説明

ラベルプリンタ

【課題】粘着ラベル連続体をロール状に巻き取った粘着ロールの挿入を容易とするとともに、粘着ラベル連続体を大きな負荷なく繰り出すことができる用紙ガイドを備えたラベルプリンタを提供すること。
【解決手段】粘着ロールを回動自在に軸支する支持軸21を有し、粘着ロールを両側面部から挟み込む一対の用紙ガイド17と、この用紙ガイド17を粘着ロールの軸方向に連動して接近離間させる連動機構と、を備え、各用紙ガイド17の対向面には、この対向面から突出する凸部27が設けられており、この凸部27を介して粘着ロールの両側面部を規制することによって、粘着ロールの幅方向の繰り出し位置を所定位置に案内するようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粘着ラベル連続体をロール状に巻き取った粘着ロールを回動自在に軸支する用紙供給装置を備えたラベルプリンタに関し、特に粘着ロールの両側面部を規制することにより、粘着ラベル連続体の幅方向の繰り出し位置を所定位置に案内する用紙ガイドを備えたラベルプリンタに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、生産現場、物流現場、販売現場などの幅広い分野において、粘着ラベル連続体をロール状に巻き取った粘着ロールから繰り出された粘着ラベルの表面に、バーコードや記号、文字などを印字発行するラベルプリンタが用いられている。このようなラベルプリンタには、粘着ロールを支持軸によって回動自在に軸支し、この粘着ロールの幅方向(粘着ラベルの搬送方向と直交する方向)に対向して設けられた一対の板状の用紙ガイドの間隔を連動して接近させ、粘着ロールの両側面部に当接させることによって、粘着ロールをプリンタの幅方向中央部に位置決めするようにした用紙供給装置が備わる、いわゆるセンター振り分け方式のラベルプリンタが知られている(例えば特許文献1参照)。しかしながら、粘着ラベルを脱着するたびに各用紙ガイドを接離させて位置あわせを行う方式のものでは、時として粘着ロールの両側面部に対し過度に強く当接することがあり、この状態で粘着ラベル連続体を繰り出すと、支持軸に軸支されて回動する粘着ロールの側面部と板状の用紙ガイドとが擦れあって摩擦を生じ、粘着ラベルの搬送に予期せぬ負荷がかかるという問題があった。特に、粘着ラベルの裏面に剥離台紙を設けない、いわゆる台紙なしラベルや、剥離台紙付であっても、粘着ラベル間を分離するためのカットは行うが不要部分の除去は行わないようにした(いわゆるカス上げを行っていない)粘着ラベルなどの場合は、粘着ロールの側面部に粘着剤が渦巻状に露呈しているため、粘着ロールの側面部と用紙ガイドとが接触した際に用紙ガイドに粘着剤が接着し、粘着ラベル連続体の繰り出しに想定外の負荷が生じて粘着ラベルの搬送に障害を来たすという問題があった。
【0003】
そこで、一対の支持部材と、これらの支持部材のそれぞれに、粘着ロールの軸方向ならびに挿入方向と略直行する方向に沿って設けられた一対の枢軸と、各支持部材の対向面側に、ラベルの搬送方向に沿って配設されるとともに、粘着ロールの挿入方向の略中間部において各枢軸に揺動自在に装着された一対の揺動部材と、これらの各揺動部材の下端部どうしを接近させる方向に付勢する付勢部材とを用紙ガイドを備え、一度幅方向の位置調整を行えば、粘着ロールの脱着ごとに幅方向の位置調整をせずとも粘着ロールの脱着を行えるようにしたセンター振り分け方式のラベルプリンタが提案されている。このような構成のラベルプリンタに粘着ロールを取り付ける場合は、あらかじめ一対の支持部材の間隔を粘着ロールの幅に対応した所定位置に調整した後、上方の挿入口から粘着ロールを挿入し、粘着ロールの幅方向下端部と揺動部材の表面とを接触させながら、揺動部材の下端部が離間する方向に揺動させるようにして行う。この方式用紙供給装置であれば、同一基材幅の粘着ロールを脱着する場合は、一度調整を行っておくと毎回調整を行う必要がないが、粘着ロールの挿入時や粘着ラベル連続体の繰り出し時に、粘着ロールと用紙ガイドとが接触して擦れあうことには変わりがなく、粘着ロールの挿入時の負荷や、用紙ガイドに対する粘着剤の接着による繰り出し時の負荷の問題は依然として存在する。特に、粘着ロールの両側面部に粘着剤が露呈している台紙なしラベルなどは、粘着剤と揺動部材とが接触することによる挿入や繰り出し時の負荷が大きいという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2000−238937号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明はこのような課題に鑑みてなされたものであり、粘着ラベル連続体をロール状に巻き取った粘着ロールの挿入を容易とするとともに、粘着ラベル連続体を大きな負荷なく繰り出すことができる用紙ガイドを備えたラベルプリンタの提供を課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明のラベルプリンタは、粘着ラベル連続体をロール状に巻き取った粘着ロールを回動自在にその中心孔を支持する支持軸を有し、間隔をおいて配置され、その間に上方から挿入された前記粘着ロールを両側面部から挟み込む一対の用紙ガイドと、この一対の用紙ガイドを前記粘着ロールの軸方向に連動して接近離間させる連動機構と、を備えたラベルプリンタであって、前記一対の用紙ガイドの対向面には、前記対向面から突出して前記粘着ロールの挿入方向に沿って設けられた凸部を有することを特徴とする。
また、前記一対の用紙ガイドは、前記粘着ロールの挿入方向の略中間部を支点に揺動自在な揺動部材と、前記揺動部材の下端部どうしを接近させる方向に付勢する付勢部材と、を備え、前記支持軸は前記揺動部材の上端近傍に設けられ、前記凸部は前記揺動部材の粘着ロールの挿入時における外周縁部下端と接触する位置に設けられていることを特徴とする。
また、前記揺動部材には、前記粘着ロールの軸方向ならびに挿入方向と略直行する方向に沿って前記揺動部材の前記支点となる枢軸が設けられ、前記一対の用紙ガイドの枢軸によって支持された部分の間隔が、前記粘着ロールの軸方向の長さよりも若干大きくなるように設定されており、前記凸部は、前記枢軸の回転中心を結ぶ線よりも支持軸側を上端として設けられていることを特徴とする。
また、前記粘着ロールの挿入方向への挿入に伴って、前記粘着ロールの外周縁部下端が前記凸部に当接して前記揺動部材の下端部を相互に離間する方向に揺動させるとともに、前記支持軸が用紙ガイド間に突出させられて前記粘着ロールの中心孔を支持軸で保持することを特徴とする。
また、前記凸部は、断面の形状を略半円形とした細線状に設けられていることを特徴とする。
また、前記凸部の表面には剥離処理が施されていることを特徴とする。
また、前記一対の用紙ガイドは揺動部材が収納される貫通孔を有し、前記付勢部材によって前記揺動部材の下端部どうしが接近する方向に揺動した状態において前記支持軸が前記貫通孔の内に位置し、かつ揺動部材の下端部が用紙ガイドの内面よりも内側に突出し、前記粘着ロールの外周縁部下端が前記凸部に当接して揺動部材の下端部が貫通孔内へ押し込まれることにより、前記支持軸が用紙ガイドの内面よりも内側に突出して前記粘着ロールの中心孔を支持軸で保持することを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明は、以下に記載されるような効果を奏する。
各用紙ガイドの対向面には、対向面から突出する凸部が設けられており、この凸部を介して前記粘着ロールの前記両側面部を規制することによって、前記粘着ラベルの繰り出し方向と直交する幅方向の繰り出し位置を所定位置に案内するようになっているので、用紙ガイドと粘着ロールの両側面部に露呈する粘着剤層との接触面積を小さくすることができて、粘着ロールの挿入を大きな負荷なく行えるとともに、粘着ラベル連続体を大きな負荷なく安定して繰り出すことができる。
また、凸部は、粘着ロールの両側面部の少なくとも内周側の端面に対して当接可能に設けるようにしたので、粘着ラベル連続体を最後まで安定して繰り出すことができる。
また、凸部は、断面の形状を略半円形とした細線状で設けたので、用紙ガイドと粘着剤層との接触面積を小さくすることができて、粘着ロールから粘着ラベル連続体を大きな負荷なく繰り出すことができる。
また、凸部は、粘着ロールの挿入方向に沿って設けるようにしたので、粘着ロールの挿入を大きな負荷なく行うことができる。
また、請求項5記載の発明のラベルプリンタによれば、凸部の表面には、剥離処理が施されているので、用紙ガイドに対し、粘着ロールの側面に表出する粘着剤の付着を防止することができて、粘着ロールの挿入を大きな負荷なく行えるとともに、粘着ロールから粘着ラベル連続体を大きな負荷なく繰り出すことができる。
また、用紙ガイドは、一対の支持部材と、これらの支持部材のそれぞれに、粘着ロールの軸方向ならびに挿入方向と略直行する方向に沿って設けられた一対の枢軸と、各支持部材の対向面側に、ラベルの搬送方向に沿って配設されるとともに、挿入方向の略中間部において各枢軸に揺動自在に装着された一対の揺動部材と、これらの各揺動部材の下端部どうしを接近させる方向に付勢する付勢部材と、を備え、用紙ガイドの枢軸によって支持された部分の間隔が、粘着ロールの軸方向の長さよりも若干大きくなるように設定されており、支持軸および凸部は、各揺動部材に設けるようにしたので、粘着ロールの挿入を大きな負荷なくスムースに行えるとともに、粘着ロールから粘着ラベル連続体を大きな負荷なく繰り出すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の実施の形態に係るラベルプリンタを示す斜視図。
【図2】同、概略平面図。
【図3】粘着ロールの概略斜視図。
【図4】粘着ロールを用紙供給装置に取り付ける際の各部の動きを示す、図2をX−X方向から見た概略断面図。
【図5】粘着ロールを用紙供給装置に取り付けた状態を示す、図2をY−Y方向から見た概略断面図。
【図6】用紙ガイドの対向面を示す概略図。
【図7】図6をZ−Z方向から見た揺動部材の部分断面図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明を実施するための最良の形態について、図面を参照しながら詳しく説明する。なお、従来と同一の部分には同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0010】
図1は、本発明の実施の形態に係るラベルプリンタを示す斜視図、図2は、同、概略平面図、図3は、粘着ロールの概略斜視図、図4は、粘着ロールを用紙供給装置に取り付ける際の各部の動きを示す、図2をX−X方向から見た概略断面図。図5は、粘着ロールを用紙供給装置に取り付けた状態を示す、図2をY−Y方向から見た概略断面図、図6は、用紙ガイドの対向面を示す概略図、図7は、図6をZ−Z方向から見た揺動部材の部分断面図、である。
【0011】
本実施のラベルプリンタ1は、図1、図2に示すように、下部筐体2とこの下部筐体2の上部を後方側を支点として開閉可能にカバーする上部カバー3とで構成された筐体4と、上部カバー3の一端部側に設けられたサーマルヘッド5と、サーマルヘッド5の発熱体6に対向して下部筐体2の一端部側に設けられたプラテンローラ7と、下部筐体2の他端部側に設けられ、粘着ロール8を回動自在に軸支して収納する用紙供給装置9とを有し、この用紙供給装置9から繰り出された粘着ラベル連続体10をプラテンローラ7とサーマルヘッド5との間で挟持して、プラテンローラ7の回転駆動力によって搬送しながらサーマルヘッド5の発熱体6を選択的に発熱させ、個々の粘着ラベルに所望の文字やバーコード等の印字を施すように構成されている。
【0012】
本実施の形態において、粘着ロール8は、例えば図3に示すように、ラベル基材11の裏面に粘着剤層12が設けられるとともに、表面に剥離剤層13が設けられた、いわゆる台紙なしラベル14の粘着剤層12を内側にして、紙管15に対してロール状に巻き取られたものが用いられる。このような台紙なしラベル14を巻回して得られる粘着ロール8の両側面部には、粘着剤層12が繰り返し露呈している。
【0013】
用紙供給装置9は、下部筐体2に形成され上方に開口するロール収納凹部16内に設置されており、このロール収納凹部16の底部に、粘着ラベル連続体10の繰り出し方向と直交する方向(以下、幅方向)に間隔をおいて配置され、間に、粘着ロール8が上方からその径方向に沿って底部方向に挿入される一対の用紙ガイド17が設けられている。これらの用紙ガイド17のそれぞれには、図4、図5に示すように、一対の支持部材18と、粘着ロール8の軸方向ならびに挿入方向と略直交する方向に沿って設けられた一対の枢軸19と、各用紙ガイド17の対向面側に配設されるとともに、上下方向(挿入方向)の略中間部において各枢軸19に揺動自在に装着された一対の揺動部材20と、これらの各揺動部材20の上端部近傍に、他の揺動部材20へ向けて突出する支持軸21と、各揺動部材20の下端部どうしを接近させる方向に付勢する付勢部材22とを備え、用紙ガイド17の枢軸19によって支持された部分の間隔が、粘着ロール8の長さよりも若干大きくなるように設定された基本構成となっている。
【0014】
さらに、両用紙ガイド17の上端部は、上方に行くにしたがい漸次相互に離間するように傾斜させられたガイド面23となされ、また、中央部には、揺動部材20が収納される貫通孔24が、厚さ方向に貫通して形成され、この貫通孔24の繰り出し方向に沿った一対の内壁面間に枢軸19が掛け渡されている。
【0015】
また、両用紙ガイド17の下端には、粘着ロール8の幅方向に沿った摺動部材25が一体に設けられており、この摺動部材25が、ロール収納凹部16の底面に形成された一対のガイド溝26のそれぞれに摺動自在に嵌合させられるようになっている。そして、これらのガイド溝26は、ガイド溝26に沿って摺動させられることにより、両用紙ガイド17が、平行状態を保持しつつ相互に接近離間する方向に相対移動可能な構成となされている。
【0016】
揺動部材20は、前述したように各支持部材18に形成された貫通孔24内に枢軸19を介して装着されており、粘着ロール8が挿入されていない状態において、付勢部材22によって下端部が付勢されて、枢軸19を中心として揺動させられた際に、図4に示すように、下端部が用紙ガイド17の内面よりも内側へ突出させられ、かつ、上端に設けられている支持軸21の先端が、貫通孔24の内側に位置させられるようになされている。また、粘着ロール8が挿入された状態においては、粘着ロール8の両端部によって、揺動部材20の下端部が貫通孔24へ押し込まれることにより、揺動部材20の上端部に設けられている支持軸21が、図5に示すように、貫通孔24から突出させられるようになされている。
【0017】
さらに、各揺動部材20の表面には、図5、図6に示すように、支持軸21から鉛直下方に向かう延長線上に、略半円形の断面形状を有する細線状の凸部27が互いに対向して設けられている。この凸部27の上端(支持軸21方向)は、少なくとも各揺動部材20の枢軸19の回転中心を結ぶ線よりも上方(挿入口側)かつ、装着時に粘着ロール8の側面部の内周縁部28(紙管15を除く粘着ラベル部分)と当接する位置よりも上方になるように設定されている。また、凸部27の下端(支持軸21と反対方向)は、装着時に粘着ロール8の側面部の外周縁部29と接触する位置よりも下方になるように設定されている。用紙ガイド17は、この凸部27を介して粘着ロール8の側面部と線接触することによって粘着ロール8の幅方向を規制し、幅方向の繰り出し位置の位置決めを行うようになっている。
【0018】
また、この凸部27の表面は、剥離処理を施すことによって、粘着ロール8の着脱や粘着ラベル連続体10を繰り出す際の粘着剤の付着防止効果をさらに高めることができる。凸部27の表面に対して剥離処理を施す手段に関しては特に限定するものではないが、例えば、シリコン系化合物やフッ素系化合物などの剥離性の材料を混練して剥離性能を高めるようにした樹脂材料や、表面に微細な凹凸をつけることで剥離性能を高めるようにした樹脂材料や金属材料などを用いてもよくてもよく、またこれらを複合したものでもよい。
【0019】
さらに、用紙供給装置9には、図2に示すように、ラック30がロール収納凹部16の底面に沿って設けられており、これらのラック30は、その先端部分が常時間隔をおいて重畳させられており、この重畳部分に、両ラック30に噛合させられるピニオン31が配設されている。このピニオン31は、ロール収納凹部16の底面に、軸32を介して回転自在に装着されており、これによって、一方の用紙ガイド17が任意の方向に摺動させられた際に、他の用紙ガイド17が、一方の用紙ガイド17の摺動方向と逆方向に摺動させられるとともに、一方の用紙ガイド17の摺動量と等しい距離摺動させられるようになっている。
【0020】
また、本実施形態においては、用紙ガイド17の一つに、この用紙ガイド17を、前述したガイド溝26に沿った任意の位置に係止するための係止機構33が設けられている。この係止機構33は、図2に示すように、ロール収納凹部16の内壁面で、用紙ガイド17の側面に対向する位置に、ガイド溝26と平行に形成された鋸刃状の多数の係止溝34と、用紙ガイド17の、係止溝34に対向する部分に装着されて、この係止溝34に係脱させられるストッパ35とによって構成されている。
【0021】
そして、このストッパ35は、その一部が、用紙ガイド17の側部から突出させられているとともに、突出方向へ向けて漸次狭まるようにテーパが設けられて、このテーバ部分において係止溝34へ係合させられることにより、用紙ガイド17の摺動を拘束するようになっている。また、ストッパ35は、操作ロッド(図示せず)を介して、用紙ガイド17の上端部に取り付けられた操作部36と連結されている。
【0022】
この用紙ガイド17の上端部に取り付けられた操作部36をサーマルヘッド5方向に引くことにより、ストッパ35が係止溝34から引き抜かれ、これによって、用紙ガイド17の摺動が許容され、また、用紙ガイド17を所定位置まで摺動させた後に、操作部36を係止溝34側に押し戻してストッパ35を係止溝34の一つに係合させることによって、用紙ガイド17の摺動が拘束される。ここで、一方の用紙ガイド17の摺動を拘束すると、この一方の用紙ガイド17に対して、他方の用紙ガイド17が、一対のラック30と、これらに噛合されたピニオン31とによって連結されていることにより、他方の用紙ガイド17の摺動も併せて拘束される。
【0023】
ついで、このように構成された本実施形態の作用について説明する。まず、操作部36をサーマルヘッド5方向に引いてストッパ35と係止溝34との係合状態を解除した後に、用紙ガイド17を摺動させて、これらの間隔を、装着すべき粘着ロール8の長さに合わせる。このとき、両用紙ガイド17は、一対のラック30とピニオン31の作用によって、各用紙ガイド17の摺動量が等しくかつ摺動方向が逆方法となされる。これによって、両用紙ガイド17間の中心位置が一定に保持された状態で前記間隔が調整され、したがって、これらの両用紙ガイド17間に装着される粘着ロール8の長さ方向の中心とサーマルヘッド5の中心とが常に一定に保持される。
【0024】
このようにして用紙ガイド17の位置合わせを行った後に、操作部36を再度操作して、この操作部36を係止溝34方向に押し戻し、その端部に設けられているストッパ35を係止溝34の一つに係合させることにより、両用紙ガイド17を、前述した位置に固定する。この状態において、各用紙ガイド17に取り付けられている揺動部材20は、図4に示すように、それぞれの下端部が付勢部材22によって内側へ向けて付勢されていることにより、各下端部が、両用紙ガイド17間に突出させられ、また、各揺動部材20の上端部に設けられた支持軸21の先端部が、各用紙ガイド17の貫通孔24内に位置させられている。
【0025】
これより、粘着ロール8を、図4に鎖線で示すように、両用紙ガイド17間にその上方から挿入すると、粘着ロール8の下端が枢軸19の部分に到達するまで、揺動部材20は、前述した姿勢に保持される。
【0026】
そして、粘着ロール8をさらに下降させると、この下降に伴って、粘着ロール8の外周縁部29下端が、各揺動部材20の凸部27に当接し、これらの揺動部材20下端を相互に離間させるように揺動させるとともに、このような揺動動作によって、各揺動部材20の上端部に設けられた支持軸21が、貫通孔24から徐々に用紙ガイド17間に突出させられるとともに、下降させられている粘着ロール8の紙管15の中心孔内へ徐々に挿入され、さらなる粘着ロール8の下降によって、前記支持軸21が、図5に示すように、粘着ロール8の紙管15内周面にその上端において当接させられる。これによって、粘着ロール8が両支持軸21によって吊り下げられるようにして保持されることにより、粘着ロール8の支持がなされ、装着が完了する。
【0027】
上記挿入工程において、粘着ロール8の側面部は、用紙ガイド17に設けられた揺動部材20の表面に形成された凸部27に対して、外周縁部29下端で接触しながら下降させられるようになっているので、粘着ラベルの裏面に剥離台紙を設けない、いわゆる台紙なしラベル14や、ラベル間を分離するためのカットは行うが不要部分の除去は行わないで(カス上げを行っていない)ロール状に巻回した剥離台紙付の粘着ロール8のように、両側面部に渦巻き状に粘着剤が露呈した粘着ロール8であっても、スムースに挿入することができる。
【0028】
このような用紙供給装置9を有するラベルプリンタ1で粘着ラベルに印字を行う場合には、用紙ガイド17に装着された粘着ロール8から粘着ラベル連続体10を繰り出して、ラベルプリンタ1の排出口に導き、上部カバー3を閉じて下部筐体2に係止してプラテンローラ7とサーマルヘッド5の間で粘着ラベルを挟持した後、プラテンローラ7の駆動力で粘着ラベルを排出方向に搬送しながら、サーマルヘッド5の発熱体6を発熱させて、粘着ラベルの表面に感熱発色印字を行うようにする。ここで、粘着ラベルを繰り出す際に、揺動部材20の表面に設けられた凸部27と粘着ロール8の側面部とが、粘着ロール8の回転に伴って線接触するようになっているため、大きな負荷なく粘着ラベル連続体10の繰り出しを行うことができる。
【0029】
すなわち、装着時、この細線状の凸部27が内周縁部28と必ず接するように設定したので、粘着ラベル連続体10が繰り出されている間は、凸部27と粘着ロールの側面とが当接することによって、粘着ラベル連続体10の幅方向の繰り出し位置が変化することなく、一貫して適正な位置に保つことができる。また、内周方向に対し、凸部27の上端を各揺動部材20の枢軸19の回転中心を結ぶ線よりも上方に設定し、外周方向に対し、粘着ロール8の側面部の外周縁部29を超える位置にまで設定したので、粘着ロール8を用紙供給装置9に挿入する際、粘着ロール8の側面部下端によって用紙ガイド17の下端部を開きながら挿入が行われても、その間、凸部27以外の用紙ガイド17に接触することなく挿入することができる。これらによって、挿入時および繰り出し時には、凸部27が常に粘着ロール8の側面部下端と当接するので、用紙ガイド17と粘着剤との接触面積は細線上の凸部頂点との接線に限定され、粘着ロールの挿入および粘着ラベル連続体10の繰り出しを大きな負荷なく、スムースに行うことができる。
【0030】
なお、前記各実施形態において示した各構成部材の諸形状や寸法等は一例であって、設計要求等に基づき種々変更可能である。例えば、凸部の断面形状は半円形に限定されず、断面形状が台形でもよい。さらに、凸部は直線状であることに限定されず、半球状の凸部が所定の間隔をおいて設けられていてもよい。また、凸部の数は1箇所に限定されることなく、複数の箇所に設けることも可能である。
【符号の説明】
【0031】
1 ラベルプリンタ
2 下部筐体
3 上部カバー
4 筐体
5 サーマルヘッド
6 発熱体
7 プラテンローラ
8 粘着ロール
9 用紙供給装置
10 粘着ラベル連続体
11 ラベル基材
12 粘着剤層
13 剥離剤層
14 台紙なしラベル
15 紙管
16 ロール収納凹部
17 用紙ガイド
18 支持部材
19 枢軸
20 揺動部材
21 支持軸
22 付勢部材
23 ガイド面
24 貫通孔
25 摺動部材
26 ガイド溝
27 凸部
28 内周縁部
29 外周縁部
30 ラック
31 ピニオン
32 軸
33 係止機構
34 係止溝
35 ストッパ
36 操作部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
粘着ラベル連続体をロール状に巻き取った粘着ロールを回動自在にその中心孔を支持する支持軸を有し、間隔をおいて配置され、その間に上方から挿入された前記粘着ロールを両側面部から挟み込む一対の用紙ガイドと、この一対の用紙ガイドを前記粘着ロールの軸方向に連動して接近離間させる連動機構と、を備えたラベルプリンタであって、
前記一対の用紙ガイドの対向面には、前記対向面から突出して前記粘着ロールの挿入方向に沿って設けられた凸部を有することを特徴とするラベルプリンタ。
【請求項2】
前記一対の用紙ガイドは、
前記粘着ロールの挿入方向の略中間部を支点に揺動自在な揺動部材と、
前記揺動部材の下端部どうしを接近させる方向に付勢する付勢部材と、
を備え、
前記支持軸は前記揺動部材の上端近傍に設けられ、前記凸部は前記揺動部材の粘着ロールの挿入時における外周縁部下端と接触する位置に設けられていることを特徴とする請求項1記載のラベルプリンタ。
【請求項3】
前記揺動部材には、前記粘着ロールの軸方向ならびに挿入方向と略直行する方向に沿って前記揺動部材の前記支点となる枢軸が設けられ、
前記一対の用紙ガイドの枢軸によって支持された部分の間隔が、前記粘着ロールの軸方向の長さよりも若干大きくなるように設定されており、
前記凸部は、前記枢軸の回転中心を結ぶ線よりも支持軸側を上端として設けられていることを特徴とする請求項2記載のラベルプリンタ。
【請求項4】
前記粘着ロールの挿入方向への挿入に伴って、前記粘着ロールの外周縁部下端が前記凸部に当接して前記揺動部材の下端部を相互に離間する方向に揺動させるとともに、
前記支持軸が用紙ガイド間に突出させられて前記粘着ロールの中心孔を支持軸で保持することを特徴とする請求項2または3記載のラベルプリンタ。
【請求項5】
前記凸部は、断面の形状を略半円形とした細線状に設けられていることを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載のラベルプリンタ。
【請求項6】
前記凸部の表面には剥離処理が施されていることを特徴とする請求項1ないし5のいずれかに記載のラベルプリンタ。
【請求項7】
前記一対の用紙ガイドは揺動部材が収納される貫通孔を有し、
前記付勢部材によって前記揺動部材の下端部どうしが接近する方向に揺動した状態において前記支持軸が前記貫通孔の内に位置し、かつ揺動部材の下端部が用紙ガイドの内面よりも内側に突出し、
前記粘着ロールの外周縁部下端が前記凸部に当接して揺動部材の下端部が貫通孔内へ押し込まれることにより、前記支持軸が用紙ガイドの内面よりも内側に突出して前記粘着ロールの中心孔を支持軸で保持することを特徴とする請求項2ないし6のいずれかに記載のラベルプリンタ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−148639(P2011−148639A)
【公開日】平成23年8月4日(2011.8.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−70532(P2011−70532)
【出願日】平成23年3月28日(2011.3.28)
【分割の表示】特願2006−266840(P2006−266840)の分割
【原出願日】平成18年9月29日(2006.9.29)
【出願人】(000130581)株式会社サトー (1,153)
【Fターム(参考)】