをしている。
【0050】
充電状態監視I/F114は、端末制御部110と充電状態表示部82との間のインタフェースをしている。表示I/F115は、端末制御部110と情報表示部83との間のインタフェースをしている。端末状態記憶部I/F116は、端末制御部110と端末状態記憶部84との間のインタフェースをしている。キー操作部I/F117は、端末制御部110とキー操作部85との間のインタフェースをしている。
【0051】
プログラム記憶部I/F118は、端末制御部110とプログラム記憶部86との間のインタフェースをしている。リンガーI/F119は、端末制御部110からの呼び出し音をリンガー信号99として、リンガー87に伝えている。省電力モード制御部111は、端末制御部110との間で省電力信号101をやりとりしている。省電力モード制御部111は、無線通信部I/F112を介して無線通信部72との間で省電力無線通信信号102をやりとりしている。
【0052】
この省電力無線通信信号102には、省電力主装置10から、および、省電力主装置10への省電力情報が含まれている。省電力モード制御部111は、キーランプI/F113を介してキーランプ81との間で、省電力キーランプ信号103をやりとりしている。省電力キーランプ信号103には、どのキーランプ81にどの色で、どのような時間間隔で点灯し、または、非通信状態での消灯、あるいは、どのキーランプ81が押下されたかというキーランプ81に関する情報が含まれている。
【0053】
省電力モード制御部111は、充電状態監視I/F114を介して充電状態表示部82に対して、省電力充電状態信号104を送っている。省電力充電状態信号104は、電源部86の充電状態を示す信号である。省電力モード制御部111は、表示I/F115を介して情報表示部83に対して、表示すべき、あるいは、非通信状態でのバックライトを消灯すべきことを指示する省電力表示信号105を送っている。省電力モード制御部111は、端末状態記憶部I/F116を介して端末状態記憶部84との間で省電力端末状態記憶信号106により省電力情報を書き込み読み出ししている。
【0054】
省電力モード制御部111は、キー操作部I/F117を介してキー操作部85からの省電力キー操作信号107により省電力情報を得ている。省電力キー操作信号107には通話の終了を示す「切」のキー(図13のキー操作部85の1つのキー)が押されると、省電力モード制御部111に含まれたタイマが動作を開始し、たとえば、30秒経つと非通信状態と判断し、省電力モードに入る。
【0055】
その結果、省電力キーランプ信号103と省電力表示信号105によって、すべてのキーランプ81は消灯され、情報表示部83の表示は消されて、通常モードから省電力モードへと切り替えられる。省電力モード制御部111は、プログラム記憶部I/F118を介して、プログラム記憶部86から省電力動作を含む各種プログラムを書き込み読み出ししている。
【0056】
図8は、図5の記憶部13に含まれた各マルチライン携帯端末のランプ情報記憶部50の各端末に関する省電力情報の内容を示す情報構成図である。キーランプ81のL1,L2,L3,・・・のそれぞれには、たとえば、赤色と緑色の発光ダイオードがあり、各発光ダイオードの点滅状態を示す発光パターンが格納されている。格納内容は、必要に応じて書き換えられ、読み出される。
【0057】
図9は、省電力動作の流れの概要を示すフローチャートである。図1の通信網が動作を開始すると、各マルチライン携帯端末MLPの動作が監視され(S1)、マルチライン携帯端末MLPの動作が通常モードでなければ、省電力モードに切り替えられる(S1N,S2)。マルチライン携帯端末MLPの動作が通常モードであるならば(S1Y,S3)、通話の終了を示す「切」のキー(図13のキー操作部85の1つのキー)が押され、あるいは、通話の相手側からの通話の終了を省電力主装置10から報知され、それによって通常モード動作が停止される(S4Y)。そこでタイマがスタートし、所定の時間(たとえば、30秒)経つと(S6Y)、省電力モードに切り替えられる(S2)。
【0058】

図10および図11は、省電力主装置10とマルチライン携帯端末MLPとの間の省電力動作の流れを示すフローチャートである。省電力主装置10とマルチライン携帯端末MLPとの間の通信は、すべてアクセス・ポイントAPにより中継される。すでに動作を開始しており、省電力主装置10側とマルチライン携帯端末MLPとの間で通信が行われている(S11、図10)。この通信中に複数の局線(公衆マルチライン2)の使用状況に変更を生じた場合は、キー情報に変更があったとして(S12Y)、省電力主装置10は、マルチライン携帯端末MLPに対してキーランプ更新の指示を出す(S13)。
【0059】

キーランプ更新の指示を受信すると(S14)、その後、マルチライン携帯端末MLPは通話の終了を示す「切」のキーを押して通信を終了し、無線回線を切断する(S15)。そこで、タイマがスタートする。予め設定した時間に達すると、タイムアウトしたとして(S16Y)、マルチライン携帯端末MLPは、通信状態にあった通常モードから非通信状態である省電力モードに切り替えるために、モード変更通知を出す(S17)。このモード変更通知を受信した(S18)省電力主装置10は、マルチライン携帯端末MLPがモード変更することを確認し、モード変更を許可するためのモード変更確認を送出する(S19)。
【0060】

マルチライン携帯端末MLPがモード変更確認を受信すると(S20)、すべてのキーランプ81を消灯して省電力モードに切り替える(S21)。マルチライン携帯端末MLPは、キーランプ81が押下されたことを検出すると(S22Y、図11)、省電力モードから通常モードに切り替えるために、モード変更通知を出す(S23)。このモード変更通知を受信した省電力主装置10は(S24)、マルチライン携帯端末MLPがモード変更することを確認し、モード変更を許可するためのモード変更確認を送出する(S25)。
【0061】

省電力主装置10からの、省電力モードから通常モードに切り替えることを許可するモード変更確認を受信すると(S26)、マルチライン携帯端末MLPは、キーランプ81を点灯して通常モードに切り替える(S27)。省電力主装置10はモード変更確認を送出すると(S25)、引き続きキーランプ81の情報更新指示を出す(S28)。この指示を受けたマルチライン携帯端末MLPはキーランプ81の表示内容を更新する(S29)。
【0062】

省電力主装置10は、キー情報に変更があったときには(S30Y)、マルチライン携帯端末MLPに対してキーランプ情報更新の指示を出す(S31)。このキーランプ情報更新の指示を受けたマルチライン携帯端末MLPは、キーランプ81の表示内容を更新する(S32)。そこで、空いた局線、あるいは、着信を示すキーランプ81を押し、「通話」のキー(図13のキー操作部85の1つのキー)を押下して、省電力主装置10側との通信が可能となり、ステップS11の状態になる(S33)。このように、通常モードで通信するときには、キーランプ情報は最新のものに更新されているから、非通信中の省電力モードにおけるすべてのキーランプ81の消灯は、通常モードへの復帰に何らの支障も伴はない。

以上の説明は本発明の一実施例である。上記した実施例以外の様々な実施例が本発明の範囲内で考え得る。特許請求の範囲に記載した参照番号は、発明を理解しやすく為に付したもので、特許請求の範囲を限定するよう解釈すべきではない。
【図面の簡単な説明】
【0063】

【図1】本願発明の実施例を示した通信網構成図である。(実施例1)
【図2】図1の重要な構成要素であるマルチライン携帯端末の消費電流を示す消費電流図である。
【図3】図1の重要な構成要素である省電力主装置の内部構成を示す回路構成図である。
【図4】図3の構成要素である省電力通信制御部の内部構成を示す回路構成図である。
【図5】図3の構成要素である記憶部の内部構成を示す記憶内容構成図である。
【図6】図1の重要な構成要素であるマルチライン携帯端末の内部構成を示す回路構成図である。
【図7】図6の構成要素である省電力メイン制御部の内部構成を示す回路構成図である。
【図8】図5の記憶部に含まれた各マルチライン携帯端末のランプ情報記憶部の省電力情報の内容を示す情報構成図である。
【図9】本発明による省電力動作の流れの概要を示すフローチャートである。
【図10】本発明による省電力主装置とマルチライン携帯端末との間の省電力動作の流れを示すフローチャートである。
【図11】図10とともに、本発明による省電力主装置とマルチライン携帯端末との間の省電力動作の流れを示すフローチャートである。
【図12】従来例を示した通信網構成図である。
【図13】従来のマルチライン携帯端末の外観を示した外観図である。
【図14】従来のマルチライン携帯端末の消費電流を示す消費電流図である。
【図15】図12の構成要素である従来の主装置の内部構成を示す回路構成図である。
【図16】図15の構成要素である従来の通信制御部の内部構成を示す回路構成図である。
【図17】図15の構成要素である従来の記憶部の内部構成を示す記憶内容構成図である。
【図18】図12の構成要素である従来のマルチライン携帯端末の内部構成を示す回路構成図である。
【図19】図18の構成要素であるメイン制御部の内部構成を示す回路構成図である。
【符号の説明】
【0064】

1 公衆網

2 公衆マルチライン

3 IP網

4 IPライン

10 省電力主装置

10B 主装置

11 局線I/F

12 省電力通信制御部

12B 通信制御部

13,13B 記憶部

14 有線LANI/F

17,17B 記憶制御信号

18 音声信号

19 制御信号

21 音声フレーム

22 制御フレーム

23,23B ランプ制御フレーム

24,24B 表示制御フレーム

31 交換制御部

32,32B 呼制御部

33 省電力情報部

34,34B ランプ情報保持部

35,35B 表示情報保持部

41 省電力情報

42 省電力指示

45 ランプ情報

46 表示情報

50,50B ランプ情報記憶部

60,60B 表示情報記憶部

71 省電力メイン制御部

71B メイン制御部

72 無線通信部

73 音声制御部

74 マイク

75 スピーカ

81,81B キーランプ

82 充電状態表示部

83,83B 情報表示部

84,84B 端末状態記憶部

85 キー操作部

86,86B プログラム記憶部

87 リンガー

88 電源部

91 音声制御信号

92,92B 無線通信信号

93,93B キーランプ信号

94 充電状態表示信号

95,95B 情報表示信号

96,96B 端末状態記憶信号

97 キー操作信号

98,98B プログラム信号

99 リンガー信号

101 省電力信号

102 省電力無線通信信号

103 省電力キーランプ信号

104 省電力充電状態信号

105 省電力表示信号

106 省電力端末状態記憶信号

107 省電力キー操作信号

108 プログラム記憶信号

110,110B 端末制御部

111 省電力モード制御部

112,112B 無線通信部I/F

113,113B キーランプI/F

114,114B 充電状態監視I/F

115,115B 表示I/F

116,116B 端末状態記憶部I/F

117,117B キー操作部I/F

118 プログラム記憶部I/F

119 リンガーI/F

AP アクセス・ポイント

AT アンテナ

IPB IPボタン電話機

LAN 構内通信網

MLP,MLPB マルチライン携帯端末

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の局線(2)を収容し、構内通信網(LAN)に接続されたアクセス・ポイント(AP)を介してマルチライン携帯端末(MLP)との間で無線で交信する場合に、前記マルチライン携帯端末(MLP)との間で前記複数の局線(2)の使用状況を含む情報を省電力情報としてやりとりする省電力主装置処理(10)をし、
前記マルチライン携帯端末(MLP)において、前記省電力情報により、前記複数の局線(2)のうちの1局線を選択可能とするべく表示するための前記複数の局線(2)のそれぞれに対応したキーランプ(81)を非通信状態において、消灯するように制御する省電力マルチライン携帯端末処理(MLP)をする、
マルチライン無線LANの省電力方法。
【請求項2】
前記省電力主装置処理(10)において、
前記マルチライン携帯端末(MLP)のそれぞれの現在のキーランプ(81)の省電力状態を示すランプ情報(50)と、前記マルチライン携帯端末(MLP)のそれぞれの現在の情報表示部(83)の省電力状態を示す表示情報(60)とを記憶して省電力用の記憶制御信号(17)を得るための、省電力情報記憶処理(13)をし、
前記省電力用の記憶制御信号(17)をもとにして、前記マルチライン携帯端末(MLP)に前記省電力情報を指示するための省電力情報処理(33)をする
請求項1のマルチライン無線LANの省電力方法。
【請求項3】
前記省電力マルチライン携帯端末処理(MLP)において、
前記非通信状態が、所定の時間経過した後に前記キーランプ(81)を消灯するように制御する
請求項1のマルチライン無線LANの省電力方法。
【請求項4】
前記省電力マルチライン携帯端末処理(MLP)において、
すくなくとも無線通信信号(102)を監視することにより前記非通信状態を検出するための省電力モード制御処理(111)をする
請求項1のマルチライン無線LANの省電力方法。
【請求項5】
前記省電力マルチライン携帯端末処理(MLP)において、
前記キーランプ(81)を前記非通信状態において消灯するように制御する省電力モードに切り替える前に、前記省電力主装置処理(10)側に前記省電力モードに切り替えるためのモード変更通知(S17)をし、確認を得てから(S20)前記省電力モードに切り替える(S21)、
請求項1のマルチライン無線LANの省電力方法。
【請求項6】
複数の局線(2)を収容し、構内通信網(LAN)に接続されたアクセス・ポイント(AP)を介してマルチライン携帯端末(MLP)との間で無線で交信する場合に、前記マルチライン携帯端末(MLP)との間で前記複数の局線(2)の使用状況を含む情報を省電力情報としてやりとりする省電力主装置手段(10)と、
前記マルチライン携帯端末(MLP)において、前記省電力情報により、前記複数の局線のうちの1局線を選択可能とするべく表示するための前記複数の局線(2)のそれぞれに対応したキーランプ(81)を非通信状態において、消灯するように制御する省電力マルチライン携帯端末手段(MLP)とを含む、
マルチライン無線LANの省電力装置。
【請求項7】
前記省電力主装置手段(10)が、
前記マルチライン携帯端末(MLP)のそれぞれの現在のキーランプ(81)の省電力状態を示すランプ情報(50)と、前記マルチライン携帯端末(MLP)のそれぞれの現在の情報表示部(83)の省電力状態を示す表示情報(60)とを記憶して省電力用の記憶制御信号(17)を得るための、省電力情報記憶手段(13)と、
前記省電力用の記憶制御信号(17)をもとにして、前記マルチライン携帯端末(MLP)に前記省電力情報を指示するための省電力情報手段(33)とを含んでいる、
請求項6のマルチライン無線LANの省電力装置。
【請求項8】
前記省電力マルチライン携帯端末手段(MLP)において、
前記非通信状態が、所定の時間経過した後に前記キーランプ(81)を消灯するように制御する
請求項6のマルチライン無線LANの省電力装置。
【請求項9】
前記省電力マルチライン携帯端末手段(MLP)が、
すくなくとも無線通信信号(102)を監視することにより前記非通信状態を検出するための省電力モード制御手段(111)を含んでいる、
請求項6のマルチライン無線LANの省電力装置。
【請求項10】
前記省電力マルチライン携帯端末手段(MLP)において、
前記キーランプ(81)を前記非通信状態において消灯するように制御する省電力モードに切り替える前に、前記省電力主装置手段(10)側に前記省電力モードに切り替えるためのモード変更通知(S17)をし、確認を得てから(S20)前記省電力モードに切り替える(S21)、
請求項6のマルチライン無線LANの省電力装置。
【請求項11】
公衆電話回線網(1)及び/又はインターネット網(3)に接続される主装置(10)と
前記主装置(10)に有線接続されるアクセス・ポイント(AP)と、
前記アクセス・ポイントに無線接続されるマルチライン携帯端末(MLP)と
からなる無線電話システムにおいて、
前記マルチライン携帯端末(MLP)は、
複数の回線キーと、前記各回線キーの各々に対応しその使用状態を表示する複数のキーランプと、
通常モードとこの通常モードより消費電力の少ない省電力モードのいずれかのモードにあり、自己の現在のモードを前記主装置に通知する省電力モード制御部と、
省電力モード時には、前記複数のキーランプを消灯する省電力モード制御部と
を有し、
前記主装置は、
前記マルチライン携帯端末から、省電力モードへの変更通知を受けて、前記変更通知に対する確認応答を行う呼制御・省電力制御部と、
前記マルチライン携帯端末毎にマルチライン携帯端末の省電力モードを省電力ステータスとして記憶する記憶部と
を有し、
前記呼制御・省電力制御部は、省電力モードにあるマルチライン携帯端末に対しては、キーランプ情報を通知しない
ことを特徴とする省電力無線電話システム。
【請求項12】
複数の回線キーと、前記各回線キーの各々に対応しその使用状態を表示する複数のキーランプとを備えたマルチライン携帯端末から、前記マルチライン携帯端末の通常モードからこの通常モードより消費電力の少ない省電力モードへの変更通知に応答して、前記変更通知に対する確認応答を行う呼制御・省電力制御部と、
前記マルチライン携帯端末毎にマルチライン携帯端末の省電力モードを記憶する記憶部と
を有する省電力無線電話システムにおける主装置において、
前記呼制御・省電力制御部は、省電力モードにあるマルチライン携帯端末に対してキーランプ情報を通知しない
ことを特徴とする省電力無線電話システムにおける主装置。
【請求項13】
複数の回線キーと、前記各回線キーの各々に対応しその使用状態を表示する複数のキーランプとを備えた省電力無線電話システムにおけるマルチライン携帯端末において、
前記マルチライン携帯端末は、省電力モード制御部を備え、
前記省電力モード制御部は、前記マルチライン携帯端末が通常モードとこの通常モードより消費電力の少ない省電力モードとのいずれかのモードにあるかを識別し、識別したモードを主装置に通知する省電力モード制御部を有し、
前記省電力モード制御部は、省電力モード時には、前記複数のキーランプを消灯するよう制御する
ことを特徴とする省電力無線電話システムにおけるマルチライン携帯端末。
【請求項14】
前記アクセス・ポイントと主装置は、それぞれLANインタフェースを更に有し、
前記主装置は、制御フレームをユニキャストで送信する
ことを特徴とする請求項11記載の省電力無線電話システム。
【請求項15】
LANインタフェースをさらに有し、
前記制御フレームをユニキャストで送信する
ことを特徴とする請求項12記載の省電力無線電話システムにおける主装置。
【請求項16】
LANインタフェースを更に有するアクセス・ポイントに接続される
ことを特徴とする請求項15記載のマルチライン携帯端末。
【請求項17】
公衆電話回線網(1)及び/又はインターネット網(3)に接続される主装置(10)と
前記主装置(10)に有線接続されるアクセス・ポイント(AP)と、
前記アクセス・ポイントに無線接続されるマルチライン携帯端末(MLP)と
からなる無線電話システムにおいて、
前記マルチライン携帯端末(MLP)は、
複数の回線キーと、前記各回線キーの各々に対応しその使用状態を表示する複数のキーランプと、
通常モードとこの通常モードより消費電力の少ない省電力モードの内、省電力モードがデフォルトモードであり、通常モードへの変更を前記主装置に通知する省電力モード制御部と、
省電力モード時には、前記複数のキーランプを消灯する省電力モード制御部と
を有し、
前記主装置は、
前記マルチライン携帯端末から、通常モードへの変更通知を受けて、前記変更通知に対する確認応答を行う呼制御・省電力制御部と、
前記マルチライン携帯端末毎にマルチライン携帯端末の通常モードを記憶する記憶部と
を有し、
前記呼制御・省電力制御部は、前記マルチライン携帯端末の省電力モード制御部からの通知により、通常モードにあるマルチライン携帯端末に対してのみ、キーランプ情報を通知する
ことを特徴とする省電力無線電話システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【公開番号】特開2007−60640(P2007−60640A)
【公開日】平成19年3月8日(2007.3.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−197676(P2006−197676)
【出願日】平成18年7月20日(2006.7.20)
【出願人】(000000181)岩崎通信機株式会社 (133)
【Fターム(参考)】