説明

ラップ詰め替えボックス

【課題】ラップフィルムにテンションを掛ける操作をしなくても、ラップフィルムを良好に切断することできるラップ詰め替えボックスを提供すること。
【解決手段】ラップロールを収納しラップフィルムFを箱外へ繰り出して付設するカッター14で切断し使い切ると新しいラップロールを収容し継続使用するラップ詰め替えボックスである。ラップフィルム切断手段Cは、箱外へ繰り出すラップフィルムFの両側にかつ幅方向に沿って対向して設けられ相対的に接近離隔自在である雌型噛合部16と雄型噛合部17とを有し、雌型噛合部16にはフィルム幅よりも長い溝部16aを有し、雄型噛合部17には前記溝部16aに対してその溝部内両側面との間にラップフィルムFを挟んで嵌入する二条突起17aを有し、カッター14は、溝部16aの底面幅中央に備えられ雄型噛合部17の二条突起17aが雌型噛合部16の溝部16aに嵌入するときに二条突起17a間に相対的に進入するように構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、食品等をラップ包装するためのラップフィルムを巻回したラップロールを収容し、適宜長さごとに備付けのカッターにより切断して使用し、使い切ると新しいラップロールを収容し継続使用するラップ詰め替えボックスに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、従来のラップ詰め替えボックスは、備付けのカッターによりラップフィルムを切断する。ラップフィルムの切断について詳述すると、収納箱本体部に収納したラップロールからラップフィルムを箱外へ所望の長さ繰り出し、収納箱本体部の外面と、蓋部又は蓋部より延在し収納箱本体部の前壁部外面に重なる垂下片部と、によりラップフィルムを押さえ、該ラップフィルムにテンションを掛けつつ備付けのカッターに押圧して切断する。
【0003】
特に、従来のラップ詰め替えボックスの前壁部に、ラップフィルムに全幅に均等な張力がかかりラップフィルムがラップロールからしわの発生や偏りの生じない状態で繰り出されるように機能するスリット又は同等のガイド手段を備えたものが提案されている(特許文献1参照)。
【0004】
【特許文献1】特開2000−203567号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記従来のラップ詰め替えボックスによれば、ラップフィルムの幅方向の一端でカッターのフィルムを突き破る力が強くなるようにラップフィルムにテンションを掛けることにより該一端を切断し、ラップフィルムに掛けるテンションをフィルム幅方向に移動することによりフィルム全幅を良好に切断し得、ラップフィルムにテンションを掛ける操作をしなければ、ラップフィルムを良好に切断することが難しい、という問題がある。
【0006】
本発明は、上記した事情にかんがみ案出されたものであり、その課題とするところは、ラップフィルムにテンションを掛ける操作をしなくても、ラップフィルムを良好に切断することできるラップ詰め替えボックスを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明の包装用ラップ詰め替えボックスは、ラップロールを収納しラップフィルムを箱外へ繰り出してカッターを含むラップフィルム切断手段により切断し、使い切ると新しいラップロールを収容し継続使用するラップ詰め替えボックスにおいて、前記ラップフィルム切断手段は、前記箱外へ繰り出すラップフィルムの両側にかつ幅方向に沿って対向していていずれか一方が他方に対して接近離隔自在である雌型噛合部と雄型噛合部とを有し、前記雌型噛合部にはフィルム幅よりも長い溝部を有し、前記雄型噛合部には前記溝部に対してその溝部内両側面との間にラップフィルムを挟んで嵌入する二条突起を有し、前記カッターが、前記溝部の底面幅中央に備えられ前記雄型噛合部の二条突起が前記雌型噛合部の溝部に嵌入するときに前記二条突起間に相対的に進入するように構成された、ことを特徴とする。
【0008】
この構成にすると、包装用ラップ詰め替えボックスに収納したラップロールからラップフィルムを箱外へ繰り出し、雌型噛合部と雄型噛合部との間に通し、雌型噛合部と雄型噛合部とを嵌合させると、雄型噛合部の二条突起が雌型噛合部の溝部に対して嵌入していき、二条突起の両側面と溝部の側面部とがラップフィルムを挟圧し二条突起間に緊張状態に張った状態になり、カッターが緊張状態のラップフィルムを突き破り二条突起間に進入するので、従来のように、ラップフィルムにテンションを掛ける手動操作をしなくても、ラップフィルムを良好に切断することできる。
【0009】
本発明では、前記ラップフィルム切断手段は、収納箱本体部の一側面に箱外へ繰り出すラップフィルムを通すスリットを備え、前記収納箱本体部の一側面の外面の前記スリットを挟む領域に備えられ、前記スリットの上方にある前記雌型噛合部と前記雄型噛合部のいずれか一方を下方向に前記スリットを通り越して移動し他方に嵌合させることにより、前記カッターが前記二条突起間に進入するように構成することが好ましい。
【0010】
この構成にすると、ラップロールから繰り出すラップフィルムをスリットに通して箱外へ導くことで雌型噛合部と雄型噛合部との間に通すことができる。スリットの上方まで持ち上げた雌型噛合部と雄型噛合部のいずれか一方を、再び下降して他方に嵌合させると、雄型噛合部の二条突起がラップフィルムの溝内部分にテンションを与えて雌型噛合部の溝部に対して嵌入していき、カッターが緊張状態のラップフィルムを突き破り、ラップフィルムを良好に切断することができる。
【0011】
本発明では、前記ラップ詰め替えボックスは、収納箱本体部と、蓋部と、前記蓋部の前端縁に連接された垂下片部と、を有するラップ詰め替えボックスであって、前記ラップフィルム切断手段は、前記雌型噛合部と前記雄型噛合部のいずれか一方が前記垂下片部に配設され、他方が、前記収納箱本体部の前記垂下片部が重なる一側面の外面に配設され、前記蓋部を閉じることにより、前記カッターが前記二条突起間に進入するように構成することが好ましい。
【0012】
この構成にすると、蓋部を開いてラップフィルムを所要長さ箱外へ繰り出し、蓋部を閉めると、雌型噛合部と雄型噛合部とが嵌合し、雄型噛合部の二条突起がラップフィルムの溝内部分にテンションを与えて雌型噛合部の溝部に対して嵌入していき、カッターが緊張状態のラップフィルムを突き破り二条突起間に進入するので、ラップフィルムにテンションを掛ける操作をしなくても、ラップフィルムを良好に切断することができる。
【0013】
この構成は更に、以下の2つの異なった構成を選択的に含んでいる。
一の構成として、前記蓋部と前記垂下片部とが一体に設けられ、前記ラップフィルム切断手段は、前記垂下片部に一体に設けられた前記雌型噛合部と前記雄型噛合部のうちいずれか一方と、前記収納箱本体部に一体に設けられた他方とが、前記蓋部の回転中心を中心とする円弧方向に相対的に接近離隔自在であり、前記蓋部を閉じることにより、前記カッターが前記二条突起間に進入することが好ましい。
【0014】
この構成によれば、蓋部を開けてラップフィルムを引き出し蓋部を閉じると、雌型噛合部と雄型噛合部との嵌合離脱が蓋部の回転中心を中心とする円弧方向に行われ、雌型噛合部と雄型噛合部との嵌合がずれないとともに、カッターの位置が雄型噛合部に対してずれないので、雄型噛合部の二条突起がラップフィルムの溝内部分にテンションを与えて雌型噛合部の溝部に対して嵌入していき、カッターが緊張状態のラップフィルムを突き破り二条突起間に進入し、ラップフィルムを良好に切断することができる。この構成によれば、蓋部を閉じると雌型噛合部及び雄型噛合部が、収納箱本体部又は蓋部に一体に配設され、スライド構造ではないので、収納箱本体部と蓋部との枢着が壊れない限り半永久的に雌型噛合部と雄型噛合部との嵌合離脱が良好に行われる。
【0015】
他の一の構成として、前記ラップフィルム切断手段は、前記雌型噛合部と前記雄型噛合部のいずれか一方が前記垂下片部に移動可能に配設され、他方が、前記収納箱本体部の前記垂下片部が重なる一側面の外面に固設され、前記蓋部を閉じ更に前記雌型噛合部と前記雄型噛合部との一方を他方に向かって移動することにより、前記カッターが前記二条突起間に進入することが好ましい。
この構成によれば、蓋部を閉じ、次いで、垂下片部に設けられた前記雌型噛合部と前記雄型噛合部のいずれか一方を移動可能することで、該一方を他方に対して嵌合することができ、それによって、雄型噛合部の二条突起がラップフィルムの溝内部分にテンションを与えて雌型噛合部の溝部に対して嵌入していき、カッターが緊張状態のラップフィルムを突き破り二条突起間に進入し、ラップフィルムを良好に切断することができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、ラップフィルムにテンションを掛ける操作をしなくても、ラップフィルムを良好に切断することできるラップ詰め替えボックスを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下に、本発明の実施の形態に係るラップ詰め替えボックスについて図面を参照して説明する。
【0018】
〔基本的構成〕
図2、図6及び図10に示すいずれの包装用ラップ詰め替えボックス10A、10B、10Cは、包装用のラップロールRを収納しラップフィルムFを箱外へ繰り出して適宜長さで切断し使い切ると新しいラップロールRを収容し継続使用するタイプのラップ詰め替えボックスである。
【0019】
包装用ラップ詰め替えボックス10A、10B、10Cは、いずれも、図1に示すように、ボックス内に収容されたラップロールRから繰り出すラップフィルムFを箱外へ繰り出しカッター14で切断するラップフィルム切断手段Cを備えていることが特徴である。
【0020】
ラップフィルム切断手段Cは、雌型噛合部16と雄型噛合部17とを有してなる。雌型噛合部16は、フィルム幅よりも長い溝部16aを有してなる。雄型噛合部17は、溝部16aに対してその溝部内両側面との間にラップフィルムFを挟んで嵌入する二条突起17aを有してなる。カッター14は、溝部16aの底面幅中央に備えられ雄型噛合部17の二条突起17aが雌型噛合部16の溝部16aに嵌入するときに二条突起17a間に相対的に進入するように備えられている。雌型噛合部16と雄型噛合部17とは、天地逆の配置に備えられていても良い。雌型噛合部16と雄型噛合部17は、箱外へ繰り出すラップフィルムFの両側に設けられいずれか一方が他方にまたは両方が互いに接近離隔自在であれば良い。
【0021】
包装用ラップ詰め替えボックス10A、10B、10Cは、いずれも、上記構成のラップフィルム切断手段Cを備えているので、従来のように、ラップフィルムにテンションを掛ける手動操作をしなくても、以下のように、ラップフィルムFを良好に切断することできる。
まず、包装用ラップ詰め替えボックス10に収納したラップロールRから、図1(a)に示すように、ラップフィルムFを箱外へ繰り出し、雌型噛合部16と雄型噛合部17との間に通す。そして、図1(b)に示すように、雌型噛合部16と雄型噛合部17とを嵌合させると、二条突起17aが溝部16aに対し嵌入していく。すると、図1(c)に示すように、二条突起17aの両側面とこれに対向する溝部16aの側面部とがラップフィルムFを挟圧する。このため、従来において行っていたラップフィルムにテンションを掛ける手掴みして牽引する操作を行わなくても、ラップフィルムFは、二条突起17a間に緊張状態に張られた状態になり、このまま、二条突起17aが溝部16aに対して更に深く嵌入していく。従って、カッター14は、緊張状態のラップフィルムFを突き破り二条突起17a間に進入する。
その後、図1(d)に示すように、雌型噛合部16と雄型噛合部17とが当接停止する。このとき、ラップロールRから繰り出されたラップフィルムFの先端は、二条突起17aの箱側の側面と溝部16aの箱側の側面部とに挟圧されたままとなる。また、箱外へ繰り出されたラップフィルムFの後端は、二条突起17aの箱外側の側面と溝部16aの外方側の側面部とに挟圧されたままとなる。図1(a)に示すように、雌型噛合部16と雄型噛合部17とを離間させると、ラップロールRから繰り出されたラップフィルムFの先端及び箱外へ繰り出されたラップフィルムFの後端は、自由になり、そして、ラップロールRからラップフィルムFの次の繰り出しを行うことができる。
【0022】
〔第1の実施形態〕
図2は、第1の実施形態に係るラップ詰め替えボックス10Aの斜視図を示す。図3〜図5は、ラップ詰め替えボックス10Aの動作を説明するための工程図を示す。
この実施形態のラップ詰め替えボックス10Aは、収納箱本体部11と蓋部12とを備え、蓋部12と関わりなくラップフィルムFを箱外へ繰り出すことができるスリット15を収納箱本体部11に備え、該スリット15を通して箱外へ繰り出すラップフィルムFを切断するラップフィルム切断手段Cを備えていることが特徴である。
【0023】
収納箱本体部11は、前側面部11aと、底面部11bと、後側面部11cと、両側の端面部11d、11eとで形成するラップロールRを収容するための直方体の収容空間を有する。蓋部12は、後側面部11cの上端に例えば蝶番等の連結具20により取り付けられている。収納箱本体部11と蓋部12は、プラスチック成形であることが好ましいが、これに限定されない。収納箱本体部11に収納される包装用のラップロールRは、ラップフィルムFを箱外へ繰り出して適宜長さで切断し使い切ると新しいものが収容される。
【0024】
箱外へ繰り出すラップフィルムFを通すための開口であるスリット15は、この実施形態では、前側面部11aに設けられ、これに対応して、このスリット15を挟む領域にラップフィルム切断手段Cも前側面部11aに設けられる。ラップフィルム切断手段Cは、スリット15を挟む上下配置に雌型噛合部16と雄型噛合部17とを有してなる。この実施形態では、雄型噛合部17が、スリット15の上方にかつ前側面部11aにスライド可能に備えられ、スリット15を通り越して下降移動され、スリット15の下方に備えられた雌型噛合部16に対向して接近し、二条突起17aを溝部16a内に嵌入するとともに、カッター14が二条突起17a間に進入するように構成されている。
【0025】
雄型噛合部17を上下方向に案内するガイドとして、前側面部11aの外面に断面T字型の突条ガイド18aが備えられているとともに、雄型噛合部17の前側面部11aへの重ね合わせ面に断面C溝型の凹条ガイド18bが備えられていて、凹条ガイド18bは、雄型噛合部17の上端から二条突起17aの内側部分を分断して形成され、突条ガイド18aに嵌合されている。手操作による雄型噛合部17の安定した昇降が確保されるようにするために、突条ガイド18aと凹条ガイド18bとからなるガイドは、長手方向に適度に離間して設けられ、かつ、中間位置に、雄型噛合部17を昇降するための把手19が備えられている。
【0026】
上記のように構成されたラップ詰め替えボックス10Aによれば、ラップフィルム切断手段Cに関わらず、蓋部12を開いて収納箱本体部11にラップロールRを収容できる。ラップロールRから繰り出すラップフィルムFを、スリット15に通し箱外へ導くことで雌型噛合部16と雄型噛合部17との間に通すことができ(図3参照)、蓋部12を閉じ、その後のラップフィルムFの繰出しは蓋部12と関係なく行うことができ、ラップフィルムFを箱外へ繰り出しときに、蓋部12を開け閉めする必要がない。把手19を掴み、スリット15に関し、上方にある雄型噛合部17を下降して、下方にある雌型噛合部16に嵌合させると、上記の基本的構成において説明したように、ラップフィルムFを緊張状態に張ってカッター14によりカットすることができる(図4、図5参照)。雄型噛合部17を上昇復帰させスリット15の上方まで持ち上げることにより、ラップロールRから箱外へ繰り出している新しい先端部分を掴んで引出すことができる(図3参照)。すなわち、蓋部12の開閉との関連性が切り離されて、ラップフィルムFを箱外への繰り出しを行うことができる。
【0027】
〔第2の実施形態〕
図6は、第2の実施形態に係るラップ詰め替えボックス10Bの斜視図を示す。図7〜図9は、ラップ詰め替えボックス10Bの動作を説明するための工程図を示す。
この実施形態のラップ詰め替えボックス10Bは、収納箱本体部11と、蓋部12と、蓋部12の前端縁に連接された垂下片部13とを有し、蓋部12と垂下片部13とが直角に折れ曲がったアングル形状に形成されており、そして、上記の基本的構成において説明したラップフィルム切断手段Cを構成する雄型噛合部17が垂下片部13の先端に固定して備えられ、雌型噛合部16が収納箱本体部11の前側面部11aに備えられ、蓋部12を閉じると、二条突起17aが溝部16aに嵌入しカッター14でラップフィルムFを切断できることが特徴である。
なお、この実施形態では、雌型噛合部16が収納箱本体部11の前側面部11aに備えられ、雄型噛合部17が蓋部12に備えられるが、逆の配置であっても良い。
【0028】
この実施形態では、収納箱本体部11の前側面部11aの上端部に切欠部11a’が設けられている。従って、ラップフィルムFを切欠部11a’に通して箱外への繰出すことができる。これにより、ラップフィルムFの箱外への繰出し位置が雌型噛合部16に近くなるようにして、蓋部12の開閉ストロークが小さくしてもラップフィルムFの箱外への繰出しが可能である。
【0029】
蓋部12がヒンジ等の連結具21により収納箱本体部11の左右側面部11d、11eの上端部に取り付けられ収納箱本体部11の上部開口を開閉自在とされている。この連結具21は、蓋部12の両端に備えられた軸孔を有するブラケット21aと、収納箱本体部11の両側の端面に備えられたピボット軸21bを有し、ブラケット21aの軸孔にピボット軸21bが嵌合されてなる。垂下片部13の上端中央には、蓋部12を開閉するための把手19が備えられている。
【0030】
雄型噛合部17は、垂下片部13より外方へ延在するフランジ部17bと、このフランジ部17bに固定状態に組付けられた二条突起17aとを有し、更に、二条突起17aの上面部17a’に連結用ピン17cが付設され、この連結用ピン17cがフランジ部17bに穿設された連結用小孔に嵌挿されることにより、二条突起17aがフランジ部17bに組付けられている。フランジ部17bは、ピボット軸21bの中心と結ぶ線上に延在され、二条突起17aは、フランジ部17bに直角方向に延在されている。
雄型噛合部17は、蓋部12がピボット軸21bを回転中心として回動(開閉)されるときに蓋部12と一体に揺動し、二条突起17aを常に回動方向に向けた状態を保持する。
【0031】
雌型噛合部16は、収納箱本体部11に一体に形成され、溝部16aがピボット軸21bを回転中心として円弧上に傾いていて、至近距離に接近する二条突起17aに対向する。従って、雌型噛合部16の溝部16aと雄型噛合部17の二条突起17aとは、干渉を起こさないで嵌合することができる関係に配設されている。
【0032】
上記のように構成されたラップ詰め替えボックス10Bによれば、蓋部12を開いて収納箱本体部11にラップロールRを収容でき、ラップロールRから繰り出すラップフィルムFを、箱外へ導くことで雌型噛合部16と雄型噛合部17との間に通すことができる(図7参照)。蓋部12を閉じると、蓋部12と一体の雄型噛合部17が回動して、該雄型噛合部17を収納箱本体部11に一体に形成された雌型噛合部16に嵌合させることができ、上記の基本的構成において説明したように、ラップフィルム切断手段CがラップフィルムFを緊張状態に張ってカッター14によりカットすることができる(図8、図9参照)。蓋部12を開くと、ラップロールRから箱外へ繰り出している新しい先端部分を掴んで引出すことができる(図7参照)。
【0033】
この構成によれば、蓋部12を開けてラップフィルムFを引き出し、蓋部12を閉じると、雌型噛合部16と雄型噛合部17との嵌合離脱が蓋部12の回転中心を中心とする円弧方向に行われ、雌型噛合部16と雄型噛合部17との嵌合がずれないとともに、カッター14の位置が雄型噛合部17に対してずれないので、雄型噛合部17の二条突起17aがラップフィルムFの溝内部分にテンションを与えて雌型噛合部16の溝部16aに対して嵌入していき、カッター14が緊張状態のラップフィルムFを突き破り二条突起17a間に進入し、ラップフィルムFを良好に切断することができる。
この構成によれば、雌型噛合部16及び雄型噛合部17が収納箱本体部11又は蓋部12に一体に配設され、雌型噛合部16と雄型噛合部17との嵌合が蓋部12を閉じることで行われ、収納箱本体部11と蓋部12との枢着が壊れない限り半永久的に雌型噛合部16と雄型噛合部17との嵌合離脱が良好に行われ、ラップフィルムFの良好な切断を永く保持できる。
【0034】
〔第3の実施形態〕
図10は、第3の実施形態に係るラップ詰め替えボックス10Cの斜視図を示す。図11〜図12は、ラップ詰め替えボックス10Cの動作を説明するための工程図を示す。
この実施形態のラップ詰め替えボックス10Cは、収納箱本体部11と、蓋部12と、蓋部12の前端縁に連接された垂下片部13とを有し、蓋部12と垂下片部13とが直角に折れ曲がったアングル形状に形成されており、そして、上記の基本的構成において説明したラップフィルム切断手段Cを構成する雄型噛合部17が垂下片部13の先端に可動可能に備えられ、雌型噛合部16が収納箱本体部11の前側面部11aに備えられ、蓋部12を閉じると、二条突起17aが溝部16aに対向する位置になり、さらに雄型噛合部17を雌型噛合部16に向かって押動することにより、二条突起17aが溝部16aに対して嵌入していき、カッター14でラップフィルムFを切断できることが特徴である。
なお、この実施形態では、雌型噛合部16が収納箱本体部11の前側面部11aに備えられ、雄型噛合部17が蓋部12に備えられるが、逆の配置であっても良い。
【0035】
この実施形態では、第2の実施形態と同様に、収納箱本体部11の前側面部11aの上端部に切欠部11a’が設けられ、ラップフィルムFを切欠部11a’に通して箱外への繰出すことができる。
蓋部12は、ヒンジ等の連結具22により収納箱本体部11に取り付けられ、収納箱本体部11の上部開口を開閉自在とされている。
【0036】
雄型噛合部17は、二条突起17aと、フランジ部17bと、ガイド軸17dと、ガイド17eと、付勢手段(巻きばね)17fと、押下げ板17gとを備えてなる。フランジ部17bは、垂下片部13より外方へ延在する。二条突起17aは、上面連結部17a’にガイド軸17dを有し、このガイド軸17dをフランジ部17bに設けられたガイド17eに下から挿通され、ガイド17eを巻いて設けられた付勢手段17fを、押下げ板17gの上端に固定されたガイド軸17dが圧縮し、付勢手段17fの付勢により上面連結部17a’がフランジ部17bに密着した状態に構成されている。
従って、二条突起17aは、フランジ部17bに対し、直角方向下方に向いていて押下げ板17gを押下げることにより相対的に下降移動可能・上昇復帰可能に設けられている。
【0037】
雌型噛合部16は、収納箱本体部11に一体に形成され、溝部16aが上方に向いていて、蓋部12が閉じたときに、溝部16aが雄型噛合部17の二条突起17aに対し至近状態に対向し、押下げ板17gを付勢手段17fの付勢に抗して押し下げると、溝部16aが二条突起17aに干渉を起こさないで嵌合することができる関係に配設されている。
【0038】
上記のように構成されたラップ詰め替えボックス10Cによれば、蓋部12を開いて収納箱本体部11にラップロールRを収容でき、ラップロールRから繰り出すラップフィルムFを、箱外へ導くことで雌型噛合部16と雄型噛合部17との間に通すことができる(図11参照)。蓋部12を完全に閉じると、蓋部12と一体の雄型噛合部17が、収納箱本体部11に一体に形成された雌型噛合部16に至近距離に対向する。引き続いて、押下げ板17gを付勢手段17fの付勢に抗して押し下げると、二条突起17aが下降して溝部16aに干渉を起こさないで嵌合していき、上記の基本的構成において説明したように、ラップフィルム切断手段CがラップフィルムFを緊張状態に張ってカッター14によりカットすることができる(図12、図13参照)。蓋部12を開くと、ラップロールRから箱外へ繰り出している新しい先端部分を掴んで引出すことができる(図11参照)。
【0039】
〔その他の実施形態〕
本発明は上記実施形態に限定されるものでなく、特許請求の範囲に記載された発明の要旨を逸脱しない範囲内での種々、設計変更した形態が技術的範囲に含まれるものである。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】本発明の実施の形態に共通するラップ詰め替えボックスの要部を示す工程図である。
【図2】一実施形態に係るラップ詰め替えボックスの斜視図である。
【図3】図2のラップ詰め替えボックスの一動作を示す工程図である。
【図4】図3の次の動作を示す工程図である。
【図5】図4の次の動作を示す工程図である。
【図6】他の実施形態に係るラップ詰め替えボックスの斜視図である。
【図7】図6のラップ詰め替えボックスの一動作を示す工程図である。
【図8】図7の次の動作を示す工程図である。
【図9】図8の次の動作を示す工程図である。
【図10】他の実施形態に係るラップ詰め替えボックスの斜視図である。
【図11】図10のラップ詰め替えボックスの一動作を示す工程図である。
【図12】図11の次の動作を示す工程図である。
【図13】図12の次の動作を示す工程図である。
【符号の説明】
【0041】
10A、10B、10C ラップ詰め替えボックス
R ラップロール
F ラップフィルム
C ラップフィルム切断手段
11 収納箱本体部
12 蓋部
13 垂下片部
14 カッター
15 スリット
16 雌型噛合部
16a 溝部
17 雄型噛合部
17a 二条突起

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ラップロールを収納しラップフィルムを箱外へ繰り出してカッターを含むラップフィルム切断手段により切断し、使い切ると新しいラップロールを収容し継続使用するラップ詰め替えボックスにおいて、
前記ラップフィルム切断手段は、
前記箱外へ繰り出すラップフィルムの両側にかつ幅方向に沿って対向していていずれか一方が他方に対して接近離隔自在である雌型噛合部と雄型噛合部とを有し、
前記雌型噛合部にはフィルム幅よりも長い溝部を有し、前記雄型噛合部には前記溝部に対してその溝部内両側面との間にラップフィルムを挟んで嵌入する二条突起を有し、
前記カッターが、前記溝部の底面幅中央に備えられ前記雄型噛合部の二条突起が前記雌型噛合部の溝部に嵌入するときに前記二条突起間に相対的に進入するように構成された、
ことを特徴とするラップ詰め替えボックス。
【請求項2】
前記ラップフィルム切断手段は、収納箱本体部の一側面に箱外へ繰り出すラップフィルムを通すスリットを備え、前記収納箱本体部の一側面の外面の前記スリットを挟む領域に備えられ、
前記スリットの上方にある前記雌型噛合部と前記雄型噛合部のいずれか一方を下方向に前記スリットを通り越して移動し他方に嵌合させることにより、前記カッターが前記二条突起間に進入するように構成された、
ことを特徴とする請求項1に記載のラップ詰め替えボックス。
【請求項3】
前記ラップ詰め替えボックスは、収納箱本体部と、蓋部と、前記蓋部の前端縁に連接された垂下片部と、を有するラップ詰め替えボックスであって、
前記ラップフィルム切断手段は、前記雌型噛合部と前記雄型噛合部のいずれか一方が前記垂下片部に配設され、他方が、前記収納箱本体部の前記垂下片部が重なる一側面の外面に配設され、前記蓋部を閉じることにより、前記カッターが前記二条突起間に進入するように構成された、
ことを特徴とする請求項1に記載のラップ詰め替えボックス。
【請求項4】
前記ラップフィルム切断手段は、前記雌型噛合部と前記雄型噛合部とが、前記蓋部の回転中心を中心とする円弧上を相対的に接近離隔自在であり、前記蓋部を閉じることにより、前記カッターが前記二条突起間に進入するように構成された、
ことを特徴とする請求項3に記載のラップ詰め替えボックス。
【請求項5】
前記ラップフィルム切断手段は、前記雌型噛合部と前記雄型噛合部のいずれか一方が前記垂下片部に移動可能に配設され、他方が、前記収納箱本体部の前記垂下片部が重なる一側面の外面に固設され、前記蓋部を閉じ更に前記雌型噛合部と前記雄型噛合部との一方を他方に向かって移動することにより、前記カッターが前記二条突起間に進入するように構成された、
ことを特徴とする請求項3に記載のラップ詰め替えボックス。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2010−47284(P2010−47284A)
【公開日】平成22年3月4日(2010.3.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−212811(P2008−212811)
【出願日】平成20年8月21日(2008.8.21)
【出願人】(000000550)オカモト株式会社 (118)
【Fターム(参考)】