説明

ラベル貼付治具

【課題】 コンパクトディスク表面にラベルを正確かつ簡単に貼付することができる治具を提供すること。
【解決手段】 ラベル貼付治具を、コンパクトディスク3を挟持するためのスティック1と、ラベル4を載置するための台2とから構成し、前記スティック1は、コンパクトディスク3中心に穿設された回転軸受孔31に挿通される支持軸13と該支持軸13の下方に延設されコンパクトディスク3の回転軸受孔31より大径かつ軸直角方向に膨出した支持部17とからなる下部ホルダ12、および前記支持軸13の上部に脱着自在に装着される上部ホルダ12とから形成し、前記台2は、スティック1の下部ホルダ12を落とし込むための垂直孔22と該垂直孔22の周囲にラベル4を載置するための水平面部23とを備えた台本体21、および前記垂直孔22に内挿されかつ下部を弾性体25により支持されて前記水平面部23に対して突出状態から同一平面状態に至るまで垂直孔22内を上下動しうる支持リング24とから形成した。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、音楽用やデータ記録用等として普及している円盤状のコンパクトディスクの表面に対して、ラベルを正確な位置に貼付するための治具の改良に関する。
【0002】
【従来の技術】コンピュータの普及に伴って様々な方式の記録媒体が提供されるようになり、当初音楽用として提供されていたコンパクトディスクにも、書き込み可能なもの(CD−R)や書き換え可能なもの(CD−RW)が登場している。こうした書き込み・書き換え可能なコンパクトディスクの登場によって、個人であっても家庭で簡単に思い思いの内容を記録したコンパクトディスクを製作することが可能となった。
【0003】音声や映像、データ等を記録したコンパクトディスクの自作が可能になると、記録内容の識別あるいはオリジナリティの主張といった目的からコンパクトディスクの表面にラベルを貼付するようになった。この新たな需要に応じて、コンピュータ上で自由かつ簡単にドーナツ盤状のラベルのデザインをすることができるプログラムや、予め裏面に粘着剤が塗布されて剥離紙を備えた貼着用のラベルからなる印刷用シートが提供されるようになった。
【0004】ところが、コンパクトディスク表面にドーナツ盤状のラベルを同心円状に正確に貼り付ける作業は思いのほか難しい一方、ラベルを正確に貼り付けなければ、見た目を損なうばかりでなく、コンパクトディスクの回転が不均一となって読み取り不良や音飛びが生じ、ひいてはモータに損傷を与えるおそれすらある。
【0005】そこで、コンパクトディスク表面にラベルを正確に貼り付けるための治具が種々提案されている。例えば、米国特許第5,543,001号では、丸棒状の支持軸の下端に軸直角方向に膨出した略円錘形の支持部を備え、コンパクトディスク中心に穿設された回転軸受孔に対して支持軸を下方から挿入してコンパクトディスクを支持するためのスティックと、該スティックを上方から落とし込むための透孔を中心に備えた円柱状の台からなる治具が提案されている。この治具では、事前に表面に任意のデザインを印刷したドーナツ盤状ラベルを用いて、粘着剤が塗布されたラベル裏面を上側にして台上に同心円状に載置しておき、次いで、ラベル貼付面を下側にした状態でコンパクトディスクをスティックで支持して、コンパクトディスクを支持したままの状態でスティックを上方から台中心の透孔に落とし込むことにより、コンパクトディスク表面へのラベル貼付を図っている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前記米国特許に係るラベル貼付治具では、台上にラベルを正確に同心円状に載置することが必ずしも容易ではなく、ラベル貼付位置がずれやすいという欠点があった。また、スティックはコンパクトディスクを下方から支持するだけで確実に保持することができない構造であったため、台への落とし込み時にコンパクトディスクが傾斜してラベル貼付位置がずれてしまったり、コンパクトディスクの記録面に触れずにラベルを確実に貼付することができないという欠点もあり、貼付作業は必ずしも容易ではなかった。本発明は、こうした旧来のラベル貼付治具の欠点を解消し、より簡単かつ正確にコンパクトディスクにラベルを貼付することができる治具の提供を目的とするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】目的を達成するために、本発明者は、スティックと台の双方に改良を加えた。すなわち、本発明に係るラベル貼付治具は、コンパクトディスクを挟持するためのスティックと、ラベルを載置するための台とから構成されており、前記スティックは、コンパクトディスク中心に穿設された回転軸受孔に挿通される支持軸と該支持軸の下方に延設されコンパクトディスクの回転軸受孔より大径かつ軸直角方向に膨出した支持部とからなる下部ホルダ、および前記支持軸の上部に脱着自在に装着される上部ホルダとからなり、また、前記台は、スティックの下部ホルダを落とし込むための垂直孔と該垂直孔の周囲にラベルを載置するための水平面部とを備えた台本体、および前記垂直孔に内挿されかつ下部を弾性体により支持されて前記水平面部に対して突出状態から同一平面状態に至るまで垂直孔内を上下動しうる支持リングとからなることを特徴とするものである。
【0008】したがって、本発明に係るラベル貼付治具では、次の手順によりラベル貼付作業が行われることになる。
(1) まず、コンパクトディスクの記録面を上面、すなわちラベル貼付面を下面にして、下部ホルダ上部に形成した支持軸をコンパクトディスクの回転軸受孔に下方から挿入した後、支持軸に上部ホルダを装着してコンパクトディスクを挟持させる。
(2) 予め印刷されたラベル裏面の剥離紙を剥がし、粘着面を上面にしてラベルを台の水平面部上に載置する。このとき、ドーナツ盤状をしたラベルの中央円孔部分に台の支持リングを内挿・突出させることにより、貼付するラベルの正確な位置決めが行われる。
(3) スティックの上部ホルダを持って、スティックの下部ホルダの下端を台の垂直孔内に上方から挿入すると、台の水平面部より突出した状態にある支持リングの上縁がコンパクトディスクに接触することにより、コンパクトディスクのラベル貼付面とラベルの粘着面とが一定間隔を置いた状態で、コンパクトディスクが支持される。
(4) 次いで、スティックの上部ホルダを下方に押すと、台の支持リングが台本体の垂直孔内を下降し、コンパクトディスクのラベル貼付面がラベルの粘着面に密着して、ラベルが貼付される。
(5) 上部ホルダへの押圧を解除すると、弾性体の復元力により支持リングが台本体の垂直孔内を当初の位置まで上昇するので、台の水平面部上に載置しておいたラベルが見えなくなることで、ラベルがコンパクトディスクに貼付されたことを確認することができる。
(6) 最後に、コンパクトディスクから上部ホルダと下部ホルダからなるスティックを取り外して、ラベル貼付作業が完了する。
【0009】また、前記発明に係るラベル貼付治具をさらに改良し、スティックの下部ホルダを支持軸下方延長線上にガイド孔を設けた略コマ状体に形成する一方、台本体における垂直孔の中心に前記ガイド孔に内挿されるガイド柱を立設した。
【0010】したがって、このさらなる改良により、前述のラベル貼付手順(3)において、略コマ状の先細り形状となったスティックの下部ホルダは台の支持リング内に挿入し易くなり、また、台本体底面付近から垂直孔の中心に立設されたガイド柱がスティック下部ホルダ内に穿設されたガイド孔に内挿されるので、台の支持リング上縁によるコンパクトディスクの支持と相俟って、コンパクトディスクを傾斜させることなく水平状態を保ちながら下降させてラベル貼付面に完全に密着させることができるようになったのである。
【0011】
【発明の実施の形態】以下、図面に基づいて、本発明に係るラベル貼付治具について詳細に説明する。図1は、本発明に係るラベル貼付治具の構成の一例を示した概略斜視図である。この図に示されるように、本発明に係るラベル貼付治具は、コンパクトディスク3を挟持するためのスティック1と、ラベルを載置するための台2とから構成されている。
【0012】スティック1は、下部ホルダ12と、その上部に脱着自在に装着される上部ホルダ11とからなる。図2R>2は、スティック1の一例を示した縦断面図であり、この例のスティック1では、下部ホルダ12の上部に垂直に延設された支持軸13が、上部ホルダ11のつまみ部14内に設けられた空隙に挿入・螺合するように形成されている。そして、上部ホルダ11のつまみ部14下方には、底部が水平面となった幅広の押さえ板15が延設されている。
【0013】下部ホルダ12における支持軸13の基部16は、コンパクトディスク3中心に穿設された回転軸受孔31の直径に対応した大きさに形成されており、さらに基部16の下方には、コンパクトディスク3の回転軸受孔31より大径かつ軸直角方向に膨出した支持部17が形成されている。したがって、下部ホルダ12上部に形成した支持軸13をコンパクトディスク3の回転軸受孔31に下方から挿入し、支持軸13に上部ホルダ11を螺着すると、支持軸13の基部16がコンパクトディスク3の回転軸受孔31内に嵌入されて、下部ホルダ12の支持部17と上部ホルダ11の押さえ板15によってコンパクトディスク3が挟持されるのである。
【0014】図3は、図1に示した台2の一例の縦断面図である。この例の台2では、台本体21をコンパクトディスク3の外形に合わせて円柱状に形成しているが、コンパクトディスク3に貼着されるドーナツ盤状のシールを載置できる大きさが確保されていれば、台本体21の外形は、方形等いかなる形状をも採用しうる。
【0015】台本体21の中央部には、スティック1の下部ホルダ12を落とし込むための垂直孔22が設けられており、その外側周囲にはラベルを載置するための水平面部23が形成されている。そして、前記垂直孔22内には、円筒形の支持リング24が内挿されており、該支持リング24の下部がコイルスプリング25によって支持されている。
【0016】支持リング24の下縁部には、外側方向に複数個の係止爪26が設けられており、この係止爪26が、前記垂直孔22内に対応して設けられた垂直方向のスリット孔27内を上下動しうるように形成されている。したがって、常態でコイルスプリング25によって持ち上げられている支持リング24は、係止爪26がスリット孔27内の上端で止まり、台本体21の水平面部23より突出した状態にある。
【0017】予め印刷されたラベル裏面の剥離紙を剥がして、ラベルの粘着面を上面にして台本体21の水平面部23上に載置するのであるが、このとき、ドーナツ盤状をしたラベルの中央円孔部分に支持リング24を内挿・突出させることにより、コンパクトディスク3に貼付するラベルの正確な位置決めが行われる。それゆえ、支持リング24の外径は、コンパクトディスク3のラベル貼着面の内径に適合するように設定され、こうして設定された支持リング24に内挿できるようにスティック1の下部ホルダ12の外径が設定されることになる。
【0018】さらに改良された第2の発明に係るラベル貼付治具では、スティック1の下部ホルダ12を略コマ体状に形成するとともに下部ホルダ12内において垂直方向にガイド孔18を設け、このガイド孔18に対応するように、台本体21の垂直孔22の中心にガイド柱28を立設する。図4は、台2に対して、コンパクトディスク3を挟持したスティック1を挿入して押圧した状態、すなわち、前述の手順(5)の状態を示す縦断面図である。
【0019】このように、改良されたラベル貼付治具では、スティック1下部ホルダ12のガイド孔18に対して台本体21の垂直孔22内のガイド柱28が内挿されるとともに、支持リング24上縁全体でコンパクトディスク3を支持するので、ラベル貼付作業時にコンパクトディスク3が傾斜することがなく、水平状態を保ちながら台本体21水平面部23上に載置されたラベルに対して完全に密着するのである。
【0020】スティック1上部への押圧を解除すると、コイルスプリング25の復元力により支持リング24が台本体21の垂直孔22内を当初の位置まで上昇し、図3に示される状態にまで戻るので、コンパクトディスク3に貼付されたラベル4が台本体21の水平面部23上から消えて見えなくなる結果、ラベル4がコンパクトディスク3に完全に貼付されたことを確認することができる。
【0021】
【発明の効果】本発明に係るラベル貼付治具では、ラベルの中央円孔部分に内挿させる支持リングを設けたことによって、台上においてラベルを正確な位置に載置することできる。また、下部ホルダと上部ホルダからなるスティックは、コンパクトディスクを確実に保持することができるので、台への落とし込み時にコンパクトディスクが傾斜してラベル貼付位置がずれてしまうことがなく、スティック上部を押圧するだけでコンパクトディスクの記録面に触れずにラベルを確実に貼付することができる。
【0022】さらに、スティックの下部ホルダを略コマ状の先細り形状としたことで、コンパクトディスクを挟持したスティックを台の支持リング内に挿入し易くなり、また、台本体に立設したガイド柱とスティック下部ホルダ内に穿設したガイド孔の組合せ、および台の支持リング上縁によるコンパクトディスクの支持によって、コンパクトディスクを傾斜させることなく水平状態を保ちながら下降させてラベル貼付面に完全に密着させることができる。
【0023】したがって、本発明に係るラベル貼付治具を用いれば、きわめて簡単かつ正確にコンパクトディスクにラベルを貼付することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るラベル貼付治具の構成の一例を示した概略斜視図である。
【図2】本発明に係るスティックの一例の縦断面図である。
【図3】本発明に係る台の一例の縦断面図である。
【図4】コンパクトディスクを挟持したスティックを台に挿入して押圧した状態の縦断面図である。
【符号の説明】
1 スティック
2 台
3 コンパクトディスク
4 ラベル
11 上部ホルダ
12 下部ホルダ
13 支持軸
17 支持部
21 台本体
24 支持リング

【特許請求の範囲】
【請求項1】 コンパクトディスクを挟持するためのスティックと、ラベルを載置するための台とから構成された、コンパクトディスク表面にラベルを貼付するための治具であって、前記スティックは、コンパクトディスク中心に穿設された回転軸受孔に挿通される支持軸と該支持軸の下方に延設されコンパクトディスクの回転軸受孔より大径かつ軸直角方向に膨出した支持部とからなる下部ホルダ、および前記支持軸の上部に脱着自在に装着される上部ホルダとからなっており、前記台は、スティックの下部ホルダを落とし込むための垂直孔と該垂直孔の周囲にラベルを載置するための水平面部とを備えた台本体、および前記垂直孔に内挿されかつ下部を弾性体により支持されて前記水平面部に対して突出状態から同一平面状態に至るまで垂直孔内を上下動しうる支持リングとからなるラベル貼付治具。
【請求項2】 スティックの下部ホルダを支持軸下方延長線上にガイド孔を設けた略コマ状体に形成する一方、台本体における垂直孔の中心に前記ガイド孔に内挿されるガイド柱を立設したことを特徴とする請求項1記載のラベル貼付治具。

【図2】
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【図3】
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【図1】
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【図4】
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【公開番号】特開2000−53115(P2000−53115A)
【公開日】平成12年2月22日(2000.2.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願平10−221262
【出願日】平成10年8月5日(1998.8.5)
【出願人】(000106612)サンワサプライ株式会社 (8)
【Fターム(参考)】