説明

ラベル貼付装置

【課題】ラベル貼付装置において、パレットとラベル位置決め部との相対的な位置関係の調整を容易にする。
【解決手段】物品にラベルを貼付するラベル貼付装置1000は、表面に糊が塗布されるパレット41と、パレット41に渡すべきラベル51を設定された位置に保持するラベル位置決め部520を有し、ラベル位置決め部520においてパレット41にラベル51を供給するラベルマガジン50と、パレット41からラベル51を受け取って物品71に貼付する貼付部61と、ラベル位置決め部520の位置を調整する調整機構550、560とを備える。調整機構550、560は、非ロック状態で回動可能でありロック状態で回動不能なハンドル551と、ハンドル551の回動に従ってラベル位置決め部520の位置を変更する位置変更機構552とを有し、ハンドル551に目盛りが設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物品にラベルを貼付するラベル貼付装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ビール瓶等の物品にラベルを貼り付けるラベル貼付装置がある。ラベル貼付装置は、表面に糊が塗布されるパレットと、複数枚のラベルを収容しそれらを順にパレットに供給するラベルマガジンと、ラベルマガジンからパレットに渡されたラベルを受け取って物品に貼付する貼付部とを備えうる。ラベルマガジンは、その先端(パレットに対向する部分)に、パレットに渡すべきラベルを設定された位置に保持するラベル位置決め部(例えば、プロングと呼ばれる)を有する。
【0003】
パレットとラベル位置決め部との相対的な位置関係は、貼付不良の発生と密接に関係している。通常は、ラベル位置決め部は、パレットに対して0.1mm以下の精度で位置調整される。
【0004】
ラベル貼付装置の構成例は、例えば特許文献1に記載されている。
【特許文献1】特開2003−212225号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来のラベル貼付装置は、ラベル位置決め部の位置、すなわち、パレットとラベル位置決め部との相対的な位置関係を適正に調整するための十分な調整機構を有していない。従来は、ラベル位置決め部を固定するためのボルトと該ボルトを通す穴との間の隙間の範囲(がたつきの範囲)内において、ラベル位置決め部を手で握って動かしながら調整がなされていた。そして、この調整は、ラベル位置決め部の位置を特定するための具体的な数値に基づいてなされるのではなく、ラベル位置決め部の位置を変更しながら、変更の度に実際にラベルの貼付処理を実施し、貼付不良が起こらないラベル位置決め部の位置を探すといった作業性の悪いものであった。
【0006】
本発明は、上記の背景に鑑みてなされたものであり、例えば、パレットとラベル位置決め部との相対的な位置関係の調整を容易にすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、物品にラベルを貼付するラベル貼付装置に係り、前記ラベル貼付装置は、表面に糊が塗布されるパレットと、前記パレットに渡すべきラベルを設定された位置に保持するラベル位置決め部を有し、前記ラベル位置決め部において前記パレットにラベルを供給するラベルマガジンと、前記パレットからラベルを受け取って物品に貼付する貼付部と、前記ラベル位置決め部の位置を調整する調整機構とを備え、前記調整機構は、非ロック状態で回動可能でありロック状態で回動不能なハンドルと、前記ハンドルの回動に従って前記ラベル位置決め部の位置を変更する位置変更機構とを有し、前記ハンドルに目盛りが設けられている。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、例えば、パレットとラベル位置決め部との相対的な位置関係の調整が容易になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態を説明する。
【0010】
図1は、本発明の好適な実施形態のラベル貼付装置の構成を概略的に示す図である。図1に示すラベル貼付装置(ラベラー)1000は、ビール瓶等の物品にラベルを貼付するように構成されている。ラベル貼付装置1000は、例えば、ラベル51の裏面に糊を塗布してビール瓶等の物品71に貼付するラベル貼付装置本体100と、該本体100にラベルを供給するラベルマガジン50と、該本体100の糊ローラー30に糊を供給する糊供給部200とを含んで構成されうる。
【0011】
ラベル貼付装置本体100は、例えば、糊ローラー30、パレット41を備えたパレット回転機構40、グリッパ61を備えたグリッパ回転機構60、ビール瓶等の物品71を回転させる物品回転機構70等で構成されうる。糊供給部200は、例えば、タンク10、供給管24、26、ポンプ22等で構成されうる。ラベルマガジン50の構成例については後述する。
【0012】
タンク10内の糊は、供給管24、26を通してポンプ22によって糊ローラー30に供給される。糊ローラー30の側方には、糊ローラー30の表面に糊を均一に広げるためのスクレーパー32が配置されている。糊ローラー30及びスクレーパー32の下方には、糊ローラー30及びスクレーパー32から滴り落ちる糊を回収する回収パン34が配置されている。回収パン34で回収された糊は、回収管28を通してタンク10に戻される。
【0013】
糊ローラー30の側方には、複数のパレット41が円周に沿って等間隔で配置されたパレット回転機構40が配置されている。パレット回転機構40の回転にともなって各パレット41が公転しながら、糊ローラー30の表面の糊が各パレット41の表面に塗布される。パレット回転機構40の側方には、ラベルマガジン50が配置されている。ラベルマガジン50は、ラベル51をその裏面(糊を塗布する面)をパレット41側に向けてパレット41に供給する。ラベル51は、公転中のパレット41の表面(糊が塗布された面)に付着し、これによりラベル51の裏面に糊が塗布される。
【0014】
パレット回転機構40の側方には、また、複数のグリッパ(貼付部)61が円周に沿って等間隔で配置されたグリッパ回転機構60が配置されている。グリッパ回転機構60の回転にともなって各グリッパ61が公転する。各グリッパ61は、公転中に、パレット41に付着しているラベル51を引っ掛けて受け取る。この状態で、ラベル51は、糊が塗布された面(裏面)が外側を向くことになる。
【0015】
グリッパ回転機構60の側方には、ビールが充填されたビール瓶等の複数の物品71を円周に沿って等間隔で保持する物品回転機構70が配置されている。物品回転機構70の回転にともなって各物品71が公転し、この際に、グリッパ61によって保持されているラベル51が物品71に貼り付けられる。ラベル51が貼り付けられた物品71は、次工程に向けて搬送される。
【0016】
図2は、ラベルマガジン50の構成例を概略的に示す図である。なお、図2には、参考として、パレット回転機構40によって公転駆動される複数のパレット41のうちの1つが示されている。
【0017】
ラベルマガジン50は、パレット回転機構40に設けられて公転する複数のパレット41に対してラベル51を1枚ずつ供給するように構成されている。パレット41の公転にともなって、パレット41の表面(糊が塗布された面)にラベル51の裏面(糊を塗布すべき面)が付着して、これによってパレット41がラベル位置決め部520からラベル51を受け取る。
【0018】
ラベルマガジン50は、積み重ね状態(一般には、水平方向に積み重ねられた状態)の多数枚のラベル51の側部(外周部)をそれらの供給方向に沿ってガイドするガイド部材510と、ラベル位置決め部520と、ラベル位置決め部520の位置を調整する調整機構550、560と、ラベルマガジン50に装填されたラベル51をパレット方向に押圧する押圧機構540とを備えている。
【0019】
ラベル位置決め部520は、プロング保持機構522と、プロング保持機構530によって保持され、多数枚のラベル51のうち先頭のラベル(すなわち、パレット41に最も近いラベル)の位置を複数個所で規定する複数のプロング524とを備えている。複数のプロング524は、それぞれ先端部付近にプロング爪を有し、複数のプロング爪によってラベル51を引っ掛けることによって当該個所におけるラベル51の位置が規定される。
【0020】
第1調整機構550は、Y方向におけるラベル位置決め部520の位置を調整することができるように構成されている。第1調整機構550は、ラベル貼付装置1000の本体100等の固定された部材に連結されている第1フレーム554と、第1フレーム554によって回動可能に軸支された第1ハンドル551と、第1ハンドル551に連結された第1ピニオンギア552と、ラベル位置決め部520のプロング保持機構522に固定された第1ラック553と、第1フレーム554に対してプロング保持機構522を固定したり、固定を解除したりする固定機構(例えば、ボルト)555とを備えている。
【0021】
ここでは、第1フレーム554に対してプロング保持機構522を固定した状態(例えば、固定機構555としてのボルトを締めた状態)をロック状態といい、その固定を解除した状態(固定機構555としてのボルトを緩めた状態)を非ロック状態という。第1ハンドル551は、非ロック状態では回動可能であり、ロック状態では可動不能である。これは、ロック状態では、第1ピニオンギア552と第2ラック553によって構成される第1ラックアンドピニオン機構(第1ハンドルの回動に従ってラベル位置決め部の位置を変更する第1位置変更機構)がロックされているからである。
【0022】
Y方向におけるラベル位置決め部520の位置を調整は、非ロック状態において、作業者が第1ハンドル551を回すことによって行うことができる。ここで、第1ハンドル551には、目盛り(例えば、第1ハンドルの回転によってラベル位置決め部が移動する量(単位は、例えば、ミリメートル)を示す目盛り)が設けられていることが好ましい。
【0023】
第2調整機構560は、X方向(図2では、−X方向がラベルの供給方向)におけるラベル位置決め部520の位置を調整することができるように構成されている。第2調整機構560は、ラベル貼付装置1000の本体100等の固定された部材に連結されている第2フレーム564と、第2フレーム564によって回動可能に軸支された第2ハンドル561と、第2ハンドル561に連結された第2ピニオンギア562と、ラベル位置決め部520のプロング保持機構522に固定された第2ラック563とを備えている。ここで、固定機構555は、第2フレーム564に対してプロング保持機構522を固定したり、固定を解除したりする固定機構としても機能する。
【0024】
X方向におけるラベル位置決め部520の位置を調整は、非ロック状態において、作業者が第2ハンドル561を回すことによって行うことができる。ここで、第2ハンドル561には、目盛り(例えば、第1ハンドルの回転によってラベル位置決め部が移動する量(単位は、例えば、ミリメートル)を示す目盛り)が設けられていることが好ましい。
【0025】
ここで、第2ピニオンギア562と第2ラック563によって構成される第2ラックアンドピニオン機構によって、第2ハンドルの回動に従ってラベル位置決め部520の位置を変更する第2位置変更機構が構成されている。
【0026】
この実施形態では、ラベル位置決め部520を2方向に調整することができる機構を説明したが、3方向以上に調整することができるように調整機構を構成することもできる。もちろん、ラベル位置決め部520の調整は、1方向にのみ可能であってもよい。
【0027】
以上のように、非ロック状態で回動可能でありロック状態で回動不能なハンドル551、561と、該ハンドルの回動に従ってラベル位置決め部520のX、Y方向の位置を変更する位置変更機構とを備える調整機構を設けることにより、ラベル位置決め部520の位置を容易に調整し、その後、その位置をロックすることができる。また、ハンドル551、561に目盛りを設けることによって、ラベル位置決め部520の位置を特定する客観的な尺度を作業者に提供することができる。作業者は、例えば、ラベルの種類、気温、湿度、糊の粘土等に応じた適正状態におけるラベル位置決め部の位置を記録しておくことにより、ラベルマガジンを分解等した場合において、速やかにラベル位置決め部を適正な位置に戻すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】物品にラベルを貼付するラベル貼付装置の構成例を概略的に示す図である。
【図2】ラベルマガジンの構成例を概略的に示す図である。
【符号の説明】
【0029】
10 タンク
22 ポンプ
24、26 供給管
28 回収管
30 糊ローラー
32 スクレーパー
34 回収パン
40 パレット回転機構
41 パレット
50 ラベルマガジン
51 ラベル
60 グリッパ回転機構
61 グリッパ
70 物品回転機構
510 ガイド部材
520 ラベル位置決め部
522 プロング保持機構
524 プロング
540 押圧機構
550 第1調整機構
551 第1ハンドル
552 第1ピニオン
553 第1ラック
554 第1フレーム
555 固定機構
560 第2調整機構
561 第2ハンドル
562 第2ピニオン
563 第2ラック
564 第2フレーム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
物品にラベルを貼付するラベル貼付装置であって、
表面に糊が塗布されるパレットと、
前記パレットに渡すべきラベルを設定された位置に保持するラベル位置決め部を有し、前記ラベル位置決め部において前記パレットにラベルを供給するラベルマガジンと、
前記パレットからラベルを受け取って物品に貼付する貼付部と、
前記ラベル位置決め部の位置を調整する調整機構とを備え、
前記調整機構は、
非ロック状態で回動可能でありロック状態で回動不能なハンドルと、
前記ハンドルの回動に従って前記ラベル位置決め部の位置を変更する位置変更機構とを有し、前記ハンドルに目盛りが設けられていることを特徴とするラベル貼付装置。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2006−160282(P2006−160282A)
【公開日】平成18年6月22日(2006.6.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−350269(P2004−350269)
【出願日】平成16年12月2日(2004.12.2)
【出願人】(000000055)アサヒビール株式会社 (535)
【Fターム(参考)】