説明

リレー用コイル端子およびリレー

【課題】汎用性の高いリレー用コイル端子を提供する。
【解決手段】コイル端子41に、リレー用コイルとの間で電気的に接続される接続部410、リレーの外部に露出して外部の電源回路と接続される外部接続部411、リレー用コイルのボビンに挿入される挿入部412、リレー用コイルの電磁的ノイズを除去するノイズ除去回路を取り付けるための取付部413および切り欠き部414をそれぞれ形成する。ノイズ除去回路の端子形状が針金状のものである場合は、切り欠き部414に当該端子を挿入してから、取付部413を切り欠き部414の方向に回動させてかしめて取り付ける。一方、ノイズ除去回路の端子形状がハンダ付けに適した形状であれば、取付部413が突出した形状となっていることを利用して、取付部413に当該端子部をハンダ付けする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、リレー用コイル端子の汎用性を向上させる技術に関する。また、汎用性の高い部品を用いることによって製造コストの低いリレーを提供する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
回路を開閉するリレーは、可動接点を移動させるための駆動力を生成するコイルを備えており、このコイルは外部から電力が供給されることによって励磁される。このためリレーは、コイルと外部とを接続するためのリレー用コイル端子(外部からの電力供給を受けるための端子)を備えている。
【0003】
また、リレーでは、リレー用コイル端子に、コイルの動作を確認するための動作表示灯回路が取り付けられる場合がある。動作表示灯回路は、基板に発光素子等を実装した構造であり、作業者からの視認性を考慮して、コイルの側面等に設けられるのが一般的である。したがって、リレー用コイル端子には動作表示灯回路を取り付けるための取付部が設けられる。
【0004】
一方、コイルの電磁的ノイズを除去するためのノイズ除去回路を備えたリレーも提案されているが、小型のリレーでは、外形寸法がほぼ限られており、付加的に取り付けられるこれらの回路のために、充分なスペースを確保できないという事情がある。
【0005】
そこで小型のリレーでは、垂直方向に配置された動作表示灯回路の基板に、比較的薄い構造のチップダイオードを実装する、あるいは、リレー用コイル端子の取付部に動作表示灯回路の代わりに直接ダイオードを取り付けることによって、ノイズ除去回路を搭載するものが提案されている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところが、上記リレーにおいて、動作表示灯回路の代わりにノイズ除去回路を取り付ける場合、リレー用コイル端子の取付部の形状が、異なる取付手法に対応することができず、ノイズ除去回路の取付手法に応じて、異なるリレー用コイル端子を用いる必要があるという問題があった。例えば、ハンダ付け用、カシメ用あるいは溶接用といった、それぞれ異なる取付手法に対応したリレー用コイル端子を製造しなければならない。
【0007】
また、交流電源による電磁的ノイズを除去するためには、コンデンサーを用いたノイズ除去回路が有効であるが、コンデンサーは比較的厚みのある電子部品であるため、コイルの側面に配置するスペースを確保できないという問題があった。
【0008】
また、動作表示灯回路とノイズ除去回路とを同時に実装するためには、比較的薄いチップダイオードを用いるが、チップダイオードは逆耐電圧の上限が250V程度しかなく、あまり実用的でないという問題があった。すなわち、動作表示灯回路とノイズ除去回路とを実用的に搭載することが困難であるという問題があった。
【0009】
本発明は、上記課題に鑑みなされたものであり、リレー用コイル端子の汎用性を向上させることを第1の目的とする。
【0010】
また、汎用性の高いリレー用コイル端子を用いることで、製造コストを抑えたリレーを提供することを第2の目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記の課題を解決するため、請求項1の発明は、コイルに電力を供給するためのリレー用コイル端子であって、前記コイルとの間で電気的に接続される接続部と、前記コイルの電磁的ノイズを除去する複数種類の回路から選択された1の回路を取り付けるための取付部とを備え、前記複数種類の回路は、ハンダ付け、溶接またはカシメのいずれかの取付手法によって取り付けられるものであり、前記取付部は、前記選択された1の回路が、前記取付手法のいずれによって取り付けられるものであっても取付可能な形状であることを特徴とする。
【0012】
また、請求項2の発明は、請求項1の発明に係るリレー用コイル端子であって、前記取付部には、前記選択された1の回路を取り付けるための切欠部が設けられていることを特徴とする。
【0013】
また、請求項3の発明は、回路を開閉するリレーであって、電力供給を受けて励磁されるコイルと、外部から前記コイルに電力を供給するための一対の端子と、励磁された前記コイルとの間の電磁的相互作用によって揺動する揺動部材と、前記揺動部材の揺動に連動して移動することによって前記回路を切り替える可動接点と、前記コイルにおける電磁的ノイズを除去する複数種類の回路のうちから選択された1の回路とを備え、前記複数種類の回路は、ハンダ付け、溶接またはカシメのいずれかの取付手法によって取り付けられるものであり、前記一対の端子は、前記選択された1の回路が、前記取付手法のいずれによって取り付けられるものであっても取付可能な形状の取付部を有することを特徴とする。
【0014】
また、請求項4の発明は、請求項3の発明に係るリレーであって、前記取付部には、前記選択された1の回路を取り付けるための切欠部が設けられていることを特徴とする。
【0015】
また、請求項5の発明は、請求項3または4の発明に係るリレーであって、前記複数種類の回路には、ダイオードが含まれることを特徴とする。
【0016】
また、請求項6の発明は、請求項3または4の発明に係るリレーであって、前記複数種類の回路には、抵抗素子とコンデンサー素子とから構成される回路が含まれることを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
請求項1および2に記載の発明では、コイルの電磁的ノイズを除去する複数種類の回路から選択された1の回路を取り付けるための取付部を備え、複数種類の回路は、ハンダ付け、溶接またはカシメのいずれかの取付手法によって取り付けられるものであり、取付部は、選択された1の回路が、取付手法のいずれによって取り付けられるものであっても取付可能な形状であることにより、汎用性の向上を図ることができる。
【0018】
請求項3ないし6に記載の発明では、コイルにおける電磁的ノイズを除去する複数種類の回路のうちから選択された1の回路を備え、複数種類の回路は、ハンダ付け、溶接またはカシメのいずれかの取付手法によって取り付けられるものであり、一対の端子は、選択された1の回路が、取付手法のいずれによって取り付けられるものであっても取付可能な形状の取付部を有することにより、選択された1の回路に応じて、別形状の端子を製造する必要がない。したがって、部品の共通化によって、製造コストを削減できる。
【0019】
請求項5に記載の発明では、複数種類の回路には、ダイオードが含まれることにより、直流電源を用いた場合のコイルの電磁的ノイズを除去することができる。
【0020】
請求項6に記載の発明では、複数種類の回路には、抵抗素子とコンデンサー素子とから構成される回路が含まれることにより、交流電源を用いた場合のコイルの電磁的ノイズを除去することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、本発明の好適な実施の形態について、添付の図面を参照しつつ、詳細に説明する。
【0022】
<1. 第1の実施の形態>
図1は、本発明に係るリレー1の外観斜視図である。また、図2は、リレー1の内部構造を示す側面図である。
【0023】
なお、図1および図2において、図示および説明の都合上、Z軸方向が鉛直方向を表し、XY平面が水平面を表すものとして定義するが、それらは位置関係を把握するために便宜上定義するものであって、以下に説明する各方向を限定するものではない。以下の図についても同様である。また、図1では、ケース2の外形を二点鎖線で示している。
【0024】
本実施の形態におけるリレー1は、いわゆる小型のリレーであって、図1に示すように、中空のケース2とベース3とが係合することによって、内部を保護する構造となっている。
【0025】
ケース2は、光透過性を有する樹脂製の一体構造物であって、ベース3と係合する(−Z)方向に開口した略箱状の部材である。なお、ケース2を構成する素材は、光透過性を有し、内部を保護することのできる強度を有する素材であれば、どのようなものであってもよい。このような素材として、例えば、ガラス(石英)などを用いてもよい。
【0026】
ベース3は、リレー1の各構成要素の基台として機能する。これらリレー1の各構成要素は、主に(+Z)側からベース3に取り付けられる。また、リレー1の端子(例えば、コイル端子41等)は、ベース3を(+Z)側から(−Z)側に貫通するように取り付けられており、ベース3の外部に露出している。このようにして、露出した端子に外部の所定の回路を接続することによって、リレー1の内部と外部との電気的接続が実現される。
【0027】
リレー1の内部には、コイルユニット4、揺動部5および接点ユニット6がベース3に取り付けられた状態で収容されている。
【0028】
コイルユニット4は、コイル40、一対のコイル端子41、表示灯ユニット42、コア43、ヨーク44およびノイズ除去回路45を備え、主に揺動部5のアーマチュア50を揺動させるための磁界を生成する。
【0029】
コイルユニット4のコイル40は、コイル端子41に電圧が印加されることによって励磁され、内部に有するコア43によって先述の磁界を形成する。なお、コイル端子41の形状および機能については、後に詳述する。
【0030】
表示灯ユニット42は、コイル端子41に電圧が印加されているか否かを照明光によって表示するユニットである。表示灯ユニット42は、主に照明光を照射する発光素子などの電子部品と、これら電子部品を取り付ける基板から構成される。
【0031】
ヨーク44は、板状の金属部材であって、コア43に対してカシメ固定されている。ヨーク44の(+Z)側の端部はアーマチュア50に当接しており、アーマチュア50が揺動する際の支点となる。すなわち、ヨーク44は、コア43とアーマチュア50との相対位置を決定する保持部材としての機能を有している。
【0032】
ノイズ除去回路45は、コイル40とベース3の底面との間に配置される。ノイズ除去回路45は、コイル40に発生する電磁的ノイズを除去するための回路であって、例えば、リレー1の機能に応じて複数種類の回路から選択されて、コイル端子41に取り付けられる。すなわち、ノイズ除去回路45は、選択的に決定され取り付けられる回路であって、その機能および構造は様々であるが、これについては後に詳述する。
【0033】
揺動部5は、アーマチュア50、ヒンジバネ51およびカード52を備え、コイル40とアーマチュア50との間の電磁的相互作用(主にコア43とアーマチュア50との間の吸引力を生じる作用)により生成された駆動力を、コモン端子部60に伝達する。また、ヒンジバネ51の付勢力によって生成される駆動力(主にカード52を(−Y)方向に復帰させる駆動力)を、コモン端子部60に伝達する。
【0034】
アーマチュア50は、(+Y)側端部が(−Z)方向に屈曲した板状の部材であって、励磁されたコイル40との間で電磁的相互作用を生じる素材(例えば、鉄)で形成される。詳細は図示しないが、アーマチュア50の(+Y)側端部は、カード52を(+Y)方向に押し出す押圧部となっている。すなわち、コイル40が励磁された状態では、アーマチュア50は、屈曲部(ヨーク44に当接している部分であって、X軸に略平行な軸となる)を中心に、(−Y)側の端部がコイル40(コア43)に引き寄せられる方向(図2において時計方向)に回動する。これによって、アーマチュア50の(+Y)側端部が(+Y)方向に移動し、カード52を(+Y)方向に移動させる。
【0035】
ヒンジバネ51は、例えばステンレス製の弾性部材であり、ベース3に取り付けられる。ヒンジバネ51は、アーマチュア50の(+Y)側端部を(−Y)方向に付勢する。この付勢力によって、ヒンジバネ51は、コイル40が励磁されていない状態において、アーマチュア50を前述の屈曲部を中心にコイル40(コア43)から離間する方向(図2において反時計方向)に回動させる。したがって、カード52を(+Y)方向に押圧していたアーマチュア50の(+Y)側端部が(−Y)方向に移動する。
【0036】
また、ヒンジバネ51は、カード52とも係合しており、カード52を(−Y)方向に引き寄せるように付勢する。したがって、アーマチュア50が図2において反時計回りに回動すると、カード52を(+Y)方向に付勢する外力(アーマチュア50から加わる力)が消滅するので、カード52はヒンジバネ51の付勢力に従って(−Y)方向に移動する。
【0037】
カード52は、可撓性を有する樹脂製の一体構造物であり、可動バネ600を挟持するための一対のアームが(+Y)方向に突設されている。このような構造により、カード52は、コモン端子部60を移動(変形)させるための駆動力を伝達するリンク部材として機能する。
【0038】
接点ユニット6は、コモン端子部60、常閉接点端子61および常開接点端子62を備え、揺動部5から伝達される駆動力に応じて、回路を切り替える機能を有している。
【0039】
図2に示すように、接点ユニット6において、常閉接点端子61および常開接点端子62の(+Z)側の端部は、所定の間隔をあけて、Y軸方向に対向しており、その間にコモン端子部60が配置される。コモン端子部60(コモン端子602)、常閉接点端子61および常開接点端子62は、いずれもベース3の外部に露出し、外部の回路と電気的に接続することが可能とされている。
【0040】
コモン端子部60は、Y軸方向に弾性を有する略短冊状の可動バネ600と、可動バネ600をY軸方向に貫通して取り付けられる可動接点601と、ベース3に固定されるコモン端子602とを有する。
【0041】
可動バネ600には、カード52と所定の位置で係合するための切り欠き部が形成されている。また、可動バネ600の(−Z)側の端部には、ベース3に固定されたコモン端子602に固定するための一対の取付孔が設けられている。したがって、可動バネ600の(−Z)側の端部は静止しており、カード52の移動に伴って、可動バネ600はY軸方向に曲げ変形することとなる。
【0042】
常閉接点端子61および常開接点端子62の(+Z)側の端部には、可動接点601との接触を確実に行うために、常閉接点610および常開接点620が、可動接点601と対向する位置にそれぞれ設けられている。常閉接点端子61および常開接点端子62は、ベース3に固定されており常時静止している。
【0043】
このリレー1の接点切替え動作を簡単に説明すると、以下の通りである。コイル40にコイル端子41を通じて電圧が印加されない状態では、ヒンジバネ51の付勢力によってカード52が(−Y)方向に付勢される。この付勢力によってカード52が(−Y)方向に移動し、カード52に係合したコモン端子部60の可動バネ600が(−Y)方向に引き寄せられる。
【0044】
この動きに連動して、可動バネ600に取り付けられている可動接点601が移動し、常閉接点端子61に接触するとともに、常開接点端子62から離間する。すなわち、コイル端子41に電圧が印加されない状態では、コモン端子部60と常閉接点端子61とは導通状態にあり、逆にコモン端子部60と常開接点端子62とは切断状態にある。
【0045】
一方、コイル40のコイル端子41に電圧が印加されると、コイル40の図示しないコアからアーマチュア50にかけて生ずる磁界により、アーマチュア50がヒンジバネ51の付勢力に抗してコア43の上端に引き寄せられる。すなわち、コイル40とアーマチュア50との電磁的相互作用によって、アーマチュア50が揺動(回動)する。
【0046】
このアーマチュア50の動きがカード52を通じてコモン端子部60の可動バネ600に伝えられ、可動バネ600が常開接点端子62側(+Y方向)に押し出されて、可動接点601が移動する。これにより、コモン端子部60(可動接点601)と常開接点端子62との間が導通状態となる。逆に常閉接点610から可動接点601が離れ、コモン端子部60と常閉接点端子61との間は切断状態となる。
【0047】
以上が、本実施の形態におけるリレー1の機能および構成の説明である。次に、コイル端子41およびノイズ除去回路45について詳述する。
【0048】
図3は、本実施の形態におけるコイル端子41の組み立て前の形状を示す図である。図4は、ダイオード45aをノイズ除去回路45としてコイル端子41a,41bに取り付ける様子を示す図である。なお、本実施の形態におけるリレー1では、コイル端子41をコイル40に取り付けてからノイズ除去回路45を取り付けるが、図4では、コイル40を省略している。また、接続部410は、コイル40に接続された後に、内側に折り曲げられてコイル40のボビン内に収容されるが、図4では折り曲げる前の状態で示している。後に示す図6においても同様である。
【0049】
コイル端子41は、導体(例えば、金属)を材料とする板状の部材であって、X軸方向に対向して2つ配置される。図4に示すように、一対のコイル端子41のうち、(+X)側をコイル端子41a、(−X)側をコイル端子41bと称する。
【0050】
コイル端子41には、コイル40との間で電気的に接続される接続部410、リレー1の外部に露出して外部の電源回路と接続される外部接続部411、コイル40のボビンに挿入される挿入部412、コイル40の電磁的ノイズを除去する複数種類の回路から選択された1の回路(ノイズ除去回路45)を取り付けるための取付部413および切り欠き部414がそれぞれ形成されている。
【0051】
接続部410は、コイル40の巻線(導線)または表示灯ユニット42が電気的に接続される部分である。より詳しくは、コイル端子41aの接続部410には、コイル40の巻線が直接ハンダ付けされ、コイル端子41bの接続部410には、表示灯ユニット42を介してコイル40の巻線が接続される。すなわち、表示灯ユニット42内の回路とコイル40とは電気的に直列接続されており、コイル40に電圧が印加されると、同時に表示灯ユニット42にも電圧が印加される。なお、表示灯ユニット42を搭載しない場合には、いずれの接続部410にもコイル40の巻線を直接接続すればよい。
【0052】
外部接続部411は、前述のように、ベース3の底面を貫通するようにして(−Z)方向外部に露出する。先述のように、コイル端子41aの接続部410と、コイル端子41bの接続部410との間には表示灯ユニット42を介してコイル40が接続されているので、コイル端子41aの外部接続部411と、コイル端子41bの外部接続部411との間に電圧が印加されると、コイル40が励磁される。
【0053】
図4に示すダイオード45aは、チップ型のダイオードではなく、その両端から針金状の導線が延びる形状の素子であって、この2本の導線間に電圧を印加することによって、例えばノイズを除去する回路として機能する。
【0054】
リレー1では、ダイオード45aの導線の端部を切り欠き部414に挿入し、(+Y)側に細く突出した部分として形成されている取付部413を、図4の太矢印で示す方向にかしめることによってダイオード45aを取り付ける。すなわち、取付部413が細く突出した形状となっていることにより、これを梃子のようにして切り欠き部414を容易にかしめることができる。このように、リレー1の取付部413は、針金状の導線を端子部とする回路を、カシメによって容易に取り付けることができる。
【0055】
コイル端子41および導線はいずれも導体であるので、ダイオード45aをカシメによって取り付けることで、同時にコイル端子41とダイオード45aとを電気的にも接続することができる。
【0056】
コイル端子41a,41bは、ダイオード45aを介して接続された状態となるので、コイル40とダイオード45aとは電気的に並列接続された状態となる。したがって、ダイオード45aは直流電源が供給される場合のコイル40の電磁的ノイズを除去するノイズ除去回路45として機能する。
【0057】
また、このようなタイプのダイオード45aは逆耐電圧の上限を1000V程度とすることが可能であり、従来のリレーのようにノイズを除去する回路としてチップダイオードを採用する場合に比べて、実用性が向上する。
【0058】
また、表示灯ユニット42とノイズ除去回路45とを異なる位置に配置することによって、リレー1には、チップダイオードでないダイオード45aおよび表示灯ユニット42の両方を組み込むことができる。
【0059】
図5は、CR回路45bを示す斜視図である。図6は、CR回路45bをノイズ除去回路45としてコイル端子41a,41bに取り付ける様子を示す図である。
【0060】
CR回路45bは、基板450の表面にコンデンサー451と抵抗素子452とを固定した回路である。基板450の表面には、平坦面状の導体453,454,455がそれぞれ貼り付けられている。これら導体453,454,455に、コンデンサー451および抵抗素子452がハンダ付けされることによって、CR回路45bはコンデンサー451と抵抗素子452とが電気的に直列接続された回路を構成している。
【0061】
CR回路45bでは、コンデンサー451および抵抗素子452を基板450に取り付けた状態において、導体453および導体455の表面が露出しており、これがCR回路45bの端子部として機能する。すなわち、導体453と導体455との間に電圧が印加されると、CR回路45bは、例えばノイズを除去する回路として機能する。
【0062】
リレー1にCR回路45bをノイズ除去回路45として選択し搭載する場合は、CR回路45bの導体453,455の表面とコイル端子41の取付部413とを、図6に示すように接触させてハンダ付けする。
【0063】
これにより、コイル端子41a,41bは、CR回路45bを介して接続された状態となるので、コイル40とCR回路45bとは電気的に並列接続された状態となる。したがって、CR回路45bは交流電源が供給された場合のコイル40の電磁的ノイズを除去するノイズ除去回路45として機能する。
【0064】
また、従来の小型リレーでは、コンデンサーの素子としての厚みが比較的厚いために、配置スペースを確保できず、ノイズを除去する回路として採用することが難しかった。しかし、本実施の形態におけるリレー1では、コイル40とベース3の底面との間のスペースにノイズ除去回路45を配置するので、CR回路45bのようにコンデンサー451を備える回路であっても採用することができる。したがって、リレー1を交流電源に接続して使用する場合であっても、当該交流電源によるコイル40の電磁的ノイズを除去することができる。
【0065】
図4および図6に示すように、リレー1のコイル端子41には、ダイオード45aおよびCR回路45bといった複数種類の回路から選択された1の回路が、ノイズ除去回路45として取り付けられる。すなわち、リレー1は、直流電源による電磁的ノイズを除去するダイオード45aや、交流電源による電磁的ノイズを除去するCR回路45bといった両方の機能を容易に提供することができる。なお、これら複数種類の回路のうちのどれを選択するかは、例えば、リレー1の用途や要求される精度等に応じて決定すればよい。
【0066】
以上のように、本実施の形態におけるコイル端子41の取付部413は、取り付ける対称となり得る複数種類の回路がカシメやハンダ付けといった異なる取付手法により取り付けなければならない回路を含んでいても、それら異なる取付手法に対応できる形状となっている。
【0067】
これにより、リレー1は、選択されるノイズ除去回路45に合わせて、個別に複数種類のコイル端子を用意する必要がなく、コイル端子41を共通に用いることができ、コイル端子41の汎用性を向上させることができる。
【0068】
また、汎用性の高いコイル端子41を用いることによって部品の共通化が実現されるので、リレー1の製造コストが削減される。
【0069】
<2. 変形例>
以上、本発明の実施の形態について説明してきたが、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく様々な変形が可能である。
【0070】
例えば、ノイズ除去回路45としては、ダイオード45aおよびCR回路45bについて説明したが、これに限られるものではなく、バリスタ素子からなるノイズ除去回路45であってもよい。
【0071】
また、取付部413にノイズ除去回路45を取り付ける取付手法は、「カシメ」および「ハンダ付け」に限られるものではなく、例えば「溶接」であってもよい。
【0072】
また、針金状の導線が端子部となっているノイズ除去回路45は、必ずカシメによって取り付けなければならないわけではない。例えば、ダイオード45aの導線を、コイル端子41の切欠部414に挿入して、ハンダ付けしてもよい。
【0073】
また、リレー1では、コイル端子41a,41bをコイル40に取り付けてからノイズ除去回路45を取り付けるが、例えば、ベース3に取り付けられた端子にノイズ除去回路45を取り付けてから、当該端子にコイル40を取り付けてもよい。すなわち、ノイズ除去回路45を取り付ける端子は、リレー1が備える端子であって、コイル40に電力を供給するための端子であればよい。
【図面の簡単な説明】
【0074】
【図1】本発明に係るリレーの外観斜視図である。
【図2】リレーの内部構造を示す側面図である。
【図3】本実施の形態におけるコイル端子の組み立て前の形状を示す図である。
【図4】ダイオードをノイズ除去回路としてコイル端子に取り付ける様子を示す図である。
【図5】CR回路を示す斜視図である。
【図6】CR回路をノイズ除去回路としてコイル端子に取り付ける様子を示す図である。
【符号の説明】
【0075】
1 リレー
2 ケース
3 ベース
4 コイルユニット
40 コイル
41,41a,41b コイル端子
410 接続部
413 取付部
414 切り欠き部
42 動作表示灯ユニット
45 ノイズ除去回路
451 コンデンサー
452 抵抗素子
45a ダイオード
45b CR回路
5 揺動部
50 アーマチュア
6 接点ユニット
601 可動接点
602 コモン端子
61 常閉接点端子
62 常開接点端子

【特許請求の範囲】
【請求項1】
コイルに電力を供給するためのリレー用コイル端子であって、
前記コイルとの間で電気的に接続される接続部と、
前記コイルの電磁的ノイズを除去する複数種類の回路から選択された1の回路を取り付けるための取付部と、
を備え、
前記複数種類の回路は、ハンダ付け、溶接またはカシメのいずれかの取付手法によって取り付けられるものであり、
前記取付部は、前記選択された1の回路が、前記取付手法のいずれによって取り付けられるものであっても取付可能な形状であることを特徴とするリレー用コイル端子。
【請求項2】
請求項1に記載のリレー用コイル端子であって、
前記取付部には、前記選択された1の回路を取り付けるための切欠部が設けられていることを特徴とするリレー用コイル端子。
【請求項3】
回路を開閉するリレーであって、
電力供給を受けて励磁されるコイルと、
外部から前記コイルに電力を供給するための一対の端子と、
励磁された前記コイルとの間の電磁的相互作用によって揺動する揺動部材と、
前記揺動部材の揺動に連動して移動することによって前記回路を切り替える可動接点と、
前記コイルにおける電磁的ノイズを除去する複数種類の回路のうちから選択された1の回路と、
を備え、
前記複数種類の回路は、ハンダ付け、溶接またはカシメのいずれかの取付手法によって取り付けられるものであり、
前記一対の端子は、前記選択された1の回路が、前記取付手法のいずれによって取り付けられるものであっても取付可能な形状の取付部を有することを特徴とするリレー。
【請求項4】
請求項3に記載のリレーであって、
前記取付部には、前記選択された1の回路を取り付けるための切欠部が設けられていることを特徴とするリレー。
【請求項5】
請求項3または4に記載のリレーであって、
前記複数種類の回路には、ダイオードが含まれることを特徴とするリレー。
【請求項6】
請求項3または4に記載のリレーであって、
前記複数種類の回路には、抵抗素子とコンデンサー素子とから構成される回路が含まれることを特徴とするリレー。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2006−210018(P2006−210018A)
【公開日】平成18年8月10日(2006.8.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−17264(P2005−17264)
【出願日】平成17年1月25日(2005.1.25)
【出願人】(000000309)IDEC株式会社 (188)