説明

レンズ提供情報管理装置およびレンズ提供情報管理装置を利用したコンタクトレンズの販売方法

【課題】レンズ使用者へのコンタクトレンズの提供に際して、店舗の担当者の人為的ミスにより間違ったレンズ規格のコンタクトレンズを提供してしまうことを防止することが出来る、レンズ提供情報管理装置および販売方法を提供すること。
【解決手段】過去に提供したコンタクトレンズのレンズ規格値をレンズ使用者毎に記憶する顧客情報記憶手段と、コンタクトレンズの包装ケースに付されたケース情報からレンズ規格値を取得するレンズ情報取得手段とを用い、レンズ使用者にコンタクトレンズを提供するに際して、該レンズ情報取得手段によって得られたレンズ規格値を、該顧客情報記憶情報に記憶された当該レンズ使用者に対する前回提供のコンタクトレンズのレンズ規格値と比較して両者が相違するか否かを判定する規格値判定手段において、両者が相違すると判定された場合に警告を発する警告手段を設けたレンズ提供情報管理装置を、新たに提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数のレンズ使用者にそれぞれコンタクトレンズを提供するに際して、担当者の過失等に起因する各レンズ使用者への不適合なコンタクトレンズの誤提供を効果的に防止し得る、新規な装置および方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、視力の矯正等の目的でコンタクトレンズが多くの人に使用されている。かかるコンタクトレンズは、レンズの材質等によって異なるものの、使用期限が短いもので一日から数週間または数カ月、長くても一年〜数年程度とされている。それ故、コンタクトレンズの使用者は、コンタクトレンズの使用期限が到来する度に、使用していたコンタクトレンズを廃棄し、新たなコンタクトレンズを再入手することが必要になる。
【0003】
ところで、コンタクトレンズには、材質等に関してソフトレンズとハードレンズ、含水性レンズと非含水性レンズ、一日使捨てレンズと二週間使捨てレンズと二カ月使捨てレンズと非使捨てレンズ、着色レンズと非着色レンズなどの多くの種類がある。また、コンタクトレンズは、形状等に関してもDIA(レンズ外径)やB.C(ベースカーブ)、C.T(中心厚さ)などが種々設定されており、更に光学特性等に関しても球面レンズ度数、円柱レンズ度数、多焦点レンズ度数などの各種設定が施されている。
【0004】
そして、コンタクトレンズの各使用者には、これら多くの種類の中から適合する特定の材質や形状および光学特性のものが選定されて提供されることとなる。特にコンタクトレンズは人体に直接に装用される高度管理医療機器であり、適合しないコンタクトレンズの装用は適性な視力が提供されないだけでなく、使用者に健康上の悪影響を及ぼすおそれがある。それ故、特開2001−325337号公報(特許文献1)に記載のように、コンタクトレンズの使用者には、コンタクトレンズを最初に利用する際だけでなく定期的にも眼科医の検診が行われ、処方箋情報に基づいて、使用者毎に適合したコンタクトレンズが提供されるようになっている。
【0005】
ところが、コンタクトレンズを実際に使用者に手渡すのは、コンタクトレンズ販売店舗であり、当然ながら、そこには多種類の材質や形状および光学特性のコンタクトレンズが在庫されている。そして、それら多種類のコンタクトレンズの中から、処方箋情報等に基づいて、販売店舗の窓口担当者が各使用者に合致するコンタクトレンズを選び出して各使用者に手渡している。このコンタクトレンズの使用者への手渡しの作業は、人手によるものであり、それ故、間違って異なる種類のコンタクトレンズ(当該使用者に適合しないコンタクトレンズ)を手渡してしまう事故を、避け難いという問題があったのである。
【0006】
なお、このような手渡し時における間違いを防止するための工夫を実施している販売店もある。しかし、その工夫は、コンタクトレンズの種類毎に異なる棚に区分して入れて、それら各棚に種類を表記しておく程度に止まるのが現状であった。そのために、当初の棚入れの際に間違って種類の異なるコンタクトレンズを入れてしまったり、棚から取り出す際に間違った棚からコンタクトレンズを取り出してしまうことが、人手による作業である以上は避けられなかった。
【0007】
特に、レンズ使用者毎に作成された処方箋等による指示情報に従って、該当するコンタクトレンズを棚から出して使用者に手渡す作業は、一般に、コンタクトレンズの専門知識を持たない販売店舗の窓口担当者の業務とされることから、コンタクトレンズの種類や形状および光学特性の細部までを毎回の手渡時に、使用者毎に確認して正確を期すことは困難である。しかも、コンタクトレンズのパッケージデザインは、コンタクトレンズの材質等で異なっている場合があるものの、一般に、レンズ度数やベースカーブ等の光学特性や形状等が異なっていても同じパッケージデザインとなっているし、それら光学特性や形状等が大きく表示されていることも無い。それ故、コンタクトレンズを使用者に手渡す店舗担当者が間違った場合、レンズ使用者も間違いに気づき難い。たとえレンズ使用者が、後から気づいたとしても、その返品や交換等に余分の労力等が費やされることとなるし、間違ったままでレンズ使用者が装用することによって、目的とする光学的な矯正効果や装用感が得られない等という、大きな問題をまねくおそれもあったのである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2001−325337号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、上述の事情を背景として為されたものであり、その解決課題とするところは、レンズ使用者に提供するコンタクトレンズの規格間違いを効果的に防止せしめ得る、新規な構造のレンズ提供情報管理装置およびレンズ販売方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
レンズ提供情報処理装置に関する本発明の特徴とするところは、(i)複数のレンズ使用者へのコンタクトレンズの提供の履歴情報を管理するレンズ提供情報管理装置であって、(ii)前記履歴情報として前記コンタクトレンズの提供日とレンズ規格値とを前記レンズ使用者毎に記憶する履歴情報記憶手段と、(iii)前記コンタクトレンズの包装ケースに付されたケース付属情報からレンズ規格値を取得するレンズ情報取得手段と、(iv)該レンズ情報取得手段で取得された前記レンズ規格値を、前記履歴情報記憶手段に記憶された前記レンズ規格値と比較し、対応する前記レンズ使用者の情報においてそれら双方のレンズ規格値が同一か否かを判定する規格値判定手段と、(v)該規格値判定手段により、前記双方のレンズ規格値が相違した場合に警告を発する規格警告手段とを、含むレンズ提供情報管理装置にある。
【0011】
本発明に係るレンズ提供情報管理装置においては、レンズ使用者へ提供するコンタクトレンズの包装ケースからレンズ規格値をレンズ情報取得手段で直接に取得し、この取得したレンズ規格値を、当該使用者に対して過去にコンタクトレンズを提供する際に同様に取得したレンズ規格値と比較し、それらが相違している場合に警告が発せられる。それ故、各レンズ使用者に対してコンタクトレンズを再提供するに際して、仮に間違って不適合なレンズ規格のものを提供しようとした場合には、当然に前回提供したものとレンズ規格値が一致せずに警報が発せられることとなり、間違ったコンタクトレンズの提供が未然に防止され得る。
【0012】
また、本発明のレンズ提供情報管理装置では、上述の一連の処理、即ちレンズ規格値の取得と記憶およびそれらの比較の処理に際しての人為的ミスも可及的に回避され得て、高い信頼性が発揮される。更に、コンタクトレンズの包装ケースに付されたレンズ規格値の情報は、高度管理医療器具であるコンタクトレンズの製造管理責任に従う製造工程で付されたものであり、極めて高精度で信頼されるものである。
【0013】
すなわち、本発明では、コンタクトレンズが高度管理医療器具であり、法律や業界等による規定に従ってその包装ケースに対してレンズ規格値が精度良く明示されていることに着目し、この包装ケースに付されたレンズ規格値を巧く利用し、それを自動的にデータとして取り込み、記憶させ、更に比較させる情報管理装置としたことにより、人手によるミスを防止して各レンズ使用者毎に適合するコンタクトレンズを確実に且つ速やかな確認処理で提供することを実現可能と為し得たのである。
【0014】
なお、本発明における包装ケースは、コンタクトレンズを使用者に提供する際に外部から視認可能な包装体とされるものであり、コンタクトレンズの種類等に応じて、例えばコンタクトレンズの個別包装体であっても、当該個別包装体の複数を収容した包装箱や包装袋であっても良い。
【0015】
また、ケース付属情報は、デジタル印刷情報であるバーコードや二次元コード等が取扱い易く好適であるが限定されない。レンズ情報処理手段によって情報取得可能な状態で包装ケースに付されるものであれば良く、例えば包装ケースに記載された数字や文字をイメージとして取り込んで画像処理により数字や文字をレンズ規格値として認識するものや、ICタグ、共振タグ等であっても良い。
【0016】
レンズ提供情報管理装置に関する本発明の第二の態様は、前記第一の態様のレンズ提供情報管理装置において、更に、(vi)眼科検査の有効期限を前記レンズ使用者毎に記憶する検査情報記憶手段と、(vii)前記規格値判定手段で対象とされた前記レンズ使用者の情報において、該検査情報記憶手段に記憶された眼科検査の有効期限が超過しているか否かを判定する検査期限判定手段と、(viii)該検査期限判定手段により、眼科検査の有効期限が超過している場合に警告を発する検査警告手段とを、設けたものである。
【0017】
本態様のレンズ提供情報管理装置では、レンズ使用者に対して定期的な眼科検診を効率的に促すことが可能となり、眼科検診によるレンズ使用者の健康管理が、レンズ使用者やレンズ提供者に過度の負担を強いることなく実現可能となる。
【0018】
レンズ提供情報管理装置に関する本発明の第三の態様は、前記第一又は第二の態様のレンズ提供情報管理装置であって、更に、(ix)前記レンズ情報取得手段において、前記ケース付属情報から該コンタクトレンズの製造ロット番号が取得されると共に、(x)前記履歴情報記憶手段において、該レンズ情報取得手段によって取得された該製造ロット番号が前記コンタクトレンズの提供日およびレンズ規格値と共に前記レンズ使用者毎に記憶されるものであり、更に、(xi)該履歴情報記憶手段の記憶情報から特定の製造ロット番号を選択抽出し、該特定の製造ロット番号に該当する前記コンタクトレンズが提供された前記レンズ使用者の情報を外部出力するロット選択出力手段を備えているものである。
【0019】
本態様のレンズ提供情報管理装置では、特定の製造ロット番号のコンタクトレンズに対して何等かの不具合等が発見された場合に、該当するコンタクトレンズが提供されたレンズ使用者を特定して情報出力することが出来る。それ故、出力された情報を用いて、既に市場に出された後でも、特定の製造ロット番号のコンタクトレンズを効率的且つ速やかに回収したり、該当するレンズ使用者に対してダイレクトメールやインターネットメール等で緊急の情報提供を行ったり等することが可能となる。
【0020】
特に、高度管理医療器具であるコンタクトレンズの包装ケースには、従来から製造ロット番号が表示されていることから、本態様では、かかる製造ロット番号を巧く利用し、レンズ規格値のレンズ使用者毎の記憶および管理と併せて効率的に製造ロット番号とも対応付けて、各レンズ使用者に提供されたコンタクトレンズを一層詳細に且つ効率的に管理することを可能と為し得たのである。
【0021】
レンズ提供情報管理装置に関する本発明の第四の態様は、前記第三の態様に係るレンズ提供情報管理装置であって、更に、(xii)前記ロット選択出力手段による外部出力に基づいて、前記特定の製造ロット番号に該当する前記コンタクトレンズが提供された前記レンズ使用者に対するダイレクトメールの送付用ラベルを印刷する印刷手段を備えているものである。
【0022】
レンズ提供情報管理装置に関する本発明の第五の態様は、前記第一乃至第四の何れか一の態様に係るレンズ提供情報管理装置であって、更に、(xiii)前記レンズ情報取得手段で取得された前記レンズ規格値に基づいて、該レンズ規格値に対応するコンタクトレンズをレンズメーカー側に発注するためのレンズ発注信号を出力するレンズ発注手段を備えているものである。
【0023】
本態様のレンズ提供情報管理装置では、レンズ使用者に提供することによってレンズ販売店舗における在庫が減少した分のコンタクトレンズを、該当するレンズ規格値を正確に且つ容易に特定して、在庫補充用にレンズメーカー側へ速やかに発注することが可能となる。
【0024】
レンズ提供情報管理装置に関する本発明の第六の態様は、前記第一乃至第五の何れか一の態様に係るレンズ提供情報管理装置であって、前記レンズ情報取得手段がデジタルコードスキャナとされたものである。
【0025】
すなわち、デジタルコードは、コンピュータで読取可能なデジタル情報識別子であってバーコードやQRコード(登録商標)等の二次元コードを含む。このようなデジタルコードによる表記を、ケース付属情報として採用し、本態様のデジタルコードスキャナで読み取ることにより、非接触式ICタグ等を採用する場合や画像処理により数字や文字を認識させる場合等に比して簡単な設備や装置で本発明装置を実現することが可能となる。
【0026】
コンタクトレンズの販売方法に関する本発明の特徴とするところは、複数のレンズ使用者におけるコンタクトレンズの提供日とレンズ規格値とをレンズ使用者毎に履歴情報として記憶する履歴情報記憶手段と、前記コンタクトレンズの包装ケースに付されたケース付属情報からレンズ規格値を取得するレンズ情報取得手段と、該レンズ情報取得手段で取得された前記レンズ規格値を前記履歴情報記憶手段に記憶された前記レンズ規格値と比較して対応する前記レンズ使用者の情報においてそれら双方のレンズ規格値が同一か否かを判定する規格値判定手段と、該規格値判定手段により前記双方のレンズ規格値が相違した場合に警告を発する規格警告手段とを、含んで構成されたレンズ提供情報管理装置を利用したコンタクトレンズの販売方法であって、(I)レンズ使用者に提供する予定のコンタクトレンズの包装ケースから、前記レンズ情報取得手段が前記レンズ規格値を取得する段階と、(II)前記規格値判定手段が、該コンタクトレンズを提供する予定の該レンズ使用者に対して過去に提供したコンタクトレンズのレンズ規格値を、前記履歴情報記憶手段から取得する段階と、(III)該規格値判定手段が、前記レンズ情報取得手段で取得した前記レンズ規格値と前記履歴情報記憶手段から取得した前記レンズ規格値とを比較して相互に同一か否かを判定する段階と、(IV)該規格値判定手段による比較結果が同一でなかった場合に、前記規格警告手段が警告を発する段階とを、有するコンタクトレンズの販売方法にある。
【0027】
本発明方法に従えば、販売店舗の窓口担当者がコンタクトレンズを使用者に手渡す際に、当該コンタクトレンズのレンズ規格値を包装ケースから取得して当該使用者の過去の提供レンズデータと比較することで正否判定される。それ故、販売店舗の窓口担当者が間違ったコンタクトレンズを手渡す人為的ミスが、レンズ使用者へ当該コンタクトレンズを手渡す前に検証されて指摘されることとなり、たとえ窓口担当者が専門知識等を持たなくても、レンズ使用者に提供するコンタクトレンズの規格間違いを未然に防止することが出来る。
【発明の効果】
【0028】
本発明によれば、包装ケースに対して正確に付されたレンズ規格値を巧く利用し、コンタクトレンズの手渡時における人手によるミスを効果的に防止して、各レンズ使用者毎に適合するコンタクトレンズを確実に且つ速やかな確認処理で提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明の実施形態に係るレンズ提供情報管理装置を用いたコンタクトレンズの販売システムの概要を示す説明図。
【図2】図1に示されたレンズ提供情報管理装置を表す機能ブロック図。
【図3】レンズ提供情報管理装置に表示される画面の例を示す説明図。
【図4】レンズ提供情報管理装置に表示される別の画面の例を示す説明図。
【図5】図1に示されたレンズ提供情報管理装置を用いて本発明方法の実施形態であるコンタクトレンズの販売を実行する処理の概要をフローチャートで示す説明図。
【図6】レンズ提供情報管理装置に表示される更に別の画面の例を示す説明図。
【図7】レンズ提供情報管理装置に表示される更に別の画面の例を示す説明図。
【図8】レンズ提供情報管理装置に表示される更に別の画面の例を示す説明図。
【図9】レンズ提供情報管理装置に表示される更に別の画面の例を示す説明図。
【図10】レンズ提供情報管理装置に表示される更に別の画面の例を示す説明図。
【図11】レンズ提供情報管理装置に表示される更に別の画面の例を示す説明図。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しつつ説明する。
【0031】
先ず、図1には、本発明に従うコンタクトレンズの販売方法を実施するために好適に採用される、本発明に従って構成されたレンズ提供情報管理装置としての店舗用クライアント装置10を含んで構成されたコンタクトレンズの販売システムの一実施形態が、モデル的な概略図として示されている。
【0032】
すなわち、本実施形態の販売システムは、(i)コンタクトレンズの購入を希望する使用者に対して直接に対応して使用者へのコンタクトレンズの販売窓口となる複数の店舗においてそれぞれ使用される複数の店舗用クライアント装置10と、(ii)コンタクトレンズのメーカーであり出荷元であるレンズ提供者によって管理されて用いられるサーバ装置12とを、含んで構成されている。そして、これら複数の店舗用クライアント装置10とサーバ装置12とが、ワールドワイド・ウェブ(World Wide Web) を使用した通信ネットワーク手段としてのインターネット18等を経由して、相互に接続されたコンピュータのネットワークシステムとして、本実施形態のコンタクトレンズの販売システムが構成されている。
【0033】
なお、上記店舗用クライアント装置10やサーバ装置12としては、何れも、インターネットを利用した情報の送受信が出来るように、キーボードやマウス等の入力装置と、CRTや液晶ディスプレイ等の表示装置を備えたコンピュータ等によって構成され得る。更に、これら店舗用クライアント装置10やサーバ装置12には、インターネット上で各種情報を個別的に送受信し得るように適当なソフトウェアが導入されていると共に、必要に応じて、送受信信号を暗号化および復号化するためのソフトウェアが導入され得る。更にまた、店舗用クライアント装置10やサーバ装置12には、管理情報や送受信情報等を適宜に印刷するための印刷装置を備えることが好適である。
【0034】
また、店舗用クライアント装置10やサーバ装置12には、所定のソフトウェアを作動させると共に情報を記憶するために適当な容量の情報記憶手段が備えられる。かかる情報記憶手段としては、ROM,RAMに加えて、磁気ディスクや光学ディスク等が適宜に採用され得る。特に、サーバ装置12は、店舗用クライアント装置10が設置される全ての店舗を通じてレンズ使用者に提供されるコンタクトレンズの提供情報を含む、全てのレンズ使用者の情報を記憶し、必要に応じて検索するのに充分な容量の情報記憶手段が備えられ、データベースシステムが構成される。
【0035】
さらに、各店舗用クライアント装置10は、サーバ装置12のデータベースシステムを、通信ネットワーク18を通じて利用することにより、必要に応じて、レンズ使用者毎の各種情報を利用することも可能であり、その場合には、各店舗用クライアント装置10は、レンズ使用者毎の詳細な情報を記憶したデータベースシステムを個別に備えている必要はない。尤も、本実施形態では、各店舗用クライアント装置10は、図2に示されているように、所定のソフトウェアを記憶及び作動させたりするための情報記憶手段を含む演算装置20に加えて履歴情報記憶装置22を備えており、この履歴情報記憶装置22によって、当該店舗の顧客であるレンズ使用者毎のコンタクトレンズの提供日やレンズ規格値等の詳細な情報を履歴情報として記憶したデータベースシステムが構成されるようになっている。
【0036】
これにより、本実施形態の店舗用クライアント装置10は、そこに備えられた入力装置としてのキーボード24や表示装置26により、インターフェース28を介して履歴情報記憶装置22の情報を利用することが出来るようになっており、サーバ装置12から独立して、当該店舗の顧客に関する情報の参照や変更等の管理を行うことが出来るようになっている。従って、通信ネットワークの障害やサーバ装置12の不具合等があった場合でも、各店舗では、店舗用クライアント装置10だけで情報管理を実施して、顧客の要求に対応することが可能となり、その後に、必要に応じて、サーバ装置12へ情報送信してサーバ装置12のデータベースシステムに反映することが出来るようになっている。
【0037】
また、各店舗用クライアント装置10には、かかる店舗で顧客に提供するコンタクトレンズのパッケージ(外装体)に付された表示から当該コンタクトレンズに関する情報を読み取るためのレンズ情報取得手段としてのデジタルコードスキャナ30が備えられている。そして、このデジタルコードスキャナ30によって取得された情報が、インターフェース28を介して、演算装置20に入力されるようになっている。
【0038】
すなわち、本発明が対象とするコンタクトレンズは、医療用途品であって、法令や業界等の自主規制によって、外装体への表示内容が多く規定されている。そして、この外装体に表示された、収容されたコンタクトレンズのレンズ規格値を、レンズ情報取得手段としてのデジタルコードスキャナ30によって読み取り可能とされている。
【0039】
図3及び図4には、コンタクトレンズの包装ケースとしてのコンタクトレンズのパッケージの具体例がそれぞれ示されている。図3に示されたコンタクトレンズパッケージ32と図4に示されたコンタクトレンズパッケージ34は、何れも、使用期限が2週間とされた使い捨てコンタクトレンズを複数個収容した商品として市場に提供するためのものである。なお、図3のコンタクトレンズパッケージ32は、近視や遠視の矯正に用いられる球面レンズ特性のコンタクトレンズの提供に用いられるものであり、一方、図4のコンタクトレンズパッケージ34は、乱視を含む視力矯正に用いられる円柱レンズ特性のコンタクトレンズの提供に用いられるものである。このような商品は、個別の代金を支払うことを条件として個々に物販される他、レンズ提供者又は販売店とレンズ使用者との間に予め会員契約が交わされて当該レンズ使用者である会員ユーザー向けに所定の会費の支払いを条件として定期的に提供される(例えば、特開2003−228623号公報等参照)。
【0040】
これらのコンタクトレンズパッケージ32,34は、何れも、図3および図4において正面図を(a)、側面図を(b)、背面図を(c)として示すように、未開封の状態で外部から視認できるように多くの表示が付されている。特に、コンタクトレンズは、薬事法や業界規則等の適用に対応するために、収容された商品であるコンタクトレンズに関して、製造者や販売者、連絡先、普通名称、商品名、材質、特性、用途など、多くの表示を、未開封の状態で外部から視認可能に表示することが必要とされている。
【0041】
なお、コンタクトレンズパッケージ32,34は、何れも、紙等で形成された中空箱体の包装箱36を備えており、保存液に浸漬されて個別パッケージに封止されたコンタクトレンズの適数個が、かかる包装箱36に収容されている。また、包装箱36は、その全体を薄膜の包装フィルム38で覆われており、包装箱36と包装フィルム38とによって、個別商品であるコンタクトレンズの複数個を収容包装して市場に提供する商品単位とするコンタクトレンズパッケージ(外装体)32,34が構成されている。そして、これら包装箱36と包装フィルム38との何れかに対して印刷やレーザー照射等の公知の手法により、上述の製造者や販売者等の表示が付されている。
【0042】
かかる表示は、具体的には、図3及び図4の各(a)に示されているように、パッケージ正面には、「AAA」という商品名が大きく中央表示されていると共に、商品提供者である法人の名称「○○○○○○○」および社標(マーク)「◎」と、当該商品の普通名称である「2週間交換ソフトコンタクトレンズ」との表示が為されている。
【0043】
また、図3及び図4の各(b)に示されているように、パッケージの一方の側面には、収容されたコンタクトレンズの使用期限を示す文字「2099−12」と、製造ロット番号を示す文字「TEST634001」とが表示されていると共に、収容されたコンタクトレンズの規格値の一種である光学特性の表示欄40が設けられており、かかる表示欄40において、ベースカーブ(BC)値「8.6」と、球面レンズ度数(SPH)値「−3.00」と、円柱レンズ度数(CYL)値「−1.75」と、シリンダ軸(AXIS)値「180」が表示されている。なお、図3に示されているように、乱視用コンタクトレンズのレンズ規格値であるCYLおよびAXISの各表示欄は、球面レンズ特性のコンタクトレンズパッケージ32にも設けられて数値未記載とされており、これによって、例えばレンズ規格値を包装箱36に表示する一方、パッケージ表面における「toric」や「乱視用」の文字等を包装フィルム38に表示することにより、包装箱36の共用が図られている。
【0044】
更に、図3及び図4の各(c)に示されているように、パッケージ背面には、その中央上部の第一表示領域44に、収容物の説明として「6枚入り」(商品数量)および「添付文書在中」の文字と、販売名として「△△△△2ウィーク□□□□」の文字、製造販売業者の名称および所在地などが表示されている。また、パッケージ背面の左部の第二表示領域46には、ケース付属情報としての第一及び第二のバーコード50,52が表示されている。そして、第一のバーコード50でレンズ規格値である上記のBC値、SPH値、CYL値、AXIS値が表示されていると共に、第二のバーコード52で、製造ロット番号が表示されている。なお、本実施形態では一次元のバーコード50,52が採用されているが、二次元のバーコードを用いることも可能であり、また、製造ロット番号やプロダクトコード、JANコードやEANコード等を表示するバーコードを追加しても良い。
【0045】
このようなコンタクトレンズパッケージ32,34に収容されたコンタクトレンズを、前述の如き店舗用クライアント装置10やサーバ装置12を含む販売システムを利用してレンズ使用者に提供するに際しての販売システムの作動を、図5に例示のフロー図に従って説明する。
【0046】
先ず、店舗用クライアント装置10を備えた店舗において、以前に来店したことがあるレンズ使用者からコンタクトレンズの追加提供の要求を受けることによって販売システムの作動を開始する。かかる要求は、レンズ使用者が店舗に直接に来店して意思表示する他、レンズ使用者からインターネット等の通信回線を使って店舗に意思表示することによっても行われ得る。販売システムの作動の開始は、例えば店舗の担当者によって、店舗用クライアント装置10の作動開始処理として、予めインストールされたソフトウェアの実行指令信号が入力されることで実行される。
【0047】
店舗用クライアント装置10において、販売システムの作動が開始される(S1)と、例えば図6に示されているように、店舗用クライアント装置10の表示装置26において顧客である当該レンズ使用者を特定するための顧客番号入力画面が表示される。そして、担当者が、店舗用クライアント装置10のキーボード24から該当する顧客番号及び/又は顧客氏名を入力することにより、店舗用クライアント装置10が顧客番号を取得する(S2)。
【0048】
店舗用クライアント装置10は、上記(S2)で取得した顧客番号に基づいて、履歴情報記憶装置22に記憶された中から該当する顧客の情報を読み出し(S3)、図7に示されているように、かかる顧客情報を店舗用クライアント装置10の表示装置26に表示する(S4)。なお、図7では、顧客情報の項目だけを例示してあるが、各項目欄には必要に応じて具体的な文字が表示される。また、表示される顧客情報の項目は任意であり、必要に応じて適当に取捨選択されたり追加され得る。そして、表示された顧客情報により、店舗の担当者が正誤を判断し、当該顧客情報が、店舗においてレンズの提供を要求している顧客に一致すると認定した場合には、キーボード24のエンターキー打鍵等により、確認信号を店舗用クライアント装置10に入力する。
【0049】
店舗用クライアント装置10には、履歴情報記憶手段22によって構成されて、顧客情報の一部としてのレンズ使用者毎の眼科検査の有効期限を記憶する検査情報記憶手段が備えられており、続くステップS5において、ステップS3で、検査情報記憶手段から読み出された眼科検査の有効期限を示す顧客情報により、当該レンズ使用者について予め設定された眼科検査時期が到来していないかを、判定する。この判定は、ソフトウェアに従って処理を実行する演算装置20によって構成された検査期限判定手段により行われる。なお、かかる眼科検査時期は、使用するコンタクトレンズの種類やレンズ使用者毎の事情(例えば、コンタクトレンズ使用開始からの期間や、涙液量の程度、過去の疾病状況等)を考慮して、半年毎や一年毎など適宜に設定され得る。そして、眼科検査時期が既に到来していると判定された場合には、ステップS6に進み、例えば図8に示されているように、画面表示を実行するソフトウェアと演算装置20によって構成されている検査警告手段により、検査の有効期限が超過していることを店舗用クライアント装置10の表示装置26に表示する。
【0050】
かかる検査の有効期限超過表示がされた場合には、例えば店舗の担当者がレンズ使用者に確認し、レンズ使用者が他の眼科等で検査を受けた等という特別な事情が認められたことを条件として、続くステップS7において、情報を確認したものとして、店舗用クライアント装置10に確認済みの信号を入力して、レンズ提供のための作業を継続する。一方、検査の有効期限超過に関して特別な事情が認められない場合には、店舗用クライアント装置10に確認不能の信号を入力して、レンズ提供のための作業を終了する。
【0051】
また、店舗用クライアント装置10は、ステップS8において、ステップS3で読み出した顧客情報により、当該レンズ使用者について、会員として定期的なコンタクトレンズの提供を受けるのに必要とされる会費の支払期限が到来していないかを、演算装置20により判定する。なお、店舗用クライアント装置10における会費の支払状況のデータ管理は、店舗で会費支払いを管理できる場合は店舗での情報更新が可能であるが、例えばクレジット会社に会費徴収を依頼しているような場合等には、通信ネットワーク18を通じてサーバ装置12から情報を取得したり、取得した情報で定期的に履歴情報記憶装置22の情報を更新したりすることができる。そして、会費の支払期限が超過して未払いであると判定された場合には、ステップS9に進み、例えば図9に示されているように、会費が未納であることを店舗用クライアント装置10の表示装置26に表示する。
【0052】
かかる会費の未納表示がされた場合には、例えば店舗の担当者がレンズ使用者に確認し、レンズ使用者が会費を納入したことを確認できたことや、会費は未納であるが今回は代金を支払うことで個別の物販としての提供を認めること等の特別な事情が認められたことを条件として、続くステップS7において、情報を確認したものとして、店舗用クライアント装置10に確認済みの信号を入力して、レンズ提供のための作業を継続する。一方、会費未納に関して特別な事情が認められない場合には、店舗用クライアント装置10に確認不能の信号を入力して、レンズ提供のための作業を終了する。
【0053】
なお、上記ステップS5やS8における検査期間や会費納付に関する判定は、順不同に実施可能であり、図8に示されているように両判定を同時に画面表示して処理することも可能である。また、それらステップS5やS8における検査期間や会費納付に関する判定を、前記ステップS4における顧客情報のモニタ表示に先立って行ったり、或いは顧客情報のモニタ表示と同時に同じ画面に判定結果を表示したりすることも可能である。
【0054】
そして、コンタクトレンズの提供を要求しているレンズ使用者(顧客)について、検査の有効期限と会費の支払いが確認されたら、店舗の担当者は、当該レンズ使用者に関する情報(例えば処方箋の情報)を参照して、当該レンズ使用者に提供すべき規格のコンタクトレンズを、店舗のコンタクトレンズ収容場所から選定して取り出して、それを手渡したり、発送したりすることになる。
【0055】
ここにおいて、本実施形態の販売システムでは、ステップS10において、店舗用クライアント装置10が、店舗の担当者によって取り出されたコンタクトレンズについて、そのコンタクトレンズパッケージ32,34に表示されたケース付属情報であるレンズ規格値を取得する。具体的には、コンタクトレンズパッケージ32,34に付された第一のバーコード50を、デジタルコードスキャナ30で光学的に読み取ることにより、デジタルデータとして、当該コンタクトレンズパッケージ32,34に収容されたコンタクトレンズのレンズ規格値であるBC値、SPH値、CYL値、AXIS値を取得する。
【0056】
また、本実施形態では、ステップS11において、第二のバーコード52を、デジタルコードスキャナ30で光学的に読み取ることにより、デジタルデータとして、当該コンタクトレンズパッケージ32,34に収容されたコンタクトレンズの製造ロット番号も取得する。なお、製造ロット番号の取得は本発明において必須ではない。また、製造ロット番号に代えて又は加えて、コンタクトレンズパッケージ32,34に収容されたコンタクトレンズの種類(例えば、ソフトレンズとハードレンズの別や、その具体的な商品名、連続使用可能日数)等の情報も、デジタルコードスキャナ30等を利用して、店舗用クライアント装置10が取得するようにしても良い。
【0057】
一方、店舗用クライアント装置10は、ステップS12において、履歴情報記憶装置22に記憶された情報から、レンズ提供を要求している当該顧客に対して前回提供したコンタクトレンズのレンズ規格値の情報を読み出して取得する。
【0058】
そして、続くステップS13において、上記ステップS10で取得した今回提供予定のレンズ規格値(X)と、上記ステップS12で取得した前回提供したレンズ規格値(Y)とを、相互に比較して、それらが一致するか否かを判定する。なお、判定は店舗用クライアント装置10のソフトウェアに従って処理を実行する演算装置20によって構成されている規格値判定手段によって行われる。その判定の結果、今回提供予定のレンズ規格値(X)が、前回提供したレンズ規格値(Y)と相違すると判定された場合には、ステップS14において、画面表示を実行するソフトウェアと演算装置20によって構成されている規格警告手段により、警告を実行する。
【0059】
かかる警告は、例えば図9に示されている如きレンズ情報確認画面において、「前回提供レンズと相違」の警告文字を表示したり点滅させたり、それに併せて店舗用クライアント装置10が備えるスピーカー58(図2参照)を通じて警報音を発したりする等のにより行われ得る。これらの警告文字の点滅表示および警告音の出力も画面表示および音声出力を実行するソフトウェアと演算装置20によって構成された規格警告手段により実現されている。なお、レンズ情報確認画面では、ステップS10で取得した今回提供予定のレンズ規格値(X)と、上記ステップS12で取得した前回提供したレンズ規格値(Y)とを、それぞれ、レンズ使用者の情報と共に表示することが望ましい。なお、図9では、表示項目名は記載してあるが、具体的な数値は省略している。かかる表示項目中、「提供日」欄に記載された22年08月01日は当該レンズ使用者に対して前回コンタクトレンズを提供した日付であって、当該日付欄には前回提供したコンタクトレンズのレンズ規格値等の情報が表示されている。また、その下段の22年10月01日は当該レンズ使用者に対して今回コンタクトレンズを提供する日付であって、当該日付欄には今回提供するコンタクトレンズのレンズ規格値等の情報が表示される。
【0060】
上記ステップS13で、今回提供予定のレンズ規格値(X)が、前回提供したレンズ規格値(Y)と相違すると判定され、ステップS14で警告表示された場合には、例えば店舗の担当者が処方箋等を確認し、今回から提供するコンタクトレンズのレンズ規格値が正当な理由に基づいて変更されたものであることを確認したことを条件として、続くステップS15において、情報を確認したものとして、店舗用クライアント装置10に確認済みの信号を入力して、レンズ提供のための作業を継続する。
【0061】
一方、レンズ規格値の相違に正当な理由が無い場合には、取り出したコンタクトレンズパッケージ32,34が間違っていることから、ステップS15において、情報を確認できなかったものとして、店舗用クライアント装置10に再確認の信号を入力する。そして、店舗の担当者は改めて正しいレンズ規格のコンタクトレンズパッケージ32,34を店舗のコンタクトレンズ収容場所から探し出して取り出す。その後、新たに取り出したコンタクトレンズパッケージ32,34に対して、上記ステップS10〜S13に戻り、そのレンズ規格値の取得と前回提供したレンズ規格値との判定を実行する。
【0062】
上記ステップS13においてレンズ規格値が同じものと確認された場合およびステップS15においてレンズ規格値の相違が正当理由によるものと確認された場合には、続くステップS16において、例えば図10に表示されている如き画面により、今回提供するコンタクトレンズのレンズ規格値を表示することで、最終確認情報をモニタ表示する。
【0063】
そして、この画面情報を店舗の担当者が確認し、確認信号を入力すると、ステップS17において、店舗用クランアント装置10は、上述の処理で取得された各種情報(例えば、今回コンタクトレンズを提供する日付情報、提供されたレンズが左右何れのものであるかの情報、レンズ種別、レンズ規格値(B.C,+/−,Power,DIA,C,AXIS等)、製造ロット番号等)を、履歴情報として、履歴情報記憶装置22における該当顧客の情報として追加記録する。
【0064】
また、店舗用クライアント装置10は、上記情報更新と共に、顧客に提供することで店舗在庫が減少することとなるコンタクトレンズを店舗に補充するために、ステップS18において、コンタクトレンズの発注を行う。当該発注は、ソフトウェアによって処理を実行する演算装置20が、提供したものと同じレンズ規格値のコンタクトレンズ発注信号を、インターネット18を通じてレンズメーカー側のサーバ装置12に送信するレンズ発注手段により、レンズ提供者に対してコンタクトレンズの補充提供を注文して、一連の作業を終了する。なお、かかるレンズの発注処理に際しては、店舗在庫管理等と関係することから、発注に際して、店舗の担当者に要否を確認する画面を表示し、当該画面において担当者から発注指示信号の入力がなされた場合にだけ、レンズ提供者へコンタクトレンズの注文信号を発信する等しても良い。
【0065】
更にまた、図10に示された最終確認画面において、何等かの不具合が見つかった場合に、提供するコンタクトレンズの変更等の作業に対して容易に対応できるように、「戻る」という指示信号の入力ボタンを表示し、当該「戻る」作動の指示信号が入力された場合に、例えば上記ステップS10等の適当な工程まで戻ることを可能にしても良い。
【0066】
さらに、本実施形態の販売システムにおける店舗用クライアント装置10は、上述の如き処理に従うコンタクトレンズの販売に際し、前記ステップS11において、顧客に提供するコンタクトレンズパッケージ32,34に収容されたコンタクトレンズの製造ロット番号も取得し、ステップS17において、かかる製造ロット番号を履歴情報記憶装置22において情報記憶する。従って、このように顧客との関連付け情報をもって記憶された各コンタクトレンズの製造ロット番号を利用することにより、提供済みのコンタクトレンズについて何等かの問題が発見されたような場合でも、該当するコンタクトレンズを提供した顧客に対して的確な連絡を行うことが可能となる。
【0067】
具体的には、例えば製造工程で何等かの問題が発見されて特定の製造ロット番号のコンタクトレンズだけを回収したい場合を想定すると、図11に示されているように、先ず、ステップT1で、店舗に設置された店舗用クライアント装置10において、製造ロット番号の入力用画面を表示させて、ステップT2で、対象となる製造ロット番号を入力させて情報を取得する。
【0068】
次に、ステップT3において、店舗用クライアント装置10により、入力された製造ロット番号と一致する製造ロット番号のコンタクトレンズを提供した顧客の情報を、履歴情報記憶装置22の記憶情報から選択して取得し、ステップT4において、取得した顧客情報を、当該顧客名及び/又は顧客番号と共に製造ロット番号やコンタクトレンズ提供日等の必要な情報と併せてモニタ表示する。すなわち、ロット選択出力手段は、問題が発見されたコンタクトレンズに該当する特定の製造ロット番号がキーボード24等により入力されることにより、記憶されたソフトウェアが演算装置20に当該コンタクトレンズが提供された顧客情報を履歴情報記憶手段22の記憶情報から選択抽出させ、その後、更に、画面表示を実行するソフトウェアが演算装置20を作動させることにより、選択抽出された当該特定の製造ロット番号に該当するコンタクトレンズが提供されたレンズ使用者の情報を表示装置26に外部出力することによって構成されているのである。
【0069】
そして、このようにして取得された特定の製造ロット番号に該当するコンタクトレンズを提供した顧客の情報を利用して、続くT5〜T10において、店舗において印刷したり(T5〜T6)、必要な情報を該当する顧客にメールで送信したり(T7〜T8)、必要な情報を該当する顧客にダイレクトメール(DM)で送付するための宛名ラベルを印刷したり(T9〜T10)することが出来る。なお、店舗における顧客情報およびダイレクトメール送付用の宛名ラベルは、販売店舗の窓口担当者等が、キーボード24やマウス等により印刷の指示信号を入力することによりソフトウェアが作動し、更にソフトウェアが印刷実行指令信号を演算装置20および印刷手段としてのプリンタ等に送ることにより、印刷手段が作動して印刷が行われる。
【0070】
従って、上述の如き販売システムを利用したコンタクトレンズの販売方法に従えば、レンズ使用者へ提供するコンタクトレンズパッケージ32,34からレンズ規格値を直接に取得し、当該レンズ使用者へ提供した前回のコンタクトレンズのレンズ規格値と相違する場合に警告が発せられる。即ち、一日や数週間、或いは数カ月毎に交換される使い捨て型コンタクトレンズでは、一般に、前回と同じレンズ規格のコンタクトレンズを繰り返して提供することになるから、その情報を巧く利用することにより、店舗の担当者による人為的ミスに起因した間違ったレンズ規格のコンタクトレンズの提供が効果的に防止され得るのである。
【0071】
特に、本発明が対象とするコンタクトレンズは、高度管理医療器具であってそのパッケージ32,34には、正確なレンズ規格値が、レンズメーカーでの高度な管理下で表示されていることを利用することで、従来に比して特別な情報管理システムの負担を必要とすることなく、間違ったレンズ規格値のコンタクトレンズの提供防止が簡易に且つ効果的に実現可能となるのである。
【0072】
なお、本実施形態では、複数の店舗用クライアント装置10が、インターネット18を通じて、サーバ装置12に接続されたシステムを採用していたが、各店舗に独立した店舗用クラアント装置10を設置し、サーバ装置12から独立して作動させることも可能である。その場合には、サーバ装置12への通信によるコンタクトレンズの自動的な発注処理等が実行できないことに止まり、本発明の目的は達成可能である。
【0073】
また、本実施形態では、複数の店舗用クライアント装置10が、インターネット18を通じて、サーバ装置12に接続されたシステムを採用していることから、全ての店舗用クライアント装置10で取得された顧客情報やレンズ情報をインターネット18を通じてサーバ装置12に送信させることで、サーバ装置12のデータベースを構築することができる。それ故、例えば、特定の製造ロット番号のコンタクトレンズに不備が発見された場合に、サーバ装置12において、前記図11に示された処理を実行し、該当する製造ロット番号のコンタクトレンズ提供を受けた顧客への情報発信処理を、サーバ装置12で纏めて効率的に実行することも可能である。
【0074】
更にまた、コンタクトレンズケースに付されてレンズ規格値を表示する手段や、それを読み取ってレンズ規格値の情報を取得するレンズ情報取得手段として、例示の如きバーコードやスキャナの他、前述のように包装ケースに記載された数字や文字をイメージとして取り込んで画像処理により数字や文字をレンズ規格値として認F識するものや、ICタグ、共振タグ等とそれに対応したリーダ等を採用することも可能である。その他にも、ケース付属情報からレンズ規格値を取得するレンズ情報取得手段として、店舗用クライアント装置10に付属のキーボード24やマイク等を利用し、店舗の担当者がコンタクトレンズケースの表示から読み取ったレンズ規格値に基づいて、キーボード24から入力される数値やマイクを通じて入力される音声信号を解析して得られた数値を、レンズ規格値として採用することも可能である。
【0075】
その他、一々列挙はしないが、本発明は当業者の知識に基づいて種々なる変更,修正,改良等を加えた態様で実施可能であり、また、そのような実施態様は、本発明の趣旨を逸脱しないかぎり、何れも、本発明の範囲内に含まれるものである。
【符号の説明】
【0076】
20:演算装置、22:履歴情報記憶手段、30:デジタルコードスキャナ(レンズ情報取得手段)、32,34:コンタクトレンズパッケージ(コンタクトレンズの包装ケース)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のレンズ使用者へのコンタクトレンズの提供の履歴情報を管理するレンズ提供情報管理装置であって、
前記履歴情報として前記コンタクトレンズの提供日とレンズ規格値とを前記レンズ使用者毎に記憶する履歴情報記憶手段と、
前記コンタクトレンズの包装ケースに付されたケース付属情報からレンズ規格値を取得するレンズ情報取得手段と、
該レンズ情報取得手段で取得された前記レンズ規格値を、前記履歴情報記憶手段に記憶された前記レンズ規格値と比較し、対応する前記レンズ使用者の情報においてそれら双方のレンズ規格値が同一か否かを判定する規格値判定手段と、
該規格値判定手段により、前記双方のレンズ規格値が相違した場合に警告を発する規格警告手段と
を、含むことを特徴とするレンズ提供情報管理装置。
【請求項2】
眼科検査の有効期限を前記レンズ使用者毎に記憶する検査情報記憶手段と、
前記規格値判定手段で対象とされた前記レンズ使用者の情報において、該検査情報記憶手段に記憶された眼科検査の有効期限が超過しているか否かを判定する検査期限判定手段と、
該検査期限判定手段により、眼科検査の有効期限が超過している場合に警告を発する検査警告手段と
を、含む請求項1に記載のレンズ提供情報管理装置。
【請求項3】
前記レンズ情報取得手段において、前記ケース付属情報から該コンタクトレンズの製造ロット番号が取得されると共に、
前記履歴情報記憶手段において、該レンズ情報取得手段によって取得された該製造ロット番号が前記コンタクトレンズの提供日およびレンズ規格値と共に前記レンズ使用者毎に記憶されるものであり、更に、
該履歴情報記憶手段の記憶情報から特定の製造ロット番号を選択抽出し、該特定の製造ロット番号に該当する前記コンタクトレンズが提供された前記レンズ使用者の情報を外部出力するロット選択出力手段を備えている請求項1又は2に記載のレンズ提供情報管理装置。
【請求項4】
前記ロット選択出力手段による外部出力に基づいて、前記特定の製造ロット番号に該当する前記コンタクトレンズが提供された前記レンズ使用者に対するダイレクトメールの送付用ラベルを印刷する印刷手段を備えている請求項3に記載のレンズ提供情報管理装置。
【請求項5】
前記レンズ情報取得手段で取得された前記レンズ規格値に基づいて、該レンズ規格値に対応するコンタクトレンズをレンズメーカー側に発注するためのレンズ発注信号を出力するレンズ発注手段を備えている請求項1〜4の何れか1項に記載のレンズ提供情報管理装置。
【請求項6】
前記レンズ情報取得手段がデジタルコードスキャナである請求項1〜5の何れか1項に記載のレンズ提供情報管理装置。
【請求項7】
複数のレンズ使用者におけるコンタクトレンズの提供日とレンズ規格値とをレンズ使用者毎に履歴情報として記憶する履歴情報記憶手段と、前記コンタクトレンズの包装ケースに付されたケース付属情報からレンズ規格値を取得するレンズ情報取得手段と、該レンズ情報取得手段で取得された前記レンズ規格値を前記履歴情報記憶手段に記憶された前記レンズ規格値と比較して対応する前記レンズ使用者の情報においてそれら双方のレンズ規格値が同一か否かを判定する規格値判定手段と、該規格値判定手段により前記双方のレンズ規格値が相違した場合に警告を発する規格警告手段とを、含んで構成されたレンズ提供情報管理装置を利用したコンタクトレンズの販売方法であって、
レンズ使用者に提供する予定のコンタクトレンズの包装ケースから、前記レンズ情報取得手段が前記レンズ規格値を取得する段階と、
前記規格値判定手段が、該コンタクトレンズを提供する予定の該レンズ使用者に対して過去に提供したコンタクトレンズのレンズ規格値を、前記履歴情報記憶手段から取得する段階と、
該規格値判定手段が、前記レンズ情報取得手段で取得した前記レンズ規格値と前記履歴情報記憶手段から取得した前記レンズ規格値とを比較して相互に同一か否かを判定する段階と、
該規格値判定手段による比較結果が同一でなかった場合に、前記規格警告手段が警告を発する段階と
を、有することを特徴とするコンタクトレンズの販売方法。

【図1】
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【図2】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−174171(P2012−174171A)
【公開日】平成24年9月10日(2012.9.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−38113(P2011−38113)
【出願日】平成23年2月24日(2011.2.24)
【出願人】(000138082)株式会社メニコン (150)
【Fターム(参考)】