説明

レンズ交換式カメラ

【課題】 使用者に負担をかけることなく、レンズ交換時におけるカメラボディ内部の構成部の安全性を高めることができるレンズ交換式カメラを得る。
【解決手段】 交換レンズがカメラボディから取り外されているレンズ脱状態時は、レンズ着脱検知用スイッチの突出状態によってレンズ脱状態が認識されステップS18及びS19が自動的に実行されることにより、遮蔽部材が遮蔽状態となりカメラボディに設けられた光路開口部を外部から遮蔽する。一方、交換レンズがカメラボディに装着されるレンズ着状態時は、レンズ着脱検知用スイッチの挿入状態によってレンズ着状態が認識されステップS21が自動的に実行されることにより、遮蔽部材が開放状態となり光路開口部が外部に開放される。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は銀塩式カメラ、デジタルスチルカメラ等のカメラに関し、特にレンズ交換式のカメラに関する。
【0002】
【従来の技術】従来から使用されてきた銀塩式の一眼レフカメラ、最近流行のデジタルスチルカメラ双方においてレンズ交換を可能にしたレンズ交換式カメラがある。レンズ交換式カメラは用途に応じて様々な種類のレンズを使用することができるため、多目的利用が可能になる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】当然のことながら、レンズ交換式カメラはレンズ交換に際しレンズをカメラボディから取りはずす必要がある。しかしながら、レンズが取り外された状態のカメラボディの光路開口部は露出状態となるため、光路開口部を介して埃塵・雨の水滴が侵入する可能性がある。埃塵等の侵入はカメラボディ部の内部の電気回路に悪影響を与え、最悪の場合に電気回路を機能不能にしてしまう危険性を有している。
【0004】このため、レンズ交換式カメラの使用者は、埃塵等の侵入を確実に回避すべく細心の注意を払ってレンズ交換作業を行わなければならず、使用者に負担がかかってしまうという問題点があった。特に、撮像素子を用いたいわゆるデジタルカメラの場合は、ボディ内部に撮像素子が固定的に設けられるため清掃が困難である。
【0005】この発明は上記問題点を解決するためになされたもので、使用者に負担をかけることなく、レンズ交換時におけるカメラボディ内部の構成部の安全性を高めることができるレンズ交換式カメラを得ることを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】この発明にかかる請求項1記載のレンズ交換式カメラは、カメラボディと、前記カメラボディへの装着及び取り外しが可能な交換レンズとを備え、前記カメラボディは装着された前記交換レンズを通過して得られる光を内部に取り込み撮像可能にする光路開口部を有しており、前記交換レンズが前記カメラボディに装着されているレンズ着状態時に第1の状態を呈し、前記交換レンズが前記カメラボディから取り外されているレンズ脱状態時に第2の状態を呈するレンズ着脱検知手段と、制御信号に基づき、前記光路開口部を外部から遮蔽する遮蔽処理、あるいは撮像可能となるように前記光路開口部を外部に開放する開放処理を行う遮蔽・開放実行手段と、前記レンズ着脱検知手段が前記第1の状態のとき前記レンズ着状態であると認識して前記開放処理を指示する前記制御信号を出力し、前記レンズ着脱検知手段が前記第2の状態のとき前記レンズ脱状態であると認識して前記遮蔽処理を指示する前記制御信号を出力する遮蔽・開放制御手段とを備えている。
【0007】また、請求項2記載のレンズ交換式カメラにおいて、前記カメラボディは第1の信号送受信部を備え、前記交換レンズは第2の信号送受信部を備え、前記レンズ着脱検知手段は前記第1の信号送受信部を含み、前記第1の信号送受信部は、前記レンズ着状態のとき所定の期間中に前記第2の信号送受信部との間で電気信号の授受が可能となり、前記レンズ脱状態のとき前記第2の信号送受信部との間で電気信号の授受が不可能となり、前記第1の状態は前記所定の期間中に前記第1,第2の信号送受信部間での電気信号の授受が可能な状態を含み、前記第2の状態は前記所定の期間中に前記第1,第2の信号送受信部間での電気信号の授受が不可能な状態を含んでいる。
【0008】また、請求項3記載のレンズ交換式カメラにおいて、前記カメラボディは、前記光路開口部を介して得られる光を光電変換してアナログの撮像信号を出力する撮像素子と、前記撮像信号をA/D変換してデジタルの撮像画像情報を出力するA/D変換手段と、前記撮像画像情報に対して所定の画像処理を施す画像処理手段と、画像処理が施された撮像画像情報を記録する記録媒体とを備えている。
【0009】
【発明の実施の形態】<実施の形態1>図1はこの発明の実施の形態1であるレンズ交換式デジタルスチルカメラの構成を示すブロック図である。図1に示すように、レンズ交換式デジタルスチルカメラはカメラボディ1と交換レンズ2とからなる。
【0010】カメラボディ1において、メインマイコン11はカメラボディ1内部の動作全般を制御する。すなわち、メインマイコン11は、測距モジュール12、表示部材14、外部インタフェース15、記録媒体16、EEPROM17、RAM18、ドライバ20、アナログアンプ21及び遮蔽ドライバ23それぞれに制御信号を与えて、それぞれの動作制御を行う。
【0011】加えて、メインマイコン11は交換レンズ2のレンズマイコン37とデータの授受を行うことにより交換レンズ2の動作制御も間接的に行う。
【0012】測距モジュール12は被写体からの反射光を受光し、カメラから被写体までの距離に関連した測距モジュール情報をメインマイコン11に出力する。
【0013】スイッチ群13は電源スイッチ、レリーズスイッチ等の撮影者操作用のスイッチと、後に詳述するレンズ着脱検知用スイッチ7等から構成され、各スイッチの状態をメインマイコン11に伝達する。
【0014】表示部材14はLCD等で構成され、メインマイコン11の制御下で、撮像素子19で撮像した被写体像の撮像画像情報に基づく画像を表示したり、記録媒体16から読み込んだ記録画像情報に基づく画像を表示したりする。
【0015】外部インタフェース15は、パソコン、モニタ装置等の外部装置に接続して画像情報等のメインマイコン11,外部装置間の入出力制御を行う。
【0016】記録媒体16は、メインマイコン11の制御下で、撮像素子19より得られるデジタルの撮像画像情報に基づく記録画像情報を記録する。撮像画像情報を圧縮して記録画像情報とするのが一般的である。なお、記録媒体16は、所定の記憶容量を有するPCカード、フレキシブルディスク等であり、カメラボディ1から着脱可能に設けられが、内蔵フラッシュメモリ等に記録するようにしてもよい。
【0017】EEPROM17は、カメラボディ1の機種毎に与えられた固有情報が記録されており、固有情報としては機種差に基づく工場出荷時の調整値や前回電源オフ時直前のカメラボディ1のボディ状態の情報がある。EEPROM17に記憶された固有情報はメインマイコン11によって読み書きされる。
【0018】RAM18は、撮像素子19より得られる撮像画像情報に対する画像処理をメインマイコン11が実行する際等の作業領域として利用される。
【0019】撮像素子19は、交換レンズ2中のレンズを通過した被写体からの反射光の光束が結像して得られる被写体像を光電変換処理によって撮像して、アナログ信号である撮像信号を出力する。この撮像信号はアナログアンプ21によって増幅され、さらにA/Dコンバータ22によってA/D変換され上述したデジタルの撮像画像情報となる。
【0020】ドライバ20はメインマイコン11の制御下で駆動用のパルス信号を撮像素子19に与え撮像素子19を駆動する。アナログアンプ21はメインマイコン11の制御下で撮像素子19より得られる撮像信号を増幅する。
【0021】遮蔽部材24は遮蔽ドライバ23によって駆動され、カメラボディ1における交換レンズ2との装着部の光路開口部を遮蔽あるいは開放状態にする。遮蔽ドライバ23はメインマイコン11の制御下で遮蔽部材24を駆動する。
【0022】交換レンズ2において、レンズマイコン37は交換レンズ2の内部の動作全般を制御する。すなわち、レンズマイコン37は、絞りドライバ34、フォーカスドライバ35、ズームドライバ36及びEEPROM38それぞれに制御信号を与えて、それぞれの動作制御を行う。
【0023】フォーカスレンズ群31は撮像光学系における撮像レンズ群を構成する一レンズ群であり、フォーカスドライバ35によって駆動されることにより焦点を調整することができる。
【0024】ズームレンズ群32は撮像光学系における撮像レンズ群を構成する一レンズ群であり、ズームドライバ36によって駆動されることにより、被写体を大きくとらえたり、小さくとらえたりすることができる。
【0025】絞り33は絞りドライバ34によって駆動され、フォーカスレンズ群31、ズームレンズ群32等からなる撮像レンズ群を通過する光束の光量を調整する。
【0026】絞りドライバ34、フォーカスドライバ35、及びズームドライバ36はレンズマイコン37の制御下で絞り33、フォーカスレンズ群31及びズームレンズ群32をそれぞれ駆動する。
【0027】なお、フォーカスドライバ35はフォーカスレンズ群31のレンズ位置を検出する位置センサ機能をさらに有しており、ズームドライバ36はズームレンズ群32のレンズ位置を検出する位置センサ機能をさらに有している。
【0028】EEPROM38は、1単位の交換レンズ2に与えられた固有情報が記録されており、固有情報としては工場出荷時の調整値や前回電源オフ時直前の交換レンズ2のレンズ状態を示す情報がある。EEPROM38に記憶された固有情報はレンズマイコン37を介してメインマイコン11によって読み書きされる。
【0029】なお、39は固定レンズ群であり、フォーカスレンズ群31、ズームレンズ群32と共に撮像レンズ群を構成する。また、カメラボディ1のEEPROM17及び交換レンズ2のEEPROM38は不揮発性メモリであるためカメラボディ1の電源がオフ状態となってもその固有情報は保持される。
【0030】図2は実施の形態1のレンズ交換式デジタルスチルカメラにおいて遮蔽部材24が開放状態の場合のカメラボディの前面を示す平面図である。同図に示すように、カメラボディ1の上部に撮影者が被写体を観測するためのファインダー窓3と、被写体からの反射光の測距モジュール12が受光するための測距モジュール窓4がそれぞれ設けられている。
【0031】そして、カメラボディ1の中心部には光路開口部5が設けられ、光路開口部5の内部周縁部に交換レンズ2を装着するためのマウント部6が設けられ、マウント部6の一部にレンズ着脱検知用スイッチ7が設けられる。
【0032】レンズ着脱検知用スイッチ7はマウント部6の表面から出入可能で、かつ背面からバネ付勢されているので交換レンズ2が装着されていないときは突出状態となるように設けられる。
【0033】レンズ脱着釦8は、交換レンズ2をマウント部6との係合を解除するためのボタンであり、レンズ脱着釦8を押すことにより、交換レンズ2の脱着を行うことができる。
【0034】交換レンズ2をカメラボディ1に装着した場合、交換レンズ2によってレンズ着脱検知用スイッチ7が押圧されるため、レンズ着脱検知用スイッチ7はマウント部6の表面より内側に押し込まれて挿入状態となる。
【0035】したがって、レンズ着脱検知用スイッチ7が挿入状態(第1の状態)のとき交換レンズ2が装着された状態(レンズ着状態)であると認識することができ、レンズ着脱検知用スイッチ7が突出状態(第2の状態)のとき交換レンズ2が取り外された状態(レンズ脱状態)であると認識することができる。このように、レンズ着脱検知用スイッチ7の状態によって、比較的簡単にレンズ着状態であるかレンズ脱状態であるかを認識することができる。
【0036】なお、9はマイコン交信用端子群であり、カメラボディ1に交換レンズ2が装着された場合にマイコン交信用端子群9を介してカメラボディ1のメインマイコン11と交換レンズ2のレンズマイコン37との交信が可能となる。
【0037】図3は実施の形態1のレンズ交換式デジタルスチルカメラにおいて遮蔽部材24が遮蔽状態の場合のカメラボディの前面を示す平面図である。同図に示すように、遮蔽状態の遮蔽部材24によって光路開口部5がマイコン交信用端子群9を除いて外部から完全に遮蔽される。
【0038】したがって、遮蔽部材24が遮蔽状態のとき外部から埃塵等が光路開口部5を介してカメラボディ1内部に侵入するのが防止される。なお、マイコン交信用端子群9は遮蔽部材24の前面に設けられているため、遮蔽部材24が遮蔽状態の場合においてもカメラボディ1に交換レンズ2を装着することができる。
【0039】図4及び図5は、遮蔽部材24の開放状態及び遮蔽状態をそれぞれ示す説明図である。これらの図に示すように、遮蔽部材24A及び遮蔽部材24Bにはそれぞれラック部26A及び26Bが設けられ、これらのラック部26A及び26Bは共にモーター25のピニオン(小歯車)に噛み合っている。
【0040】したがって、モーター25のピニオンの回転運動が遮蔽部材24A及び24Bの直線運動(図4及び図5の矢印で示す方向)として伝達されるため、モーター25を駆動することにより、モーター25の回転方向によって、図4で示すように遮蔽部材24を開放状態にしたり、図5で示すように遮蔽部材24を遮蔽状態にしたりすることができる。
【0041】図6及び図7は実施の形態1のレンズ交換式デジタルスチルカメラの動作を示すフローチャートである。以下、図6及び図7を参照して実施の形態1の動作を説明する。なお、以降の説明おいて、特に説明のない部分の動作について、カメラボディ1内の制御はメインマイコン11によって行われ、交換レンズ2内の制御はレンズマイコン37によって行われるものとする。
【0042】撮影者がスイッチ群13のうち電源スイッチをオン状態となるように押圧する等の操作を行い電源オン状態にすると実施の形態1のレンズ交換式デジタルスチルカメラが起動する。
【0043】レンズ交換式デジタルスチルカメラが起動すると、ステップS11でメインマイコン11がリセットされ、ステップS12において、ステップS11のリセットによりデフォルト状態になったメインマイコン11のポートに対し、使用すべきポートを設定する等のメインマイコン11の初期設定を行う。
【0044】次に、ステップS13において、機種差に関する工場出荷時の検査値、および前回電源オフ直前の各種設定値、例えばフラッシュモードの種類あるいは画像圧縮モードの種類等の初期設定情報をEEPROM17から読み出す。
【0045】そして、ステップS14で、記録媒体16の有無、種類および記録可能容量を確認し、ステップS15で、表示部材5を起動してカメラの種々の設定情報、記録媒体16に関する情報等を表示して撮像者が認識できるようにする。
【0046】その後、ステップS16で、メインマイコン11はレンズマイコン37を起動させると同時にレンズマイコン37と交信を行い、電源オン状態となったこと及び上記初期設定情報のうち交換レンズ2に関係する情報をレンズマイコン37に伝達する。これを受けたレンズマイコン37は、フォーカスレンズ群31、ズームレンズ群32及び絞り33の駆動に必要な駆動情報をEEPROM38から読み出す。そして、レンズマイコン37は、上記駆動情報とメインマイコン11から受けた情報に基づき絞りドライバ34、フォーカスドライバ35及びズームドライバ36に制御信号を与えることにより、絞り33、フォーカスレンズ群31及びズームレンズ群32をそれぞれ駆動し、その制御結果情報をメインマイコン11に伝達する。例えば、 位置センサ機能を有するフォーカスドライバ35によってフォーカスレンズ群31群がEEPROM17から読み出された初期設定情報に基づく位置に移動され、その制御結果情報がメインマイコン11に伝達される。
【0047】そして、ステップS16からステップS25のループで露光開始用スイッチ(レリーズスイッチ)、レンズ着脱検知用スイッチ7等を含むスイッチ群13の状態変化を検知する待機状態となる。メインマイコン11はタイマー機能を有しており、スイッチ群13の状態変化が所定時間以上検知されない場合は、撮像者が全くカメラを操作していない状態とみなし、消費電力節約のためカメラを電源オフ状態にする。なお、上記所定時間として通常は数分に設定される。
【0048】ステップS17で、レンズ着脱検知用スイッチ7が挿入状態でレンズ脱状態に変化したことを認識した場合はステップS18に移行し、認識しなかった場合はステップS20に移行する。
【0049】ステップS17でレンズ脱状態に変化したことが認識された場合に実行されるステップS18において、メインマイコン11は遮蔽ドライバ23に遮断を指示する制御信号を与え、遮蔽部材24を駆動して、図3に示すように遮蔽状態にして光路開口部5を外部から遮蔽する。そして、ステップS19で表示部材14にレンズ脱状態を指示する情報を表示させ撮影者に告知する。
【0050】ステップS20で、レンズ着脱検知用スイッチ7が突出状態でレンズ着状態に変化したことを認識した場合はステップS21に移行し、認識しなかった場合はステップS22に移行する。
【0051】ステップS20でレンズ着状態に変化したことが認識された場合に実行されるステップS21において、メインマイコン11は遮蔽ドライバ23に開放を指示する制御信号を与え、遮蔽部材24を駆動して図2に示すように開放状態にして光路開口部5を開放状態にする。
【0052】ステップS22でレリーズスイッチの半押し操作状態(以下、「S1操作状態」と略する場合あり)を認識した(S1オン)場合は図7で示すS1処理のステップS31に移行し、認識しなかった(S1オフ)場合はステップS23に移行する。
【0053】ステップS23において、メインマイコン11はドライバ20に制御信号を与え撮像素子19を駆動して撮像制御を開始する。
【0054】すると、ステップS24で、撮像素子19は交換レンズ2のフォーカスレンズ群31、ズームレンズ群32及び固定レンズ群39からなる撮像レンズ群を通過して撮像素子19上に結像した被写体像を光電変換処理し、被写体像の画像に関する電荷を撮像信号として出力する。そして、撮像素子19から得られる撮像信号が、アナログアンプ21で増幅され、A/Dコンバータ22でA/D変換されてデジタルの撮像画像情報としてメインマイコン11に付与される。このとき、メインマイコン11は撮像画像情報に基づく画像を表示部材14に表示させることにより、撮像素子19で撮像された画像をリアルタイムで撮像者に認識させることができる。
【0055】次に、ステップS25で、メインマイコン11はRAM18を作業領域として撮像画像情報に対する演算処理を行うことにより、最適な絞り値・撮像素子19の積分時間等の撮像制御情報を得る。この際、必要であれば上記撮像制御情報をレンズマイコン37に送信して交換レンズ2の絞り33の制御を要求する。
【0056】ステップS25が終了するとステップS16に戻る。以降、ステップS22でS1操作状態(S1オン)が認められるまでステップS16〜ステップS25の処理を繰り返す。
【0057】次に、ステップS22でS1操作状態が認められた場合に行われるS1処理(ステップS31〜S43)について説明する。
【0058】まず、ステップS31で測距モジュール12を駆動して被写体のカメラからの距離に関連した情報である測距モジュール情報を得る。撮影者は図2のファインダー窓3から被写体をとらえると、測距モジュール12は測距モジュール窓4を介して被写体からの反射光を受光して上記測距モジュール情報を出力する。測距モジュール12の具体例として外光パッシブモジュール等がある。なお、本発明の本質部分と無関係であるため測距原理については詳述しない。
【0059】次に、ステップS32で、メインマイコン11は上記測距モジュール情報とEEPROM17に予め格納されている調整値とに基づき、被写体のカメラからの距離を認識し、さらにEEPROM17に予め格納されている撮影レンズの焦点距離情報から被写体に合焦すべき交換レンズ2のフォーカスレンズ群31の繰り出し量を算出し、繰り出し量を示す情報を交換レンズ2のレンズマイコン37に送信する。すると、繰り出し量を受けたレンズマイコン37はフォーカスドライバ35に制御信号を与えて、フォーカスドライバ35によってフォーカスレンズ群31の位置を変化させて撮像レンズ群を被写体に合焦させることによりオートフォーカス(AF)処理を行う。
【0060】その後、ステップS33〜S35で、ステップS23〜S25それぞれと同様な撮像制御開始処理、画像取り込み処理及び絞り・積分演算処理を行う。
【0061】そして、ステップS36でレリーズスイッチのS1操作状態を認識しなかった(S1オフ)場合は図6で示すステップS16に戻り、S1操作状態が引き続き認識されている場合はステップS37に移行する。
【0062】続いて、ステップS37で、AF処理の終了の有無が確認され、終了が確認されない場合はステップS31に戻って再びステップS31〜S36の処理が実行され、終了が確認されるとステップS38に移行する。なお、AF処理の終了は、メインマイコン11がフォーカスレンズ群31の位置変化終了を指示する制御結果情報をレンズマイコン37から得る等により確認することができる。
【0063】ステップS38において、撮影者がレリーズスイッチの全押し操作(以後、「S2操作」と略す場合あり)を実行した(S2オン)か否(S2オフ)かを検知し、S2オンの場合はステップS39に移行し、S2オフの場合はステップS31に戻って再びステップS31〜S37の処理が実行される。
【0064】ステップS38でS2オンが検知された場合のステップS39及びS40で、ステップS23及びS24それぞれと同様な撮像制御開始処理及び画像取り込み処理が実行される。
【0065】続いて、ステップS41で、メインマイコン11は、ステップS40で得た撮像画像情報に基づき画像処理動作を実行して、表示部材14への表示用の表示撮像情報と記録媒体16への記録用の記録画像情報とを作成する。表示画像情報は撮像画像情報を表示部材14に表示可能な最適なフォーマットに変換して得られる情報であり、記録画像情報は撮像画像情報を所定の圧縮方式で圧縮して得られる情報である。所定の圧縮方式としてJPEG方式が一般的に採用される。
【0066】そして、ステップS42で、メインマイコン11は記録画像情報を記録媒体16に記録する。同時に、メインマイコン11は、表示画像情報を表示部材14に出力することにより、S2操作がオン状態時に撮像された画像を表示部材14に表示させる(アフタービュー,レックビュー)。
【0067】次のステップS43において、S1オフでかつS2オフの確認を待ち、S1オフでかつS2オフが確認されると図6で示したステップS16に戻る。
【0068】このように、実施の形態1のレンズ交換式デジタルスチルカメラは、交換レンズ2がカメラボディ1から取り外されているレンズ脱状態では、ステップS18及びS19が自動的に実行されることにより、遮蔽部材24が遮蔽状態となって光路開口部5を介して塵埃等が外部から侵入する危険性を確実に回避することができる。
【0069】また、交換レンズ2がカメラボディ1に装着されるレンズ着状態では、ステップS21が自動的に実行されることにより、遮蔽部材24が開放状態となって光路開口部5が開放状態となるため、撮影者は速やかに撮影を行うことができる。
【0070】したがって、撮影者は埃塵等の侵入を回避すべき注意を全く払うことなくレンズ交換作業を行える。すなわち、交換レンズの交換時に撮影者に負担をかけることなくカメラボディ1内部の構成部の安全性を高めたレンズ交換式カメラを得ることができる。
【0071】<実施の形態2>実施の形態1のレンズ交換式デジタルスチルカメラではレンズ着脱検知用スイッチ7の状態(突出状態,挿入状態)によって、交換レンズ2のレンズ脱状態,レンズ着状態を認識していた。これに対し実施の形態1のレンズ着脱検知用スイッチ7のような特別なスイッチを設けることなく、交換レンズ2のレンズ脱状態,レンズ着状態を認識するようにしたのが実施の形態2である。
【0072】カメラボディ1に交換レンズ2が装着されたレンズ着状態では、メインマイコン11とレンズマイコン37とはマイコン交信用端子群9を介して情報の交信を行うことができる。メインマイコン11とレンズマイコン37とは定期的に(例えば15秒ごとに)交信しており、交信時に、メインマイコン11からは、絞り,フォーカス,ズーム等の制御情報がレンズマイコン37に伝達され、レンズマイコン37からは、絞り,フォーカス,ズーム等の制御結果情報等がメインマイコン11に伝達される。
【0073】したがって、レンズ着状態では、メインマイコン11とレンズマイコン37との定期的な交信時にレンズマイコン37からメインマイコン11に電気的な応答があるのに対し、カメラボディ1から交換レンズ2が取り外されているレンズ脱状態では、メインマイコン11がレンズマイコン37と交信することができずレンズマイコン37からの電気的な応答は皆無となる。
【0074】そこで、メインマイコン11がレンズマイコン37からの電気的な応答が所定の時間(レンズ着状態時にレンズマイコン37から電気的な応答が当然得られるべき時間)内に返ってくる/こないにより、レンズ着状態/レンズ脱状態を認識するようにしたのが実施の形態2である。
【0075】図8及び図9は実施の形態2のレンズ交換式デジタルスチルカメラの動作を示すフローチャートである。なお、実施の形態2のレンズ交換式デジタルスチルカメラのハードウェア構成は図1〜図5で示した実施の形態1の構成と同様である。ただし、実施の形態2のカメラボディ1にはレンズ着脱検知用スイッチ7を必要としない。
【0076】以下、図8及び図9を参照して実施の形態2の動作を説明する。なお、以降の説明おいて、特に説明のない部分の動作について、カメラボディ1内の制御はメインマイコン11によって行われ、交換レンズ2内の制御はレンズマイコン37によって行われるものとする。
【0077】撮影者がスイッチ群13のうち電源スイッチをオン状態となるように押圧する等の操作を行い電源オン状態にすると実施の形態2のレンズ交換式デジタルスチルカメラが起動する。
【0078】実施の形態2のレンズ交換式デジタルスチルカメラが起動するとステップS51〜S55の処理が実施の形態1のステップS11〜S15の処理と同様にして行われる。
【0079】その後、ステップS56で、メインマイコン11はレンズマイコン37を起動させると同時に、実施の形態1のステップS16と同様にレンズマイコン37と交信処理を行う。
【0080】そして、ステップS57で、メインマイコン11は所定の期間内におけるレンズマイコン37からの応答の有無を検知し、応答が検知されるとレンズ着状態であると認識してステップS60に移行し、応答が検知されないとレンズ脱状態であると認識してステップS58に移行する。
【0081】ステップS57でレンズ脱状態が認識された場合に実行されるステップS58において、メインマイコン11は遮蔽ドライバ23に遮断を指示する制御信号を与え、遮蔽部材24を駆動して、図3に示すように遮蔽状態にして光路開口部5を外部から遮蔽する。そして、ステップS59で表示部材14にレンズ脱状態を指示する情報を表示させ撮影者に告知する。
【0082】以降、ステップS57でレンズ着状態が認識されるまで、ステップS56〜S59の動作を繰り返す。
【0083】ステップS57でレンズ着状態が認識された場合に実行されるステップS60において、メインマイコン11は遮蔽ドライバ23に開放を指示する制御信号を与え、遮蔽部材24を駆動して図2に示すように開放状態にして光路開口部5を開放状態にする。
【0084】そして、ステップS61でレリーズスイッチ等を含むスイッチ群13の状態変化を検知する待機状態となる。メインマイコン11は実施の形態1同様、タイマー機能を有しており、スイッチ群13の状態変化が所定時間以上検知されない場合は、消費電力節約のためカメラを電源オフ状態にする。
【0085】ステップS61でスイッチ群13の状態変化が検出されるとステップS62に移行する。ステップS62ではレリーズスイッチのS1操作状態を認識した(S1オン)場合は図9で示すS1処理のステップS71に移行し、認識しなかった(S1オフ)場合はステップS63に移行する。
【0086】ステップS63〜S65では、実施の形態1のステップS23〜S25それぞれと同様な撮像制御開始処理、画像取り込み処理及び絞り・積分演算処理を行う。
【0087】ステップS65が終了するとステップS56に戻る。以降、ステップS62でS1操作状態(S1オン)が認められるまでステップS56〜ステップS65の処理を繰り返す。
【0088】一方、ステップS62でS1操作状態が認められた場合に行われるS1処理(ステップS71〜S83)は、図7で示した実施の形態1のS1処理(ステップS31〜S43)とほぼ同様にして行われる。ただし、ステップS76でS1オフが確認されるとS1処理を終えてステップS56に戻り、ステップS83でS1オフでかつS2オフが確認されるとS1処理を終えてステップS56に戻る。
【0089】このように、実施の形態2のレンズ交換式デジタルスチルカメラは、交換レンズ2がカメラボディ1から取り外されているレンズ脱状態では、ステップS58及びS59が自動的に実行されることにより、遮蔽部材24が遮蔽状態となって光路開口部5を介して塵埃等が外部から侵入する危険性を確実に回避することができる。
【0090】また、交換レンズ2がカメラボディ1に装着されるレンズ着状態では、ステップS60が自動的に実行されることにより、遮蔽部材24が開放状態となって光路開口部5が開放状態となるため、撮影者は速やかに撮影を行うことができる。
【0091】したがって、交換レンズの交換時に撮影者に負担をかけることなくカメラボディ1内部の安全性を確保したレンズ交換式カメラを得ることができる。
【0092】さらに、実施の形態2のレンズ交換式デジタルスチルカメラは、実施の形態1のように、レンズ脱状態,レンズ着状態の検出用に特別にレンズ着脱検知用スイッチを設ける必要がないため、回路構成の簡略化を図ることができる。
【0093】<その他>実施の形態1及び実施の形態2では、レンズ交換式のカメラとしてデジタルスチルカメラを例に挙げたが、従来のレンズ交換式の銀塩式カメラにも適用可能であるのは勿論である。
【0094】
【発明の効果】以上説明したように、この発明における請求項1記載のレンズ交換式カメラは、交換レンズがカメラボディに装着されているレンズ着状態時に第1の状態を呈し、交換レンズがカメラボディから取り外されているレンズ脱状態時に第2の状態を呈するるレンズ着脱検知手段と、レンズ着脱検知手段が第1の状態のとき開放処理を指示する制御信号を遮蔽・開放実行手段に出力し、レンズ着脱検知手段が第2の状態のとき遮蔽処理を指示する制御信号を遮蔽・開放実行手段に出力する遮蔽・開放制御手段とを備えている。
【0095】したがって、請求項1記載のレンズ交換式カメラは、交換レンズがカメラボディから取り外されているレンズ脱状態では、遮蔽・開放制御手段及び遮蔽・開放実行手段によって自動的に遮蔽処理が実行されることにより光路開口部が外部から遮蔽されるため、光路開口部を介して塵埃等が外部から侵入する危険性を確実に回避することができる。
【0096】また、交換レンズがカメラボディに装着されるレンズ着状態では、遮蔽・開放制御手段及び遮蔽・開放実行手段によって自動的に開放処理が実行されることにより光路開口部が外部に開放されるため、撮影者は速やかに撮影を行うことができる。
【0097】その結果、交換レンズの交換時に撮影者に負担をかけることなくカメラボディ内部の構成部の安全性を高めたレンズ交換式カメラを得ることができる。
【0098】請求項2記載のレンズ交換式カメラのレンズ着脱検知手段である第1の信号送受信部は、レンズ着状態のとき所定の期間中に第2の信号送受信部との間で電気信号の授受が可能となり、レンズ脱状態のとき第2の信号送受信部との間で電気信号の授受が不可能となり、第1の状態は所定の期間中に第1,第2の信号送受信部間での電気信号の授受が可能な状態を含み、第2の状態は所定の期間中に第1,第2の信号送受信部間での電気信号の授受が不可能な状態を含んでいる。
【0099】したがって、遮蔽・開放制御手段は、所定の期間中に第1,第2の信号送受信部間での電気信号の授受が行えた場合はレンズ着状態と認識し、行えなかった場合はレンズ脱状態と認識することができる。
【0100】第1,第2の信号送信部は、カメラボディ,交換レンズ間の情報の授受によってレンズ交換式カメラが動作する場合に必須な構成となるため、そのようなレンズ交換式カメラにおいて、レンズ着状態、レンズ脱状態の検出用の構成部を新たに追加する必要がない分、回路構成の簡略化を図ることができる。
【0101】請求項3記載のレンズ交換式カメラにおけるカメラボディは、光路開口部を介して得られる光を光電変換してアナログの撮像信号を出力する撮像素子と、撮像信号をA/D変換してデジタルの撮像画像情報を出力するA/D変換手段と、カメラボディから着脱可能な記録媒体と、撮像画像情報に対して所定の画像処理を施して得られる記録画像情報を記録媒体に記憶させる画像処理手段とを備えており、いわゆるデジタルカメラとして構成されている。
【0102】したがって、請求項3記載のレンズ交換式カメラは、カメラボディ内部の撮像素子、A/D変換器、記録媒体及び画像処理手段のレンズ交換時における安全性が高められ、特に光路開口部を介して光を受けるように露出配置されている撮像素子のレンズ交換時における安全性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明の実施の形態1であるレンズ交換式デジタルスチルカメラの構成を示すブロック図である。
【図2】 遮蔽部材が開放状態のカメラボディを示す平面図である。
【図3】 遮蔽部材が遮蔽状態のカメラボディを示す平面図である。
【図4】 遮蔽部材の開放動作を示す説明図である。
【図5】 遮蔽部材の遮断動作を示す説明図である。
【図6】 実施の形態1のレンズ交換式デジタルスチルカメラの動作を示すフローチャートである。
【図7】 実施の形態1のレンズ交換式デジタルスチルカメラの動作を示すフローチャートである。
【図8】 実施の形態2のレンズ交換式デジタルスチルカメラの動作を示すフローチャートである。
【図9】 実施の形態2のレンズ交換式デジタルスチルカメラの動作を示すフローチャートである。
【符号の説明】
1 カメラボディ、2 交換レンズ、7 レンズ着脱検知用スイッチ、11メインマイコン、23 遮蔽ドライバ、24 遮蔽部材、25 モーター、37レンズマイコン

【特許請求の範囲】
【請求項1】 カメラボディと、前記カメラボディへの装着及び取り外しが可能な交換レンズとを備え、前記カメラボディは装着された前記交換レンズを通過して得られる光を内部に取り込み撮像可能にする光路開口部を有するレンズ交換式カメラであって、前記交換レンズが前記カメラボディに装着されているレンズ着状態時に第1の状態を呈し、前記交換レンズが前記カメラボディから取り外されているレンズ脱状態時に第2の状態を呈するレンズ着脱検知手段と、制御信号に基づき、前記光路開口部を外部から遮蔽する遮蔽処理、あるいは撮像可能となるように前記光路開口部を外部に開放する開放処理を行う遮蔽・開放実行手段と、前記レンズ着脱検知手段が前記第1の状態のとき前記レンズ着状態であると認識して前記開放処理を指示する前記制御信号を出力し、前記レンズ着脱検知手段が前記第2の状態のとき前記レンズ脱状態であると認識して前記遮蔽処理を指示する前記制御信号を出力する遮蔽・開放制御手段と、を備えるレンズ交換式カメラ。
【請求項2】 前記カメラボディは第1の信号送受信部を備え、前記交換レンズは第2の信号送受信部を備え、前記レンズ着脱検知手段は前記第1の信号送受信部を含み、前記第1の信号送受信部は、前記レンズ着状態のとき所定の期間中に前記第2の信号送受信部との間で電気信号の授受が可能となり、前記レンズ脱状態のとき前記第2の信号送受信部との間で電気信号の授受が不可能となり、前記第1の状態は前記所定の期間中に前記第1,第2の信号送受信部間での電気信号の授受が可能な状態を含み、前記第2の状態は前記所定の期間中に前記第1,第2の信号送受信部間での電気信号の授受が不可能な状態を含む、請求項1記載のレンズ交換式カメラ。
【請求項3】 前記カメラボディは、前記光路開口部を介して得られる光を光電変換してアナログの撮像信号を出力する撮像素子と、前記撮像信号をA/D変換してデジタルの撮像画像情報を出力するA/D変換手段と、前記撮像画像情報に対して所定の画像処理を施す画像処理手段と、画像処理が施された撮像画像情報を記録する記録媒体とを備える請求項1あるいは請求項2記載のレンズ交換式カメラ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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