説明

モノレール用分岐装置

【課題】設置面積が小さくて、構成が簡単な分岐装置を提供する。
【解決手段】分岐装置は、一方の曲線路の軌道桁31,32と、他方の曲線路の軌道桁33,34とからなる。分岐の際、一方の曲線路の軌道桁32の端部を他方の本線2に接続する。他方の曲線路の軌道桁34の端部を一方の本線1に接続する。軌道は回転台51に載っている。移動する軌道桁はレール41を走行する台車41bに乗っている。軌道桁の伸縮によって、軌道桁が回転する。台車の移動,浮き上がりは固定装置70のシリンダーロッド72を台車の穴に挿入させて行う。分岐を簡単な構成ででき、台車の移動,浮き上がりを簡単に防止できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複線軌道のモノレールにおいて、一方の軌道から他方の軌道に進路を切り替えるモノレール分岐装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
〔特許文献1〕のように、従来のモノレール分岐装置は、トラバース式の分岐装置が一般的である。一方の軌道から他方の軌道に分岐する分岐レールをトラバースして分岐するようになっている。直線鋼軌道桁を分岐方向に曲げて分岐させるようになっている〔特許文献1〕。
【0003】
前者は、分岐装置がトラバースするだけであるので、軌道桁そのもののは移動しないので、軌道桁は簡単に構成できるが、トラバースさせるために広い面積を必要とする。
【0004】
後者は、トラバースは必要なく設置面積は小さくできるが、軌道桁を水平方向に曲げるための構成が必要となり、構成が複雑になる。つまり、動桁を曲げるためにリンク装置を設置しなければならず、また保守性も悪いものである。
【0005】
【特許文献1】特公昭58−12401号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、設置面積が小さくて、構成が簡単な分岐装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的は、
平行な2本の本線の間に分岐装置があり、
該分岐装置は、一方の本線と他方の本線とに接続するものであって、該一方の本線側に凸の円弧状の第1の曲線路と、他方の本線側に凸の円弧状の第2の曲線路とからなり、前記第1の曲線路と前記第2の曲線路とは連続しており、前記第1の曲線路と前記第2の曲線路との接続部は回転台に載せてあり、
前記第1の曲線路,前記第2の曲線路の前記一方の本線側、及び他方の本線側は前記回転台を中心として回転する台車に載せており、
前記第1曲線路または前記第2の曲線路には接続すべき前記一方の本線または前記他方の本線側に移動させる駆動装置が設置されており、
さらに、前記第1曲線路と前記第2の曲線路に平行な前記一方の本線の上流側の軌道桁は、前記第2の曲線路と一体に移動可能になっており、
さらに、前記第1曲線路と前記第2の曲線路に平行な前記他方の本線の下流側の軌道桁は、前記第1の曲線路と一体に移動可能になっていること、
によって、達成できる。
【発明の効果】
【0008】
これによれば、分岐時には、分岐用の軌道桁を第1の本線,第2の本線側に移動して接続する。分岐軌道桁の中心は回転台に載っているので、容易に回転移動できる。また、分岐軌道桁は分岐しやすいように予め円弧状に曲げておくことができるので、分岐の走行も容易にできる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、本発明に係わるモノレール用分岐装置の一実施例を図1〜図7によって説明する。ここでは、上り線1と、下り線2に相互に乗り入れるための分岐装置3を適用した実施例を説明する。上り線1,下り線2は平行に設置している。図4〜図9は図1,図2,図3の拡大図であり、図1,図2,図3の右半分とは、支持台11b,11cが左右方向の中心であり、支持台11bから右側を拡大している。図1,図2,図3の右半分とは、支持台11b,11cから右半分を拡大している。
【0010】
まず、軌道桁の構成について説明する。
【0011】
図1,図2において、図1は分岐していない状態の平面図であり、図2が分岐した状態の平面図である。上り線1の途中と下り線2の途中との間に分岐装置3がある。上り線1とは上側の線をいい、下り線2とは上り線の下側の線を言う。また、上り線1は右側から左側に走行するとする。下り線は、左側から右側に走行するとする。
【0012】
軌道桁11,12,13,14,21,22,23,24の固定部は、その長手方向端部が基礎に支持台11b,11c,11d,11e,11f,21b,21c,21d,21e,21fで支持されている。なお、支持台11e,21eは回転台になっている。
【0013】
上り線1は、固定軌道桁11,12の間に、左側から固定軌道桁13とその先端に移動用起動桁14がある。移動用軌道桁14は直線状である。
【0014】
下り線2は、固定軌道桁21,22の間に、右側から固定軌道桁23とその先端に移動用起動桁24がある。移動用軌道桁24は直線状である。
【0015】
移動用起動桁14,24は分岐時に、固定軌道桁13,24の先端を中心として回転し、上り線1,下り線2の線上から離れる。固定軌道桁13,23と移動用軌道桁14,
24との接続部は、固定軌道13,23の先端側が、移動用軌道桁14,24と緩衝しないように、固定軌道桁13,23の先端を削除している。他の部分は移動用軌道桁14,24に小隙間で接触している。削除する変わりに、固定軌道桁13,23,移動用軌道桁14,24に櫛歯状の凸部を設け、お互いに噛み合わせてもよい。櫛歯の噛み合った箇所には移動用軌道桁14,24の櫛歯との間に緩衝防止用の隙間がある。
【0016】
分岐装置3は上り線1のモノレールカーが右端から下り線2の左端に走行させる場合に分岐させる。
【0017】
分岐装置3は、4本の円弧状の軌道桁31,32,33,34を直列に接続したものである。軌道桁31,32を第1の曲線路、33,34を第2の曲線路と言う。中心部の軌道桁32と、33は、回転台41に載せている。軌道桁31,32は下側に向けて凸の円弧状である。軌道桁33,34は上側に向けて凸の円弧状である。軌道桁31は分岐時に、固定軌道桁21に接続する。軌道桁34は分岐時に固定軌道桁12に接続する。軌道桁31,32,33,34は一体で水平方向に移動(回転)する。
【0018】
軌道桁32,33は、水平方向に移動(回転)するため、回転台41の上面に設置している。
【0019】
軌道桁31,24(34,14)の軌道桁21(12)側は、台車40に載っている。軌道桁14,24は台車40bに載っている。台車40,40bはレール41を走行できる。レール41は上方から見て円弧状である。
【0020】
60は、軌道桁31〜34,移動用軌道桁14,24を移動(回転)させるための駆動装置である。駆動装置60は、軌道桁31,34、移動用軌道桁24,14の先端部を移動させる。駆動装置60は、駆動力を発生する電動シリンダー61,リンク62,62b,63,64からなる。リンク63,64は軌道桁31,24,34,14の下面に連結している。この連結は、リンク63,64の先端に設置したローラ63r,63r,64r,64rが軌道桁31,24,34,14から下方に垂れ下がった2枚の板60pの間に挿入されている。前記板60pは軌道桁の長手方向に沿って設置されている。ローラrと板pとによって軌道桁を移動させることは、分岐装置において公知である(特許第
2633986号公報)。
【0021】
これによって電動シリンダー61によってリンク63,64が回転することによって、軌道桁31,24,34,14が水平方向に移動(回転)する。リンク62が縮小すると、線1,2の間にあった軌道桁31,34が軌道桁21,12側に移動し、軌道桁31,34が軌道桁21,12に接続する。リンク62を伸ばすと、軌道桁31,34は線1,2の間に戻る。リンク62は、電動シリンだ61のねじ軸が挿入された筒である。
【0022】
これによれば、分岐時には、分岐用の軌道桁30(31,32,33,34)を第1の本線1,第2の本線2側に移動(回転)して接続する。分岐軌道桁3の中心は回転台41に載っているので、容易に回転移動できる。また、分岐軌道桁3(31,32,33,
34)は分岐しやすいように予め円弧状に曲げておくことができるので、分岐の走行も容易にできる。
【0023】
66は、電動シリンダー61を設置したポストである。67,68はリンク64,65の回転中心のポストである。ポスト66,67,68は、基礎69に設置している。
【0024】
上記実施例では、電動シリンダー51、リンク62,63,64の駆動装置を用いているが、台車40,40bの回転輪を駆動力で回転させて移動させることができる。
【0025】
また、70は、軌道桁21,12に接続した軌道桁24,34を固定する固定装置である。固定装置70は、固定軌道桁21,12の下部に設置されている。軌道桁24,34が所定位置に至ると、シリンダー71のロッド72を突出させ、軌道桁31,34の下部を支える台車40の水平方向に設けた穴に挿入する。これによって、台車40のレール
42に沿った移動、台車40の浮き上がりを抑制できる。
【0026】
固定装置70は、線1,2を走行するモノレールの線の軌道桁13,24の下方にあればよい。移動用軌道桁14,24の下方に対しては、分岐した際には、モノレールカーは走行しないので、不要である。移動用軌道桁14,24は、リンク64を介して基礎に連結している。
【0027】
これによれば、電動シリンダー61によるリンク63の駆動によって、分岐を行うことができる。
【0028】
なお、上り線1の右側から下り線2の左側への走行について示したが、上り線1の左側から下り線2の右側への分岐は接続できるが、走行はできない。
【0029】
以上の様に本発明によれば、分岐桁を回転させれば分岐できるので、分岐装置を簡単な構成にできるものである。また、台車の下図を少なくでき、ロック装置も低減できるものである。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】図2を分岐させた状態の本発明の1実施例の平面図。
【図2】図2の直線走行状態の平面図。
【図3】図2のIII視図。
【図4】図1の左半分の拡大図。
【図5】図1の右半分の拡大図。
【図6】図2の左半分の拡大図
【図7】図2の右半分の拡大図。
【図8】図3の左半分の拡大図
【図9】図3の右半分の拡大図。
【符号の説明】
【0031】
1…上り線、2…下り線、11,12,14,21,22,23,31,32,33,34…軌道桁、13,24…移動軌道桁、30…分岐装置、40,40b…台車、41…レール、50…回転台、60…駆動装置、60p…板、61…電動シリンダー、62,
63,64,65…リンク、64r,65r…ローラ、66,67,68…ポスト、70…固定装置、71…シリンダー、72…ロッド。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
平行な2本の本線の間に分岐装置があり、
該分岐装置は、一方の本線と他方の本線とに接続するものであって、該一方の本線側に凸の円弧状の第1の曲線路と、他方の本線側に凸の円弧状の第2の曲線路とからなり、前記第1の曲線路と前記第2の曲線路とは連続しており、前記第1の曲線路と前記第2の曲線路との接続部は回転台に載せてあり、
前記第1の曲線路、前記第2の曲線路の前記一方の本線側、及び他方の本線側は前記回転台を中心として回転する台車に載せており、
前記第1曲線路または前記第2の曲線路には接続すべき前記一方の本線または前記他方の本線側に移動させる駆動装置が設置されており、
さらに、前記第1曲線路と前記第2の曲線路に平行な前記一方の本線の上流側の軌道桁は、前記第2の曲線路と一体に移動可能になっており、
さらに、前記第1曲線路と前記第2の曲線路に平行な前記他方の本線の下流側の軌道桁は、前記第1の曲線路と一体に移動可能になっていること、
を特徴とするモノレール用分岐装置。
【請求項2】
請求項1記載のモノレール用分岐装置において、
前記第2の曲線路に接続する前記一方の本線の下部に、該一方の本線に接続した第2の曲線路の前記台車に向けて突出するロッドがあること、
を特徴とするモノレール用分岐装置。
【請求項3】
請求項1記載のモノレール用分岐装置において、
前記第1曲線路または前記第2の曲線路を接続すべき前記一方の本線または前記他方の本線側に移動させる駆動装置は、前記第1の曲線路、または前記第2の曲線路の軌道桁の下方の基礎に設置したシリンダー装置と、該シリンダー装置と前記第1の曲線路、または前記第2の曲線路とを接続する複数のリンク装置と前記リンク装置は前記第1曲線路とまたは前記第2の曲線路の軌道桁の下面に設置した板の間に挿入したローラとからなり、
さらに、前記リンク装置は、前記移動用軌道桁の下面に設置した2枚の板の間に挿入したローラとからなること、
を特徴とするものレール用分岐装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate


【公開番号】特開2008−13137(P2008−13137A)
【公開日】平成20年1月24日(2008.1.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−188797(P2006−188797)
【出願日】平成18年7月10日(2006.7.10)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【出願人】(390010973)日立交通テクノロジー株式会社 (20)