ランプ
【課題】口金の近傍からランプ内に水が侵入することを防止できるようにする。
【解決手段】複数のLED15が取付けられるベース板13と、ベース板13から延び先端に口金3が設けられた絶縁筒部10と、を備え、複数のLED15に電気を供給するリード線21A,21Bを絶縁筒部10の内部を通して口金3に接続したLEDランプ1において、絶縁筒部10の先端を袋部120とし、前記先端の外周に口金3が係止する終端10Aを備え、終端10Aよりも外方に前記先端の袋部120を突出させ、突出させた袋部120の突出部122A,122Bにリード線21A,21Bが貫通する配線孔125A,125Bを備えた。
【解決手段】複数のLED15が取付けられるベース板13と、ベース板13から延び先端に口金3が設けられた絶縁筒部10と、を備え、複数のLED15に電気を供給するリード線21A,21Bを絶縁筒部10の内部を通して口金3に接続したLEDランプ1において、絶縁筒部10の先端を袋部120とし、前記先端の外周に口金3が係止する終端10Aを備え、終端10Aよりも外方に前記先端の袋部120を突出させ、突出させた袋部120の突出部122A,122Bにリード線21A,21Bが貫通する配線孔125A,125Bを備えた。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発光素子取付け部から延び先端に口金が設けられた筒状部を備え、複数の発光素子に電気を供給するリード線を筒状部の内部を通して口金に接続したランプに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、LED等の発光素子を備えたランプでは、光源を点灯させるための基板を筒状の絶縁部材内に収容し、絶縁部材の端に設けられる口金に、上記基板から延びるリード線を接続する構成が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第4569465号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記のようなランプでは、結露等によって発生した水が、口金の近傍において上記リード線が通る部分等からランプの内部に侵入してしまうことが考えられる。
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、口金の近傍からランプ内に水が侵入することを防止できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために、本発明は、複数の発光素子が取付けられる発光素子取付け部と、前記発光素子取付け部から延び先端に口金が設けられた筒状部と、を備え、複数の前記発光素子に電気を供給するリード線を前記筒状部の内部を通して前記口金に接続したランプにおいて、前記筒状部の先端を袋部とし、前記先端の外周に前記口金が係止する係止部を備え、前記係止部よりも外方に前記先端の袋部を突出させ、前記突出させた袋部に前記リード線が貫通する貫通孔を備えたことを特徴とする。
【0006】
また、前記貫通孔は一対で設けられ、前記袋部の内面には、一対の前記リード線を前記各貫通孔に導く一対の導入部が形成され、当該導入部は、前記内面を2分割する仕切り壁によって仕切られている構成としても良い。
また、一対の前記導入部は、前記貫通孔に向かって先細る錐状の窪みである構成としても良い。
さらに、前記係止部の外周面には、前記貫通孔を通って外側に引き出された前記リード線が嵌め込まれる溝部が形成され、前記袋部は、前記溝部よりも外方に突出している構成としても良い。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、発光素子取付け部から延び先端に口金が設けられた筒状部の先端を袋部とし、先端の外周に口金が係止する係止部を備え、係止部よりも外方に先端の袋部を突出させ、突出させた袋部に記リード線が貫通する貫通孔を備えたため、係止部の近傍に結露等の水が付着したとしても、この水は係止部よりも外方に突出した突出部の貫通孔には入り難いため、リード線用の貫通孔からランプ内に水が侵入することを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の実施形態に係るLEDランプを備えたLEDランプ装置を示す図である。
【図2】LEDランプの外観構成を示す図であり、(A)は平面図、(B)は側面図、(C)は底面図である。
【図3】LEDランプを分解して示す上方斜視図である。
【図4】図2(C)のIV−IV線における断面図である。
【図5】環状防水パッキンを外した状態のLEDランプの底面図である。
【図6】図5のVI−VI断面図である。
【図7】図5のVII−VII断面図である。
【図8】ハの字状フィンの一部を拡大した平面図である。
【図9】筐体をベース板側から見た平面図である。
【図10】図9のX−X断面図である。
【図11】絶縁筒部の終端の拡大図である。
【図12】LEDランプの落下防止構造を示す図である。
【図13】バンドを示す図であり、(A)は平面図であり、(B)は落下防止用ワイヤが取り付けられた状態を示す斜視図である。
【図14】LEDランプの自重重心位置と、支持孔との位置関係を模式的に示す図であり、(A)は設置状態を示し、(B)は脱落状態を示す。
【図15】参考構成のLEDランプの自重重心位置と、支持孔との位置関係を模式的に示す図であり、(A)は設置状態を示し、(B)は脱落状態を示す。
【図16】ベース板の断面視図である。
【図17】グローブとベース板の係合部分を拡大して示す図である。
【図18】グローブをベース板に螺合して取り付ける構造の参考構成図である。
【図19】露出したソケットへのLEDランプの装着部分を拡大して示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照して本発明の実施形態について説明する。
なお、以下の実施形態では、発光素子を光源に備えるランプとして、LEDを光源に備えたLEDランプを例示するが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば有機EL等の他の発光素子を光源に備えるランプにも適用可能である。
【0010】
図1は、本実施形態に係るLEDランプ1を備えたLEDランプ装置95を示す図である。
同図に示すLEDランプ装置95は、屋外の看板照明等に用いられる屋外設置型の照明器具であり、LEDランプ1と、LEDランプ1が装着されるランプホルダー60と、LEDランプ1に取り付けられた環状防水パッキン70とを備えている。
ランプホルダー60は、既存の電球を装着可能なホルダーであり、LEDランプ1は、既存の電球と形状及び光学特性が略同じになるように構成され、既存の電球の代わりにランプホルダー60に装着して使用可能となっている。
【0011】
ランプホルダー60について詳細には、ランプホルダー60は、筒状のホルダー筐体62を備え、このホルダー筐体62の終端部62Aには、図示せぬ支持アームが回動自在に取り付けられるアーム取付部64が設けられている。
ホルダー筐体62の先端60Bは、既存の電球を装着したときに当該電球のガラス球の表面に図示せぬ防水パッキンを挟んで隙間無く係合する径で開口し、電球装着時には、当該開口縁部66からの水の浸入が防止されている。なお、同図において、ホルダー筐体62の先端60Bに設けられた突起68は、LEDランプ1、或いは既存の電球を覆って保護するガード部材(図示せず)を固定するための部材である。
【0012】
ホルダー筐体62の内部には、既存の電球ランプの口金、及びLEDランプ1の口金3が螺合するソケット65が配設されている。このソケット65には、外部から引き込まれた電力供給線が接続されており、ソケット65を通じて口金3からLEDランプ1、或いは、既存の電球ランプに電力が供給される。
環状防水パッキン70は、ゴム成型部材であり、LEDランプ1の筒状部2(後述)に着脱自在に装着され、LEDランプ1をランプホルダー60に装着したときにランプホルダー60の開口を塞ぎ、ランプホルダー60とLEDランプ1の隙間からの水の侵入を防止する。
なお、環状防水パッキン70は、ランプホルダー60への水の浸入防止を目的に使用されるため、例えば屋内に設置されたランプホルダー60、或いは、外部に露出したソケットにLEDランプ1を装着して使用する場合など、防水が不要な場合には、環状防水パッキン70を装着する必要はない。ただし、屋内使用時に環状防水パッキン70を装着することで、ほこり等の侵入を防止できる。
【0013】
次いで、LEDランプ1の構成について詳述する。
図2はLEDランプ1の外観構成を示す図であり、図2(A)は平面図、図2(B)は側面図、図2(C)は底面図である。図3はLEDランプ1を分解して示す上方斜視図であり、図4は、図2(C)のIV−IV線における断面図である。なお、これらの図では、上記環状防水パッキン70をLEDランプ1に装着した状態を示す。
【0014】
本実施形態のLEDランプ1は、発光部12と、この発光部12の裏面の略中央に直交して下方に向かって延び終端側に口金3が設けられた筒状部2と、発光部12の裏面に設けられた複数の放熱フィン25とを備え、さらに筒状部2には上記環状防水パッキン70が嵌め込まれている。
発光部12は、上面12Aの略全体から上方に向けて光を放射するものであり、図3に示すように、光源たる複数のLED15と、これらのLED15を実装した平面視略円形のLED基板16と、グローブ22と、筒状部2の先端2Cに一体に設けられた平板部としてのベース板13とを備えている。
【0015】
ベース板13は、筒状部2よりも径が大きな上面視略円板状の部材であり、上記筒状部2は、このベース板13の裏面13Aの略中央部から下方に向かって略垂直に延びている。ベース板13の表面には、図3に示すように、筒状部2に繋がる挿入開口14が開口し、LED15を点灯する電源(電力変換装置)や駆動回路を実装した電気回路基板8が挿入開口14から挿入されて筒状部2に収められる。
これらベース板13、及び筒状部2は同一の材料、すなわち熱伝導性樹脂材から金型を用いた樹脂成型によって一体に成型されており、これらベース板13、筒状部2、及び後述の絶縁筒部10により、LEDランプ1の筐体35が構成されている。
【0016】
LED15は、筒状部2と略同心円の円環状の並びとなるように複数並べて配置されており、ベース板13の外周側で円環状に並ぶ外周側発光部15Aと、外周側発光部15Aよりも内周側で円環状に並ぶ内周側発光部15Bとを有している。ここでは、一例として、外周側発光部15Aは30個の素子が等間隔を開けて配置され、内周側発光部15Bは15個の素子が等間隔を開けて配置されている。単位面積あたりで見た場合、外周側発光部15Aは内周側発光部15BよりもLEDの素子が占める割合が大きくなっており、外周側発光部15Aは内周側発光部15Bよりも単位面積あたりの発熱量が大きくなっている。
LED15は、例えばLED素子をパッケージ化してなるものであり、本実施形態では、LED15に白色LEDが用いられている。なお、LED15に白色以外の他の発光色のLEDを用いても良いことは勿論である。
LED基板16は、図3に示すように、略円板状に形成され、上面たる表面に複数のLED15が実装され、ベース板13の上面に複数のネジ18によりネジ止め固定されている。
【0017】
LED基板16の略中央には、リード線引出開口17が開口し、筒状部2に収められた電気回路基板8から電力供給用の一対のリード線21A,21B(図4)がリード線引出開口17を通じて引出されて、このLED基板16の上面に形成されている回路パターン(不図示)に電気的に接続され、当該回路パターンを通じて各LED15に電力が供給されて点灯する。
【0018】
ベース板13は、図3及び図4に示すように、平円板の周縁に沿って側壁19を有したトレー状を成し、この側壁19の内周面にLED基板16を覆うグローブ22が係合し保持されている。このグローブ22とベース板13の間には、シール部材としてのOリング26が設けられており、グローブ22を側壁19に係合させるに伴い、Oリング26がグローブ22とベース板13の側壁19との間で押圧されてシールされ、発光部12が防水される。なお、グローブ22とベース板13の取付構造については、後に、より詳細に説明する。
グローブ22には、図示を省略するが、LEDランプ1の銘番を内面に印刷や刻印等で設けている。これにより、LEDランプ1が風雨に晒されても銘板が消えることがなく、また擦れによって消えたりすることもない。
【0019】
放熱フィン25は、ベース板13の裏面13Aからみて筒状部2の周囲に放射状に設けられている。各放熱フィン25は、裏面13Aから筒状部2に沿って延在するように設けられており、ベース板13に載置されたLED基板16が発する熱を放熱する。各放熱フィン25は、筐体35の射出成型時に筒状部2と一体に形成される。
【0020】
筒状部2の終端2Aには、口金3と筒状部2と間の絶縁を図るために、絶縁性を有する材料から形成された筒状の絶縁筒部10を一体に備え、図4に示すように、この絶縁筒部10の終端10Aに上記口金3が冠着されている。電気回路基板8は、筒状部2の先端側から絶縁筒部10に亘って収められており、絶縁筒部10側の端部でリード線21A,21Bを通じて口金3と電気的に接続されている。
【0021】
口金3は、既設のランプホルダー60のソケット65(例えばE39やE26(本実施形態ではE39)型ソケット)に螺合するネジ山が切られた筒状のシェル5と、このシェル5の端部の頂部に絶縁部6を介して設けられたアイレット7とを備え、シェル5及びアイレット7が既存のソケットに装着可能な形状寸法に構成されている。これにより、当該LEDランプ1は、天井や壁面に既設のソケットや、既存の電球を装着して使用する上記ランプホルダー60のソケット65に装着でき、既存の電球の代替として使用できる。
シェル5と筒状部2とは、上述のように、絶縁筒部10によって電気的に絶縁されていることから、導電性を有する材料で筒状部2を構成しても、口金3のシェル5と筒状部2との間の絶縁が良好に維持される。
【0022】
ところで、筒状部2にアルミニウム等の金属材料を用いることで高い放熱性能が得られるものの当該筒状部2を含む筐体35が重くなることから、既設のソケットでは強度が不足する、という問題もある。
そこで本実施形態では、筒状部2の材料に熱伝導性樹脂を用いるとともに、絶縁筒部10の材料に絶縁性樹脂を用い、筒状部2に絶縁筒部10をインサート成型により一体に形成している。
【0023】
筒状部2を熱伝導性樹脂から形成することで、アルミニウム等の金属材料で筐体35を形成したときよりもLEDランプ1の軽量化が図られ、電球の代替としてLEDランプ1を既存のソケットや既存のランプホルダー60に装着する場合でも、当該LEDランプ1の重量を支えるために既存のソケットや既存のランプホルダー60を補強する作業や部材が必要なく、そのまま使用することができる。また軽量化により、放熱フィン25の枚数を増やすことができるので、表面積が増え、より効率的に放熱性を高めることができる。このような熱伝導性樹脂としては、熱伝導率が2W/mK以上の熱伝導性に優れた樹脂材が好ましく、例えば高熱伝導性のカーボン繊維(本実施形態では帝人(株)製ラヒーマ(登録商標))を混入したポリカーボネイト樹脂を好適に用いることができる。
【0024】
ただし、筒状部2に絶縁筒部10を樹脂材のインサート成型により一体に形成することで絶縁筒部10が強固に接合されるものの、経年劣化により、絶縁筒部10の接合面(合わせ面)に隙間が生じ防水性が損なわれるおそれがある。
そこで、図4に示すように、筒状部2の終端2Aの内周面には、係合凹凸部2Bを形成するとともに、絶縁筒部10の開口端手前の外周面には、上記係合凹凸部2Bと噛み合うように係合する係合凹凸部10Bを形成し、いわゆるラビリンス状の係合構造が構成され、また、この接合部の面積が大きくなって接合強度が高められている。さらに絶縁筒部10の係合凹凸部10Bの下方には筒状部2の終端2Aが当接するフランジ10Cが形成されており、ラビリンス状の係合構造部分への水浸入防止が図られている。このようなラビリンス状の係合構造、並びにフランジ10Cにより、筒状部2と絶縁筒部10との接合部に経年劣化によるひび割れ等によりインサート成型面に隙間が生じた場合でも防水性が維持され、LED15の寿命に見合った耐久性が得られる。
なお、筒状部2の終端2Aと絶縁筒部10の開口端(挿入端)との接合面の形状は、上記ラビリンス状に限らず、防水性と接合強度の向上が得られる形状であれば例えば楔状等の任意の形状とできる。また、筒状部2と絶縁筒部10の接合は、インサート成型以外であっても、各種性能上の要件を満たすならば、ネジ締め等による組立で行ってもよい。
【0025】
次いで、筒状部2への電気回路基板8の収容構造について更に説明する。
電気回路基板8は、図4に示すように、筒状部2の先端2Cから絶縁筒部10に亘る長さに形成されるとともに、筒状部2及び絶縁筒部10の内部形状に係合する形状を有して形成されている。
すなわち、筒状部2の上部直径R(図4)は、電気回路基板8の上部横幅と略同程度に形成されており、かかる電気回路基板8が筒状部2に挿入されると、絶縁筒部10の内部に形成された挟持部116,116(図9)に電気回路基板8が挟み込まれて電気回路基板8が筒状部2内に固定される。
【0026】
このとき、筒状部2にあっては上部直径Rを電気回路基板8の上部幅程度まで小さくしてコンパクト化を図ると、筒状部2に電気回路基板8が近接し、筒状部2と電気回路基板8との間の電気的な絶縁性能が劣化する。そこで、筒状部2の中には、電気回路基板8を囲むように巻いた絶縁シート28を設けており、筒状部2の内側面の全体を絶縁シート28で覆い、電気回路基板8と筒状部2の間の絶縁性能を高めることとしている。
絶縁シート28は、可撓性及び絶縁性を有する1枚の帯状のシートを1巻き、或いは複数巻き(本実施形態では2巻き)して筒状に形成したものであり、筒状部2に挿入すると、絶縁シート28が巻き戻りによって拡がり、このときの巻き戻る力によって筒状部2の内側面を覆うように装着される。
このように、絶縁シート28を帯状に形成し、巻いた状態でベース板13の挿入開口14に挿入し、絶縁シート28の巻き戻りによって筒状部2の中に装着する構成としたため、筒状部2の内側面の全面を覆うように絶縁シート28を簡単に装着することができる。
さらに、絶縁シート28の下縁部28A(図3参照)に切欠部28Bを設け、筒状部2の内部に設けた突起部14A(図9参照)と位置を合わせることで、絶縁シート28を巻回したときにラップする絶縁シート28の両端部分の位置を決めることができるため、筒状部2をさらにコンパクトにすることができる。すなわち、絶縁シート28の両端部分がラップする部分が筒状部2に挿入したときに、どこに来るかわからない状態だと、絶縁シート28の両端部がラップして成る3重のシート厚(2巻き時)を考慮した上での電気回路基板8の縁部との間の筒状部2のクリアランスが必要であるが、絶縁シート28のラップした部分が電気回路基板8の縁部と筒状部2の間を避けた位置に来るように、上記突起部14Aで位置決めすることで、電気回路基板8の縁部と筒状部2の間は、絶縁シート28の巻数分の厚みを考慮したクリアランスでよくなる。これにより、クリアランスを小さくできるから筒状部2をさらにコンパクトにできる。
【0027】
筒状部2に挿入された電気回路基板8は、上述の通り、下端側が上記挟持部116,116(図9)に挟み込まれて筒状部2内に固定される。このとき、電気回路基板8の上端部8Cは、ベース板13に取り付けられたLED基板16によって固定ブッシュ27を介して下方に押圧されている。
【0028】
詳述すると、図4に示すように、電気回路基板8には、LED15を点灯するための電源回路が備える発熱部品8Xが実装されており、この発熱部品8Xには高熱伝導性を有する例えば金属製のヒートシンク29が設けられている。なお、図3、及び図4において、符号29Bは肉盗み用の凹部29Bである。発熱部品8X又はヒートシンク29の表面に、グリース状の熱伝導性シリコン充填剤を塗って両者を密着させることで、発熱部品8Xの発熱がヒートシンク29に伝えられる。
ヒートシンク29と筒状部2との間には、上記固定ブッシュ27が設けられており、この固定ブッシュ27の上端には、当接突起27Aが一体に設けられている。この当接突起27Aが上記LED基板16の底面に当接して押圧されることで、ヒートシンク29や発熱部品8Xを通じて電気回路基板8が押さえ付けられる。
【0029】
固定ブッシュ27は、比較的熱伝導性が良い弾性体であり、ヒートシンク29により固定ブッシュ27が筒状部2に押し当てられることで、ヒートシンク29及び固定ブッシュ27から成る熱伝導部材29Dが構成され、発熱部品8Xの熱が熱伝導部材29Dを通じて筒状部2に伝えられ、筒状部2の外周面から外部に放熱される。
【0030】
また本実施形態では、図3、及び図4に示すように、ヒートシンク29を筒状部2の近傍まで延ばし、その先端部29Aに、キャップ状に形成した固定ブッシュ27を被せ、この固定ブッシュ27を筒状部2に押し付ける構成としている。
この構成により、ヒートシンク29と筒状部2の間に介在する固定ブッシュ27の厚みが薄くなることから、ヒートシンク29から筒状部2に熱伝達がし易くなる。
なお、固定ブッシュ27を薄くすると、その分、弾性力が低下し、固定時に電気回路基板8に固定ブッシュ27及びヒートシンク29に押されて撓みが生じることがあることから、固定ブッシュ27には、当該撓みを抑制できる程度のクッション性を有する形状とすることが望ましい。
【0031】
また、ヒートシンク29の表面から筒状部2の雰囲気への放熱が多いと、筒状部2に熱が籠もり他の回路部品に影響を与え兼ねない。そこで、ヒートシンク29にあっては、固定ブッシュ27が被さる先端部29Aにのみ放熱フィン形状(凹凸形状)を形成し、また、この放熱フィン形状の凹凸に入り込み接触するように固定ブッシュ27のキャップ形状を形成することで、周面よりも先端部29Aの放熱フィン形状から固定ブッシュ27に熱が伝達されるようにしている。
これにより、ヒートシンク29から筒状部2の雰囲気中へ放熱を抑え、発熱を効率良く筒状部2に伝えることができる。
【0032】
なお、上述の通り、筒状部2の内側面は絶縁シート28が覆うが、この絶縁シート28には高熱伝導性を有するものが用いられており、固定ブッシュ27から筒状部2への伝熱を阻害しないようになっている。
このように、絶縁シート28が高熱伝導性を有し、電気回路基板8の回路部品と絶縁シート28との間に、これらを熱的に繋ぐ熱伝導性部材たる固定ブッシュ27を設けることで、電気回路基板8の絶縁性と放熱性との両方を高めることができる。
さらに、所定の絶縁性能を満たす限りにおいては、絶縁シート28に、固定ブッシュ27が当接する範囲を切り欠いた切欠部を設けて固定ブッシュ27を直接筒状部2に接触させ、絶縁シート28を介さず直接筒状部2に熱を固定ブッシュ27から伝達させてもよい。
【0033】
なお、図3において、符号270は、シリコン材料のゴム部品から成る略棒状の絶縁ブッシュであり、電気回路基板8の上端部8Cに装着されて挿入開口14から臨むLED基板16に押圧される。電気回路基板8とLED基板16の間に絶縁ブッシュ270を設けることで耐電圧性能が高められる。
【0034】
図5は、環状防水パッキン70を外した状態のLEDランプ1の底面図であり、図6は図5のVI−VI断面図である。また図7は図5のVII−VII断面図である。
かかる筒状部2とベース板13を含む筐体35は、上述のように、複数の放熱フィン25を一体に備えることで放熱性の向上が図られている。
放熱フィン25は、それぞれ薄い板状であり、ベース板13の裏面13Aからみて筒状部2の軸線を中心にして略放射状に多数立設されている。これらの放熱フィン25は、根元部分であるフィン根元部25Bがベース板13の裏面13Aに繋がっており、これら放熱フィン25、筒状部2及びベース板13が上述の熱伝導性樹脂から金型を用いた樹脂成型により一体に形成されている。このように、ベース板13、及び放熱フィン25を一体成型することで、ベース板13と放熱フィン25の間の熱抵抗が抑えられ、放熱フィン25への伝熱量が増加して高い放熱性能が得られる。
【0035】
また、放熱フィン25は、筒状部2に沿って延びるベース板13の裏面13Aから下方(口金3の側)に延びるものの、筒状部2との間には隙間Sを設けて切り離されている。そして、隣り合う2つの放熱フィン25を一組にし、この一組の放熱フィン25の筒状部2側の端部同士を連結部105で連結することで、略ハの字状に配置された一組の放熱フィン25の開放部分を連結部105で塞いだフィン(以下、「ハの字状フィン101」と言う)が一体に形成されている。
【0036】
このハの字状フィン101によれば、筒状部2と連結部105との間に、図5に示すように、気流経路Fが形成されるため、筒状部2の外周面が空冷され、内部に収められた電気回路基板8が冷却される。
特に、上述の通り、筒状部2には、固定ブッシュ27、及びヒートシンク29を通じて電気回路基板8の発熱部品8Xの熱が伝導されるため、この筒状部2が気流経路Fを通る空気によって冷却されることで、電気回路基板8が効率良く冷却される。
【0037】
なお、本実施形態では、隣り合う2つの放熱フィン25を連結部105で連結したが、隣り合う3つ以上の放熱フィン25の筒状部2側の端部を連結部105で連結することもできる。
【0038】
図5に示すように、連結部105で連結された放熱フィン25の組みである上記ハの字状フィン101と、他のハの字状フィン101との間には、これらハの字状フィン101同士の間を通って筒状部2に流入する気流を各々のハの字状フィン101に振り分ける振分フィン103が設けられている。振分フィン103は、放熱フィン25と同様に、ベース板13の裏面13Aから筒状部2に沿って延びるとともに、筒状部2との間に切離部91による隙間を設けたものである。この振分フィン103でハの字状フィン101同士の間を通る気流が振り分けられることで、筒状部2の外周面での冷却ムラが生じ難くなり、均一に冷却できる。
【0039】
また、振分フィン103は、前掲図1に示すように、筒状部2に沿ったベース板13からの長さが放熱フィン25よりも短く形成されている。これにより、ハの字状フィン101同士の間では、振分フィン103を超えて空気が移動できることから、当該振分フィン103による空気の振り分けの均一化が図られる。
【0040】
なお、隣接するハの字状フィン101の間で対面する放熱フィン25の対にあっては、互いに平行に形成されており、この対を成す放熱フィン25の中間部に、当該放熱フィン25と平行に上記振分フィン103が形成されている。
【0041】
ベース板13の裏面13Aには、図5に示すように、連結部105により連結されてハの字状フィン101を構成する各放熱フィン25の間にも短放熱フィン102が設けられている。この短放熱フィン102は、筒状部2に沿ったベース板13の裏面13Aからの長さが放熱フィン25よりも短く、振分フィン103と同程度に形成されている。各短放熱フィン102により、ベース板13の放熱性が補助され、より高出力のLED15が搭載可能になるとともに、長さが放熱フィン25よりも短く形成され、なおかつ、筒状部2側の端部102Dが連結部105から切り離されて隙間Saが設けられているため、ハの字状フィン101内での空気の流通が阻害されることがなく、主たる放熱を担うハの字状フィン101の冷却性能を阻害する事がない。
【0042】
これに加え、ベース板13の裏面13Aには、図5に示すように、筒状部2の周りを囲む環状の環状放熱フィンとして、外側環状フィン106、及び内側環状フィン107が形成されている。これら外側環状フィン106、及び内側環状フィン107は、筒状部2に沿ったベース板13の裏面13Aからの長さが上記短放熱フィン102よりも更に短く形成されている。これら外側環状フィン106、及び内側環状フィン107によって、ハの字状フィン101の内やハの字状フィン101同士の間の気流にランダム性が生じて冷却性能が高められる。
これに加え、外側環状フィン106、及び内側環状フィン107が短いことから、発光部12が口金3よりも下方になる姿勢でLEDランプ1を使用したときに(いわゆる下方点灯時)、外側環状フィン106、内側環状フィン107、及び上記ハの字状フィン101で仕切られた空間に水等が溜まってしまうことも無い。
【0043】
また、外側環状フィン106は、外周側発光部15Aの真下に形成され、内側環状フィン107は、内周側発光部15Bの真下に形成され、連結部105よりも外周側に位置している。このように、LED15の直下に外側環状フィン106及び内側環状フィン107を配置することで、LED15の熱を効率良く放熱できるとともに、ベース板13を補強することができる。
【0044】
本実施形態では、上述の通り、ベース板13の裏面13Aに、放熱フィン25の他に、これよりも短い短放熱フィン102、振分フィン103、外側環状フィン106及び内側環状フィン107が設けられている。このとき、それぞれを長くすれば、放熱性能を高めることができるものの、そうすると、筐体35の重量化に繋がる。そこで、本実施形態では、主たる放熱を担うハの字状フィン101の放熱フィン25のみを長くし、他を短くすることで、筐体35の重量化が抑えられている。ただし、フィン長が長くなるほど裏面13Aのフィン付け根にかかるモーメントが大きくなるため、放熱フィン25を他のフィンよりも厚くして強度が高められている。
【0045】
ここで、ベース板13や放熱フィン25等を含む筐体35の樹脂成型後には、耐候性や意匠性を高めるために表面に塗料や薬品が塗布される。この塗布工程において、従来の一般的な構成のLEDランプでは、筒状部2から放熱フィン25が放射状に延び、なおかつ、放熱フィン25のベース板13側の端部が当該ベース板13の裏面13Aに繋がる構成であるため、筒状部2及び放熱フィン25とベース板13との繋ぎ目の隅部は塗料が入り難く、また塗布量を増やすとフィン手前側にタレが生じる、という問題がある。このため、塗布工程においては、複数回に分けて少量ずつ塗料等を塗布する必要があり、塗布回数が増えて高コスト化を招いている。
【0046】
これに対して、本実施形態のLEDランプ1では、上述の通り、全ての放熱フィン25と筒状部2との間に、ベース板13との繋ぎ箇所である放熱フィン25の根元部分であるフィン根元部25Bからフィン先端25Aに亘り、放熱フィン25と筒状部2を切り離す切離部91が設けこれら放熱フィン25と筒状部2との間に隙間Sを設けている。
【0047】
これにより、筐体35への塗料の塗布工程において、放熱フィン25と筒状部2の間に液溜まりが生じることがないため、1回あたりに塗布する液量を多くして塗布回数を少なくすることができ、ムラなく簡単に塗料を筐体35に塗布することができる。特に、スプレー等を用いて塗料を吹き付けることで、切離部91を通じて塗料が筒状部2の周囲に回り込み、1回の塗布で広範囲にムラなく塗料を塗ることができる。
さらに、切離部91を設けることで、筐体35の軽量化が図られ、また材料費を抑えることができる。またLEDランプ1の使用時には、放熱フィン25と筒状部2との間に雨水等が溜まることもない。
【0048】
これに加え、ハの字状フィン101の中に設けた短放熱フィン102にあっても、連結部105との間に隙間Saを設けているため、ハの字状フィン101についても、塗料ムラを防止できる。
【0049】
ハの字状フィン101(放熱フィン25)、短放熱フィン102及び振分フィン103は、図1に示すように、ベース板13の裏面13A(図2)からホルダー筐体62の開口縁部66に向かって緩やかな弧を描く側面視略扇形状に形成されており、ハの字状フィン101(放熱フィン25)、短放熱フィン102及び振分フィン103が筒状部2の軸方向に延びる長さは、内周側から外周側に向けて漸次短くなるように形成されている。このように、放熱フィン25等を側面視略扇形状に形成することで、ランプホルダー60にLEDランプ1を装着した際に、ランプホルダー60との一体感を高めることができ、意匠性を高めることができる。
ハの字状フィン101のフィン先端101Aは、図6に示すように、水平(筒状部2の軸線に対して垂直)に形成されており、筒状部2に装着された環状防水パッキン70の上面が当接する。
【0050】
図7に示すように、ベース板13は、その厚さが、筒状部2に繋がる内周部13Bから外周部13Cに向けて漸次薄くなるように形成されている。詳細には、ベース板13において、LED基板16が取り付けられる取付け面13Dは筒状部2の軸線に対して垂直に形成され、放熱フィン25が形成される裏面13Aは、その全面に亘り、外周側ほど板厚が薄くなるテーパ面となっている。このため、ベース板13は、板厚が薄くなる外周部13C側ほど、放熱フィン25への熱抵抗が小さくなる。また、ベース板13は、内周部13Bが厚く形成されて剛性が高くなっているため、取付け面13Dの反りの発生を防止でき、取付け面13Dの平面度を向上できる。
【0051】
図8は、ハの字状フィン101の一部を拡大した平面図である。
図8に示すように、ハの字状フィン101を構成する放熱フィン25は、フィン根元部25Bの板厚が連結部105の板厚と略等しく形成された厚肉部110と、フィン根元部25Bの板厚が厚肉部110の端部から放熱フィン25の外周側の先端側に向けて漸次薄くなるように形成された薄肉部111とを有している。厚肉部110と薄肉部111との境界部110A(図8)は、外側環状フィン106と内側環状フィン107との間に位置している。
このように、ハの字状フィン101を構成する放熱フィン25のフィン根元部25Bの板厚を、外周側ほど板厚が薄くなるように形成したため、ハの字状フィン101は、外周側ほど軽量になっている。
【0052】
本実施の形態では、上述のように、ハの字状フィン101は、緩やかな弧を描く側面視略扇形状に形成されており、ハの字状フィン101が筒状部2の軸方向に延びる長さは、内周側から外周側に向けて漸次短くなるように形成されているため、ハの字状フィン101に外力が作用する場合、ハの字状フィン101のフィン根元部25Bにかかる曲げモーメントは、ハの字状フィン101の軸方向の長さが短い外周側ほど小さくなる。このため、曲げモーメントに対応させて、ハの字状フィン101を構成する放熱フィン25のフィン根元部25Bの板厚を、外周側ほど薄く形成することができる。
【0053】
また、樹脂成型時に発生する取付け面13Dのヒケを防止するには、フィン根元部25Bにおけるハの字状フィン101の板厚に比してベース板13を厚くすることが考えられるが、この場合、ベース板13からハの字状フィン101までの熱抵抗が増加してしまう。しかし、本実施の形態では、外周側ほど薄くなる放熱フィン25のフィン根元部25Bの板厚に対応させて、ベース板13を、外周部13C側ほど板厚が薄くなるように形成したため、ベース板13の放熱性を向上しつつ、樹脂成型の際のヒケが取付け面13Dに生じることを防止できる。取付け面13Dのヒケの発生を防止することで、取付け面13Dの平面度が良くなり、取付け面13DとLED基板16との密着性が向上するため、ベース板13の放熱性を向上できる。より具体的には、各ハの字状フィン101のフィン根元部25Bにヒケが生じると、この部分で取付け面13DとLED基板16との間に隙間ができてしまうが、ヒケの発生を防止することで、取付け面13DとLED基板16とを密着させることができ、放熱性を向上できる。
さらに、ベース板13及びハの字状フィン101が外周側ほど薄く形成されているため、筐体35を軽量化できる。
また、ベース板13及びハの字状フィン101が外周側ほど薄く形成されることで、外周側の放熱性が高くなっているため、内周側発光部15Bよりも発熱量が大きい外周側発光部15Aの熱を効率良く放熱できる。
なお、ベース板13及びハの字状フィン101がアルミダイキャストによって製造される場合においても、本実施の形態の構成とすることでヒケを抑制できる。
【0054】
図6〜図8に示すように、ハの字状フィン101を構成する放熱フィン25、短放熱フィン102、振分フィン103、外側環状フィン106及び内側環状フィン107の厚さは、フィン根元部25Bから口金3側の端に向けて軸方向に漸次薄くなるよう形成されている。このため、各フィンの厚みが抜きテーパとして作用し、筐体35を金型によって成型する際に、筐体35を軸方向に容易に離型することができる。
また、ハの字状フィン101を構成する放熱フィン25、短放熱フィン102、振分フィン103、外側環状フィン106及び内側環状フィン107のフィン根元部25Bには、各フィンの両側に溝部115が形成されている。溝部115は、各フィンの全長に亘って形成されている。この溝部115によって、フィン根元部25B近傍の樹脂の収縮範囲を狭くできるため、取付け面13Dに発生するヒケの範囲を小さくできるとともに、同時に、ベース板13の表面積を多くすることができる。
【0055】
環状防水パッキン70は、図1〜図4に示すように、側面視したときに、放熱フィン25の外形25Dが描く弧に連続する略切頭円錐状(断面略台形状)を成しており、これら放熱フィン25、及び環状防水パッキン70から成る輪郭形状が既存の電球のガラス球の輪郭形状と等しくなるように形成されており、既存の電球との代替時に形状の相違から生じる不具合の防止が図られている。
【0056】
ここで、筒状部2の素材には、高熱伝導性のカーボン繊維(以下、「熱伝導性繊維」と言う)を混入した樹脂材が用いられているが、この樹脂材にあっては、熱伝導性繊維の配向によって熱伝導率に異方性が生じることが知られている。
本実施形態では、筒状部2及びベース板13から放熱フィン25への熱伝導率が高くなるように熱伝導繊維を配向させることで、筒状部2の放熱能力を高めることとしている。かかる熱伝導繊維の配向は、樹脂射出成型時に樹脂を流す向きによって制御される。
【0057】
次に、絶縁筒部10の終端10Aにおいてリード線21A,21Bを通す構成について説明する。
図9は、筐体35をベース板13側から見た平面図である。
図9に示すように、絶縁筒部10の内周面には、電気回路基板8の縁部を挟んで支持する一対の挟持部116,116が突出して設けられている。挟持部116,116は、絶縁筒部10の中心から僅かにずれた位置で、互いに対向して配置されており、電気回路基板8は、その板面が絶縁筒部10の軸線と平行な向きで、絶縁筒部10の中心から僅かにずれた位置に支持される。
【0058】
図10は、図9のX−X断面図である。
図4、図9及び図10に示すように、絶縁筒部10は終端10Aに形成された袋部120によって閉じられている。詳細には、袋部120は、終端10Aの端面よりも内側で終端10Aを閉じるように設けられた板部121と、板部121の一部がアイレット7側へ突出する一対の突出部122A,122Bとを有している。突出部122A,122Bは、終端10Aの端に形成された筒部123によって囲われており、筒部123の内側において突出部122A,122Bが形成されていない部分は、筒部123の端面123Aよりも窪んだ凹部124となっている。
【0059】
突出部122A,122Bは、筒部123の端面123Aよりもアイレット7側へ突出しており、先端ほど先細るように形成されている。筐体35のアイレット7側の端は、突出部122A,122Bの先端である。
突出部122A,122Bの先端部には、突出部122A,122Bを貫通する配線孔125A,125Bが形成されており、電気回路基板8から延びるリード線21A,21Bは、配線孔125A,125Bをそれぞれ通されて口金3側に延びている。配線孔125A,125Bは、平面視において、電気回路基板8に平行な絶縁筒部10の中心線上に配置されている。また、配線孔125A,125Bの端には拡径部129が形成されており、拡径部129では、リード線21A,21Bを屈曲させ易くなっている。
【0060】
袋部120の内面側には、板部121の中央部が残るように突出部122A,122Bが形成されることによって、板部121が発光部12側に突出した仕切り壁126が形成されており、この仕切り壁126によって、断面略円筒状の終端10A内の空間は略2等分されている。また、仕切り壁126は、絶縁筒部10の中心を通るとともに、電気回路基板8の板面に略直交する向きで配置されている。
図9に示すように、リード線21A,21Bは、電気回路基板8の下部において、仕切り壁126を跨いだ位置からそれぞれ引き出されている。
【0061】
突出部122A,122Bの内側面には、リード線21A,21Bを配線孔125A,125Bに導く一対の導入部127A,127Bが形成されている。導入部127A,127Bは、先端の配線孔125A,125B側にかけて先細る錐状(ロート状)の窪みであるため、リード線21A,21Bを確実に配線孔125A,125Bにガイドすることができる。また、終端10A内の空間は、仕切り壁126によって略2等分されて導入部127A,127Bによって占められており、リード線21A,21Bは必ず導入部127A,127Bに当たることになるため、リード線21A,21Bを確実に配線孔125A,125Bにガイドすることができる。
【0062】
組付けに際し、電気回路基板8は、挟持部116,116に沿って絶縁筒部10内をアイレット7側へ挿入されていき、これに伴い、電気回路基板8の下部のリード線21A,21Bは、仕切り壁126によって仕切られてリード線21A,21Bの下方に位置する導入部127A,127Bにそれぞれ当接し、導入部127A,127Bのロート形状にガイドされて配線孔125A,125Bに確実に導かれる。
【0063】
図4に示すように、配線孔125Aから引き出されたリード線21Aは、口金3の内部を通ってアイレット7に接続される。一方、配線孔125Bから引き出されたリード線21Bは、絶縁筒部10の終端10Aで外側に屈曲して絶縁筒部10の外側面に沿って延び、シェル5に接続される。
このように、リード線21Bを外側に屈曲させる手前にリード線21A,21Bを引き出す配線孔125A,125Bをそれぞれ設けていることから、リード線21A,21B同士が絡み、並びに、当該絡みによるリード線21A,21Bの短絡を防止できる。また、導入部127A,127Bを設けることで、リード線21A,21Bを簡単に配線孔125A,125Bに通すことができるため、配線孔125A,125Bの径を配線孔125A,125Bと略同程度として隙間がほとんど生じない構成とした場合でも、これらリード線21A,21Bを簡単に通すことができる。
【0064】
図11は絶縁筒部10の終端10Aの拡大図である。
絶縁筒部10の終端10Aの外周面には、シェル5の内周面が係合するねじ部33が形成されている。また、終端10Aの外周面には、絶縁筒部10の軸方向に延びる配線溝34が形成されており、この配線溝34はねじ部33の一部に彫り込まれるようにして設けられている。絶縁筒部10の内部から屈曲して外側に延びるリード線21Bは、配線溝34内に埋め込まれて筒状部2側に延びる。すなわち、絶縁筒部10にシェル5が取り付けられた状態では、リード線21Bはシェル5より内側の配線溝34を通り、シェル5の開口端の近傍でシェル5の外周面に接合される。配線溝34の端34Aは、筒部123の端面123Aに位置しており、突出部122A,122Bは、配線溝34の端34Aよりも外方のアイレット7側へ突出している。
また、リード線21Bが通る配線溝34は、絶縁筒部10の内部に繋がっており、絶縁筒部10の内部は配線孔125A,125Bを介して、アイレット7と筒状部2とが連通している。このため、配線溝34及び配線孔125A,125Bを介して筒状部2内に空気が出入りでき、これにより筒状部2内の結露が防止される。
【0065】
絶縁筒部10に口金3を取り付ける際には、シェル5を絶縁筒部10のねじ部33に係合させた状態で、このシェル5を絶縁筒部10の外周側からかしめて固定する。
絶縁筒部10の側面には、口金3のかしめの下穴56が一対設けられており、この下穴56の箇所で口金3のシェル5をかしめることで、下穴56に入り込むようにシェル5が変形することから、シェル5の変形量が大きくなりかしめ部の強度を高めることができる。
【0066】
LEDランプ1が下方を照らす下方点灯の状態で設置される場合、筐体35は、袋部120がその上面を構成する。本実施の形態では、下方点灯の状態において、袋部120が絶縁筒部10の端面123Aよりも上方に突出しており、配線孔125A,125Bが端面123Aよりも上方に位置しているため、筐体35の上面部に結露や雨等によって水が侵入したとしても、この水が配線孔125A,125Bから筐体35内に侵入することを防止できる。また、水の侵入量が多い場合には、水は、上面部の凹部124に溜まるが、端面123Aよりも配線孔125A,125Bが上方に位置するため、配線孔125A,125Bに水が侵入することを防止できる。
さらに、配線溝34の端34Aよりも配線孔125A,125Bが上方に位置するため、配線溝34を伝って筐体35の上面部に水が侵入したとしても、この水の配線孔125A,125Bへの侵入を防止できる。このため、配線溝34を介して筒状部2内に空気を出入り可能として筐体35内の結露を防止しつつ、配線孔125A,125Bから筐体35内に水が侵入することを防止できる。
【0067】
次に、LEDランプ1が高所に設置され、鉛直下方に配置された例えば看板や壁面、室内等の照射対象物を照らす、いわゆる下方点灯の状態で設置される場合に用いて好適なLEDランプ1の落下防止構造について説明する。
図12は、LEDランプ1の落下防止構造を示す図である。
図1〜図3、図5及び図12に示すように、LEDランプ1は、ハの字状フィン101に連結される一対の金属製のピン130,130と、ピン130に連結される一対の落下防止用ワイヤ131,131とを有し、各落下防止用ワイヤ131が、ランプホルダー60に固定される金属製のバンド133に接続されることで、LEDランプ1は落下防止用ワイヤ131を介してランプホルダー60に連結される。
なお、落下防止用ワイヤ131としては、LEDランプ1を支持する支持部材として機能するものであれば、棒状や紐状の任意の部材を用いることができる。
【0068】
図5に示すように、各ピン130は、振分フィン103を挟んで隣接する一対のハの字状フィン101の間に掛け渡されている。詳細には、ピン130は、互いに略平行に配置される放熱フィン25,25の間に、これら放熱フィン25,25の面に略直交するように挿通して掛け渡されている。このように、複数枚の放熱フィン25,25にピン130を連結したため、ピン130が強固に固定される。
上記放熱フィン25,25は、放熱フィン25,25がベース板13の径方向に延びる部分の中間部に支持孔134,134を有し、ピン130は、両端部が支持孔134,134に挿通されることで、放熱フィン25,25に取り付けられている。ピン130は、放熱フィン25の高さ方向の中間部に設けられ、振分フィン103の下方に位置している。
【0069】
ピン130は、一端の鍔部130Aを一方の放熱フィン25に付き当てるように支持孔134に挿通されるとともに、他方の放熱フィン25の支持孔134を貫通する他端に嵌め込まれる固定リング130Bによって放熱フィン25,25に固定される。本実施の形態では、放熱フィン25,25が互いに略平行に配置されているため、樹脂成型の後に、機械加工等によって支持孔134,134を放熱フィン25,25に簡単に形成できる。なお、支持孔134,134は、筐体35を樹脂成型する金型に設けた穴開け機構によって樹脂成型時に形成しても良く、この場合においても、放熱フィン25,25が互いに略平行であることで、容易に支持孔134,134を形成できる。
また、ピン130,130は、筒状部2を挟んで対向するよう位置に一対で設けられている。
落下防止用ワイヤ131は、ワイヤの両端を屈曲させてリング状に形成した部分をかしめ部131Dでかしめて構成されており、ピン130に引っ掛けられるピン連結部131Aを一端に有し、バンド133に連結されるバンド連結部131Bを他端に有している。ピン連結部131Aは、上記リング状の部分に、ピン130に引っ掛けられるフック131Cを有している。
【0070】
図13は、バンド133を示す図であり、(A)は平面図であり、(B)は落下防止用ワイヤ131が取り付けられた状態を示す斜視図である。
図13に示すように、バンド133は、帯状の板を円環状に曲げて形成されたC型リング部135と、C型リング部135の開放端に設けられた調整部136と、C型リング部135の外周面に突出して形成された一対のワイヤ連結部137,137とを有している。
調整部136は、C型リング部135の一端に形成されたナット部136Aと、C型リング部135の他端に形成された孔部136Bと、ナット部136Aに螺合されるボルト136Cとを有している。バンド133は、孔部136Bに挿通されたボルト136Cをナット部136Aに締め込むことで、C型リング部135の径を変更可能であり、これにより、バンド133のランプホルダー60に対する緊縛力を調整することができる。
【0071】
ワイヤ連結部137,137には、落下防止用ワイヤ131のバンド連結部131Bが連結される孔137Aがそれぞれ形成されており、落下防止用ワイヤ131はワイヤ連結部137,137を中心にして回動可能である。ワイヤ連結部137,137は、ピン130,130に対応して、互いに対向する位置に設けられている。また、ワイヤ連結部137,137は、落下防止用ワイヤ131をピン130に連結した状態で、各落下防止用ワイヤ131がLEDランプ1の軸線に略平行となる位置に設けられている。
【0072】
バンド133は、ランプホルダー60の先端60B近傍の外周面に設けられたバンド巻き付け部60Cに巻き付けられて固定される。バンド巻き付け部60Cの先端60B側には、外側に突出する段部60Dが形成されており、バンド133がランプホルダー60から抜ける方向に移動する際には、段部60Dに当接することで、バンド133はランプホルダー60の軸方向に抜け止めされる。
【0073】
LEDランプ1をランプホルダー60に取り付ける際には、まず、各落下防止用ワイヤ131のフック131CをLEDランプ1のピン130,130に連結してバンド133をLEDランプ1に接続する。次いで、バンド133を広げた状態にしてランプホルダー60に通しながら、LEDランプ1を口金3側からランプホルダー60に挿入し、バンド133をランプホルダー60のバンド巻き付け部60Cに仮止めする。この状態では、バンド133は、調整部136によって緊縛力が緩められており、ランプホルダー60の外周面上で回転可能であり、かつ、ランプホルダー60から外れない径になっている。
次いで、LEDランプ1を回転させることで、LEDランプ1の口金3をソケット65に螺合させる。この際、バンド133は、LEDランプ1とともに回転する。このように、LEDランプ1を落下防止用ワイヤ131及びバンド133を介してランプホルダー60に接続した状態でLEDランプ1を螺合させていくため、LEDランプ1をランプホルダー60に取り付ける際に、LEDランプ1が落下することを抑制できる。また、LEDランプ1をランプホルダー60から外す場合も、バンド133を緩めた状態でLEDランプ1を回転させることで、LEDランプ1の落下を抑制できる。
【0074】
LEDランプ1をソケット65に螺合させた後、調整部136によってバンド133を完全に締め込むことで、バンド133をランプホルダー60のバンド巻き付け部60Cの所定の位置に固定する。これにより、LEDランプ1は、一対の落下防止用ワイヤ131,131を介してランプホルダー60に固定され、落下を防止される。すなわち、口金3とソケット65との係合が、何らかの理由によって解除されたとしても、LEDランプ1は落下防止用ワイヤ131,131によってランプホルダー60に固定されているため、落下を防止される。
【0075】
また、バンド133を固定する位置を調整されることで、落下防止用ワイヤ131,131には、環状防水パッキン70をハの字状フィン101とランプホルダー60の先端60Bとの間で圧縮する張力が付与されている。このため、振動が作用したとしても、環状防水パッキン70とランプホルダー60との間に隙間ができることを防止でき、防水性を向上できる。
さらに、LEDランプ1の重量は、落下防止用ワイヤ131,131及びソケット65に分担されており、ソケット65に作用する荷重が低減されているため、振動等が作用した際等に、ソケット65が変形したり破損したりすることを防止できる。
また、筒状部2を挟んで対向する落下防止用ワイヤ131,131によってLEDランプ1を支持するため、口金3とソケット65との係合が解除されたとしても、LEDランプ1がランプホルダー60から外れることを防止できる。例えば、一本の落下防止用ワイヤ131のみでLEDランプ1を支持する構成とした場合、LEDランプ1の落下は防止できるが、ピン130を軸に落下防止用ワイヤ131及びLEDランプ1が回動してLEDランプ1がランプホルダー60から外れてしまうことが考えられる。
なお、本実施の形態では、落下防止用ワイヤ131は一対で設けられるものとして説明したが、LEDランプ1の重量や想定される荷重等に応じて、落下防止用ワイヤ131を一本のみ設け、一本の落下防止用ワイヤ131でLEDランプ1を支持する構成としても良い。
【0076】
また、本実施形態では、連結部材として、二枚の放熱フィン25,25の間に掛け渡されるピン130を例に挙げて説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、連結部材は、二つ以上の放熱フィン25の間に掛け渡される構成であっても良い。例えば、筒状部2の回りを一周し、全て(12枚)の放熱フィン25に設けられた支持孔134に挿通されるリング状の連結部材を設け、この連結部材に落下防止用ワイヤ131を接続しても良い。
また連結部材に棒状のピン130ではなく、紐状のワイヤを用いても良い。
【0077】
さらに、バンド133を用いて落下防止用ワイヤ131をランプホルダー60に取り付ける構成に限らず、紐状の落下防止用ワイヤ131の一端側をランプホルダー60に巻き付ける等して固定し、他端をLEDランプ1のピン130などに固定して落下防止を行っても良い。
【0078】
ここで、LEDランプ1は、通常の白熱電球等と比較して重くなるため、ソケット65と口金3への荷重が大きくなる。このため、白熱電球用に設計されている既設のソケット65を備えるランプホルダー60にLEDランプ1を装着して使用した場合、例えば道路を走行する自動車等の振動が加わり、その影響がソケット65や口金3に蓄積すると、これらソケット65や口金3などが破損し、ランプホルダー60から抜け落ちる可能性が高くなる。
【0079】
本実施形態では、上述の通り、ランプホルダー60から延びる2本の落下防止用ワイヤ131を、LEDランプ1のピン130,130の2箇所に接続しているため、LEDランプ1がソケット65から脱落しても、ランプホルダー60からの落下は防止される。
しかしながら、上述の通り、LEDランプ1は、発熱電球等に比べて自重が重いため、ソケット65から脱落しLEDランプ1が落下防止用ワイヤ131で宙吊りになった際に大きく振られた場合には、例えば看板等の被照射物に衝突することで大きな衝撃を受け、この衝撃によって破損する虞がある。
そこで、本実施形態では、LEDランプ1がソケット65から脱落した際のLEDランプ1の振れ幅を抑えるべく、ピン130を支持する支持孔134を、発光部12から口金3の間で、自重重心位置Gxより口金3に近い位置に設ける構成としている。
【0080】
図14はLEDランプ1の自重重心位置Gxと、支持孔134との位置関係を模式的に示す図であり、図14(A)は設置状態を示し、図14(B)は脱落状態を示す。
自重重心位置Gxは、LEDランプ1の自重の重心位置である。ただし、LEDランプ1の自重としては、ソケット65からの脱落時に、例えば環状防水パッキン70等のようにLEDランプ1に装着された状態となる付属品がある場合、当該付属品を含めた重さが自重に用いられる。
【0081】
LEDランプ1を下方点灯状態で使用するときには、図14(A)に示すように、LEDランプ1が発光部12を鉛直下方に向け、口金3が発光部12よりも鉛直上方に位置する姿勢で口金3がソケット65に装着されて設置される。
この設置状態において、図14(B)に示すように、口金3がソケット65から抜けた場合、LEDランプ1は落下防止用ワイヤ131が接続される支持孔134の鉛直直下に自重重心位置Gxが位置するように当該支持孔134を支点として回動する。
本実施形態のLEDランプ1では、自重重心位置Gxよりも口金3に近い位置に支持孔134が設けられており、設置状態においては、自重重心位置Gxが支持孔134よりも鉛直下側に既に位置するため、脱落時のLEDランプ1の回動は、この自重重心位置Gxと支持孔134の水平方向のズレ分程度となり、この回動に伴うLEDランプ1の振れ幅を比較的小さく抑えられる。
【0082】
これに対し、図15(A)に示すように、支持孔134が自重重心位置Gxよりも発光部12に近い位置に配置した参考構成のLEDランプ1の場合、ソケット65から口金3が抜けると、図15(B)に示すように、支持孔134の鉛直上側に位置していた自重重心位置Gxが支持孔134の鉛直直下に移動するように、支持孔134を支点として大きく回動し、この回動に伴いLEDランプ1の振れ幅が比較的大きなものとなる。
【0083】
すなわち、本実施形態のように、自重重心位置Gxよりも口金3に近い位置に支持孔134を設けることで、ソケット65から口金3が抜けたときのLEDランプ1の回動の量を小さくできるから、LEDランプ1の振れ幅を比較的小さく抑えられる。
この結果、LEDランプ1が緩んでソケット65から仮に抜けて脱落したとしても、落下時の振れ幅が小さいことから看板等の被照射物との衝突を避け、また衝突したとしても、そのときの衝撃を抑えることができるので、LEDランプ1の破損を防止できる。
【0084】
このように、支持孔134に加わる衝撃が抑えられることから、LEDランプ1の筐体35に金属材よりも強度が低くなり易い樹脂材を用いることで軽量化を図りつつ、この筐体35に、落下防止用ワイヤ131の接続部(本実施形態では、支持孔134)を一体に形成した場合でも、その接続部の破損を防止できる。
【0085】
また、本実施形態では、放熱フィン25に支持孔134を設けたときに、当該支持孔134が自重重心位置Gxよりも口金3の側に位置するようにすべく、支持孔134よりも発光部12側に自重重心位置Gxが位置するように重量バランスが設計されている。
これにより、放熱フィン25に支持孔134を配設することができ、LEDランプ1をランプホルダー60に装着して使用したときに、支持孔134がランプホルダー60の中に入り込む事が無く、落下防止用ワイヤ131を簡単に接続することができる。
【0086】
なお、本実施形態では、落下防止用ワイヤ131の接続部として放熱フィン25に設けた支持孔134を例示したが、これに限らず、落下防止用ワイヤ131が接続可能な構造であれば、任意の構造を用いることができる。
また落下防止用ワイヤ131としては、建物やランプホルダー60などの安定した箇所に一端が接続固定されてLEDランプ1を支持する支持部材であれば、棒状や紐状の任意の部材を用いることができる。
【0087】
次いで、グローブ22のベース板13への取付構造について説明する。
グローブ22の取付構造としては、ベース板13に螺合させて取り付ける螺合構造が一般的に用いられている。しかしながら、螺合構造においては、グローブ22の取付時にグローブ22が何回転も回ることから、この回転によってOリング26のよじれによる歪みが生じ、シール性が低下する、といった問題がある。
そこで本実施形態では、グローブ22の取付構造を螺合構造ではなく、突起と溝の係合構造とすることで、グローブ22の取り付けに伴うOリング26の歪みを抑えることとしている。
【0088】
図16は、ベース板13の断面視図である。
この図16、及び前掲図1に示すように、ベース板13は側壁19を有するトレー状に形成されており、この側壁19の内周面には、全周に亘って1段の段部200が形成されている。段部200は、側壁19の下端19Bの側を上端19Aの側よりも内側に突出させて厚く形成したものであり、段部200の下端19Bの側の周面である下段周面200Aには、複数の案内保持溝201が形成されている。
一方、グローブ22は、前掲図3に示すように、縁部22Aが略筒状に垂直に延び、この縁部22Aの外周面には、外方に突出する複数の突起202が設けられている。グローブ22をベース板13に取り付ける際には、グローブ22の縁部22Aの突起202を、ベース板13の側壁19の案内保持溝201に係合させて保持させる。
【0089】
より具体的には、案内保持溝201は、図16に示すように、導入溝201Aと、保持溝201Bとを備える。導入溝201Aは、グローブ22の突起202を上端19Aの側から導入する溝であり、段部200の下段周面200Aに縦溝を設けて成る。また保持溝201Bは、この導入溝201Aに連続し、緩やかに下方に傾斜しながら周方向Xsに延びる横溝である。
グローブ22の突起202を案内保持溝201の導入溝201Aに入れて案内保持溝201に導入し、そして、グローブ22を回動させると、突起202が保持溝201Bに沿って緩やかに下方に案内されて、グローブ22がベース板13の側に押し込まれることとなる。
【0090】
グローブ22の縁部22Aには、図17に示すように、突起202の上方にフランジ203が形成されており、グローブ22の突起202が案内保持溝201に案内されてベース板13に押し込まれると、フランジ203が側壁19の上端19Aに当接し、押し込み不能となり、グローブ22がベース板13に保持される。
【0091】
また、グローブ22とベース板13の間には、上述の通り、これらの間の隙間からの水の浸入を防止するシール部材の一例としてのOリング26が設けられている。このOリング26は、ベース板13の段部200ではなく、グローブ22の縁部22Aの外周面(側壁19との対向面)に装着されている。具体的には、グローブ22のフランジ203の下方には、縁部22Aの全周に亘ってOリング係合突起204が設けられている。これらフランジ203とOリング係合突起204とによって、Oリング嵌込溝205が形成され、このOリング嵌込溝205にOリング26が嵌め込まれて装着される。
Oリング嵌込溝205に装着されたOリング26は、グローブ22をベース板13に取り付ける際に、ベース板13の側壁19の内周面とOリング嵌込溝205との間で押圧されて、グローブ22とベース板13の間をシールすることとなる。
また、本実施形態では、図示を省略するが、Oリング26とベース板13の側壁19の間に全周に亘ってコーキング剤を注入し、二重シール構造を構成している。また、コーキング剤を注入することで、案内保持溝201の導入溝201Aが封止され、導入溝201Aによって上面視で段部200に生じた穴が塞がられる。これにより、グローブ22が万が一緩んだとしても、突起202の出口である導入溝201Aは塞がれているので、グローブ22の落下を防ぐことができる。
【0092】
さて、かかるシール構造においては、グローブ22を回動しながらベース板13に取り付ける際、Oリング26がベース板13の側壁19によって摺擦されることから、グローブ22を取り付ける際の回転量が大きいと、側壁19からの摺擦によってOリング26によじれて歪みが発生し易くなる。
そこで本実施形態では、図16に示すように、上記案内保持溝201の保持溝201Bの周方向Xsに延びる長さLhを、下段周面200Aの全周よりも小さく、少なくとも半周より短く、より好ましくは、保持溝201Bの案内によるグローブ22の回動時の回動角が30度となるようにしている。これにより、螺合によってグローブ22を取り付ける構造に比べ、グローブ22を取り付ける際の回動量が保持溝201Bの周方向Xsの長さLhを限度に抑えられることから、Oリング26の歪みを減らし、防水性能の低下を防止できる。
【0093】
図18は、グローブ22をベース板13に螺合して取り付ける構造の参考構成図である。
この図に示すように、グローブ22の螺合構造としては、ベース板13の側壁19に段部200を形成し、この段部200の下段周面200Aにネジ溝210を形成して、グローブ22の縁部22Aを螺合する構造が有り得る。またOリング26を用いたシール構造としては、同図に示すように、段部200の上端面200BにOリング26を載置し、グローブ22のフランジ203で押圧してシールする構造が考えられる。
【0094】
しかしながら、グローブ22とベース板13の段部200の間でOリング26を挟むことから、グローブ22の螺合が緩み若干でもベース板13に対して上方に移動した場合には、グローブ22によるOリング26の押圧力が弱まり、防水性能が低下してしまう。
これに対して本実施形態では、Oリング26を、グローブ22の縁部22AのOリング嵌込溝205とベース板13の側壁19の間で挟み込んでいるため、グローブ22がベース板13に対して上方に移動したとしても、グローブ22の縁部22AのOリング嵌込溝205とベース板13の側壁19の間の隙間に大きな変化は無くOリング26の押圧力が維持されることから、シール性が弱まることが無い。
【0095】
また、グローブ22の突起202は、図18の螺合構造におけるネジ山と比較すると強度が劣るものの、グローブ22の取付状態においては、Oリング26による反発力は、グローブ22の縁部22AのOリング嵌込溝205とベース板13の側壁19の間に作用し、グローブ22のフランジ203を側壁19の段部200から押し上げる方向に作用することが無いから、Oリング26の反発力が突起202の負荷となるこがなく損傷を防止できる。
【0096】
さらに、図18の螺合構造においては、下段周面200Aにネジ溝210を設けることから、このネジ溝210のネジ山210Aの分だけ下段周面200Aが内側に突出して側壁19の厚みが増してしまう。これに加え、ネジ溝210の各溝の強度を維持するためには、ネジ山210Aの高さ方向を大きくして溝の間の厚みを増す必要があるから、側壁19の高さも高くなる。
このように、螺合構造においては、側壁19が厚く、また高くなることから体積が増え、筐体35の重量増加を招き、従来のガラス球のランプとの重量差が大きくなってしまう。また側壁19が高いことから、LED15から放射された光212の遮光量も多くなり、器具効率の低下を招いてしまう。
【0097】
これに対して、本実施形態では、側壁19にネジ溝210を設ける必要がないことから、側壁19の厚み、及び高さが抑えられ、筐体35の軽量化が図れるとともに、LED15の光の遮光量も小さくして、器具効率が高められる。
また、前掲図17に示すように、本実施形態では、グローブ22の縁部22Aの内周面に反射面215が設けられており、LED15から側壁19に入射する光212を反射することで、更に器具効率が高められている。
【0098】
なお、本実施形態では、グローブ22とベース板13の間をシールするシール部材にOリング26を用いているが、他の形状のパッキン部材等をシール部材として用いても良い。
【0099】
ところで、本実施形態のLEDランプ1は、前掲図1に示したランプホルダー60に装着して使用するだけではなく、露出状態のソケット65に装着して使用することもできる。ソケット65が屋外に設置されている場合には、ソケット65内部への水の浸入を防止するために、図19に示すように、略筒状の防水パッキン230で、ソケット65と口金3の装着部分Bxが覆われ、ソケット65の開口65Aからの水の浸入が防止されている。
さらに、防水パッキン230は可撓性を有し、LEDランプ1の筒状部2とソケット65を締め付けることから、LEDランプ1をソケット65に繋ぎ止めて脱落を防止する機能を有する。特に、本実施形態の防水パッキン230は、ソケット65に装着される側の胴部分であるソケット装着胴部238が当該ソケット65を強固に締め付けるように縮径し、これにより、防水パッキン230がソケット65に強固に結合されている。
【0100】
しかしながら、このLEDランプ1の筒状部2の外周面は、口金3に向けて細くなるテーパ面形状に形成されている。したがって、何ら対策を施さなければ、LEDランプ1とソケット65の螺合が緩み始めると、防水パッキン230とLEDランプ1の筒状部2との密着が悪くなり防水性が劣化する、という問題がある。さらに、LEDランプ1とソケット65の螺合が緩み始めると、防水パッキン230によるLEDランプ1の筒状部2の締め付けも弱くなることから、LEDランプ1のソケット65からの脱落防止機能が弱くなる。
【0101】
特に、このLEDランプ1は、比較的高出力であることから、屋外での看板照明やライトアップ照明の使用に適することから、近くの道路を走行する自動車等の振動を受け易く、この振動により、LEDランプ1とソケット65の螺合が緩み始めることがある。
また、看板等の被照射対象よりも高い位置に、口金3が発光部12よりも上になる姿勢で配置して被照射対象物を上方から照明する場合には、LEDランプ1の自重によってソケット65から脱落する方向に常に力が加わることから、一旦緩み始めると、そのまま脱落に至ることもある。
【0102】
そこで本実施形態にあっては、図19に示すように、筒状部2の外周面の口金3よりも上方の位置に、全周に亘って、防水パッキン230の上縁部230Aを係合させる係合構造部としての凸部232を設けるとともに、防水パッキン230の上縁部230Aの内周面には、凸部232と係合する凹部234を全周に亘って設けている。
これにより、LEDランプ1とソケット65の螺合が緩んだとしても、防水パッキン230の上縁部230Aが係合構造部としての凸部232に係合し続けることから、防水性が劣化することがない。またLEDランプ1がソケット65から脱落するには、防水パッキン230の上縁部230Aの凹部234を筒状部2の凸部232が乗り越える必要があるため、LEDランプ1の脱落抑制機能も得られ続ける。
【0103】
これに加え、筒状部2の凸部232と、防水パッキン230の凹部234とによって両者を係合させることから、凹凸の噛み合いによるシール性が得られ、防水パッキン230の上縁部230Aからの水の浸入を抑制できる。
さらに、防水パッキン230の内周面には、全周に亘って複数の凸部236が設けられており、これらの凸部236によっても、シール性が高められ、また防水パッキン230と筒状部2の間の摩擦力が高められることで一層の脱落抑制効果が得られるようになっている。
【0104】
なお、筒状部2には、凸部232の代わりに係合構造部として凹部を設け、防水パッキン230の上縁部230Aに凸部を設けて、これらを係合させる構成としても良い。
また、LEDランプ1を屋内で使用する場合には、防水パッキン230のように必ずしも防水性を有するパッキンを用いる必要はなく、LEDランプ1の筒状部2に装着され当該筒状部2を締め付ける筒状部材であり、当該筒状部2をソケット65に繋ぎ止める構造を備えるものであれば、任意の部材を用いることができる。
【0105】
以上説明したように、本実施形態によれば、次のような効果を奏する。
【0106】
すなわち、本実施形態によれば、グローブ22の縁部22Aの外周面には、全周に亘ってベース板13の側壁19との間で押圧されるOリング26を設けつつ、当該Oリング26の下方の位置に突起202を設け、ベース板13の側壁19の内周面には、グローブ22の突起202を上端19A側から導入し周方向に案内してグローブを保持する案内保持溝201を設ける構成とした。
この構成により、特に螺合によってグローブを取り付ける構造に比べ、グローブ22を取り付ける際の回動量を案内保持溝201による周方向の案内量程度に抑えられるから、グローブ取付時のシール部材の歪みを減らし、防水性能の低下を防止できる。
【0107】
また本実施形態によれば、グローブ22の縁部22Aの外周面には、全周に亘って設けたOリング嵌込溝205にOリング26を嵌め込み、ベース板13の側壁19の内周面とOリング嵌込溝205との間でOリング26を押圧してシールする構成とした。
この構成によれば、グローブ22がベース板13に対して上方に移動したとしても、グローブ22の縁部22AのOリング嵌込溝205とベース板13の側壁19の間の隙間に大きな変化は無くOリング26の押圧力が維持されることから、シール性が弱まることが無い。
また、Oリング26による反発力は、グローブ22の縁部22AのOリング嵌込溝205とベース板13の側壁19の間に作用し、グローブ22のフランジ203を側壁19の段部200から押し上げる方向に作用することが無いから、Oリング26の反発力が突起202の負荷となるこがなく損傷を防止できる。
【0108】
また本実施形態によれば、グローブ22の縁部22Aの内周面に、LED15から側壁19に入射する光212を反射する反射面215を設ける構成としたため、側壁19で遮光される光を照明に利用することができ器具効率が高められる。
【0109】
また本実施形態によれば、LED15を実装したLED基板16を載置したベース板13の裏面13Aに、筒状部2を中心に放射状に、筒状部2と隙間Sを空けて当該筒状部2に沿って延びる複数の放熱フィン25を設け、隣り合う2つの放熱フィン25の筒状部2側の端部同士を連結し、筒状部2との間に気流経路Fを形成する連結部105を設ける構成とした。これにより、気流経路Fを通る空気によって筒状部2の外周面を空冷することができ、筒状部の内部に収められた電気回路基板8を冷却することができる。
【0110】
特に、電気回路基板8の発熱部品8Xと筒状部2との間に、発熱部品8Xの熱を筒状部2に伝える熱伝導部材29Dを設けているため、電気回路基板8の発熱部品8Xの熱を効率良く冷却し、回路を安定動作させることができる。
【0111】
また本実施形態によれば、連結部105により連結されている放熱フィン25の組であるハの字状フィン101と他のハの字状フィン101との間に、気流を各ハの字状フィン101に分ける振分フィン103を設ける構成とした。
この構成によれば、振分フィン103でハの字状フィン101同士の間を通る気流が振り分けられることで、筒状部2の外周面での冷却ムラが生じ難くなり、均一に冷却できる。
【0112】
また本実施形態によれば、上記ハの字状フィン101を構成する放熱フィン25の間に、ベース板13の裏面13Aからの長さが放熱フィン25よりも短い短放熱フィン102を設ける構成とした。
この構成によれば、ベース板13の放熱性が補助され、より高出力のLED15が搭載可能になるとともに、長さが放熱フィン25よりも短く形成されているため、ハの字状フィン101内での空気の流通が阻害されることがなく、主たる放熱を担うハの字状フィン101の冷却性能を阻害する事がない。
【0113】
また本実施形態によれば、ベース板13の裏面13Aに、当該裏面13Aからの長さが短放熱フィン102よりも短く、かつ筒状部2の周りを囲む環状の複数の環状放熱フィンとしての外側環状フィン106、及び内側環状フィン107を設ける構成とした。
この構成によれば、外側環状フィン106、及び内側環状フィン107によって、ハの字状フィン101の内やハの字状フィン101同士の間の気流にランダム性が生じて滞留時間が長くなることから冷却性能が高められる。
【0114】
また実施形態によれば、LED15が取り付けられるベース板13とベース板13の裏面13Aに形成される複数の放熱フィン25とを樹脂で一体成形し、ベース板13及び放熱フィン25の厚さをベース板13の内周から外周に向けて漸次薄くなるよう形成することで、内周側の厚みのあるベース板13では放熱フィン25も厚くなり、外周側の薄いベース板13では放熱フィン25も薄くなるため、ベース板13の裏面13Aの放熱フィン25のフィン根元部25Bでの樹脂のヒケの発生を抑制でき、ベース板13の平面度を向上して効率良く放熱することができる。また、ベース板13の内周側では、厚みのあるベース板13の及び厚みのある放熱フィン25によって放熱フィン25の強度を確保できるとともに、外周側では、薄いベース板13及び薄い放熱フィン25によって放熱性を向上できる。
【0115】
また、本実施形態によれば、LED15は、ベース板13の内周側の内周側発光部15Bよりも外周側の外周側発光部15Aに多く取り付けられており、外周側の発熱量が大きくなるが、外周側のベース板13及びベース板13が薄く形成されており、ベース板13の外周側の熱抵抗が小さいため、効率良く放熱することができる。
また、本実施形態によれば、放熱フィン25の軸方向の長さを、ベース板13の内周から外周に向けて漸次短くなるよう形成するため、放熱フィン25に作用する曲げモーメントは、ベース板13の内周側ほど大きく外周側ほど小さくなるが、ベース板13及び放熱フィン25の厚さが内周から外周に向けて漸次薄くなるよう形成されており、ベース板13及び放熱フィン25を薄くできるため、放熱フィン25の強度及び放熱性を両立できる。
さらに、本実施形態によれば、放熱フィン25の厚さを、ベース板13の裏面13Aから口金3側に向けて漸次薄くなるよう形成したため、放熱フィン25の斜面が離型の際の抜きテーパとして機能し、ベース板13及び放熱フィン25の樹脂成型が容易になる。
【0116】
また、本実施形態によれば、LED15から延びるリード線21A,21Bが接続される口金3を先端に備えた絶縁筒部10の先端を袋部120とし、先端の外周に口金3が係止するねじ部33を有する終端10Aを備え、終端10Aの端面123Aよりも外方の上方に先端の袋部120を突出させ、袋部120の突出部122A,122Bにリード線21A,21Bが貫通する配線孔125A,125Bを備えたため、終端10Aの近傍に結露等の水が付着したとしても、この水は端面123Aよりも外方に突出した突出部122A,122Bの配線孔125A,125Bには入り難いため、配線孔125A,125BからLEDランプ1の筐体35内に水が侵入することを防止できる。
【0117】
また、本実施形態によれば、袋部120の内面には、一対のリード線21A,21Bを配線孔125A,125Bに導く一対の導入部127A,127Bが形成され、導入部127A,127Bは、袋部120の内面を2分割する仕切り壁126によって仕切られているため、仕切り壁126によって袋部120の内面を2分割して形成された一対の導入部127A,127Bによって導入部127A,127Bを対応する配線孔125A,125Bに確実にガイドでき、リード線21A,21Bの組付け性を向上できる。
【0118】
また、本実施形態によれば、導入部127A,127Bは、配線孔125A,125Bに向かって先細る錐状の窪みであるため、リード線21A,21Bを錐形状に沿わせるようにして、簡単に配線孔125A,125Bに通すことができる。
さらに、終端10Aの外周面には、配線孔125Bを通って外側に引き出されたリード線21Bが嵌め込まれる配線溝34が形成され、袋部120は、配線溝34よりも外方の上方に突出しているため、配線溝34の近傍の水が袋部120の配線孔125A,125BからLEDランプ1の筐体35内に侵入することを抑制できる。
【0119】
また、本実施形態によれば、ベース板13に形成される複数の放熱フィン25を備え、二つの放熱フィン25,25の間にピン130を掛け渡し、ピン130に落下防止用ワイヤ131を接続したため、放熱フィン25,25の間にピン130を掛け渡す簡単な構造で落下防止用ワイヤ131を接続できるとともに、二つの放熱フィン25,25の間にピン130を設けるため、ピン130を強固に放熱フィン25,25に設けることができ、確実にLEDランプ1の落下を防止できる。また、ピン130を固定するための専用の部材を設ける必要がない。
【0120】
また、本実施形態によれば、ピン130が掛け渡される放熱フィン25,25は、互いに略平行に設けられ、ピン130は、略平行な放熱フィン25,25に形成された支持孔134,134に支持され、略平行な放熱フィン25,25には支持孔134,134を容易に形成できるため、ピン130を放熱フィン25,25に簡単に設けることができる。
【0121】
また、本実施形態によれば、落下防止用ワイヤ131は、LEDランプ1を支持するランプホルダー60の外周面に巻き付けられるバンド133に連結されるため、バンド133をランプホルダー60の外周面に巻き付けて、このバンド133に落下防止用ワイヤ131を接続する簡単な構成で、LEDランプ1の落下を防止できる。また、バンド133をランプホルダー60に巻き付けるため、種々の形状のランプホルダーに対応できる。
さらに、LEDランプ1は、回転されることでランプホルダー60のソケット65に螺合され、バンド133は、バンド133の緊縛力を調整可能な調整部136を有し、緊縛力を緩めておくことで、バンド133は、ランプホルダー60の外周面上で回転可能であるため、落下防止用ワイヤ131を接続するとともに、バンド133をわずかに緩めてランプホルダー60の外周面上で回転可能とし、この状態でLEDランプ1を回転させてLEDランプ1の着脱作業を行うことができるため、着脱作業中のLEDランプ1の落下を防止できる。
【0122】
また本実施形態によれば、筒状部2の外周面には、筒状部2をソケット65に繋ぎ止める機能を有した筒状部材たる防水パッキン230と係合する構造を有した係合構造部としての凸部232を備える構成とした。
これにより、LEDランプ1とソケット65の螺合が緩んだとしても、防水パッキン230の上縁部230Aが防水パッキン係合部たる凸部232に係合し続けることから、防水性が劣化することがなく、また防水パッキン230の上縁部230Aと防水パッキン係合部たる凸部232の係合によって、LEDランプ1の脱落抑制効果も損なわれることがない。
【0123】
また本実施形態によれば、筒状部2の全周に亘り、防水パッキン230の上縁部230Aと係合する凸部232によって防水パッキン係合部を構成したため、この筒状部2の凸部232と防水パッキン230との噛み合いによってシール性が得られ、防水パッキン230の上縁部230Aからの水の浸入を抑制できる。
【0124】
また本実施形態によれば、防水パッキン230の内周面には、全周に亘る凸部236を有する構成としたため、防水性をより高めることができる。
【0125】
また本実施形態によれば、落下防止用ワイヤ131が接続される接続部としての支持孔134を、発光部12から口金3の間で、自重重心位置Gxより口金3に近い位置に設ける構成とした。
この構成により、口金3を発光部12よりも鉛直上方に配し、下方を照らす姿勢でLEDランプ1をソケット65に装着した状態において、ソケット65からLEDランプ1が脱落した場合でも、支持孔134よりも自重重心位置Gxが既に鉛直下方にあるため、脱落に伴うLEDランプ1の回動量を小さくでき当該回動によるLEDランプ1の振れ幅を小さくすることができ、LEDランプ1の近傍に在る例えば被照射物の看板等への衝突を避け、また衝突したとしても、そのときの衝撃を抑えることができる。
【0126】
また、本実施形態では、放熱フィン25に支持孔134を設けたため、LEDランプ1をランプホルダー60に装着して使用したときに、支持孔134がランプホルダー60の中に入り込む事が無く、落下防止用ワイヤ131を簡単に接続することができる。
【0127】
なお、上述した実施形態は、あくまでも本発明の一態様を示すものであり、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で任意に変形及び応用が可能である。
【符号の説明】
【0128】
1 LEDランプ(ランプ)
2 筒状部
3 口金
10A 終端(係止部)
13 ベース板(発光素子取付け部)
15 LED(発光素子)
21A,21B リード線
120 袋部
122A,122B 突出部(突出させた封止部)
125A,125B 配線孔(貫通孔)
126 仕切り壁
127A,127B 導入部
【技術分野】
【0001】
本発明は、発光素子取付け部から延び先端に口金が設けられた筒状部を備え、複数の発光素子に電気を供給するリード線を筒状部の内部を通して口金に接続したランプに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、LED等の発光素子を備えたランプでは、光源を点灯させるための基板を筒状の絶縁部材内に収容し、絶縁部材の端に設けられる口金に、上記基板から延びるリード線を接続する構成が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第4569465号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記のようなランプでは、結露等によって発生した水が、口金の近傍において上記リード線が通る部分等からランプの内部に侵入してしまうことが考えられる。
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、口金の近傍からランプ内に水が侵入することを防止できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために、本発明は、複数の発光素子が取付けられる発光素子取付け部と、前記発光素子取付け部から延び先端に口金が設けられた筒状部と、を備え、複数の前記発光素子に電気を供給するリード線を前記筒状部の内部を通して前記口金に接続したランプにおいて、前記筒状部の先端を袋部とし、前記先端の外周に前記口金が係止する係止部を備え、前記係止部よりも外方に前記先端の袋部を突出させ、前記突出させた袋部に前記リード線が貫通する貫通孔を備えたことを特徴とする。
【0006】
また、前記貫通孔は一対で設けられ、前記袋部の内面には、一対の前記リード線を前記各貫通孔に導く一対の導入部が形成され、当該導入部は、前記内面を2分割する仕切り壁によって仕切られている構成としても良い。
また、一対の前記導入部は、前記貫通孔に向かって先細る錐状の窪みである構成としても良い。
さらに、前記係止部の外周面には、前記貫通孔を通って外側に引き出された前記リード線が嵌め込まれる溝部が形成され、前記袋部は、前記溝部よりも外方に突出している構成としても良い。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、発光素子取付け部から延び先端に口金が設けられた筒状部の先端を袋部とし、先端の外周に口金が係止する係止部を備え、係止部よりも外方に先端の袋部を突出させ、突出させた袋部に記リード線が貫通する貫通孔を備えたため、係止部の近傍に結露等の水が付着したとしても、この水は係止部よりも外方に突出した突出部の貫通孔には入り難いため、リード線用の貫通孔からランプ内に水が侵入することを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の実施形態に係るLEDランプを備えたLEDランプ装置を示す図である。
【図2】LEDランプの外観構成を示す図であり、(A)は平面図、(B)は側面図、(C)は底面図である。
【図3】LEDランプを分解して示す上方斜視図である。
【図4】図2(C)のIV−IV線における断面図である。
【図5】環状防水パッキンを外した状態のLEDランプの底面図である。
【図6】図5のVI−VI断面図である。
【図7】図5のVII−VII断面図である。
【図8】ハの字状フィンの一部を拡大した平面図である。
【図9】筐体をベース板側から見た平面図である。
【図10】図9のX−X断面図である。
【図11】絶縁筒部の終端の拡大図である。
【図12】LEDランプの落下防止構造を示す図である。
【図13】バンドを示す図であり、(A)は平面図であり、(B)は落下防止用ワイヤが取り付けられた状態を示す斜視図である。
【図14】LEDランプの自重重心位置と、支持孔との位置関係を模式的に示す図であり、(A)は設置状態を示し、(B)は脱落状態を示す。
【図15】参考構成のLEDランプの自重重心位置と、支持孔との位置関係を模式的に示す図であり、(A)は設置状態を示し、(B)は脱落状態を示す。
【図16】ベース板の断面視図である。
【図17】グローブとベース板の係合部分を拡大して示す図である。
【図18】グローブをベース板に螺合して取り付ける構造の参考構成図である。
【図19】露出したソケットへのLEDランプの装着部分を拡大して示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照して本発明の実施形態について説明する。
なお、以下の実施形態では、発光素子を光源に備えるランプとして、LEDを光源に備えたLEDランプを例示するが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば有機EL等の他の発光素子を光源に備えるランプにも適用可能である。
【0010】
図1は、本実施形態に係るLEDランプ1を備えたLEDランプ装置95を示す図である。
同図に示すLEDランプ装置95は、屋外の看板照明等に用いられる屋外設置型の照明器具であり、LEDランプ1と、LEDランプ1が装着されるランプホルダー60と、LEDランプ1に取り付けられた環状防水パッキン70とを備えている。
ランプホルダー60は、既存の電球を装着可能なホルダーであり、LEDランプ1は、既存の電球と形状及び光学特性が略同じになるように構成され、既存の電球の代わりにランプホルダー60に装着して使用可能となっている。
【0011】
ランプホルダー60について詳細には、ランプホルダー60は、筒状のホルダー筐体62を備え、このホルダー筐体62の終端部62Aには、図示せぬ支持アームが回動自在に取り付けられるアーム取付部64が設けられている。
ホルダー筐体62の先端60Bは、既存の電球を装着したときに当該電球のガラス球の表面に図示せぬ防水パッキンを挟んで隙間無く係合する径で開口し、電球装着時には、当該開口縁部66からの水の浸入が防止されている。なお、同図において、ホルダー筐体62の先端60Bに設けられた突起68は、LEDランプ1、或いは既存の電球を覆って保護するガード部材(図示せず)を固定するための部材である。
【0012】
ホルダー筐体62の内部には、既存の電球ランプの口金、及びLEDランプ1の口金3が螺合するソケット65が配設されている。このソケット65には、外部から引き込まれた電力供給線が接続されており、ソケット65を通じて口金3からLEDランプ1、或いは、既存の電球ランプに電力が供給される。
環状防水パッキン70は、ゴム成型部材であり、LEDランプ1の筒状部2(後述)に着脱自在に装着され、LEDランプ1をランプホルダー60に装着したときにランプホルダー60の開口を塞ぎ、ランプホルダー60とLEDランプ1の隙間からの水の侵入を防止する。
なお、環状防水パッキン70は、ランプホルダー60への水の浸入防止を目的に使用されるため、例えば屋内に設置されたランプホルダー60、或いは、外部に露出したソケットにLEDランプ1を装着して使用する場合など、防水が不要な場合には、環状防水パッキン70を装着する必要はない。ただし、屋内使用時に環状防水パッキン70を装着することで、ほこり等の侵入を防止できる。
【0013】
次いで、LEDランプ1の構成について詳述する。
図2はLEDランプ1の外観構成を示す図であり、図2(A)は平面図、図2(B)は側面図、図2(C)は底面図である。図3はLEDランプ1を分解して示す上方斜視図であり、図4は、図2(C)のIV−IV線における断面図である。なお、これらの図では、上記環状防水パッキン70をLEDランプ1に装着した状態を示す。
【0014】
本実施形態のLEDランプ1は、発光部12と、この発光部12の裏面の略中央に直交して下方に向かって延び終端側に口金3が設けられた筒状部2と、発光部12の裏面に設けられた複数の放熱フィン25とを備え、さらに筒状部2には上記環状防水パッキン70が嵌め込まれている。
発光部12は、上面12Aの略全体から上方に向けて光を放射するものであり、図3に示すように、光源たる複数のLED15と、これらのLED15を実装した平面視略円形のLED基板16と、グローブ22と、筒状部2の先端2Cに一体に設けられた平板部としてのベース板13とを備えている。
【0015】
ベース板13は、筒状部2よりも径が大きな上面視略円板状の部材であり、上記筒状部2は、このベース板13の裏面13Aの略中央部から下方に向かって略垂直に延びている。ベース板13の表面には、図3に示すように、筒状部2に繋がる挿入開口14が開口し、LED15を点灯する電源(電力変換装置)や駆動回路を実装した電気回路基板8が挿入開口14から挿入されて筒状部2に収められる。
これらベース板13、及び筒状部2は同一の材料、すなわち熱伝導性樹脂材から金型を用いた樹脂成型によって一体に成型されており、これらベース板13、筒状部2、及び後述の絶縁筒部10により、LEDランプ1の筐体35が構成されている。
【0016】
LED15は、筒状部2と略同心円の円環状の並びとなるように複数並べて配置されており、ベース板13の外周側で円環状に並ぶ外周側発光部15Aと、外周側発光部15Aよりも内周側で円環状に並ぶ内周側発光部15Bとを有している。ここでは、一例として、外周側発光部15Aは30個の素子が等間隔を開けて配置され、内周側発光部15Bは15個の素子が等間隔を開けて配置されている。単位面積あたりで見た場合、外周側発光部15Aは内周側発光部15BよりもLEDの素子が占める割合が大きくなっており、外周側発光部15Aは内周側発光部15Bよりも単位面積あたりの発熱量が大きくなっている。
LED15は、例えばLED素子をパッケージ化してなるものであり、本実施形態では、LED15に白色LEDが用いられている。なお、LED15に白色以外の他の発光色のLEDを用いても良いことは勿論である。
LED基板16は、図3に示すように、略円板状に形成され、上面たる表面に複数のLED15が実装され、ベース板13の上面に複数のネジ18によりネジ止め固定されている。
【0017】
LED基板16の略中央には、リード線引出開口17が開口し、筒状部2に収められた電気回路基板8から電力供給用の一対のリード線21A,21B(図4)がリード線引出開口17を通じて引出されて、このLED基板16の上面に形成されている回路パターン(不図示)に電気的に接続され、当該回路パターンを通じて各LED15に電力が供給されて点灯する。
【0018】
ベース板13は、図3及び図4に示すように、平円板の周縁に沿って側壁19を有したトレー状を成し、この側壁19の内周面にLED基板16を覆うグローブ22が係合し保持されている。このグローブ22とベース板13の間には、シール部材としてのOリング26が設けられており、グローブ22を側壁19に係合させるに伴い、Oリング26がグローブ22とベース板13の側壁19との間で押圧されてシールされ、発光部12が防水される。なお、グローブ22とベース板13の取付構造については、後に、より詳細に説明する。
グローブ22には、図示を省略するが、LEDランプ1の銘番を内面に印刷や刻印等で設けている。これにより、LEDランプ1が風雨に晒されても銘板が消えることがなく、また擦れによって消えたりすることもない。
【0019】
放熱フィン25は、ベース板13の裏面13Aからみて筒状部2の周囲に放射状に設けられている。各放熱フィン25は、裏面13Aから筒状部2に沿って延在するように設けられており、ベース板13に載置されたLED基板16が発する熱を放熱する。各放熱フィン25は、筐体35の射出成型時に筒状部2と一体に形成される。
【0020】
筒状部2の終端2Aには、口金3と筒状部2と間の絶縁を図るために、絶縁性を有する材料から形成された筒状の絶縁筒部10を一体に備え、図4に示すように、この絶縁筒部10の終端10Aに上記口金3が冠着されている。電気回路基板8は、筒状部2の先端側から絶縁筒部10に亘って収められており、絶縁筒部10側の端部でリード線21A,21Bを通じて口金3と電気的に接続されている。
【0021】
口金3は、既設のランプホルダー60のソケット65(例えばE39やE26(本実施形態ではE39)型ソケット)に螺合するネジ山が切られた筒状のシェル5と、このシェル5の端部の頂部に絶縁部6を介して設けられたアイレット7とを備え、シェル5及びアイレット7が既存のソケットに装着可能な形状寸法に構成されている。これにより、当該LEDランプ1は、天井や壁面に既設のソケットや、既存の電球を装着して使用する上記ランプホルダー60のソケット65に装着でき、既存の電球の代替として使用できる。
シェル5と筒状部2とは、上述のように、絶縁筒部10によって電気的に絶縁されていることから、導電性を有する材料で筒状部2を構成しても、口金3のシェル5と筒状部2との間の絶縁が良好に維持される。
【0022】
ところで、筒状部2にアルミニウム等の金属材料を用いることで高い放熱性能が得られるものの当該筒状部2を含む筐体35が重くなることから、既設のソケットでは強度が不足する、という問題もある。
そこで本実施形態では、筒状部2の材料に熱伝導性樹脂を用いるとともに、絶縁筒部10の材料に絶縁性樹脂を用い、筒状部2に絶縁筒部10をインサート成型により一体に形成している。
【0023】
筒状部2を熱伝導性樹脂から形成することで、アルミニウム等の金属材料で筐体35を形成したときよりもLEDランプ1の軽量化が図られ、電球の代替としてLEDランプ1を既存のソケットや既存のランプホルダー60に装着する場合でも、当該LEDランプ1の重量を支えるために既存のソケットや既存のランプホルダー60を補強する作業や部材が必要なく、そのまま使用することができる。また軽量化により、放熱フィン25の枚数を増やすことができるので、表面積が増え、より効率的に放熱性を高めることができる。このような熱伝導性樹脂としては、熱伝導率が2W/mK以上の熱伝導性に優れた樹脂材が好ましく、例えば高熱伝導性のカーボン繊維(本実施形態では帝人(株)製ラヒーマ(登録商標))を混入したポリカーボネイト樹脂を好適に用いることができる。
【0024】
ただし、筒状部2に絶縁筒部10を樹脂材のインサート成型により一体に形成することで絶縁筒部10が強固に接合されるものの、経年劣化により、絶縁筒部10の接合面(合わせ面)に隙間が生じ防水性が損なわれるおそれがある。
そこで、図4に示すように、筒状部2の終端2Aの内周面には、係合凹凸部2Bを形成するとともに、絶縁筒部10の開口端手前の外周面には、上記係合凹凸部2Bと噛み合うように係合する係合凹凸部10Bを形成し、いわゆるラビリンス状の係合構造が構成され、また、この接合部の面積が大きくなって接合強度が高められている。さらに絶縁筒部10の係合凹凸部10Bの下方には筒状部2の終端2Aが当接するフランジ10Cが形成されており、ラビリンス状の係合構造部分への水浸入防止が図られている。このようなラビリンス状の係合構造、並びにフランジ10Cにより、筒状部2と絶縁筒部10との接合部に経年劣化によるひび割れ等によりインサート成型面に隙間が生じた場合でも防水性が維持され、LED15の寿命に見合った耐久性が得られる。
なお、筒状部2の終端2Aと絶縁筒部10の開口端(挿入端)との接合面の形状は、上記ラビリンス状に限らず、防水性と接合強度の向上が得られる形状であれば例えば楔状等の任意の形状とできる。また、筒状部2と絶縁筒部10の接合は、インサート成型以外であっても、各種性能上の要件を満たすならば、ネジ締め等による組立で行ってもよい。
【0025】
次いで、筒状部2への電気回路基板8の収容構造について更に説明する。
電気回路基板8は、図4に示すように、筒状部2の先端2Cから絶縁筒部10に亘る長さに形成されるとともに、筒状部2及び絶縁筒部10の内部形状に係合する形状を有して形成されている。
すなわち、筒状部2の上部直径R(図4)は、電気回路基板8の上部横幅と略同程度に形成されており、かかる電気回路基板8が筒状部2に挿入されると、絶縁筒部10の内部に形成された挟持部116,116(図9)に電気回路基板8が挟み込まれて電気回路基板8が筒状部2内に固定される。
【0026】
このとき、筒状部2にあっては上部直径Rを電気回路基板8の上部幅程度まで小さくしてコンパクト化を図ると、筒状部2に電気回路基板8が近接し、筒状部2と電気回路基板8との間の電気的な絶縁性能が劣化する。そこで、筒状部2の中には、電気回路基板8を囲むように巻いた絶縁シート28を設けており、筒状部2の内側面の全体を絶縁シート28で覆い、電気回路基板8と筒状部2の間の絶縁性能を高めることとしている。
絶縁シート28は、可撓性及び絶縁性を有する1枚の帯状のシートを1巻き、或いは複数巻き(本実施形態では2巻き)して筒状に形成したものであり、筒状部2に挿入すると、絶縁シート28が巻き戻りによって拡がり、このときの巻き戻る力によって筒状部2の内側面を覆うように装着される。
このように、絶縁シート28を帯状に形成し、巻いた状態でベース板13の挿入開口14に挿入し、絶縁シート28の巻き戻りによって筒状部2の中に装着する構成としたため、筒状部2の内側面の全面を覆うように絶縁シート28を簡単に装着することができる。
さらに、絶縁シート28の下縁部28A(図3参照)に切欠部28Bを設け、筒状部2の内部に設けた突起部14A(図9参照)と位置を合わせることで、絶縁シート28を巻回したときにラップする絶縁シート28の両端部分の位置を決めることができるため、筒状部2をさらにコンパクトにすることができる。すなわち、絶縁シート28の両端部分がラップする部分が筒状部2に挿入したときに、どこに来るかわからない状態だと、絶縁シート28の両端部がラップして成る3重のシート厚(2巻き時)を考慮した上での電気回路基板8の縁部との間の筒状部2のクリアランスが必要であるが、絶縁シート28のラップした部分が電気回路基板8の縁部と筒状部2の間を避けた位置に来るように、上記突起部14Aで位置決めすることで、電気回路基板8の縁部と筒状部2の間は、絶縁シート28の巻数分の厚みを考慮したクリアランスでよくなる。これにより、クリアランスを小さくできるから筒状部2をさらにコンパクトにできる。
【0027】
筒状部2に挿入された電気回路基板8は、上述の通り、下端側が上記挟持部116,116(図9)に挟み込まれて筒状部2内に固定される。このとき、電気回路基板8の上端部8Cは、ベース板13に取り付けられたLED基板16によって固定ブッシュ27を介して下方に押圧されている。
【0028】
詳述すると、図4に示すように、電気回路基板8には、LED15を点灯するための電源回路が備える発熱部品8Xが実装されており、この発熱部品8Xには高熱伝導性を有する例えば金属製のヒートシンク29が設けられている。なお、図3、及び図4において、符号29Bは肉盗み用の凹部29Bである。発熱部品8X又はヒートシンク29の表面に、グリース状の熱伝導性シリコン充填剤を塗って両者を密着させることで、発熱部品8Xの発熱がヒートシンク29に伝えられる。
ヒートシンク29と筒状部2との間には、上記固定ブッシュ27が設けられており、この固定ブッシュ27の上端には、当接突起27Aが一体に設けられている。この当接突起27Aが上記LED基板16の底面に当接して押圧されることで、ヒートシンク29や発熱部品8Xを通じて電気回路基板8が押さえ付けられる。
【0029】
固定ブッシュ27は、比較的熱伝導性が良い弾性体であり、ヒートシンク29により固定ブッシュ27が筒状部2に押し当てられることで、ヒートシンク29及び固定ブッシュ27から成る熱伝導部材29Dが構成され、発熱部品8Xの熱が熱伝導部材29Dを通じて筒状部2に伝えられ、筒状部2の外周面から外部に放熱される。
【0030】
また本実施形態では、図3、及び図4に示すように、ヒートシンク29を筒状部2の近傍まで延ばし、その先端部29Aに、キャップ状に形成した固定ブッシュ27を被せ、この固定ブッシュ27を筒状部2に押し付ける構成としている。
この構成により、ヒートシンク29と筒状部2の間に介在する固定ブッシュ27の厚みが薄くなることから、ヒートシンク29から筒状部2に熱伝達がし易くなる。
なお、固定ブッシュ27を薄くすると、その分、弾性力が低下し、固定時に電気回路基板8に固定ブッシュ27及びヒートシンク29に押されて撓みが生じることがあることから、固定ブッシュ27には、当該撓みを抑制できる程度のクッション性を有する形状とすることが望ましい。
【0031】
また、ヒートシンク29の表面から筒状部2の雰囲気への放熱が多いと、筒状部2に熱が籠もり他の回路部品に影響を与え兼ねない。そこで、ヒートシンク29にあっては、固定ブッシュ27が被さる先端部29Aにのみ放熱フィン形状(凹凸形状)を形成し、また、この放熱フィン形状の凹凸に入り込み接触するように固定ブッシュ27のキャップ形状を形成することで、周面よりも先端部29Aの放熱フィン形状から固定ブッシュ27に熱が伝達されるようにしている。
これにより、ヒートシンク29から筒状部2の雰囲気中へ放熱を抑え、発熱を効率良く筒状部2に伝えることができる。
【0032】
なお、上述の通り、筒状部2の内側面は絶縁シート28が覆うが、この絶縁シート28には高熱伝導性を有するものが用いられており、固定ブッシュ27から筒状部2への伝熱を阻害しないようになっている。
このように、絶縁シート28が高熱伝導性を有し、電気回路基板8の回路部品と絶縁シート28との間に、これらを熱的に繋ぐ熱伝導性部材たる固定ブッシュ27を設けることで、電気回路基板8の絶縁性と放熱性との両方を高めることができる。
さらに、所定の絶縁性能を満たす限りにおいては、絶縁シート28に、固定ブッシュ27が当接する範囲を切り欠いた切欠部を設けて固定ブッシュ27を直接筒状部2に接触させ、絶縁シート28を介さず直接筒状部2に熱を固定ブッシュ27から伝達させてもよい。
【0033】
なお、図3において、符号270は、シリコン材料のゴム部品から成る略棒状の絶縁ブッシュであり、電気回路基板8の上端部8Cに装着されて挿入開口14から臨むLED基板16に押圧される。電気回路基板8とLED基板16の間に絶縁ブッシュ270を設けることで耐電圧性能が高められる。
【0034】
図5は、環状防水パッキン70を外した状態のLEDランプ1の底面図であり、図6は図5のVI−VI断面図である。また図7は図5のVII−VII断面図である。
かかる筒状部2とベース板13を含む筐体35は、上述のように、複数の放熱フィン25を一体に備えることで放熱性の向上が図られている。
放熱フィン25は、それぞれ薄い板状であり、ベース板13の裏面13Aからみて筒状部2の軸線を中心にして略放射状に多数立設されている。これらの放熱フィン25は、根元部分であるフィン根元部25Bがベース板13の裏面13Aに繋がっており、これら放熱フィン25、筒状部2及びベース板13が上述の熱伝導性樹脂から金型を用いた樹脂成型により一体に形成されている。このように、ベース板13、及び放熱フィン25を一体成型することで、ベース板13と放熱フィン25の間の熱抵抗が抑えられ、放熱フィン25への伝熱量が増加して高い放熱性能が得られる。
【0035】
また、放熱フィン25は、筒状部2に沿って延びるベース板13の裏面13Aから下方(口金3の側)に延びるものの、筒状部2との間には隙間Sを設けて切り離されている。そして、隣り合う2つの放熱フィン25を一組にし、この一組の放熱フィン25の筒状部2側の端部同士を連結部105で連結することで、略ハの字状に配置された一組の放熱フィン25の開放部分を連結部105で塞いだフィン(以下、「ハの字状フィン101」と言う)が一体に形成されている。
【0036】
このハの字状フィン101によれば、筒状部2と連結部105との間に、図5に示すように、気流経路Fが形成されるため、筒状部2の外周面が空冷され、内部に収められた電気回路基板8が冷却される。
特に、上述の通り、筒状部2には、固定ブッシュ27、及びヒートシンク29を通じて電気回路基板8の発熱部品8Xの熱が伝導されるため、この筒状部2が気流経路Fを通る空気によって冷却されることで、電気回路基板8が効率良く冷却される。
【0037】
なお、本実施形態では、隣り合う2つの放熱フィン25を連結部105で連結したが、隣り合う3つ以上の放熱フィン25の筒状部2側の端部を連結部105で連結することもできる。
【0038】
図5に示すように、連結部105で連結された放熱フィン25の組みである上記ハの字状フィン101と、他のハの字状フィン101との間には、これらハの字状フィン101同士の間を通って筒状部2に流入する気流を各々のハの字状フィン101に振り分ける振分フィン103が設けられている。振分フィン103は、放熱フィン25と同様に、ベース板13の裏面13Aから筒状部2に沿って延びるとともに、筒状部2との間に切離部91による隙間を設けたものである。この振分フィン103でハの字状フィン101同士の間を通る気流が振り分けられることで、筒状部2の外周面での冷却ムラが生じ難くなり、均一に冷却できる。
【0039】
また、振分フィン103は、前掲図1に示すように、筒状部2に沿ったベース板13からの長さが放熱フィン25よりも短く形成されている。これにより、ハの字状フィン101同士の間では、振分フィン103を超えて空気が移動できることから、当該振分フィン103による空気の振り分けの均一化が図られる。
【0040】
なお、隣接するハの字状フィン101の間で対面する放熱フィン25の対にあっては、互いに平行に形成されており、この対を成す放熱フィン25の中間部に、当該放熱フィン25と平行に上記振分フィン103が形成されている。
【0041】
ベース板13の裏面13Aには、図5に示すように、連結部105により連結されてハの字状フィン101を構成する各放熱フィン25の間にも短放熱フィン102が設けられている。この短放熱フィン102は、筒状部2に沿ったベース板13の裏面13Aからの長さが放熱フィン25よりも短く、振分フィン103と同程度に形成されている。各短放熱フィン102により、ベース板13の放熱性が補助され、より高出力のLED15が搭載可能になるとともに、長さが放熱フィン25よりも短く形成され、なおかつ、筒状部2側の端部102Dが連結部105から切り離されて隙間Saが設けられているため、ハの字状フィン101内での空気の流通が阻害されることがなく、主たる放熱を担うハの字状フィン101の冷却性能を阻害する事がない。
【0042】
これに加え、ベース板13の裏面13Aには、図5に示すように、筒状部2の周りを囲む環状の環状放熱フィンとして、外側環状フィン106、及び内側環状フィン107が形成されている。これら外側環状フィン106、及び内側環状フィン107は、筒状部2に沿ったベース板13の裏面13Aからの長さが上記短放熱フィン102よりも更に短く形成されている。これら外側環状フィン106、及び内側環状フィン107によって、ハの字状フィン101の内やハの字状フィン101同士の間の気流にランダム性が生じて冷却性能が高められる。
これに加え、外側環状フィン106、及び内側環状フィン107が短いことから、発光部12が口金3よりも下方になる姿勢でLEDランプ1を使用したときに(いわゆる下方点灯時)、外側環状フィン106、内側環状フィン107、及び上記ハの字状フィン101で仕切られた空間に水等が溜まってしまうことも無い。
【0043】
また、外側環状フィン106は、外周側発光部15Aの真下に形成され、内側環状フィン107は、内周側発光部15Bの真下に形成され、連結部105よりも外周側に位置している。このように、LED15の直下に外側環状フィン106及び内側環状フィン107を配置することで、LED15の熱を効率良く放熱できるとともに、ベース板13を補強することができる。
【0044】
本実施形態では、上述の通り、ベース板13の裏面13Aに、放熱フィン25の他に、これよりも短い短放熱フィン102、振分フィン103、外側環状フィン106及び内側環状フィン107が設けられている。このとき、それぞれを長くすれば、放熱性能を高めることができるものの、そうすると、筐体35の重量化に繋がる。そこで、本実施形態では、主たる放熱を担うハの字状フィン101の放熱フィン25のみを長くし、他を短くすることで、筐体35の重量化が抑えられている。ただし、フィン長が長くなるほど裏面13Aのフィン付け根にかかるモーメントが大きくなるため、放熱フィン25を他のフィンよりも厚くして強度が高められている。
【0045】
ここで、ベース板13や放熱フィン25等を含む筐体35の樹脂成型後には、耐候性や意匠性を高めるために表面に塗料や薬品が塗布される。この塗布工程において、従来の一般的な構成のLEDランプでは、筒状部2から放熱フィン25が放射状に延び、なおかつ、放熱フィン25のベース板13側の端部が当該ベース板13の裏面13Aに繋がる構成であるため、筒状部2及び放熱フィン25とベース板13との繋ぎ目の隅部は塗料が入り難く、また塗布量を増やすとフィン手前側にタレが生じる、という問題がある。このため、塗布工程においては、複数回に分けて少量ずつ塗料等を塗布する必要があり、塗布回数が増えて高コスト化を招いている。
【0046】
これに対して、本実施形態のLEDランプ1では、上述の通り、全ての放熱フィン25と筒状部2との間に、ベース板13との繋ぎ箇所である放熱フィン25の根元部分であるフィン根元部25Bからフィン先端25Aに亘り、放熱フィン25と筒状部2を切り離す切離部91が設けこれら放熱フィン25と筒状部2との間に隙間Sを設けている。
【0047】
これにより、筐体35への塗料の塗布工程において、放熱フィン25と筒状部2の間に液溜まりが生じることがないため、1回あたりに塗布する液量を多くして塗布回数を少なくすることができ、ムラなく簡単に塗料を筐体35に塗布することができる。特に、スプレー等を用いて塗料を吹き付けることで、切離部91を通じて塗料が筒状部2の周囲に回り込み、1回の塗布で広範囲にムラなく塗料を塗ることができる。
さらに、切離部91を設けることで、筐体35の軽量化が図られ、また材料費を抑えることができる。またLEDランプ1の使用時には、放熱フィン25と筒状部2との間に雨水等が溜まることもない。
【0048】
これに加え、ハの字状フィン101の中に設けた短放熱フィン102にあっても、連結部105との間に隙間Saを設けているため、ハの字状フィン101についても、塗料ムラを防止できる。
【0049】
ハの字状フィン101(放熱フィン25)、短放熱フィン102及び振分フィン103は、図1に示すように、ベース板13の裏面13A(図2)からホルダー筐体62の開口縁部66に向かって緩やかな弧を描く側面視略扇形状に形成されており、ハの字状フィン101(放熱フィン25)、短放熱フィン102及び振分フィン103が筒状部2の軸方向に延びる長さは、内周側から外周側に向けて漸次短くなるように形成されている。このように、放熱フィン25等を側面視略扇形状に形成することで、ランプホルダー60にLEDランプ1を装着した際に、ランプホルダー60との一体感を高めることができ、意匠性を高めることができる。
ハの字状フィン101のフィン先端101Aは、図6に示すように、水平(筒状部2の軸線に対して垂直)に形成されており、筒状部2に装着された環状防水パッキン70の上面が当接する。
【0050】
図7に示すように、ベース板13は、その厚さが、筒状部2に繋がる内周部13Bから外周部13Cに向けて漸次薄くなるように形成されている。詳細には、ベース板13において、LED基板16が取り付けられる取付け面13Dは筒状部2の軸線に対して垂直に形成され、放熱フィン25が形成される裏面13Aは、その全面に亘り、外周側ほど板厚が薄くなるテーパ面となっている。このため、ベース板13は、板厚が薄くなる外周部13C側ほど、放熱フィン25への熱抵抗が小さくなる。また、ベース板13は、内周部13Bが厚く形成されて剛性が高くなっているため、取付け面13Dの反りの発生を防止でき、取付け面13Dの平面度を向上できる。
【0051】
図8は、ハの字状フィン101の一部を拡大した平面図である。
図8に示すように、ハの字状フィン101を構成する放熱フィン25は、フィン根元部25Bの板厚が連結部105の板厚と略等しく形成された厚肉部110と、フィン根元部25Bの板厚が厚肉部110の端部から放熱フィン25の外周側の先端側に向けて漸次薄くなるように形成された薄肉部111とを有している。厚肉部110と薄肉部111との境界部110A(図8)は、外側環状フィン106と内側環状フィン107との間に位置している。
このように、ハの字状フィン101を構成する放熱フィン25のフィン根元部25Bの板厚を、外周側ほど板厚が薄くなるように形成したため、ハの字状フィン101は、外周側ほど軽量になっている。
【0052】
本実施の形態では、上述のように、ハの字状フィン101は、緩やかな弧を描く側面視略扇形状に形成されており、ハの字状フィン101が筒状部2の軸方向に延びる長さは、内周側から外周側に向けて漸次短くなるように形成されているため、ハの字状フィン101に外力が作用する場合、ハの字状フィン101のフィン根元部25Bにかかる曲げモーメントは、ハの字状フィン101の軸方向の長さが短い外周側ほど小さくなる。このため、曲げモーメントに対応させて、ハの字状フィン101を構成する放熱フィン25のフィン根元部25Bの板厚を、外周側ほど薄く形成することができる。
【0053】
また、樹脂成型時に発生する取付け面13Dのヒケを防止するには、フィン根元部25Bにおけるハの字状フィン101の板厚に比してベース板13を厚くすることが考えられるが、この場合、ベース板13からハの字状フィン101までの熱抵抗が増加してしまう。しかし、本実施の形態では、外周側ほど薄くなる放熱フィン25のフィン根元部25Bの板厚に対応させて、ベース板13を、外周部13C側ほど板厚が薄くなるように形成したため、ベース板13の放熱性を向上しつつ、樹脂成型の際のヒケが取付け面13Dに生じることを防止できる。取付け面13Dのヒケの発生を防止することで、取付け面13Dの平面度が良くなり、取付け面13DとLED基板16との密着性が向上するため、ベース板13の放熱性を向上できる。より具体的には、各ハの字状フィン101のフィン根元部25Bにヒケが生じると、この部分で取付け面13DとLED基板16との間に隙間ができてしまうが、ヒケの発生を防止することで、取付け面13DとLED基板16とを密着させることができ、放熱性を向上できる。
さらに、ベース板13及びハの字状フィン101が外周側ほど薄く形成されているため、筐体35を軽量化できる。
また、ベース板13及びハの字状フィン101が外周側ほど薄く形成されることで、外周側の放熱性が高くなっているため、内周側発光部15Bよりも発熱量が大きい外周側発光部15Aの熱を効率良く放熱できる。
なお、ベース板13及びハの字状フィン101がアルミダイキャストによって製造される場合においても、本実施の形態の構成とすることでヒケを抑制できる。
【0054】
図6〜図8に示すように、ハの字状フィン101を構成する放熱フィン25、短放熱フィン102、振分フィン103、外側環状フィン106及び内側環状フィン107の厚さは、フィン根元部25Bから口金3側の端に向けて軸方向に漸次薄くなるよう形成されている。このため、各フィンの厚みが抜きテーパとして作用し、筐体35を金型によって成型する際に、筐体35を軸方向に容易に離型することができる。
また、ハの字状フィン101を構成する放熱フィン25、短放熱フィン102、振分フィン103、外側環状フィン106及び内側環状フィン107のフィン根元部25Bには、各フィンの両側に溝部115が形成されている。溝部115は、各フィンの全長に亘って形成されている。この溝部115によって、フィン根元部25B近傍の樹脂の収縮範囲を狭くできるため、取付け面13Dに発生するヒケの範囲を小さくできるとともに、同時に、ベース板13の表面積を多くすることができる。
【0055】
環状防水パッキン70は、図1〜図4に示すように、側面視したときに、放熱フィン25の外形25Dが描く弧に連続する略切頭円錐状(断面略台形状)を成しており、これら放熱フィン25、及び環状防水パッキン70から成る輪郭形状が既存の電球のガラス球の輪郭形状と等しくなるように形成されており、既存の電球との代替時に形状の相違から生じる不具合の防止が図られている。
【0056】
ここで、筒状部2の素材には、高熱伝導性のカーボン繊維(以下、「熱伝導性繊維」と言う)を混入した樹脂材が用いられているが、この樹脂材にあっては、熱伝導性繊維の配向によって熱伝導率に異方性が生じることが知られている。
本実施形態では、筒状部2及びベース板13から放熱フィン25への熱伝導率が高くなるように熱伝導繊維を配向させることで、筒状部2の放熱能力を高めることとしている。かかる熱伝導繊維の配向は、樹脂射出成型時に樹脂を流す向きによって制御される。
【0057】
次に、絶縁筒部10の終端10Aにおいてリード線21A,21Bを通す構成について説明する。
図9は、筐体35をベース板13側から見た平面図である。
図9に示すように、絶縁筒部10の内周面には、電気回路基板8の縁部を挟んで支持する一対の挟持部116,116が突出して設けられている。挟持部116,116は、絶縁筒部10の中心から僅かにずれた位置で、互いに対向して配置されており、電気回路基板8は、その板面が絶縁筒部10の軸線と平行な向きで、絶縁筒部10の中心から僅かにずれた位置に支持される。
【0058】
図10は、図9のX−X断面図である。
図4、図9及び図10に示すように、絶縁筒部10は終端10Aに形成された袋部120によって閉じられている。詳細には、袋部120は、終端10Aの端面よりも内側で終端10Aを閉じるように設けられた板部121と、板部121の一部がアイレット7側へ突出する一対の突出部122A,122Bとを有している。突出部122A,122Bは、終端10Aの端に形成された筒部123によって囲われており、筒部123の内側において突出部122A,122Bが形成されていない部分は、筒部123の端面123Aよりも窪んだ凹部124となっている。
【0059】
突出部122A,122Bは、筒部123の端面123Aよりもアイレット7側へ突出しており、先端ほど先細るように形成されている。筐体35のアイレット7側の端は、突出部122A,122Bの先端である。
突出部122A,122Bの先端部には、突出部122A,122Bを貫通する配線孔125A,125Bが形成されており、電気回路基板8から延びるリード線21A,21Bは、配線孔125A,125Bをそれぞれ通されて口金3側に延びている。配線孔125A,125Bは、平面視において、電気回路基板8に平行な絶縁筒部10の中心線上に配置されている。また、配線孔125A,125Bの端には拡径部129が形成されており、拡径部129では、リード線21A,21Bを屈曲させ易くなっている。
【0060】
袋部120の内面側には、板部121の中央部が残るように突出部122A,122Bが形成されることによって、板部121が発光部12側に突出した仕切り壁126が形成されており、この仕切り壁126によって、断面略円筒状の終端10A内の空間は略2等分されている。また、仕切り壁126は、絶縁筒部10の中心を通るとともに、電気回路基板8の板面に略直交する向きで配置されている。
図9に示すように、リード線21A,21Bは、電気回路基板8の下部において、仕切り壁126を跨いだ位置からそれぞれ引き出されている。
【0061】
突出部122A,122Bの内側面には、リード線21A,21Bを配線孔125A,125Bに導く一対の導入部127A,127Bが形成されている。導入部127A,127Bは、先端の配線孔125A,125B側にかけて先細る錐状(ロート状)の窪みであるため、リード線21A,21Bを確実に配線孔125A,125Bにガイドすることができる。また、終端10A内の空間は、仕切り壁126によって略2等分されて導入部127A,127Bによって占められており、リード線21A,21Bは必ず導入部127A,127Bに当たることになるため、リード線21A,21Bを確実に配線孔125A,125Bにガイドすることができる。
【0062】
組付けに際し、電気回路基板8は、挟持部116,116に沿って絶縁筒部10内をアイレット7側へ挿入されていき、これに伴い、電気回路基板8の下部のリード線21A,21Bは、仕切り壁126によって仕切られてリード線21A,21Bの下方に位置する導入部127A,127Bにそれぞれ当接し、導入部127A,127Bのロート形状にガイドされて配線孔125A,125Bに確実に導かれる。
【0063】
図4に示すように、配線孔125Aから引き出されたリード線21Aは、口金3の内部を通ってアイレット7に接続される。一方、配線孔125Bから引き出されたリード線21Bは、絶縁筒部10の終端10Aで外側に屈曲して絶縁筒部10の外側面に沿って延び、シェル5に接続される。
このように、リード線21Bを外側に屈曲させる手前にリード線21A,21Bを引き出す配線孔125A,125Bをそれぞれ設けていることから、リード線21A,21B同士が絡み、並びに、当該絡みによるリード線21A,21Bの短絡を防止できる。また、導入部127A,127Bを設けることで、リード線21A,21Bを簡単に配線孔125A,125Bに通すことができるため、配線孔125A,125Bの径を配線孔125A,125Bと略同程度として隙間がほとんど生じない構成とした場合でも、これらリード線21A,21Bを簡単に通すことができる。
【0064】
図11は絶縁筒部10の終端10Aの拡大図である。
絶縁筒部10の終端10Aの外周面には、シェル5の内周面が係合するねじ部33が形成されている。また、終端10Aの外周面には、絶縁筒部10の軸方向に延びる配線溝34が形成されており、この配線溝34はねじ部33の一部に彫り込まれるようにして設けられている。絶縁筒部10の内部から屈曲して外側に延びるリード線21Bは、配線溝34内に埋め込まれて筒状部2側に延びる。すなわち、絶縁筒部10にシェル5が取り付けられた状態では、リード線21Bはシェル5より内側の配線溝34を通り、シェル5の開口端の近傍でシェル5の外周面に接合される。配線溝34の端34Aは、筒部123の端面123Aに位置しており、突出部122A,122Bは、配線溝34の端34Aよりも外方のアイレット7側へ突出している。
また、リード線21Bが通る配線溝34は、絶縁筒部10の内部に繋がっており、絶縁筒部10の内部は配線孔125A,125Bを介して、アイレット7と筒状部2とが連通している。このため、配線溝34及び配線孔125A,125Bを介して筒状部2内に空気が出入りでき、これにより筒状部2内の結露が防止される。
【0065】
絶縁筒部10に口金3を取り付ける際には、シェル5を絶縁筒部10のねじ部33に係合させた状態で、このシェル5を絶縁筒部10の外周側からかしめて固定する。
絶縁筒部10の側面には、口金3のかしめの下穴56が一対設けられており、この下穴56の箇所で口金3のシェル5をかしめることで、下穴56に入り込むようにシェル5が変形することから、シェル5の変形量が大きくなりかしめ部の強度を高めることができる。
【0066】
LEDランプ1が下方を照らす下方点灯の状態で設置される場合、筐体35は、袋部120がその上面を構成する。本実施の形態では、下方点灯の状態において、袋部120が絶縁筒部10の端面123Aよりも上方に突出しており、配線孔125A,125Bが端面123Aよりも上方に位置しているため、筐体35の上面部に結露や雨等によって水が侵入したとしても、この水が配線孔125A,125Bから筐体35内に侵入することを防止できる。また、水の侵入量が多い場合には、水は、上面部の凹部124に溜まるが、端面123Aよりも配線孔125A,125Bが上方に位置するため、配線孔125A,125Bに水が侵入することを防止できる。
さらに、配線溝34の端34Aよりも配線孔125A,125Bが上方に位置するため、配線溝34を伝って筐体35の上面部に水が侵入したとしても、この水の配線孔125A,125Bへの侵入を防止できる。このため、配線溝34を介して筒状部2内に空気を出入り可能として筐体35内の結露を防止しつつ、配線孔125A,125Bから筐体35内に水が侵入することを防止できる。
【0067】
次に、LEDランプ1が高所に設置され、鉛直下方に配置された例えば看板や壁面、室内等の照射対象物を照らす、いわゆる下方点灯の状態で設置される場合に用いて好適なLEDランプ1の落下防止構造について説明する。
図12は、LEDランプ1の落下防止構造を示す図である。
図1〜図3、図5及び図12に示すように、LEDランプ1は、ハの字状フィン101に連結される一対の金属製のピン130,130と、ピン130に連結される一対の落下防止用ワイヤ131,131とを有し、各落下防止用ワイヤ131が、ランプホルダー60に固定される金属製のバンド133に接続されることで、LEDランプ1は落下防止用ワイヤ131を介してランプホルダー60に連結される。
なお、落下防止用ワイヤ131としては、LEDランプ1を支持する支持部材として機能するものであれば、棒状や紐状の任意の部材を用いることができる。
【0068】
図5に示すように、各ピン130は、振分フィン103を挟んで隣接する一対のハの字状フィン101の間に掛け渡されている。詳細には、ピン130は、互いに略平行に配置される放熱フィン25,25の間に、これら放熱フィン25,25の面に略直交するように挿通して掛け渡されている。このように、複数枚の放熱フィン25,25にピン130を連結したため、ピン130が強固に固定される。
上記放熱フィン25,25は、放熱フィン25,25がベース板13の径方向に延びる部分の中間部に支持孔134,134を有し、ピン130は、両端部が支持孔134,134に挿通されることで、放熱フィン25,25に取り付けられている。ピン130は、放熱フィン25の高さ方向の中間部に設けられ、振分フィン103の下方に位置している。
【0069】
ピン130は、一端の鍔部130Aを一方の放熱フィン25に付き当てるように支持孔134に挿通されるとともに、他方の放熱フィン25の支持孔134を貫通する他端に嵌め込まれる固定リング130Bによって放熱フィン25,25に固定される。本実施の形態では、放熱フィン25,25が互いに略平行に配置されているため、樹脂成型の後に、機械加工等によって支持孔134,134を放熱フィン25,25に簡単に形成できる。なお、支持孔134,134は、筐体35を樹脂成型する金型に設けた穴開け機構によって樹脂成型時に形成しても良く、この場合においても、放熱フィン25,25が互いに略平行であることで、容易に支持孔134,134を形成できる。
また、ピン130,130は、筒状部2を挟んで対向するよう位置に一対で設けられている。
落下防止用ワイヤ131は、ワイヤの両端を屈曲させてリング状に形成した部分をかしめ部131Dでかしめて構成されており、ピン130に引っ掛けられるピン連結部131Aを一端に有し、バンド133に連結されるバンド連結部131Bを他端に有している。ピン連結部131Aは、上記リング状の部分に、ピン130に引っ掛けられるフック131Cを有している。
【0070】
図13は、バンド133を示す図であり、(A)は平面図であり、(B)は落下防止用ワイヤ131が取り付けられた状態を示す斜視図である。
図13に示すように、バンド133は、帯状の板を円環状に曲げて形成されたC型リング部135と、C型リング部135の開放端に設けられた調整部136と、C型リング部135の外周面に突出して形成された一対のワイヤ連結部137,137とを有している。
調整部136は、C型リング部135の一端に形成されたナット部136Aと、C型リング部135の他端に形成された孔部136Bと、ナット部136Aに螺合されるボルト136Cとを有している。バンド133は、孔部136Bに挿通されたボルト136Cをナット部136Aに締め込むことで、C型リング部135の径を変更可能であり、これにより、バンド133のランプホルダー60に対する緊縛力を調整することができる。
【0071】
ワイヤ連結部137,137には、落下防止用ワイヤ131のバンド連結部131Bが連結される孔137Aがそれぞれ形成されており、落下防止用ワイヤ131はワイヤ連結部137,137を中心にして回動可能である。ワイヤ連結部137,137は、ピン130,130に対応して、互いに対向する位置に設けられている。また、ワイヤ連結部137,137は、落下防止用ワイヤ131をピン130に連結した状態で、各落下防止用ワイヤ131がLEDランプ1の軸線に略平行となる位置に設けられている。
【0072】
バンド133は、ランプホルダー60の先端60B近傍の外周面に設けられたバンド巻き付け部60Cに巻き付けられて固定される。バンド巻き付け部60Cの先端60B側には、外側に突出する段部60Dが形成されており、バンド133がランプホルダー60から抜ける方向に移動する際には、段部60Dに当接することで、バンド133はランプホルダー60の軸方向に抜け止めされる。
【0073】
LEDランプ1をランプホルダー60に取り付ける際には、まず、各落下防止用ワイヤ131のフック131CをLEDランプ1のピン130,130に連結してバンド133をLEDランプ1に接続する。次いで、バンド133を広げた状態にしてランプホルダー60に通しながら、LEDランプ1を口金3側からランプホルダー60に挿入し、バンド133をランプホルダー60のバンド巻き付け部60Cに仮止めする。この状態では、バンド133は、調整部136によって緊縛力が緩められており、ランプホルダー60の外周面上で回転可能であり、かつ、ランプホルダー60から外れない径になっている。
次いで、LEDランプ1を回転させることで、LEDランプ1の口金3をソケット65に螺合させる。この際、バンド133は、LEDランプ1とともに回転する。このように、LEDランプ1を落下防止用ワイヤ131及びバンド133を介してランプホルダー60に接続した状態でLEDランプ1を螺合させていくため、LEDランプ1をランプホルダー60に取り付ける際に、LEDランプ1が落下することを抑制できる。また、LEDランプ1をランプホルダー60から外す場合も、バンド133を緩めた状態でLEDランプ1を回転させることで、LEDランプ1の落下を抑制できる。
【0074】
LEDランプ1をソケット65に螺合させた後、調整部136によってバンド133を完全に締め込むことで、バンド133をランプホルダー60のバンド巻き付け部60Cの所定の位置に固定する。これにより、LEDランプ1は、一対の落下防止用ワイヤ131,131を介してランプホルダー60に固定され、落下を防止される。すなわち、口金3とソケット65との係合が、何らかの理由によって解除されたとしても、LEDランプ1は落下防止用ワイヤ131,131によってランプホルダー60に固定されているため、落下を防止される。
【0075】
また、バンド133を固定する位置を調整されることで、落下防止用ワイヤ131,131には、環状防水パッキン70をハの字状フィン101とランプホルダー60の先端60Bとの間で圧縮する張力が付与されている。このため、振動が作用したとしても、環状防水パッキン70とランプホルダー60との間に隙間ができることを防止でき、防水性を向上できる。
さらに、LEDランプ1の重量は、落下防止用ワイヤ131,131及びソケット65に分担されており、ソケット65に作用する荷重が低減されているため、振動等が作用した際等に、ソケット65が変形したり破損したりすることを防止できる。
また、筒状部2を挟んで対向する落下防止用ワイヤ131,131によってLEDランプ1を支持するため、口金3とソケット65との係合が解除されたとしても、LEDランプ1がランプホルダー60から外れることを防止できる。例えば、一本の落下防止用ワイヤ131のみでLEDランプ1を支持する構成とした場合、LEDランプ1の落下は防止できるが、ピン130を軸に落下防止用ワイヤ131及びLEDランプ1が回動してLEDランプ1がランプホルダー60から外れてしまうことが考えられる。
なお、本実施の形態では、落下防止用ワイヤ131は一対で設けられるものとして説明したが、LEDランプ1の重量や想定される荷重等に応じて、落下防止用ワイヤ131を一本のみ設け、一本の落下防止用ワイヤ131でLEDランプ1を支持する構成としても良い。
【0076】
また、本実施形態では、連結部材として、二枚の放熱フィン25,25の間に掛け渡されるピン130を例に挙げて説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、連結部材は、二つ以上の放熱フィン25の間に掛け渡される構成であっても良い。例えば、筒状部2の回りを一周し、全て(12枚)の放熱フィン25に設けられた支持孔134に挿通されるリング状の連結部材を設け、この連結部材に落下防止用ワイヤ131を接続しても良い。
また連結部材に棒状のピン130ではなく、紐状のワイヤを用いても良い。
【0077】
さらに、バンド133を用いて落下防止用ワイヤ131をランプホルダー60に取り付ける構成に限らず、紐状の落下防止用ワイヤ131の一端側をランプホルダー60に巻き付ける等して固定し、他端をLEDランプ1のピン130などに固定して落下防止を行っても良い。
【0078】
ここで、LEDランプ1は、通常の白熱電球等と比較して重くなるため、ソケット65と口金3への荷重が大きくなる。このため、白熱電球用に設計されている既設のソケット65を備えるランプホルダー60にLEDランプ1を装着して使用した場合、例えば道路を走行する自動車等の振動が加わり、その影響がソケット65や口金3に蓄積すると、これらソケット65や口金3などが破損し、ランプホルダー60から抜け落ちる可能性が高くなる。
【0079】
本実施形態では、上述の通り、ランプホルダー60から延びる2本の落下防止用ワイヤ131を、LEDランプ1のピン130,130の2箇所に接続しているため、LEDランプ1がソケット65から脱落しても、ランプホルダー60からの落下は防止される。
しかしながら、上述の通り、LEDランプ1は、発熱電球等に比べて自重が重いため、ソケット65から脱落しLEDランプ1が落下防止用ワイヤ131で宙吊りになった際に大きく振られた場合には、例えば看板等の被照射物に衝突することで大きな衝撃を受け、この衝撃によって破損する虞がある。
そこで、本実施形態では、LEDランプ1がソケット65から脱落した際のLEDランプ1の振れ幅を抑えるべく、ピン130を支持する支持孔134を、発光部12から口金3の間で、自重重心位置Gxより口金3に近い位置に設ける構成としている。
【0080】
図14はLEDランプ1の自重重心位置Gxと、支持孔134との位置関係を模式的に示す図であり、図14(A)は設置状態を示し、図14(B)は脱落状態を示す。
自重重心位置Gxは、LEDランプ1の自重の重心位置である。ただし、LEDランプ1の自重としては、ソケット65からの脱落時に、例えば環状防水パッキン70等のようにLEDランプ1に装着された状態となる付属品がある場合、当該付属品を含めた重さが自重に用いられる。
【0081】
LEDランプ1を下方点灯状態で使用するときには、図14(A)に示すように、LEDランプ1が発光部12を鉛直下方に向け、口金3が発光部12よりも鉛直上方に位置する姿勢で口金3がソケット65に装着されて設置される。
この設置状態において、図14(B)に示すように、口金3がソケット65から抜けた場合、LEDランプ1は落下防止用ワイヤ131が接続される支持孔134の鉛直直下に自重重心位置Gxが位置するように当該支持孔134を支点として回動する。
本実施形態のLEDランプ1では、自重重心位置Gxよりも口金3に近い位置に支持孔134が設けられており、設置状態においては、自重重心位置Gxが支持孔134よりも鉛直下側に既に位置するため、脱落時のLEDランプ1の回動は、この自重重心位置Gxと支持孔134の水平方向のズレ分程度となり、この回動に伴うLEDランプ1の振れ幅を比較的小さく抑えられる。
【0082】
これに対し、図15(A)に示すように、支持孔134が自重重心位置Gxよりも発光部12に近い位置に配置した参考構成のLEDランプ1の場合、ソケット65から口金3が抜けると、図15(B)に示すように、支持孔134の鉛直上側に位置していた自重重心位置Gxが支持孔134の鉛直直下に移動するように、支持孔134を支点として大きく回動し、この回動に伴いLEDランプ1の振れ幅が比較的大きなものとなる。
【0083】
すなわち、本実施形態のように、自重重心位置Gxよりも口金3に近い位置に支持孔134を設けることで、ソケット65から口金3が抜けたときのLEDランプ1の回動の量を小さくできるから、LEDランプ1の振れ幅を比較的小さく抑えられる。
この結果、LEDランプ1が緩んでソケット65から仮に抜けて脱落したとしても、落下時の振れ幅が小さいことから看板等の被照射物との衝突を避け、また衝突したとしても、そのときの衝撃を抑えることができるので、LEDランプ1の破損を防止できる。
【0084】
このように、支持孔134に加わる衝撃が抑えられることから、LEDランプ1の筐体35に金属材よりも強度が低くなり易い樹脂材を用いることで軽量化を図りつつ、この筐体35に、落下防止用ワイヤ131の接続部(本実施形態では、支持孔134)を一体に形成した場合でも、その接続部の破損を防止できる。
【0085】
また、本実施形態では、放熱フィン25に支持孔134を設けたときに、当該支持孔134が自重重心位置Gxよりも口金3の側に位置するようにすべく、支持孔134よりも発光部12側に自重重心位置Gxが位置するように重量バランスが設計されている。
これにより、放熱フィン25に支持孔134を配設することができ、LEDランプ1をランプホルダー60に装着して使用したときに、支持孔134がランプホルダー60の中に入り込む事が無く、落下防止用ワイヤ131を簡単に接続することができる。
【0086】
なお、本実施形態では、落下防止用ワイヤ131の接続部として放熱フィン25に設けた支持孔134を例示したが、これに限らず、落下防止用ワイヤ131が接続可能な構造であれば、任意の構造を用いることができる。
また落下防止用ワイヤ131としては、建物やランプホルダー60などの安定した箇所に一端が接続固定されてLEDランプ1を支持する支持部材であれば、棒状や紐状の任意の部材を用いることができる。
【0087】
次いで、グローブ22のベース板13への取付構造について説明する。
グローブ22の取付構造としては、ベース板13に螺合させて取り付ける螺合構造が一般的に用いられている。しかしながら、螺合構造においては、グローブ22の取付時にグローブ22が何回転も回ることから、この回転によってOリング26のよじれによる歪みが生じ、シール性が低下する、といった問題がある。
そこで本実施形態では、グローブ22の取付構造を螺合構造ではなく、突起と溝の係合構造とすることで、グローブ22の取り付けに伴うOリング26の歪みを抑えることとしている。
【0088】
図16は、ベース板13の断面視図である。
この図16、及び前掲図1に示すように、ベース板13は側壁19を有するトレー状に形成されており、この側壁19の内周面には、全周に亘って1段の段部200が形成されている。段部200は、側壁19の下端19Bの側を上端19Aの側よりも内側に突出させて厚く形成したものであり、段部200の下端19Bの側の周面である下段周面200Aには、複数の案内保持溝201が形成されている。
一方、グローブ22は、前掲図3に示すように、縁部22Aが略筒状に垂直に延び、この縁部22Aの外周面には、外方に突出する複数の突起202が設けられている。グローブ22をベース板13に取り付ける際には、グローブ22の縁部22Aの突起202を、ベース板13の側壁19の案内保持溝201に係合させて保持させる。
【0089】
より具体的には、案内保持溝201は、図16に示すように、導入溝201Aと、保持溝201Bとを備える。導入溝201Aは、グローブ22の突起202を上端19Aの側から導入する溝であり、段部200の下段周面200Aに縦溝を設けて成る。また保持溝201Bは、この導入溝201Aに連続し、緩やかに下方に傾斜しながら周方向Xsに延びる横溝である。
グローブ22の突起202を案内保持溝201の導入溝201Aに入れて案内保持溝201に導入し、そして、グローブ22を回動させると、突起202が保持溝201Bに沿って緩やかに下方に案内されて、グローブ22がベース板13の側に押し込まれることとなる。
【0090】
グローブ22の縁部22Aには、図17に示すように、突起202の上方にフランジ203が形成されており、グローブ22の突起202が案内保持溝201に案内されてベース板13に押し込まれると、フランジ203が側壁19の上端19Aに当接し、押し込み不能となり、グローブ22がベース板13に保持される。
【0091】
また、グローブ22とベース板13の間には、上述の通り、これらの間の隙間からの水の浸入を防止するシール部材の一例としてのOリング26が設けられている。このOリング26は、ベース板13の段部200ではなく、グローブ22の縁部22Aの外周面(側壁19との対向面)に装着されている。具体的には、グローブ22のフランジ203の下方には、縁部22Aの全周に亘ってOリング係合突起204が設けられている。これらフランジ203とOリング係合突起204とによって、Oリング嵌込溝205が形成され、このOリング嵌込溝205にOリング26が嵌め込まれて装着される。
Oリング嵌込溝205に装着されたOリング26は、グローブ22をベース板13に取り付ける際に、ベース板13の側壁19の内周面とOリング嵌込溝205との間で押圧されて、グローブ22とベース板13の間をシールすることとなる。
また、本実施形態では、図示を省略するが、Oリング26とベース板13の側壁19の間に全周に亘ってコーキング剤を注入し、二重シール構造を構成している。また、コーキング剤を注入することで、案内保持溝201の導入溝201Aが封止され、導入溝201Aによって上面視で段部200に生じた穴が塞がられる。これにより、グローブ22が万が一緩んだとしても、突起202の出口である導入溝201Aは塞がれているので、グローブ22の落下を防ぐことができる。
【0092】
さて、かかるシール構造においては、グローブ22を回動しながらベース板13に取り付ける際、Oリング26がベース板13の側壁19によって摺擦されることから、グローブ22を取り付ける際の回転量が大きいと、側壁19からの摺擦によってOリング26によじれて歪みが発生し易くなる。
そこで本実施形態では、図16に示すように、上記案内保持溝201の保持溝201Bの周方向Xsに延びる長さLhを、下段周面200Aの全周よりも小さく、少なくとも半周より短く、より好ましくは、保持溝201Bの案内によるグローブ22の回動時の回動角が30度となるようにしている。これにより、螺合によってグローブ22を取り付ける構造に比べ、グローブ22を取り付ける際の回動量が保持溝201Bの周方向Xsの長さLhを限度に抑えられることから、Oリング26の歪みを減らし、防水性能の低下を防止できる。
【0093】
図18は、グローブ22をベース板13に螺合して取り付ける構造の参考構成図である。
この図に示すように、グローブ22の螺合構造としては、ベース板13の側壁19に段部200を形成し、この段部200の下段周面200Aにネジ溝210を形成して、グローブ22の縁部22Aを螺合する構造が有り得る。またOリング26を用いたシール構造としては、同図に示すように、段部200の上端面200BにOリング26を載置し、グローブ22のフランジ203で押圧してシールする構造が考えられる。
【0094】
しかしながら、グローブ22とベース板13の段部200の間でOリング26を挟むことから、グローブ22の螺合が緩み若干でもベース板13に対して上方に移動した場合には、グローブ22によるOリング26の押圧力が弱まり、防水性能が低下してしまう。
これに対して本実施形態では、Oリング26を、グローブ22の縁部22AのOリング嵌込溝205とベース板13の側壁19の間で挟み込んでいるため、グローブ22がベース板13に対して上方に移動したとしても、グローブ22の縁部22AのOリング嵌込溝205とベース板13の側壁19の間の隙間に大きな変化は無くOリング26の押圧力が維持されることから、シール性が弱まることが無い。
【0095】
また、グローブ22の突起202は、図18の螺合構造におけるネジ山と比較すると強度が劣るものの、グローブ22の取付状態においては、Oリング26による反発力は、グローブ22の縁部22AのOリング嵌込溝205とベース板13の側壁19の間に作用し、グローブ22のフランジ203を側壁19の段部200から押し上げる方向に作用することが無いから、Oリング26の反発力が突起202の負荷となるこがなく損傷を防止できる。
【0096】
さらに、図18の螺合構造においては、下段周面200Aにネジ溝210を設けることから、このネジ溝210のネジ山210Aの分だけ下段周面200Aが内側に突出して側壁19の厚みが増してしまう。これに加え、ネジ溝210の各溝の強度を維持するためには、ネジ山210Aの高さ方向を大きくして溝の間の厚みを増す必要があるから、側壁19の高さも高くなる。
このように、螺合構造においては、側壁19が厚く、また高くなることから体積が増え、筐体35の重量増加を招き、従来のガラス球のランプとの重量差が大きくなってしまう。また側壁19が高いことから、LED15から放射された光212の遮光量も多くなり、器具効率の低下を招いてしまう。
【0097】
これに対して、本実施形態では、側壁19にネジ溝210を設ける必要がないことから、側壁19の厚み、及び高さが抑えられ、筐体35の軽量化が図れるとともに、LED15の光の遮光量も小さくして、器具効率が高められる。
また、前掲図17に示すように、本実施形態では、グローブ22の縁部22Aの内周面に反射面215が設けられており、LED15から側壁19に入射する光212を反射することで、更に器具効率が高められている。
【0098】
なお、本実施形態では、グローブ22とベース板13の間をシールするシール部材にOリング26を用いているが、他の形状のパッキン部材等をシール部材として用いても良い。
【0099】
ところで、本実施形態のLEDランプ1は、前掲図1に示したランプホルダー60に装着して使用するだけではなく、露出状態のソケット65に装着して使用することもできる。ソケット65が屋外に設置されている場合には、ソケット65内部への水の浸入を防止するために、図19に示すように、略筒状の防水パッキン230で、ソケット65と口金3の装着部分Bxが覆われ、ソケット65の開口65Aからの水の浸入が防止されている。
さらに、防水パッキン230は可撓性を有し、LEDランプ1の筒状部2とソケット65を締め付けることから、LEDランプ1をソケット65に繋ぎ止めて脱落を防止する機能を有する。特に、本実施形態の防水パッキン230は、ソケット65に装着される側の胴部分であるソケット装着胴部238が当該ソケット65を強固に締め付けるように縮径し、これにより、防水パッキン230がソケット65に強固に結合されている。
【0100】
しかしながら、このLEDランプ1の筒状部2の外周面は、口金3に向けて細くなるテーパ面形状に形成されている。したがって、何ら対策を施さなければ、LEDランプ1とソケット65の螺合が緩み始めると、防水パッキン230とLEDランプ1の筒状部2との密着が悪くなり防水性が劣化する、という問題がある。さらに、LEDランプ1とソケット65の螺合が緩み始めると、防水パッキン230によるLEDランプ1の筒状部2の締め付けも弱くなることから、LEDランプ1のソケット65からの脱落防止機能が弱くなる。
【0101】
特に、このLEDランプ1は、比較的高出力であることから、屋外での看板照明やライトアップ照明の使用に適することから、近くの道路を走行する自動車等の振動を受け易く、この振動により、LEDランプ1とソケット65の螺合が緩み始めることがある。
また、看板等の被照射対象よりも高い位置に、口金3が発光部12よりも上になる姿勢で配置して被照射対象物を上方から照明する場合には、LEDランプ1の自重によってソケット65から脱落する方向に常に力が加わることから、一旦緩み始めると、そのまま脱落に至ることもある。
【0102】
そこで本実施形態にあっては、図19に示すように、筒状部2の外周面の口金3よりも上方の位置に、全周に亘って、防水パッキン230の上縁部230Aを係合させる係合構造部としての凸部232を設けるとともに、防水パッキン230の上縁部230Aの内周面には、凸部232と係合する凹部234を全周に亘って設けている。
これにより、LEDランプ1とソケット65の螺合が緩んだとしても、防水パッキン230の上縁部230Aが係合構造部としての凸部232に係合し続けることから、防水性が劣化することがない。またLEDランプ1がソケット65から脱落するには、防水パッキン230の上縁部230Aの凹部234を筒状部2の凸部232が乗り越える必要があるため、LEDランプ1の脱落抑制機能も得られ続ける。
【0103】
これに加え、筒状部2の凸部232と、防水パッキン230の凹部234とによって両者を係合させることから、凹凸の噛み合いによるシール性が得られ、防水パッキン230の上縁部230Aからの水の浸入を抑制できる。
さらに、防水パッキン230の内周面には、全周に亘って複数の凸部236が設けられており、これらの凸部236によっても、シール性が高められ、また防水パッキン230と筒状部2の間の摩擦力が高められることで一層の脱落抑制効果が得られるようになっている。
【0104】
なお、筒状部2には、凸部232の代わりに係合構造部として凹部を設け、防水パッキン230の上縁部230Aに凸部を設けて、これらを係合させる構成としても良い。
また、LEDランプ1を屋内で使用する場合には、防水パッキン230のように必ずしも防水性を有するパッキンを用いる必要はなく、LEDランプ1の筒状部2に装着され当該筒状部2を締め付ける筒状部材であり、当該筒状部2をソケット65に繋ぎ止める構造を備えるものであれば、任意の部材を用いることができる。
【0105】
以上説明したように、本実施形態によれば、次のような効果を奏する。
【0106】
すなわち、本実施形態によれば、グローブ22の縁部22Aの外周面には、全周に亘ってベース板13の側壁19との間で押圧されるOリング26を設けつつ、当該Oリング26の下方の位置に突起202を設け、ベース板13の側壁19の内周面には、グローブ22の突起202を上端19A側から導入し周方向に案内してグローブを保持する案内保持溝201を設ける構成とした。
この構成により、特に螺合によってグローブを取り付ける構造に比べ、グローブ22を取り付ける際の回動量を案内保持溝201による周方向の案内量程度に抑えられるから、グローブ取付時のシール部材の歪みを減らし、防水性能の低下を防止できる。
【0107】
また本実施形態によれば、グローブ22の縁部22Aの外周面には、全周に亘って設けたOリング嵌込溝205にOリング26を嵌め込み、ベース板13の側壁19の内周面とOリング嵌込溝205との間でOリング26を押圧してシールする構成とした。
この構成によれば、グローブ22がベース板13に対して上方に移動したとしても、グローブ22の縁部22AのOリング嵌込溝205とベース板13の側壁19の間の隙間に大きな変化は無くOリング26の押圧力が維持されることから、シール性が弱まることが無い。
また、Oリング26による反発力は、グローブ22の縁部22AのOリング嵌込溝205とベース板13の側壁19の間に作用し、グローブ22のフランジ203を側壁19の段部200から押し上げる方向に作用することが無いから、Oリング26の反発力が突起202の負荷となるこがなく損傷を防止できる。
【0108】
また本実施形態によれば、グローブ22の縁部22Aの内周面に、LED15から側壁19に入射する光212を反射する反射面215を設ける構成としたため、側壁19で遮光される光を照明に利用することができ器具効率が高められる。
【0109】
また本実施形態によれば、LED15を実装したLED基板16を載置したベース板13の裏面13Aに、筒状部2を中心に放射状に、筒状部2と隙間Sを空けて当該筒状部2に沿って延びる複数の放熱フィン25を設け、隣り合う2つの放熱フィン25の筒状部2側の端部同士を連結し、筒状部2との間に気流経路Fを形成する連結部105を設ける構成とした。これにより、気流経路Fを通る空気によって筒状部2の外周面を空冷することができ、筒状部の内部に収められた電気回路基板8を冷却することができる。
【0110】
特に、電気回路基板8の発熱部品8Xと筒状部2との間に、発熱部品8Xの熱を筒状部2に伝える熱伝導部材29Dを設けているため、電気回路基板8の発熱部品8Xの熱を効率良く冷却し、回路を安定動作させることができる。
【0111】
また本実施形態によれば、連結部105により連結されている放熱フィン25の組であるハの字状フィン101と他のハの字状フィン101との間に、気流を各ハの字状フィン101に分ける振分フィン103を設ける構成とした。
この構成によれば、振分フィン103でハの字状フィン101同士の間を通る気流が振り分けられることで、筒状部2の外周面での冷却ムラが生じ難くなり、均一に冷却できる。
【0112】
また本実施形態によれば、上記ハの字状フィン101を構成する放熱フィン25の間に、ベース板13の裏面13Aからの長さが放熱フィン25よりも短い短放熱フィン102を設ける構成とした。
この構成によれば、ベース板13の放熱性が補助され、より高出力のLED15が搭載可能になるとともに、長さが放熱フィン25よりも短く形成されているため、ハの字状フィン101内での空気の流通が阻害されることがなく、主たる放熱を担うハの字状フィン101の冷却性能を阻害する事がない。
【0113】
また本実施形態によれば、ベース板13の裏面13Aに、当該裏面13Aからの長さが短放熱フィン102よりも短く、かつ筒状部2の周りを囲む環状の複数の環状放熱フィンとしての外側環状フィン106、及び内側環状フィン107を設ける構成とした。
この構成によれば、外側環状フィン106、及び内側環状フィン107によって、ハの字状フィン101の内やハの字状フィン101同士の間の気流にランダム性が生じて滞留時間が長くなることから冷却性能が高められる。
【0114】
また実施形態によれば、LED15が取り付けられるベース板13とベース板13の裏面13Aに形成される複数の放熱フィン25とを樹脂で一体成形し、ベース板13及び放熱フィン25の厚さをベース板13の内周から外周に向けて漸次薄くなるよう形成することで、内周側の厚みのあるベース板13では放熱フィン25も厚くなり、外周側の薄いベース板13では放熱フィン25も薄くなるため、ベース板13の裏面13Aの放熱フィン25のフィン根元部25Bでの樹脂のヒケの発生を抑制でき、ベース板13の平面度を向上して効率良く放熱することができる。また、ベース板13の内周側では、厚みのあるベース板13の及び厚みのある放熱フィン25によって放熱フィン25の強度を確保できるとともに、外周側では、薄いベース板13及び薄い放熱フィン25によって放熱性を向上できる。
【0115】
また、本実施形態によれば、LED15は、ベース板13の内周側の内周側発光部15Bよりも外周側の外周側発光部15Aに多く取り付けられており、外周側の発熱量が大きくなるが、外周側のベース板13及びベース板13が薄く形成されており、ベース板13の外周側の熱抵抗が小さいため、効率良く放熱することができる。
また、本実施形態によれば、放熱フィン25の軸方向の長さを、ベース板13の内周から外周に向けて漸次短くなるよう形成するため、放熱フィン25に作用する曲げモーメントは、ベース板13の内周側ほど大きく外周側ほど小さくなるが、ベース板13及び放熱フィン25の厚さが内周から外周に向けて漸次薄くなるよう形成されており、ベース板13及び放熱フィン25を薄くできるため、放熱フィン25の強度及び放熱性を両立できる。
さらに、本実施形態によれば、放熱フィン25の厚さを、ベース板13の裏面13Aから口金3側に向けて漸次薄くなるよう形成したため、放熱フィン25の斜面が離型の際の抜きテーパとして機能し、ベース板13及び放熱フィン25の樹脂成型が容易になる。
【0116】
また、本実施形態によれば、LED15から延びるリード線21A,21Bが接続される口金3を先端に備えた絶縁筒部10の先端を袋部120とし、先端の外周に口金3が係止するねじ部33を有する終端10Aを備え、終端10Aの端面123Aよりも外方の上方に先端の袋部120を突出させ、袋部120の突出部122A,122Bにリード線21A,21Bが貫通する配線孔125A,125Bを備えたため、終端10Aの近傍に結露等の水が付着したとしても、この水は端面123Aよりも外方に突出した突出部122A,122Bの配線孔125A,125Bには入り難いため、配線孔125A,125BからLEDランプ1の筐体35内に水が侵入することを防止できる。
【0117】
また、本実施形態によれば、袋部120の内面には、一対のリード線21A,21Bを配線孔125A,125Bに導く一対の導入部127A,127Bが形成され、導入部127A,127Bは、袋部120の内面を2分割する仕切り壁126によって仕切られているため、仕切り壁126によって袋部120の内面を2分割して形成された一対の導入部127A,127Bによって導入部127A,127Bを対応する配線孔125A,125Bに確実にガイドでき、リード線21A,21Bの組付け性を向上できる。
【0118】
また、本実施形態によれば、導入部127A,127Bは、配線孔125A,125Bに向かって先細る錐状の窪みであるため、リード線21A,21Bを錐形状に沿わせるようにして、簡単に配線孔125A,125Bに通すことができる。
さらに、終端10Aの外周面には、配線孔125Bを通って外側に引き出されたリード線21Bが嵌め込まれる配線溝34が形成され、袋部120は、配線溝34よりも外方の上方に突出しているため、配線溝34の近傍の水が袋部120の配線孔125A,125BからLEDランプ1の筐体35内に侵入することを抑制できる。
【0119】
また、本実施形態によれば、ベース板13に形成される複数の放熱フィン25を備え、二つの放熱フィン25,25の間にピン130を掛け渡し、ピン130に落下防止用ワイヤ131を接続したため、放熱フィン25,25の間にピン130を掛け渡す簡単な構造で落下防止用ワイヤ131を接続できるとともに、二つの放熱フィン25,25の間にピン130を設けるため、ピン130を強固に放熱フィン25,25に設けることができ、確実にLEDランプ1の落下を防止できる。また、ピン130を固定するための専用の部材を設ける必要がない。
【0120】
また、本実施形態によれば、ピン130が掛け渡される放熱フィン25,25は、互いに略平行に設けられ、ピン130は、略平行な放熱フィン25,25に形成された支持孔134,134に支持され、略平行な放熱フィン25,25には支持孔134,134を容易に形成できるため、ピン130を放熱フィン25,25に簡単に設けることができる。
【0121】
また、本実施形態によれば、落下防止用ワイヤ131は、LEDランプ1を支持するランプホルダー60の外周面に巻き付けられるバンド133に連結されるため、バンド133をランプホルダー60の外周面に巻き付けて、このバンド133に落下防止用ワイヤ131を接続する簡単な構成で、LEDランプ1の落下を防止できる。また、バンド133をランプホルダー60に巻き付けるため、種々の形状のランプホルダーに対応できる。
さらに、LEDランプ1は、回転されることでランプホルダー60のソケット65に螺合され、バンド133は、バンド133の緊縛力を調整可能な調整部136を有し、緊縛力を緩めておくことで、バンド133は、ランプホルダー60の外周面上で回転可能であるため、落下防止用ワイヤ131を接続するとともに、バンド133をわずかに緩めてランプホルダー60の外周面上で回転可能とし、この状態でLEDランプ1を回転させてLEDランプ1の着脱作業を行うことができるため、着脱作業中のLEDランプ1の落下を防止できる。
【0122】
また本実施形態によれば、筒状部2の外周面には、筒状部2をソケット65に繋ぎ止める機能を有した筒状部材たる防水パッキン230と係合する構造を有した係合構造部としての凸部232を備える構成とした。
これにより、LEDランプ1とソケット65の螺合が緩んだとしても、防水パッキン230の上縁部230Aが防水パッキン係合部たる凸部232に係合し続けることから、防水性が劣化することがなく、また防水パッキン230の上縁部230Aと防水パッキン係合部たる凸部232の係合によって、LEDランプ1の脱落抑制効果も損なわれることがない。
【0123】
また本実施形態によれば、筒状部2の全周に亘り、防水パッキン230の上縁部230Aと係合する凸部232によって防水パッキン係合部を構成したため、この筒状部2の凸部232と防水パッキン230との噛み合いによってシール性が得られ、防水パッキン230の上縁部230Aからの水の浸入を抑制できる。
【0124】
また本実施形態によれば、防水パッキン230の内周面には、全周に亘る凸部236を有する構成としたため、防水性をより高めることができる。
【0125】
また本実施形態によれば、落下防止用ワイヤ131が接続される接続部としての支持孔134を、発光部12から口金3の間で、自重重心位置Gxより口金3に近い位置に設ける構成とした。
この構成により、口金3を発光部12よりも鉛直上方に配し、下方を照らす姿勢でLEDランプ1をソケット65に装着した状態において、ソケット65からLEDランプ1が脱落した場合でも、支持孔134よりも自重重心位置Gxが既に鉛直下方にあるため、脱落に伴うLEDランプ1の回動量を小さくでき当該回動によるLEDランプ1の振れ幅を小さくすることができ、LEDランプ1の近傍に在る例えば被照射物の看板等への衝突を避け、また衝突したとしても、そのときの衝撃を抑えることができる。
【0126】
また、本実施形態では、放熱フィン25に支持孔134を設けたため、LEDランプ1をランプホルダー60に装着して使用したときに、支持孔134がランプホルダー60の中に入り込む事が無く、落下防止用ワイヤ131を簡単に接続することができる。
【0127】
なお、上述した実施形態は、あくまでも本発明の一態様を示すものであり、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で任意に変形及び応用が可能である。
【符号の説明】
【0128】
1 LEDランプ(ランプ)
2 筒状部
3 口金
10A 終端(係止部)
13 ベース板(発光素子取付け部)
15 LED(発光素子)
21A,21B リード線
120 袋部
122A,122B 突出部(突出させた封止部)
125A,125B 配線孔(貫通孔)
126 仕切り壁
127A,127B 導入部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の発光素子が取付けられる発光素子取付け部と、前記発光素子取付け部から延び先端に口金が設けられた筒状部と、を備え、複数の前記発光素子に電気を供給するリード線を前記筒状部の内部を通して前記口金に接続したランプにおいて、
前記筒状部の先端を袋部とし、
前記先端の外周に前記口金が係止する係止部を備え、
前記係止部よりも外方に前記先端の袋部を突出させ、前記突出させた袋部に前記リード線が貫通する貫通孔を備えたことを特徴とするランプ。
【請求項2】
前記貫通孔は一対で設けられ、前記袋部の内面には、一対の前記リード線を前記各貫通孔に導く一対の導入部が形成され、当該導入部は、前記内面を2分割する仕切り壁によって仕切られていることを特徴とする請求項1記載のランプ。
【請求項3】
一対の前記導入部は、前記貫通孔に向かって先細る錐状の窪みであることを特徴とする請求項2記載のランプ。
【請求項4】
前記係止部の外周面には、前記貫通孔を通って外側に引き出された前記リード線が嵌め込まれる溝部が形成され、前記袋部は、前記溝部よりも外方に突出していることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載のランプ。
【請求項1】
複数の発光素子が取付けられる発光素子取付け部と、前記発光素子取付け部から延び先端に口金が設けられた筒状部と、を備え、複数の前記発光素子に電気を供給するリード線を前記筒状部の内部を通して前記口金に接続したランプにおいて、
前記筒状部の先端を袋部とし、
前記先端の外周に前記口金が係止する係止部を備え、
前記係止部よりも外方に前記先端の袋部を突出させ、前記突出させた袋部に前記リード線が貫通する貫通孔を備えたことを特徴とするランプ。
【請求項2】
前記貫通孔は一対で設けられ、前記袋部の内面には、一対の前記リード線を前記各貫通孔に導く一対の導入部が形成され、当該導入部は、前記内面を2分割する仕切り壁によって仕切られていることを特徴とする請求項1記載のランプ。
【請求項3】
一対の前記導入部は、前記貫通孔に向かって先細る錐状の窪みであることを特徴とする請求項2記載のランプ。
【請求項4】
前記係止部の外周面には、前記貫通孔を通って外側に引き出された前記リード線が嵌め込まれる溝部が形成され、前記袋部は、前記溝部よりも外方に突出していることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載のランプ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図2】
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【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【公開番号】特開2013−84440(P2013−84440A)
【公開日】平成25年5月9日(2013.5.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−223361(P2011−223361)
【出願日】平成23年10月7日(2011.10.7)
【出願人】(000000192)岩崎電気株式会社 (533)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年5月9日(2013.5.9)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年10月7日(2011.10.7)
【出願人】(000000192)岩崎電気株式会社 (533)
【Fターム(参考)】
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