説明

モータの異常診断装置

【課題】簡単な構成でモータに発生したガタ等の異常を正しく診断することができるモータの異常診断装置を提供する。
【解決手段】モータ10に駆動信号を出力するモータドライバ20と、モータの回転速度を検出する回転速度検出センサ30と、モータドライバに指令信号を出力するコントローラ22とを備え、コントローラ22は、モータの回転を周期的に変化させる異常診断指令信号を出力し、異常診断指令信号によってモータドライバを介してモータの回転が周期的に変化したときの回転速度検出センサからの回転速度検出信号を時系列的に順次取り込み、取り込まれた回転速度検出信号に基づき、異常の診断を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、モータに発生した異常を診断するモータの異常診断装置に関する。
【背景技術】
【0002】
モータは経年変化によって、例えばモータの出力軸とカップリングとの間等にガタが発生し、そのガタを起因として振動が発生し、その振動の影響を受けて、強度的に弱い部分が破壊して、最終的にモータが破壊されるといった経過をたどる傾向がある。
【0003】
このようなモータの破壊を防止するためには、最終的に破壊される段階に達する前に、モータの異常を検出し、それを評価する必要がある。
【0004】
例えば、特許文献1では、油圧ポンプまたは油圧モータの故障を診断する装置として、油圧ポンプ・モータの作動時の振動を検出する振動検出装置と、その振動検出装置の出力から周波数によって振動を分離する振動分離装置と、振動分離装置の出力から、構成部品の損傷によって影響を受ける振幅と構成部品の損傷によって影響を受けない振幅との比である損傷比を求め、この損傷比とあらかじめ求めておいた正常状態における損傷比との比を求めて構成部品の故障度合を求める判定装置と、を備えている。
【0005】
また、特許文献2では、モータ位置を入力し、目標とする位置指令にモータ位置が一致するよう位置制御及び速度制御を行い、トルク指令を出力する位置・速度制御部と、トルク指令を入力しモータへ電流指令を出力する電流制御部と、を備えるモータ制御装置において、モータ位置を検出するモータ位置検出器と、モータ位置の確率密度関数を演算する確率密度演算部とを備えている。そして、確率密度関数の標準偏差が閾値を越えた場合に、異常であると判定するようにしている。
【0006】
特許文献3では、位置/速度指令変換部により位置指令を入力して速度指令を出力し、速度が一定となる区間において、速度指令とモータ速度との差異を求め、差異信号により確率密度関数を推定・演算して、故障検出を行うようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特公平2−7008号公報
【特許文献2】特許第4240912号公報
【特許文献3】特開2006−158031号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、特許文献1においては、振動センサといったセンサが必要になり、装置が複雑・大型化するという問題がある。
【0009】
また、特許文献2においては、モータ位置の確率密度関数を演算するようにしているが、モータにガタが発生していても、モータ位置にはその影響は現れ難いため、モータの異常を適切に検出することができない。
【0010】
同様に、特許文献3においても、速度が一定になる区間におけるモータ速度の差異の確率密度関数を演算するようにしているが、モータにガタが発生していても、一定速度のモータにはその影響は現れ難いため、モータの異常を適切に検出することができない、という問題がある。
【0011】
本発明はかかる課題に鑑みなされたもので、簡単な構成でモータに発生したガタ等の異常を正しく診断することができるモータの異常診断装置を提供することをその目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を達成するために、本発明の請求項1記載の発明は、モータに発生した異常の診断を行うモータの異常診断装置であって、
モータに駆動信号を出力するモータドライバと、モータの回転速度を検出する回転速度検出センサと、モータドライバに指令信号を出力するコントローラとを備え、
前記コントローラは、
モータの回転速度を周期的に変化させる異常診断指令信号を出力する回転変更指令手段と、
前記異常診断指令信号によってモータドライバを介してモータの回転速度が周期的に変化したときの回転速度検出センサからの回転速度検出信号を時系列的に順次取り込む回転速度取り込み手段と、
前記取り込まれた回転速度検出信号に基づき、異常の診断を行う手段と、
を備えることを特徴とする。
【0013】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明において、前記モータドライバには、モータが駆動する被駆動系の状態量を検知する検知手段からの状態量検出信号が入力されており、
前記異常診断指令信号は、前記状態量を周期的に変化させる状態量制御指令信号であり、
前記モータドライバは、前記状態量検出信号が、前記状態量制御指令信号に従うように前記駆動信号をモータに出力することを特徴とする。
【0014】
請求項3記載の発明は、請求項2記載の発明において、前記状態量を周期的に変化させる状態量制御指令信号は、状態量の設定値をステップ的に変化させる方形波の指令信号であることを特徴とする。
【0015】
請求項4記載の発明は、請求項3記載の発明において、前記状態量は、モータによって駆動される被駆動系の圧力であることを特徴とする。
【0016】
請求項5記載の発明は、請求項1ないし4のいずれか1項に記載の発明において、前記異常の診断を行う手段は、前記取り込まれた回転速度検出信号と異常のない場合の回転速度検出信号である回転速度基準信号との差異、または回転速度検出信号から得られる指標値と異常のない場合の指標値である指標基準値との差異を求めることによって異常を診断する比較手段であることを特徴とする。
【0017】
請求項6記載の発明は、請求項5記載の発明において、前記比較手段は、前記取り込まれた回転速度検出信号のフーリエ変換を行い、前記状態量制御指令信号の周波数における値と、他の周波数におけるピーク値との比較を前記指標値とすることを特徴とする。
【0018】
請求項7記載の発明は、請求項5記載の発明において、前記比較手段は、前記取り込まれた回転速度検出信号と回転速度基準信号との差分または相関を求めることを特徴とする。
【発明の効果】
【0019】
異常診断指令信号によって、モータの回転を周期的に変化させたときの回転速度検出信号は、ガタ等の異常が発生している異常の場合と正常の場合との差異が顕著に表れる。よって、本発明によれば、この回転速度検出信号を用いることにより、簡単な構成で異常の診断を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の実施形態による異常診断装置、診断の対象となるモータ及びモータによって駆動される被駆動系を含む構成を表すブロック図である。
【図2】コントローラのブロック図である。
【図3】異常診断指令信号、モータドライバからの電流信号、回転速度検出信号の時間変化を上下に並べて示した具体例であり、上段が正常な場合、下段が異常のある場合を示す。
【図4】異常診断指令信号と、異常がある場合と正常な場合の回転速度検出信号との関係を表す図である。
【図5】比較手段における比較の具体例を表す図である。
【図6】本発明の他の実施形態による異常診断装置、診断の対象となるモータ及びモータによって駆動される被駆動系を含む構成を表すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態について説明する。
【0022】
図1は、本発明の実施形態による異常診断装置、診断の対象となるモータ及びモータによって駆動される被駆動系を含む構成を表している。
【0023】
この例では、本実施形態の異常診断装置の対象となるモータであるサーボモータ10によって駆動される被駆動系は、油圧装置となっている。
【0024】
具体的には、サーボモータ10は、その出力軸がカップリング12を介して油圧ポンプ14に連結されており、油圧ポンプ14は、流路18を介して油圧式アクチュエータ16に連結されている。油圧ポンプ14が正回転することにより、油圧ポンプ14から作動油が吐出されて、流路18を介して油圧式アクチュエータ16へと導かれる。また、油圧ポンプ14が逆回転することにより、油圧ポンプ14から吸引されて、流路18を介して作動油が油圧アクチュエータ16から戻る。油圧アクチュエータ16の例としては、射出装置を備える射出シリンダとすることができる。
【0025】
サーボモータ10は、モータドライバ20からの駆動信号である電流信号によって駆動され、さらにモータドライバ20は、コントローラ22からの指令信号によって制御される。
【0026】
サーボモータ10には、サーボモータ10の回転速度を検出する回転速度検出センサとしてのエンコーダ30が内蔵され、エンコーダ30からの回転速度検出信号はモータドライバ20に供給されてサーボ制御がなされるようになっている。
【0027】
さらに、油圧装置の1つの状態量である圧力を検出する状態量検知手段としての圧力検知器32が流路18等に設けられており、圧力検知器32からの圧力検出信号は、モータドライバ20に供給される。
【0028】
コントローラ22は、通常作業時の油圧装置の流量・圧力制御を行う流量・圧力制御部22Aと、サーボモータ10に異常が発生したかどうかの検出または評価を行う異常診断部22Bと、を備え、これらは、いずれもソフトウェアで構成することができる。外部からの操作によって、流量・圧力制御部22A及び異常診断部22Bのいずれかが起動され、いずれかから出された指令信号がモータドライバ20に出力されるようになっている。
【0029】
通常作業時は、流量・圧力制御部22Aが作動し、流量・圧力制御部22Aから指令信号がモータドライバ20に出力されて、油圧装置の制御を行う。
【0030】
例えば、油圧装置の流量制御が行われる場合、流量・圧力制御部22Aから流量指令信号がモータドライバ20に出力される。モータドライバ20は、エンコーダ30からの回転速度検出信号のフィルタリング処理を適宜行い、処理後の速度信号が流量指令信号に追従するように、サーボモータ10をフィードバック制御する。
【0031】
また、例えば、油圧装置の圧力制御が行われる場合、流量・圧力制御部22Aから圧力指令信号がモータドライバ20に出力される。モータドライバ20は、圧力検出器32からの圧力検出信号のフィルタリング処理を適宜行い、処理後の圧力検出信号が圧力指令信号に追従するように、サーボモータ10をフィードバック制御する。
【0032】
サーボモータ10の出力軸とカップリング12との連結は、任意の方法で行うことができるが、例えば、キー溝とキーとの嵌合、またはボルト等の締付要素によって締め付け固定することができる。経年変化により、キー溝が摩耗してその溝幅が許容値を超えたり、または締付要素が弛緩したりすることにより、サーボモータ10の出力軸とカップリング12との間にガタが発生し、このガタを要因としてサーボモータ10の回転に異常が発生する。
【0033】
そこで、この異常を検出するための異常診断部22Bは、図2に示すように、サーボモータ10の回転速度を周期的に変化させる異常診断指令信号を出力する回転変更指令手段40と、エンコーダ30からの回転速度検出信号を時系列的に取り込む回転速度取り込み手段42と、回転速度取り込み手段42で取り込まれた回転速度検出信号を必要に応じて格納する格納手段44と、取り込まれた回転速度検出信号から異常の診断を行う比較手段46と、を備える。
【0034】
回転変更指令手段40が出力する、サーボモータ10の回転速度を周期的に変化させるための異常診断指令信号としては、例えば次のようなものを用いることができる。
・ 圧力の設定値をステップ的に変化させる方形波の圧力指令信号
・ 圧力の設定値を線形的に変化させる三角波の圧力指令信号
・ 圧力の設定値を正弦的に変化させる正弦波の圧力指令信号
・ 流量の設定値をステップ的に変化させる方形波の流量指令信号
・ 流量の設定値を線形的に変化させる三角波の流量指令信号
・ 流量の設定値を正弦的に変化させる正弦波の流量指令信号
【0035】
これら各指令信号を用いて種々の実験を行った結果によれば、圧力の設定値をステップ的に変化させる方形波の圧力指令信号を異常診断指令信号として用いることが最も好ましい。
【0036】
また、異常診断指令信号の周波数は任意に設定可能であるが、少なくとも通常作動時に流量・圧力制御部22Aから出力される指令信号の周波数よりも高く、好ましくは、10Hz以上とすることが好ましい。また、その振幅は、中心値に対して、好ましくは、±10%以上とすることが好ましい。
【0037】
モータの回転の変化は、好ましくは、サーボモータ10が正逆回転を交互に行うように変化させることが望ましい。設定圧力を周期的に変化させる場合には、サーボモータ10が正逆回転を交互に行うようになる。但し、これに限らず、同方向の回転における回転速度の変化であってもよい。サーボモータ10に大きな角減加速度を発生させることが重要である。
【0038】
回転変更指令手段40から異常診断指令信号がモータドライバ20に出力されると、モータドライバ20は、その異常診断指令信号に応じた電流信号をサーボモータ10に出力し、サーボモータ10が回転駆動される。このサーボモータ10の回転をエンコーダ30で検出して、その回転速度検出信号を時系列的に取り込むと、異常がある場合と正常な場合とで、その波形に差異が発生する。
【0039】
図3は、その具体例を示す。この例では、圧力の設定値(4MPa±1MPa)をステップ的に変化させており、方形波の圧力指令信号を用いた異常診断指令信号が回転変更指令手段40からモータドライバ20に出力されている。モータドライバ20は、圧力検知器32からの圧力検出信号がこの異常診断指令信号である圧力指令信号に追従するように、サーボモータ10へ出力する電流を制御し、よって、サーボモータ10は周期的に正逆回転を行う。
【0040】
図3は、異常診断指令信号、モータドライバ20からの電流信号、回転速度検出信号の時間変化を上下に並べて示したものであり、上段が正常な場合を、下段が異常のある場合を示す。図3から分かるように、正常な場合と異常のある場合とで、モータドライバ20からサーボモータ10へと出力される電流信号には差異はないものの、エンコーダ30から得られる回転速度検出信号には差異が現れる。この差異を図4に示す。正常な場合には、圧力の設定値が変化するのに応じてサーボモータ10の回転が正回転から逆回転へと円滑に移行するのに対して、異常がある場合、即ち、サーボモータ10またはサーボモータ10とカップリング12との間にガタがある場合には、特に正回転から逆回転へと移行する際に無負荷に近い状態になり、正回転から逆回転へと移行する際にサーボモータ10のロータに一瞬に速い動きが生じることにより、これが回転速度検出信号の波形に高周波成分として重畳されて、現れるものと考えられる。
【0041】
よって、回転速度取り込み手段42は、エンコーダ30から得られる回転速度検出信号を時系列的に取り込み、格納手段44に格納する。エンコーダ30からの実データが、パルス信号である場合、回転速度取り込み手段42は、このパルス信号の計数を行い回転速度検出信号に変換する。このときに、前記高周波成分が除去されないようにする必要がある。従って、この回転速度検出信号は、前記フィードバック制御に用いられるフィルタリング処理後の速度信号とは異なるものである。
【0042】
比較手段46では、この時系列的に順次得られた回転速度検出信号から任意の基準に基づき、異常発生の有無の判断及び異常の評価を行い、異常の診断を行う。
【0043】
この異常発生の有無の判断及び異常の評価処理としては、任意の処理が可能であるが、例えば次の処理とすることができる。
【0044】
・正常な場合に、同じ条件での実験又は計算により取得した回転速度検出信号を回転速度基準信号として予め格納手段44において格納しておく。
【0045】
比較手段46は、回転速度検出信号と回転速度基準信号との差分の絶対値を一定の期間積分し、その積分値が閾値を超えた場合または閾値以上である場合に、異常が発生していると判断する。及び/または、その積分値によって異常の程度を評価する(図5(a)参照)。
【0046】
・正常な場合に、同じ条件での実験又は計算により取得した回転速度検出信号を回転速度基準信号として予め格納手段44において格納しておく。
【0047】
比較手段46は、回転速度検出信号と回転速度基準信号との相関をとり、その相関値が閾値未満または閾値以下である場合に、異常が発生していると判断する。及び/または、その相関値によって異常の程度を評価する(図5(b)参照)。
【0048】
・比較手段46は、回転速度検出信号のフーリエ変換を行う。正常である場合には、回転変更指令手段40から指令信号の周波数を基本周波数f0として一次ピークが発生し、それ以外の周波数の強度は小さい。異常がある場合、図4に示すように、基本周波数f0に高周波成分が重畳しているために、その高周波成分にも比較的大きな二次ピークが発生する。この基本周波数の一次ピークP0と、それよりも高周波の二次ピークP1との比率を求めてこれを指標とし、その比率P1/P0が閾値(指標基準値)以上である場合に、異常が発生していると判断する。及び/または、その比率の値によって異常の程度を評価する(図5(c)参照)。
【0049】
例えば、異常の程度の評価は、差分または相関値、若しくは比率を複数段階に分けて、そのいずれの段階になるかに応じて、行うことができ、その比較手段46は、その診断結果を出力する。または異常の程度が高い場合に、アラーム信号を出力し、作業者に視覚的または聴覚的警報によって異常を知らしめることができる。
【0050】
前述のように、本発明のコントローラ22の異常診断部22Bはソフトウェアで構成することができるために、新たなハードウェアの設置を不要とすることができて、簡単な構成で異常の診断を行うことができる。
【0051】
モータの回転速度を周期的に変化させることで、一定の回転速度または通常作業時におけるより低い周波数での回転速度の変化では顕在化しない異常を、回転速度検出信号において、顕在化することができるので、高精度に異常を診断することができるようになる。
【0052】
図1に示した実施形態では、エンコーダ30からの回転速度検出信号がモータドライバ20とコントローラ22とに送られていたが、これに限るものではなく、図6に示すように、エンコーダ30からの回転速度検出信号は、コントローラ22に送られ、異常診断時に回転速度取り込み手段42で取り込まれると共に、常時コントローラ22を介してモータドライバ20へと送られるようにすることもできる。
【0053】
また、以上説明した実施形態では、コントローラ22に流量・圧力制御部22Aと異常診断部22Bとが設けられていたが、これに限るものではなく、流量・圧力制御用コントローラと、異常診断用コントローラとを分離して設けることも可能である。また、その場合、異常診断用コントローラは、モータドライバに対して着脱可能として、異常診断を行うとき等、一時的にモータドライバに接続されるようにすることも可能である。
【0054】
異常診断部22Bは、定期的に診断を行うことが好ましい。例えば、作業開始時、規定時間経過後、規定時間作業経過後、等の任意のタイミングで行うことができる。
【0055】
さらには、以上の例では、油圧装置の圧力制御用の圧力指令信号または流量制御用の流量指令信号を周期的に変化させて、モータの回転速度を周期的に変化させていたが、これに限るものではなく、被駆動系またはモータに位置検出センサまたはトルク検出センサが設けられており、状態量としての位置またはトルクを検出することが可能となっている場合には、位置制御用の位置指令信号またはトルク制御用のトルク指令信号を周期的に変化させて、モータの回転速度を周期的に変化させることもできる。このように状態量としては、被駆動系のフィードバック変数としての任意のものを使用することができる。
【符号の説明】
【0056】
10 モータ(サーボモータ)
20 モータドライバ
22 コントローラ
22B 異常診断部
30 エンコーダ(回転速度検出センサ)
32 圧力検知器(検知手段)
40 回転変更指令手段
42 回転速度取り込み手段
46 比較手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
モータに発生した異常の診断を行うモータの異常診断装置であって、
モータに駆動信号を出力するモータドライバと、モータの回転速度を検出する回転速度検出センサと、モータドライバに指令信号を出力するコントローラとを備え、
前記コントローラは、
モータの回転速度を周期的に変化させる異常診断指令信号を出力する回転変更指令手段と、
前記異常診断指令信号によってモータドライバを介してモータの回転速度が周期的に変化したときの回転速度検出センサからの回転速度検出信号を時系列的に順次取り込む回転速度取り込み手段と、
前記取り込まれた回転速度検出信号に基づき、異常の診断を行う手段と、
を備えることを特徴とするモータの異常診断装置。
【請求項2】
前記モータドライバには、モータが駆動する被駆動系の状態量を検知する検知手段からの状態量検出信号が入力されており、
前記異常診断指令信号は、前記状態量を周期的に変化させる状態量制御指令信号であり、
前記モータドライバは、前記状態量検出信号が、前記状態量制御指令信号に従うように前記駆動信号をモータに出力することを特徴とする請求項1記載のモータの異常診断装置。
【請求項3】
前記状態量を周期的に変化させる状態量制御指令信号は、状態量の設定値をステップ的に変化させる方形波の指令信号であることを特徴とする請求項2記載のモータの異常診断装置。
【請求項4】
前記状態量は、モータによって駆動される被駆動系の圧力であることを特徴とする請求項3記載のモータの異常診断装置。
【請求項5】
前記異常の診断を行う手段は、前記取り込まれた回転速度検出信号と異常のない場合の回転速度検出信号である回転速度基準信号との差異、または回転速度検出信号から得られる指標値と異常のない場合の指標値である指標基準値との差異を求めることによって異常を診断する比較手段であることを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1項に記載のモータの異常診断装置。
【請求項6】
前記比較手段は、前記取り込まれた回転速度検出信号のフーリエ変換を行い、前記状態量制御指令信号の周波数における値と、他の周波数におけるピーク値との比較を前記指標値とすることを特徴とする請求項5記載のモータの異常診断装置。
【請求項7】
前記比較手段は、前記取り込まれた回転速度検出信号と回転速度基準信号との差分または相関を求めることを特徴とする請求項5記載のモータの異常診断装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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