説明

リセット装置

【課題】 ユーザの誤操作によって制御手段が強制的にリセット動作を実行してしまうことを防止するリセット装置を提供すること。
【解決手段】 第1操作部2が操作され、リセット制御部に開始信号が供給されている間に、第2操作部5が操作され、パルス信号がリセット制御部に供給されることにより、リセット制御部は、パルス信号のハイレベルの回数をカウントする。ハイレベルの回数が所定回数に達すると、リセット制御部は、リセット信号をマイコン10に供給する。従って、第1操作部2、第2操作部5の少なくとも一方が操作されないとマイコン10にリセット信号が供給されないので、マイコン10をリセット動作させる意思がないにもかかわらず、誤操作によってマイコン10がリセット動作することを防止することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、制御手段が暴走した際に、制御手段をユーザ操作によって強制的にリセット動作させるリセット装置に関する。
【背景技術】
【0002】
各種の電子機器に使用されるマイコンやCPU等の制御手段がプログラムの異常によって暴走した際には、ユーザ操作によって、マイコンをリセット動作させることによって、暴走状態から正常状態に復帰させる必要がある。従来では、ユーザ操作によって電源キースイッチが所定時間以上押下された際に、マイコンがリセット動作を実行する。しかし、マイコンを強制リセットさせる意思がないにもかかわらず、ユーザの誤操作によって電源キースイッチを所定時間以上押下してしまった場合には、マイコンが誤ってリセット動作してしまうという問題がある。
【0003】
下記特許文献1は、以下のリセット装置を記載する。すなわち、電源KEY01がユーザから押下されることによりONになると、電源KEY01における信号(電位)はLowになり、カウンタ12が分周クロック14に同期してカウントを開始する。この分周クロック14は、Clock15が分周回路19により遅いクロックとされたものである。ここで、パルス幅設定値03に予め格納されたカウント値を“n”とすると、カウンタ12でのカウント値が“n”になったときに比較器11がカウント値の一致を検知し、Lowパルス(リセット信号)を発生させ、CPU06はリセットされる。
【0004】
特許文献1においても、ユーザの誤操作によって電源キースイッチを所定時間以上押下してしまった場合には、マイコンが誤ってリセット動作してしまうという問題がある。
【0005】
また、下記特許文献2は、以下のリセット装置を記載する。スイッチ同時押圧時間検出回路(OR,TE)を設け、スイッチ同時押圧時間検出回路で、電源スイッチ(S1)と、少なくとももう1個のスイッチ(S2)とが所定時間以上同時に押圧されたことを検出した時に、スイッチ同時押圧時間検出回路からリセット信号(/RST)を前記CPUのリセット入力端子に出力して、CPUをリセットする。
【0006】
特許文献2においては、単純にスイッチS1、S2を長押しすることによってローレベルの信号を積分回路TEに供給しているだけであるので、同様にユーザの誤操作によってスイッチS1,S2を所定時間以上押下してしまった場合には、マイコンが誤ってリセット動作してしまうという問題がある。また、抵抗R1とコンデンサC1との時定数によって押圧時間を検出しているので、リセット完了後にコンデンサの電圧が元に戻るまでに時間がかかるという問題もある。
【0007】
【特許文献1】特開2004−140457号公報
【特許文献2】特開平11−95875号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は上記従来の課題を解決するためになされたものであり、その目的は、ユーザの誤操作によって制御手段が強制的にリセット動作を実行してしまうことを防止するリセット装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の好ましい実施形態によるリセット装置は、制御手段にリセット信号を供給するリセット装置であって、ユーザによって操作可能である第1操作部と、 前記第1操作部が操作されていることを検出すると共に、前記第1操作部が操作されていることを検出している間、開始信号を後記リセット制御部に供給し、前記第1操作部が操作されていないことを検出している間、前記開始信号を後記リセット制御部に供給しない検出部と、ユーザによって操作可能であり、ユーザによって所定操作がなされている間、パルス信号を生成し後記リセット制御部に供給する第2操作部と、前記開始信号が供給されていないとき前記パルス信号の第1レベルの回数をカウントせず、前記開始信号が供給されている間、前記パルス信号の前記第1レベルの回数をカウントし、前記パルス信号の第1レベルの回数が所定回数に達したときに、前記リセット信号を前記制御手段に供給するリセット制御部とを備える。
【0010】
好ましくは、前記リセット制御部が、前記開始信号と前記パルス信号とが供給され、前記パルス信号の第1レベルの回数をカウントしている際に、前記開始信号の供給が停止された場合には、前記第1のレベルのカウントを終了し、前記第1レベルの回数をクリアする。
【0011】
好ましくは、リセット装置は、前記検出部によって前記第1操作部が操作されていないことが検出されているとき、前記パルス信号の前記リセット制御部への供給を禁止し、前記検出部によって前記第1操作部が操作されていることが検出されているとき、前記パルス信号の前記リセット制御部への供給を許可するパルス信号入力制御部をさらに備える。
【0012】
好ましくは、前記検出部が第1トランジスタを含み、エミッタが接地電位に接続され、コレクタにはハイレベルの信号が供給され、ベースが第1操作部に接続され、前記リセット制御部がシフトレジスタと第2トランジスタとを含み、前記シフトレジスタのクリア端子が前記第1トランジスタのコレクタに接続され、前記シフトレジスタのクロック入力端子には前記パルス信号が供給可能であり、前記シフトレジスタの2つのデータ入力端子には常にハイレベルの信号が供給され、前記シフトレジスタの1つの出力端子が前記第2トランジスタのベースに接続され、前記第2トランジスタのエミッタが接地電位に接続され、前記第2トランジスタのコレクタが前記制御手段のリセット端子に接続されている。
【0013】
好ましくは、前記第1操作部がキースイッチを含み、前記第2操作部がジョグダイアルを含み、前記第2操作部の所定操作が前記ジョグダイアルの回転操作である。
【発明の効果】
【0014】
第1操作部が操作され、リセット制御部に開始信号が供給されている間に、第2操作部が操作され、パルス信号がリセット制御部に供給されることにより、リセット制御部は、パルス信号の第1レベル(例えばハイレベル)の回数をカウントする。第1レベルの回数が所定回数に達すると、リセット制御部は、リセット信号を制御手段に供給する。従って、第1操作部、第2操作部の少なくとも何れか一方が操作されないと制御手段にリセット信号が供給されず、しかも第2操作部の操作はパルス信号を発生させるべき所定操作であって単純な長押し操作ではないので、制御手段をリセット動作させる意思がないにもかかわらず、誤操作によって制御手段がリセット動作することを防止することができる。すなわち、第2操作部の操作によって第1操作部の操作継続時間をカウントするためのパルス信号を生成していることが本発明の重要な特徴の1つである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明の好ましい実施形態について説明するが、本発明はこれらの実施形態には限定されない。図1は、本発明の好ましい実施形態によるリセット装置1の概念図である。リセット装置1は、第1操作部2と、検出部3と、パルスカウント部4と、第2操作部5と、リセット信号生成部6とを備えている。なお、パルスカウント部4とリセット信号生成部6とによってリセット制御部が構成されている。
【0016】
リセット装置1は、ユーザ操作によって第1操作部2が操作され、かつ、ユーザ操作によって第2操作部5が操作されている状態が所定時間以上継続した場合に、制御手段(例えばマイコン)10にリセット信号を供給する。
【0017】
第1操作部2は、ユーザによって操作されるものであり、操作されていないときハイレベルの信号を検出部3に供給し、操作されているときローレベルの信号を検出部3に供給する。検出部3は、第1操作部2が操作されていることを検出する。検出部3は、ハイレベルの信号が供給されているとき、第1操作部2が操作されていないことを検出し、パルスカウント部4に開始信号(例えばハイレベルの信号)を供給しない。また、検出部3は、ローレベルの信号が供給されているとき、第1操作部2が操作されていることを検出し、パルスカウント部4に開始信号を供給する。第2操作部5は、ユーザによって操作されるものであり、操作されていないときパルス信号をパルスカウント部4に供給せず、操作されているとき所定の周期を有するパルス信号をパルスカウント部4に供給する。パルス信号は、ハイレベル及びローレベルの2値を有する信号である。第2操作部5の操作によって第1操作部2の操作継続時間をカウントするためのパルス信号を生成していることが本発明の重要な特徴の1つである。
【0018】
パルスカウント部4は、開始信号が供給されている(すなわち、第1操作部2が操作されている)期間に、パルス信号のハイレベルの回数をカウントし、その回数が所定回数に達した(すなわち所定時間以上、第1操作部2と第2操作部5とが操作され続けた)ときにハイレベルの信号をリセット信号生成部6に供給する。リセット信号生成部6は、パルスカウント部4からハイレベルの信号が供給されたときに、ハイレベルの信号に基づいてローレベルのリセット信号を生成し、マイコン10のリセット端子に供給する。マイコン10は、リセット信号が供給されると、リセット動作を実行する。
【0019】
以上のように、ユーザ操作によって、所定時間継続して、第1操作部2と第2操作部5とが操作され続けて初めてマイコン10にリセット信号が供給されるので、ユーザの誤操作によるマイコン10のリセット動作をより確実に防止することができる。以下、詳細に説明する。
【0020】
図2は、リセット装置1の詳細を示す回路図である。第1操作部2は、電源キースイッチ(以下、キースイッチという。)S1を含む。キースイッチS1の一端は接地電位に接続され、その他端は後述するトランジスタQ1のベースと、マイコン10の割り込み端子(図示せず)とに接続されている。また、キースイッチS1の他端には、抵抗R1を介して電源電圧VDDが供給されている。キースイッチS1が押下されていないときには、トランジスタQ1のベースにハイレベルの信号(電源電圧VDD)が供給され、キースイッチS1が押下されているときには、トランジスタQ1のベースにローレベルの信号(接地電位)が供給される。
【0021】
検出部3は、トランジスタQ1を含む。トランジスタQ1は、例えば、ベースがスイッチS1の他端と、抵抗R1を介して電源電圧VDDとに接続され、エミッタが接地電位に接続されている。また、トランジスタQ1のコレクタは、抵抗R2を介して電源電圧VDDに接続され、後述するシフトレジスタQ2のクリア端子CLRと、抵抗R3を介してダイオードD1のアノードとに接続されている。トランジスタQ1は、キースイッチS1が押下されておらずベースにハイレベルの信号が供給されているときにオン状態になり(スイッチS1が操作されていないことを検出し)、シフトレジスタQ2のクリア端子CLRにローレベルの信号を供給する(開始信号を供給しない)。また、トランジスタQ1がオン状態になるとダイオードD1のアノード電圧がローレベル(接地電位)になるので、ダイオードD1がオフすることにより、後述するジョグダイアル5からのパルス信号がシフトレジスタQ2のクロック入力端子CKに入力されることが阻止される。
【0022】
一方、トランジスタQ1は、キースイッチS1が押下されておりベースにローレベルの信号が供給されているときにオフ状態になり(キースイッチS1が操作されていることを検出し)、シフトレジスタQ2のクリア端子CLRにハイレベルの信号を供給する(開始信号を供給する)。また、トランジスタQ1がオフ状態になるとダイオードD1のアノード電圧がハイレベル(電源電圧VDD)になるので、ダイオードD1がオン可能な状態になり、ジョグダイアル5からのパルス信号がシフトレジスタQ2のクロック入力端子CKに入力されることが許可される。
【0023】
第2操作部5は、例えば、回転式操作部であるジョグダイアルを含む。ジョグダイアル自体は、電子機器に一般的に使用されるものが適用される。ジョグダイアル5は、図示しない回転式ツマミと、スイッチS2〜S4と、抵抗R4,R5と、ダイオードD2とを備えている。スイッチS2の一端は、抵抗R4及びダイオードD2を介して3.3V電圧が供給されており、かつ、抵抗R7及びダイオードD1を介してシフトレジスタQ2のクロック入力端子CKに接続され、その他端は接地電位に接続されている。スイッチS3の一端は、抵抗R5及びダイオードD2を介して3.3V電圧が供給されており、その他端は接地電位に接続されている。
【0024】
ジョグダイアル5がユーザ操作によって回転されると、スイッチS2が所定周期でオンオフ動作繰り返し、その結果、パルス信号JOGAが抵抗R7及びダイオードD1を介してシフトレジスタQ2のクロック入力端子CKに入力される。詳細には、スイッチS2は、オン状態のときにローレベル(接地電位)であり、オフ状態のときにハイレベル(3.3V電圧)であるパルス信号JOGAをシフトレジスタQ2に供給する。なお、スイッチS3によって出力されるパルス信号JOGBは、本実施形態のリセット動作には使用されず、電子機器の他の制御に使用される。
【0025】
パルスカウント部4は、シフトレジスタQ2を含む。シフトレジスタQ2は、例えば、74VHC164という製品名で市販されている8ビットのシフトレジスタが適用される。シフトレジスタQ2は、データ入力端子A,B、クロック入力端子CK、クリア端子CLR、電源入力端子VCC、8つの出力端子QA〜QHを有している。データ入力端子A,Bには電源電圧VDDが常に入力されており、常にハイレベルになっている。クロック入力端CKは、コンデンサC1を介して接地電位に接続され、抵抗R3とダイオードD1のアノードとに接続されており、トランジスタQ1がオフ状態のときに、ジョグダイアル5からのパルス信号JOGAが入力可能になっている。クリア端子CLRは、トランジスタQ1のコレクタに接続され、かつ、抵抗R2を介して電源電圧VDDに接続されている。クリア端子CLRは、トランジスタQ1がオン状態のときにはローレベルの信号(接地電位)が入力され、トランジスタQ1がオフ状態のときにはハイレベルの信号(開始信号)が入力される。出力端子QHは、パルスカウント部4の出力端になっており、リセット信号生成回路6の入力に接続されている。
【0026】
シフトレジスタQ2の真理値表を図3に示す。シフトレジスタQ2は、クリア端子CLRがハイレベルであって、パルス信号JOGAが最初にローレベルからハイレベルに変わるときに、データ入力端子A,Bの状態がどちらもハイレベルであれば出力端子QAにハイレベルが出力される(真理表の5行目)。このとき、他の出力端子QB〜QHはローレベルである。次にパルス信号JOGAがローレベルからハイレベルに変わるときに、出力端子QAの状態は出力端子QBに移行し、出力端子QAには新たにデータ入力端子A,Bの状態で決められたレベルが出力される。同様に、その後パルス信号JOGAがローレベルからハイレベルに変わる度に、出力端子QA〜QHへと状態は隣の桁に移行する。なお、クリア端子CLRがローレベルになると、出力端子QA〜QHはすべてローレベルになる(真理表の1行目)。その結果、シフトレジスタQ2は、ジョグダイアル5からのパルス信号JOGAのハイレベルへの変化の回数をカウントし、8回カウントした際に、出力端子QHからハイレベルの信号を出力することができる。
【0027】
なお、マイコン10をリセット動作させるまでの時間を短くする場合には、例えば、出力端子QEをパルスカウント部4の出力端とすることによって、パルス信号のハイレベルの回数が5回に達した際にリセット信号を出力することができる。
【0028】
リセット信号生成部6は、コンデンサC2、抵抗R6、ダイオードD3、トランジスタQ3を含む。コンデンサC2の一端はシフトレジスタQ2の出力端子QHに接続され、他端は抵抗R6の一端と、ダイオードD3のカソードと、トランジスタQ3のベースとに接続されている。抵抗R6の他端と、ダイオードD3のアノードとは接地電位に接続されている。トランジスタQ3のエミッタは接地電位に接続され、コレクタはマイコン10のリセット端子と、抵抗R8を介して3.3V電源とに接続されている。コンデンサC2と抵抗R6とによって微分回路が構成され、シフトレジスタQ2から出力されるハイレベルの信号の微分波形を生成し、トランジスタQ3のベースに供給する。トランジスタQ3は、ベースに供給される微分波形が導通開始電圧を越えたときにオン状態になって、マイコン10のリセット端子を接地電位に接続させることにより、マイコン10にローレベルのリセット信号を供給する。
【0029】
以上の構成を有するリセット装置1について、その動作を説明する。まず、ユーザ操作によってキースイッチS1もジョグダイアル5も操作されていない場合を説明する。キースイッチS1がオフ状態であるので、トランジスタQ1はオン状態であり、シフトレジスタQ2のクリア端子CLRはローレベルになっている。従って、シフトレジスタQ2は、パルス信号JOGAのハイレベルの回数をカウントしない。また、ジョグダイアル5が操作されていないので、ジョグダイアル5からパルス信号JOGAが出力されていない。従って、シフトレジスタQ2の出力端子QHからはローレベルの信号が出力されており、マイコン10のリセット動作は実行されない。
【0030】
次に、ユーザ操作によってキースイッチS1とジョグダイアル5とが操作される場合を説明する。キースイッチS1がオン状態であるので、トランジスタQ1はオフ状態になり、シフトレジスタQ2のクリア端子CLRにハイレベルの信号(開始信号)が供給され、シフトレジスタQ2によるパルス信号JOGAのカウント動作が開始される。また、ダイオードD1のアノード電圧がハイレベルになるので、パルス信号JOGAのシフトレジスタQ2のクロック入力端子CKへの入力が許可される。ここで、ジョグダイアル5が回転されることにより、スイッチS2が所定周期でオンオフ動作を実行し、所定周期のパルス信号JOGAがダイードD1のカソードに出力される。パルス信号JOGAがローレベルのときにはダイオードD1のアノードからカソード側に電流が流れることによってシフトレジスタQ2のクロック入力端子CKはローレベルになる。一方、パルス信号JOGAがハイレベルのときには電源電圧VDDがクロック入力端子CKに入力されるので、クロック入力端子はハイレベルになる。その結果、パルス信号JOGAがシフトレジスタQ2のクロック入力端子CKに入力されることになる。
【0031】
ジョグダイアル5の回転が継続され、シフトレジスタQ2によってパルス信号JOGAのローレベルからハイレベルへの立ち上がりが8回カウントされたとき、シフトレジスタQ2は、出力端子QHからの出力信号をローレベルからハイレベルに反転させる。ハイレベルの信号はコンデンサC2,抵抗R6で微分され、トランジスタQ3のベースに供給される。トランジスタQ3がオン状態になることにより、マイコン10のリセット端子にローレベルのリセット信号が入力される。その結果、マイコン10を強制的にリセット動作させることができる。
【0032】
以上のように、ユーザ操作によって、キースイッチS1を押下している間にジョグダイアル5の回転が、パルス信号JOGAの8回のハイレベルがカウントさせる時間継続されることによって、はじめてマイコン10をリセット動作させることができる。従って、ユーザの誤操作でマイコン10が強制的にリセット動作されることを防止することができる。特に、キースイッチS1の操作は押圧操作であり、ジョグダイアル5の操作は回転操作であり、2つの操作部の操作種別が異なるので、ユーザの誤操作をより確実に防止できる。
【0033】
ここで、キースイッチS1を押下しながらジョグダイアル5を回転操作している途中で、ユーザがマイコン10をリセット動作させる意思がなくなった場合、又は、誤操作であることに気が付いた場合には、キースイッチS1又はジョグダイアル5の少なくとも一方の操作を中止することによって、マイコン10のリセット動作を実行させないようにすることができる。
【0034】
例えば、ジョグダイアル5の回転操作を停止した場合には、シフトレジスタQ2のクロック入力端子CKにパルス信号JOGAが入力されなくなる。その結果、シフトレジスタQ2は、パルス信号JOGAのハイレベルのカウントを停止し、出力端子QHからハイレベルの信号を出力しないので、マイコン10はリセット動作を実行することはない。
【0035】
または、キースイッチS1の押下を解除した場合には、トランジスタQ1がオン状態になるので、シフトレジスタQ2のクリア端子CLRにはローレベルの信号が入力される。従って、シフトレジスタQ2の出力端子QHの出力はパルス信号JOGAやデータ入力端子A,Bの状態に関わらずローレベルの信号になるので、マイコン10がリセット動作を実行することはない。また、シフトレジスタQ2のクリア端子CLRにはローレベルの信号が入力されると、パルス信号JOGAのハイレベルのカウントを停止し、これまでカウントしてきたハイレベルの回数が0にクリアされる。従って、マイコン10をリセット動作させるためには、再度、キースイッチS1を押下しながら、パルス信号のハイレベルが最初から8回カウントされるまでジョグダイアルを回転させる必要がある。
【0036】
なお、トランジスタQ1がオン状態になると、ダイオードD1のアノード電圧がローレベルになるので、パルス信号JOGAがシフトレジスタQ2のクロック入力端子CKに入力されることが阻止される。さらに、ダイオードD1がオフ状態になっているので、ジョグダイアル5において、スイッチS2と抵抗R4との接続ノードがローレベルになることを防止することもできる。
【0037】
同様に、キースイッチS1とジョグダイアル5とが操作されていない状態から、マイコン10をリセット動作させる意思がないにかかわらずユーザの誤操作によってキースイッチS1が押下された場合にも、ジョグダイアル5からパルス信号JOGAがシフトレジスタQ2のクロック入力端子CKに入力されないので、シフトレジスタQ2は出力端子QHからハイレベルの信号を出力することはなく、マイコン10がリセット動作されることはない。
【0038】
また、キースイッチS1とジョグダイアル5とが操作されていない状態から、マイコン10をリセット動作させる意思がないにかかわらずユーザの誤操作によってジョグダイアル5が回転された場合にも、シフトレジスタQ2のクリア端子CLRがローレベルになっているので、シフトレジスタQ2は出力端子QHからハイレベルの信号を出力することはなく、マイコン10がリセット動作されることはない。
【0039】
以上のように、本実施形態によると、ユーザの誤操作でマイコン10が強制リセットされることを防止できる。
【0040】
次に、本発明の別の実施形態によるリセット装置21を、図4を参照して説明する。リセット装置21は、第2操作部5Bがジョグダイアルの代わりにキースイッチS21に変更されている点で図2のリセット装置1と異なり、その他は同じである。キースイッチS21によってパルス信号JOGAを生成するためには、ユーザ操作として、キースイッチS21を所定回数オン操作とオフ操作とを繰りかえす、つまり、キースイッチS21を所定回数で連打する必要がある。
【0041】
以上、本発明の好ましい実施形態を説明したが、本発明はこれらの実施形態には限定されない。上記各スイッチ素子の極性は、上記の実施形態に限定されない。つまり、上記回路の接続構成は本発明を実現するための一例に過ぎないが、本例の回路構成を採用することで、より簡単な回路構成で上記効果をきわめて良好に達成することができる。
【産業上の利用可能性】
【0042】
本発明は、マイコン等の制御手段を備えるオーディオ機器等に好適に採用され得る。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】本発明の好ましい実施形態によるリセット装置1を示す概念図である。
【図2】本発明の好ましい実施形態によるリセット装置1を示す詳細回路図である。
【図3】シフトレジスタQ2の真理値表である。
【図4】本発明の別の好ましい実施形態によるリセット装置1を示す詳細回路図である。
【符号の説明】
【0044】
1 リセット装置
2 第1操作部
3 検出部
4 パルスカウント部
5 第2操作部
6 リセット信号生成部
10 制御手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
制御手段にリセット信号を供給するリセット装置であって、
ユーザによって操作可能である第1操作部と、
前記第1操作部が操作されていることを検出すると共に、前記第1操作部が操作されていることを検出している間、開始信号を後記リセット制御部に供給し、前記第1操作部が操作されていないことを検出している間、前記開始信号を後記リセット制御部に供給しない検出部と、
ユーザによって操作可能であり、ユーザによって所定操作がなされている間、パルス信号を生成し後記リセット制御部に供給する第2操作部と、
前記開始信号が供給されていないとき前記パルス信号の第1レベルの回数をカウントせず、前記開始信号が供給されている間、前記パルス信号の前記第1レベルの回数をカウントし、前記パルス信号の第1レベルの回数が所定回数に達したときに、前記リセット信号を前記制御手段に供給するリセット制御部とを備える、リセット装置。
【請求項2】
前記リセット制御部が、前記開始信号と前記パルス信号とが供給され、前記パルス信号の第1レベルの回数をカウントしている際に、前記開始信号の供給が停止された場合には、前記第1レベルのカウントを終了し、前記第1レベルの回数をクリアする、請求項1に記載のリセット装置。
【請求項3】
前記検出部によって前記第1操作部が操作されていないことが検出されているとき、前記パルス信号の前記リセット制御部への供給を禁止し、前記検出部によって前記第1操作部が操作されていることが検出されているとき、前記パルス信号の前記リセット制御部への供給を許可するパルス信号入力制御部をさらに備える、請求項1または2に記載のリセット装置。
【請求項4】
前記検出部が第1トランジスタを含み、そのエミッタが接地電位に接続され、そのコレクタにはハイレベルの信号が供給され、そのベースが第1操作部に接続され、
前記リセット制御部がシフトレジスタと第2トランジスタとを含み、前記シフトレジスタのクリア端子が前記第1トランジスタのコレクタに接続され、前記シフトレジスタのクロック入力端子には前記パルス信号が供給可能であり、前記シフトレジスタの2つのデータ入力端子には常にハイレベルの信号が供給され、前記シフトレジスタの1つの出力端子が前記第2トランジスタのベースに接続され、前記第2トランジスタのエミッタが接地電位に接続され、前記第2トランジスタのコレクタが前記制御手段のリセット端子に接続されている、請求項1〜3のいずれかに記載のリセット装置。
【請求項5】
前記第1操作部がキースイッチを含み、前記第2操作部がジョグダイアルを含み、前記第2操作部の所定操作が前記ジョグダイアルの回転操作である、請求項1〜4のいずれかに記載のリセット装置。

【図1】
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【図2】
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【図4】
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【図3】
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【公開番号】特開2009−282682(P2009−282682A)
【公開日】平成21年12月3日(2009.12.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−133164(P2008−133164)
【出願日】平成20年5月21日(2008.5.21)
【出願人】(000000273)オンキヨー株式会社 (502)
【Fターム(参考)】