説明

レゾルシンホルムアルデヒド樹脂の製造方法

【課題】塩の添加を行なわずに、レゾルシン単量体及び5量体以上の高次縮合物を低減することのできるレゾルシンホルムアルデヒド樹脂の製造方法を提供する。
【解決手段】エステル類と、水と、レゾルシン100質量部に対して9質量部以上のリン酸類との存在下で、レゾルシンとホルムアルデヒドとを不均一反応させる工程を有するレゾルシンホルムアルデヒド樹脂の製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レゾルシンホルムアルデヒド樹脂の製造方法、及び該方法により製造されるレゾルシンホルムアルデヒド樹脂に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、レゾルシンホルムアルデヒド樹脂は硬化速度が速いので、接着剤、合板、集成材、表面被覆材等に使用され、特にゴムや繊維に対する接着力が優れているので、タイヤ用接着剤、ゴムホース用接着剤として使用されている。
【0003】
レゾルシンホルムアルデヒド樹脂を接着剤として使用する場合、レゾルシンホルムアルデヒド樹脂が十分な流動性を有していること、及び溶媒が共存している場合には均一に溶解していることが要求される。
【0004】
流動性を付与するために有機溶媒で希釈することも考えられるが、有機溶媒の使用は作業環境の悪化、接着力低下の可能性を有しているので好ましくない。有機溶媒を使用しないで、アニオン界面活性剤によって水中に分散させて接着剤とする方法もあるが(特許文献1)、水分散系の長期安定性という点で不安を残している。
【0005】
また、重縮合物の構成成分の中からレゾルシン5量体以上の構成比を低減させることによって、十分な流動性が得られることが経験的に知られている。レゾルシン5量体以上の高次縮合物は、3次元構造のものの比率が急に高くなるために、流動性が失われると考えられている。
【0006】
しかし、レゾルシン5量体以上の構成比を低減させるように反応条件をゆるやかに設定した場合、生成物の分子量分布が単に低分子側にずれるだけの結果となり、通常は未反応レゾルシン(レゾルシン単量体)濃度が高くなってしまう。未反応レゾルシン濃度が高くなると、接着剤として使用する場合、乾燥途中にレゾルシンが昇華することが観察されている。レゾルシン蒸気は人体に対して有害であるため、未反応レゾルシン濃度は15重量%以下、好ましくは10重量%以下、更に好ましくは5重量%以下であることが求められる。しかも未反応レゾルシンが少ないほど接着力も高くなることがわかっている。
【0007】
未反応レゾルシンを減少する方法として、特許文献2には、レゾルシン1モルに対して0.6モルのホルムアルデヒドを反応させた場合、反応終了後33重量%程度の未反応レゾルシンが含有され、0.8モルのホルムアルデヒドを反応させた場合は、約20重量%の未反応レゾルシンが含有されていることから、未反応レゾルシン含有量を15重量%以下に低減するために、減圧度0.05mmHg、130℃で未反応レゾルシンを昇華除去することが報告されている。また、特許文献3には、メチルイソブチルケトンを溶媒とし、水を抽剤として連続抽出器を使用し、未反応レゾルシン含有量を5.5%に減じたことが報告されている。しかし、これらの方法は反応終了後に真空蒸留を必要としたり、連続抽出器を使用して長時間の操作を要する等、工業的に不利である。
【0008】
また、未反応レゾルシン濃度を低下させるために反応条件を激しくすると、5量体以上の高次縮合物が大量に生成してしまい好ましくない。
【0009】
レゾルシン単量体と5量体以上の高次縮合物の両方を低減する方法として、特許文献4には、レゾルシン多量体(特に3次元構造が存在する5量体以上)の水相における溶解度を低下させるために反応系に塩を共存させた上、レゾルシンホルムアルデヒド樹脂を溶解する溶解度パラメータ7.0〜12.5の有機溶媒を加える方法が示されている。この方法で得られるレゾルシンホルムアルデヒド樹脂のゲルパーミエーションクロマトグラフィー分析によるレゾルシン5量体以上に相当するピーク面積は、全体のピーク面積に対して30%〜55%であり、レゾルシン単量体に相当するピーク面積は、全体のピーク面積に対して3%〜9%であり、従来に比べ単量体及び5量体以上の高次縮合物を低減させることに成功している。しかし、この方法では大量の塩を溶解させるために加熱する必要があり、更に添加した塩を除去する工程も必要になるといった工業的課題も残っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開昭57−167342号公報
【特許文献2】特公昭54−932号公報
【特許文献3】特公昭49−14550号公報
【特許文献4】国際公開第2005/035611号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は、上記の背景に基づきなされたものであり、塩の添加を行なわずに、レゾルシン単量体及び5量体以上の高次縮合物を低減することのできるレゾルシンホルムアルデヒド樹脂の製造方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明者らは、上記目的を達成するため、鋭意研究を重ねた結果、水とエステル類とが2相を形成して存在する系において、リン酸類を触媒としてレゾルシンとホルムアルデヒドとを不均一反応させることで、塩を添加することなく、レゾルシン単量体及び5量体以上の高次縮合物を低減することができることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0013】
即ち、本発明のレゾルシンホルムアルデヒド樹脂の製造方法は、エステル類と、水と、レゾルシン100質量部に対して9質量部以上のリン酸類との存在下で、レゾルシンとホルムアルデヒドとを不均一反応させる工程を有することを特徴とする。
【0014】
また、本発明のレゾルシンホルムアルデヒド樹脂は、上記製造方法で製造され、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー分析の面積法による測定でレゾルシン単量体の含有量が9%以下、かつ5量体以上の高次縮合物の含有量が55%以下であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、塩を添加することなく、レゾルシン単量体及び5量体以上の高次縮合物を低減することができる。そのため、塩を溶解させるために加熱する必要が無いし、塩を除去する工程を省くことができ、工業化し易い。
【0016】
また、レゾルシン単量体の含有量が9%以下、かつ5量体以上の高次縮合物の含有量が55%以下であるレゾルシンホルムアルデヒド樹脂を容易にかつ安全に効率よく得ることができ、さらに条件を最適化することで、従来では得ることが難しかったレゾルシン単量体の含有量が3%以下、かつ5量体以上の高次縮合物の含有量が20%以下であるレゾルシンホルムアルデヒド樹脂を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】実施例1の生成物のGPCチャートである。
【図2】実施例18の生成物のGPCチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明のレゾルシンホルムアルデヒド樹脂の製造方法は、原料としてレゾルシン及びホルムアルデヒド、酸触媒としてリン酸類、水相として水、有機相としてエステル類を必須とし、これらから形成される不均一状態を、例えば機械的攪拌、超音波等によりかき混ぜ混合等して、不均一反応(相分離反応)系として、レゾルシンとホルムアルデヒドとの反応を進めて縮合物(樹脂)を合成する工程を有する。次に、例えば非水溶性有機溶剤(例えばメチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、酢酸ブチル等)を添加混合して該縮合物を溶解し、かき混ぜ混合を止めて静置し、有機相(有機溶剤相)と水相(リン酸水溶液相)とに分離させ、水相を除去してリン酸類の回収を図る一方、有機相については湯水洗及び/又は中和した後、有機溶剤を蒸留回収することによってレゾルシンホルムアルデヒド樹脂を製造することができる。本発明の製造方法は、不均一反応を利用しているため、攪拌効率は極めて重要であり、反応系中の両相を微細化して界面の表面積をできうる限り増加させることが反応効率の面から望ましく、これによりレゾルシン単量体の樹脂への転化が促進される。
【0019】
原料として用いるホルムアルデヒドとして、ホルマリン、パラホルムアルデヒド等が挙げられる。中でも、あらかじめ水溶液であるホルマリンが好ましい。ホルムアルデヒド(F)とレゾルシン(Re)の配合モル比(F/Re)は、0.33以上、好ましくは0.40〜1.0、さらに好ましくは0.50〜0.80である。0.50〜0.80の範囲において、レゾルシン単量体及び5量体以上の高次縮合物がより低減されたレゾルシンホルムアルデヒド樹脂を高収率で製造することができる。
【0020】
また、酸触媒として用いるリン酸類は、好ましくは水溶液タイプ、例えば89質量%リン酸、85質量%リン酸、75質量%リン酸などが用いられるが、必要に応じて例えばポリリン酸、無水リン酸などを用いてもよい。リン酸類(純物質)の配合量は、レゾルシン100質量部に対して9質量部以上、好ましくは30質量部以上、より好ましくは50〜150質量部である。リン酸類(純物質)の配合量が、レゾルシン100質量部に対して9質量部未満では、未反応のレゾルシン単量体が増えるため好ましくない。
【0021】
本発明で用いるエステル類は、ホルムアルデヒド、レゾルシン、リン酸類の存在下、水との間で不均一反応の場を形成する重要な役割を立たすものである。
【0022】
具体的には、例えば、ギ酸メチル、ギ酸エチル、ギ酸プロピル、ギ酸ブチル、ギ酸イソブチル、ギ酸イソアミル、ギ酸ヘキシル、ギ酸ベンジル、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸アリル、酢酸n−ブチル、酢酸s−ブチル、酢酸イソブチル、酢酸アミル、酢酸イソアミル、酢酸シクロヘキシル、酢酸ベンジル、酢酸メチルシクロヘキシル、酢酸2−エチルヘキシル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、プロピオン酸ブチル、プロピオン酸イソアミル、プロピオン酸ベンジル、乳酸メチル、乳酸エチル、乳酸ブチル、酪酸メチル、酪酸エチル、酪酸イソプロピル、酪酸イソアミル、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、アセト酢酸アリル、イソ吉草酸エチル、イソ吉草酸イソアミル、安息香酸メチル、安息香酸エチル、安息香酸プロピル、安息香酸ブチル、安息香酸イソアミル、安息香酸ベンジル、サリチル酸メチル、サリチル酸イソアミル、サリチル酸ベンジル、ケイ皮酸メチル、ケイ皮酸エチル、ステアリン酸エチル、ステアリン酸ブチル、ステアリン酸アミル、γ−ブチロラクトン、アビエチン酸メチルなどのモノエステル類、シュウ酸ジエチル、シュウ酸ジブチル、シュウ酸ジアミル、マロン酸ジメチル、マロン酸ジエチル、マロン酸ジイソプロピル、酒石酸ジエチル、酒石酸ジブチル、マレイン酸ジブチル、マレイン酸ジオクチル、アジピン酸ジエチル、アジピン酸ジオクチル、フタル酸ジメチル、フタル酸ジエチル、フタル酸ジブチル、フタル酸ジオクチル、セバシン酸ジブチル、セバシン酸ジオクチルなどのジエステル類、クエン酸トリエチル、クエン酸トリブチルなどのトリエステル類、アセチルクエン酸トリエチル、アセチルクエン酸トリブチルなどのテトラエステル類、炭酸ジメチル、炭酸ジエチル、炭酸ジフェニルなどの炭酸エステル類が挙げられる。
【0023】
これらのうちでも、水との相溶性の点では、分子中にエーテル基及び/又はヒドロキシル基を有しないものが好ましく、更に、レゾルシン単量体の含有量及びレゾルシン5量体以上の高次縮合物の含有量を充分に減らすという点では、酢酸エチル、酢酸n−ブチル、酢酸ベンジル、ギ酸プロピル、マロン酸ジメチル、マロン酸ジエチル、シュウ酸ジエチル、クエン酸トリエチル、クエン酸トリブチル、安息香酸メチル、炭酸ジエチルなどが好ましい。また、レゾルシンホルムアルデヒド樹脂の製造工程で、工業的に取扱いが容易であり、かつ、最終的にエステル類を蒸発除去するという点では、沸点の低い酢酸エチル、酢酸ブチルなどが好ましい。エステル類は、上記の例示に限定されず、上記の特質を有しかつ反応時に液状を呈するものであれば固体でも使用することができ、それぞれを単独で又は二種以上を併用してもよい。
【0024】
これらのエステル類と水との存在下で不均一反応を行なうためには、一般的に水100質量部に対してエステル類を1.0〜2000質量部添加すればよく、好ましくは20〜1500質量部、更に好ましくは100〜1000質量部である。
【0025】
また、レゾルシンとホルムアルデヒドとの反応温度は反応条件によって異なるが、比較的低温でも反応させることができる。一般的には0〜100℃以上、好ましくは0〜40℃、さらに好ましくは0〜25℃である。なお、反応時間としては、反応温度、リン酸類の配合量などにより異なるが、一般的には1〜40時間程度である。
【0026】
また、反応環境としては、通常は常圧であるが、本発明の特徴である不均一反応を維持するならば、加圧下又は減圧下で反応を行なってもよく、特に0.03〜1.50MPaの加圧下においては、反応速度を上げることができる。
【0027】
本発明の製造方法を用いると、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー分析の面積法による測定でレゾルシン単量体の含有量が9%以下、かつ5量体以上の高次縮合物の含有量が55%以下、好ましくはレゾルシン単量体の含有量が3%以下、かつ5量体以上の高次縮合物の含有量が20%以下であるレゾルシンホルムアルデヒド樹脂を製造することができる。本発明のレゾルシンホルムアルデヒド樹脂は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー分析測定による重量平均分子量(Mw)が200〜500かつ重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との分散比(Mw/Mn)が1.3以下、好ましくは1.2以下であることが好ましい。
【実施例】
【0028】
本発明を実施例により更に詳細に説明するが、本発明は、これらの例によってなんら限定されるものではない。なお、「部」「%」は特に断らない限り「質量基準」を意味する。
【0029】
また、ノボラック型フェノール樹脂の特性は、得られたレゾルシンホルムアルデヒド樹脂水溶液を、下記の試験法により測定することによって確認を行った。
【0030】
(1)レゾルシン単量体(モノマー)、2〜4量体および5量体以上の成分含有量(面積%)
東ソー株式会社製ゲル濾過クロマトグラフ8220シリーズビルドアップシステム(カラム:G2000HXL+G4000HXL、検出器:RI、キャリヤー:テトラヒドロフラン1ml/min、カラム温度40℃)の測定により、分子量分布の全面積に対する各成分の面積を百分率で表示する面積法によって測定し含有量とした。
【0031】
(2)重量平均分子量(Mw)、数平均分子量(Mn)、分散度(Mw/Mn)
同上の装置を用い標準ポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)及び数平均分子量(Mn)を求めて分散度(Mw/Mn)を算出した。
【0032】
<実施例1>
温度計、攪拌装置、還流冷却器を備えた反応容器内に、純水13.8部および酢酸ブチル27.5部にレゾルシン(Re)27.5部を溶解させた後、89%リン酸を27.5部加え、攪拌混合により形成される白濁状態(二相混合物)のもとで、系内温度を5〜10℃に維持しながら37%ホルマリン(F)13.6部(モル基準:F/Re=0.67)を30分間かけて滴下によって添加した。さらに同温度で15時間縮合反応を行ってから反応を停止した。なお、縮合反応は、1〜2時間毎にサンプリングし、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー分析による測定を行い、分子量の上昇がほぼ平衡状態に達したと確認できるところまで行った。
【0033】
次いで攪拌混合しながらメチルイソブチルケトン(MIBK)55.0部を追加して縮合物を充分に溶解させ、さらに純水27.5部を追加した後、攪拌を停止して内容物を分液フラスコ内に移して静置し、MIBK溶液層とリン酸水溶液層に分離させた。次いで、リン酸水溶液層を除去し、MIBK溶液層を数回水洗してリン酸を除去した。その後、再び内容物を反応容器内に戻し、エバポレーションによる脱MIBKと純水の添加を繰り返すことで、レゾルシンホルムアルデヒド樹脂の水溶液を得た。
【0034】
得られたレゾルシンホルムアルデヒド樹脂の水溶液についてゲルパーミエーションクロマトグラフィー分析を行った。実施例1の生成物のGPCチャートを図1に示した。
【0035】
尚、レゾルシンホルムアルデヒド樹脂の収率は、レゾルシンの仕込み量(質量基準)に対し103%であった。ここでのレゾルシンホルムアルデヒド樹脂の収率は、レゾルシンホルムアルデヒド樹脂の水溶液を減圧乾燥機内で140℃、5時間乾燥することで得た樹脂固形分を、レゾルシンの仕込み量(質量基準)に対する百分率で表すことにした。
【0036】
<実施例2〜26、比較例1〜4>
表1〜6に示す条件に変更した以外は、実施例1と同様の手法にてレゾルシンホルムアルデヒド樹脂を製造並びに分析した。実施例18の生成物のGPCチャートを図2に示した。
【0037】
<比較例5>
温度計、攪拌装置、還流冷却器を備えた反応容器内に純水88.7部、塩化カルシウム57.0部、レゾルシン24.6部を入れ、60℃で溶解させた後、メチルエチルケトン10部、35%塩酸0.3部を添加した。反応系を50℃に維持しながら、37%ホルマリン10.9部を45分間かけて滴下し、滴下終了後さらに1時間攪拌して反応を進行させた。さらに37%ホルマリン0.9部を45分間かけて滴下し、滴下終了後さらに1時間攪拌して反応を進行させた。反応系の温度を維持しながら静置して2層に分離させ、下層の水相を除去した。有機相をメチルエチルケトン33.3部で希釈し、純水16.7部を添加して、さらに同一温度を維持しながら反応系を1時間攪拌し、静置後2層に分離させて水相を抜き取り、レゾルシンホルムアルデヒド樹脂のメチルエチルケトン溶液を得た。
【0038】
得られたレゾルシンホルムアルデヒド樹脂のメチルエチルケトン溶液にメチルエチルケトン33.3部添加して共沸温度で蒸留および脱水を行い、室温に冷却後、濾過による処理を行った。さらに内容物に純水を適量添加して共沸温度で蒸留および脱水を行い、固形分が約50%のレゾルシンホルムアルデヒド樹脂の水溶液49部を得た。
【0039】
得られたレゾルシンホルムアルデヒド樹脂を実施例1と同様の方法にてゲルパーミエーションクロマトグラフィー分析を行い、得られた結果を表6に示した。
【0040】
<比較例6>
表6に示す条件に変更した以外は、比較例5と同様の手法にてレゾルシンホルムアルデヒド樹脂を製造並びに分析した。
【0041】
<比較例7>
温度計、攪拌装置、還流冷却器を備えた反応容器内に純水66.5部、塩化カルシウム42.8部、レゾルシン15.8部、35%塩酸0.18部を入れ、70℃で溶解させた。反応系を50℃に維持しながら、37%ホルマリン6.6部を5時間かけて滴下し、滴下終了後さらに1時間攪拌して反応を進行させた。反応系を常温まで冷却後、濾過して反応母液を除去した。次に、39%塩化カルシウム水溶液100.0部を反応生成物に投入し、50℃で1時間攪拌した。その後、直ちに濾過し、洗浄液を除去することで未反応レゾルシンの除去を行った。
【0042】
さらに、反応生成物を減圧乾燥した後、60.0部のメチルエチルケトンに溶解させ、濾過して、析出した塩化カルシウムを除去した。引き続き、内容物に純水を適量添加して共沸温度で蒸留および脱水を行い、固形分が約50%のレゾルシンホルムアルデヒド樹脂の水溶液30部を得た。
【0043】
得られたレゾルシンホルムアルデヒド樹脂を実施例1と同様の方法にてゲルパーミエーションクロマトグラフィー分析を行い、得られた結果を表7に示した。
【0044】
<比較例8>
表7に示す条件に変更した以外は、比較例7と同様の手法にてレゾルシンホルムアルデヒド樹脂を製造並びに分析した。
【0045】
<比較例9>
温度計、攪拌装置、還流冷却器を備えた反応容器内に、純水72部、レゾルシン98.3部を入れ、60℃で溶解させた後、105℃で攪拌しながら37%ホルマリン38.0部を30分間かけて滴下し、さらに6時間攪拌を続けた。次に、トルエン208部を投入し、90℃まで昇温後、共沸蒸留により水を留去しながら105℃まで昇温させながら濃縮した。その温度を維持したまま60分間攪拌した後、10分間静置して、トルエン相と水相を分離させた後、デカンテーションによりモノマー等が抽出されているトルエン相193部を除去した。その後、トルエン200部を仕込み、同様の抽出処理を2回繰り返した後、減圧蒸留によりトルエンを留去した。その後、系中に純水を添加し固形分が約50%のレゾルシンホルムアルデヒド樹脂の水溶液180部を得た。
【0046】
得られたレゾルシンホルムアルデヒド樹脂を実施例1と同様の方法にてゲルパーミエーションクロマトグラフィー分析を行い、得られた結果を表7に示した。
【0047】
【表1】

【0048】
【表2】

【0049】
【表3】

【0050】
【表4】

【0051】
【表5】

【0052】
【表6】

【0053】
【表7】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
エステル類と、水と、レゾルシン100質量部に対して9質量部以上のリン酸類との存在下で、レゾルシンとホルムアルデヒドとを不均一反応させる工程を有することを特徴とするレゾルシンホルムアルデヒド樹脂の製造方法。
【請求項2】
前記エステル類が、分子中にエーテル基及び/又はヒドロキシル基を有しないことを特徴とする請求項1に記載のレゾルシンホルムアルデヒド樹脂の製造方法。
【請求項3】
前記エステル類が、酢酸エチル、酢酸n−ブチル、酢酸ベンジル、ギ酸プロピル、マロン酸ジメチル、マロン酸ジエチル、シュウ酸ジエチル、クエン酸トリエチル、クエン酸トリブチル、安息香酸メチル、炭酸ジエチルから選ばれる少なくとも一種であることを特徴とする請求項1又は2に記載のレゾルシンホルムアルデヒド樹脂の製造方法。
【請求項4】
アルデヒド類の配合量がレゾルシン1モルに対して0.50〜0.80モルであることを特徴とする請求項1〜3に記載のレゾルシンホルムアルデヒド樹脂の製造方法。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれかに記載の製造方法で製造され、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー分析の面積法による測定でレゾルシン単量体の含有量が9%以下、かつ5量体以上の高次縮合物の含有量が55%以下であることを特徴とするレゾルシンホルムアルデヒド樹脂。
【請求項6】
前記レゾルシン単量体の含有量が3%以下、かつ前記5量体以上の高次縮合物の含有量が20%以下であることを特徴とする請求項4に記載のレゾルシンホルムアルデヒド樹脂。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2010−215875(P2010−215875A)
【公開日】平成22年9月30日(2010.9.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−67455(P2009−67455)
【出願日】平成21年3月19日(2009.3.19)
【出願人】(000117102)旭有機材工業株式会社 (235)
【Fターム(参考)】