説明

リング状シール部材の保管器具

【課題】 多種のリング状シール部材のうちから目的の寸法のものを的確かつ容易に見つけられ、またリング状シール部材の各寸法ごとの残数が容易に認識できるリング状シール部材の保管器具を提供すること。
【解決手段】 ベース1の上面に複数の棒材2を突設し、各棒材2の位置するベース1の前面に、該当するリング状シール部材3の寸法を表示したラベル4を貼る構成にし、リング状シール部材3は、寸法別に棒材2を囲む形態で当該棒材2に係合してベース1上に戴置され、同じ寸法の複数のリング状シール部材3は、対応する同一の棒材2に先に置かれた同シール部材3の上に重ねて置く。

【考案の詳細な説明】
【0001】
【考案の属する技術分野】
本考案は、リング状シール部材を分類保管する器具に関する。リング状シール部材とは、異物の侵入や流体の漏出入を防止するために使用するリング状をしたガスケットと同パッキンの総称である。
【0002】
【従来の技術】
従来、リング状シール部材は、シール部材の専用ケースや工具箱などの収納箱に無作為に投入されて保管されていたため、各種寸法のものが収納箱内に混在していた。このため、リング状シール部材を収納箱から取り出して所定位置に取付ける際には、まず収納箱内を掻き回して目的の寸法のものを見つけたうえ、これを取り出すことが行われた。
【0003】
【考案が解決しようとする課題】
しかしながら、前記従来技術によれば、リング状シール部材を収納箱から取り出すときには、まず収納箱内を掻き回して目的の寸法のものを見つけ出す必要があるため、面倒であるばかりか目的の寸法のものが見つけられない場合にはリング状シール部材の取り付け作業それ自体が中断を余儀なくされるという不具合がある。
【0004】
また、目的の寸法のものを見つける作業にしても、目的の寸法のものであるか否かの判断を、多数のリング状シール部材の中の夫々の直径を推定しながら行う必要があるため、目的の寸法のものを選択する作業が面倒であるという不具合もある。
さらに、作業条件との関係などによって、収納箱に内在する多数のリング状シール部材の寸法別の数を認識する必要があるときには、無秩序に内在する多数のリング状シール部材を寸法別に仕分けしてから各寸法別に計数しなければならないという不具合もある。
【0005】
本考案は、かかる従来技術の不具合を解決するためになされたものであって、その目的は、多種のリング状シール部材のうちから目的の寸法のものを的確かつ容易に見つけられるようにすることにあり、またその目的は、多数のリング状シール部材の寸法別の数を容易に認識できるようにすることにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載の保管器具は、リング状シール部材を径の寸法別に係合する複数の棒材をベースに突設したものである。各棒材に係合するリング状シール部材の寸法を特定しておくことによって、同一の棒材には同一寸法のリング状シール部材が係合されているから、多数のリング状シール部材の中から目的の寸法のものを捜し出す必要もなく直ちに目的の寸法のリング状シール部材を見つけて取り出すことができる。
【0007】
請求項2記載の保管器具は、請求項1において、複数の棒材の各外径を、係合するリング状シール部材の内径に対応させている。これにより、リング状シール部材の内周は棒材の外周との間に大幅な隙間がないから、同一の棒材に係合される複数のリング状シール部材は径方向に位置が大きく乱れることがなく、各リング状シール部材は棒材の軸方向に整然と係合される。
【0008】
請求項3に記載の保管器具は、請求項1又は同2において、前記複数の棒材の間隔を、隣接する棒材に係合した各リング状シール部材どうしの間で干渉しない寸法としている。このため、隣り合う棒材に係合されるリング状シール部材どうしの一部が重なり合うことがないから、一方の棒材のリング状シール部材を棒材に沿って移動させながら取り出すときに、他方の棒材のリング状シール部材も一緒に棒材から外れることもない。
【0009】
請求項4に記載の保管器具は、請求項1ないし同3のいずれかにおいて、各棒材に係合するリング状シール部材の寸法を、棒材又はベースに表示している。これによれば、リング状シール部材の寸法が一目瞭然であるため、同シール部材の寸法を誤認するおそれがない。
【0010】
【考案の実施の形態】
以下、本考案の実施の形態を図面を参照しながら説明する。
まず、本考案に係るリング状シール部材の保管器具の構成を図1を参照しながら説明する。図1は、第1の実施の形態を示すもので、複数の棒材が同一の外径寸法のもので構成されたリング状シール部材の保管器具の実施の形態を示した斜視図である。
【0011】
直方体をしたベース1の上面に、同一の外径寸法を持つ複数の棒材2がベース1の長手方向に一列に突設され、各棒材2の位置するベース1の前面に、該当する棒材2に係合するリング状シール部材3の寸法を表示したラベル4が夫々貼られた構成をしている。
そして、リング状シール部材3は、棒材2を囲む形態で当該棒材2に係合されてベース1上に戴置される。その際に、ベース1に突設された右端の棒材2から左に向って順次寸法が大きくなるように各棒材2に係合させてリング状シール部材3を置くことで寸法別に分類している。
【0012】
また、同じ寸法の複数のリング状シール部材3は、対応する同一の棒材2に先に置かれているリング状シール部材3の上に重ねて置いている。更に、棒材2は、隣接する棒材に係合して置かれたリング状シール部材3が隣りどうしで重なり合わない間隔でベース1に突設されている。
このようにして、リング状シール部材3を寸法別に分類して保管することで、目的の寸法のものを容易に見つけることができ、また一見しただけで各寸法の残数がどれだけあるかが把握できる。
【0013】
図2は、第2の実施の形態を示すもので、図1の棒材2の外径寸法を、各棒材2に係合するリング状シール部材3の内径に対応したものを用いた実施の形態を示す斜視図である。図2に示す実施の形態は、図1に示す実施の形態における複数の棒材2を、各棒材2に係合するリング状シール部材3の内径より少しだけ小さな外径を持った棒材2により構成したものである。
【0014】
このような構成の場合は、リング状シール部材3を棒材2に係合させて置いた際に、同シール部材3に径方向への大きなズレがなく、棒材2の軸方向に整然と係合させることができるので、リング状シール部材3を棒材2に係合させて置いた際に、整然として見た目が良く、またリング状シール部材3を用いる管などの寸法を視覚的に把握することができる。
【0015】
図3は、第3の実施の形態を示すもので、図2の棒材2を水平面に対して斜めに突設した実施の形態を示す斜視図である。
図2の実施の形態におけるベース1の上面を斜めに形成し、その上面に対して棒材2を垂直に突設することにより、棒材2が水平面に対して斜めになるような構成になっている。
【0016】
図3に示す実施の形態では、棒材2は水平面に対して約70度の角度を持って突設されていて、正面から見て、棒材2の上面が使用者側に約20度傾いている。
このように、棒材2を斜めに突設することで、棒材2の上面が真上を向いている図1、図2の実施の形態よりも斜めになっている分、リング状シール部材3の棒材2に沿っての移動が手前上方への移動となるため、垂直上方への移動よりもやり易くなり、結果として取り出し易くなる。また、取扱い者にとって、リング状シール部材3が図1、図2のものよりも円形に近い形態で見えることになるから、同シール部材をより的確に視認することができる。
【0017】
図4は、第4の実施の形態を示すもので、図2のベース1がターンテーブルの機能を持っている実施の形態を示す斜視図である。
図4の実施の形態では、ベース1が円形のテーブル部分1aとそれを支える基台1bとにより構成されていて、該円形のテーブル部分1aは図示しない軸により基台1bに対して回転可能となっている。
【0018】
そして、棒材2は円形のテーブル部分1a上でこれと同心円上に突設され、同円形のテーブル部分1a上には、該当する棒材2に係合するリング状シール部材3の寸法を表示したラベル4が貼られている。
このような構成の場合は、円形のテーブル部分1aを回転させることにより、使用者が移動することなく希望するリング状シール部材3の係合した棒材2を手前まで移動させることができる。
【0019】
図1ないし図4に示す実施の形態には、ベース1にリング状シール部材3の各寸法を記したラベル4が貼られているが、このラベル4により正確な寸法をすぐに確認でき、視覚的に寸法を推定することにより誤ったものを選定してしまうようなことがなくなる。前記ラベル4はベース1ではなく棒材2の上端に設けることもできるし、また、ラベル4以外の手段、例えばベース1又は棒材2に寸法を直接表示することも可能である。
【0020】
なお、図2ないし図4に示した上記実施の形態においては、棒材2に円柱形のものを用いているが、円筒形のものや、実際にその寸法のリング状シール部材を用いる管やダクトなどを用いて構成してもよい。
円筒形の棒材を用いて構成するようにすれば、量産する際に、棒材の材質によっては棒材が円柱形のものより材料の節約になるのでコストダウンにつながる。
また、リング状シール部材3が管のフランジ継手のガスケットとして用いられるものであれば、管の径とガスケットの径とが一定の関係になっているから、図2ないし図4の棒材2として前記管と同一径のものを用いることにより、当該ガスケット(リング状シール部材3)と管との関係が一目瞭然となる。この場合に、前記ラベル4等の表示には管の寸法とリング状シール部材3の寸法とを併記しておくとよい。
【0021】
このようにすれば、リング状シール部材を間違った用途のものに使用することが無くなり、またダクトや管などの情報から目的のリング状シール部材を選定することができる。
図1ないし図3の実施の形態におけるベース1の形状は、コの字形やU字形、三角柱形など、設置する場所や使い勝手を考慮して種々の形状のものにしてもよいし、また棒材2は必ずしも一列に突設するものでなくともよい。
【0022】
【考案の効果】
以上説明したように、本考案に係る請求項1記載のリング状シール部材の保管器具によれば、混在した多数のリング状シール部材の中から目的のものを捜し出す必要がなく、一見しただけで直ちに目的の寸法のものを見つけて取り出すことができ、また複数の同じ寸法のリング状シール部材は、同一の棒材に重ねて係合するので、各寸法の残数の把握も容易となる。
【0023】
本考案に係る請求項2記載のリング状シール部材の保管器具によれば、請求項1の前記効果に加えて、シール部材の内径より少し小さな外径寸法の棒材で保管器具を構成すると、棒材に係合したリング状シール部材の内径と棒材の外径との隙間が小さくなり、リング状シール部材が径方向に大きくずれることが無くなり、各リング状シール部材は軸方向に整然と係合されるので見た目が良くなる。又、棒材の外径を実際にリング状シール部材を用いる管やダクトと同一の寸法にすれば、必要な寸法のリング状シール部材を視覚的に捉え易くなり、より簡単に選定することができるようになる。
【0024】
本考案に係る請求項3記載のリング状シール部材の保管器具によれば、請求項1又は2の前記効果に加えて、一方の棒材のリング状シール部材を棒材に沿って移動させながら取り出すときに、他方の棒材のリング状シール部材を巻き込んで一緒に棒材から外してしまうといったことが起きない。
請求項4記載のリング状シール部材の保管器具によれば、請求項1ないし3記載のいずれかの前記効果に加えて、リング状シール部材の寸法が一目瞭然となり、寸法を誤認するおそれがなくなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1の実施の形態を示す斜視図である。
【図2】第2の実施の形態を示す斜視図である。
【図3】第3の実施の形態を示す斜視図である。
【図4】第4の実施の形態を示す斜視図である。
【符号の説明】
1 ベース
2 棒材
3 リング状シール部材
4 ラベル

【実用新案登録請求の範囲】
【請求項1】 リング状シール部材を径の寸法別に係合する複数の棒材を、ベースに突設したことを特徴とするリング状シール部材の保管器具。
【請求項2】 前記複数の棒材の各外径を、係合する前記リング状シール部材の内径に対応させたことを特徴とする請求項1に記載のリング状シール部材の保管器具。
【請求項3】 前記複数の棒材の間隔を、隣接する棒材に係合した各リング状シール部材どうしの間で干渉しない寸法としたことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のリング状シール部材の保管器具。
【請求項4】 各棒材に係合するリング状シール部材の寸法を、棒材又はベースに表示したことを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれかに記載のリング状シール部材の保管器具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【登録番号】実用新案登録第3072729号(U3072729)
【登録日】平成12年8月9日(2000.8.9)
【発行日】平成12年11月2日(2000.11.2)
【考案の名称】リング状シール部材の保管器具
【国際特許分類】
【評価書の請求】未請求
【出願番号】実願2000−2681(U2000−2681)
【出願日】平成12年4月24日(2000.4.24)
【出願人】(000000055)アサヒビール株式会社 (535)