説明

ユニットハウス

【課題】2戸のハウスを二階建にする際に、それぞれ既存の吊上げロープ係止部材(4つある)と接地プレート(4つある)とを、上下のハウスを連結するための連結部材に兼用することで、当該各部材を有効利用(部材点数を削減)できるようにする。
【解決手段】ハウス本体10の下面部四隅に接地台となるベースプレート4を取付けている一方、ハウス本体10の上面部四隅に吊上げロープの係止部となるトッププレート5を取付け、各ベースプレート4と各トッププレート5に、同形の2戸のハウス1,1を上下に積み重ねたときに両プレート4,5にボルト6を挿通させるためのボルト挿通穴41,51を設けていることにより、両プレート4,5を本来の機能のほかに上下ハウスの連結用に利用できるようにしている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、予め工場で組立てられた完成品状態(又はほぼ完成品状態)のユニットハウスに関するものである。
【背景技術】
【0002】
この種のユニットハウスは、例えば事務所、店舗、別棟の部屋、架設住宅等の比較的小型のハウスとして多用されている。そして、このユニットハウスは、予め工場で組立てた状態(完成品又はほぼ完成品状態)でトラックにより設置現場まで輸送し、そこでトラックからクレーンで吊り降ろして設置される。尚、以下の説明では、ユニットハウスを単にハウスと表現することがある。
【0003】
完成品状態(又はほぼ完成品状態)で設置されるユニットハウス(ハウス)は、トラックで輸送される関係で、1戸当たりの大きさが比較的小型に制限されている。尚、ハウスとしては、大きいものでも間口(又は奥行)が2.3m、奥行(又は間口)が5〜6m、高さが2.7m程度である。そして、設置現場に大きな居住スペース(多人数収容スペース)が必要な場合は、複数のハウスを平面的に並置したり上下に積み重ねて(二階建にして)、必要な居住スペースを確保している。尚、設置現場に複数のハウスを設置する場合に、平面的に並置すると広い敷地面積が必要になるが、上下に積み重ねる(二階建にする)と敷地面積が狭くて済む。
【0004】
そして、2戸のハウスを二階建にするには、まず下部側のハウスを地面上に設置し、その上に上部側のハウスをクレーン等で吊り上げて積み重ね、下部側ハウスの上部と上部側ハウスの下部とを複数個所(少なくとも四隅)で連結することで完成させる。2戸のハウスを二階建にする際の下部側ハウスと上部側ハウスとの連結方法としては、例えば下部側ハウスの上部(四隅)と上部側ハウスの下部(四隅)に跨がって連結プレートをあてがい、その連結プレートを上下のハウス(例えば隅柱)にそれぞれボルト止め等の手段で固定することで行うことが多い。
【0005】
ハウスの上面部(四隅付近)には、ハウスをクレーンで吊上げる際の吊上げロープ係止用の係止部材(例えばブラケット)が取付けられているが、この吊上げロープ係止部材はハウスを吊上げる際の専用部材である。
【0006】
他方、ハウスを地面上に設置した状態では、ハウス下面の一部(4本の隅柱の各下端)が地面に接地するが、その接地部分(各隅柱の下端)には接地プレートを設けることが好ましい。尚、各隅柱下端に接地プレートを設けたハウスは従来から公知であるが、この公知のハウスに使用されている接地プレートは接地専用のものである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、複数のハウスを二階建にするには、上記のように下部側ハウスと上部側ハウスとを連結するための連結部材(例えば連結プレート)が必要である。
【0008】
他方、ハウスの上面部(四隅付近)にある各吊上げロープ係止部材は、ハウス吊上げ専用のものであり、他の用途に使用されていない。
【0009】
又、ハウスの下面部四隅にそれぞれ接地プレートを設けたものもあるが、この接地プレートも接地専用のもので、他の用途に使用されていない。
【0010】
そこで、本願発明は、2戸のユニットハウスを二階建にする際に、それぞれハウス上面部にある吊上げロープ係止部材(4つある)とハウス下面部にある接地プレート(4つある)とを、上下のハウスを連結するための連結部材に兼用することにより、当該各部材を有効利用(部材点数を削減)できるようにすることを目的としてなされたものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本願発明は、上記課題を解決するための手段として次の構成を有している。尚、本願発明は、予め工場で組立てられた完成品状態(又はほぼ完成品状態)のユニットハウスを対象としている。又、本願発明の説明でも、ユニットハウスを単にハウスと表現することがある。
【0012】
本願発明のユニットハウスは、予め組立てられたハウス本体の下面部四隅付近にそれぞれ接地台となるベースプレート(合計4枚)を取付けている一方、該ハウス本体の上面部四隅付近にそれぞれ吊上げロープの係止部となるトッププレート(合計4枚)を取付けて構成されている。
【0013】
ハウス本体は、四隅の各隅柱(主柱となる)と、それぞれ複数本の間柱や補強フレームと、前後及び(又は)左右の各周壁と、床板と、天井板と、屋根板等を基本構成にして完成品状態(又はほぼ完成品状態)まで組立てられたものである。
【0014】
ハウスの大きさは、トラック上に搭載して輸送できる程度の比較的小型のものであり、特に限定するものではないが、大きいものでも間口(又は奥行)が2.3m、奥行(又は間口)が5〜6m、高さが2.7m程度である。尚、平面方向に一連の大面積居住空間を必要とする場合には、ハウス本体を平面方向に複数個並設するが、その場合、隣接する各ハウス本体の接合部分に壁の無いもの(いわゆる中抜きのもの)を使用する。
【0015】
ハウスの下面部にある各ベースプレート、及びハウスの上面部にある各トッププレートのそれぞれ取付位置は、平面視におけるハウスの各隅部(四隅)付近が好ましい。その場合、各ベースプレート及び各トッププレートは、各隅柱の下面及び上面に取付けることができる。そして、各ベースプレート及び各トッププレートを各隅柱の下面及び上面に取付ける場合は、該各ベースプレート及び各トッププレートは、各隅柱の端面外形よりやや大きい面積を有した平板状のものを使用し、それぞれ一部が隅柱の側面からはみ出す状態で該隅柱の上端面及び下端面にそれぞれ水平姿勢で固定するとよい。尚、各ベースプレート及び各トッププレートは、各隅柱の下端面と上端面に溶接やボルト止め等の手段で固定することができる。
【0016】
各ベースプレートと各トッププレートとは、平面視で同形の2戸のハウスを上下に積み重ねた状態で下部側のハウスの各トッププレートと上部側のハウスの各ベースプレートとがそれぞれ重合するように配置されている。即ち、1戸のハウスにおいて、下面部四隅付近の各ベースプレートと上面部四隅付近の各トッププレートとがそれぞれ相互に上下同位置に配置されていて、同形の2戸のハウスを上下に完全重合する状態で積み重ねたときに、下部側のハウスの各トッププレートと上部側のハウスの各ベースプレートとがそれぞれ平面姿勢で重合(接合)するようになっている。
【0017】
又、上記各ベースプレートと上記各トッププレートには、両プレートが重合した状態で相互に連通するボルト挿通穴をそれぞれ設けている。このベースプレートとトッププレートの各ボルト挿通穴は、2戸のハウスを上下に完全重合させた状態で、ハウスの外部から各側のプレートの両ボルト挿通穴(重合している)に共通のボルトを挿通させ得るようになっており、該ボルトにナットを螺合することで両プレートを連結(固定)し得るようになっている。
【0018】
本願発明のユニットハウスを2戸使用して二階建に連結するには次のように行う。まず、下部側ハウスの上面部四隅にある各トッププレート(各ボルト挿通穴)にそれぞれ吊上げロープの一端部を係止し、該各吊上げロープの他端部をクレーンのフックに係止して、クレーンによりハウスを吊上げて所定の設置場所に位置決めする。この場合、上面部四隅にある各トッププレートが吊上げロープの係止部材として機能する一方、設置状態では下面部四隅にある4つのベースプレートがそれぞれ接地して、該各ベースプレートが接地台として機能する。尚、下部側ハウスの設置後は各吊上げロープを各トッププレートから外す。
【0019】
次に、上部側となる2戸目のハウスを同様にクレーンで吊上げて、該上部側ハウスを先に設置している下部側ハウスの上部に完全重合する状態で載せる。このとき、上部側ハウスの下面部四隅にある4つのベースプレートの各ボルト挿通穴を、下部側ハウスの上面部四隅にある4つのトッププレートの各ボルト挿通穴に対して上下に重合させる。
【0020】
そして、上下に重合しているベースプレートとトッププレートの両ボルト挿通穴にボルトを挿通し、該ボルトにナットを螺合・緊締させることにより、両プレートを緊結する(順次四隅の両プレートを緊結する)。尚、ボルト・ナットによる両プレートの緊結作業は、例えば脚立に上って行うことができる。
【0021】
尚、各階に一連の広い居住空間を必要とする場合は、1階部分及び2階部分にそれぞれ複数個(例えば2戸ずつ又は2戸ずつ)のハウス本体を並設すればよい。
【発明の効果】
【0022】
本願発明のユニットハウスでは、上記のようにハウス本体の下面部四隅付近にある各ベースプレート(接地台として機能する)とハウス本体の上面部四隅付近にあるトッププレート(吊上げロープ係止部材として機能する)とを、それぞれ本来の機能(接地台、吊上げロープ係止部材)のほかに、2戸のハウスを上下に積み重ねたとき(二階建にしたとき)の両ハウスの連結部材として機能させることができる。
【0023】
従って、本願発明のユニットハウスでは、上記の各ベースプレートと各トッププレートとをそれぞれ本来の機能(接地台、吊上げロープ係止部材)を維持させつつ、2戸のハウスを二階建にする場合の連結部材として有効利用できる(二階建にする場合の部品点数を削減できる)という効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本願実施例のユニットハウスを合計6戸使用して二階建に構築した状態の斜視図である。
【図2】2戸のハウスを二階建にする際の作業過程を示す斜視図である。
【図3】図2における上下のハウスの一部(右・前の隅柱付近の)拡大図である。
【図4】図1のIV部における間口側から見た拡大図である。
【図5】図4のV−V矢視断面図である。
【図6】図4のVI−VI矢視断面図である。
【発明を実施するための形態】
【実施例】
【0025】
以下、図1〜図6を参照して本願実施例のユニットハウスを説明すると、この実施例のユニットハウスは、予め工場で組立てられた完成品状態(又はほぼ完成品状態)のものであって、例えば事務所、店舗、別棟の部屋、架設住宅等の比較的小型のハウスとして使用されるものである。
【0026】
この実施例のハウス1は、図1及び図2に示すように、主柱となる四隅の各隅柱11,11・・と、それぞれ複数本の間柱や補強フレーム(21,22、31,32等)と、前後及び(又は)左右の各側壁と、床板と、天井板と、屋根板等を基本構成にして完成品状態(又はほぼ完成品状態)まで組立てられたものである。
【0027】
1戸のハウス1の大きさは、トラック上に搭載して輸送できる程度の比較的小型のものであり、特に限定するものではないが、大きいものでも間口(又は奥行)が2.3m、奥行(間口)が5〜6m、高さが2.7m程度である。そして、この実施例のハウス1は、予め工場で組立てた状態(完成品状態又はほぼ完成品状態)でトラックにより設置現場まで輸送し、そこでトラックからクレーンで吊り降ろして設置される。
【0028】
又、この実施例のハウス1は、1戸のままで平置き状態で使用することもできるが、図1及び図2に示すように、2戸のハウス1,1を上下に積み重ねて(二階建にして)使用するのに適したものである。
【0029】
尚、図1に示す実施例では、1階部分と2階部分にそれぞれ3戸ずつのハウス1,1,1を並設して、各階にそれぞれ3戸分の居住空間を形成したものを採用している。そして、図1に示す2階建ハウスでは、各階における平面方向に隣接する各ハウス1,1の接合部分は壁のないものが使用されている。
【0030】
図1の各ハウス1,1・・において、各側壁にはそれぞれ窓13が設けられている。又、1階及び2階の各1つのハウス1,1には、ドア(出入口)12が設けられている。尚、2階部分のドア付きハウス1には、そのドア12部分まで階段(図示省略)が設けられる。
【0031】
この実施例のハウス1には、ハウス本体10の下面部四隅にそれぞれ接地台となるベースプレート4,4・・を取付けている一方、ハウス本体10の上面部四隅にそれぞれ吊上げロープ8(図2)の係止部となるトッププレート5,5・・を取付けている。尚、ハウス本体10とは、本願のハウス1におけるベースプレート4とトッププレート5のない状態のものである。又、この実施例のハウス1において、符号2部分が奥行側となる側面部であり、符号3部分が間口となる前面部である。
【0032】
尚、図3は図2におけるハウス1の左側面部2と前面部3との角部付近における骨組み部分の斜視図であり、図4は図1(二階建ハウス)のIV部分の間口側から見た拡大図であり、図5は図4のV−V矢視断面図であり、図6は図4のVI−VI矢視断面図であるが、この実施例の各ハウス1の四隅部分は、それぞれ図3〜図6に示す構造と同じである。そして、以下の説明では、本願の要部について図3〜図6に示す左・前角部付近の構成を代表にして説明する。
【0033】
ベースプレート4とトッププレート5のそれぞれ取付位置は、平面視におけるハウスの各隅部(四隅)付近であればどこでもよいが、この実施例では、図3に拡大図示するように、各隅柱11,11・・の下端面11aと上端面11bに取付けている。
【0034】
ベースプレート4とトッププレート5は、図3に示すように、相互に同形で隅柱11の端面外形よりやや大きい面積を有した平板状のものを使用している。そして、このベースプレート4とトッププレート5は、それぞれ一部(4a,5a)が隅柱11の側面からはみ出す状態でそれぞれ水平姿勢で固定されている。ベースプレート4とトッププレート5の隅柱11に対する各はみ出し部分4a,5aは、図3〜図6に示すように隅柱11の間口方向の内方側角端付近に存在するようにしている。この各はみ出し部分4a,5aのはみ出し幅は、例えば50〜60mm程度でよい。尚、上下の各プレート4,5の取付状態では、該各プレートが、隅柱11における外部に露出する側の各側面(前後及び左右の各外側に位置する側面)からほとんどはみ出さないようにしている。
【0035】
各ベースプレート4と各トッププレート5は、この実施例では各隅柱11の下端面11aと上端面11bにそれぞれ溶接によって固定されているが、他の実施例では溶接に代えてボルト止め等の適宜の手段で固定することができる。
【0036】
図1に示すように、同形の2戸のハウス1,1(平面方向に3組ある)を上下に積み重ねた状態(平面視で完全重合する状態)では、上下のハウス1,1における各隅柱11,11同士がそれぞれ上下同位置に重なる関係で、下部側のハウス1の各トッププレート5と上部側のハウス1の各ベースプレート4とが図4〜図5に示すようにそれぞれ重合するようになっている。
【0037】
そして、各ベースプレート4と各トッププレート5には、両プレートが重合した状態で相互に連通するボルト挿通穴41,51をそれぞれ設けている。この各ボルト挿通穴41,51は、図3〜図6に示すように、各プレート4,5における隅柱11の側面からはみ出した部分4a,5a(隅柱11における間口側の内方側角端付近)の同位置に設けられており、2戸のハウス1,1を上下に完全重合させた状態で、後述するようにハウスの外部から各側のプレート4,5の両ボルト挿通穴41,51に共通のボルト6を挿通させ得るようになっている。
【0038】
ところで、この実施例では、各プレート4,5におけるボルト挿通穴41,51が隅柱11の内方側角端付近に位置している関係で、2戸のハウス1,1を上下に積み重ねた状態で上下に重合する各側のプレート4,5の各ボルト挿通穴41,51にボルト6を挿通させる(その後にナット7を螺合させる)のに、それらの作業スペースが必要となる。そこでこの実施例では、ボルト6(ナット7)の取付けのための作業スペースを確保するために、次のように構成している。
【0039】
図2に示すように、ハウス1の左右各側面(例えば左側面部2)及び前後各面(例えば前面部3)における上辺部及び下辺部には、2本の隅柱11,11に跨がる長さの上部フレーム21(又は31)と下部フレーム22(又は32)が横向き姿勢でそれぞれ設置されている。
【0040】
ハウス1の前面部3及び後面部において下部側に横設された下部フレーム32は、図3〜図6に示すように断面コ形のフレームが使用されていて、前面側が開口する姿勢で取付けている。この下部フレーム(コ形フレーム)32の前面開口部S(上板と底板32aとの間隔部分)は、上下に90〜100mm程度の間隔があって、該前面開口部Sに後述のボルト6を挿入し得るスペースを有している。
【0041】
又、この下部フレーム(コ形フレーム)32は、その底板32a部分がベースプレート4のはみ出し部分4aにあるボルト挿通穴41上に載せらけている。そして、該下部フレーム(コ形フレーム)32の底板32aには、ベースプレート4のボルト挿通穴41と重合する穴33が形成されている。この下部フレーム32の穴33には、前面開口部Sからボルト6を挿通させることができる。尚、図示していないが、ハウス1における後面部の各隅柱間の下部フレームも同構成となっている。
【0042】
他方、前・後各面における上部側に横架された上部フレーム31は、図3〜図5に示すように、隅柱11の上端高さ(トッププレート5の下面高さ)よりやや低位置に設置されている。即ち、該上部フレーム31は、図4及び図5に示すように、上部フレーム31の上面とトッププレート5の下面と間に手を差込み得る程度の高さH(H=70〜80mm)の隙間30を有する状態で設置されている。尚、図示していないが、ハウス1における右側面部の各隅柱間の上部フレームも同様に取付けている(上部フレームの上方に手を差込む隙間がある)。
【0043】
そして、この実施例のハウス1を使用して二階建に構築するには次のように行う。
【0044】
各ハウス1は、組立工場で完成品(又はほぼ完成品)に組立てた状態で、それぞれトラックで設置現場まで輸送し、そこでトラック上の1戸のハウス(下部側ハウス)1をクレーンにより吊り降ろすが、そのとき、下部側ハウス1の上面部四隅にある各トッププレート5,5・・の各ボルト挿通穴51,51・・にそれぞれ吊上げロープ8,8・・(図2参照)の一端部を係止し、該各吊上げロープ8,8・・の他端部をクレーンのフック9に係止して、クレーンによりハウス1を吊上げて所定の設置場所に位置決めする。この場合、上面部四隅にある各トッププレート5,5・・(各ボルト挿通穴51,51・・)が吊上げロープ8の係止部材として機能する一方、設置状態では下面部四隅にある4つのベースプレート4,4・・がそれぞれ接地して、該各ベースプレート4,4・・が接地台として機能する。下部側ハウス1の設置後は各吊上げロープ8を各トッププレート5から外す。尚、図1に示すように、複数組の二階建ハウスを平面方向に並設するには、まず1階部分の各ハウス1,1,1を順次接合状態で設置する。
【0045】
次に、図2に示すように上部側となる2戸目のハウス1を同様にクレーンで吊上げて、該上部側ハウス1(図2の鎖線図示)を先に設置している下部側ハウス1(実線図示)の上部に完全重合する状態で載せる。このとき、上部側ハウス1の下面部四隅にある4つのベースプレート4の各ボルト挿通穴41を、下部側ハウス1の上面部四隅にある4つのトッププレート5の各ボルト挿通穴51に対して上下に重合させる。
【0046】
そして、上下に重合しているベースプレート4とトッププレート5の両ボルト挿通穴41,51にボルト6を挿通させるが、その際、図4及び図5に示すように上部側ハウス1の前面部3において下部フレーム(コ形フレーム)32の前面開口部Sからボルト6を差し入れて該ボルト6のネジ部を下部フレーム底板32aの穴33から両ボルト挿通穴41,51に差し込む。続いて、下部側ハウス1の前面部3において上部フレーム31とトッププレート5との間にある隙間30からナット7を差し入れて該ナット7を先に差し込んでいるボルト6のネジ部に下方から螺合・緊締させることにより、上下のプレート4,5を連結する。尚、ボルト・ナットによる両プレート4,5の緊結作業は、例えば脚立に上って行うことができる。
【0047】
そして、順次同様に他の三隅の上下プレート4,5をボルト6とナット7で連結すると、上下のハウス1,1の連結作業が完了する。尚、図1のように、平面方向に複数戸の二階建ハウスを並設する場合は、二階側の各ハウスを各下側ハウスの上に順次同様に載置・連結する。
【0048】
このように、この実施例のユニットハウス1では、上記のようにハウス本体10の下面部四隅にある各ベースプレート4,4・・(接地台として機能する)とハウス本体10の上面部四隅にある各トッププレート5,5・・(吊上げロープ係止部材として機能する)とを、それぞれ本来の機能(接地台、吊上げロープ係止部材)のほかに、2戸のハウス1,1を上下に積み重ねたとき(二階建にしたとき)の両ハウスの連結部材として機能させることができる。
【0049】
従って、上記の各ベースプレート4,4・・と各トッププレート5,5・・とをそれぞれ本来の機能(接地台、吊上げロープ係止部材)を維持させつつ、2戸のハウス1,1を二階建にする場合の連結部材として有効利用できる。
【符号の説明】
【0050】
1はハウス(ユニットハウス)、2は側面部、3は前面部、4はベースプレート、5はトッププレート、6はボルト、7はナット、8は吊上げロープ、11は隅柱、41はベースプレートのボルト挿通穴、51はトッププレートのボルト挿通穴である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハウス本体(10)の下面部四隅付近にそれぞれ接地台となるベースプレート(4,4・・)を取付けている一方、上記ハウス本体(10)の上面部四隅付近にそれぞれ吊上げロープの係止部となるトッププレート(5,5・・)を取付けており、
上記各ベースプレート(4,4・・)と上記各トッププレート(5,5・・)とは、同形の2戸のハウス(1,1)を上下に積み重ねた状態で下部側のハウス(1)の各トッププレート(5,5・・)と上部側のハウス(1)の各ベースプレート(4,4・・)とがそれぞれ重合するように配置されているとともに、
上記各ベースプレート(4,4・・)と上記各トッププレート(5,5・・)には、両プレート(4,5)が重合した状態で相互に連通するボルト挿通穴(41,51)をそれぞれ設けている、
ことを特徴とするユニットハウス。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−7350(P2012−7350A)
【公開日】平成24年1月12日(2012.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−143264(P2010−143264)
【出願日】平成22年6月24日(2010.6.24)
【出願人】(301059846)喜多機械産業株式会社 (2)