説明

モジュラーダイバートおよび姿勢制御システム

ビークルを操縦するためのビークル及び方法が開示されている。ビークルは、それぞれが複数の独立して点火可能な固体燃料推進装填材を具備する複数の多インパルスロケットモーターと、前記複数のうち少なくとも1つの多インパルスロケットモーターの少なくとも1つの固体燃料推進装填材を点火するための少なくとも1つのコマンドを発生するプロセッサとを含むことができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はビークル操縦システムおよび弾道ミサイル再突入ビークルと他のターゲットを迎撃し破壊する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
この特許文献の開示部分は著作権保護を受けている実質部分を含んでいる。この特許文献は所有者のトレードドレスであるかそうなる可能性がある事項を示すかおよび/または記載している。著作権およびトレードドレスの所有者は、米国特許商標庁のファイルまたは記録に現われるとき何人による特許の開示の複製に対して異議を唱えないが、その他の方法で全ての著作権およびトレードドレスの権利を保有する。
【0003】
弾道ミサイルの脅威を迎撃するためのシステムは典型的に、物理的衝突によって脅威の再突入ビークルを破壊するため「衝突−破壊型」とも呼ばれる動的撃墜ビークル(KKV)に依存する。KKVまたは複数のKKVを搬送するミサイルはターゲットの再突入ビークルの軌道に近い位置にKKVを位置させるように発射される。KKVはその後、ターゲットビークルを検出し追跡し、ターゲットとの物理的衝突を試みるように航行する。例示的なKKV開発プログラムは大気圏外撃墜ビークル(EKV)、軽重量の大気圏外発射体(LEAP)、大量撃墜ビークル(MKV)を含んでいる。
【0004】
KKVは再突入ビークル飛行の中間段階期間中にターゲットの再突入ビークルを迎撃し破壊するように設計されている。迎撃は100マイル(約160900m)を超える高度において地球の大気の上方で行われることができる。KKVとターゲット再突入ビークルの組合された速度は毎時15,000マイル(約24135000m)に近づくか、または毎秒20,000フィート(約609600m)を超え、それによってKKVと再突入ビークルとの衝突は再突入ビークルに対して非常に大きな損傷を与え破壊する。KKVは典型的にターゲット再突入ビークルの軌道の逆である軌道を推定するように操縦しようとし、これは即ち撃墜ビークルとターゲット再突入ビークルが反対方向で同じまたはほぼ同じ軌道上で移動していることを意味する。現実には、撃墜ビークルは共通してCEPまたは円形公算誤差と呼ばれる誤差量を所望の逆方向軌道から逸れる。CEPは時間において撃墜ビークルの50%を含む所望の軌道について円形の半径として規定される。ビークルナビゲーション誤差の通常の分布は共通して推定され、それによって撃墜ビークルは時間においてCEPの93%の二倍の半径を有する円内および時間において99%を超えるCEPの三倍の半径を有する円内にある。衝突−破壊型ビークルとターゲット再突入ビークルが比較的小さい寸法であり非常に終速度であるならば、KKVのCEPはターゲット再突入ビークルとの衝突の高い可能性を与えるため1メートルの数分の1よりも小さい必要がある。
【発明の概要】
【0005】
これらの極めて正確なナビゲーション要求を満たすため、KKVは衝突点までターゲットを追跡するための機上センサ及び追跡システムを含むことができる。KKVは典型的にターゲットを迎撃するために必要とされる軌道へKKVを操縦するために使用されるダイバート及び姿勢制御システム(DACS)を含んでいる。DACSは3つの回転軸を中心にKKVの姿勢または方位を制御するために使用されることができる複数の姿勢スラスタを有する。姿勢スラスタは例えば機上センサの視野内にターゲットを維持するために使用されることができる。DACSはターゲット追跡システムに応答してKKVの軌道を変更するために使用されるダイバートサブシステムも含むことができる。典型的なダイバートサブシステムはKKVの周辺に90度の間隔で配置される4つのノズルを含むことができる。各ノズルは典型的に移動方向と整列されるKKVの縦軸にほぼ垂直な方向でガスを排気することに使用されることができる。ガスはターゲットを迎撃するようにKKVを操縦するために移動方向に通常垂直な所望の方向でKKVを加速するための4つのノズルを通して選択的に排気されることができる。
【0006】
典型的なダイバートサブシステムでは、ダイバートサブシステムのノズルを通る排気ガスは、各ノズルに結合される独立した液体燃料のロケットモーターによってまたはガスの貯蔵器またはロケットモーターのような共通のガス供給によって与えられることができる。独立したロケットモーターが使用されるとき、発生されるスラストの方向及び大きさはロケットモーターに供給される燃料を計測することにより制御されることができる。共通のガス供給が使用されるとき、発生されるスラストの方向及び大きさはそれぞれのノズルに供給されるガスを計測することにより制御されることができる。共通のガス供給源がロケットモーターであるとき、燃焼ガスはいわゆる高温ガス弁を通して計測されることができる。液体燃料または多数のダイバートノズルへの排気ガスの計測に必要とされる配管、弁、アクチュエイタ及び他のコンポーネントはKKVの価格及び複雑性を増加する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】大きい断面の撃墜ビークルとターゲット再突入ビークルとの交戦の概略図である。
【図2】例示的なKKVの斜視概略図である。
【図3】例示的な多パルスの固体燃料ロケットモーターの斜視図である。
【図4】例示的なペレットを搭載された多パルスの固体燃料ロケットモーターの概略断面図である。
【図5】例示的なペレットを搭載された多パルスの固体燃料ロケットモーターの概略断面図である。
【図6】図1の例示的なKKVの概略断面図である。
【図7】図1の例示的なKKVの別の概略断面図である。
【図8】例示的な多パルスの固体燃料ロケットモーターの概略平面図と、その図の例示的な多パルスの固体燃料ロケットモーターの概略断面図である。
【図9】KKVのブロック図である。
【図10】ターゲットを迎撃するためのプロセスのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
この説明を通して、図面に現われる素子は3桁の参照番号を割当てられており、ここでは最上位桁が図面番号であり、2つの下位桁はその素子に特別である。図面を伴って説明されていない素子は同じ下位桁をもつ参照番号を有している先に説明された素子と同じ特徴及び機能を有するものと仮定されることができる。
[装置の説明]
図1を参照すると、KKVと再突入ビークルとの交戦は弾道ミサイル190の発射が検出されたときに開始することができる。発射は地上ベースの警報レーダー、衛星ベースの赤外線センサ、または幾つかの他のセンサシステムにより検出されることができる。弾道ミサイル190は1以上のセンサシステムにより追跡されることができ、目的とされる目的地が評価されることができる。弾道ミサイル190は図1に個々に示されていない1以上のロケット段を含むことができる。発射後ある時間に、弾道ミサイル190は弾頭を含んだ再突入ビークル195を解放する可能性がある。弾道ミサイルは再突入ビークル195に加えて他の再突入ビークル(図1には示さない)を解放する可能性があり、或いは複数の再突入ビークルまたはおとりビークル(図1には示さない)を解放する可能性がある。
【0009】
弾道ミサイル発射の検出後の時間に、迎撃ミサイル105が再突入ビークル195を迎撃するために発射される。迎撃ミサイル105は図1に個々に示されていない1以上のロケット段を含むことができる。発射後のある時間で、迎撃ミサイルは撃墜ビークル100を解放できる。迎撃ミサイル105は撃墜ビークル100に加えて他の撃墜ビークル(図1には示されていない)を解放することができる。他の撃墜ビークルは弾道ミサイル190により解放される他の再突入ビークルを迎撃するように割当てられることができる。幾つかの交戦では、2以上の撃墜ビークルが再突入ビークル195を迎撃するように割り当てられることができる。
【0010】
撃墜ビークル100は物理的衝突により再突入ビークル195を破壊しようとして再突入ビークル195との衝突コースへ撃墜ビークル100を操縦することに使用されるDACSを含むことができる。この明細書では、用語「衝突コース」は撃墜ビークルのCEPが再突入ビークルの軌道に対してほぼ逆の軌道に中心を置いているコースを意味している。
【0011】
図2を参照すると、撃墜ビークル100として使用するのに適した例示的な撃墜ビークル200はビークル本体202を含んでいる。ビークル本体202は、センサを含むかそれを支持し、そのセンサの日よけ204のみが図2に見られ、さらに図2には示されていないDACS、及びその他の通信、ナビゲーション、制御サブシステムを含むかそれを支持している。DACSはダイバートサブシステムを含むことができ、そのダイバートサブシステムのノズル206のみが図2で見られ、さらに姿勢制御サブシステムを含むことができ、そのノズル208のみが図2で見られる。ビークル本体202は撃墜ビークル410の種々のサブシステムを包囲する円筒形のハウジングとして図2に示されている。しかしながら、ビークル本体202は開いたシャーシまたはフレームであってもよい。DACSの全てまたは一部と、センサ、通信、ナビゲーション、制御サブシステムはビークル本体202の外部に取付けられている。
【0012】
ダイバートサブシステムは4つのノズル206を含むことができ、そのうちの3つが図2に見られる。ダイバートノズル206は90度の間隔により分離されている放射状の直線に沿ってスラストを発生するため燃焼ガスを排気するように配置されることができる。ダイバートノズルは各ノズルの中心を通る平面が撃墜ビークル410の質量中心を通ってまたはそれに近接するように配置されることができる。姿勢制御サブシステムは6または8以上のノズル208を含むことができ、そのうちの3つが図2に示されている。
【0013】
図3を参照すると、多インパルスロケットモーター310は撃墜ビークル200のような撃墜ビークルのダイバートサブシステムまたは姿勢制御サブシステムのいずれかで使用するのに適することができる。多インパルスロケットモーター310は複数の独立した燃焼室312A、312B、312C、312Dを含むことができ、それらは共通のノズル306を共用する。各燃焼室312A-Dは共通のノズル306に結合されたケース内に固体燃焼推進装填材を含むことができる。各燃焼室312A-D内の固体燃焼推進装填材は独立して点火されることができ、他の各燃焼室内の推進充填を点火せずにまたはその他の方法で影響を与えずに燃焼することができる。図3の例は4つの燃焼室312A-Dを示しているが、共通のノズル360を共用する2、3、8個または幾つかの他の数の燃焼室が存在してもよい。
【0014】
各複数の燃焼室312A-Dは別々にまたは直接的に共通のノズル306へ結合されることができ、それによって任意の他の燃焼室を流れずに各燃焼室から共通のノズル306への燃焼ガスの直接路が設けられる。複数の燃焼室312A-Dは図3に示されているように共通のノズル306を中心に放射状に配置されることができ、或いは幾つかの他の方法で配置されることができる。この文脈では、用語「放射状に」は外方向に放射状に広がることを意味し、隣接する燃焼室間の等しい角度分離を示唆するものではない。複数の燃焼室312A-Dは図3に示されているように同じサイズであってもよく、または異なるサイズであってもよい。
【0015】
図4はペレットを負荷された多パルスの固体燃料ロケットモーター410の2つの燃焼室412A、412Bを通る断面図を示している。多インパルスロケットモーター410は撃墜ビークル410のような撃墜ビークルのダイバートサブシステムまたは姿勢制御サブシステムのいずれかで使用するのに適している。燃焼室412A、412Bは図3に示されている多インパルスロケットモーター310の燃焼室312A、312Bであることができる。各燃焼室412A、412Bはそれぞれのケース414A、414B、それぞれの固体燃料推進装填材420A、420B、それぞれの点火装置422A、422Bを含むことができる。ケース414A、414Bは共通のノズル406に結合されることができる。
【0016】
図4では、ケース414A、414Bおよびノズル406は連続的な境界により表される。しかしながらケース414A、414Bとノズル406は例えば結合する螺子付けインターフェース(図示せず)で接合されるかまたは溶接或いは取付けプロセスにより接合されることができる3以上の物理的に分離可能なコンポーネントであってもよい。
【0017】
ペレットを負荷された多パルスの固体燃料ロケットモーター410がほぼ円筒形のビークル本体を有するミサイルのダイバートモーターまたは姿勢制御スラスタとして使用されるとき、燃焼室412A、412Bはビークル本体402の外壁に対してほぼ平行に配置されることができる。ノズル406はビークル本体402の側壁を通ってペレットを負荷された多インパルスロケットモーター410から排気ガスを排出するように構成される。ノズル406は側壁に対してほぼ垂直な方向でビークル本体402の側壁を通って多インパルスペレットを負荷されたロケットモーター410から排気ガスを排出するように構成されている。
【0018】
点火装置422A、422Bは点火されるとき予め定められた量の熱い燃焼ガスを解放する小量の可燃物であることができる。点火装置の燃焼は例えば電気コンタクト424A、424Bを通して与えられる電流により点火されることができる。電流は可燃性の点火材料に隣接するかそれに埋設されているヒーターワイヤを通して流れることができる。推進装填材420Aまたは420Bの1つを点火するため、それぞれの点火装置422Aまたは422Bにより発生されるガスの温度と圧力は共に予め定められた値を超えることが必要である。
【0019】
各点火装置422A、422Bおよびそれぞれの推進装填材420Aまたは420Bの点火前に、各燃焼室412A、412Bとノズル406との間の結合はそれぞれ非対称的なバーストディスク428A、428Bにより密封されることができる。この文脈では、用語「バーストディスク」は、燃焼室内の推進装填材が点火されるまで、即ち燃焼室内の圧力がディスクをバーストさせまたはその他の方法で開かせる時に、ノズル406から燃焼室412A、412Bの一方を隔離する任意の構造を意味している。
【0020】
1つの点火装置、例えば点火装置422Aの点火のとき、それぞれのバーストディスクは燃料室412A内で圧力が形成することを可能にするのに有効であり、したがって推進装填材420Aの点火を容易にする。バーストディスク428Aは燃焼室412A内の圧力が例えば平方インチ(2.54cm)当り(PSI)100と4100ポンド間の予め定められた圧力レベルを超えた後に、破裂し、爆発しモーターから解放され、またはその他の方法で燃焼室からノズルへの通路を開くように設計されることができる。例えばバーストディスク428Aは圧力が予め定められたレベルを超えるときに破裂するシヤーピンによってノズルに保持されることができる。バーストディスク428Aは圧力が予め定められたレベルを超えるときに制御された方法でバーストディスクが破裂することを可能にする制御された構造的な弱さを有することができる。
【0021】
バーストディスク428A、428Bは湿度および降雨のような環境的影響から固体燃料推進装填材420A、420Bを保護する役目を行うことができる。
【0022】
バーストディスク428Aが破裂すると、対応する点火装置412Aと推進装填材420Aの燃焼からの排気ガスはノズル406を通って排出できる。ノズル406とバーストディスク428A、428Bは単一の燃焼室(例えば燃焼室412A)が点火されたとき、他の燃焼室内の(バーストディスク428Bのような)バーストディスクが無傷であり、他の燃焼室の共鳴点火を阻止するように適合されることができる。各バーストディスク428A、428Bは構造において非対称的であってもよい。例えば各バーストディスク428A、428Bは米国特許第4,505,180号明細書に記載されているバーストディスクに類似して、ノズルから遠いディスクの側面上に配置されているバックアップ部材により支持される脆弱なディスクであってもよい。脆弱なディスクとバックアップ部材の組合せは、関連される燃焼室中の推進装填材が点火されるときバーストディスク428A、428Bが比較的低い圧力で破裂することを可能にでき、任意の他の推進装填材が点火されるときには破裂しない。したがってペレットを装填された多インパルスロケットモーター410の各燃焼室412A、412Bは独立して点火可能であることができる。
【0023】
推進装填材420A、420Bの1つを点火するのに必要な時間を減少するため、各燃焼室412A、412Bの内部は製造期間中に初期圧力レベルまで空気または別のガスで加圧されることができる。例えば点火前の空洞中の初期圧力は500乃至4100PSIであることができる。この場合、各バーストディスク428A、244Bは初期圧力レベルを無期限に維持し、それぞれの推進装填材420A、420Bが点火された後に実質的にさらに高い圧力レベルで破裂するように設計されることができる。
【0024】
各推進装填材420A、420Bは、固体推進装填材420A、420Bを共に構成する多数の複数(数ダース、数百または数千)の固体燃料ペレット416を含むことができる。固体燃料ペレット416は例えば自動車のエアバッグで使用されるため大量に生産されるガス発生ペレットであることができる。
【0025】
各固体燃料ペレット416はエネルギ燃料材および酸化材の少なくとも幾つかから構成されることができる。各燃料ペレットは付加的な結合剤および/または可塑剤を含むことができる。結合剤および可塑剤は反応し、燃料材および/または酸化材として役目を行うことができる。ガスを発生する固体燃料ペレットの適切な組成はよく知られている。ガスを発生する固体燃料ペレットの適切な組成はよく知られている。適切なガスを発生する組成は、米国特許第5,608,183号明細書に記載されているように、例えば主に硝酸グアジニン(またはグアジニン)と塩基性硝酸銅、硝酸コバルト、その組合せである組成を含んでいる。燃料ペレットの全質量の少なくとも60%は硝酸グアジニンと塩基性硝酸銅から構成されることができる。固体燃料ペレットは比較的低い燃焼温度、例えば1500℃と4100℃との間の温度を有することができ、それによって燃焼生成物に露出されるロケットモーター410のコンポーネントはモリブデンまたはTZM(チタニウム−ジルコニウム−モリブデン)合金から製造されることができる。
【0026】
固体燃料ペレット416は示されているようにロケットモーターと共にランダムに配置されることができる。代わりに、固体燃料ペレット416は順序付けされた方法で配置または積層されることができる。順序付けされた方法で燃料ペレットを配置または積層することを促すため、各燃焼室412A、412Bは積層されたペレットを位置付けて維持するためにロッド、ガイドまたは他の構造(図2では示さず)を含むことができる。
【0027】
固体燃料ペレット416は全て同一であってもよく、或いは2以上のペレット組成またはサイズの混合であってもよい。幾つかまたは全ての固体燃料ペレットは燃料ペレットの燃焼特徴を変化するために抑制剤で被覆されることができる。抑制剤は被覆されたペレットの点火を遅延する非燃焼性またはゆっくりと燃焼する有機物、無機物または複合材料であってもよく、それによってロケットモーターの燃焼時間を延長する。抑制剤被覆は塗装、噴霧、浸漬または結合により行われることができる。ロケットモーターのスラスト対時間のプロフィールは多数の燃料ペレットサイズ、組成および/または抑制剤被覆を組み合わせることにより調節されることができる。
【0028】
固体燃料ペレット416は穿孔されたペレット保持装置420A、420Bにより燃焼室412A、412B内に維持されることができる。用語「穿孔された」はペレット保持装置の構造の開口の任意のタイプまたは形状を含んでおり、開口を形成または生成する任意の特定の方法を規定しない。ペレット保持装置420A、420Bはこの例に示されているように、燃焼室412A、412Bの長さに沿って延在できる。ペレット保持装置420A、420Bは燃料ペレットのない空洞418A、418Bを規定できる。空洞418A、418Bは通常図2に示されているように円筒形または幾つかの他の形状であることができる。空洞418A、418Bは燃焼する燃料ペレットからノズル406への熱い燃焼ガスの直接路を設けることができる。空洞418A、418Bは点火装置422A、422Bから燃料ペレット416までの燃焼ガスの少なくとも一部の直接路を設けることができる。
【0029】
ペレット保持装置420A、420Bは均一な直径のシリンダ、先細りのシリンダまたは円錐系形状或いは幾つかの他の形状であってもよい。ペレット保持装置は特に燃焼室のケース414A、414Bが円筒形ではない状態では不規則な断面を有してもよい。ペレット保持装置420A、420Bは機械加工されたまたは化学的に成形された穿孔を有する薄い金属材料で形成されることができる。ペレット保持装置420A、420Bは編み込まれたまたはエッチングされたスクリーンまたはメッシュから形成されることができる。保持装置420A、420Bは単一の物理的素子として形成されてもよく、または例えば複数の近密に隔てられた金属ディスク、ワイヤまたはロッドのような複数の物理的ピースを含むことができる。しかしながら、ペレット保持装置は形成され、ペレット保持装置420A、420B中の穿孔は円形、方形、長方形または細長いスリットまたは燃料ペレットを保持しながら燃焼ガスの通過を可能にする任意の他の形状であることができる。
【0030】
ペレット保持装置420A、420Bの穿孔または開口の寸法は燃料ペレット416の少なくとも1つの寸法よりも非常に小さくされ、それによって燃料ペレットは燃焼がほぼ完了するまでペレット保持装置を通過しない。燃料ペレット416の燃焼がほぼ完了したとき、燃料ペレットの少なくとも幾つかは燃焼ガスの流動によって、ペレット保持装置420A、420B中の穿孔を通ってそれぞれの空洞418A、418Bへ掃引されることができる。ペレット保持装置420A、420B中の穿孔のサイズは、ペレット416のサイズに関して、燃料ペレットが最小の断面積を有するノズル406の一部である喉部426を通過する前に、ペレット保持装置を通過する燃料ペレットの少なくとも一部が完全に燃焼されるようにされている。喉部426を通過する前に空洞418A、418B内で完全に燃焼される燃料ペレットはロケットモーターのスラストに十分に貢献することができる。喉部426を通って脱出されるときに依然として燃焼している各燃料ペレットはロケットモーターにより与えられる総スラストにおいて付加的な減少を生じる可能性がある。
【0031】
推進装填材410A、410Bの燃焼は、燃焼室412A、412B内の圧力を制御することにより、ある程度まで制御されることができる。燃焼室内の圧力は少なくとも部分的に推進装填材420A、420Bからノズル406の出口まで燃焼ガスの流動を制限する孔の断面積によって決定されることができる。喉部426の断面積は燃焼期間中に各燃焼室412A、412B内の圧力を制御するために選択されることができる。この場合、各ペレット保持装置420A、420Bの穿孔の総断面積は喉部426の断面積よりも大きくてもよい。
【0032】
ペレット保持装置420A、420Bの穿孔は、燃焼する燃料ペレット416からノズル406まで燃焼ガスの流動を制限することにより推進装填材420A、420Bにおける圧力を少なくとも部分的に制御するために使用されることができる。ペレット保持装置420A、420B中の穿孔の寸法および分布は燃焼ガスの流動と各燃焼室412A、412B内の圧力勾配を制御するために使用されることができる。この場合、各ペレット保持装置420A、420B中の穿孔の総断面積は喉部426の断面積に匹敵するかそれよりも小さいことが可能である。
【0033】
ケース414A、414B、ノズル406、ペレット保持装置420A、420Bはセラミック材料、モリブデンまたはTZM合金のような金属材料、またはその他の材料から製造されることができる。ケース414A、414B、ノズル406、ペレット保持装置420A、420Bは、適切な熱絶縁層が設けられるならば燃料ペレットの燃焼温度に直接耐えることができない鋼鉄または強化複合材料のような材料から主に製造されることができる。ケース414A、414B、ノズル406、ペレット保持装置420A、420Bは、種々の素子が燃焼ガスの腐食または他の劣化効果にかかわらずロケットモーターの燃焼期間における物理的統合を保持するのに十分な厚さであるならば、燃料ペレットの燃焼温度に直接耐えることができない鋼鉄または強化複合材料のような材料から主に製造されることができる。
【0034】
図5はペレットが装填された多インパルスロケットモーター510の2つの燃焼室512A、512Bを通した断面図を示している。多インパルスロケットモーター510は多インパルスロケットモーター410にほぼ類似しており、等価素子の説明は繰り返さない。2つの燃焼室512A、512Bはガス貯蔵器530と弁532を通して共通のノズル506に間接的に結合されることができる。ガス貯蔵器530は、任意の空の燃焼室と組み合わせて燃焼室512A、512Bの一方または両者内での燃料の燃焼によって発生されるガスを累積できる。累積されたガスは単一の燃焼室の点火により発生されるガスの量よりも小さい増加によって弁532を通して排気されることができる。ガス貯蔵器530に累積されるガスは必要な場合に応じて燃焼室512A、512Bの点火により補充されることができる。
【0035】
図6は撃墜ビークル200であってもよい例示的な撃墜ビークル600の断面図を示している。図6は図2で識別された平面A−Aを通して見た断面図である。撃墜ビークル600はダイバートサブシステムを集合的に形成する4つの多インパルスロケットモーター610-1、610-2、610-3、610-4を含むことができる。各多インパルスロケットモーター610-1、610-2、610-3、610-4は燃焼室612A-1、612B-1、612C-1、612D-1のような複数の燃焼室に結合されるノズル606-1のような単一のノズルを含むことができ、それぞれは独立して点火可能な固体燃料推進装填材を含んでいる。各多インパルスロケットモーター610-1、610-2、610-3、610-4は図3に示されているように多インパルスロケットモーター310であることができる。図6は断面図であり、4つの多インパルスロケットモーター610-1、610-2、610-3、610-4の内部の詳細は示されていないが、ペレットの装填された多インパルスロケットモーター410または510に類似していてもよい。
【0036】
4つの多インパルスロケットモーター610-1、610-2、610-3、610-4は撃墜ビークル600の円周に90度の間隔で配置されることができる。4つの多インパルスロケットモーター610-1、610-2、610-3、610-4は各モーターにより発生されるスラストが撃墜ビークル600の縦軸に基本的に垂直であるように方向付けされるように配向されている。各モーターにより発生されるスラストは基本的に平面AA(図6の図面の平面)において放射状の線に沿って方向付けされることができる。平面A−Aは撃墜ビークル600の質量中心を通過するかそれに近接してもよく、それによって4つの多インパルスロケットモーター610-1、610-2、610-3、610-4のうちの1以上からのスラストは撃墜ビークルの実質的な回転を誘起せずに縦軸に対して垂直方向に撃墜ビークルの加速を起こすことができる。
【0037】
図7は撃墜ビークル200であってもよい例示的な撃墜ビークル700の断面図を示している。図7は図2で識別された平面B−Bを通して見た断面図である。撃墜ビークル700は姿勢制御サブシステムを集合的に形成する6以上の姿勢スラスタ710-1、710-2、710-3、710-4、710-5、710-6を含むことができる。各姿勢スラスタ710-1、710-2、710-3、710-4、710-5、710-6は燃焼室712A-1、712B-1、712C-1のような複数の燃焼室に結合されるノズル706-1のような単一のノズルを含むことができる。各燃焼室は独立に点火可能な固体燃料装填を含むことができる。各姿勢スラスタ710-1、710-2、710-3、710-4、710-5、710-6は図3に示されているように多インパルスロケットモーター310であることができる。図7は断面図であり、姿勢スラスタ710-1、710-2、710-3、710-4、710-5、710-6の内部の詳細は示されていないが、ペレット装填された多インパルスロケットモーター410または510に類似していてもよい。
【0038】
姿勢スラスタ710-1、710-2、710-3、710-4、710-5、710-6は撃墜ビークル700の円周に配置されることができる。姿勢スラスタ710-1、710-2、710-3、710-4、710-5、710-6は各モーターにより発生されるスラストが撃墜ビークル700の縦軸から外方向にしかしながら必ずしも放射状の線に沿ってではなく方向付けされるように配向されることができる。姿勢スラスタの少なくとも幾つかは縦軸を中心にして撃墜ビークルの回転を起こすように非放射状の方向でスラストを放出するように配向されることができる。平面B−B(図7の図面の平面)は撃墜ビークル700の質量中心から離れていてもよく、それによって姿勢スラスタ710-1、710-2、710-3、710-4、710-5、710-6のうちの1以上からのスラストは縦軸を横断する撃墜ビークルの実質的な運動を誘起せずに撃墜ビークルの回転加速を起こすことができる。
【0039】
図8の(A)と(B)は共通のノズル806を共用する複数の独立した燃焼室812A、812B、812C、812Dを含む例示的なペレット装填された多インパルスロケットモーター810の平面図及び側面図をそれぞれ示している。ペレット装填された多インパルスロケットモーター810はダイバートサブシステムまたは姿勢スラスタ710-1乃至710-6のモーター610-1乃至610-4として使用するのに適している。各燃焼室812A-Dは共通のノズル806に結合されたケース内に推進装填材を含むことができる。各推進装填材は独立して点火されることができ、点火せずにまたは他の燃焼室中の推進装填材に影響を与えずに燃焼することができる。
【0040】
複数の独立した燃焼室812A-Dは幾つかの異なる寸法であってもよく、対応する異なるインパルス値を与えることができる。先の図面に示されているロケットモーター310、410、510、610、710と対照的に、複数の独立した燃焼室812A-Dは、形状が円筒形ではない。複数の独立した各燃焼室812A-D内の推進装填材は複数の固体燃料ペレットであることができるので、燃焼室812A-Dの形状および形状ファクタは随意選択的であってもよい。燃焼室812A-Dの形状及び形状ファクタは多インパルスロケットモーター810により占有される総体積を最小にするように設計されることができる。燃焼室812A-Dの形状及び形状因子は撃墜ビークル内またはその上の不規則な形状にされた利用可能な体積を占有するように設計されることができる。特に、図8に示されているように、燃焼室812A-Dのうちの幾つかまたは全てのケースの少なくとも一部はビークル本体であることができる表面802に適応するように構成されることができる。
【0041】
図9を参照すると、撃墜ビークル100である撃墜ビークル900は、プロセッサ940とDACS956と、シーカーサブシステム942、ナビゲーションサブシステム946、通信サブシステム950の少なくとも1つを含むことができる。DACS956は4つのダイバートモーター910A、910B、910C、910Dを有するダイバートサブシステムを含むことができる。ダイバートモーターは多インパルスロケットモーター310、410、510、610のような多インパルスロケットモーターであってもよい。DACS956はモーター310、410、510、610のような多インパルスロケットモーターであることができる複数の姿勢スラスタも含むことができる姿勢制御サブシステム958を含むことができる。ダイバートモーター910A、910B、910C、910D、姿勢スラスタ、またはダイバートモーターと姿勢スラスタの両者はモーター310、410、510、610のようなペレット装填された多インパルスロケットモーターであることができる。
【0042】
シーカーサブシステム942はそれが存在するならば、例えば赤外線イメージング(IIR)シーカー、レーザレーダーシーカー、および/またはレーダーシーカーのような1以上のシーカーを含むことができる。シーカーサブシステム942は1以上の誘導信号944をプロセッサ940へ提供できる。シーカーサブシステム942により与えられる誘導信号944はシーカーサブシステムにより追跡されているターゲットへの方向を示すことができる。
【0043】
ナビゲーションサブシステム946はそれが存在するならば、例えば慣性航行システムのような1以上のナビゲーションシステムを含むことができる。ナビゲーションサブシステム946は1以上の状態信号948をプロセッサ940へ提供できる。ナビゲーションサブシステム946により与えられる状態信号948は撃墜ビークル900の特定の現在状態を規定できる。例えば状態信号948は撃墜ビークル900の現在の速度ベクトルと、速度ベクトルに関する撃墜ビークル900の加速とを規定できる。
【0044】
通信サブシステム950はそれが存在するならば、ミサイルの外部のソースからコマンド及び制御情報を受信するためのデータリンクまたは他の通信装置を含むことができる。受信されたコマンド及び制御情報はプロセッサ940へ与えられることができる1以上のコマンド952を含むことができる。通信サブシステム950により与えられるコマンド952は例えば撃墜ビークル900により追跡され交戦される特別なターゲットを指定できる。
【0045】
プロセッサは誘導信号954、状態信号948、コマンド952のうちの1以上に基づいて制御信号954を発生できる。例えばプロセッサ940は姿勢制御スラスタ959に撃墜ビークル900を指向させるために状態信号948とコマンド952に基づいて制御信号954を発生し、それによってシーカーサブシステム942は指定されたターゲットを追跡できる。その後、プロセッサ940はDACS956に撃墜ビークル900を操縦させて指定されたターゲットを迎撃するため状態信号948と誘導信号944に基づいて付加的な制御信号954を発生できる。
【0046】
プロセッサ940により発生された制御信号954は1以上のダイバートモーター810A-Dおよび/または姿勢スラスタ848内の1以上内の1以上の選択された推進装填材を点火するための信号を含むことができる。ダイバートモーター810A-Dおよび/または姿勢スラスタ848がガス貯蔵器及び弁(図5の530、532)を含むとき、制御信号954は1以上の弁を開閉するための信号を含むことができる。
【0047】
[プロセスの説明]
図10を参照すると、弾道ミサイルターゲットが撃墜ビークルを攻撃するプロセス1060のフローチャートは1062で開始し、撃墜ビークルがターゲットと衝突するかほぼ衝突するまで1080で継続する。1062のプロセスの開始時に、ターゲットの脅威を検出または迎撃機の発射のためのシステムが配備され、撃墜ビークルは迎撃ミサイルに取付けられる。1080におけるプロセスの終了時に、ターゲットは迎撃され、攻撃が成功したならば、破壊される。
【0048】
1064で、弾道ミサイルターゲットの発射が検出されることができる。発射は地上ベースの早期警報レーダー、衛星ベースの赤外線センサ、または幾つかのその他のセンサシステムにより検出されることができる。脅威は1以上のセンサシステムにより追跡されることができ、対象とされる目的物が評価されることができる。発射して幾らか時間が経過した後、脅威は核、生物、化学、または通常の弾頭を含む可能性があるターゲット再突入ビークルを解放する可能性がある。プロセス1060は特定のターゲット再突入ビークルを迎撃し破壊するように指導されている。
【0049】
1064で脅威の発射を検出してから幾らか時間を経過した後、迎撃ミサイルはターゲット再突入ビークルを迎撃するために1066で発射されることができる。1068で、発射後の予め定められた時間に、迎撃ミサイルはターゲット再突入ビークルを迎撃するように割当てられている撃墜ビークル200または900のような少なくとも1つの撃墜ビークルを配備することができる。
【0050】
1070で、撃墜ビークルは通信サブシステム950のような通信サブシステムを介して、交戦される特別なターゲットを指定する情報を含んだコマンド及び制御命令を受信できる。特定のターゲットを指定する情報は例えば指定されたターゲットの相対位置を示す情報を含むことができ、それによって撃墜ビークルは1072で、シーカーサブシステム942のような機上のシーカーサブシステムを使用してターゲットを捕捉及び追跡するように指向できる。
【0051】
1080で、撃墜ビークルはターゲット再突入ビークルの軌道を反対方向へ操縦でき、それによって撃墜ビークルはターゲット再突入ビークルを迎撃し、成功したならばそれに衝突する。1080での活動は単一の事象ではなく連続的な閉ループプロセスであることができる。ターゲットは誘導信号1044を発生するシーカーサブシステムにより1082で追跡されることができる。例えば誘導信号1044は撃墜ビークルに関するターゲットの現在位置と速度を示すことができる。1084で、撃墜ビークルの現在の軌道と、ターゲットを捕捉するために必要とされる軌道との誤差が計算され、撃墜ビークルの軌道および/または姿勢に対して必要とされる修正が決定されることができる。
【0052】
1086で、例えば特定の撃墜ビークルの制御規則を1084からの必要とされる軌道および/または姿勢の修正へ適用することによって、必要とされる修正を行うために必要とされるスラストが決定されることができる。制御信号1054は必要とされる修正を行うために必要なスラストに基づいて発生されることができる。制御信号1054は撃墜ビークルのDACS内の1以上の燃焼室の点火を行わせる少なくとも1つの信号を含むことができる。DACSが多インパルスロケットモーター510のようなガス貯蔵器を含む多インパルスロケットモーターを含むとき、制御信号はDACS内の1以上のガス弁を開閉するための1以上の信号を含むかその信号であることができる。
【0053】
1088で、DACS内の1以上の燃焼室は点火されることができ、および/またはDACS内のより多くの弁が1086で決定されたようなスラストを提供するために開閉されることができる。1082から1088までの動作は説明を簡単にするために逐次的として示されているが、これらの動作は実時間制御ループとして基本的に同時に行われることができる。1082から1088までの動作は指定されたターゲットの追跡が1072で捕捉されるときから追撃ビークルがターゲットを迎撃するまで連続して行われることができる。
【0054】
[締めくくりのコメント]
この説明を通して、示されている実施形態及び例は、説明されたまたは請求されている装置及び手順における限定ではなく例示として考えられるべきである。ここで提示されている多くの例は方法の動作またはシステムの要素の特別な組合せを含んでいるが、これらの動作及びこれらの要素は同じ目的を実現するため他の方法で組み合わせられることができることを理解すべきである。フローチャートに関して、付加的およびもっと少ないステップが採用されてもよく、示されているステップはここで説明された方法を実現するために組み合わせられるかさらに改良されることができる。1実施形態だけに関連して説明された動作、要素、特徴は他の実施形態における類似の役割から除外されることを意図しているものではない。
【0055】
ここで使用されている「複数」とは2以上を意味している。ここで使用されているアイテムの「セット」は1以上のこのようなアイテムを含むことができる。ここで使用されているように、明細書または請求項において、用語「具備する(comprising)」、「含む(including)」、「搭載する(carrying)」、「有する(having)」、「含む(involving)」、「伴う(involving)」等はオープンエンドであると理解すべきであり、即ち含んでいるが限定されないことを意味している。移行句「からなる(consisting of)」および「主にからなる(consisting essentially of)」はそれぞれ請求項に関して閉じたまたは半分閉じた移行句である。請求項の要素を修飾するための請求項における「第1」、「第2」、「第3」等のような序数の用語はそれ自体、別のものに対する1つの請求項の要素の任意の優先順位、優位性または順序、或いは方法の行為が行われる時間的順序を暗示しないが、請求項の要素を弁別するため、ある名称を有する1つの請求項の要素を(序数の使用を除いて)同じ名称を有する別の要素から弁別するための単なるラベルとして使用される。ここで使用されている「および/または」は列挙されたアイテムが代替であることを意味するが、代替は列挙されたアイテムの任意の組合せも含んでいる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
それぞれ複数の独立して点火可能な固体燃料推進装填材(416)を具備する複数の多インパルスロケットモーター(310、410、510、610、710、810)と、
前記複数のうち少なくとも1つの多インパルスロケットモーターの少なくとも1つの固体燃料推進装填材を点火するために少なくとも1つのコマンド(954)を発生するプロセッサ(940)とを具備しているビークル(200、900)。
【請求項2】
前記各多インパルスロケットモーター(310)はさらに、
ノズル(306)と、
前記ノズルに結合される複数の燃焼室(312A-D、812A-D)とを具備し、
前記複数の各燃焼室は少なくとも部分的にそれぞれの固体燃料推進装填材(416)を収容しており、
非対称のバーストディスク(428A、428B)により、前記固体燃料推進装填材の点火前に、各固体燃料推進装填材から前記ノズルまでのガス路が遮断される請求項1記載のビークル。
【請求項3】
前記多インパルスロケットモーターのうちの少なくとも幾つかはさらに、
1以上の前記推進装填材の燃焼により発生される燃焼ガスを累積するために結合されるガス貯蔵器(530)と、
前記ガス貯蔵器から前記ノズルへのガス流を制御するための弁(532)とを具備し、
ここで前記プロセッサ(940)は前記弁を開閉するためのコマンドを与え、
各バーストディスクは前記それぞれの固体燃料推進装填材と前記ガス貯蔵器との間に配置されている請求項2記載のビークル。
【請求項4】
前記複数の多インパルスロケットモーターのうちの少なくとも幾つかはペレットの装填された多インパルスロケットモーターである請求項3記載のビークル。
【請求項5】
前記複数の多インパルスロケットモーターは複数のダイバートモーター(610-1、-2、-3、-4)を含んでいる請求項1記載のビークル。
【請求項6】
前記複数のダイバートモーターは4つのダイバートモーターからなり、これらは、
前記ビークルの縦軸に対して垂直であり、前記ビークルの質量中心に近接する平面に配置され、
90度の間隔で分離されている放射状の方向にスラストを発生するように指向される請求項5記載のビークル。
【請求項7】
前記複数の多インパルスロケットモーターは複数の姿勢スラスタ(710-1、-2、-3、-4)を含んでいる請求項1記載のビークル。
【請求項8】
前記複数の姿勢スラスタは、
前記ビークルの縦軸に対して垂直である平面から離れ、前記ビークルの質量中心に近接する位置に配置され、
放射状の方向および非放射状の方向を含むそれぞれの方向で前記縦軸から外方向にスラストを発生するように指向される請求項7記載のビークル。
【請求項9】
前記プロセッサは、シーカーサブシステム(942)と、通信サブシステム(950)と、ナビゲーションサブシステム(946)のうちの1以上から受信された信号に基づいて前記少なくとも1つのコマンドを発生する請求項1記載のビークル。
【請求項10】
前記シーカーサブシステムはターゲットを追跡し、
前記プロセッサは前記シーカーサブシステムからの誘導信号に基づいて前記ターゲットを迎撃するために前記ビークルを軌道へ操縦するコマンドを発生する請求項9記載のビークル。
【請求項11】
現在の軌道から所望の軌道へ変化を行うのに必要とされるスラストを決定し(1086)、
前記必要とされるスラストを発生するように集合的に構成された1以上の固体燃料推進装填材を選択し(1088)、
前記1以上の選択された固体燃料推進装填材を点火する(1088)ステップを含んでおり、
ここで、各選択された固体燃料推進装填材は複数の多インパルスロケットモーターの1つ内の複数の固体燃料推進装填材のうちの1つであるビークルの軌道を制御する方法。
【請求項12】
前記複数の多インパルスロケットモーターの少なくとも幾つかはガス蓄積貯蔵器を有しており、
前記1以上の選択された固体燃料推進装填材の点火は、1以上のガス貯蔵器に燃焼ガスを発生させ(1088)、
前記方法はさらに、前記必要とされるスラストを発生するように燃焼ガスを排気するため前記1以上のガス貯蔵器へ結合されるそれぞれの弁を開く(1088)ステップを含んでいる請求項11記載の方法。
【請求項13】
さらに、ターゲットを追跡するステップを含み(1088)、
ここで、前記所望の軌道は前記ビークルに前記ターゲットを迎撃させる請求項12記載の方法。
【請求項14】
前記方法は連続的に及び実時間で行われる請求項12記載の方法。
【請求項15】
ビークルの軌道および姿勢を制御するために配置されている複数の多インパルスロケットモーターを有するビークルの操縦方法(1080)において、
各多インパルスロケットモーターは複数の独立して点火可能な固体燃料装填を含み、
前記ビークルの前記軌道と前記ビークルの姿勢のうちの少なくとも1つにおいて必要な変化を行うのに必要とされるスラストを決定し(1086)、
前記必要とされるスラストを発生するように集合的に構成された1以上の固体燃料推進装填材を選択し(1088)、
前記1以上の選択された固体燃料推進装填材を点火する(1088)ステップを含んでいる方法。
【請求項16】
前記1以上の選択された固体燃料推進装填材の点火は、1以上のガス貯蔵器に燃焼ガスを累積させ、
さらに、前記必要とされるスラストを発生するために燃焼ガスを排気するようにそれぞれのガス貯蔵器へ結合された1以上の弁を開く(1088)ステップを含んでいる請求項15記載の方法。
【請求項17】
さらに、ターゲットを追跡し(1082)、
前記ターゲットを迎撃するように前記ビークルを操縦するのに必要とされる前記ビークルの前記軌道に於ける変化を決定する(1084)ステップを含んでいる請求項15記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公表番号】特表2012−530236(P2012−530236A)
【公表日】平成24年11月29日(2012.11.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−515219(P2012−515219)
【出願日】平成22年6月14日(2010.6.14)
【国際出願番号】PCT/US2010/038547
【国際公開番号】WO2010/147910
【国際公開日】平成22年12月23日(2010.12.23)
【出願人】(503455363)レイセオン カンパニー (244)
【Fターム(参考)】