説明

リレー

【課題】省スペース化を図りつつ、動作確認が容易なリレーを提供する。
【解決手段】リレー1のケース2の側面にZ軸に沿うように導光部20を設ける。なお、導光部20は、ケース2の側面部材の肉厚部分であって、ケース2の他の部位と一体的な構造物とする。また、コイル端子41に電圧が印加されたときに発光する発光素子をリレー1(ケース2)の内部に設ける。当該発光素子から(+Y)方向に照射された照明光を、(+Z)方向に反射する反射面201を導光部20の下端に配置する。反射面201によって反射された照明光を導光部20の上端に配置された表示面200まで導くことにより、表示面200を照明する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、リレーの動作を表示する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のリレーでは、作業者がリレーの動作確認をするための動作表示灯が設けられる。このような動作表示灯は、作業者が点灯状況を視認しやすいように、リレーの天面(筐体上面)近傍に設けるのが一般的である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところが、リレー(動作表示灯を含む)に電力を供給するための端子は、通常、リレーの底面に設けられるので、これらの端子から天面近傍に配置された動作表示灯まで、比較的長い配線を引く必要があるという問題があった。
【0004】
一方で、近年リレー等の電子部品の小型化が所望されている。しかし、小型のリレーにおいては、動作表示灯を天面近傍に配置するスペースを確保できない場合がある。このような場合には、やむを得ず天面から離れた位置に動作表示灯を配置することとなるが、作業者が点灯状況を視認しにくいという問題があった。
【0005】
本発明は、上記課題に鑑みなされたものであり、省スペース化を図りつつ、動作確認が容易なリレーを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するため、請求項1の発明は、コイルと揺動部材との電磁的相互作用により回路を開閉するリレーであって、前記コイルおよび前記摺動部材を内部に収容する中空の筐体と、前記コイルに供給される電力の供給状況に応じて点灯する照光手段とを備え、前記筐体が、所定の位置に配置される表示面と、前記照光手段から照射された光を、前記表示面に向けて導く導光部とを有し、前記表示面および前記導光部は、前記筐体の一部を成す一体構造物として形成されることを特徴とする。
【0007】
また、請求項2の発明は、請求項1の発明に係るリレーであって、前記導光部は、前記照射手段から照射された光のうち前記表示面以外に向かう光を、前記表示面に向けて導くことを特徴とする。
【0008】
また、請求項3の発明は、請求項2の発明に係るリレーであって、前記導光部は、前記照光手段から照射された光を前記表示面に向けて反射させる反射面を有し、前記反射面は、前記筐体と前記照光手段との相対位置に応じて、前記照光手段から前記反射面に向けて照射された光をほぼ全反射するように、位置および配置角度が決定されていることを特徴とする。
【0009】
また、請求項4の発明は、請求項1ないし3のいずれかの発明に係るリレーであって、前記筐体は、前記表示面の周囲に配置される面が荒らし加工されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
請求項1ないし4に記載の発明では、所定の位置に配置される表示面と、照光手段から照射された光を、表示面に向けて導く導光部とを、筐体の一部を成す一体構造物として形成することにより、表示面の位置に関わらず、部品点数を増加させることなく、任意の位置に照光手段を配置しつつ表示面を照明することができる。したがって、コスト増大を抑制しつつ、スペースを有効に利用することができる。
【0011】
請求項2に記載の発明では、導光部は、照射手段から照射された光のうち表示面以外に向かう光を、表示面に向けて導くことにより、例えば、照射手段と表示面との間に遮蔽物があっても表示面を効率よく照明することができる。また、照明手段の照明方向を自由に設計することができる。
【0012】
請求項3に記載の発明では、導光部は、照光手段から照射された光を表示面に向けて反射させる反射面を有し、反射面は、筐体と照光手段との相対位置に応じて、照光手段から反射面に向けて照射された光をほぼ全反射するように、位置および配置角度が決定されていることをにより、照明光を効率よく表示面に導くことができる。
【0013】
請求項4に記載の発明では、筐体は、表示面の周囲に配置される面が荒らし加工されていることにより、周囲の面から漏れる光を散乱させることによって、表示面の状態を強調することができる。したがって、作業者による表示面の視認性が向上する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明の好適な実施の形態について、添付の図面を参照しつつ、詳細に説明する。
【0015】
<1. 第1の実施の形態>
図1は、本発明に係るリレー1の外観斜視図である。また、図2は、リレー1の内部構造を示す斜視図である。
【0016】
なお、図1および図2において、図示および説明の都合上、Z軸方向が鉛直方向を表し、XY平面が水平面を表すものとして定義するが、それらは位置関係を把握するために便宜上定義するものであって、以下に説明する各方向を限定するものではない。以下の図についても同様である。
【0017】
第1の実施の形態におけるリレー1は、図1に示すように、中空のケース2とベース3とが係合することによって、内部を保護する構造となっている。
【0018】
ケース2は、光透過性を有する樹脂製であって、ベース3と係合する方向(−Z方向)に開口した略箱状の部材である。なお、ケース2を構成する素材は、光透過性を有し、内部を保護することのできる強度を有する素材であれば、どのようなものであってもよい。このような素材として、例えば、ガラス(石英)を用いてもよい。
【0019】
このように、ケース2は光透過性を有することから、実際には、リレー1において、ケース2を通して外部から内部構造を視認することができる。ただし、図1では、ケース2の外形を把握しやすいように、外部から視認できる内部構造を省略して図示している。ケース2は一体構造物であって、ケース2を成形する際には、導光部20、天面21および取付窓22がそれぞれ一体的に形成される。
【0020】
導光部20は、ケース2の(+Y)方向の側面から突出した柱状の突部であって、ケース2の一部を構成する。すなわち、導光部20は、ケース2の(+Y)方向の側面の肉厚部として形成され、ケース2の他の部位と同様に光透過性を有する樹脂製である。
【0021】
また、導光部20は、図1に示すように、長手方向がZ軸方向に沿うように形成され、(+Z)側の端面は表示面200となっており、(−Z)側の端面は反射面201となっている。なお、導光部20については後に詳述する。
【0022】
ケース2の(+Z)方向に配置される天面21は、XY平面に略平行に配置される。天面21のうち、導光部20の表示面200に周接する面は、例えば、シボ加工、あるいは梨地加工といった荒らし加工が施された乱反射面210となっている。これにより、周囲の乱反射面210に入射する光が乱反射されるので、表示面200の状態が強調され、表示面200の視認性が向上する。
【0023】
ケース2のX軸方向の両側面には、当該側面をそれぞれ貫く矩形の取付窓22が対向して形成されている。リレー1を組み立てる際には、この取付窓22にベース3の取付爪30を係合させることによって、ケース2をベース3に取り付ける。
【0024】
ベース3は、リレー1の各構成要素の基台として機能する。これらリレー1の各構成要素は、主に(+Z)側からベース3に取り付けられる。また、リレー1の端子(例えば、コイル端子41等)は、ベース3を(+Z)側から(−Z)側に貫通するように取り付けられており、ベース3の外部に露出している。露出した端子に外部の所定の回路を接続することによって、リレー1の内部と外部との電気的接続が実現される。ベース3にはX軸方向に対向する一対の取付爪30が形成されている。一対の取付爪30は、先述のように、ケース2の取付窓22と係合する。
【0025】
図2に示すように、リレー1の内部には、コイルユニット4、揺動部5および接点ユニット6がベース3に取り付けられた状態で収容されている。
【0026】
コイルユニット4は、コイル40、コイル端子41(端子410,411)および表示灯ユニット42を備え、揺動部5のアーマチュア50を揺動させるための磁界を生成する。
【0027】
コイルユニット4のコイル40は、コイル端子41に電圧が印加されることによって励磁され、内部に有する図示しないコアによって先述の磁界を形成する。
【0028】
表示灯ユニット42は、発光素子420と発光素子420を所定の位置に保持する支持部材421とを備えている。表示灯ユニット42は、コイル端子41に電圧が印加されているか否かを照明光によって表示するユニットである。
【0029】
発光素子420は、支持部材421に配置された配線を介してコイル端子41に接続されており、コイル端子41に電圧が印加されると点灯し、電圧が印加されていない状態では消灯する。言い換えれば、コイル端子41は、発光素子420に電力を供給する端子としても使用されている。
【0030】
発光素子420から照射された照明光は、主に(+Y)側に向けて進行する。なお、本実施の形態におけるリレー1では、発光素子420としてLED素子を採用するが、もちろんこれに限られるものではなく、例えばネオン管であってもよい。すなわち、コイル端子41への電圧の印加の有無に応じて発光するものであれば、どのようなものが発光素子420として採用されてもよい。
【0031】
揺動部5は、アーマチュア50、ヒンジバネ51およびカード52を備え、コイル40とアーマチュア50との間の電磁的相互作用(主にコイル40とアーマチュア50との間の吸引力を生じる作用)により生成された駆動力を、コモン端子部60に伝達する。また、ヒンジバネ51の付勢力によって生成される駆動力(主にカード52を(+Y)方向に復帰させる駆動力)を、コモン端子部60に伝達する。
【0032】
アーマチュア50は、(−Y)側端部が(−Z)方向に屈曲した板状の部材であって、励磁されたコイル40との間で電磁的相互作用を生じる素材(例えば、鉄)で形成される。詳細は図示しないが、アーマチュア50の(−Y)側端部は、ヒンジバネ51を介してカード52を(−Y)方向に押し出す押圧部となっている。
【0033】
ヒンジバネ51はステンレス製の弾性部材であり、アーマチュア50の(−Y)側端部を(+Y)方向に付勢する。また、ヒンジバネ51はカード52と係合しており、カード52を(+Y)方向に引き寄せることによって付勢する。
【0034】
これにより、コイル40が励磁されていない状態では、アーマチュア50は、屈曲部(X軸に略平行な軸)を中心に回動し、アーマチュア50はコイル40(コア)から離間する方向(略(+Z)方向)に移動する。また、アーマチュア50の(−Y)側端部が(+Y)方向に移動して離間することにより、カード52がヒンジバネ51の付勢力によって(+Y)方向に移動する。
【0035】
カード52は、コモン端子部60と係合しており、一体的に移動する。すなわち、カード52が(+Y)方向に移動している状態では、コモン端子部60も(+Y)方向に撓んだ状態となる。一方、カード52が(−Y)方向に移動している状態では、コモン端子部60も(−Y)方向に撓んだ状態となる。
【0036】
接点ユニット6は、コモン端子部60、常閉接点端子61および常開接点端子62を備え、揺動部5から伝達される駆動力に応じて、回路を切り替える機能を有している。コモン端子部60、常閉接点端子61および常開接点端子62は、いずれもベース3の外部に露出し、外部の回路と電気的に接続することが可能とされている。常閉接点端子61および常開接点端子62の(+Z)側の端部は、所定の間隔をあけて、Y軸方向に対向しており、その間にコモン端子部60が配置される。
【0037】
詳細は図示しないが、コモン端子部60は、Y軸方向に弾性を有する略短冊状の可動バネ600と、可動バネ600を貫通して取り付けられる可動接点601と、ベース3に固定されるコモン端子602とを有する。可動バネ600は、(−Z)側の端部がコモン端子602に固定されている。
【0038】
また、可動バネ600は、揺動部5のカード52と所定の位置で係合している。この可動バネ600とカード52との係合点が、コモン端子部60に伝達される駆動力の作用点となる。コモン端子602はベース3に取り付けられた状態で外部に露出しており、揺動部5の揺動によっても静止した状態を維持する。
【0039】
これにより、カード52の移動に伴って、可動バネ600が、コモン端子602との固定点を支点に振り子のようにY軸方向に揺動し、この動きに連動して可動接点601の位置がY軸方向に移動する。
【0040】
常閉接点端子61および常開接点端子62の(+Z)側の端部には、可動接点601との接触を確実に行うための突部(接点)が、可動接点601と対向する位置にそれぞれ設けられている。常閉接点端子61および常開接点端子62は、ベース3に固定されており常時静止している。
【0041】
このリレー1の接点切替え動作を説明すると、以下の通りである。コイル40にコイル端子41を通じて電圧が印加されない状態では、ヒンジバネ51の付勢力によってカード52が(+Y)方向に付勢される。
【0042】
これにより、カード52に係合したコモン端子部60の可動バネ600が(+Y)方向に引き寄せられる。この動きに連動して、可動バネ600に取り付けられている可動接点601が常閉接点端子61に接触するとともに、常開接点端子62から離間する。すなわち、コイル端子41に電圧が印加されない状態では、コモン端子部60と常閉接点端子61とは導通状態にあり、逆にコモン端子部60と常開接点端子62とは切断状態にある。
【0043】
一方、コイル40のコイル端子41に電圧が印加されると、コイル40の図示しないコアからアーマチュア50にかけて生ずる磁界により、アーマチュア50がヒンジバネ51の付勢力に抗してコアの上端に引き寄せられる。すなわち、コイル40とアーマチュア50との電磁的相互作用によって、アーマチュア50が揺動する。
【0044】
このアーマチュア50の動きがカード52を通じてコモン端子部60の可動バネ600に伝えられ、可動バネ600が常開接点端子62側(−Y方向)に押し出される。これにより、コモン端子部60(可動接点601)と常開接点端子62との間が導通状態となる。逆に常閉接点端子61から可動接点601が離れ、コモン端子部60と常閉接点端子61との間は切断状態となる。
【0045】
以上が、本実施の形態におけるリレー1の機能および構成の説明である。次に、従来の問題点を詳述するとともに、リレー1の導光部20によって、発光素子420の照明光がケース2の天面21方向に導かれる様子を説明する。
【0046】
図3は、従来の小型のリレー100における動作表示灯101を示す図である。図4は、本実施の形態におけるリレー1の導光部20と発光素子420との位置関係を示す部分側面図である。
【0047】
先述のように、リレーにおいては、コイルに電圧が印加されたときに、正常に回路の切替えが行われるか否かを確認する必要がある。一般にこのような確認を行うには、リレー(コイル)に電圧が印加されたか否を動作表示灯の点灯状態によって確認し、動作表示灯が点灯したときに、正常に回路が切り替わったか否かを当該リレーが用いられている回路の動作によって判断する。
【0048】
リレーに限らず電子部品は、他の電子部品に隣接して回路基板に取り付けられる。そのため、作業者は電子部品の下面(取付面)を視認することはできない。また、側面も他の電子部品に遮蔽される。したがって、一般的な電子部品では、当該電子部品の上面(取付面に対向する面)が最も作業者にとって視認しやすい位置となる。すなわち、リレーの表示面は上面に設けるのが好ましい。
【0049】
リレー100は、上面付近に動作表示灯101を配置する空間を確保できない小型のリレーである。したがって、図3に示すように、ケース102内部の比較的低い位置に動作表示灯101が配置される。動作表示灯101がこのような位置に配置された場合、作業者が少しでも確認しやすいように、動作表示灯101は上方に向けて照明光を照射する。言い換えれば、光路L1の方向に照明光を照射するように動作表示灯101が取り付けられる。
【0050】
しかし、例え動作表示灯101が上方に照明光を照射しても、出射された照明光は様々な方向に拡散する。例えば、照射された照明光のうち光路L2方向に進行する照明光は、リレー100の内部構造物(コイル等)に遮蔽されて、作業者の視界には届かない。このように、動作表示灯101の配置位置が比較的低い場合には、光路L1を進行する照明光は出射された照明光のほんの一部となり、表示面103に到達する光量は少ない。すなわち、動作表示灯101は、リレー100の表示面103を効率よく照明することができず、視認性は低下する。
【0051】
このような場合、作業者は、確実に動作確認を行うために、リレー100をのぞき込むようにして、直接動作表示灯101を確認しなければならない。すなわち、従来のリレー100では、動作表示灯101の視認性が悪く、動作確認を行う際の作業者の姿勢や位置が限定されるという問題がある。
【0052】
この問題を解決するためには、例えば、動作表示灯101の照明光を、光ファイバー等の導光体で上面まで導くことも考えられる。このようにすれば、動作表示灯101の照明光を減衰させることなく、上面まで導くことができ、効率よく表示面103を照明することができる。しかし、その場合は部品点数が増加するためコスト高を招来する。また、光ファイバー等の導光体は外部に配置すると損傷する危険があるため、内部に新たな収容スペースが必要となるという問題がある。
【0053】
図4に示すように、本実施の形態におけるリレー1もリレー100と同様に小型のリレーであって、動作表示灯101に相当する発光素子420が比較的低い位置(表示面200から遠い位置)に配置されている。
【0054】
発光素子420は、表示面200ではなく、ほぼ(+Y)方向に向けて(図4に示す光路L3となるように)照明光を照射する。この照明光はケース2の側面(XZ平面に略平行な面)に入射する。このように、照明光が垂直に近い角度でケース2に入射するため、照射された照明光のうちケース2の内側表面によって反射される光量は比較的少ない。
【0055】
なお、図4では多少強調して示しているが、発光素子420は、(+Y)方向よりわずかに(+Z)方向にずれた方向に照明光を出射する(光路L3)。すなわち、リレー1では、発光素子420から出射される照明光が微小な仰角をもつように、発光素子420が配置されている。これは、導光部20の反射面201によって照明光がほぼ全反射されるようにするためである。仰角の適正値は、予め実験等によって求めることができる。
【0056】
また、発光素子420から照射された照明光がケース2に入射する位置は、発光素子420の比較的近傍であるため、照射された照明光のうち入射するまでに減衰する光量は比較的少ない。したがって、リレー1では、発光素子420から照射された照明光の大部分が導光部20に入射する。
【0057】
導光部20に入射した照明光は、ほぼ(+Y)方向に進行して、反射面201からケース2の外部に出射される。しかし、反射面201は、照明光をほぼ全反射するように、XY平面に対する傾斜角度およびZ軸方向の位置が決定されているため、反射面201からケース2の外部に出射される(漏れ出す)照明光はわずかである。
【0058】
反射面201によって反射され、導光部20内を進行する照明光の光路L4が、Z軸に平行である程、導光部20の側面(Z軸に略平行な面)から漏れる照明光が減少し、表示面200に到達する照明光の光量が増加する。したがって、本実施の形態におけるリレー1では、発光素子420からの照明光の出射方向(光路L3)に対して、反射方向がほぼ(+Z)方向となるように、反射面201が配置されている。
【0059】
これにより、リレー1では、ほぼ(+Y)方向に進行してきた照明光が、反射面201によって、ほぼ(+Z)方向に反射されて表示面200に向かうこととなる。なお、反射面201によって反射された照明光のうち、表示面200に到達する途中で拡散する照明光(例えば光路L5を進行する照明光)は、導光部20の側面によってほぼ全反射される。したがって、導光部20の側面から漏れ出す照明光は抑制され、照明光は効率よく表示面200に導かれる。すなわち、表示面200が効率よく照明されるため、作業者の視認性が向上する。
【0060】
以上のように、第1の実施の形態におけるリレー1は、表示面200と、発光素子420から照射された光のうち表示面200以外に向かう光を、表示面200に向けて導く導光部20とが、ケース2の一部を成す一体構造物として形成されることにより、表示面200の位置に関わらず、部品点数を増加させることなく、任意の位置に発光素子420を配置することができる。したがって、コスト増大を抑制しつつ、スペースを有効に利用することができる。
【0061】
また、表示面200は、ケース2の上面(天面21)に配置されることにより、作業者は容易に発光素子420の点灯状況を視認することができる。
【0062】
また、発光素子420は、コイル端子41の近傍に配置されることにより、配線を簡素化することができるので、省スペース化を図ることができる。
【0063】
また、発光素子420から照射された光を表示面200に向けて反射させる反射面201は、ケース2と発光素子420との相対位置に応じて、発光素子420から反射面201に向けて照射された照明光をほぼ全反射するように、位置および配置角度が決定されていることにより、効率よく表示面200に照明光を導くことができる。
【0064】
また、ケース2は、表示面200の周囲に配置される面(乱反射面210)が荒らし加工されていることにより、表示面200の周囲から漏れる光を散乱させることによって、表示面200の状態を強調することができる。したがって、作業者による表示面200の視認性が向上する。
【0065】
<2. 第2の実施の形態>
上記第1の実施の形態では、発光素子420が表示面200以外の方向に向かって照明光を出射して、導光部20がこの照明光を表示面200に向けて導く例を説明したが、発光素子420と表示面200との間に空間を設けることができる場合には、発光素子420は表示面200に向けて照明光を出射するように構成してもよい。
【0066】
図5は、第2の実施の形態におけるリレー1aの導光部と発光素子420との位置関係を示す部分側面図である。また、図6は、リレー1aを上面方向から見た部分平面図である。なお、本実施の形態におけるリレー1aと第1の実施の形態におけるリレー1とにおいて、ほぼ同様の機能および構造を有する構成については同一の符号を付して、以下適宜説明を省略する。
【0067】
リレー1aのケース2aに設けられる導光部20aは、ケース2aの内部に向かって肉厚な部分として形成される。すなわち、導光部20aは、第1の実施の形態と同様にケース2aと一体構造物として形成されている。
【0068】
導光部20aの(+Z)側の端面は、表示面200aとなっており、ケース2aの天面21と同一の面を形成するように配置されている。また、導光部20aの(−Z)側端面は、ほぼ水平面となるように配置されている。なお、図6に示すように、本実施の形態におけるリレー1aにおいても、表示面200aの周囲の面は荒らし加工が施された乱反射面210となっている。
【0069】
本実施の形態における発光素子420は、照明光を出射する方向が、(+Z)方向の光路L3aとなるように取り付けられている。すなわち、発光素子420は表示面200aに向けて照明光を出射するように配置されている。
【0070】
発光素子420から出射され光路L3aを進行した照明光は、導光部20aの(−Z)側端面から導光部20aの内部に入射する。このとき、導光部20aの(−Z)側端面と光路L3aとの角度(照明光の入射角)は、ほぼ垂直となっているため、照明光はほとんど反射されることなく導光部20aに入射する。
【0071】
入射した照明光のうち光路L4aを進行する照明光は、直接表示面200aに向けて進行するが、散乱する方向の光路L5aに向かう照明光も、導光部20aの表面で反射されて表示面200aに向けて導かれる。
【0072】
すなわち、本実施の形態におけるリレー1aは、従来の小型リレー100と同様に、表示面200aに向けて照明光を出射する。しかし、導光部20aによって途中で減衰(散乱)する光量を抑制することができるため、効率よく表示面200aを照明することができる。なお、光路L3aの距離が短いほど、漏れる照明光の光量を抑制することができるため、導光部20aの(−Z)側端面と発光素子420との距離は短い方が好ましい。
【0073】
以上のように、発光素子420が表示面200aに向けて照明光を出射する場合であっても、導光部20aは照明光を効率よく表示面200aに導くことができる。すなわち、第2の実施の形態におけるリレー1aも第1の実施の形態と同様の効果を得ることができる。
【0074】
また、導光部20aがケース2aの内部側に設けられるため、リレー1aの外寸を小さくすることができる。
【0075】
<3. 変形例>
以上、本発明の実施の形態について説明してきたが、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく様々な変形が可能である。
【0076】
例えば、コモン端子部60、常閉接点端子61および常開接点端子62は、それぞれ一つであったが、これらの数はこれに限られるものではない。すなわち、これらを二組以上設けて、同時に複数の回路の切替を行うことができるように構成してもよい。
【0077】
また、発光素子420が照射する照明光の波長は、可視光の波長であれば、どのような波長のものであってもよい。したがって、例えば、用途の異なるリレー1,1aについて、互いに異なった色の照明光を照射する発光素子420とすることにより、作業者の確認作業の効率化を図ることができる。
【0078】
また、上記実施の形態では、ケース2,2aは光透過性のある部材としてのみ説明したが、ケース2,2aを着色したり、蛍光部材を混入させたりすることにより、発光素子420が照射する光のうち透過する光(表示面200,200aから外部に照射される光)の波長を限定してもよい。その場合は、同じ発光素子420を用いて、表示面200,200aを任意の色に光らせることができる。
【0079】
また、照明光によって照明される表示面200,200aは、リレー1,1aの天面21に設けなくてもよい。例えば、リレー1,1aの取付位置によって、側面等が作業者から見やすい場合には、導光部20,20aを側面に向けて延設し、発光素子420から照射された照明光をケース2,2aの側面に導くように構成してもよい。すなわち、表示面200,200aの位置は作業者が視認しやすい位置に配置すればよい。
【図面の簡単な説明】
【0080】
【図1】本発明に係るリレーの外観斜視図である。
【図2】第1の実施の形態におけるリレーの内部構造を示す斜視図である。
【図3】従来の小型のリレーにおける動作表示灯を示す図である。
【図4】第1の実施の形態におけるリレーの導光部と発光素子との位置関係を示す部分側面図である。
【図5】第2の実施の形態におけるリレーの導光部と発光素子との位置関係を示す部分側面図である。
【図6】第2の実施の形態におけるリレーを上面方向から見た部分平面図である。
【符号の説明】
【0081】
1,1a リレー
2,2a ケース
20,20a 導光部
200,200a 表示面
201 反射面
21 天面
210 乱反射面
3 ベース
4 コイルユニット
40 コイル
41 コイル端子
42 表示灯ユニット
420 発光素子
5 揺動部
50 アーマチュア
51 ヒンジバネ
52 カード
6 接点ユニット
60 コモン端子部
600 可動バネ
61 常閉接点端子
62 常開接点端子

【特許請求の範囲】
【請求項1】
コイルと揺動部材との電磁的相互作用により回路を開閉するリレーであって、
前記コイルおよび前記摺動部材を内部に収容する中空の筐体と、
前記コイルに供給される電力の供給状況に応じて点灯する照光手段と、
を備え、
前記筐体が、
所定の位置に配置される表示面と、
前記照光手段から照射された光を、前記表示面に向けて導く導光部と、
を有し、
前記表示面および前記導光部は、前記筐体の一部を成す一体構造物として形成されることを特徴とするリレー。
【請求項2】
請求項1に記載のリレーであって、
前記導光部は、前記照射手段から照射された光のうち前記表示面以外に向かう光を、前記表示面に向けて導くことを特徴とするリレー。
【請求項3】
請求項2に記載のリレーであって、
前記導光部は、前記照光手段から照射された光を前記表示面に向けて反射させる反射面を有し、
前記反射面は、前記筐体と前記照光手段との相対位置に応じて、前記照光手段から前記反射面に向けて照射された光をほぼ全反射するように、位置および配置角度が決定されていることを特徴とするリレー。
【請求項4】
請求項1ないし3のいずれかに記載のリレーであって、
前記筐体は、前記表示面の周囲に配置される面が荒らし加工されていることを特徴とするリレー。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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