説明

ラック貨物コンテナ

【課題】 日本内外に渡る搬送であっても、載せ換える作業をすることなく一貫搬送を可能としたラック貨物コンテナを提供する。
【解決手段】 鉄路上などを移動可能なる台座4の上部に載置可能であり且つ全長12フィートの貨物コンテナ5を長手方向に3個載置可能なるベース部材2と、ベース部材2の四隅に立設してなるコーナポスト3とよりなり、ベース部材2には、貨物コンテナ5の日本工業規格に基づく第1貨物コンテナ6に配された第1支持手段を支持可能なる第1係止手段8と、貨物コンテナ5の国際規格に基づく第2貨物コンテナ7に配された第2支持手段を支持可能なる第2係止手段9とを配し、前記第1係止手段8と前記第2係止手段9とを選択的に置換可能なるようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ラック貨物コンテナに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来のラック貨物コンテナは、適宜の貨物コンテナを載せたものでしかなく、その貨物コンテナ専用支持手段を有するラック貨物コンテナでしかない。他方、輸出入貨物は、輸送費の削減のために船舶に支持可能なISO規格に基づく全長40フィートという大きな輸送単位の貨物コンテナ内に適宜荷物を積み込んで搬送している(例えば、特許文献1参照。)。
【特許文献1】特開2004−345693号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、このような従来の技術にあっては、前記した40フィートという大きな輸送単位の貨物コンテナでは、貨物コンテナの効率的な搬送を求めると、荷物が該貨物コンテナ内が満杯近くなるまで搬送を止めることになり、却って流通が阻害されることになる。また、さまざまな仕向地宛の貨物を一つの貨物コンテナに混在して積み込めば、荷物の集積地(港など)で該貨物コンテナから荷物を一旦降ろして仕向地別にする仕分け作業及び小型の貨物コンテナに載せ換える作業を必要とし、搬送時間が多大となり、トータルコストが多大になる。こうした課題に対して、改善が望まれている。
【0004】
本発明は、このような従来の技術に着目してなされたものであり、流通効率を向上し、載せ換える作業をすることなく一貫搬送を可能としたラック貨物コンテナを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1に記載の発明は、鉄路上などを移動可能なる台座の上部に載置可能であり且つ全長12フィートの貨物コンテナと同一の全幅寸法で該貨物コンテナを長手方向に3個載置可能なるベース部材と、該ベース部材の四隅に立設してなるコーナポストとより構成されてなり、前記ベース部材には、前記貨物コンテナの日本工業規格に基づく第1貨物コンテナに配された第1支持手段を支持可能なる第1係止手段と、前記貨物コンテナの国際規格に基づく第2貨物コンテナに配された第2支持手段を支持可能なる第2係止手段とを配し、前記第1係止手段と前記第2係止手段とを選択的に置換可能なることを特徴とする。
【0006】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のラック貨物コンテナであって、前記第1係止手段には、前記第1支持手段に係合可能なる第1係合部材を軸支してなり且つ前記第1係止手段を前記第1支持手段に対向した位置と前記第1支持手段に対向しない位置とに選択的に移動可能に支持されてなり、前記第2係止手段には、前記第2支持手段に係合可能なる第2係合部材を軸支してなり且つ前記第2係止手段を前記第2支持手段に対向した位置と前記第2支持手段に対向しない位置とに選択的に移動可能に支持されてなることを特徴とする。
【0007】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は請求項2に記載のラック貨物コンテナであって、前記ベース部材は、全長12フィートの貨物コンテナを長手方向に3個載置可能なる全長を有すると共に該貨物コンテナの全幅寸法より少ない寸法に形成されてなる平板状の水平プラットホームと、該水平プラットホームより前記貨物コンテナの全幅方向且つ前記第1係止手段を支持可能に張り出し形成されてなる第1支持部材及び前記第2係止手段を支持可能に張り出し形成されてなる第2支持部材とより形成されてなることを特徴とする。
【0008】
請求項4に記載の発明は、請求項1乃至請求項3の何れか1項に記載のラック貨物コンテナであって、前記第1係止手段及び前記第2係止手段の、前記第1支持手段及び前記第2支持手段に対向しない位置に移動する方向性は、前記ベース部材の第1支持部材及び前記第2支持部材の前後間の空間からの出没方向であることを特徴とする。
【0009】
請求項5に記載の発明は、請求項1乃至請求項4の何れか1項に記載のラック貨物コンテナであって、前記コーナポストの上端部には、第1係合部を形成してなり、前記コーナポストの下端部には、前記第1係合部に係合可能なる第2係合部を形成してなり、他のラック貨物コンテナを上積み可能なるようにしたことを特徴とする。
【0010】
請求項6に記載の発明は、請求項1乃至請求項5の何れか1項に記載のラック貨物コンテナであって、前記ベース部材には、フォークリフト車のフォークを差し込んで持ち上げ可能なる差し込みポケット部を形成してなることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
請求項1に記載の発明によれば、鉄路上などを移動可能なる台座の上部に載置可能であり且つ全長12フィートの貨物コンテナと同一の全幅寸法で該貨物コンテナを長手方向に3個載置可能なるベース部材と、該ベース部材の四隅に立設してなるコーナポストとより構成されてなるため、従来のようなISO規格に基づく全長40フィートという大きな輸送単位の貨物コンテナを用いず、全長12フィートという小さな輸送単位の貨物コンテナを適宜載せられるラック貨物コンテナとしたことで、荷物が該貨物コンテナ内が満杯近くなるまで搬送を止めることがなく、流通効率が著しく向上する。
【0012】
また、全長12フィートという小さな輸送単位の貨物コンテナであるから、該貨物コンテナを仕向地宛にひとまとめにできるので、仕分け作業及び小型の貨物コンテナに載せ換える作業を不要とし、搬送時間が短くなり、トータルコストが著しく削減できることになる。
【0013】
更に、前記ベース部材には、前記貨物コンテナの日本工業規格に基づく第1貨物コンテナに配された第1支持手段を支持可能なる第1係止手段と、前記貨物コンテナの国際規格に基づく第2貨物コンテナに配された第2支持手段を支持可能なる第2係止手段とを配し、前記第1係止手段と前記第2係止手段とを選択的に置換可能なるため、第1貨物コンテナと第2貨物コンテナとの支持手段の位置を異にしても、一つのラック貨物コンテナで支持できることになり、ラック貨物コンテナが、日本内外に渡る搬送であっても、載せ換える作業をすることなく一貫搬送を可能とした。従って、搬送時間の短縮化を図れ、トータルコストの削減が可能である。同じラック貨物コンテナに第1貨物コンテナと第2貨物コンテナとを混在した状態での積載も可能であるので、仕向地が決まれば、同じ貨物コンテナを流用できる。
【0014】
請求項2に記載の発明によれば、前記第1係止手段には、前記第1支持手段に係合可能なる第1係合部材を軸支してなり且つ前記第1係止手段を前記第1支持手段に対向した位置と前記第1支持手段に対向しない位置とに選択的に移動可能に支持されてなるため、第1貨物コンテナを支持する場合には、第1係合部材を第1支持手段に対向した位置に移動させることで、第1貨物コンテナの第1支持手段と第1係合部材とが係合可能となり、第1貨物コンテナはラック貨物コンテナに確実に保持される。この際、第2貨物コンテナ用の第2係止手段を第2支持手段に対向しない位置に移動させておくだけでよい。
【0015】
また、前記第2係止手段には、前記第2支持手段に係合可能なる第2係合部材を軸支してなり且つ前記第2係止手段を前記第2支持手段に対向した位置と前記第2支持手段に対向しない位置とに選択的に移動可能に支持されてなるため、第2貨物コンテナを支持する場合には、第2係合部材を第2支持手段に対向した位置に移動させることで、第2貨物コンテナの第2支持手段と第2係合部材とが係合可能となり、第2貨物コンテナはラック貨物コンテナに確実に保持される。この際、第1貨物コンテナ用の第1係止手段を第1支持手段に対向しない位置に移動させておくだけでよい。
【0016】
請求項3に記載の発明によれば、ベース部材は、全長12フィートの貨物コンテナを長手方向に3個載置可能なる全長を有すると共に該貨物コンテナの全幅寸法より少ない寸法に形成されてなる平板状の水平プラットホームと、該水平プラットホームより前記貨物コンテナの全幅方向且つ前記第1係止手段を支持可能に張り出し形成されてなる第1支持部材及び前記第2係止手段を支持可能に張り出し形成されてなる第2支持部材とより形成されてなるため、水平プラットホームの全幅寸法が貨物コンテナの全幅寸法よりも少ない分軽量化が図れるし、製造原価の低減に寄与することができる。
【0017】
請求項4に記載の発明によれば、前記第1係止手段及び前記第2係止手段の、前記第1支持手段及び前記第2支持手段に対向しない位置に移動する方向性は、前記ベース部材の第1支持部材及び前記第2支持部材の前後間の空間からの出没方向であるため、第1支持手段及び前記第2支持手段に対向しない位置に移動した第1係止手段及び前記第2係止手段の位置は、前記貨物コンテナの全幅よりはみ出さず、建築限界ぎりぎりでも何ら支障を及ぼさないことになる。
【0018】
請求項5に記載の発明によれば、コーナポストの上端部には、第1係合部を形成してなり、前記コーナポストの下端部には、前記第1係合部に係合可能なる第2係合部を形成してなり、他のラック貨物コンテナを上積み可能なるようにしたため、台座上に支持して一度に搬送できるラック貨物コンテナを複数段に上積みできる。従って、搬送効率が著しく向上し、大量輸送が可能となる。
【0019】
請求項6に記載の発明によれば、ベース部材には、フォークリフト車のフォークを差し込んで持ち上げ可能なる差し込みポケット部を形成してなるため、台座上のラック貨物コンテナを他の台座に移動させる際に、差し込みポケット部にフォークリフト車のフォークを差し込んで持ち上げるだけで簡易に移動させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
流通効率を向上し、載せ換える作業をすることなく一貫搬送を可能としたラック貨物コンテナを提供する、という目的を、鉄路上などを移動可能なる台座の上部に載置可能であり且つ全長12フィートの貨物コンテナと同一の全幅寸法で該貨物コンテナを長手方向に3個載置可能なるベース部材と、該ベース部材の四隅に立設してなるコーナポストとより構成されてなり、前記ベース部材には、前記貨物コンテナの日本工業規格に基づく第1貨物コンテナに配された第1支持手段を支持可能なる第1係止手段と、前記貨物コンテナの国際規格に基づく第2貨物コンテナに配された第2支持手段を支持可能なる第2係止手段とを配し、前記第1係止手段と前記第2係止手段とを選択的に置換可能なることで、実現した。
【実施例】
【0021】
以下、本発明の最良の実施例を図1〜図12に基づいて説明する。
【0022】
本発明のラック貨物コンテナ1は、鉄路上を中・長距離間を移動可能なる貨物列車などの台座4(図1)の上部に載置可能であり且つ全長12フィートの貨物コンテナ5と同一の全幅寸法で該貨物コンテナ5を長手方向に3個載置可能なるベース部材2と、該ベース部材2の四隅に立設してなるコーナポスト3とより構成されてなる。ラック貨物コンテナ1の寸法は、全長が12192ミリメートル、全幅が2438ミリメートル、全高が2896ミリメートルである。
【0023】
前記コーナポスト3は、図3に示すように、前後寸法244ミリメートル、全幅寸法175ミリメートルの横断面H鋼板であり、両端部鋼板は厚さ11ミリメートル、架橋鋼板は7ミリメートルであるポスト部材19,19と、該ポスト部材19,19の上端部3a、3a及び前記ポスト部材19,19の下端部3b,3bの間をX字状に架設したXバー20と、前記ポスト部材19,19の上端部3a、3a間を略水平に架設した架橋部材21とよりなる。また、前記ポスト部材19,19の上端部3a、3aには、ポスト部材19,19の断面よりも細い第1係合部15が形成されてなり、前記ポスト部材19,19の下端部3b,3bには、前記第1係合部15が嵌合可能なる凹部状に形成されてなる第2係合部16が形成されてなるので、ラック貨物コンテナ1ISO規格に基づく40フィート海上コンテナなどを積み上げることが可能である。つまり、台座4の上部に載置したラック貨物コンテナ1の上側に別のラック貨物コンテナ1を積み上げる際は、下側のラック貨物コンテナ1の第1係合部15に、上側のラック貨物コンテナ1の第2係合部16を嵌合させることで、少なくとも上下二段になるが、都合7段までのラック貨物コンテナ1の積み上げが可能であることを出願人において確認している。
【0024】
前記ベース部材2には、前記貨物コンテナ5の日本工業規格に基づく第1貨物コンテナ6毎の前後方向の中央であり且つ左右端部より垂下して配された鏃突起状の第1支持手段であるアンカ(図示省略)を図5の矢印方向からそれぞれ支持可能なる第1係止手段8と、前記貨物コンテナ5の国際規格に基づく第2貨物コンテナ7毎の前後四隅に配された第2支持手段である係合孔(図示省略)をそれぞれ支持可能なる第2係止手段9とを配し、前記第1係止手段8と前記第2係止手段9とを選択的に置換可能としてある。図1に示す場合は、第1貨物コンテナ6が2個連続して配されて、第2貨物コンテナ7がその後ろに配された例を示す。
【0025】
前記した第1係止手段8と第2係止手段9とを「選択的に置換可能」にしたとする意味をここで説明する。図1の真ん中と左側の第1貨物コンテナ6の場合のように、第1係止手段8によりアンカを支持可能なる位置に配した(つまり選択した)時(図4の実線で示す位置にした時)には、第2係止手段9を係合孔に支持できない位置(図7及び図8で示す位置)に配した(つまり選択しない)ことである。
【0026】
また、図1の右側の第2貨物コンテナ7の場合のように、第2係止手段9により係合孔を支持可能なる位置に配した(つまり選択した)時には、アンカを第1係止手段8に支持できない位置(図4の二点鎖線で示す位置)に配した(つまり選択しない)ことである。
【0027】
前記ベース部材2は、全長12フィートの貨物コンテナ5を長手方向に3個載置可能なる全長12192ミリメートルを有すると共に該貨物コンテナ5の全幅寸法より少ない寸法である全幅1838ミリメートルに形成されてなる平板状の水平プラットホーム12と、該水平プラットホーム12より前記貨物コンテナ5の全幅方向且つ前記第1係止手段8を支持可能に張り出し形成されてなる第1支持部材13及び前記第2係止手段9を支持可能に張り出し形成されてなる第2支持部材14とより形成されてなると共に、図9に示すように、フォークリフト車17のフォーク(図示省略)を差し込んで持ち上げ可能なる差し込みポケット部18を形成してなる。
【0028】
前記第1係止手段8とベース部材2との関係の詳細を図4乃至図6を用いて説明する。ベース部材2の水平プラットホーム12から張り出し形成されてなる第1支持部材13の前後端部(図4乃至図6の左右側)には、ブラケット23,23が突出してなり、軸支ピン24により図4の実線で示す位置と図4の二点鎖線で示す位置とに第1係止手段8が回転自在に軸支されてなる。第1係止手段8が図4の実線で示す位置及び図5に示す位置では、第1支持部材13の上に自重で載置されてなると共にブラケット23の貫通孔23aに抜き差し可能なるストッパピン25により該位置に保持されている。図6に示す位置では、第1係止手段8は軸支ピン24により第1支持部材13の上から離れて水平プラットホーム12の端部に溶接支持された第2ブラケット26に保持された第3ブラケット27の貫通孔27aに合致する位置に移動し、前記ストッパピン25により該位置に保持されている。図6では、該ストッパピン25を貫通孔27aに差し込む前の状況である。符号25aは、ストッパピン25を第1係止手段8につなぎ止めているチェーンである。
【0029】
また、第1係止手段8の中央に形成されてなる貫通孔8aには、第2ストッパピン28が抜き差し可能なるようにしてなる。該第2ストッパピン28を貫通孔8aに差し込んでいるときには、キャッチャがアンカをロックした位置を保持することができるから、列車などの揺れが生じてもアンカがキャッチャから離脱しない。換言すると、アンカをキャッチャにロックさせていないにもかかわらず、第2ストッパピン28を貫通孔8aに差し込んでいると、貨物コンテナ5を降ろす作業、即ち、アンカをキャッチャに係合させる作業を誤ってすると、アンカによってキャッチャに大きな荷重が加わり、該キャッチャが損壊させてしまうおそれがある。即ち、第2ストッパピン28を貫通孔8aに差し込んでいない状態とは、貨物コンテナ5をラック貨物コンテナ1に載せる作業を行える、という作業者への合図にもなる。
【0030】
該第2ストッパピン28を貫通孔8aから抜いている時には、キャッチャは動き得る状態なので、アンカのロック保持がされない。換言すると、この状態でアンカを降ろすと、キャッチャはアンカをロックできる。図5及び図6では、該第2ストッパピン28を貫通孔8aに差し込む前の状況である。符号28aは、第2ストッパピン28を第1係止手段8につなぎ止めているチェーンである。符号29は、該第2ストッパピン28にピン29aにより回転自在に軸支されてなる抜け止めピンであり、前記貫通孔8aに差し込むことで自重により回転して抜け止めされる。
【0031】
第1支持部材13の上部には、一方に二箇所、他方に一箇所のリブ状の第3ストッパ30が立設されてなり、前記第1係止手段8がベース部材2の進行方向左右方向へずれることを防止している。第1支持部材13の下部には、前記水平プラットホーム12の縦壁12aに対して第1支持部材13を頑強に支えるリブ13aが形成されている。
【0032】
前記第2係止手段9とベース部材2との関係の詳細を図7及び図8を用いて説明する。ベース部材2の水平プラットホーム12から張り出し形成されてなる第2支持部材14の後側(図7及び図8の右側)端部には、第4ブラケット31が突出してなり、軸支ピン24により図1の右側の第2貨物コンテナ7の下側で示す位置と図7及び図8に示す位置とに第2係止手段9が回転自在に軸支されてなる。第2係止手段9は、図1の右側の第2貨物コンテナ7の下側で示す位置では、第2支持部材14の上に自重で載置されてなると共に第2支持部材14の貫通孔14aに抜き差し可能なるストッパピン25により該位置に保持されている。図7及び図8に示す位置では、第2係止手段9は軸支ピン24により第2支持部材14の上から離れて水平プラットホーム12の端部に溶接支持された第5ブラケット32に保持された第6ブラケット33の貫通孔33aに合致する位置に移動し、前記ストッパピン25により該位置に保持されている。図7及び図8では、該ストッパピン25を貫通孔33aに差し込んだ後の状況である。
【0033】
第2支持部材14の上部には、一箇所のリブ状の第4ストッパ34が立設されてなり、前記第2係止手段9がベース部材2の進行方向左右方向へずれることを防止している。第2支持部材14の下部には、前記水平プラットホーム12の縦壁に対して第2支持部材14を頑強に支えるリブ14bが形成されている。
【0034】
前記貨物コンテナ5の国際規格に基づく第2貨物コンテナ7の四隅に配された都合四箇所の下向きの係合孔(図示省略)は、第2貨物コンテナ7がフォークリフト車17などで持ち上げられて、第2係止手段9のアンカ状の第2係合部材11の位置に合致させるようにして降ろすことで、係合孔がアンカ状の第2係合部材11に嵌合して支持されるように、前記第2係止手段9には、前記第2係合部材11が移動自在なるように軸支されてなる。該嵌合を解除される手段は、第2係合部材11を、図示しない装置により移動させることで開成し、第2係合部材11から係合孔が離脱できる。符号11aは、図8に示すような位置に第2係止手段9を回転させた際に、第2係合部材11が第2係止手段9から脱落しないように保持可能なるストッパである。
【0035】
前記貨物コンテナ5の第1貨物コンテナ6及び第2貨物コンテナ7は、外側の寸法が共に同じであり、長尺(前後)方向の寸法が3715ミリメートル(12.18フィート)、短尺(左右)方向の寸法が2482ミリメートル、高さ方向の寸法が2500ミリメートルである。この発明において、該前記貨物コンテナ5を「全長12フィートの貨物コンテナ」と呼称する。前記第1貨物コンテナ6及び第2貨物コンテナ7の相違点は、前記したアンカ及び係合孔の取付位置の相違点にある。
【0036】
前記貨物コンテナ5の日本工業規格に基づく第1貨物コンテナ6に配された鏃突起状のアンカ(図示省略)は、第1貨物コンテナ6の全長方向の中央に都合二箇所垂下されてなり、第1貨物コンテナ6がフォークリフト車17などで持ち上げられて、第1係止手段8の位置に合致させるように降ろすことで、アンカが第1係合部材10に嵌合して支持される。該嵌合を解除される手段は、第1係合部材10を図示しない装置により移動させることで開成し、第1係合部材10からアンカが離脱できる。
【0037】
前記差し込みポケット部18について、次に説明する。該差し込みポケット部18は、フォークリフト車17(図9)のフォーク(図示省略)を差し込み可能なるように、水平プラットホーム12の縦壁12aに左右に貫通した貫通孔であり、該フォークリフト車17のフォークを囲繞できるように筒状に形成されてなる。また、該差し込みポケット部18の上部と水平プラットホーム12との間には、差し込みポケット部18に加わった荷重に耐え得るように、複数の縦リブ37が形成されてなる。
【0038】
次に、本実施例の作用を説明する。
【0039】
鉄路上などを移動可能なる台座4の上部に載置可能であり且つ全長12フィートの貨物コンテナ5と同一の全幅寸法で該貨物コンテナ5を長手方向に3個載置可能なるベース部材2と、該ベース部材2の四隅に立設してなるコーナポスト3とより構成されてなるため、従来のようなISO規格に基づく全長40フィートという大きな輸送単位の貨物コンテナを用いず、全長12フィートという小さな輸送単位の貨物コンテナ5を適宜載せられるラック貨物コンテナ1としたことで、荷物が該貨物コンテナ5内が満杯近くなるまで搬送を止めることがなく、流通効率が著しく向上する。
【0040】
また、全長12フィートという小さな輸送単位の貨物コンテナ5であるから、該貨物コンテナ5を仕向地宛にひとまとめにできるので、仕分け作業が不要であり且つ従来のようなISO規格に基づく全長40フィートという大きな輸送単位の貨物コンテナから小型の貨物コンテナ5に載せ換える作業を不要とし、搬送時間が短くなり、トータルコストが著しく削減できることになる。
【0041】
更に、前記ベース部材2には、前記貨物コンテナ5の日本工業規格に基づく第1貨物コンテナ6に配された第1支持手段を支持可能なる第1係止手段8と、前記貨物コンテナ5の国際規格に基づく第2貨物コンテナ7に配された第2支持手段を支持可能なる第2係止手段9とを配し、前記第1係止手段8と前記第2係止手段9とを選択的に置換可能であるため、第1貨物コンテナ6と第2貨物コンテナ7との支持手段の位置を異にしても、一つのラック貨物コンテナ1で支持できることになり、ラック貨物コンテナ1が、日本内外に渡る搬送であっても、載せ換える作業をすることなく一貫搬送を可能とした。従って、搬送時間の短縮化を図れ、トータルコストの削減が可能である。同じラック貨物コンテナ1に、第1貨物コンテナ6と第2貨物コンテナ7とを混在した状態での積載も可能であるので、仕向地が決まれば、同じ貨物コンテナ5を流用できる。
【0042】
ベース部材2には、前記貨物コンテナ5の日本工業規格に基づく第1貨物コンテナ6に配された第1支持手段であるアンカを支持可能なる第1係止手段8と、前記貨物コンテナ5の国際規格に基づく第2貨物コンテナ7に配された第2支持手段である係合孔を支持可能なる第2係止手段9とを配し、前記第1係止手段8と前記第2係止手段9とを選択的に置換可能なるため、同じラック貨物コンテナ1に第1貨物コンテナ6と第2貨物コンテナ7とを選択的に支持できることになり、日本内外に渡る搬送であっても、載せ換える作業をすることなく一貫搬送を可能とした。勿論、第1貨物コンテナ6のみを3個搬送しても、第2貨物コンテナ7のみを3個搬送しても良い。
【0043】
また、前記第1係止手段8には、前記第1支持手段であるアンカに係合可能なる第1係合部材であるキャッチャ10を軸支してなり且つ前記アンカに対向した位置と前記アンカに対向しない位置とに選択的に移動可能に支持されてなるため、第1貨物コンテナ6を支持する場合には、キャッチャ10をアンカに対向した位置に移動させることで、第1貨物コンテナ6のアンカとキャッチャ10とが係合可能となり、第1貨物コンテナ6はラック貨物コンテナ1に確実に保持される。この際、第2貨物コンテナ7用の第2係止手段9を第2支持手段である係合孔に対向しない位置に移動させておくだけでよい。
【0044】
また、第2貨物コンテナ7を支持する場合には、第2係合部材9を係合孔に対向した位置に移動させることで、第2貨物コンテナ7の係合孔と第2係合部材であるアンカ11とが係合可能となり、第2貨物コンテナ7はラック貨物コンテナ1に確実に保持される。この際、第1貨物コンテナ6用の第1係止手段8をアンカに対向しない位置に移動させておくだけでよい。
【0045】
また、ラック貨物コンテナ5のベース部材2は、全長12フィートの貨物コンテナ5を長手方向に3個載置可能なる全長12192ミリメートルを有すると共に該貨物コンテナ5の全幅寸法より少ない全幅寸法の1838ミリメートルに形成されてなる平板状の水平プラットホーム12と、該水平プラットホーム12より前記貨物コンテナ5の全幅方向且つ前記第1係止手段8を支持可能なるように水平プラットホーム12から300ミリメートル張り出し形成されてなる第1支持部材13及び前記第2係止手段9を支持可能に同じく張り出し形成されてなる第2支持部材14とより形成されてなるため、水平プラットホーム12の全幅寸法1838ミリメートルが貨物コンテナ5の全幅寸法2482ミリメートルよりも約600ミリメートル少ない分軽量化が図れるし、製造原価の低減に寄与することができる。
【0046】
前記第1係止手段8及び前記第2係止手段9の、前記第1支持手段及び前記第2支持手段に対向しない位置に移動する方向性は、前記ベース部材2の第1支持部材13及び前記第2支持部材14の前後間の空間38からの出没方向であるため、第1支持手段及び前記第2支持手段に対向しない位置に移動した第1係止手段8及び前記第2係止手段9の位置は、前記貨物コンテナ5の全幅よりはみ出さず、建築限界ぎりぎりでも何ら支障を及ぼさないことになる。
【0047】
また、コーナポスト3の上端部3aには、第1係合部15を形成してなり、前記コーナポスト3の下端部3bには、前記第1係合部15に係合可能なる第2係合部16を形成してなり、他のラック貨物コンテナ1を上積み可能なるようにしたため、台座4上に支持して一度に搬送できるラック貨物コンテナ1を複数段に上積みできる。従って、搬送効率が著しく向上し、大量輸送が可能となる。
【0048】
また、ベース部材2には、フォークリフト車17のフォークを差し込んで持ち上げ可能なる差し込みポケット部18を形成してなるため、台座4上のラック貨物コンテナ1を他の台座、例えば図12に示すトラック36の荷台36aに移動させる際に、差し込みポケット部18にフォークリフト車17のフォークを差し込んで持ち上げるだけで簡易に移動させることができる。
【産業上の利用可能性】
【0049】
以上の実施例では、台座として鉄路上を中・長距離間を移動可能なる貨物列車などの台座4及びトラック36の荷台36aを例にしたが、これに限定されず、航空機や船舶の貨物庫でも良い。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】本発明の一実施例に係る貨物コンテナとラック貨物コンテナと鉄道台座との関係を示す正面図。
【図2】図1のラック貨物コンテナのみを示す平面図。
【図3】図1のラック貨物コンテナの側面図。
【図4】図1のA部を拡大して示す正面図。
【図5】図4の第1係止手段の斜視説明図。
【図6】図5に示す第1係止手段を第1貨物コンテナの第1支持手段に対向しない位置に移動させた状態を示す斜視図。
【図7】図1のB部を拡大して示す正面図。
【図8】図7に示す第2係止手段を第1貨物コンテナの第1支持手段に対向しない位置に移動させた状態を示す斜視図。
【図9】図1のラック貨物コンテナをフォークリフト車のフォークにより持ち上げた状態を示す説明図。
【図10】図1のC部を拡大して示す正面図。
【図11】図10のSD−SD線に沿った断面図。
【図12】本発明の貨物コンテナとラック貨物コンテナとをトラック台座に載せ替えた状況を示す斜視図。
【符号の説明】
【0051】
1 ラック貨物コンテナ
2 ベース部材
3 コーナポスト
4、36a 台座
5 貨物コンテナ
6 第1貨物コンテナ
7 第2貨物コンテナ
8 第1係止手段
9 第2係止手段
10 第1係合部材
11 第2係合部材
12 水平プラットホーム
13 第1支持部材
14 第2支持部材
15 第1係合部
16 第2係合部
17 フォークリフト車
18 差し込みポケット部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
鉄路上などを移動可能なる台座(4)、(36a)の上部に載置可能であり且つ全長12フィートの貨物コンテナ(5)と同一の全幅寸法で該貨物コンテナ(5)を長手方向に3個載置可能なるベース部材(2)と、該ベース部材(2)の四隅に立設してなるコーナポスト(3)とより構成されてなり、
前記ベース部材(2)には、前記貨物コンテナ(5)の日本工業規格に基づく第1貨物コンテナ(6)に配された第1支持手段を支持可能なる第1係止手段(8)と、前記貨物コンテナ(5)の国際規格に基づく第2貨物コンテナ(7)に配された第2支持手段を支持可能なる第2係止手段(9)とを配し、
前記第1係止手段(8)と前記第2係止手段(9)とを選択的に置換可能なることを特徴とするラック貨物コンテナ(1)。
【請求項2】
請求項1に記載のラック貨物コンテナ(1)であって、
前記第1係止手段(8)には、前記第1支持手段に係合可能なる第1係合部材(10)を軸支してなり且つ前記第1係止手段(8)を前記第1支持手段に対向した位置と前記第1支持手段に対向しない位置とに選択的に移動可能に支持されてなり、
前記第2係止手段(9)には、前記第2支持手段に係合可能なる第2係合部材(11)を軸支してなり且つ前記第2係止手段(9)を前記第2支持手段に対向した位置と前記第2支持手段に対向しない位置とに選択的に移動可能に支持されてなることを特徴とするラック貨物コンテナ(1)。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載のラック貨物コンテナ(1)であって、
前記ベース部材(2)は、全長12フィートの貨物コンテナ(5)を長手方向に3個載置可能なる全長を有すると共に該貨物コンテナ(5)の全幅寸法より少ない寸法に形成されてなる平板状の水平プラットホーム(12)と、該水平プラットホーム(12)より前記貨物コンテナ(5)の全幅方向且つ前記第1係止手段(8)を支持可能に張り出し形成されてなる第1支持部材(13)及び前記第2係止手段(9)を支持可能に張り出し形成されてなる第2支持部材(14)とより形成されてなることを特徴とするラック貨物コンテナ(1)。
【請求項4】
請求項1乃至請求項3の何れか1項に記載のラック貨物コンテナ(1)であって、
前記第1係止手段(8)及び前記第2係止手段(9)の、前記第1支持手段及び前記第2支持手段に対向しない位置に移動する方向性は、前記ベース部材(2)の第1支持部材(13)及び前記第2支持部材(14)の前後間の空間(38)からの出没方向であることを特徴とするラック貨物コンテナ(1)。
【請求項5】
請求項1乃至請求項4の何れか1項に記載のラック貨物コンテナ(1)であって、
前記コーナポスト(3)の上端部(3a)には、第1係合部(15)を形成してなり、前記コーナポスト(3)の下端部(3b)には、前記第1係合部(15)に係合可能なる第2係合部(16)を形成してなり、
他のラック貨物コンテナ(1)を上積み可能なるようにしたことを特徴とするラック貨物コンテナ(1)。
【請求項6】
請求項1乃至請求項5の何れか1項に記載のラック貨物コンテナ(1)であって、
前記ベース部材(2)には、フォークリフト車(17)のフォークを差し込んで持ち上げ可能なる差し込みポケット部(18)を形成してなることを特徴とするラック貨物コンテナ(1)。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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