モータ
【課題】 部品点数を削減すると共に、製造工数とコストを低減することができるモータを提供する。
【解決手段】 モータ1に設けたコンミテータ8の樹脂円筒部9の一端面9aには2つの係合凹部9bが設けられている。端面9aにマグネット10が当接するように配置されている。マグネット10の他側面10cには2つの係合凹部10dが形成されている。マグネット10は一端がコンミテータ8の端面9aに当接し他端がブッシュ11により保持している。ブッシュ11は、樹脂材料により成形され、円筒体11cの一側端にフランジ状の円盤部11aが延出形成されている。円盤部11aの一端面11bには係止手段としての2つの係合凸部11dが形成されている。円筒体11cの端面11fに2つの係合突起11gが形成されている。
【解決手段】 モータ1に設けたコンミテータ8の樹脂円筒部9の一端面9aには2つの係合凹部9bが設けられている。端面9aにマグネット10が当接するように配置されている。マグネット10の他側面10cには2つの係合凹部10dが形成されている。マグネット10は一端がコンミテータ8の端面9aに当接し他端がブッシュ11により保持している。ブッシュ11は、樹脂材料により成形され、円筒体11cの一側端にフランジ状の円盤部11aが延出形成されている。円盤部11aの一端面11bには係止手段としての2つの係合凸部11dが形成されている。円筒体11cの端面11fに2つの係合突起11gが形成されている。
【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、モータに係り、詳しくは、回転軸に取着される被回転検出体の取付構造に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、モータの回転速度を検出する回転速度検出装置は、モータの回転軸と一体回転する被回転検出体(マグネット)の通過を近接位置から回転検出体(ホール素子)で検出するものが知られている。
【0003】図22は従来の被回転検出体(マグネット)の取付構造の一例を示す。図22はモータ21の電機子22の要部拡大図であって、電機子22の回転軸23に固定されているマグネット24は、金属ブッシュ25に接着剤にて接着させた後、その金属ブッシュ25と共に回転軸23に圧入固定されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ところで、前記金属ブッシュ25を回転軸23に対して回転不能に圧入固定するために、金属ブッシュ25と回転軸23との嵌合精度が高く要求される。つまり、金属ブッシュ25の貫通孔25aと回転軸23との加工精度が高く要求されていた。また、前記金属ブッシュ25とマグネット24とを一体に接着連結させるためには、マグネット24を金属ブッシュ25に接着させる接着工程及びその後の乾燥工程を必要とした。
【0005】また、モータ21の回転中において、前記マグネット24は回転軸23を支持する軸受26と直接に当接(摺動)するため摩耗又は破損が発生する。そこで、マグネット24の摩耗又は破損を防止するために、マグネット24と軸受26との間に樹脂ワッシャ27を介在させていた。その結果、モータの部品点数と製造工数が多くて、モータのコストが高くなるといった問題がある。
【0006】本発明は上記問題を解決するためになされたものであって、その目的は部品点数を削減すると共に、製造工数とコストを低減することができるモータを提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記問題点を解決するため、請求項1に記載の発明は、ステータ及びホルダに回転可能に支持される回転軸と、前記回転軸に固定されるコンミテータと、一側面が前記コンミテータの一端面に当接するように配設される被回転検出体と、前記被回転検出体の他側面側に配置され、前記コンミテータとの間で前記被回転検出体を挟持固定するブッシュとを有することを要旨とした。
【0008】請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のモータにおいて、前記ブッシュは、前記回転軸が挿入されるとともに、前記被回転検出体を支持する支持部と、前記支持部の一端に形成させ、前記コンミテータの一端面と係合し前記支持部と前記コンミテータとの相対回動を規制する係合手段と、前記支持部の他端に径方向に延出形成され、前記被回転検出体の他側面と当接する側面支持部と、前記側面支持部に形成され、前記被回転検出体と係合し前記ブッシュと前記被回転検出体との相対回動を規制する係止手段とからなることを要旨とした。
【0009】請求項3に記載の発明は、請求項1に記載のモータにおいて、前記ブッシュは、前記回転軸が挿入されるとともに、前記被回転検出体を支持する支持部と、前記支持部の一端に形成させ、前記コンミテータの一端面と係合し前記支持部と前記コンミテータとの相対回動を規制する係合手段と、前記支持部の他端に径方向に延出形成され、前記被回転検出体の他側面と当接する側面支持部と、前記支持部に形成され、前記被回転検出体と係合し前記ブッシュと前記被回転検出体との相対回動を規制する係止手段とからなることを要旨とした。
【0010】請求項4に記載の発明は、請求項2又は3に記載のモータにおいて、前記係合手段は、前記コンミテータの一端面に形成された係合凹部(9b)に係合する係合突起であって、その先端部がテーパ状に形成されていることを要旨とした。
【0011】請求項5に記載の発明は、請求項2又は3に記載のモータにおいて、前記支持部に延出形成した側面支持部の他端側は、前記回転軸を支持する軸受の一側面が摺接されるコンミテータが取着されたことを要旨とした。
【0012】(作用)従って、請求項1に記載の発明によれば、被回転検出体はコンミテータとブッシュとで挟持固定される。
【0013】請求項2に記載の発明によれば、ブッシュの支持部は、回転軸が挿入されると共に、被回転検出体を支持することができる。また、前記支持部の一端に形成された係合手段は、コンミテータの一端面と係合することによって、支持部とコンミテータとの相対回動を規制することができる。さらに、側面支持部に形成された係止手段は、前記被回転検出体の他側面と係合することによって、前記ブッシュと前記被回転検出体との相対回動を規制することができる。
【0014】請求項3に記載の発明によれば、ブッシュの支持部は、回転軸が挿入されると共に、被回転検出体を支持することができる。また、前記支持部の一端に形成された係合手段は、コンミテータの一端面と係合することによって、支持部とコンミテータとの相対回動を規制することができる。さらに、支持部に形成された係止手段は、前記被回転検出体の他側面と係合することによって、前記ブッシュと前記被回転検出体との相対回動を規制することができる。
【0015】請求項4に記載の発明によれば、係合手段としての係合突起は、コンミテータの一端面に形成された係合凹部と係合することによって、支持部とコンミテータとの相対回動を規制することができる。しかも、係合突起の先端部をテーパ状に形成されているため、係合突起を容易に係合凹部に挿入係合させることができる。
【0016】請求項5に記載の発明によれば、被回転検出体が直接に軸受と摺接することを防止することができる。
【0017】
【発明の実施の形態】以下、本発明を車両用シート位置検出機能付きモータに具体化した実施の一実施形態を図1R>1〜図5に従って説明する。
【0018】図1に示すように、モータ1は、ステータ2及び回転速度検出装置3のホルダ3a内に電機子4が回転可能に収容されている。電機子4の回転軸5は、両端において軸受6,7により回動可能に支持されている。図2に示すように、コンミテータ8はその樹脂円筒部9を介して回転軸5に固定されている。
【0019】前記樹脂円筒部9は、図3及び図4に示すように、その電機子4の反対側の端面9aに2つの係合凹部9bを設けている。前記2つの係合凹部9bは互いに回転軸5の中心軸線を介して相対向すると共に、樹脂円筒部9の内周面に沿って設けられている。また、図1及び図2に示すように、前記端面9aには被回転検出体としてのマグネット10が当接するように配置されている。
【0020】前記マグネット10は、図3及び図4に示すように、貫通孔10aを有する円環状を呈し、その円環状の半分がN極に残り半分がS極に分極されている。前記端面9aに当接する一側面10bの反対側端面の他側面10cには、2つの係合凹部10dが形成されている。前記2つの係合凹部10dは、円環状マグネット10の中心軸線を介して相対向するように形成されている。そして、図1及び図2に示すように、前記マグネット10は一端がコンミテータ8の端面9aに当接し他端がブッシュ11により保持されるようになっている。
【0021】前記ブッシュ11は、樹脂材料により成形されている。図3〜図5に示すように、支持部としての円筒体11cの一側端にフランジ状の側面支持部としての円盤部11aが延出形成されている。そして、円筒体11cに形成される貫通孔11eは前記回転軸5を内嵌すると共に、円筒体11cの外周面は前記マグネット10の内側を支持するようになっている。前記円盤部11aの一端面11bには係止手段としての2つの係合凸部11dが形成されている。前記2つの係合凸部11dは、図4に示すように、縦断面略正方形であり、前記ブッシュ11の中心軸線を介して相対向するように形成されている。なお、円盤部11aの一端面11bの反対側の面は前記軸受6の一側面と摺接するようになっている。さらに、前記円筒体11cの端面11fに係合手段としての2つの係合突起11gが形成されている。前記2つの係合突起11gは、円筒体11cの中心軸線を介して相対向するように形成されている。また、円盤部11aの一端面11bの反対側の面に、軸受6との当接面積を減少して摺動ロスを少なくするためのリブ(図示せず)を設けてもよい。
【0022】なお、本実施形態では、前記係合凸部11dの高さd1をマグネット10に形成された前記係合凹部10dの深さd2より若干小さく設定している。また、係合凸部11dと係合凹部10dの周方向の幅は同じ幅に設定し、係合凸部11dはスムースに且つガタ付くことなく係合凹部10dが係合するようになっている。前記円筒体11cの高さh1をマグネット10の厚さh2より若干小さく設定している。前記貫通孔11eの直径は前記回転軸5に圧入係合できる値に設定している。また、前記円筒体11cの外径はマグネット10の前記貫通孔10aの直径と同じになるように設定している。さらに、前記係合突起11gの高さd3を樹脂円筒部9に形成された前記係合凹部9bの深さd4より若干小さく設定している。また、係合突起11gと係合凹部9bの周方向の幅は同じ幅に設定し、係合突起11gはスムースに且つガタ付くことなく係合凹部9bに係合するようになっている。前記係合突起11gと前記係合凸部11dとの成す角度θを90度に設定している。
【0023】そして、前記マグネット10を電機子4に取り付けるときにおいて、まず、係合凸部11dを係合凹部10dに係合させるようにブッシュ11の円筒体11cをマグネット10の貫通孔10aに貫挿させる。次に、係合突起11gを係合凹部9bに係合させるように一体となっているマグネット10とブッシュ11とを回転軸5に圧入させる。このとき、マグネット10は他側面10cがブッシュ11の円盤部11aの端面11bに当接し一側面10bがコンミテータ8の樹脂円筒部9の端面9aに当接するように挟持保持される。
【0024】次に、上記のように構成されたモータ1の特徴を説明する。
(1)本実施形態では、マグネット10をブッシュ11に対してそれぞれ係合凹部10dと係合凸部11dが係合するように重ね合わせる。次に、マグネット10を支持したブッシュ11を、ブッシュ11の係合突起11gがコンミテータ8の樹脂円筒部9の一端面9aに形成した係合凹部9bに係合するように、回転軸5に圧入した。
【0025】従って、ブッシュ11は係合突起11gと係合凹部9bとの係合によりコンミテータ8,即ち回転軸5に対して相対回動しない。そして、そのブッシュ11に対してマグネット10は係合凹部10dと係合凸部11dの係合により相対回動しない。つまり、マグネット10はコンミテータ8,即ち回転軸5に対して相対回動しないように支持される。しかも、マグネット10は、ブッシュ11とコンミテータ8とにより挟持保持される。
【0026】その結果、ブッシュ11を回転軸5に圧入係合する時の係合精度は高くなくてもマグネット10を回転方向及び軸線方向に対してガタ付くことなく確実に固定させることができる。そして、ブッシュ11と回転軸5との加工精度が高く要求されないため、製造コストの低減を図ることができる。
【0027】また、マグネット10をブッシュ11に接着させる必要がないため、モータ1の組立工数を低減することができる。
(2)本実施形態では、マグネット10と軸受6との間にブッシュ11が介在されているので、従来技術のモータに比べ、マグネット10が直接に軸受6と摺動されることにより起因するマグネット10の摩耗又は破損を防止するために設けられた樹脂ワッシャを省略することができる。
【0028】(3)本実施形態では、ブッシュ11の円筒体11cの高さh1をマグネット10の厚さh2より若干小さく設定し、ブッシュ11の係合突起11gの高さd3を樹脂円筒部9に形成された係合凹部9bの深さd4より若干小さく設定している。
【0029】従って、係合突起11gを係合凹部9bに係合させるようにマグネット10をブッシュ11とともに回転軸5に圧入させるとき、マグネット10は他側面10cがブッシュ11の円盤部11aの端面11bに当接し一側面10bがコンミテータ8の樹脂円筒部9の端面9aに当接するように挟持保持される。
【0030】その結果、コンミテータ8とともに回転されるマグネット10は、回転軸5の軸線方向及び半径方向のガタツキを防止することができ、そのガタツキによる異音の発生を防止することができる。
【0031】なお、実施形態を以下のよう変更してもよい。
○上記実施形態では、ブッシュ11の貫通孔11eの直径は回転軸5に圧入係合できる値に設定したが、貫通孔11eの直径を回転軸5に対して圧入しないでスムースに係合する値に設定してもよい。そして、ブッシュ11に形成した係合突起11gを樹脂円筒部9の端面9aに形成した係合凹部9bに対して圧入係合させる。この場合にも、上記実施形態と同様な効果を得ることができる。
【0032】○上記実施形態では、マグネット10の他側面10cに係合凹部10dが形成されていることに対し、ブッシュ11の円盤部11aの端面11bに係合凸部11dが形成されているように実施したが、係合凹部10dが係合凸部のように形成され、係合凸部11dが係合凹部のように形成して実施してもよい。この場合、上記実施形態と同様な効果を得ることができる。
【0033】○さらに、上記実施形態では、ブッシュ11に形成された係合突起11gと係合凸部11dとの成す角度θを90度に設定して実施したが、係合突起11gと係合凸部11dとの成す角度θを90度以外0〜360度の範囲で設定して実施してもよい。この場合、上記実施形態と同様な効果を得ることができる。
【0034】○上記実施形態では、ブッシュ11の円筒体11cの高さh1をマグネット10の厚さh2より若干小さく設定して実施したが、ブッシュ11の円筒体11cの高さh1をマグネット10の厚さh2より大きく設定して実施してもよい。この場合において、図6及び図7に示すように、前記樹脂円筒部9の一端面9aに円筒体11cを嵌入させることができる凹部9cを設け、その凹部9cの底部に係合凹部9bを設け、しかもその凹部9cの深さh3をh1とh2との差(h1−h2)より若干大きく設定すれば、上記実施形態と同様な作用効果を奏することができる。
【0035】○また、上記実施形態では、係合凸部11d及び係合凹部10dは、図4に示すように、縦断面略正方形のように形成されて実施したが、係合凸部11dを、例えば図8(a)〜(g)に示すような係合突起11dにて実施してもよい。この場合、前記係合凹部10dを係合突起11dと対応する形状にて設ければ、上記実施形態と同様な効果を得ることができる。
【0036】○また、上記実施形態では、マグネット10の他側面10cに係合凹部10dが形成され、ブッシュ11の円盤部11aの端面11bに係合凸部11dが形成されているように実施したが、図9に示すように、係合凸部11dと係合凹部10dとを省略した構成にて実施してもよい。詳述すると、ブッシュ11の円筒体11cの円筒部に係止手段としての切り込み溝11hを設け、マグネット10の貫通孔10aの内周面に回転軸5の貫挿を邪魔しないように係合凸部10eを設ける。また、前記係合凸部10eは、図10及び図11に示すように、軸線方向に一部分だけにて係合突起のように設けられてもよい。また、図11に示す係合凸部10eと対応して、ブッシュ11の前記切り込み溝11hは、前記係合凸部10eの軸線方向長さより若干深く設けてもよい。さらに、前記係合凸部10eの縦断面は略正方形以外の形状、例えば円弧形、多角形などの形状にて実施してもよい。この場合、上記のような係合凸部11dと係合凹部10dとを省略したいずれかの構成であっても上記実施形態と同様な作用効果を奏することができる。
【0037】○上記実施形態の円盤部11aにおいて、図12及び図13に示すように、円筒体11cに向かう切り起こし11iを形成して実施してもよい。この場合、上記実施形態の効果に加え、前記ブッシュ11とコンミテータ8とにてマグネット10を挟持保持するとき、切り起こし11iの弾性反発力によって前記ブッシュ11は常にマグネット10を付勢することができ、マグネット10の軸方向のガタツキを防止することができる。
【0038】○上記実施形態の円筒体11cにおいて、図14及び図15に示すように、円筒体11cの軸方向に沿って切り起こし11jを形成して実施してもよい。この場合、上記実施形態の効果に加え、円筒体11cがマグネット10の貫通孔10aに挿入するとき、切り起こし11jの弾性反発力によって前記ブッシュ11は常にマグネット10を付勢することができ、マグネット10の軸方向及び径方向のガタツキを防止することができる。
【0039】○また、上記実施形態の樹脂円筒部9及びマグネット10とブッシュ11を、図16及び図17(a),(b)に示すように形成して実施してもよい。詳述すると、図16に示すように、樹脂円筒部9の端面9aに3つの係合凹部9bを設けている。前記3つの係合凹部9bは互いに等角度間隔になると共に、樹脂円筒部9の内周面に沿って設けられている。マグネット10は円環状に形成されている。また、ブッシュ11は、図1616及び図17(a),(b)に示すように、円筒体11cの一側端にフランジ状の円盤部11aが延出形成されている。円盤部11aには、円筒体11cの根本から円筒体11cの外周面に沿って互いに等角度間隔を成す3つの円弧貫通孔11mが設けられている。そして、貫通孔11eの内周面に、それぞれの円弧貫通孔11mと対応する位置に軸方向に沿って切り込み11nを入れることによって、円筒体11cの外周面は、その切り込み11nと対応する位置に軸方向に沿って突出部11pが円筒体11cの外周面から突出形成される。また、円筒体11cの端面11fには3つの係合突起11gが互いに等角度間隔に突出形成されている。
【0040】この場合、上記実施形態に比べ、ブッシュ11とマグネット10に形成される係合手段の替わりに、円筒体11cの外周面に突出部11pが形成されているので、円筒体11cをマグネット10の貫通孔10aに挿入するとき、前記突出部11pの弾性変形によってマグネット10は円筒体11cにより弾性保持される。その結果、ブッシュ11とマグネット10との相対回動を規制することができる。
【0041】○上記実施形態のブッシュ11の側面支持部としての円盤部11aを、図18に示すように、ある一定の間隔を有して径方向に延びるリブ状に形成してよい。この場合、上記実施形態と同様な効果を得ることができる。
【0042】○また、上記実施形態のブッシュ11の円筒部11cを、図19に示すように、ある一定の間隔を有する複数の柱のように形成してもよい。この場合、上記実施形態と同様な効果を得ることができる。
【0043】○上記実施形態の回転軸5を支持する軸受6の一側面と摺接する前記円盤部11aの他端側は、その表面に、図20に示すように、軸受6の方向に向かう複数の切り起こし11rが形成されて実施してもよい。この場合、上記実施形態の効果に加え、切り起こし11rの弾性変形によって、ブッシュ11と軸受6とは常に摺接し合うことができる。その結果、ブッシュ11とマグネット10の軸方向のガタツキをさらに防止することができる。
【0044】○上記実施形態の係合突起11g及び係合凹部9bを、図21に示すように実施してもよい。詳述すると、係合突起11gの先端部11sをテーパ状になるように面取りして、係合凹部9bを前記係合突起11gの先端部11sと対応するようにテーパ状に設ける。この場合、上記実施形態と同様な作用効果を奏することができると共に、係合突起11gを容易に係合凹部9bに挿入係合させることができる。また、前記先端部11sがテーパ状に限定されなく、テーパ状以外の形状、例えば半球状、多角錐状、円錐状などの形状にて実施してもよい。この場合、前記先端部11sと対応する形状の係合凹部9bを設ければ、上記と同様な効果を奏することができる。
【0045】○上記実施形態では、ブッシュ11の円筒体11cに形成された係合突起11gと、樹脂円筒部9の一端面9aに形成された係合凹部9bと、マグネット10の他側面10cに形成された係合凹部10dと、ブッシュ11の円盤部11aの端面11bに形成された係合凸部11dとは、それぞれ中心軸線を介して相対向するように2つ(一対)設けたが、係合突起11gと係合凹部9b、及び、係合凹部10dと係合凸部11dはそれぞれ相対応する位置に設けられれば、互いに中心軸線を介して相対向しないように2つ又は2つ以上設けて実施してもよい。この場合、上記実施形態と同様な効果を得ることができる。
【0046】○上記実施形態では、本発明を車両用シート位置検出機能付きモータに具体化して実施したが、車両用シート位置検出機能付きモータに限定されなく、他のセンサ検出機能付きモータ又はセンサ用マグネット固定構造を有するモータに具体化して実施してもよい。この場合、上記実施形態と同様な効果を得ることができる。
【0047】
【発明の効果】以上詳述したように、請求項1〜5に記載の発明によれば、モータの部品点数を削減すると共に、モータの製造工数とコストを低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のモータの断面図。
【図2】同じくモータの要部拡大図。
【図3】同じくモータの要部組立前の斜視図。
【図4】同じくモータの要部組立前の側面図。
【図5】ブッシュの図4におけるK方向正面図。
【図6】別例のモータの要部組立前の側面図。
【図7】別例のコンミテータの図6におけるP方向正面図。
【図8】別例のブッシュ及び係合突起の斜視図。
【図9】別例のモータの要部組立前の側面図。
【図10】別例のモータの要部組立前の側面図。
【図11】別例のモータの要部組立前の側面図。
【図12】別例のブッシュの斜視図。
【図13】別例のブッシュの断面図。
【図14】別例のブッシュの斜視図。
【図15】別例のブッシュの断面図。
【図16】別例のモータの要部組立前の側面図。
【図17】別例のブッシュの平面図と断面図。
【図18】別例のブッシュの斜視図。
【図19】別例のブッシュの斜視図。
【図20】別例のブッシュの斜視図。
【図21】別例のブッシュとコンミテータとの要部斜視図。
【図22】従来技術のモータの要部拡大図。
【符号の説明】
1…モータ、2…ステータ、3…回転速度検出装置、4…電機子、5…回転軸、6,7…軸受、8…コンミテータ、9…樹脂円筒部、9b…係合凹部、10…被回転検出体としてのマグネット、10d…係合凹部、10e,11d…係止手段としての係合凸部又は係合突起、11…ブッシュ、11c…支持部としての円筒体、11g…係合手段としての係合突起、11s…係合突起の先端部。
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、モータに係り、詳しくは、回転軸に取着される被回転検出体の取付構造に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、モータの回転速度を検出する回転速度検出装置は、モータの回転軸と一体回転する被回転検出体(マグネット)の通過を近接位置から回転検出体(ホール素子)で検出するものが知られている。
【0003】図22は従来の被回転検出体(マグネット)の取付構造の一例を示す。図22はモータ21の電機子22の要部拡大図であって、電機子22の回転軸23に固定されているマグネット24は、金属ブッシュ25に接着剤にて接着させた後、その金属ブッシュ25と共に回転軸23に圧入固定されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ところで、前記金属ブッシュ25を回転軸23に対して回転不能に圧入固定するために、金属ブッシュ25と回転軸23との嵌合精度が高く要求される。つまり、金属ブッシュ25の貫通孔25aと回転軸23との加工精度が高く要求されていた。また、前記金属ブッシュ25とマグネット24とを一体に接着連結させるためには、マグネット24を金属ブッシュ25に接着させる接着工程及びその後の乾燥工程を必要とした。
【0005】また、モータ21の回転中において、前記マグネット24は回転軸23を支持する軸受26と直接に当接(摺動)するため摩耗又は破損が発生する。そこで、マグネット24の摩耗又は破損を防止するために、マグネット24と軸受26との間に樹脂ワッシャ27を介在させていた。その結果、モータの部品点数と製造工数が多くて、モータのコストが高くなるといった問題がある。
【0006】本発明は上記問題を解決するためになされたものであって、その目的は部品点数を削減すると共に、製造工数とコストを低減することができるモータを提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記問題点を解決するため、請求項1に記載の発明は、ステータ及びホルダに回転可能に支持される回転軸と、前記回転軸に固定されるコンミテータと、一側面が前記コンミテータの一端面に当接するように配設される被回転検出体と、前記被回転検出体の他側面側に配置され、前記コンミテータとの間で前記被回転検出体を挟持固定するブッシュとを有することを要旨とした。
【0008】請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のモータにおいて、前記ブッシュは、前記回転軸が挿入されるとともに、前記被回転検出体を支持する支持部と、前記支持部の一端に形成させ、前記コンミテータの一端面と係合し前記支持部と前記コンミテータとの相対回動を規制する係合手段と、前記支持部の他端に径方向に延出形成され、前記被回転検出体の他側面と当接する側面支持部と、前記側面支持部に形成され、前記被回転検出体と係合し前記ブッシュと前記被回転検出体との相対回動を規制する係止手段とからなることを要旨とした。
【0009】請求項3に記載の発明は、請求項1に記載のモータにおいて、前記ブッシュは、前記回転軸が挿入されるとともに、前記被回転検出体を支持する支持部と、前記支持部の一端に形成させ、前記コンミテータの一端面と係合し前記支持部と前記コンミテータとの相対回動を規制する係合手段と、前記支持部の他端に径方向に延出形成され、前記被回転検出体の他側面と当接する側面支持部と、前記支持部に形成され、前記被回転検出体と係合し前記ブッシュと前記被回転検出体との相対回動を規制する係止手段とからなることを要旨とした。
【0010】請求項4に記載の発明は、請求項2又は3に記載のモータにおいて、前記係合手段は、前記コンミテータの一端面に形成された係合凹部(9b)に係合する係合突起であって、その先端部がテーパ状に形成されていることを要旨とした。
【0011】請求項5に記載の発明は、請求項2又は3に記載のモータにおいて、前記支持部に延出形成した側面支持部の他端側は、前記回転軸を支持する軸受の一側面が摺接されるコンミテータが取着されたことを要旨とした。
【0012】(作用)従って、請求項1に記載の発明によれば、被回転検出体はコンミテータとブッシュとで挟持固定される。
【0013】請求項2に記載の発明によれば、ブッシュの支持部は、回転軸が挿入されると共に、被回転検出体を支持することができる。また、前記支持部の一端に形成された係合手段は、コンミテータの一端面と係合することによって、支持部とコンミテータとの相対回動を規制することができる。さらに、側面支持部に形成された係止手段は、前記被回転検出体の他側面と係合することによって、前記ブッシュと前記被回転検出体との相対回動を規制することができる。
【0014】請求項3に記載の発明によれば、ブッシュの支持部は、回転軸が挿入されると共に、被回転検出体を支持することができる。また、前記支持部の一端に形成された係合手段は、コンミテータの一端面と係合することによって、支持部とコンミテータとの相対回動を規制することができる。さらに、支持部に形成された係止手段は、前記被回転検出体の他側面と係合することによって、前記ブッシュと前記被回転検出体との相対回動を規制することができる。
【0015】請求項4に記載の発明によれば、係合手段としての係合突起は、コンミテータの一端面に形成された係合凹部と係合することによって、支持部とコンミテータとの相対回動を規制することができる。しかも、係合突起の先端部をテーパ状に形成されているため、係合突起を容易に係合凹部に挿入係合させることができる。
【0016】請求項5に記載の発明によれば、被回転検出体が直接に軸受と摺接することを防止することができる。
【0017】
【発明の実施の形態】以下、本発明を車両用シート位置検出機能付きモータに具体化した実施の一実施形態を図1R>1〜図5に従って説明する。
【0018】図1に示すように、モータ1は、ステータ2及び回転速度検出装置3のホルダ3a内に電機子4が回転可能に収容されている。電機子4の回転軸5は、両端において軸受6,7により回動可能に支持されている。図2に示すように、コンミテータ8はその樹脂円筒部9を介して回転軸5に固定されている。
【0019】前記樹脂円筒部9は、図3及び図4に示すように、その電機子4の反対側の端面9aに2つの係合凹部9bを設けている。前記2つの係合凹部9bは互いに回転軸5の中心軸線を介して相対向すると共に、樹脂円筒部9の内周面に沿って設けられている。また、図1及び図2に示すように、前記端面9aには被回転検出体としてのマグネット10が当接するように配置されている。
【0020】前記マグネット10は、図3及び図4に示すように、貫通孔10aを有する円環状を呈し、その円環状の半分がN極に残り半分がS極に分極されている。前記端面9aに当接する一側面10bの反対側端面の他側面10cには、2つの係合凹部10dが形成されている。前記2つの係合凹部10dは、円環状マグネット10の中心軸線を介して相対向するように形成されている。そして、図1及び図2に示すように、前記マグネット10は一端がコンミテータ8の端面9aに当接し他端がブッシュ11により保持されるようになっている。
【0021】前記ブッシュ11は、樹脂材料により成形されている。図3〜図5に示すように、支持部としての円筒体11cの一側端にフランジ状の側面支持部としての円盤部11aが延出形成されている。そして、円筒体11cに形成される貫通孔11eは前記回転軸5を内嵌すると共に、円筒体11cの外周面は前記マグネット10の内側を支持するようになっている。前記円盤部11aの一端面11bには係止手段としての2つの係合凸部11dが形成されている。前記2つの係合凸部11dは、図4に示すように、縦断面略正方形であり、前記ブッシュ11の中心軸線を介して相対向するように形成されている。なお、円盤部11aの一端面11bの反対側の面は前記軸受6の一側面と摺接するようになっている。さらに、前記円筒体11cの端面11fに係合手段としての2つの係合突起11gが形成されている。前記2つの係合突起11gは、円筒体11cの中心軸線を介して相対向するように形成されている。また、円盤部11aの一端面11bの反対側の面に、軸受6との当接面積を減少して摺動ロスを少なくするためのリブ(図示せず)を設けてもよい。
【0022】なお、本実施形態では、前記係合凸部11dの高さd1をマグネット10に形成された前記係合凹部10dの深さd2より若干小さく設定している。また、係合凸部11dと係合凹部10dの周方向の幅は同じ幅に設定し、係合凸部11dはスムースに且つガタ付くことなく係合凹部10dが係合するようになっている。前記円筒体11cの高さh1をマグネット10の厚さh2より若干小さく設定している。前記貫通孔11eの直径は前記回転軸5に圧入係合できる値に設定している。また、前記円筒体11cの外径はマグネット10の前記貫通孔10aの直径と同じになるように設定している。さらに、前記係合突起11gの高さd3を樹脂円筒部9に形成された前記係合凹部9bの深さd4より若干小さく設定している。また、係合突起11gと係合凹部9bの周方向の幅は同じ幅に設定し、係合突起11gはスムースに且つガタ付くことなく係合凹部9bに係合するようになっている。前記係合突起11gと前記係合凸部11dとの成す角度θを90度に設定している。
【0023】そして、前記マグネット10を電機子4に取り付けるときにおいて、まず、係合凸部11dを係合凹部10dに係合させるようにブッシュ11の円筒体11cをマグネット10の貫通孔10aに貫挿させる。次に、係合突起11gを係合凹部9bに係合させるように一体となっているマグネット10とブッシュ11とを回転軸5に圧入させる。このとき、マグネット10は他側面10cがブッシュ11の円盤部11aの端面11bに当接し一側面10bがコンミテータ8の樹脂円筒部9の端面9aに当接するように挟持保持される。
【0024】次に、上記のように構成されたモータ1の特徴を説明する。
(1)本実施形態では、マグネット10をブッシュ11に対してそれぞれ係合凹部10dと係合凸部11dが係合するように重ね合わせる。次に、マグネット10を支持したブッシュ11を、ブッシュ11の係合突起11gがコンミテータ8の樹脂円筒部9の一端面9aに形成した係合凹部9bに係合するように、回転軸5に圧入した。
【0025】従って、ブッシュ11は係合突起11gと係合凹部9bとの係合によりコンミテータ8,即ち回転軸5に対して相対回動しない。そして、そのブッシュ11に対してマグネット10は係合凹部10dと係合凸部11dの係合により相対回動しない。つまり、マグネット10はコンミテータ8,即ち回転軸5に対して相対回動しないように支持される。しかも、マグネット10は、ブッシュ11とコンミテータ8とにより挟持保持される。
【0026】その結果、ブッシュ11を回転軸5に圧入係合する時の係合精度は高くなくてもマグネット10を回転方向及び軸線方向に対してガタ付くことなく確実に固定させることができる。そして、ブッシュ11と回転軸5との加工精度が高く要求されないため、製造コストの低減を図ることができる。
【0027】また、マグネット10をブッシュ11に接着させる必要がないため、モータ1の組立工数を低減することができる。
(2)本実施形態では、マグネット10と軸受6との間にブッシュ11が介在されているので、従来技術のモータに比べ、マグネット10が直接に軸受6と摺動されることにより起因するマグネット10の摩耗又は破損を防止するために設けられた樹脂ワッシャを省略することができる。
【0028】(3)本実施形態では、ブッシュ11の円筒体11cの高さh1をマグネット10の厚さh2より若干小さく設定し、ブッシュ11の係合突起11gの高さd3を樹脂円筒部9に形成された係合凹部9bの深さd4より若干小さく設定している。
【0029】従って、係合突起11gを係合凹部9bに係合させるようにマグネット10をブッシュ11とともに回転軸5に圧入させるとき、マグネット10は他側面10cがブッシュ11の円盤部11aの端面11bに当接し一側面10bがコンミテータ8の樹脂円筒部9の端面9aに当接するように挟持保持される。
【0030】その結果、コンミテータ8とともに回転されるマグネット10は、回転軸5の軸線方向及び半径方向のガタツキを防止することができ、そのガタツキによる異音の発生を防止することができる。
【0031】なお、実施形態を以下のよう変更してもよい。
○上記実施形態では、ブッシュ11の貫通孔11eの直径は回転軸5に圧入係合できる値に設定したが、貫通孔11eの直径を回転軸5に対して圧入しないでスムースに係合する値に設定してもよい。そして、ブッシュ11に形成した係合突起11gを樹脂円筒部9の端面9aに形成した係合凹部9bに対して圧入係合させる。この場合にも、上記実施形態と同様な効果を得ることができる。
【0032】○上記実施形態では、マグネット10の他側面10cに係合凹部10dが形成されていることに対し、ブッシュ11の円盤部11aの端面11bに係合凸部11dが形成されているように実施したが、係合凹部10dが係合凸部のように形成され、係合凸部11dが係合凹部のように形成して実施してもよい。この場合、上記実施形態と同様な効果を得ることができる。
【0033】○さらに、上記実施形態では、ブッシュ11に形成された係合突起11gと係合凸部11dとの成す角度θを90度に設定して実施したが、係合突起11gと係合凸部11dとの成す角度θを90度以外0〜360度の範囲で設定して実施してもよい。この場合、上記実施形態と同様な効果を得ることができる。
【0034】○上記実施形態では、ブッシュ11の円筒体11cの高さh1をマグネット10の厚さh2より若干小さく設定して実施したが、ブッシュ11の円筒体11cの高さh1をマグネット10の厚さh2より大きく設定して実施してもよい。この場合において、図6及び図7に示すように、前記樹脂円筒部9の一端面9aに円筒体11cを嵌入させることができる凹部9cを設け、その凹部9cの底部に係合凹部9bを設け、しかもその凹部9cの深さh3をh1とh2との差(h1−h2)より若干大きく設定すれば、上記実施形態と同様な作用効果を奏することができる。
【0035】○また、上記実施形態では、係合凸部11d及び係合凹部10dは、図4に示すように、縦断面略正方形のように形成されて実施したが、係合凸部11dを、例えば図8(a)〜(g)に示すような係合突起11dにて実施してもよい。この場合、前記係合凹部10dを係合突起11dと対応する形状にて設ければ、上記実施形態と同様な効果を得ることができる。
【0036】○また、上記実施形態では、マグネット10の他側面10cに係合凹部10dが形成され、ブッシュ11の円盤部11aの端面11bに係合凸部11dが形成されているように実施したが、図9に示すように、係合凸部11dと係合凹部10dとを省略した構成にて実施してもよい。詳述すると、ブッシュ11の円筒体11cの円筒部に係止手段としての切り込み溝11hを設け、マグネット10の貫通孔10aの内周面に回転軸5の貫挿を邪魔しないように係合凸部10eを設ける。また、前記係合凸部10eは、図10及び図11に示すように、軸線方向に一部分だけにて係合突起のように設けられてもよい。また、図11に示す係合凸部10eと対応して、ブッシュ11の前記切り込み溝11hは、前記係合凸部10eの軸線方向長さより若干深く設けてもよい。さらに、前記係合凸部10eの縦断面は略正方形以外の形状、例えば円弧形、多角形などの形状にて実施してもよい。この場合、上記のような係合凸部11dと係合凹部10dとを省略したいずれかの構成であっても上記実施形態と同様な作用効果を奏することができる。
【0037】○上記実施形態の円盤部11aにおいて、図12及び図13に示すように、円筒体11cに向かう切り起こし11iを形成して実施してもよい。この場合、上記実施形態の効果に加え、前記ブッシュ11とコンミテータ8とにてマグネット10を挟持保持するとき、切り起こし11iの弾性反発力によって前記ブッシュ11は常にマグネット10を付勢することができ、マグネット10の軸方向のガタツキを防止することができる。
【0038】○上記実施形態の円筒体11cにおいて、図14及び図15に示すように、円筒体11cの軸方向に沿って切り起こし11jを形成して実施してもよい。この場合、上記実施形態の効果に加え、円筒体11cがマグネット10の貫通孔10aに挿入するとき、切り起こし11jの弾性反発力によって前記ブッシュ11は常にマグネット10を付勢することができ、マグネット10の軸方向及び径方向のガタツキを防止することができる。
【0039】○また、上記実施形態の樹脂円筒部9及びマグネット10とブッシュ11を、図16及び図17(a),(b)に示すように形成して実施してもよい。詳述すると、図16に示すように、樹脂円筒部9の端面9aに3つの係合凹部9bを設けている。前記3つの係合凹部9bは互いに等角度間隔になると共に、樹脂円筒部9の内周面に沿って設けられている。マグネット10は円環状に形成されている。また、ブッシュ11は、図1616及び図17(a),(b)に示すように、円筒体11cの一側端にフランジ状の円盤部11aが延出形成されている。円盤部11aには、円筒体11cの根本から円筒体11cの外周面に沿って互いに等角度間隔を成す3つの円弧貫通孔11mが設けられている。そして、貫通孔11eの内周面に、それぞれの円弧貫通孔11mと対応する位置に軸方向に沿って切り込み11nを入れることによって、円筒体11cの外周面は、その切り込み11nと対応する位置に軸方向に沿って突出部11pが円筒体11cの外周面から突出形成される。また、円筒体11cの端面11fには3つの係合突起11gが互いに等角度間隔に突出形成されている。
【0040】この場合、上記実施形態に比べ、ブッシュ11とマグネット10に形成される係合手段の替わりに、円筒体11cの外周面に突出部11pが形成されているので、円筒体11cをマグネット10の貫通孔10aに挿入するとき、前記突出部11pの弾性変形によってマグネット10は円筒体11cにより弾性保持される。その結果、ブッシュ11とマグネット10との相対回動を規制することができる。
【0041】○上記実施形態のブッシュ11の側面支持部としての円盤部11aを、図18に示すように、ある一定の間隔を有して径方向に延びるリブ状に形成してよい。この場合、上記実施形態と同様な効果を得ることができる。
【0042】○また、上記実施形態のブッシュ11の円筒部11cを、図19に示すように、ある一定の間隔を有する複数の柱のように形成してもよい。この場合、上記実施形態と同様な効果を得ることができる。
【0043】○上記実施形態の回転軸5を支持する軸受6の一側面と摺接する前記円盤部11aの他端側は、その表面に、図20に示すように、軸受6の方向に向かう複数の切り起こし11rが形成されて実施してもよい。この場合、上記実施形態の効果に加え、切り起こし11rの弾性変形によって、ブッシュ11と軸受6とは常に摺接し合うことができる。その結果、ブッシュ11とマグネット10の軸方向のガタツキをさらに防止することができる。
【0044】○上記実施形態の係合突起11g及び係合凹部9bを、図21に示すように実施してもよい。詳述すると、係合突起11gの先端部11sをテーパ状になるように面取りして、係合凹部9bを前記係合突起11gの先端部11sと対応するようにテーパ状に設ける。この場合、上記実施形態と同様な作用効果を奏することができると共に、係合突起11gを容易に係合凹部9bに挿入係合させることができる。また、前記先端部11sがテーパ状に限定されなく、テーパ状以外の形状、例えば半球状、多角錐状、円錐状などの形状にて実施してもよい。この場合、前記先端部11sと対応する形状の係合凹部9bを設ければ、上記と同様な効果を奏することができる。
【0045】○上記実施形態では、ブッシュ11の円筒体11cに形成された係合突起11gと、樹脂円筒部9の一端面9aに形成された係合凹部9bと、マグネット10の他側面10cに形成された係合凹部10dと、ブッシュ11の円盤部11aの端面11bに形成された係合凸部11dとは、それぞれ中心軸線を介して相対向するように2つ(一対)設けたが、係合突起11gと係合凹部9b、及び、係合凹部10dと係合凸部11dはそれぞれ相対応する位置に設けられれば、互いに中心軸線を介して相対向しないように2つ又は2つ以上設けて実施してもよい。この場合、上記実施形態と同様な効果を得ることができる。
【0046】○上記実施形態では、本発明を車両用シート位置検出機能付きモータに具体化して実施したが、車両用シート位置検出機能付きモータに限定されなく、他のセンサ検出機能付きモータ又はセンサ用マグネット固定構造を有するモータに具体化して実施してもよい。この場合、上記実施形態と同様な効果を得ることができる。
【0047】
【発明の効果】以上詳述したように、請求項1〜5に記載の発明によれば、モータの部品点数を削減すると共に、モータの製造工数とコストを低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のモータの断面図。
【図2】同じくモータの要部拡大図。
【図3】同じくモータの要部組立前の斜視図。
【図4】同じくモータの要部組立前の側面図。
【図5】ブッシュの図4におけるK方向正面図。
【図6】別例のモータの要部組立前の側面図。
【図7】別例のコンミテータの図6におけるP方向正面図。
【図8】別例のブッシュ及び係合突起の斜視図。
【図9】別例のモータの要部組立前の側面図。
【図10】別例のモータの要部組立前の側面図。
【図11】別例のモータの要部組立前の側面図。
【図12】別例のブッシュの斜視図。
【図13】別例のブッシュの断面図。
【図14】別例のブッシュの斜視図。
【図15】別例のブッシュの断面図。
【図16】別例のモータの要部組立前の側面図。
【図17】別例のブッシュの平面図と断面図。
【図18】別例のブッシュの斜視図。
【図19】別例のブッシュの斜視図。
【図20】別例のブッシュの斜視図。
【図21】別例のブッシュとコンミテータとの要部斜視図。
【図22】従来技術のモータの要部拡大図。
【符号の説明】
1…モータ、2…ステータ、3…回転速度検出装置、4…電機子、5…回転軸、6,7…軸受、8…コンミテータ、9…樹脂円筒部、9b…係合凹部、10…被回転検出体としてのマグネット、10d…係合凹部、10e,11d…係止手段としての係合凸部又は係合突起、11…ブッシュ、11c…支持部としての円筒体、11g…係合手段としての係合突起、11s…係合突起の先端部。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 ステータ(2)及びホルダ(3a)に回転可能に支持される回転軸(5)と、前記回転軸(5)に固定されるコンミテータ(8,9)と、一側面(10b)が前記コンミテータ(8,9)の一端面(9a)に当接するように配設される被回転検出体(10)と、前記被回転検出体(10)の他側面(10c)側に配置され、前記コンミテータ(8,9)との間で前記被回転検出体(10)を挟持固定するブッシュ(11)とを有することを特徴とするモータ。
【請求項2】 請求項1に記載のモータにおいて、前記ブッシュ(11)は、前記回転軸(5)が挿入されるとともに、前記被回転検出体(10)を支持する支持部(11c)と、前記支持部(11c)の一端に形成させ、前記コンミテータ(8,9)の一端面(9a)と係合し前記支持部(11c)と前記コンミテータ(8,9)との相対回動を規制する係合手段(11g)と、前記支持部(11c)の他端に径方向に延出形成され、前記被回転検出体(10)の他側面(10c)と当接する側面支持部(11a)と、前記側面支持部(11a)に形成され、前記被回転検出体(10)と係合し前記ブッシュ(11)と前記被回転検出体(10)との相対回動を規制する係止手段(11d)とからなることを特徴とするモータ。
【請求項3】 請求項1に記載のモータにおいて、前記ブッシュ(11)は、前記回転軸(5)が挿入されるとともに、前記被回転検出体(10)を支持する支持部(11c)と、前記支持部(11c)の一端に形成させ、前記コンミテータ(8,9)の一端面(9a)と係合し前記支持部(11c)と前記コンミテータ(8,9)との相対回動を規制する係合手段(11g)と、前記支持部(11c)の他端に径方向に延出形成され、前記被回転検出体(10)の他側面(10c)と当接する側面支持部(11a)と、前記支持部(11c)に形成され、前記被回転検出体(10)と係合し前記ブッシュ(11)と前記被回転検出体(10)との相対回動を規制する係止手段(11h)とからなることを特徴とするモータ。
【請求項4】 請求項2又は3に記載のモータにおいて、前記係合手段(11g)は、前記コンミテータ(8,9)の一端面(9a)に形成された係合凹部(9b)に係合する係合突起(11g)であって、その先端部(11s)がテーパ状に形成されていることを特徴とするモータ。
【請求項5】 請求項2又は3に記載のモータにおいて、前記支持部(11c)に延出形成した側面支持部(11a)の他端側は、前記回転軸(5)を支持する軸受(6)の一側面が摺接されることを特徴とするモータ。
【請求項1】 ステータ(2)及びホルダ(3a)に回転可能に支持される回転軸(5)と、前記回転軸(5)に固定されるコンミテータ(8,9)と、一側面(10b)が前記コンミテータ(8,9)の一端面(9a)に当接するように配設される被回転検出体(10)と、前記被回転検出体(10)の他側面(10c)側に配置され、前記コンミテータ(8,9)との間で前記被回転検出体(10)を挟持固定するブッシュ(11)とを有することを特徴とするモータ。
【請求項2】 請求項1に記載のモータにおいて、前記ブッシュ(11)は、前記回転軸(5)が挿入されるとともに、前記被回転検出体(10)を支持する支持部(11c)と、前記支持部(11c)の一端に形成させ、前記コンミテータ(8,9)の一端面(9a)と係合し前記支持部(11c)と前記コンミテータ(8,9)との相対回動を規制する係合手段(11g)と、前記支持部(11c)の他端に径方向に延出形成され、前記被回転検出体(10)の他側面(10c)と当接する側面支持部(11a)と、前記側面支持部(11a)に形成され、前記被回転検出体(10)と係合し前記ブッシュ(11)と前記被回転検出体(10)との相対回動を規制する係止手段(11d)とからなることを特徴とするモータ。
【請求項3】 請求項1に記載のモータにおいて、前記ブッシュ(11)は、前記回転軸(5)が挿入されるとともに、前記被回転検出体(10)を支持する支持部(11c)と、前記支持部(11c)の一端に形成させ、前記コンミテータ(8,9)の一端面(9a)と係合し前記支持部(11c)と前記コンミテータ(8,9)との相対回動を規制する係合手段(11g)と、前記支持部(11c)の他端に径方向に延出形成され、前記被回転検出体(10)の他側面(10c)と当接する側面支持部(11a)と、前記支持部(11c)に形成され、前記被回転検出体(10)と係合し前記ブッシュ(11)と前記被回転検出体(10)との相対回動を規制する係止手段(11h)とからなることを特徴とするモータ。
【請求項4】 請求項2又は3に記載のモータにおいて、前記係合手段(11g)は、前記コンミテータ(8,9)の一端面(9a)に形成された係合凹部(9b)に係合する係合突起(11g)であって、その先端部(11s)がテーパ状に形成されていることを特徴とするモータ。
【請求項5】 請求項2又は3に記載のモータにおいて、前記支持部(11c)に延出形成した側面支持部(11a)の他端側は、前記回転軸(5)を支持する軸受(6)の一側面が摺接されることを特徴とするモータ。
【図13】
【図15】
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図7】
【図20】
【図21】
【図6】
【図8】
【図9】
【図12】
【図18】
【図10】
【図11】
【図14】
【図16】
【図19】
【図17】
【図22】
【図15】
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図7】
【図20】
【図21】
【図6】
【図8】
【図9】
【図12】
【図18】
【図10】
【図11】
【図14】
【図16】
【図19】
【図17】
【図22】
【公開番号】特開平11−266568
【公開日】平成11年(1999)9月28日
【国際特許分類】
【出願番号】特願平10−68472
【出願日】平成10年(1998)3月18日
【出願人】(000101352)アスモ株式会社 (1,622)
【公開日】平成11年(1999)9月28日
【国際特許分類】
【出願日】平成10年(1998)3月18日
【出願人】(000101352)アスモ株式会社 (1,622)
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