説明

ミスト除去装置

【課題】 ミスト含有気体中のミストを効率良く捕集し、捕集したミスト液が再混入することなく、フィルタ面積の変更に対応できるミスト除去装置を提供すること。
【解決手段】 装置本体81の下部にミスト含有気体を供給する供給部95を備え、前記装置本体81の上部に管状フィルタ9を縦向きに配設する筒状のフィルタ配設部86を備え、前記管状フィルタ9及びフィルタ配設部86の高さ調節が可能なように、前記供給部95の上面とフィルタ配設部86との間を分割可能に構成し、前記供給部95の上面周囲に円形断面部89を上向きに突設し、前記フィルタ配設部86の下端周囲に前記円形断面部89との間を密閉する接合部121を設けるとともに該フィルタ配設部86の上端周囲に円形断面部89を設け、前記フィルタ配設部86の最上部に前記円形断面部89との間を密閉する蓋体111を設置する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、気体中に含まれるオイルミスト等を捕集して除去するミスト除去装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば、機械工場等における加工工具による加工部位には、工具の冷却や潤滑のために切削油が供給されている。この切削油としては、油性切削油や、水溶性切削油が用いられている。このような切削油は、加工時に空気中に飛散してオイルミスト(この明細書及び特許請求の範囲の書類中では、「油性」「水溶性」の両方を含む)となる。しかも、機械工場等においては、切削粉等の粉塵の飛散もある。このように飛散したオイルミスト等は、作業者の健康を害すると共に、周囲の機械を汚染する要因にもなる。また、このようにオイルミスト等を含んだ空気を工場外部に排出すると大気汚染の原因にもなるので、完全に取り除く必要がある。
【0003】
そのため、オイルミスト等が飛散する工場では、工場全体の空気中からオイルミストを捕集するオイルミスト除去装置を備える場合もある。しかし、工場全体の空気からオイルミストを捕集するためには大型のオイルミスト除去装置が必要となり、多大な費用と設置場所等を必要とする。しかも、大型のオイルミスト除去装置で採用されている電気集塵タイプは、水溶性切削油の水分が装置に悪影響を及ぼす場合があり、上記全てのオイルミストを安定して捕集するのは難しい。
【0004】
一方、工場によっては、オイルミストを発生させる機械が限られる場合がある。そのため、上記したように多大な費用と設置場所等を必要とする大型のオイルミスト除去装置ではなく、そのオイルミストを発生させる機械周辺の空気のみを循環させてミスト捕集ができる装置の要望もある。
【0005】
例えば、この種の従来技術として、管状フィルタを支持プレートに吊下げて設け、その管状フィルタの上部から中空部にミスト含有気体を供給し、管状フィルタで捕集されたミスト液は管状フィルタを垂れ落ちて下方のミスト液蓄積部へ排出するようにしたミスト捕集装置がある(例えば、特許文献1参照)。
【0006】
また、他の従来技術として、支持プレートに吊下げて設けた一次フィルタと、この一次フィルタを通過した気体中のミストを捕集する二次フィルタを傾斜して設けたオイルミスト捕集装置がある(例えば、特許文献2参照)。このオイルミスト捕集装置でも、ミスト含有気体は一次フィルタの上部から中空部に供給し、フィルタで捕集されたミスト液はフィルタを垂れ落ちて下方のミスト液蓄積部へと排出されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特許第3278453号公報
【特許文献2】特許第3107375号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上記特許文献1,2に記載の捕集装置では、フィルタの上部から濃度の高いミスト含有気体が入るので、濃度の高いミストがフィルタの上部で捕集され、その捕集されたミスト液が重力でフィルタを伝って垂れ落ちて下方へ排出されることとなる。そのため、常にフィルタの上部から下部までの全面が垂れ落ちるミスト液によって湿潤した状態となり、気体の流れを阻害して圧力損失を生じさせてしまう。
【0009】
しかも、フィルタの全面がミスト液で湿潤した状態となっているので粉塵も捕集され易く、フィルタの目詰まりが早くなって、フィルタの交換頻度が高くなる。
【0010】
また、フィルタでミストが捕集された気体が、フィルタから落下するミスト液とそのミスト液蓄積部上部を通過するので、ミストを捕集した後の気体が再びミスト液と接触し、ミスト捕集済の気体中にオイルミストの再飛散及び臭気成分の混入があり、高効率の安定したミスト捕集が難しくなる。
【0011】
そこで、本発明は、ミスト含有気体中のミストを効率良く捕集し、捕集したミスト液が再混入することなく、フィルタ面積の変更に対応できるミスト除去装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を達成するために、本発明は、装置本体内に設けた管状フィルタによってミスト含有気体中のミストを捕集し、該捕集したミスト液を重力で下方へ排出するミスト除去装置であって、前記装置本体の下部に前記ミスト含有気体を供給する供給部を備え、前記装置本体の上部に前記管状フィルタを縦向きに配設する筒状のフィルタ配設部を備え、前記管状フィルタ及びフィルタ配設部の高さ調節が可能なように、前記供給部の上面とフィルタ配設部との間を分割可能に構成し、前記供給部の上面周囲に円形状部を上向きに突設し、前記フィルタ配設部の下端周囲に前記円形状部との間を密閉する接合部を設けるとともに該フィルタ配設部の上端周囲に円形状部を設け、前記フィルタ配設部の最上部に前記円形状部との間を密閉する蓋体を設置したことを特徴とする。この明細書及び特許請求の範囲の書類中では、ミスト含有気体のミスト(mist)が捕集されたものを「ミスト液」という。また、管状フィルタの縦向き配設とは、軸心方向を縦向きにして配設することをいう。このようにすれば、管状フィルタの下部からこの管状フィルタの中空部内に供給されたミスト含有気体中のミストが管状フィルタの下部から捕集され、その捕集されたミスト液は管状フィルタを伝って下方へ排出されるので、管状フィルタの上部では圧力損失を抑えると共に、管状フィルタで捕集したミスト液が管状フィルタを通過した気体と再接触することなく、効率良くミストを除去することができる。しかも、使用場所の変更やミスト含有気体の処理量等に応じて管状フィルタ及びフィルタ配設部の高さを調節してフィルタ面積を変更することができる。
【0013】
また、前記供給部の円形状部との間を密閉する接合部を下端周囲に設け、上端周囲に円形状部を設けた延長ユニットを備え、前記延長ユニットを前記供給部の上部に必要数だけ縦向きに配置し、それぞれの延長ユニットを密閉状態で固定して、前記管状フィルタのフィルタ面積増加に必要なフィルタ配設部の高さに調節が可能なように構成してもよい。このように構成すれば、延長ユニットを供給部の上部に縦向き配置することでフィルタ配設部の高さ調節が可能であり、管状フィルタの長さを変更してフィルタ面積を容易に変更することができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、ミスト含有気体中のミストを縦向きに配設した管状フィルタにより圧力損失を抑えて効率良く捕集し、ミストを捕集した後の気体に捕集したミスト液を再接触させることなく安定して高効率のミスト除去を行うことが可能となる。
【0015】
また、使用場所の変更やミスト含有気体の処理量等に応じたフィルタ面積に調節することが容易にできる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の第1参考例に係るミスト除去装置を示す斜視図である。
【図2】図1に示すミスト除去装置の正面図である。
【図3】図2に示すIII−III矢視断面図である。
【図4】図2に示す管状フィルタの縦断面図である。
【図5】図2に示す管状フィルタの配設部に設けられる金具を示す図面であり、(a) は取付金具の平面図、(b) は取付金具の断面図、(c) は閉鎖金具の平面図、(d) は閉鎖金具の断面図である。
【図6】図3に示す逆止弁を模式的に示す縦断面図である。
【図7】図1に示すミスト除去装置における気体の流れを示す模式図である。
【図8】本発明の第2参考例に係るミスト除去装置の正面図である。
【図9】図8に示すシールポットの縦断面図である。
【図10】本発明の第3参考例に係るミスト除去装置の正面図である。
【図11】図10に示すミスト除去装置の平面図である。
【図12】図10に示すXII部の拡大断面図である。
【図13】図10に示すミスト除去装置におけるシール材の図面であり、(a) は正面図、(b) は(a) に示すXIII部の拡大断面図である。
【図14】図10に示す管状フィルタの基部における縦断面図である。
【図15】本発明の第4参考例に係るミスト除去装置の正面図である。
【図16】本発明に係るミスト除去装置において用いられる延長ユニットを示す図面であり、(a) は半断面の正面図、(b) は(a) に示すXVI部の拡大断面図である。
【図17】(a),(b) は、本発明に係るミスト除去装置を模式的に示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の一実施の形態を図面に基づいて説明する。図1は、本発明の第1参考例に係るミスト除去装置を示す斜視図であり、図2は、図1に示すミスト除去装置の正面図、図3は、図2に示すIII−III矢視断面図である。なお、図2の左半部は内部を示している。
【0018】
図1,2に示すように、このミスト除去装置1は、4個のキャスタ2によって支持されたフレーム体3に装置本体5が設けられている。フレーム体3は、角材が矩形状に組まれたものであり、このフレーム体3の上端部に天板6が設けられ、下端から所定量上方に位置した場所に底板7が設けられ、これら底板7と天板6との間に中間板8が設けられている。この中間板8の上面に管状フィルタ9が軸方向を縦向きにして配設されている。この参考例では、丸形断面の管状フィルタ9を用いているが、多角形断面等でもよい。この中間板8と上記天板6との間が、管状フィルタ9の配設部10(配置空間)となっており、中間板8と底板7との間が、ミスト含有気体Aの供給部11(供給空間)となっている。この参考例では、この供給部11がミスト溜部12にもなっており、上記管状フィルタ9によって捕集されたミストが重力でこのミスト溜部12に落下して溜るようになっている。このミスト溜部12の下部には、他のタンク等へミスト液を排出する排液管13が設けられている。また、配設部10の上部には、天板6に排気部たる所定径の排出口17が設けられており、上記供給部11の側方(この例では、右方)には、この供給部11にミスト含有気体Aを供給する供給口14が設けられている。
【0019】
上記中間板8の上面に配設された管状フィルタ9は、複数本がほぼ等間隔で配設されており、中間板8の上面に設けられた円形の開口15と管状フィルタ9の下端内径とが一致するように設けられている。これらの管状フィルタ9の上端は、閉鎖されている。この参考例の管状フィルタ9は、直径Dに対して高さHが約3倍程度で形成されている。また、この管状フィルタ9としては、ミストをブラウン運動による衝突で捕集して下方に向けて垂れ落ちるようにするものがよく、複数層で形成されたフィルタ等が用いられる。このように中間板8に配設された管状フィルタ9によれば、中間板8の開口15から管状フィルタ9の中空部に入ったミスト含有気体Aが、管状フィルタ9の下部から側面周囲のフィルタ面16を通ってミストが捕集されて除去され、そのミストが除去された気体aが上方へと流れることになる。
【0020】
図3に示すように、この参考例では、上記管状フィルタ9が6本配設されており、幅方向に3本、前後方向に2列の配置となっている。この管状フィルタ9の本数や配置は、この参考例に限定されるものではなく、2本以上が配設されているのが好ましい。また、この中間板8のフィルタ間には、管状フィルタ9を垂れ落ちてフィルタの外周部から中間板8上に漏れたミスト液を上記ミスト溜部12に排出するための排液穴18が設けられている。この排液穴18の下部には、配設部10の吸引時には排液穴18を閉鎖し、非吸引時には排液穴18を開放する排出弁たる逆止弁19が設けられている。なお、排出弁は逆止弁19に限られるものではない。
【0021】
一方、図1,2に示すように、上記供給部11は、供給口14の直径断面積に対して大きな容積で形成されており、供給口14から供給部11に供給されたミスト含有気体Aの流速が大幅に減速されるようにしている。このようにミスト含有気体Aを大幅に減速して管状フィルタ9に供給することにより、上記ブラン運動によってフィルタ面16で小さなミストが捕集され、捕集されたミストが溜って大きなミストとなってフィルタ面16を垂れ落ちるようにしている。
【0022】
また、上記配設部10の前面には、上記管状フィルタ9の交換、又は一部の管状フィルタ9を使用しない場合等の作業時に開放される前面蓋20が設けられている。この前面蓋20は、取付ボルト21で装置本体5に固定されている。図示する例では、装置本体5の開口22の縁部に沿ってシール材23が設けられ、このシール材23を挟むように前面蓋20が装置本体5に取付ボルト21で固定されている。
【0023】
一方、上記供給部11の前面にも、開閉蓋24が設けられている。この開閉蓋24も、上記管状フィルタ9の交換、又は一部の管状フィルタ9を使用しない場合等の作業時に開放されるものであり、供給部11の開口25の縁部に沿って設けられたシール材26を挟んで取付ボルト27で固定されている。
【0024】
さらに、この参考例では、上記天板6の上部に排気部が設けられ、この排気部には駆動機31(例えば、電動機)を備えたファン30が設けられている。このファン30を駆動することにより、天板6のほぼ中央部に設けられた上記排出口17から配設部10内の気体aを吸引するようになっている。このファン30としては、使用条件等に応じて適したものを採用すればよいが、例えば、圧力損失に対して十分な吸引能力を有するターボファンが好ましい。このファン30で吸引される気体aは、上記管状フィルタ9を通過してミストが捕集された気体であるため、排気口32から大気中に排出されている。
【0025】
また、ファン30は出力可変なように構成されており、配設部10からの吸引量を可変制御できるようになっている。この可変制御としては、例えば、インバータ制御を採用することができる。このファン30としては、天板6の排出口17から配設部10の気体を吸引するように構成されたものであれば、装置本体5から離れた位置に設けられていてもよい。
【0026】
さらに、この参考例では、上記配設部10の内圧と供給部11の内圧との差圧を計測する差圧計35が設けられている。そして、この差圧計35の計測値に基いて、配線36で接続された制御装置37を介して上記ファン30を出力可変制御するようになっている。この差圧計35は、差圧計35によって計測される配設部10の内圧(管状フィルタ9の外側圧力)と供給部11の内圧(管状フィルタ9の内側圧力)との差圧から、管状フィルタ9の内外における圧力損失を測定する測定器にもなる。従って、差圧が高くなればファン30の出力を上げてミスト含有気体Aの供給圧を上げ、差圧が低くなればファン30の出力を下げてミスト含有気体Aの供給圧を下げるような制御ができ、これにより、処理状況に応じてミスト除去装置1を効率良く運転することができる。
【0027】
図4は、図2に示す管状フィルタの縦断面図であり、図5は、図2に示す管状フィルタの配設部に設けられる金具を示す図面で、(a) は取付金具の平面図、(b) は取付金具の断面図、(c) は閉鎖金具の平面図、(d) は閉鎖金具の断面図である。図6は、図3に示す逆止弁を模式的に示す縦断面図である。
【0028】
図4に示すように、上記管状フィルタ9は、装置本体5の中間板8に設けられた開口15に固定される着脱可能な固定具たる取付金具40の上部に取付けられている。この取付金具40は、中間板8の開口15に挿入されるネジ部41と、このネジ部41の上部に形成されたフランジ部42とを有している。このフランジ部42は、上面が管状フィルタ9を取付ける面で、下面は中間板8と接する面となっている。このフランジ部42の上面に上記管状フィルタ9がビス43で取付けられて一体的に固定される。この取付金具40に取付けられた管状フィルタ9は、フィルタ内径が取付金具40の内径部とほぼ一致するようになっている。この取付金具40の上記ネジ部41が、上記中間板8の開口15の上方から挿入され、ピン44によって位置決めされた状態で中間板8の下方からナット材45をネジ部41に螺合することにより、中間板8を挟むように取付金具40が中間板8に取付けられる。この取付金具40の上下面は、下記Oリング溝48に設けられたOリング49によってシールされている。
【0029】
図5(a),(b) に示すように、上記取付金具40は、フランジ部42の下面から挿入する上記ビス43で上面に管状フィルタ9を取付ける固定穴46が6個設けられ、位置合せの上記ピン44を挿入するピン穴47が対向位置に2箇所設けられている。また、フランジ部42の上下面には、これら固定穴46及びピン穴47よりも外周側にOリング溝48が設けられている。
【0030】
一方、上記したように、この参考例では、上記管状フィルタ9の一部を使用しないようにして、フィルタ面積を変更できるようになっている。このフィルタ面積を変更する場合(図1,2に示す状態では減らす場合)、一部の管状フィルタ9を使用しないように、その管状フィルタ9を取付金具40と一体的に取外し、その位置の開口15に下記の閉鎖金具50を固定することによって減らすことができる。
【0031】
図5(c),(d) に示すように、閉鎖金具50は、上記取付金具40と同様に、中間板8の開口15に挿入されるネジ部51と、このネジ部51の上部に形成されたフランジ部52とを有している。このフランジ部52には、上記取付金具40と同一位置に位置合せのためのピン穴53が対向位置に2個設けられている。また、フランジ部の下面には、ピン穴53よりも外周側にOリング溝54が設けられている。この閉鎖金具50を取付ける場合も、上記取付金具40と同様に、中間板8の開口15にネジ部51を上方から挿入し、中間板8の下方からナット材45をネジ部51に螺合することによって中間板8を挟むように取付けられる。この閉鎖金具50は、下面のOリング溝54にOリング49が設けられてシールされる。
【0032】
また、図6に示すように、上記中間板8の排液穴18の下部に設けられた逆止弁19は、排液穴18から下方に延びる小径部60と、この小径部60に連なって拡径したボール保持部61と、このボール保持部61の下端に設けられた網部62とを有し手いる。そして、ボール保持部61の中に入れられたボール63が上昇すれば小径部60を塞ぎ、下降すれば小径部60を開放して中間板8上のミスト液m(図4)を網部62から下方へ排出するようになっている。
【0033】
従って、この逆止弁19によれば、上記ファン30で装置本体5の配設部10内を吸引している状態では、負圧の配設部10側にボール63が吸い上げられて小径部60を塞いでいる。そして、ファン30による吸引を停止すると、配設部10内が大気圧となってボール63が自重で落下して二点鎖線で示す状態となり、小径部60を開放して、中間板8の上部に溜ったミスト液m(図4)をミスト溜部12へ排出する。
【0034】
また、このような逆止弁19を、例えば、上記ファン30によって装置本体5内を吸引している状態で上記ボール63を任意に下げて開放することができる構成とすれば、ミスト含有気体Aからミストを捕集している状態でも、中間板8の上部からミスト液mをミスト溜部12へ排出することができる。このミスト捕集中に逆止弁19を開放する逆止弁開放構成としては、例えば、上記ファン30の排気の一部を排気口32から排液穴18の上部に導入する排気導入管64を設け、この排気導入管64を開閉弁等で適宜開放することにより、この排気導入管64から導入されるファン30の排気によるボール63の押し込み機能によってボール63を一時的に下方へ移動させて(二点鎖線で示す状態)開放することができる。上記逆止弁19及び逆止弁開放機構は一例であり、他の構成によって同様の機能を持たせてもよい。
【0035】
さらに、上述した図2に示すように、上記ミスト除去装置1の供給口14の上流側に、この供給口14に供給されるミスト含有気体中の粉塵等を除去するセパレータ65(分離器)を配置すれば、例えば、機械加工工場等で発生する金属粉等の粉塵や水分が混ざったミスト含有気体Aでも、予め、セパレータ65で金属粉等の粉塵や水分を除去してからミスト除去装置1に供給されるので、それらの粉塵や水分によって管状フィルタ9が目詰まりを生じることがないようにできる。このセパレータ65としては、遠心式、衝突板式等が用いられる。
【0036】
以上のように構成されたミスト除去装置1によれば、図7の上記ミスト除去装置における気体の流れを示す模式図のように、ファン30を駆動すると、天板6の排出口17から配設部10内の気体aが吸引されるので、管状フィルタ9を介して上記供給口14から供給部11内にミスト含有気体Aが吸引される。この供給部11に吸引されるミスト含有気体Aは、供給口14から供給部11に吸引されるとその空間で流速が落とされた後、管状フィルタ9の中空部に下方から供給される。この管状フィルタ9の下部から上部に向けて供給されるミスト含有気体Aは、複数の管状フィルタ9の広いフィルタ面を遅い流速で通過し、その通過時に管状フィルタ9でミストが捕集される。この管状フィルタ9で捕集されたミストは、重力によって管状フィルタ9を伝って垂れ落ちて下方のミスト溜部12にミスト液mとなって排出される。この管状フィルタ9の周囲から配設部10へと出た気体aは、上部の排出口17から排出される。
【0037】
このように、縦向きに配設した管状フィルタ9によって、ミスト濃度の高いミスト含有気体Aが管状フィルタ9の下部から入り、この管状フィルタ9の下部で捕集されたミストは、その下部から下方へ排出されるので、管状フィルタ9の上部ではミスト濃度の薄い気体からミストが捕集されることとなり、管状フィルタ9の上部にミストが捕集されない部分(ほぼ気体のみが通過する部分)が生じるようにできる。この管状フィルタ9によるミスト捕集は、管状フィルタ9内に供給されるミスト含有気体Aの濃度及び供給量とフィルタ面16で捕集されて垂れ落ちるミストの量とが平衡した状態で行われる。
【0038】
従って、管状フィルタ9のフィルタ面積(個数)を使用条件に応じて設定することにより、管状フィルタ9の下部から吸引したミスト含有気体Aのフィルタ下部で捕集されたミストはその下部位置から下方へ排出して管状フィルタ9の上部ではミストによる圧力損失を抑えることができるので、ファン30の容量を抑えると共にファン30の長寿命化を図ることができ、コストを抑えることが可能となる。しかも、管状フィルタ9の全面で常に濃度の高いミストを捕集しないので、管状フィルタ9の交換頻度も長くなり、管状フィルタ9の保守点検時間や費用の抑制が可能となる。
【0039】
また、管状フィルタ9から中間板8の上部に出たミスト液mも、逆止弁19を開放することによってミスト溜部12に排出することができる。なお、管状フィルタ9を出てファン30に吸引される気体aはこのミスト液mが中間板8の上面に溜った配設部10内を通過することになるが、液化して中間板8の上面に溜ったミスト液mが気体aに混入することなはく、安定したミスト除去率を保つことができる。
【0040】
さらに、上記ミスト除去装置1では管状フィルタ9の個数を増減させることができるので、予め能力的には余裕を持った本数の管状フィルタ9を配設しておけば、様々な切削機械等や使用条件等に応じてフレキシブルにフィルタ面積を変更して幅広く対応することができ、適切なフィルタ(ろ過)面積で、その使用条件のミスト含有気体A中のミストを効率良く除去することができる。
【0041】
その上、ファン30を出力可変制御することにより、ミスト含有気体Aに応じた最適運転が可能であり、長期間メンテナンスフリーで運転して効率良くミストを捕集できるミスト除去装置1を構成することができる。
【0042】
また、上記差圧計35による計測結果から管状フィルタ9の状態を把握したり、ミスト除去装置1内のミスト捕集状態を可視化することも可能となる。なお、ミスト溜部12内に、このミスト溜部12に溜められたミスト液を紫外線や銀イオン等で殺菌する消臭器を設けてもよい。さらに、処理したガスに臭気成分が残る場合には、本装置の後段に活性炭吸着、オゾン分解、紫外線照射等の臭気処理装置を設けて脱臭してもよい。
【実施例1】
【0043】
上記第1参考例に係るミスト除去装置1により、工作機械の作業場における空気中からオイルミストを捕集した実施例を以下に説明する。この実施例では、上記参考例における符号を付して説明する。
【0044】
以下の実施例は、タレット型複合加工機から排出されるオイルミストを含む空気を、上記ミスト除去装置1によってミストを除去した。ミスト除去装置1の管状フィルタ9は、外周160mm径で高さ500mmのものを6本配設して行った。ミスト除去装置1へ吸引する処理空気は、10m3/minの流速で供給した。
【0045】
その実験結果としては、ミスト除去装置1の供給口14における処理空気のオイルミスト濃度は3.5mg/m3 であったが、ファン30の排気口32におけるオイルミスト濃度は0.01mg/m3 にまで減少していた。除去率としては、約99.7%で処理されている。また、処理前後における処理空気の温度は、ミスト除去装置1の入口で32.5℃であったが、出口では25.0℃となっていた。
【0046】
このように、上記ミスト除去装置1によれば、ミスト含有気体A中のミストを高効率で捕集することができることが分る。従って、ミスト捕集後の気体は、大気放出も可能な程度となり、機械周辺の大気環境を安定して保つことができる。
【0047】
図8は、本発明の第2参考例に係るミスト除去装置の正面図であり、図9は、図8に示すシールポットの縦断面図である。この第2参考例のミスト除去装置70は、上記第1参考例のミスト除去装置1におけるミスト溜部12と配設部10の中間板8上からのミスト液排出を、シールポット71を介して行うようにしている。なお、上記第1参考例のミスト除去装置1と同一の構成には、同一符号を付して詳細な説明は省略する。また、以下の説明ではシールポット71に関する作用効果等を説明し、上記第1参考例と同一の作用効果等の説明は省略する。
【0048】
図9に示すように、シールポット71は、ミスト溜部12の下面にシール材79(例えば、Oリング)を挟んで取付ボルト72で底板7に固定するフランジ部73と、このフランジ部73から下方に延びる外筒部74と、この外筒部74の内側で外筒部74よりも小径の内筒部75とを有している。外筒部74は、上端と下端とが閉鎖された液溜部となっており、上下方向の中間部分に横向きの排液口76が設けられている。この排液口76には、排液管13が接続される。筒体の内筒部75は、外筒部74の上端から上記排液口76と下端との中間部まで延びており、この内筒部75の上端開口77が上記ミスト溜部12に開放している。
【0049】
また、図8にも示すように、上記配設部10の中間板8には、この中間板8の上面と上記外筒部74の内部下端とを連通させる筒体の排液管78が設けられている。この排液管78は、中間板8から上記内筒部75の下端と外筒部74の下端との間まで延びている。
【0050】
このようなシールポット71を具備させたミスト除去装置70によれば、ミスト溜部12のミスト液は内筒部75内を伝って落ちて外筒部74の内部に溜り、配設部10の中間板8上のミスト液は排液管78内を伝って落ちて外筒部74の内部に溜る。この外筒部74に溜ったミスト液は、内筒部75の下端と排液管78の下端とを液封している。そして、この外筒部74の内部にミスト液mが溜り、外筒部74の排液口76の位置に達すると、この排液口76から排液管13へとミスト液mが排出される。しかも、このシールポット71を用いることにより、配設部10内を負圧にしてミスト含有気体からミストの捕集を行いながら、中間板8上に漏れたミスト液mをミスト溜部12内に垂れ落ちたミスト液mと共に円滑に排出することができる。
【0051】
図10は、本発明の第3参考例に係るミスト除去装置の正面図であり、図11は、図10に示すミスト除去装置の平面図、図12は、図10に示すXII部の拡大断面図である。また、図13は、図10に示すミスト除去装置におけるシール材の図面であり、(a) は正面図、(b) は(a) に示すXIII部の拡大断面図である。図14は、図10に示す管状フィルタの基部における縦断面図である。なお、上記第1参考例のミスト除去装置1と同一の構成には、同一符号を付して詳細な説明は省略する。また、図10の右半部は内部を示している。
【0052】
図10,11に示すように、このミスト除去装置80は、円筒状の装置本体81が矩形箱状のフレーム体82の上部に設けられている。この装置本体81としては、例えば、1mm程度の金属板に屈曲部を形成して強度を持たせて筒状体に形成したものを採用することにより、装置本体81の軽量化とコスト削減を図ると共に、ミスト除去装置80の移動や配置変更等が容易に行えるようにしている。装置本体81は、下端に上記フレーム体82に固定するためのフランジ部83を有し、その所定量上方位置には底板84が設けられている。この底板84から更に所定量上方位置には、中間板85が設けられている。
【0053】
また、装置本体81の上端には、円筒状の装置本体81の上面全体を塞ぐ円盤状の蓋体90が設けられている。この蓋体90は、装置本体81に載せた状態で固定バンド91を固定ハンドル92で締付けることにより、装置本体81の内部が密封状態となるように装置本体81の上端に固定されている。
【0054】
上記中間板85の上面には、複数の管状フィルタ9が軸方向を縦向きにして配設されており、この中間板85と上記蓋体90との間が、管状フィルタ9の配設部86(配置空間)となっている。この参考例では、後述するように、中間板85に設けられた開口87の周囲から上向きに突設された筒状のフィルタ受88にシール材100を介して管状フィルタ9の下端取付部99が挿入されて配設されている。この例では、放射状に等間隔で6本の管状フィルタ9が配設されている(図10では一部省略記載)。この参考例の管状フィルタ9も丸形断面であるが、多角形断面等でもよい。さらに、上記中間板85には、管状フィルタ9から中間板85上面に出たミスト液mを後述するミスト溜部96に排出するための排出弁たる逆止弁19が設けられている。この逆止弁19は、上述した図6に示すように、配設部86が吸引されている負圧状態では閉ざされ、大気圧で開放するようになっている。
【0055】
また、上記中間板85と上記底板84との間に形成された空間がミスト含有気体Aの供給部95(供給空間)となっている。この参考例でも、この供給部95がミスト溜部96にもなっており、上記管状フィルタ9によって捕集されたミスト液mが重力でこのミスト溜部96に落下して溜るようになっている。このミスト溜部96の側部には、他のタンク等へミスト液を排出する排液管13が設けられている。供給部95の側部には、この供給部95にミスト含有気体Aを供給する供給口14が設けられており、機械等のミスト含有気体Aが配管97を介して供給されるようになっている。
【0056】
さらに、上記配設部86の中央部には、上記中間板85と底板84とを貫通するように排気管98が下方に向けて設けられている。この排気管98は、上端が中間板85の上面から上方に所定量突出し、下端が上記フレーム体82の内部に位置するように設けられている。
【0057】
また、この参考例では、配設部86の下方であるフレーム体82の内部に排気部が設けられ、この排気部には上記排気管98の下端に設けられたフランジと連結されるフランジを上端に有するファン30が設けられている。このファン30は、駆動機31(電動機)によって駆動されている。フレーム体82の側部には、上記ファン30によって排出される気体aの排気口32が設けられている。このファン30により、配設部86内の気体aを中間板85の下方へ吸引し、ミスト除去装置80の外部へ排気している。
【0058】
図12に示すように、上記蓋体90を装置本体81に固定する固定バンド91は、断面が略V字状に形成され、固定ハンドル92(図11)を閉めることで、筒状の装置本体81の上端に形成された円形断面部89の下部と蓋体90の上部とを押圧し、蓋体90に設けられたシール材93を円形断面部89に押圧して密閉するようになっている。
【0059】
図13(a) に示すように、上記中間板85の開口87の周囲から上向きに突設されたフィルタ受88(図10)に設けられるシール材100は環状のシール材であり、内周には複数の内周凸部101が形成され、外周には複数の外周凸部102が形成されている。内周凸部101は、上下端部の外周凸部102の内面位置と、高さ方向中央部とに3条が設けられている。この内周凸部101の部分の内径は、上記フィルタ受88の外面に接してシールができる寸法で形成されている。また、外周凸部102は、図13(b) に示すように、上下端部とそれらの間とに4条が設けられている。この外周凸部102の部分の外径は、上記管状フィルタ9の下端取付部99の内面が接してシールができる寸法で形成されている。
【0060】
このように内周凸部101と外周凸部102とを設けたシール材100によれば、管状フィルタ9のフィルタ受88への取付け、及び取外しを容易に行うことができると共に、安定したシール効果を保つことができる。
【0061】
図14に示すように、上記したようにシール材100を介して中間板85のフィルタ受88に下端取付部99が取付けられた管状フィルタ9によれば、ミスト含有気体Aが下方の供給部95から開口87を介して管状フィルタ9の中空部に供給され、この管状フィルタ9で除去されたミスト含有気体A中のミスト液mは、フィルタ受88から開口87を介してミスト溜部96(供給部95)に向けて落下する。
【0062】
また、管状フィルタ9の下部から中間板85の上部に出たミスト液mは中間板85の上面に溜り、配設部86の吸引を停止して大気圧になると、上記逆止弁19(図10)が開放されてミスト溜部96へと排出される。
【0063】
以上のようなミスト除去装置80によれば、ファン30によって排気管98を介して配設部86内の気体aを吸引することにより、供給口14から供給部95内にミスト含有気体Aが吸引され、この供給口14から管状フィルタ9の中空部に吸引されたミスト含有気体Aは、この管状フィルタ9によってミストが捕集される。この管状フィルタ9で捕集されたミストは、重力によって管状フィルタ9を伝って垂れ落ちて下方のミスト溜部12にミスト液mとなって排出される。
【0064】
また、中間板85上に溜ったミスト液mは、ファン30による配設部86内の吸引が停止されると配設部86内が大気圧となり、逆止弁19が開放されて配設部86からミスト溜部96へ排出される。
【0065】
さらに、上記ミスト溜部96に溜ったミスト液mは、排液管13を介して他のタンク等へ排出される。この排液管13や他のタンク等にシールポット(図示略)を設ければ、上述した第2参考例のように、配設部86内を負圧にしてミスト含有気体Aからミストの捕集を行いながら、ミスト溜部96内に垂れ落ちたミスト液mを円滑に排出するようにできる。
【0066】
しかも、装置本体81の軽量化によってミスト除去装置80が軽量化されているので、設置条件等に応じて移動や配置変更等の作業を容易に行うことができる。
【0067】
図15は、本発明の第4参考例に係るミスト除去装置の正面図である。この参考例のミスト除去装置110は、上記第3参考例におけるミスト除去装置80と同様に、装置本体81の軽量化とコスト削減を図ると共に、ミスト除去装置110の移動や配置変更等が容易に行えるようにしつつ、配設部86内の気体aを上方へ吸引するように構成したものである。なお、上記第3参考例と同一の構成には同一符号を付し、その説明は省略する。
【0068】
図示するように、このミスト除去装置110は、蓋体111の中央部に排気口112が設けられ、この排気口112に接続された排気管113によって配設部86内の気体aが上方へ吸引されている。この構成の場合、他の機器のファン(図示略)によって配設部86内を吸引するようにしたり、ミスト除去装置110から離れた場所にファン(図示略)が設けられる。
【0069】
また、装置本体81を設けるフレーム体114は、キャスタ2を下端に有する支持柱115が枠組みされた簡単な構造となっている。このフレーム体114の上部に装置本体81を設ける構成は上記第3参考例と同一である。
【0070】
以上のようなミスト除去装置110によれば、排気管113を介して配設部86内の気体aを吸引することにより、供給口14から供給部95内にミスト含有気体Aが吸引され、この供給部95から管状フィルタ9の中空部へとミスト含有気体Aが吸引されて、この管状フィルタ9によってミストが捕集される。この管状フィルタ9で捕集されたミストは、重力によって管状フィルタ9を伝って垂れ落ちて下方のミスト溜部12にミスト液mとなって排出される。
【0071】
また、中間板85上に溜ったミスト液mは、ファンによる配設部86内の吸引が停止されると配設部86内が大気圧となり、逆止弁19が開放されて配設部86からミスト溜部96へ排出される。このミスト溜部96に溜ったミスト液mは、上記第3参考例と同様に、排液管13を介して他のタンク等へ排出される。
【0072】
図16は、本発明に係るミスト除去装置において用いられる延長ユニットを示す図面であり、(a) は半断面の正面図、(b) は(a) に示すXVI部の拡大断面図である。図17(a),(b) は、本発明に係るミスト除去装置を模式的に示す正面図である。これらの図も、右半部は内部を示している。
【0073】
図16(a) に示すように、延長ユニット120としては、上記第3,4参考例における筒状体の装置本体81と同径に形成されたものであり、図16(b) に示すように、下端には上記装置本体81の上端に形成された円形断面部(円形状部)89と接する接合部121が設けられている。この接合部121は、下向きに開口した半円状のシール受122が形成され、このシール受122の下面にシール材123(例えば、ゴム材)が設けられている。また、シール受122の内周には、装置本体81の内径部分で下方に延びる円筒状のスカート部124が形成されている。このスカート部124を装置本体81の上端に挿入することにより、延長ユニット120の連結が容易に行えるようにしている。また、延長ユニット120の上端は、装置本体81の円形断面部89と同一形状に形成されている。
【0074】
この延長ユニット120の接合部121によれば、上述した固定バンド91による蓋体90の装置本体81への固定と同様に、装置本体81の上部に延長ユニット120を連結することができる。
【0075】
図17(a) に示すように、上記延長ユニット120を用いれば、装置本体81の上部に延長ユニット120を載せ、これらの接合部分を固定バンド91(図示略)によって連結すれば配設部86の高さを容易に増すことができるので、中間板85に配設される管状フィルタ9を長い管状フィルタ109とすることで、フィルタ面積を容易に増やすことができる。つまり、管状フィルタ109の長さ変更(フィルタ面積の変更)に対して容易に対応することができる。
【0076】
従って、使用場所の変更やミスト含有気体Aの処理量等に応じたフィルタ面積に調節することが容易にでき、種々の使用条件に対して容易に対応できるミスト除去装置を提供することが可能となる。
【0077】
また、図17(a) では、長い管状フィルタ109を設けた例を示しているが、上述した管状フィルタ9の上端又は下端にフィルタ接続部(ジョイント部;図示略)を設け、このフィルタ接続部で管状フィルタ9を着脱可能に構成すれば、同一長さの管状フィルタ9を軸方向(縦方向)に接続又は分離することで容易に管状フィルタ9の長さを変更して使用条件に応じたフィルタ面積にすることができる。しかも、同一の管状フィルタ9を用いることにより、管状フィルタ9の共通化等、生産性の向上を図ることができる。
【0078】
このように管状フィルタ9を軸方向に接続又は分離可能とすることで長さ変更可能とするか、長さの異なる管状フィルタ109によってフィルタ面積を変更するかは、使用条件等に応じて決定すればよい。
【0079】
また、図17(b) に示すように、上記接合部121によって分割可能とする位置としては、中間板85の近傍位置(図示する例は上方位置)で装置本体81を分割可能なようにしてもよい。この場合、装置本体81の下端に上記接合部121が設けられ、下向きに開口した半円状のシール受122とシール材123とが設けられ、中間板85の周囲から上向きに上記円形断面部89が突設され、これらが固定バンド91(図示略)によって連結される。
【0080】
このようにすることにより、管状フィルタ9を取付けるフィルタ受88及びミスト溜部96とを一体的に製作し、別に製作した円筒状の装置本体81を連結して一体とすることにより、構成部品を別々に製作して生産性の向上を図ることができる。しかも、保守点検時等に装置本体81の下部で分割できれば、管状フィルタ9の点検、中間板85の上面の清掃等を容易に行うことができる。
【0081】
上記図17(a),(b) に示す例では、装置本体81の高さ方向の1箇所を分割可能としているが、分割数は1箇所でも2箇所でも任意に設定すればよく、また、分割位置も任意の位置に設定すればよい。また、上述した第3,4参考例のいずれのミスト除去装置80,110にも適用することができ、配設部86を吸引する構成に限定されることなく分割可能とすることができる。
【0082】
さらに、上記第3,4参考例における装置本体81は金属板で形成された例を説明したが、装置本体81をプラスチックで形成することも可能であり、装置本体81の材質・形状等は上述した構成に限定されるものではない。
【0083】
なお、上述した実施の形態は一例を示しており、本発明の要旨を損なわない範囲での種々の変更は可能であり、例えば、上記ファン30を供給口14の上流側に設け、供給部11にミスト含有気体Aを上流側から供給するようにしてもよく、本発明は上述した実施の形態に限定されるものではない。
【産業上の利用可能性】
【0084】
本発明に係るミスト除去装置は、切削油等を使用する工作機械の作業場等における空気中のミストを除去するために利用できる。特に、必要に応じて濾過面積を変更したい場合に有用である。
【符号の説明】
【0085】
1…ミスト除去装置
3…フレーム体
5…装置本体
8…中間板
9…管状フィルタ
10…配設部
11…供給部
12…ミスト溜部
15…開口
16…フィルタ面
17…排出口
18…排液穴
19…逆止弁(排出弁)
30…ファン
32…排気口
35…差圧計(測定器)
37…制御装置
40…取付金具(固定具)
50…閉鎖金具
61…ボール保持部
63…ボール
64…排気導入管
65…セパレータ
70…ミスト除去装置
71…シールポット
78…排液管
80…ミスト除去装置
81…装置本体
85…中間板
86…配設部
87…開口
88…フィルタ受
89…円形断面部
90…蓋体
91…固定バンド
95…供給部
96…ミスト溜部
98…排気管
99…下端取付部
100…シール材
101…内周凸部
102…外周凸部
109…管状フィルタ
110…ミスト除去装置
111…蓋体
112…排気口
120…延長ユニット
121…接合部
A…ミスト含有気体
a…気体
m…ミスト液

【特許請求の範囲】
【請求項1】
装置本体内に設けた管状フィルタによってミスト含有気体中のミストを捕集し、該捕集したミスト液を重力で下方へ排出するミスト除去装置であって、
前記装置本体の下部に前記ミスト含有気体を供給する供給部を備え、
前記装置本体の上部に前記管状フィルタを縦向きに配設する筒状のフィルタ配設部を備え、
前記管状フィルタ及びフィルタ配設部の高さ調節が可能なように、
前記供給部の上面とフィルタ配設部との間を分割可能に構成し、
前記供給部の上面周囲に円形状部を上向きに突設し、
前記フィルタ配設部の下端周囲に前記円形状部との間を密閉する接合部を設けるとともに該フィルタ配設部の上端周囲に円形状部を設け、
前記フィルタ配設部の最上部に前記円形状部との間を密閉する蓋体を設置したことを特徴とするミスト除去装置。
【請求項2】
前記供給部の円形状部との間を密閉する接合部を下端周囲に設け、上端周囲に円形状部を設けた延長ユニットを備え、
前記延長ユニットを前記供給部の上部に必要数だけ縦向きに配置し、それぞれの延長ユニットを密閉状態で固定して、前記管状フィルタのフィルタ面積増加に必要なフィルタ配設部の高さに調節が可能なように構成した請求項1に記載のミスト除去装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2012−16702(P2012−16702A)
【公開日】平成24年1月26日(2012.1.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−190965(P2011−190965)
【出願日】平成23年9月1日(2011.9.1)
【分割の表示】特願2009−159681(P2009−159681)の分割
【原出願日】平成21年7月6日(2009.7.6)
【出願人】(399020522)川重テクノロジー株式会社 (6)
【Fターム(参考)】