説明

リレーノードシミュレーター及び試験方法

【課題】基地局、リレーノード、及び被試験端末の位置関係に応じた、基地局からの信号とリレーノードからの信号とを模擬することが可能なリレーノードシミュレーターを提供する。
【解決手段】基地局からの第1のRF信号を中継して第2のRF信号として移動体通信端末へ送信するリレーノードを模擬し、第1のRF信号と第2のRF信号とが多重された信号を模擬した試験信号を試験対象の移動体通信端末に送信するリレーノードシミュレーターであって、第1のベースバンド信号に基づいて第2のベースバンド信号を生成するリレーノード処理部と、第2のベースバンド信号に所定の遅延を与える遅延処理部と、第1のベースバンド信号のレベルを変更するゲイン調整部と、第1のベースバンド信号と第2のベースバンド信号とを加算する加算器と、この加算された信号をRF信号に変換して試験信号として送信する送信部とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基地局と移動体通信端末との間の通信を中継するリレーノードを模擬するための、リレーノードシミュレーターの技術に関する。
【背景技術】
【0002】
次世代移動通信システムの無線アクセス方式として、LTE(Long Term Evolution)を更に発展させたLTE−Advancedの標準化が、3GPPにより進められている。LTE−Advancedでは、レイヤ3レベルで基地局と移動体通信端末との間の無線信号を再生中継するリレー技術が検討されている。このようなリレー技術が用いられたリレーノードを適用することで、交換局及び無線基地局等の移動通信システムを構成する装置間を有線で接続するための有線バックホール回線の確保が困難な場所等における、効率的なカバレッジの拡大が期待されている(特許文献1)。
【0003】
このようなリレーノードでは、基地局とリレーノードとの間の無線バックホール回線と、リレーノードと移動体通信端末との間の無線アクセス回線とを、同一周波数で運用する場合がある。このような場合には、これらの回線間で十分なアイソレーションが確保されていない場合には、送信信号がリレーノードの受信部に回り込み、干渉を引き起こす。そのため、同一周波数で運用する場合には、無線バックホール回線及び無線アクセス回線の無線リソースを時分割多重(TDM:Time Division Multiplexing)し、リレーノードにおいて送受信が同時に行われないように制御される。これにより、移動体通信端末は、基地局から送信された信号と、リレーノードから送信された信号とを時分割で受信する。これにより、基地局が信号を配信するエリアとリレーノードが信号を配信するエリアとが重複する場合においても、これらの信号が互いに干渉せずに移動体通信端末に受信される。なお、前述の構成の他に、基地局から継続して信号を出力し、基地局からの信号とリレーノードからの信号とに対してリソースエレメントの割当てを制御することで、これらの信号の干渉を防止する構成も検討されているが、このような構成にも対しても、本発明は適用できる。以降では、前述の時分割多重の構成を例として説明する。
【0004】
しかしながら、基地局、リレーノード、及び移動体通信端末の位置関係によっては、各信号のレベルが変動したり、いずれかの信号に遅延が生じる場合がある。例えば、基地局から送信された信号のレベルは、移動体通信端末により受信されるまでに、基地局と移動体通信との間の距離に応じて減衰する。同様に、リレーノードから送信された信号のレベルは、移動体通信端末により受信されるまでに、リレーノードと移動体通信との間の距離に応じて減衰する。また、いずれかの信号に遅延が生じた場合には、これらの信号間で干渉が生じる場合がある。そのため、このような信号のレベルの変動や遅延が生じた場合を想定して、被試験端末である移動体通信端末の動作を検証する必要があり、このような環境を模擬するシミュレーターが求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2011−82678号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
この発明は、基地局、リレーノード、及び被試験端末の位置関係に応じた、基地局からの信号とリレーノードからの信号とを模擬することが可能なリレーノードシミュレーターを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、基地局からの第1のRF信号を中継して第2のRF信号として移動体通信端末へ送信するリレーノードを模擬し、前記第1のRF信号と前記第2のRF信号とが多重された信号を模擬した試験信号を試験対象の移動体通信端末に送信するリレーノードシミュレーターであって、前記第1のRF信号に対応する第1のベースバンド信号を受けて、当該第1のベースバンド信号に基づいて前記第2のRF信号に対応する第2のベースバンド信号を生成するリレーノード処理部(12)と、前記第2のベースバンド信号に所定の遅延を与える遅延処理部(132)と、前記第1のベースバンド信号を受けて、当該第1のベースバンド信号のレベルを変更するゲイン調整部(143)と、レベルが変更された前記第1のベースバンド信号と、前記遅延が与えられた前記第2のベースバンド信号とを加算する加算器(15)と、この加算された信号をRF信号に変換して前記試験信号として送信する送信部(16)と、を備えたことを特徴とするリレーノードシミュレーター(10)である。
また、請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のリレーノードシミュレーターであって、前記第1のベースバンド信号のレベル(Penb)を検出するレベル検出部(141)と、前記第1のRF信号のレベルと前記第2のRF信号のレベルとのレベル差の所望値(Guser)を入力するための操作部(18)と、検出された前記第1のベースバンド信号のレベルと、前記レベル差の所望値とに基づきゲインを決定するゲイン決定部(142)と、を備え、前記ゲイン調整部は、決定された前記ゲインにより、前記第1のベースバンド信号のレベルを変更することを特徴とする。
また、請求項3に記載の発明は、請求項2に記載のリレーノードシミュレーターであって、前記第1のベースバンド信号は、複数のリソースエレメントが配列されたフレームにより構成されており、かつ、前記複数のリソースエレメントのうち所定の位置のリソースエレメントが、所定の期間中においてレベルが変動しないパイロット信号であって、前記リレーノード処理部は、前記第1のベースバンド信号に含まれる前記パイロット信号を抽出し、前記レベル検出部は、抽出された前記パイロット信号のレベルを前記第1のベースバンド信号のレベルとして検出することを特徴とする。
また、請求項4に記載の発明は、基地局からの第1のRF信号を中継して第2のRF信号として移動体通信端末へ送信するリレーノードを模擬し、前記第1のRF信号と前記第2のRF信号とが多重された信号を模擬した試験信号を試験対象の移動体通信端末に送信する試験方法であって、前記第1のRF信号に対応する第1のベースバンド信号を受けて、当該第1のベースバンド信号に基づいて前記第2のRF信号に対応する第2のベースバンド信号を生成するリレーノードリレーノード処理ステップと、前記第2のベースバンド信号に所定の遅延を与える遅延処理ステップと、前記第1のベースバンド信号を受けて、当該第1のベースバンド信号のレベルを変更するゲイン調整ステップと、レベルが変更された前記第1のベースバンド信号と、前記遅延が与えられた前記第2のベースバンド信号とを加算する加算ステップと、この加算された信号をRF信号に変換して前記試験信号として送信する送信ステップと、を備えた試験方法である。
【発明の効果】
【0008】
本発明に係る技術は、基地局から第1のRF信号を中継して第2のRF信号として移動体通信端末へ送信するリレーノードを模擬し、前記第1のRF信号と前記第2のRF信号とが多重された信号を模擬した試験信号を試験対象の移動体通信端末に送信するリレーノードを模擬するリレーノードシミュレーターであって、遅延処理部と、ゲイン調整部とを備えている。これらの構成により、第2のベースバンド信号に対して遅延を施し、第1のベースバンド信号のゲインを調整することで、リレーノードシミュレーターは、基地局、リレーノード、及び被試験端末の位置関係に応じた、基地局からのRF信号とリレーノードからのRF信号とを模擬することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明に係るリレーノードシミュレーターの概略的な構成を示したブロック図である。
【図2】ダウンリンク処理部の詳細な構成を示したブロック図である。
【図3】基地局、リレーノード、及び移動体通信端末の位置関係を示した概略図である。
【図4A】基地局からの信号とリレーノードからの信号の関係を示した概略図である。
【図4B】基地局からの信号とリレーノードからの信号の関係を示した概略図である。
【図4C】基地局からの信号とリレーノードからの信号の関係を示した概略図である。
【図5】ダウンリンク処理部の一連の動作を示したフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明に係るリレーノードシミュレーター1は、リレーノードを模擬するためのシミュレーターである。リレーノードシミュレーター1は、図1に示すように、eNB(基地局模擬装置)500と被試験端末600との間に介在する。リレーノードシミュレーター1は、ダウンリンク処理部10と、アップリンク処理部20と、方向性結合器31と、方向性結合器32とを含んで構成されている。
【0011】
方向性結合器31は、eNB500からRF信号(即ち、基地局信号)E0’を受けて、これをダウンリンク処理部10に伝送する。また、方向性結合器31は、アップリンク処理部20から信号を受けて、これをeNB500に転送する。
【0012】
ダウンリンク処理部10は、リレーノードのダウンリンクに係る処理を模擬するための処理ブロックである。ダウンリンク処理部10は、方向性結合器31を介してeNB500から送信されたアナログのRF信号E0’を受ける。ダウンリンク処理部10は、eNB500から信号を基にリレーノードの出力としてのベースバンド信号E1を生成するとともに、このベースバンド信号E1にeNB500からのベースバンド信号E0を合成してRF信号に変換し、試験信号として被試験端末600に向けて送信する。このダウンリンク処理部10の詳細な構成と動作については後述する。
【0013】
方向性結合器32は、ダウンリンク処理部10からの試験信号を受けて、これを被試験端末600に伝送する。また、方向性結合器32は、被試験端末600から送信された信号を受けて、これをアップリンク処理部20に伝送する。
【0014】
アップリンク処理部20は、リレーノードのアップリンクに係る処理を模擬するための処理ブロックである。アップリンク処理部20は、方向性結合器32を介して被試験端末600から送信されたアナログのRF信号を受ける。アップリンク処理部20は、このRF信号を復調し、所定の通信方式に基づきデジタルデータに復号する。アップリンク処理部20は、復号されたデジタルデータのうち、制御信号に相当するデータをリレーノードの設定に基づき書き替える。アップリンク処理部20は、このデジタルデータを所定の通信方式に基づき符号化し、アナログのRF信号に変調してeNB500に向けて送信する。なお、アップリンク処理部20の具体的な動作は、「3GPP TS36.211 V10.0.0」等で定義されている。
【0015】
次に、ダウンリンク処理部10の詳細について説明する。まず、図3を参照する。図3は、基地局eNBと、リレーノードRNと、移動体通信端末UEとの位置関係を模式的に示した図である。例えば、基地局eNBと移動体通信端末UEとの間の距離をL0、基地局eNBとリレーノードRNとの間の距離をL1、リレーノードRNと移動体通信端末UEとの間の距離をL2とする。
【0016】
このリレーノードRNがレイヤ3のリレーノードの場合には、基地局eNBから送信されたRF信号E0’と、RF信号E0’を中継してリレーノードRNから出力されるRF信号E1’とは、異なる信号として取り扱われる。このような場合において、RF信号E0’とRF信号E1’とが同一周波数で送信されると、リレーノードRNからの送信信号(RF信号E1’)がリレーノードRNの受信側(RF信号E0’)に回り込み、干渉する可能性がある。そのため、このような場合には、リレーノードRNは、基地局eNBから送信されたRF信号E0’の受信と、移動体通信端末UEに向けたRF信号E1’の送信を時分割で行う。このような場合には、基地局eNBから送信されるRF信号E0’は、サブフレームごとに時分割されて所定のタイミングで移動体通信端末やリレーノードに送信される。リレーノードRNは、このタイミングにあわせて、RF信号E0’を受信し、RF信号E0’の受信とは異なるタイミングでRF信号E1’を移動体通信端末UEに向けて送信する。この、RF信号E0’及びRF信号E1’の双方を受信可能なエリアでは、RF信号E0’とRF信号E1’とが、移動体通信端末UEにむけて、時分割で送信されることになる。図4Aに、このような場合における、RF信号E0’とRF信号E1’との関係の概略を示す。
【0017】
移動体通信端末UEは、理想的には、図4Aに示すようにRF信号E1’とRF信号E0’とを時分割で受信する。しかしながら、基地局eNB、リレーノードRN、及び移動体通信端末UEとの間の位置関係に応じて、これらの信号の減衰や遅延が生じる場合がある。以下では、理解を容易にするために、基地局eNBの信号出力レベルと、リレーノードRNの信号出力レベルとが同じであるものとして説明する。例えば、図4Bは、RF信号E1’に遅延が生じた場合を示している。このような場合には、RF信号E0’とRF信号E1’との間で干渉が生じる。また、距離L0に応じてRF信号E0’が減衰する。例えば、図4Cは、距離L0>L2の場合を示しており、この場合には、RF信号E1’のレベルに対してRF信号E0’のレベルが低くなる。本実施形態に係るリレーノードシミュレーターのダウンリンク処理部10は、このような環境を模擬し、移動体通信端末UEに相当する被試験端末600の動作を試験する。なお、この場合には、eNB500が基地局eNBに相当し、ダウンリンク処理部10が、リレーノードRNのダウンリンク処理部分と、距離L0とL2の距離差に応じた、基地局eNBからの信号とリレーノードRNからの信号とのレベル差及び遅延とを模擬する。具体的には、ダウンリンク処理部10は、eNB500からRF信号E0’を受けて、これを基にRF信号E1’を生成し、このRF信号E0’とRF信号E1’とを加算して被試験端末600(即ち、移動体通信端末)に向けて送信する。
【0018】
ダウンリンク処理部10の構成について、図2を参照しながら説明する。図2は、ダウンリンク処理部10の詳細な構成を示したブロック図である。図2に示すように、ダウンリンク処理部10は、受信部11と、リレーノード処理部12と、ゲイン調整部131と、遅延処理部132と、レベル検出部141と、ゲイン決定部142と、ゲイン調整部143と、加算器15と、送信部16と、制御部17とを含んで構成されている。リレーノード処理部12は、実際のリレーノードのベースバンド信号処理を模擬する構成となっており、実際のリレーノードが生成すべきベースバンド信号を生成するようになっている。このリレーノードが生成すべきベースバンド信号は、リレーノードが移動体通信端末に向けて送信するRF信号に対応したベースバンド信号である。リレーノード処理部12は、復調部121と、U−Plane再生処理部122と、U−Plane伝送処理部123と、C−Plane伝送処理部124と、変調部125とを含んで構成されている。
【0019】
受信部11は、所定のタイミングに基づきeNB500から時分割で送信されたRF信号E0’を受ける。受信部11は、受けたRF信号をIF(中間周波数)信号に周波数変換し、このIF信号をA/D変換して周波数シフトを行うことでデジタルのベースバンド信号E0を得る。このベースバンド信号E0は、RF信号E0’に対応したベースバンド信号である。受信部11は、このベースバンド信号E0を復調部121及びゲイン調整部143にそれぞれ出力する。
【0020】
復調部121、U−Plane再生処理部122、U−Plane伝送処理部123、C−Plane伝送処理部124、及び変調部125は、模擬されるリレーノードRNの復調・復号処理及び符号・変調処理を行う部分の構成に相当する。そのため、これらの構成は、あらかじめ決められた通信方式の規約(例えば、3GPP TS36.211 V10.0.0)に準拠して動作する。以降では、これらの構成の一例を説明する。
【0021】
復調部121は、受信部11からのベースバンド信号E0を受けて、復調処理を行う。この復調された信号は、所定の通信方式(LTE)に応じた符号化方式(例えば、OFDMA)に基づくフレーム構造を有する。
【0022】
復調部121は、復調された信号から、Cell−Specific RS(Cell−Specific Reference Signal)と呼ばれるリファレンスシグナルを抽出する。Cell−Specific RSは、1サブフレーム中の所定の位置のリソースエレメントに割り当てられ、パイロット信号の役割を果たす。なお、Cell−Specific RSの詳細は「3GPP TS36.211 V10.0.0」に記載されている。復調部121は、1サブフレーム中の所定の位置のリソースエレメントからリファレンスシグナル(Cell−Specific RS)を抽出すると、このリファレンスシグナルをレベル検出部141に出力する。このCell−Specific RSのレベルはあらかじめ決められており、少なくとも1サブフレーム中において変動しない。そのため、レベル検出部141は、このCell−Specific RSの信号を基に、基地局からの信号のレベルを特定する。このレベル検出部141の詳細については後述する。
【0023】
また、復調部121は、前述した所定の通信方式に基づき復調された信号を復号してデジタルデータを取り出す。復調部121は、取り出されたデジタルデータを、U−Plane再生処理部122に出力する。また、復調部121は、C−Plane伝送処理部124にC−Planeの生成を行うための情報を送出する。また、復調部121は、ベースバンド信号E0の同期タイミングを変調部125に通知する。
【0024】
ここで、復調された信号を復号して取出されたデジタルデータのプロトコル構成について説明する。このデータは、U−Plane(User Plane)プロトコルと、C−Plane(Control Plane)プロトコルとを含んで構成されている。U−Planeプロトコルは、ユーザーデータを取り扱うプロトコルである。以降では、単にU−Planeと呼ぶ。また、C−Planeプロトコルは、制御を行うためのデータを取り扱うプロトコルである。以降では、単にC−Planeと呼ぶ。
【0025】
U−Plane再生処理部122は、復調部121からデジタルデータを受ける。U−Plane再生処理部122は、このデジタルデータのC−Planeに含まれる制御情報に基づき、デジタルデータからU−Planeを再生する。U−Plane再生処理部122は、再生されたU−PlaneをU−Plane伝送処理部123に出力する。
【0026】
U−Plane伝送処理部123は、U−Plane再生処理部122からU−Planeを受ける。U−Plane伝送処理部123は、基地局と同等の無線制御機能を有している。この無線制御機能には、例えば、PDCP(Packet Data Convergence Protocol)サブレイヤ、RLC(Radio Link Control)サブレイヤ、MAC(Medium Access Control)サブレイヤ、RRC(Radio Resource Control)サブレイヤが含まれる。PDCPサブレイヤは、ユーザーデータの秘匿及びヘッダ圧縮等を行う。また、RLCサブレイヤは、ARQ(Automatic Repeat reQuest)による再送制御及びSDU(Service Data Unit)分割、結合及び順序制御等を行う。また、MACサブレイヤは、HARQ及びユーザーデータスケジューリング等を行う。また、RRCサブレイヤは、モビリティ、QoS、セキュリティ制御を行う。U−Plane伝送処理部123は、受けたU−Planeに対してこれらの無線制御を行う。U−Plane伝送処理部123は、無線制御が施されたU−Planeを変調部125に出力する。
【0027】
C−Plane伝送処理部124は、復調部121及び制御部17からの情報を受けて、ダウンリンク処理部10が模擬するリレーノードRNと被試験端末600との間のネットワークを制御するためのデータ、即ち、C−Planeを生成する。この生成されたC−Planeに基づき、例えば、模擬されるリレーノードRNと被試験端末600との間の伝送路の設定や、ハンドオーバーの制御等が行われる。C−Plane伝送処理部124は、生成されたC−Planeを変調部125に出力する。
【0028】
変調部125は、U−Plane伝送処理部123からU−Planeを受ける。また、変調部125は、C−Plane伝送処理部124からC−Planeを受ける。変調部125は、受けたC−Plane及びU−Planeによりデジタルデータを生成する。変調部125は、生成されたデジタルデータを所定の通信方式に基づき符号化及びデジタル変調してベースバンド信号を生成する。また、変調部125は、同期タイミングを復調部121から受ける。変調部125は、生成されたベースバンド信号が、この通知された同期タイミングに同期するように、このベースバンド信号に対して遅延処理を施す。変調部125は、遅延処理が施されたベースバンド信号E1をゲイン調整部131に出力する。
【0029】
ゲイン調整部131は、変調部125から、ベースバンド信号E1を受ける。また、ゲイン調整部131は、測定条件としてあらかじめ設定されたリレーノードから出力される信号のレベルPrnを示す情報を制御部17から受ける。ゲイン調整部131は、ベースバンド信号E1のレベルがレベルPrnとなるようにゲインを決定し、そのゲインでベースバンド信号E1のレベルを調整する。
【0030】
なお、ゲイン調整部131は、実回線で想定されるリレーノードRNと被試験端末600(即ち、移動体通信端末UE)との間におけるベースバンド信号E1の減衰量を算出し、ベースバンド信号E1のレベルを、レベルPrnからこの減衰量分だけ減衰させたレベルとなるようにゲインを調整してもよい。この場合には、ゲイン調整部131は、あらかじめ設定されたリレーノードと被試験端末600との間の距離(例えば、距離L2)を示す情報を制御部17から受けて、この距離を示す情報を基にベースバンド信号の減衰量を算出すればよい。
【0031】
ゲイン調整部131は、レベルが調整されたベースバンド信号E1を遅延処理部132に出力する。
【0032】
遅延処理部132は、レベルが調整されたベースバンド信号E1をゲイン調整部131から受ける。また、遅延処理部132は、制御部17から遅延D1を示す情報を受ける。遅延処理部132は、ベースバンド信号E1に遅延D1を与える。なお、後述するように、ベースバンド信号E0とE1は加算されて周波数変換され、試験信号であるRF信号になる。この試験信号には、ベースバンド信号E0が周波数変換されたRF信号E0’と、ベースバンド信号E1が周波数変換されたRF信号E1’とが含まれる。ここで、図4Bに、遅延処理部132により、遅延が与えられたRF信号E1’と、eNB500から送信されたRF信号E0’との関係を示す。このように、遅延処理部132によりRF信号E1’に遅延D1を施すことにより、基地局eNB、リレーノードRN、及び移動体通信端末UEとの間の位置関係に基づくRF信号E1’の遅延を模擬する。これにより、この遅延による、RF信号E0’とRF信号E1’との間の干渉を模擬することが可能となる。遅延処理部132は、遅延が与えられたベースバンド信号E1を加算器15に出力する。
【0033】
次に、ダウンリンク処理部10の、ベースバンド信号E0の出力に係る構成について説明する。ダウンリンク処理部10は、ベースバンド信号E0のレベルを調整して出力することで、図4Cに示すような、eNB500(即ち、基地局eNB)と被試験端末600(即ち、移動体通信端末UE)との間の距離L0によるRF信号E0’の減衰を模擬する。これらを模擬する構成が、レベル検出部141、ゲイン決定部142、及びゲイン調整部143である。各構成について以下に説明する。なお、本発明のリレーノードシミュレーターは、レベルが制御されたベースバンド信号を周波数変換してRF信号とすることにより、レベルが制御されたRF信号を出力するようになっている。
【0034】
レベル検出部141は、復調部121からリファレンスシグナルを受ける。レベル検出部141は、このリファレンスシグナルのレベルをベースバンド信号E0のレベルとして検出する。このときレベル検出部141は、例えば、1サブフレーム中におけるリファレンスシグナルの平均値をベースバンド信号E0のレベルPenbとして検出する。また、レベル検出部141は、1サブフレーム中のリファレンスシグナルの平均値を、さらに数msの間で取得し、これらの移動平均をとって平滑化したものをベースバンド信号E0のレベルとしてもよい。また、必ずしも1サブフレーム中の全てのリファレンスシグナルについてレベルを検出する必要はなく、例えば、これらのリファレンスシグナルのうちのいくつかを間引いてもよい。レベル検出部141は、検出されたレベルPenbをゲイン決定部142に出力する。
【0035】
ゲイン決定部142は、eNB500から受けたベースバンド信号E0のレベルPenbをレベル検出部141から受ける。また、ゲイン決定部142は、測定条件としてあらかじめ設定されたレベルPrnを示す情報と、レベル差Guserを示す情報とを制御部17から受ける。レベルPrnは、模擬されるリレーノードRNから出力されるRF信号E1’のレベルを示している。また、レベル差Guserは、図4Cに示すように、RF信号E0’とRF信号E1’との間のレベル差を示している。このとき、図4Cに示した、減衰後のRF信号E0’のレベルをPenb’としたとき、Penb’=Prn−Guserで示される。ゲイン決定部142は、RF信号E0’のレベル(即ち、ベースバンド信号E0のレベル)をPenbからPenb’に調整するためのゲインGenbを、Genb=Penb’−Penb=Prn−Penb−Guserに基づき算出する。ゲイン決定部142は、算出されたゲインGenbを示す情報をゲイン調整部143に出力する。
【0036】
ゲイン調整部143は、受信部11からベースバンド信号E0を受ける。また、ゲイン調整部143は、ゲイン決定部142からゲインGenbを示す情報を受ける。ゲイン調整部143は、ベースバンド信号E0のレベルを、ゲインGenbで減衰もしくは増幅させることで調整する。これにより、ベースバンド信号E0のレベルが、図4Cに示すようにレベルPenb’に調整される。これにより、基地局eNBと移動体通信端末UEとの間の距離L0に応じたRF信号E0’の減衰を模擬することが可能となる。また、このように、ゲイン決定部142及びゲイン調整部143を動作させることにより、操作者は、SN比を設定する場合と同じ感覚で、所望のレベル差Guserを指定することにより、ベースバンド信号E0のレベルを調整するためのゲインGenbを設定することが可能となる。ゲイン調整部143は、レベルが調整されたベースバンド信号E0を加算器15に出力する。
【0037】
加算器15は、遅延が与えられたベースバンド信号E1を遅延処理部132から受ける。また、加算器15は、レベルが調整されたベースバンド信号E0をゲイン調整部143から受ける。加算器15は、ベースバンド信号E0とベースバンド信号E1とを加算し、加算された信号を送信部16に出力する。送信部16は、加算された信号をD/A変換して周波数変換し、これにより得られたRF信号を試験信号として被試験端末600に向けて送信する。
【0038】
制御部17は、キーボードやマウス等で構成される操作部18を介して、操作者から測定条件やリレーノードRNの設定情報の入力を受けるようになっている。制御部17は、測定条件として指示された、レベルPrn、レベル差Guser、及び遅延D1を受ける。制御部17は、レベルPrnをゲイン調整部131に出力する。これを受けて、ゲイン調整部131は、ベースバンド信号E1のレベルを調整する。また、制御部17は、遅延D1を遅延処理部132に出力する。これを受けて、遅延処理部132は、ベースバンド信号E1に遅延D1を与える。また、制御部17は、レベルPrn及びレベル差Guserをゲイン決定部142に出力する。これを受けて、ゲイン決定部142は、ベースバンド信号E0のレベルを調整するためのゲインGenbを算出する。制御部17は、操作部18を介して操作者から入力されたリレーノードRNの設定情報(例えば、リレーノードRNの識別情報)のうち、C−Planeを生成するために必要な情報をC−Plane伝送処理部124に送出する。
【0039】
次に、ダウンリンク処理部10の一連の動作について、図5を参照しながら説明する。図5は、ダウンリンク処理部10の一連の動作を示したフローチャートである。
【0040】
(ステップS11)
制御部17は、操作者から測定条件として指示された、レベルPrn、レベル差Guser、及び遅延D1を受ける。制御部17は、レベルPrnをゲイン調整部131に出力する。また、制御部17は、遅延D1を遅延処理部132に出力する。また、制御部17は、レベルPrn及びレベル差Guserをゲイン決定部142に出力する。
【0041】
(ステップS12)
受信部11は、所定のタイミングに基づきeNB500から時分割で送信されたRF信号E0’を受ける。受信部11は、受けたRF信号をIF(中間周波数)信号に周波数変換し、このIF信号をA/D変換して周波数シフトを行うことでデジタルのベースバンド信号E0を得る。受信部11は、このベースバンド信号E0を復調部121及びゲイン調整部143にそれぞれ出力する。
【0042】
(ステップS13)
復調部121は、受信部11からベースバンド信号E0を受けて、復調処理を行う。この復調された信号は、所定の通信方式(LTE)に応じた符号化方式(例えば、OFDMA)に基づくフレーム構造を有する。
【0043】
復調部121は、復調された信号から、Cell−Specific RS(Cell−Specific Reference Signal)と呼ばれるリファレンスシグナルを抽出する。復調部121は、1サブフレーム中の所定の位置のリソースエレメントからリファレンスシグナル(Cell−Specific RS)を抽出すると、このリファレンスシグナルをレベル検出部141に出力する。
【0044】
また、復調部121は、前述した所定の通信方式に基づき復調された信号を復号してデジタルデータを取り出す。復調部121は、取り出されたデジタルデータを、U−Plane再生処理部122に出力する。また、復調部121は、C−Plane伝送処理部124にC−Planeの生成を行うための情報を送出する。また、復調部121は、ベースバンド信号E0の同期タイミングを変調部125に通知する。
【0045】
(ステップS141)
U−Plane再生処理部122は、復調部121からデジタルデータを受ける。U−Plane再生処理部122は、このデジタルデータのC−Planeに含まれる制御情報に基づき、デジタルデータからU−Planeを再生する。U−Plane再生処理部122は、再生されたU−PlaneをU−Plane伝送処理部123に出力する。
【0046】
U−Plane伝送処理部123は、U−Plane再生処理部122からU−Planeを受ける。U−Plane伝送処理部123は、基地局と同等の無線制御機能を有している。U−Plane伝送処理部123は、受けたU−Planeに対してこの無線制御を行う。U−Plane伝送処理部123は、無線制御が施されたU−Planeを変調部125に出力する。
【0047】
C−Plane伝送処理部124は、復調部121及び制御部17からの情報を受けて、ダウンリンク処理部10が模擬するリレーノードと被試験端末600との間のネットワークを制御するためのデータ、即ち、C−Planeを生成する。この生成されたC−Planeに基づき、例えば、模擬されるリレーノードRNと被試験端末600との間の伝送路の設定や、ハンドオーバーの制御等が行われる。C−Plane伝送処理部124は、生成されたC−Planeを変調部125に出力する。
【0048】
変調部125は、U−Plane伝送処理部123からU−Planeを受ける。また、変調部125は、C−Plane伝送処理部124からC−Planeを受ける。変調部125は、受けたC−Plane及びU−Planeによりデジタルデータを生成する。変調部125は、生成されたデジタルデータを所定の通信方式に基づき符号化及びデジタル変調してベースバンド信号を生成する。また、変調部125は、同期タイミングを復調部121から受ける。変調部125は、生成されたベースバンド信号が、この通知された同期タイミングに同期するように、このベースバンド信号に対して遅延処理を施す。変調部125は、遅延処理が施されたベースバンド信号E1をゲイン調整部131に出力する。
【0049】
ゲイン調整部131は、変調部125から、ベースバンド信号E1を受ける。また、ゲイン調整部131は、測定条件としてあらかじめ設定されたリレーノードから出力される信号のレベルPrnを示す情報を制御部17から受ける。ゲイン調整部131は、ベースバンド信号E1のレベルがレベルPrnとなるようにゲインを決定し、そのゲインでベースバンド信号E1のレベルを調整する。
【0050】
なお、ゲイン調整部131は、実回線で想定されるリレーノードRNと被試験端末600(即ち、移動体通信端末UE)との間におけるベースバンド信号E1の減衰量を算出し、ベースバンド信号E1のレベルを、レベルPrnからこの減衰量分だけ減衰させたレベルとなるようにゲインを調整してもよい。この場合には、ゲイン調整部131は、あらかじめ設定されたリレーノードと被試験端末600との間の距離(例えば、距離L2)を示す情報を制御部17から受けて、この距離を示す情報を基にベースバンド信号の減衰量を算出すればよい。
【0051】
ゲイン調整部131は、レベルが調整されたベースバンド信号E1を遅延処理部132に出力する。
【0052】
(ステップS142)
遅延処理部132は、レベルが調整されたベースバンド信号E1をゲイン調整部131から受ける。また、遅延処理部132は、制御部17から遅延D1を示す情報を受ける。遅延処理部132は、ベースバンド信号E1に遅延D1を与える。遅延処理部132は、遅延が与えられたベースバンド信号E1を加算器15に出力する。
【0053】
(ステップS151)
レベル検出部141は、復調部121からリファレンスシグナルを受ける。レベル検出部141は、このリファレンスシグナルのレベルをベースバンド信号E0のレベルとして検出する。このときレベル検出部141は、例えば、1サブフレーム中におけるリファレンスシグナルの平均値をベースバンド信号E0のレベルPenbとして検出する。また、レベル検出部141は、1サブフレーム中のリファレンスシグナルの平均値を、さらに数msの間で取得し、これらの移動平均をとって平滑化したものをベースバンド信号E0のレベルとしてもよい。また、必ずしも1サブフレーム中の全てのリファレンスシグナルについてレベルを検出する必要はなく、例えば、これらのリファレンスシグナルのうちのいくつかを間引いてもよい。レベル検出部141は、検出されたレベルPenbをゲイン決定部142に出力する。
【0054】
(ステップS152)
ゲイン決定部142は、eNB500から受けたベースバンド信号E0のレベルPenbをレベル検出部141から受ける。また、ゲイン決定部142は、測定条件としてあらかじめ設定されたレベルPrnを示す情報と、レベル差Guserを示す情報とを制御部17から受ける。レベルPrnは、模擬されるリレーノードRNから出力されるRF信号E1’のレベルを示している。また、レベル差Guserは、図4Cに示すように、RF信号E0’とRF信号E1’との間のレベル差を示している。このとき、図4Cに示した、減衰後のRF信号E0’のレベルをPenb’としたとき、Penb’=Prn−Guserで示される。ゲイン決定部142は、RF信号E0’のレベル(即ち、ベースバンド信号E0のレベル)をPenbからPenb’に調整するためのゲインGenbを、Genb=Penb’−Penb=Prn−Penb−Guserに基づき算出する。ゲイン決定部142は、算出されたゲインGenbを示す情報をゲイン調整部143に出力する。
【0055】
(ステップS153)
ゲイン調整部143は、受信部11からベースバンド信号E0を受ける。また、ゲイン調整部143は、ゲイン決定部142からゲインGenbを示す情報を受ける。ゲイン調整部143は、ベースバンド信号E0のレベルを、ゲインGenbで減衰もしくは増幅させることで調整する。これにより、ベースバンド信号E0のレベルが、図4Cに示すようにレベルPenb’に調整される。ゲイン調整部143は、レベルが調整されたベースバンド信号E0を加算器15に出力する。
【0056】
(ステップS16)
加算器15は、遅延が与えられたベースバンド信号E1を遅延処理部132から受ける。また、加算器15は、レベルが調整されたベースバンド信号E0をゲイン調整部143から受ける。加算器15は、ベースバンド信号E0とベースバンド信号E1とを加算し、加算された信号を送信部16に出力する。
【0057】
(ステップS17)
送信部16は、加算された信号をD/A変換して周波数変換し、これにより得られたRF信号を試験信号として被試験端末600に向けて送信する。
【0058】
以上、本実施形態に係るリレーノードシミュレーターでは、リレーノードRNを模擬して、eNB500から送信されたRF信号E0’を基に、RF信号E0’とRF信号E1’とが時分割多重された信号を生成して被試験端末600に送信する。これにより、リレーノードRNから信号と、基地局eNBからの信号とが時分割多重された信号を模擬し、被試験端末600に送信することが可能となる。
【0059】
また、本実施形態に係るリレーノードシミュレーターは、このRF信号E1’に対して、測定条件として指示された遅延D1を与えことで、基地局eNB、リレーノードRN、及び移動体通信端末UEとの間の位置関係に基づくRF信号E1’の遅延を模擬する。これにより、この遅延による、RF信号E0’とRF信号E1’との間の干渉を模擬することが可能となる。
【0060】
なお、本実施形態では、リレーノードRNからの信号と、基地局eNBからの信号とが時分割多重される構成を例として説明したが、前述のように、時分割多重を行わずに、基地局から継続して信号を出力し、基地局からの信号とリレーノードからの信号とに対してリソースエレメントの割当てを制御することで、これらの信号の干渉を防止する構成に対しても、本発明は適用できる。
【0061】
また、本実施形態に係るリレーノードシミュレーターは、測定条件として指示されたレベル差Guserに基づきゲインGenbを決定し、このゲインGenbに基づきeNB500から送信されたRF信号E0’のレベルを調整する。これにより、基地局eNBと移動体通信端末UEとの間の距離L0に応じたRF信号E0’の減衰を模擬することが可能となる。また、レベル差Guserに基づきゲインGenbを決定するように動作させることで、操作者は、SN比を設定する場合と同じ感覚で、所望のレベル差Guserを指定することにより、RF信号E0’のレベルを調整するためのゲインGenbを設定することが可能となる。このため、リレーノードシミュレーターに対するゲインの設定を、操作者が容易に行うことが可能となる。
【0062】
なお、本実施形態では、eNB500からのRF信号E0’を受信部11で受けて、ベースバンド信号に変換する構成としていたが、受信部11を省略して、RF信号E0’に変換される前のベースバンド信号E0を直接受ける構成としてもよい。この場合には、例えばeNB500の代わりに、ベースバンド信号E0を出力可能な疑似基地局装置を本発明のリレーノードシミュレーターに接続することで、被試験端末に対して同様の試験を行うことが可能である。ここで、RF信号E0’に変換される前のベースバンド信号E0は、RF信号E0’に対応するベースバンド信号である。
【符号の説明】
【0063】
1 リレーノードシミュレーター
10 ダウンリンク処理部
11 受信部
12 リレーノード処理部
121 復調部
122 U−Plane再生処理部
123 U−Plane伝送処理部
124 C−Plane伝送処理部
125 変調部
131 ゲイン調整部
132 遅延処理部
141 レベル検出部
142 ゲイン決定部
143 ゲイン調整部
15 加算器
16 送信部
17 制御部
18 操作部
20 アップリンク処理部
31 方向性結合器
32 方向性結合器
500 eNB
600 被試験端末

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基地局からの第1のRF信号を中継して第2のRF信号として移動体通信端末へ送信するリレーノードを模擬し、前記第1のRF信号と前記第2のRF信号とが多重された信号を模擬した試験信号を試験対象の移動体通信端末に送信するリレーノードシミュレーターであって、
前記第1のRF信号に対応する第1のベースバンド信号を受けて、当該第1のベースバンド信号に基づいて前記第2のRF信号に対応する第2のベースバンド信号を生成するリレーノード処理部(12)と、
前記第2のベースバンド信号に所定の遅延を与える遅延処理部(132)と、
前記第1のベースバンド信号を受けて、当該第1のベースバンド信号のレベルを変更するゲイン調整部(143)と、
レベルが変更された前記第1のベースバンド信号と、前記遅延が与えられた前記第2のベースバンド信号とを加算する加算器(15)と、
この加算された信号をRF信号に変換して前記試験信号として送信する送信部(16)と、
を備えたことを特徴とするリレーノードシミュレーター(10)。
【請求項2】
前記第1のベースバンド信号のレベル(Penb)を検出するレベル検出部(141)と、
前記第1のRF信号のレベルと前記第2のRF信号のレベルとのレベル差の所望値(Guser)を入力するための操作部(18)と、
検出された前記第1のベースバンド信号のレベルと、前記レベル差の所望値とに基づきゲインを決定するゲイン決定部(142)と、
を備え、
前記ゲイン調整部は、決定された前記ゲインにより、前記第1のベースバンド信号のレベルを変更することを特徴とする請求項1に記載のリレーノードシミュレーター。
【請求項3】
前記第1のベースバンド信号は、複数のリソースエレメントが配列されたフレームにより構成されており、かつ、前記複数のリソースエレメントのうち所定の位置のリソースエレメントが、所定の期間中においてレベルが変動しないパイロット信号であって、
前記リレーノード処理部は、前記第1のベースバンド信号に含まれる前記パイロット信号を抽出し、
前記レベル検出部は、抽出された前記パイロット信号のレベルを前記第1のベースバンド信号のレベルとして検出することを特徴とする請求項2に記載のリレーノードシミュレーター。
【請求項4】
基地局からの第1のRF信号を中継して第2のRF信号として移動体通信端末へ送信するリレーノードを模擬し、前記第1のRF信号と前記第2のRF信号とが多重された信号を模擬した試験信号を試験対象の移動体通信端末に送信する試験方法であって、
前記第1のRF信号に対応する第1のベースバンド信号を受けて、当該第1のベースバンド信号に基づいて前記第2のRF信号に対応する第2のベースバンド信号を生成するリレーノードリレーノード処理ステップと、
前記第2のベースバンド信号に所定の遅延を与える遅延処理ステップと、
前記第1のベースバンド信号を受けて、当該第1のベースバンド信号のレベルを変更するゲイン調整ステップと、
レベルが変更された前記第1のベースバンド信号と、前記遅延が与えられた前記第2のベースバンド信号とを加算する加算ステップと、
この加算された信号をRF信号に変換して前記試験信号として送信する送信ステップと、
を備えた試験方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4A】
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【図4B】
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【図4C】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−58968(P2013−58968A)
【公開日】平成25年3月28日(2013.3.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−197048(P2011−197048)
【出願日】平成23年9月9日(2011.9.9)
【出願人】(000000572)アンリツ株式会社 (838)
【Fターム(参考)】