説明

マルチレベル電力変換器

【課題】電圧均一回路を用いることなく、半導体素子の必要個数を減らし、装置の小型化及びコスト低減ができるマルチレベル電力変換器を提供する。
【解決手段】直流電源VDCと、該VDCの正、負極端間に順次直列接続されたリアクトルL,スイッチング素子S9,S10,コンデンサC1,C2,スイッチング素子S11,S12と、前記C1,C2の直列体の両端間に各々接続されたS1〜S4とS5〜S8と、前記S1,S2の共通接続点とS3,S4の共通接続点との間に直列接続されたダイオードD1,D2と、前記S5,S6の共通接続点とS7,S8の共通接続点との間に直列接続されたダイオードD3,D4と、前記S1〜S8のオン、オフ制御によってマルチレベル電圧を切り換える制御手段とを備え、前記D1、D2間、D3、D4間、C1、C2間を共通に接続し、前記S2、S3間と、S6、S7間を交流出力端子A,Bとする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マルチレベルの相電圧が出力可能で、且つ1個の直流電圧源で動作する電力変換回路に係り、直流電源から複数の電圧レベルに変換した交流出力を生成するマルチレベル電力変換器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、マルチレベル電力変換器として、例えば非特許文献1に記載の5レベルインバータが知られている。図10は非特許文献1に記載の5レベルインバータの主回路1相分の構成図を示している。図10の回路において、5レベルインバータ1の直流側に設けたダイオード整流器2の直流出力電圧を5分圧するために4台の直流リンクコンデンサCdc1〜Cdc4が直列接続され、これらコンデンサCdc1〜Cdc4に蓄えられたエネルギーを用いて、インバータ1には5分圧に対応する5レベルの電位を有する交流出力が生成される。
【0003】
上記の5レベルインバータ1の動作を説明する。コンデンサCdc1〜Cdc4で分圧する電圧の中性点をM点とし、インバータ1の出力端をA点とし、直流電圧を均一に4分圧した電圧をEとすると、スイッチング素子S1〜S8を以下のオン・オフパターン制御の組み合わせ(スイッチングモードSM1〜SM5)によって制御することで、端子間AMに5レベルの電圧出力が生成される。
(SM1)S1,S2,S3とS4がオン、S5,S6,S7とS8がオフのとき、端子間AMには電圧+2Eが出力される。
【0004】
(SM2)S2,S3,S4とS5がオン、S1,S6,S7とS8がオフのとき、端子間AMには電圧+Eが出力される。
【0005】
(SM3)S3,S4,S5とS6がオン、S1,S2,S7とS8がオフのとき、端子間AMには電圧0が出力される。
【0006】
(SM4)S4,S5,S6とS7がオン、S1,S2,S3とS8がオフのとき、端子間AMには電圧−Eが出力される。
【0007】
(SM5)S5,S6,S7とS8がオン、S1,S2,S3とS4がオフのとき、端子間AMには電圧−2Eが出力される。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】Kazunori Hasegawa,Hirohumi Akagi,“Voltage Balancing of the Four Split DC Capacitors for a Five−Level Diode−Clanped PWM Inverter with a Front−End Diode Rectifier”,international Power Electronics Conference (IPEC),IEEJ/IEEE,pp.734−739,Jun,2010
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
前記の図10の構成では、5レベルインバータの直流側の電源電圧(ダイオード整流器2の出力電圧)を5分圧するために4つの直流リンクコンデンサCdc1〜Cdc4が直列接続されており、これらのコンデンサに蓄えられたエネルギーを用いて5レベル電圧の交流出力が生成される。
【0010】
原理上、出力電圧波形に合わせた電圧レベルとなるように、5レベルインバータには有効電力が流入もしくは流出するため、4つのコンデンサCdc1〜Cdc4に生じる直流電圧の各平均値が等しくならないという問題が発生する。交流出力の各レベルについての波高を全て等しくするためには、各コンデンサCdc1〜Cdc4に生じる直流電圧の平均値が全て等しくなるよう制御する必要がある。
【0011】
そのため、図10に示す非特許文献1の回路では、各コンデンサCdc1〜Cdc4に生じる直流電圧の平均値を昇降圧チョッパ動作によって均一にするための電圧均一回路3をインバータ1の直流側に設けている。この電圧均一回路3は、半導体スイッチの他に、結合巻線をもつ大型の直流リアクトルLCや逆流阻止用ダイオードを必要とし、これら回路素子の増加が装置の大形化及びコスト高になるという問題があった。
【0012】
また、図10に示す5レベルインバータ1には、半導体スイッチの他に、高耐圧大電流容量のクランプ用ダイオードを多く必要とし、それらが回路の大形化及びコスト高の要因になる。
【0013】
本発明は上記課題を解決するものであり、その目的は、電圧均一回路を用いることなく、半導体素子の必要個数を減らし、装置の小型化及びコスト低減ができるマルチレベル電力変換器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記課題を解決するための請求項1記載のマルチレベル電力変換器は、直流電源の電圧を複数の電圧レベルに変換した交流出力を生成するマルチレベル電力変換器であって、直流電圧が充電又は放電される第1のコンデンサおよび第2のコンデンサを直列接続したコンデンサ直列回路と、前記コンデンサ直列回路の第1のコンデンサ側端と第2のコンデンサ側端の間に順次直列接続された第1〜第4のスイッチング素子と、前記コンデンサ直列回路の第1のコンデンサ側端と第2のコンデンサ側端の間に順次直列接続された第5〜第8のスイッチング素子と、前記第1のスイッチング素子および第2のスイッチング素子の共通接続点と、第3のスイッチング素子および第4のスイッチング素子の共通接続点との間に直列接続された第1および第2のダイオードと、前記第5のスイッチング素子および第6のスイッチング素子の共通接続点と、第7のスイッチング素子および第8のスイッチング素子の共通接続点との間に直列接続された第3および第4のダイオードと、前記第1〜第8のスイッチング素子のオン、オフ制御によって複数の電圧レベルを出力させる制御手段とを備え、前記第1および第2のダイオードの共通接続点と、前記第3および第4のダイオードの共通接続点と、前記第1および第2のコンデンサの共通接続点とを共通に接続し、前記第2のスイッチング素子および第3のスイッチング素子の第1の共通接続点と、第6のスイッチング素子および第7のスイッチング素子の第2の共通接続点とを複数の電圧レベルの交流出力端としたことを特徴としている。
【0015】
上記構成により、従来のような電圧均一回路を用いることなく交流出力の各電圧レベルの波高値を等しくすることができ、且つ少ない素子数でマルチレベル電力変換器を実現することができる。
【0016】
また、第1および第2のコンデンサの電圧を小さい電圧に制御した場合でも高調波の少ない複数の電圧レベルを出力させることが可能となり、スイッチング損失も低減することができる。
【0017】
また、請求項2に記載のマルチレベル電力変換器は、請求項1において、直流電源と、前記直流電源の正極端と、前記第1のコンデンサおよび第1のスイッチング素子の共通接続点との間に順次直列接続された、リアクトルと、前記直流電源および第1および第2のコンデンサの電圧に応じてオン、オフ制御される第9のスイッチング素子と、前記直流電源および第1および第2のコンデンサの電圧に応じてオン、オフ制御される第10のスイッチング素子と、前記第2のコンデンサおよび第4のスイッチング素子の共通接続点と前記直流電源の負極端との間に順次直列接続された、前記第10のスイッチング素子と同一タイミングでオン、オフ制御される第11のスイッチング素子と、前記第9のスイッチング素子と同一タイミングでオン、オフ制御される第12のスイッチング素子と、をさらに備えたことを特徴としている。
【0018】
上記構成により、従来のような電圧均一回路を用いることなく交流出力の各電圧レベルの波高値を等しくすることができ、且つ少ない素子数でマルチレベル電力変換器を実現することができる。
【0019】
また、第9〜第12のスイッチング素子のオン、オフ制御によって第1および第2のコンデンサの合計電圧を可変制御することができる。これによって、直流電源電圧に対して任意の複数の電圧レベルの出力が可能となり、直流電源電圧と出力電圧のマッチングを取ったスイッチング損失を最小限に低減することができる。
【0020】
また、請求項5に記載のマルチレベル電力変換器は、直流電源の電圧を複数の電圧レベルに変換した交流出力を生成するマルチレベル電力変換器であって、直流電源と、第1〜第4のスイッチング素子を順次直列接続した第1の直列回路と、第5〜第8のスイッチング素子を順次直列接続した第2の直列回路と、前記第1の直列回路の一端と第2の直列回路の一端との間、および第1の直列回路の他端と第2の直列回路の他端との間に各々接続されたリアクトルと、前記第1のスイッチング素子および第2のスイッチング素子の共通接続点と、第3のスイッチング素子および第4のスイッチング素子の共通接続点との間に直列接続された第1および第2のダイオードと、前記第5のスイッチング素子および第6のスイッチング素子の共通接続点と、第7のスイッチング素子および第8のスイッチング素子の共通接続点との間に直列接続された第3および第4のダイオードと、前記リアクトルおよび第5のスイッチング素子の共通接続点と、リアクトルおよび第8のスイッチング素子の共通接続点との間に直列接続された第1および第2のコンデンサと、前記第1〜第8のスイッチング素子のオン、オフ制御によって複数の電圧レベルを出力させる制御手段と、前記直流電源の正極端と、前記リアクトルおよび第1のスイッチング素子の共通接続点との間に接続された第1のスイッチング手段と、前記リアクトルおよび第4のスイッチング素子の共通接続点と前記直流電源の負極端との間に接続された、前記第1のスイッチング手段と同一タイミングでオン、オフ制御される第2のスイッチング手段と、を備え、前記第1および第2のダイオードの共通接続点と、前記第3および第4のダイオードの共通接続点と、前記第1および第2のコンデンサの共通接続点とを共通に接続し、前記第2のスイッチング素子および第3のスイッチング素子の第1の共通接続点と、第6のスイッチング素子および第7のスイッチング素子の第2の共通接続点とを複数の電圧レベルの交流出力端としたことを特徴としている。
【0021】
上記構成により、従来のような電圧均一回路を用いることなく交流出力の各電圧レベルの波高値を等しくすることができ、且つ少ない素子数でマルチレベル電力変換器を実現することができる。
【0022】
さらに、リアクトルを介して電流が流れているスイッチング素子をオフ制御して電圧がゼロに急変したときのリアクトルのエネルギーは、第1および第2のコンデンサに吸収されるため、スイッチング素子にサージ電圧が加わって素子が破壊されるのを防ぐことができる。このためリアクトルのサージ電圧を吸収するスナバ回路が不要となる。
【0023】
また、請求項3、6に記載のマルチレベル電力変換器は、請求項1、2、5の装置において、前記制御手段のオン、オフ制御は、同一電圧レベルの出力時に前記第1のコンデンサを充電又は放電させる制御モードと第2のコンデンサを充電又は放電させる制御モードとを有していることを特徴としている。
【0024】
上記構成により、制御モードの選択によって第1および第2のコンデンサの電圧バランスを制御することができる。
【0025】
また、請求項4、7に記載のマルチレベル電力変換器は、請求項2、3、5、6の装置において、前記マルチレベル電力変換部を三相交流の各相に各々設け、前記三相各相のマルチレベル電圧変換部の、第1の共通接続点どうしを中性点として共通接続し、前記第2の共通接続点をU相、V相、W相の各出力端としたことを特徴としている。
【0026】
上記構成により、少ない素子数でY結線接続による三相のマルチレベル電力変換器を実現することができる。
【発明の効果】
【0027】
(1)請求項1〜7に記載の発明によれば、従来のような電圧均一回路を用いることなく第1および第2のコンデンサの電圧を制御できるため、交流出力の各電圧レベルの波高値を等しくすることができ、且つ少ない素子数でマルチレベル電力変換器を実現することができる。これによって、装置の小型化及びコスト低減を実現することができる。
(2)請求項1に記載の発明によれば、第1および第2のコンデンサの電圧を小さい電圧に制御した場合でも高調波の少ない複数の電圧レベルを出力させることが可能となり、スイッチング損失も低減することができる。
(3)請求項2に記載の発明によれば、第9〜第12のスイッチング素子のオン、オフ制御によって第1および第2のコンデンサの合計電圧を可変制御することができる。これによって、直流電源電圧に対して任意の複数の電圧レベルの出力が可能となり、直流電源電圧と出力電圧のマッチングを取ったスイッチング損失を最小限に低減することができる。
(4)請求項3、6に記載の発明によれば、制御モードの選択によって第1および第2のコンデンサの電圧バランスを制御することができる。
(5)請求項4、7に記載の発明によれば、少ない素子数でY結線接続による三相のマルチレベル電力変換器を実現することができる。
(6)請求項5に記載の発明によれば、リアクトルを介して電流が流れている第1および第2のスイッチング手段をオフ制御して電圧がゼロに急変したときのリアクトルのエネルギーは、第1および第2のコンデンサに吸収されるため、第1および第2のスイッチング手段にサージ電圧が加わって素子が破壊されるのを防ぐことができる。このためリアクトルのサージ電圧を吸収するスナバ回路が不要となる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明の実施例1の5レベル電力変換器の回路図。
【図2】本発明の実施例1の5レベル電力変換器におけるコンデンサの充放電モードを表し、(a)は充電モード時の電流経路を示す回路図、(b)は放電モード時の電流経路を示す回路図。
【図3】本発明の実施例1の5レベル電力変換器における、直流電源をコンデンサへ接続しないモードを表す回路図。
【図4】本発明の実施例1の5レベル電力変換器におけるスイッチングパターンのモードと出力端子間の電圧の関係を表し、(a)はコンデンサ電圧を1/2Eに制御したときの電圧特性図、(b)はコンデンサ電圧をEに制御したときの電圧特性図。
【図5】本発明の実施例2の5レベル電力変換器の回路図。
【図6】本発明の実施例3の5レベル電力変換器の回路図。
【図7】本発明の実施例4の5レベル電力変換器の回路図。
【図8】本発明の実施例4の5レベル電力変換器における電流遮断時のサージエネルギー吸収のようすを表し、(a)はスイッチング素子を介してコンデンサを充電しているときの電流経路を示す回路図、(b)はスイッチング素子をオフしたときに発生するサージ電流がコンデンサに吸収される経路を示す回路図。
【図9】本発明の実施例5の5レベル電力変換器の回路図。
【図10】従来のマルチレベル電力変換器の一例を示す回路図。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、図面を参照しながら本発明の実施の形態を説明するが、本発明は下記の実施形態例に限定されるものではない。本実施形態例では、従来の、各相のコンデンサ電圧の平均値を等しくするための電圧均一回路を用いることなく少ない素子数でマルチレベル電力変換器を構成した。
【0030】
以下、本発明を5レベル電力変換器(5レベルインバータ)に適用した実施例を説明する。
【実施例1】
【0031】
図1に本発明の実施例1の5レベル電力変換器100を示す。図1において、直流電圧が充電又は放電される第1および第2のコンデンサC1,C2を直列接続したコンデンサ直列回路には、第1のスイッチング素子S1〜第4のスイッチング素子S4を順次直列接続した第1の直列回路と、第5のスイッチング素子S5〜第8のスイッチング素子S8を順次直列接続した第2の直列回路とが並列に接続されている。
【0032】
前記スイッチング素子S1およびS2の共通接続点とスイッチング素子S3およびS4の共通接続点との間には、図示極性のダイオードD1およびD2が直列に接続され、前記スイッチング素子S5およびS6の共通接続点とスイッチング素子S7およびS8の共通接続点との間には、図示極性のダイオードD3およびD4が直列に接続されている。
【0033】
直流電源VDCの正極端と、前記第1のスイッチング素子S1および第1のコンデンサC1の共通接続点(P)との間には、リアクトルL、回生時にオン制御される第9のスイッチング素子S9、力行時にオン制御される第10のスイッチング素子S10が順次直列に接続されている。
【0034】
前記第4のスイッチング素子S4および第2のコンデンサC2の共通接続点(N)と、直流電源VDCの負極端との間には、前記第10のスイッチング素子S10と同一タイミングでオン、オフ制御される第11のスイッチング素子S11と、前記第9のスイッチング素子S9と同一タイミングでオン、オフ制御される第12のスイッチング素子S12とが直列に接続されている。
【0035】
前記ダイオードD1およびD2の共通接続点と、ダイオードD3およびD4の共通接続点と、コンデンサC1およびC2の共通接続点は、中性点NPとして共通に接続されている。
【0036】
前記スイッチング素子S2およびS3の第1の共通接続点を出力端子Aとし、前記スイッチング素子S6およびS7の第2の共通接続点を出力端子Bとしている。
【0037】
例えば、前記スイッチング素子S1〜S12は、IGBT等の半導体スイッチで構成され、S9〜S12は図1に記載のように双方向に直列接続したスイッチ2個で構成する、もしくはS9とS10、S11とS12をそれぞれ1個の双方向スイッチで構成してもよい。
【0038】
前記スイッチング素子S1〜S8は、図示省略の制御部(制御手段)によって、5レベルの電圧を出力するためのスイッチングパターンに従ってオン、オフ制御され、スイッチング素子S9〜S12は、前記スイッチング素子S1〜S8とは別個に、前記直流電源VDC、コンデンサC1,C2の各電圧に応じて、図示省略の制御部によってオン、オフ制御され、その結果出力端子A,B間に5レベルの電圧が出力されるものである。
【0039】
尚、前記直流電源VDCの電源電圧は固定でも可変でもよい。
【0040】
上記構成において、力行時、かつ直流電源VDCの電圧よりもコンデンサC1とC2の合計電圧の方が小さい場合には、スイッチング素子S10とS11をオン制御することでコンデンサC1とC2にリアクトルLを介して電流を流して、コンデンサC1とC2を両方充電することが可能である。
【0041】
回生時、かつ直流電源VDCの電圧よりもコンデンサC1とC2の合計電圧の方が大きい場合には、スイッチング素子S9とS12をオン制御することでコンデンサC1とC2にリアクトルLを介して電流を流して、コンデンサC1とC2を両方放電することが可能である。
【0042】
このようなコンデンサC1,C2の充放電モードを図2に示す。
【0043】
図2(a)は、(VC1+VC2)<2E(VC1はコンデンサC1の電圧、VC2はコンデンサC2の電圧、2Eは直流電源VDCの電圧)の時にスイッチング素子S10とS11をオン制御することで実線の矢印のように直流電源VDC→リアクトル→スイッチング素子S9の寄生ダイオード→スイッチング素子S10→コンデンサC1→C2→スイッチング素子S11→スイッチング素子S12の寄生ダイオード→直流電源VDCの経路で充電電流が流れ、コンデンサC1とC2を充電することができることを示している。
【0044】
図2(b)は、(VC1+VC2)>2Eの時にスイッチング素子S9とS12をオン制御することで破線の矢印のように直流電源VDC→スイッチング素子S12→スイッチング素子S11の寄生ダイオード→コンデンサC2→C1→スイッチング素子S10の寄生ダイオード→スイッチング素子S9→直流電源VDCの経路で放電電流が流れ、コンデンサC1とC2を放電することができることを示している。
【0045】
これらの動作により、コンデンサC1とC2の合計電圧を制御することや、力行と回生の切り換えを行うことが可能である。
【0046】
スイッチング素子S1〜S8のオン、オフは、例えば表1に示すモード1〜モード9を有するスイッチングパターンに従って制御される。
【0047】
【表1】

【0048】
表1はスイッチング素子S1〜S8のオン・オフのモード1〜9(表1中ではMode1〜9と表記している)により出力端子A,B間に出力される電圧VABとコンデンサC1,C2の充放電の有無を示している。
【0049】
直流電源VDCの電圧が2E、コンデンサC1,C2の電圧がEのとき、出力端子A,B間の電圧は2E,E,0,−E,−2Eの5レベルの電圧を出力可能である。
【0050】
ここで、表1のスイッチングパターンの各モード1〜モード9と出力端子A,B間の電流Iの経路を以下に説明する。尚表1は電流I>0のときを示しており、また、以下の説明では、コンデンサC1における直流電源VDCの正極端側の端部をP、コンデンサC2における直流電源VDCの負極端側の端部をNと表現する。
【0051】
<モード1>
スイッチング素子S1,S2,S7,S8が各々オフ、スイッチング素子S3,S4,S5,S6が各々オンとなり、電流Iは、出力端子A→S3→S4→N→P→S5→S6→出力端子Bの経路で流れる。出力端子A,B間にはN→Pが接続され、A,B間の電圧は2Eとなる。
【0052】
<モード2>
スイッチング素子S1,S2,S5,S8が各々オフ、スイッチング素子S3,S4,S6,S7が各々オンとなり、電流Iは、出力端子A→S3→S4→N→NP→D3→S6→出力端子Bの経路で流れる。出力端子A,B間にはN→NPが直列に接続され、A,B間の電圧はEとなる。
【0053】
<モード3>
スイッチング素子S1,S4,S7,S8が各々オフ、スイッチング素子S2,S3,S5,S6が各々オンとなり、電流Iは、出力端子A→S3→D2→NP→P→S5→S6→出力端子Bの経路で流れる。出力端子A,B間にはNP→Pが直列に接続され、A,B間の電圧はEとなる。
【0054】
<モード4>
スイッチング素子S1,S2,S5,S6が各々オフ、スイッチング素子S3,S4,S7,S8が各々オンとなり、電流Iは、出力端子A→S3→S4→S8→S7→出力端子Bの経路で流れる。出力端子A,B間にはスイッチング素子S3,S4,S7,S8を介して直送され、A,B間の電圧は0となる。
【0055】
<モード5>
スイッチング素子S1,S4,S5,S8が各々オフ、スイッチング素子S2,S3,S6,S7が各々オンとなり、電流Iは、出力端子A→S3→D2→NP→D3→S6→出力端子Bの経路で流れる。出力端子A,B間にはスイッチング素子S3,S6を介して直送され、A,B間の電圧は0となる。
【0056】
<モード6>
スイッチング素子S3,S4,S7,S8が各々オフ、スイッチング素子S1,S2,S5,S6が各々オンとなり、電流Iは、出力端子A→S2→S1→S5→S6→出力端子Bの経路で流れる。出力端子A,B間にはスイッチング素子S2,S1,S5,S6を介して直送され、A,B間の電圧は0となる。
【0057】
<モード7>
スイッチング素子S1,S4,S5,S6が各々オフ、スイッチング素子S2,S3,S7,S8が各々オンとなり、電流Iは、出力端子A→S3→D2→NP→N→S8→S7→出力端子Bの経路で流れる。出力端子A,B間にはNP→Nが直列に接続され、A,B間の電圧は−Eとなる。
【0058】
<モード8>
スイッチング素子S3,S4,S5,S8が各々オフ、スイッチング素子S1,S2,S6,S7が各々オンとなり、電流Iは、出力端子A→S2→S1→P→NP→D3→S6→出力端子Bの経路で流れる。出力端子A,B間にはP→NPが直列に接続され、A,B間の電圧は−Eとなる。
【0059】
<モード9>
スイッチング素子S3,S4,S5,S6が各々オフ、スイッチング素子S1,S2,S7,S8が各々オンとなり、電流Iは、出力端子A→S2→S1→P→N→S8→S7→出力端子Bの経路で流れる。出力端子A,B間にはP→Nが順に接続され、A,B間の電圧は2−Eとなる。
【0060】
上記モード1〜9のスイッチングパターンによるオン、オフ制御によって、コンデンサC1とC2の電圧がEのとき、出力端子A,B間の電圧は2E,E,0,−E,−2Eの5レベルの電圧を出力することが可能である。
【0061】
また、A,B間の電圧がEのときにコンデンサC1を放電するモードとC2を放電するモードを選択できるため、コンデンサC1とC2の電圧バランスを制御することが可能である。
【0062】
同様に、A,B間の電圧が−EのときにコンデンサC1を充電するモードとC2を充電するモードを選択できるため、コンデンサC1とC2の電圧バランスを制御することが可能である。
【0063】
このためコンデンサC1とC2の電圧を等しく保つことができる。電流Iの極性によりコンデンサC1とC2の充放電の極性が変化するが、表1は電流I>0のときを示している。
【0064】
また本実施例では、図3に示すように、スイッチング素子S9〜S12を全てオフにすることで、直流電源VDCをコンデンサC1とC2に接続しないことも可能である。尚、図3において図1と同一部分は同一符号をもって示している。
【0065】
このように構成することによって、コンデンサC1の電圧VC1とコンデンサC2の電圧VC2を直流電源電圧2Eよりも小さい電圧に制御することが可能である。
【0066】
図4は、上記モード1〜9と出力端子A,B間の電圧VABの関係を表し、コンデンサ電圧を1/2Eに制御したとき(図4(a))と、Eに制御したとき(図4(b))に、モード1〜9のスイッチングパターンによるオン、オフ制御によって出力可能な5レベルの電圧を各々示している。
【0067】
図4において、VC1=VC2=1/2Eのときには、E,1/2E,0,−1/2E,−Eの5レベルの電圧を、VC1=VC2=2Eのときには、2E,E,0,−E,−2Eの5レベルの電圧を各々出力することができる。このため、出力電圧が小さいときでも高調波の少ない5レベルの電圧を出力可能であり、スイッチング損失も低減することができる。
【0068】
よって、実施例1はリアクトルLが必要であるが、コンデンサ電圧を可変制御することで、直流電圧と出力電圧のマッチングを取ることによるスイッチング損失を最小限に低減することが可能である。
【0069】
すなわち、例えば直流電源電圧VDCと出力電圧VABの差(電圧比)が大きい場合、スイッチング損失が大となるが、本実施例のようにスイッチング素子S9〜S12をオン、オフ制御してコンデンサC1,C2の電圧を適切に制御することで、スイッチング損失を最小限に低減することが可能となる。
【0070】
尚、スイッチング素子S9〜S12は、直流電源VDCおよびコンデンサC1、C2の各電圧を監視し、それらの電圧に応じて、スイッチング素子S1〜S8とは別個にオン、オフ制御されるものである。
【0071】
以上のように実施例1によれば、直流電源1個、直流リアクトル1個、スイッチング素子12個、コンデンサ2個、ダイオード4個のみで、5レベル電力変換器を実現することができる。
【実施例2】
【0072】
図5に実施例2の回路構成を示す。本実施例2は、実施例1(図1)のスイッチング素子S1〜S12、リアクトルL、ダイオードD1〜D4およびコンデンサC1,C2によって5レベル電圧変換部200を構成し、該5レベル電圧変換部200を三相分(200U,200V,200W)設けて直流電源VDCに対してY結線に接続したものである。
【0073】
図5において、図1と同一部分は同一符号をもって示している。
【0074】
三相各相の5レベル電圧変換部200U,200V,200Wの、出力端子Aどうしを中性点Nとして共通接続し、出力端子Bを三相各相の出力端U,V,Wとしている。
【0075】
図5の構成では、三相各々に個別の直流電源は不要であり、直流電源VDCは1個でよい。
【0076】
図5の5レベル電圧変換部200U,200V,200Wの各動作は図1の回路と同一である。
【0077】
図5の回路では、Y結線の中性点Nを基準に、三相U,V,Wに任意の5レベルの電圧(2E,E,0−E,−2EやE,E/2,0,−E/2,−E)を出力することができる。
【0078】
本実施例2においても、リアクトルLが必要であるがコンデンサ電圧を可変制御することで、直流電圧と出力電圧のマッチングを取ったスイッチング損失を最小限に低減する方式が可能である。
【0079】
以上のように実施例2によれば、直流電源1個、直流リアクトル3個、スイッチング素子36個、ダイオード12個、コンデンサ6個によって、三相の5レベル電力変換器を実現することができる。
【実施例3】
【0080】
図6に実施例3の回路構成を示す。本実施例3では、実施例2(図5)のY結線された各相の5レベル電圧変換部200U,200V,200WからリアクトルLを除去して5レベル電圧変換部200U´,200V´,200W´を構成し、該5レベル電圧変換部200U´,200V´,200W´と直流電源VDCの間に三相共通の1個のリアクトルLを接続している。
【0081】
図6の5レベル電圧変換部200U´,200V´,200W´の各部の動作は図5の回路と同一である。
【0082】
図6の回路では、Y結線の中性点Nを基準に、三相U,V,Wに任意の5レベルの電圧(2E,E,0−E,−2EやE,E/2,0,−E/2,−E)を出力することができる。
【0083】
以上のように実施例3によれば、直流電源1個、直流リアクトル1個、スイッチング素子36個、ダイオード12個、コンデンサ6個によって、三相の5レベル電力変換器を実現することができる。
【実施例4】
【0084】
前記実施例1、実施例2、実施例3は、従来の回路と比較して、各相のコンデンサ電圧の平均値を等しくするための電圧均一回路を用いることなく、また、少ない素子数でマルチレベル電力変換器を実現できる。
【0085】
しかし、直流リアクトルLを介して電流が流れているスイッチング素子S9〜S12の双方向スイッチをオフすると、電流がゼロに急変するため、スイッチング素子S9とS10に加わるサージ電圧が大きくなり、素子が破壊される可能性があり、リアクトルLに並列に抵抗を設置してエネルギーを消費するなどのスナバ回路が必要となる場合がある。
【0086】
そこで本実施例4では、直流リアクトルLを介して電流が流れている双方向スイッチ(スイッチング素子S9〜S12)をオフして、電流がゼロに急変するときに双方向スイッチにサージ電圧が印加されず、サージ電圧のエネルギーを吸収する別のスナバ回路を不要とした回路を構成した。
【0087】
尚、本実施例4では、スイッチング素子S9およびS10により第1のスイッチング手段を構成し、スイッチング素子S11およびS12により第2のスイッチング手段を構成している。
【0088】
図7に実施例4の回路構成を示す。本実施例4では、実施例1,2,3のように直流電源VDCの正極端とスイッチング素子S9の間に接続されたリアクトルLを除去し、その代わりに、スイッチング素子S10およびS1の共通接続点とスイッチング素子S5の間と、スイッチング素子S4およびS11の共通接続点とスイッチング素子S8の間にリアクトルLを各々接続したものである。
【0089】
上記構成において、リアクトルLとスイッチング素子S9〜S12を介してコンデンサC1およびC2を充放電しているときに、スイッチング素子S9〜S12をオフした場合、コンデンサC1およびC2がリアクトルLのサージ電圧を吸収するスナバとして動作する。このためスイッチング素子S9〜S12にはサージ電圧は印加されない。
【0090】
図8にリアクトルLとスイッチング素子S9〜S12を介してコンデンサC1およびC2を充電しているときに、スイッチング素子S9〜S12をオフした場合の動作例を示す。コンデンサC1およびC2の電圧が直流電源VDCの2Eよりも小さいときにはスイッチング素子S10とS11をオンすることで直流電源VDCからコンデンサC1およびC2を充電することができる。
【0091】
このとき、直流電源VDCとコンデンサC1およびC2の電圧差とリアクトルLに応じて図8(a)のようにS9→S10→L→C1→C2→L→S11→S12の経路で充電電流が流れる。次にスイッチング素子S10とS11をオフすると、図8(b)のようにリアクトルLに流れている電流をコンデンサC1,C2が吸収する(スイッチング素子S4,S3,S2,S1の各寄生ダイオードを通した閉回路によってコンデンサC1,C2が充電される)。
【0092】
これによって、電流を遮断したときに発生するサージ電圧に対してコンデンサC1およびC2がスナバ回路として動作する。
【0093】
このためスイッチング素子にサージ電圧が加わって素子が破壊されるのを防止することができ、これによってリアクトルLのサージ電圧を吸収するスナバ回路が不要となる。
【0094】
尚、前記第1のスイッチング手段を構成するスイッチング素子S9およびS10を1個の双方向スイッチで構成し、第2のスイッチング手段を構成するスイッチング素子S11およびS12を1個の双方向スイッチで構成してもよい。
【実施例5】
【0095】
図9に実施例5の回路構成を示す。実施例5では実施例4(図7)の直流電源VDCを除く5レベル電圧変換部300を三相分(300U,300V,300W)設けて直流電源VDCに対してY結線に接続したものである。
【0096】
図9において、図7と同一部分は同一符号をもって示している。
【0097】
三相各相の5レベル電圧変換部300U,300V,300Wの、出力端子Aどうしを中性点Nとして共通接続し、出力端子Bを三相各相の出力端U,V,Wとしている。
【0098】
図9の5レベル電圧変換部300U,300V,300Wの各動作は図7の回路と同一である。
【0099】
図9の回路では、Y結線の中性点Nを基準に、三相U,V,Wに5レベルの電圧(2E,E,0,−E,−2EやE,E/2,0,−E/2,−E)を出力することができる。
【0100】
以上のように実施例5によれば、直流電源1個、スイッチング素子36個、コンデンサ6個、ダイオード12個、リアクトル6個によって、サージ電圧吸収用のスナバ回路を必要としない三相の5レベル電力変換器を実現することができる。
【符号の説明】
【0101】
100…5レベル電力変換器
200,200U,200U´,200V,200V´,200W,200W´300U,300V,300W…5レベル電圧変換部
S1〜S12…スイッチング素子
DC…直流電源
C1,C2…コンデンサ
D1〜D4…ダイオード
L…リアクトル
A,B…出力端子

【特許請求の範囲】
【請求項1】
直流電源の電圧を複数の電圧レベルに変換した交流出力を生成するマルチレベル電力変換器であって、
直流電圧が充電又は放電される第1のコンデンサおよび第2のコンデンサを直列接続したコンデンサ直列回路と、
前記コンデンサ直列回路の第1のコンデンサ側端と第2のコンデンサ側端の間に順次直列接続された第1〜第4のスイッチング素子と、
前記コンデンサ直列回路の第1のコンデンサ側端と第2のコンデンサ側端の間に順次直列接続された第5〜第8のスイッチング素子と、
前記第1のスイッチング素子および第2のスイッチング素子の共通接続点と、第3のスイッチング素子および第4のスイッチング素子の共通接続点との間に直列接続された第1および第2のダイオードと、
前記第5のスイッチング素子および第6のスイッチング素子の共通接続点と、第7のスイッチング素子および第8のスイッチング素子の共通接続点との間に直列接続された第3および第4のダイオードと、
前記第1〜第8のスイッチング素子のオン、オフ制御によって複数の電圧レベルを出力させる制御手段とを備え、
前記第1および第2のダイオードの共通接続点と、前記第3および第4のダイオードの共通接続点と、前記第1および第2のコンデンサの共通接続点とを共通に接続し、
前記第2のスイッチング素子および第3のスイッチング素子の第1の共通接続点と、第6のスイッチング素子および第7のスイッチング素子の第2の共通接続点とを複数の電圧レベルの交流出力端としたことを特徴とするマルチレベル電力変換器。
【請求項2】
直流電源と、
前記直流電源の正極端と、前記第1のコンデンサおよび第1のスイッチング素子の共通接続点との間に順次直列接続された、リアクトルと、前記直流電源および第1および第2のコンデンサの電圧に応じてオン、オフ制御される第9のスイッチング素子と、前記直流電源および第1および第2のコンデンサの電圧に応じてオン、オフ制御される第10のスイッチング素子と、
前記第2のコンデンサおよび第4のスイッチング素子の共通接続点と前記直流電源の負極端との間に順次直列接続された、前記第10のスイッチング素子と同一タイミングでオン、オフ制御される第11のスイッチング素子と、前記第9のスイッチング素子と同一タイミングでオン、オフ制御される第12のスイッチング素子と、をさらに備えたことを特徴とする請求項1に記載のマルチレベル電力変換器。
【請求項3】
前記制御手段のオン、オフ制御は、同一電圧レベルの出力時に前記第1のコンデンサを充電又は放電させる制御モードと第2のコンデンサを充電又は放電させる制御モードとを有していることを特徴とする請求項1又は2に記載のマルチレベル電力変換器。
【請求項4】
前記リアクトル、第1〜第12のスイッチング素子、第1および第2のコンデンサ、第1〜第4のダイオードによってマルチレベル電圧変換部を構成し、該マルチレベル電圧変換部を三相交流の各相に各々設け、前記三相各相のマルチレベル電圧変換部の、第1の共通接続点どうしを中性点として共通接続し、前記第2の共通接続点をU相、V相、W相の各出力端としたことを特徴とする請求項2又は3に記載のマルチレベル電力変換器。
【請求項5】
直流電源の電圧を複数の電圧レベルに変換した交流出力を生成するマルチレベル電力変換器であって、
直流電源と、
第1〜第4のスイッチング素子を順次直列接続した第1の直列回路と、
第5〜第8のスイッチング素子を順次直列接続した第2の直列回路と、
前記第1の直列回路の一端と第2の直列回路の一端との間、および第1の直列回路の他端と第2の直列回路の他端との間に各々接続されたリアクトルと、
前記第1のスイッチング素子および第2のスイッチング素子の共通接続点と、第3のスイッチング素子および第4のスイッチング素子の共通接続点との間に直列接続された第1および第2のダイオードと、
前記第5のスイッチング素子および第6のスイッチング素子の共通接続点と、第7のスイッチング素子および第8のスイッチング素子の共通接続点との間に直列接続された第3および第4のダイオードと、
前記リアクトルおよび第5のスイッチング素子の共通接続点と、リアクトルおよび第8のスイッチング素子の共通接続点との間に直列接続された第1および第2のコンデンサと、
前記第1〜第8のスイッチング素子のオン、オフ制御によって複数の電圧レベルを出力させる制御手段と、
前記直流電源の正極端と、前記リアクトルおよび第1のスイッチング素子の共通接続点との間に接続された第1のスイッチング手段と、
前記リアクトルおよび第4のスイッチング素子の共通接続点と前記直流電源の負極端との間に接続された、前記第1のスイッチング手段と同一タイミングでオン、オフ制御される第2のスイッチング手段と、を備え、
前記第1および第2のダイオードの共通接続点と、前記第3および第4のダイオードの共通接続点と、前記第1および第2のコンデンサの共通接続点とを共通に接続し、
前記第2のスイッチング素子および第3のスイッチング素子の第1の共通接続点と、第6のスイッチング素子および第7のスイッチング素子の第2の共通接続点とを複数の電圧レベルの交流出力端としたことを特徴とするマルチレベル電力変換器。
【請求項6】
前記制御手段のオン、オフ制御は、同一電圧レベルの出力時に前記第1のコンデンサを充電又は放電させる制御モードと第2のコンデンサを充電又は放電させる制御モードとを有していることを特徴とする請求項5に記載のマルチレベル電力変換器。
【請求項7】
前記リアクトル、第1〜第8のスイッチング素子、第1および第2のスイッチング手段、第1および第2のコンデンサ、第1〜第4のダイオードによってマルチレベル電圧変換部を構成し、該マルチレベル電圧変換部を三相交流の各相に各々設け、前記三相各相のマルチレベル電圧変換部の、第1の共通接続点どうしを中性点として共通接続し、前記第2の共通接続点をU相、V相、W相の各出力端としたことを特徴とする請求項5又は6に記載のマルチレベル電力変換器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2013−115844(P2013−115844A)
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−256978(P2011−256978)
【出願日】平成23年11月25日(2011.11.25)
【出願人】(000006105)株式会社明電舎 (1,739)
【Fターム(参考)】