説明

レンズ駆動装置

【課題】落下衝撃によってレンズの光軸のズレが発生し難いレンズ駆動装置を提供する。
【解決手段】レンズ駆動装置1の衝撃吸収部20は、レンズ枠9における第1のガイド孔9cの一方の開口側の周囲に設けられた第1の当接面S1と、ベース部材2における第1のガイドシャフト3の基端の周囲に設けられた第1の被当接面R1と、レンズ枠9における第2のガイド孔9dの一方の開口側の周囲に設けられた第2の当接面S2と、ベース部材2における第2のガイドシャフト4の基端の周囲に設けられた第2の被当接面R2と、で構成されている。そして、第1の被当接面R1に対する第1の当接面S1の当接と、第2の被当接面R2に対する第2の当接面S2の当接とは、同時に行われる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、撮像装置の一部に組み込まれて利用されるレンズ駆動装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、このような分野の技術として、特開平6−174995号公報がある。この公報に記載されたレンズ駆動装置は、光学機器内に組み込まれている。レンズ駆動装置には、前側鏡筒と後側鏡筒との間に架け渡された2本のガイドシャフトを有し、各ガイドシャフトに沿ってレンズ枠が移動する。そして、モータ等の駆動源によって前側鏡筒と後側鏡筒との間で移動するレンズ枠の位置は、フォトリフレクタ又はフォトインタラプタにより検出される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平6−174995号公報がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前述した従来のレンズ駆動装置のレンズ枠は、光学機器が落下衝撃を受けると、ガイドシャフトに沿って前側鏡筒又は後側鏡筒に衝突する。しかしながら、落下衝撃が強ければ強い程、レンズ枠に加わる衝撃が強くなり、これによってレンズ枠に捻れや撓みが生じ、これに伴って、レンズ枠に固定されたレンズに歪みなどが発生してレンズに光軸のズレが発生するが、従来のレンズ駆動装置にあっては、その対策が何ら施されていない。
【0005】
本発明は、落下衝撃によってレンズの光軸のズレが発生し難いレンズ駆動装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、鏡筒内側に配置されるベース部材と、レンズを保持すると共にレンズの光軸方向でベース部材に対して移動可能に設けられたレンズ枠と、レンズ枠を移動させる駆動手段と、レンズ枠の位置を検出する位置検出手段と、を備えたレンズ駆動装置において、
ベース部材には、レンズ枠の移動を案内する第1及び第2のガイドシャフトが立設され、レンズ枠には、第1及び第2のガイドシャフトが貫通する第1及び第2のガイド孔がそれぞれ形成され、
ベース部材における第1及び第2のガイドシャフトの基端の周囲と、レンズ枠における第1及び第2のガイド孔の一方の開口側の周囲とで、衝撃吸収部が構成されていることを特徴とする。
【0007】
このレンズ駆動装置においては、ベース部材における第1及び第2のガイドシャフトの基端の周囲と、レンズ枠における第1及び第2のガイド孔の一方の開口側の周囲とが、衝撃吸収部として構成されているので、落下衝撃により、強制的にガイドシャフトに沿って移動させられるレンズ枠が、ベース部材に衝突させられることによって発生する変形を確実に防止することができ、これに伴って、レンズ枠に固定されたレンズに歪みなどが発生し難く、レンズに光軸のズレが発生するのを確実に防止することができる。
【0008】
また、衝撃吸収部は、レンズ枠における第1のガイド孔の一方の開口側の周囲に設けられた第1の当接面と、ベース部材における第1のガイドシャフトの基端の周囲に設けられた第1の被当接面と、レンズ枠における第2のガイド孔の一方の開口側の周囲に設けられた第2の当接面と、ベース部材における第2のガイドシャフトの基端の周囲に設けられた第2の被当接面と、で構成され、衝撃吸収部における第1の当接面と第2の当接面と、第1の被当接面と第2の被当接面に対して同時に当接する。
このような構成を採用すると、部品を追加することなく、落下衝撃によるレンズ枠の変形を簡単な構成でしかも確実に防止することができ、このような構成は、レンズ駆動装置の小型化や軽量化にも寄与する。
【0009】
また、レンズ枠における第1のガイド孔の他方の開口側の周囲には、第1の当接面に対向する第3の当接面が設けられ、第1のガイドシャフトの先端に設けられた第1のストッパには第3の被当接面が形成され、レンズ枠における第2のガイド孔の他方の開口側の周囲には、第2の当接面に対向する第4の当接面が設けられ、第2のガイドシャフトの先端に設けられた第2のストッパには第4の被当接面が形成され、第3の当接面と第4の当接面は、第3の被当接面と第4の被当接面に対して同時に当接する。
このような構成を採用すると、落下衝撃時にレンズ枠が前進又は後退の何れに移動しても、簡単な構成でしかも確実にレンズ枠の変形を防止することができる。
【0010】
また、衝撃吸収部は、衝撃吸収材からなる別の部材として、レンズ枠とベース部材との少なくとも一方に固着させられている。
このような構成を採用すると、レンズ枠及びベース部材の成形精度を上げることなく、落下衝撃によるレンズ枠の変形を容易に防止することができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、落下衝撃によるレンズ枠の変形が確実に防止され、それに伴って、レンズの光軸のズレを確実に防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明に係るレンズ駆動装置の一実施形態を示す分解斜視図である。
【図2】図1に示されたレンズ駆動装置の斜視図である。
【図3】図1に示されたレンズ駆動装置の平面図である。
【図4】図1に示されたレンズ枠の斜視図である。
【図5】図1に示されたベース部材の斜視図である。
【図6】レンズ枠がカメラ停止位置にある状態を示すレンズ駆動装置の斜視図である。
【図7】図6のVII−VII線に沿う断面図である。
【図8】図6のVIII−VIII線に沿う断面図である。
【図9】レンズ枠がストッパ位置にある状態を示すレンズ駆動装置の斜視図である。
【図10】図9のX−X線に沿う断面図である。
【図11】図9のXI−XI線に沿う断面図である。
【図12】通常使用時のレンズ枠の状態を示す断面図である。
【図13】レンズ枠がベース部に衝突した状態を示す断面図である。
【図14】本発明に係るレンズ駆動装置の他の実施形態を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照しつつ本発明に係るレンズ駆動装置の好適な実施形態について詳細に説明する。
【0014】
図1〜図3に示されるように、レンズ駆動装置1は、カメラ本体にレンズ鏡筒Tを格納可能な沈胴式カメラに組み込まれ、フォーカスレンズNを駆動するものである。レンズ駆動装置1は、レンズ鏡筒Tの内側に配置されている。フォーカスレンズNは、レンズ鏡筒TのマスターレンズMの光軸とフォーカスレンズNの光軸Cとが一致するように配置されている。フォーカスレンズNは、複数のレンズから構成されているレンズ群である。レンズ駆動装置1は、光軸Cに沿う方向(以下、光軸C方向と呼ぶ)にフォーカスレンズNを駆動する。
【0015】
レンズ駆動装置1の後方には、CCD[Charge Coupled Device]イメージセンサやCMOS[Complementary Metal Oxide Semiconductor]イメージセンサなどの撮像素子(図示せず)が配置されている。なお、理解を容易にするため図1及び図4以外の図面ではレンズNを図示していない。
【0016】
レンズ駆動装置1は、ベース部材2、ガイドシャフト3,4、第1のヨーク5、マグネット6、第2のヨーク7、コイル8、レンズ枠9、FPC[Flexible Printed Circuits]10、及びフォトリフレクタ11を備えている。
【0017】
図2〜図5に示されるように、ベース部材2は、中心に開口部Aを有する円板状の部材である。ベース部材2上には、レンズNを保持するレンズ枠9が配置されている。レンズ枠9は、レンズNが嵌め込まれるレンズ穴9aを中央に有する環状の部材である。レンズ枠9が保持するレンズNは、ベース部材2の開口部A上に位置している。このレンズ枠9には、第1及び第2のガイド孔9c,9dが設けられ、第1及び第2のガイド孔9c,9dには、レンズ枠9の移動を案内する第1及び第2のガイドシャフト3,4がそれぞれ挿入されている。
【0018】
第1及び第2のガイドシャフト3,4は、光軸C方向に延在する部材である。第1及び第2のガイドシャフト3,4は、ベース部材2上に立設されている。第1及び第2のガイドシャフト3,4は、ベース部材2のシャフト用孔13,14にそれぞれ嵌め込まれて、ベース部材2に立設させられている。シャフト用孔13,14は、開口部Aを挟むように形成されている。そして、第1及び第2のガイドシャフト3,4の先端には、レンズ枠9の移動範囲を規制する環状の第1及び第2のストッパ3a,4aが設けられている。
【0019】
このような第1及び第2のガイドシャフト3,4を設けることで、光軸C方向にレンズ枠9を案内することができ、レンズ枠9を精度良く移動させることができる。また、第1及び第2のストッパ3a,4aを第1及び第2のガイドシャフト3,4に設けることで、ストッパ用の別部材を設ける場合と比べて部品点数の削減及び構造の簡素化を図ることができる。
【0020】
図1〜図3に示されるように、第1のヨーク5、マグネット6、第2のヨーク7、及びコイル8は、レンズ枠9を駆動するためのボイスコイル型モータ(駆動手段)Vを構成している。ボイスコイル型モータVでは、ベース部材2側にマグネット6が取り付けられ、レンズ枠9側にコイル8が取り付けられている。
【0021】
第1のヨーク5は、ベース部材2上に立設されたコ字状の部材である。第1のヨーク5は、光軸C方向に沿って延在する二つの側壁5a,5bと側壁5a,5bを連結する連結部5cとを有している。第1のヨーク5は、連結部5c側がベース部材2のヨーク用溝15に嵌め込まれており、ベース部材2と反対方向で開放されている(図6参照)。ヨーク用溝15の底面からは、二つの固定ピン15aが突出しており、これらの固定ピン15aは第1のヨーク5の連結部5cに形成されたピン用穴(図示せず)に圧入されている。
【0022】
マグネット6は、第1のヨーク5の内側に接着固定された板状磁石である。マグネット6は、第1のヨーク5の側壁5a,5bのうち開口部A側の側壁5aの内面に沿って配置されている。
【0023】
コイル8は、レンズ枠9と一体に固定され、マグネット6との協働でレンズ枠9を光軸C方向に駆動させる空芯コイルである。このコイル8には、レンズ枠9のコイル固定部9bが被せられた状態で接着固定されている(図4参照)。コイル8及びコイル固定部9bの空芯部Pには、第1のヨーク5の側壁5a及びマグネット6が挿通されている。コイル8及びコイル固定部9bは、第1のヨーク5の側壁5a及びマグネット6に沿ってレンズNの光軸方向に移動する。
【0024】
第2のヨーク7は、第1のヨーク5の先端側に配置された板状の部材である。第2のヨーク7は、第1のヨーク5の先端側で側壁5a、5bを連結するように配置されている。板状の第2のヨーク7の側面には、第1のヨーク5の側壁5a、5bの先端と噛み合うように凹凸が形成され、これらの凹凸が噛み合った状態で第2のヨーク7と第1のヨーク5とが固定されている。
【0025】
また、ベース部材2には、レンズ枠9を視認するための視認用孔Bが形成されている。視認用孔Bは、光軸C方向でベース部材2を貫通する貫通孔である。視認用孔Bは、開口部Aから見てヨーク用溝15の反対側に形成されている。この視認用孔Bを通じて、ベース部材2の背面から前面のレンズ枠9の位置を視認することができる。このような視認用孔Bを備えることで、レンズ鏡筒Tの内部にレンズ駆動装置1を取り付けた後であっても、レンズ枠9の位置調整が行い易くなり、作業効率を向上させることができる。
【0026】
図1〜図3に示されるように、FPC10は、レンズ駆動装置1と他の装置との間で電気信号を伝達するための回路基板である。FPC10は、フォトリフレクタ11と接続されている。FPC10は、接続部10a、連絡部10b、折り返し部10c、及びターミナル10dを有している。
【0027】
接続部10aは、レンズ枠9に固定されたフォトリフレクタ11と接続された部位である。接続部10aは、レンズ枠9のPR保持部9gの外側に設けられ、内部のフォトリフレクタ11の背面に接続されている。連絡部10bは、接続部10aと折り返し部10cとを繋ぐ部位である。連絡部10bの接続部10a側は、レンズ枠9の表面に形成されたFPC用溝9f内に配置されている(図4参照)。連絡部10bの折り返し部10c側は、レンズ枠9のFPC用貫通孔9eを通じてレンズ枠9の裏側に至り、ベース部材2上のFPC用溝17内に入り込んでいる。
【0028】
折り返し部10cは、ベース部材2のFPC支持部16に支持された部位である。折り返し部10cは、ベース部材2から光軸C方向に起立した板状のFPC支持部16に掛けられている(図5参照)。折り返し部10cは、FPC支持部16の先端で折り返され、ベース部材2の裏側に至っている。ターミナル10dは、ベース部材2の裏側で他の装置と接続される部位である。FPC10は、ベース部材2に対して固定されておらず、レンズ枠9と一体に移動する。
【0029】
図1、図3、及び図7に示されるように、フォトリフレクタ11は、レンズ枠9の位置検出を行う直方体状の検出器である。フォトリフレクタ11は、ベース部材2上の反射部18と協働でレンズ枠9の位置検出を行う。フォトリフレクタ11と反射部18とは、レンズ枠9の位置検出部Hを構成する。
【0030】
反射部18は、ベース部材2上で光軸C方向に立設された厚板状の立設片である。反射部18は、フォトリフレクタ11の光を反射するための反射用平面18aを有している。反射用平面18aは、レンズNの光軸Cに対して傾斜して設けられている。反射用平面18aは、ベース部材2から離れるほど光軸Cに接近する方向に傾斜している。このような反射用平面18aは、例えばアルミ蒸着などの金属コーティングや金属板の接着により形成される。
【0031】
フォトリフレクタ11は、反射部18の反射用平面18aに光を照射する投光部と反射用平面18aに反射された光を受光する受光部とを有している(いずれも図示せず)。また、フォトリフレクタ11は、投受光面11aが反射用平面18aと対面するように配置されている。すなわち、フォトリフレクタ11は、投受光面11aが反射用平面18aと平行になるように配置されている。
【0032】
この位置検出部Hでは、レンズ枠9の位置に応じてフォトリフレクタ11の投受光面11aと反射部18の反射用平面18aとの距離が変わることから、フォトリフレクタ11により投受光面11aと反射用平面18aとの距離を検出することで、レンズ枠9の位置検出を行うことができる(図7及び図10参照)。
【0033】
このような構成を有するレンズ駆動装置1では、反射部18の反射用平面18aが光軸Cに対して傾斜しているので、フォトリフレクタ11の投受光面11aと反射用平面18aとの距離はレンズ枠9の位置に応じて連続的に変化する。また、反射用平面18aは傾斜が一定の平面であることから反射用平面18aと投受光面11aとの距離からレンズ枠9の位置を特定することができる。従って、このレンズ駆動装置1によれば、フォトリフレクタ11により反射用平面18aとの距離を検出することで、検出距離に対応するレンズ枠9の位置を精密に特定できるので、高精度かつ高分解能のレンズ位置検出を行うことができる。
【0034】
また、このレンズ駆動装置1によれば、フォトリフレクタ11によりレンズ枠9の移動距離を直接検出する場合と比べて、フォトリフレクタ11と反射用平面18aとを光軸C方向で対向させる必要がないので、光軸C方向で装置の小型化を図ることができる。
【0035】
更に、このレンズ駆動装置1では、フォトリフレクタ11によりレンズ枠9の移動距離を直接検出する場合と比べて、フォトリフレクタ11に求められる距離検出範囲を小さくできる。このことは、フォトリフレクタ11の小型化及び低コスト化に有利である。
【0036】
また、このレンズ駆動装置1では、投受光面11aと反射用平面18aとを対面させる構成を採用することにより、対面させない場合と比べてフォトリフレクタによる光の投受光を確実に行うことができ、フォトリフレクタの検出精度の向上を図ることができる。
【0037】
また、このレンズ駆動装置1によれば、レンズ枠9に反射部18を設ける場合と比べて、レンズ枠9の移動範囲に対応するためにフォトリフレクタ11をベース部材2から離れた位置に配置する必要がないので、構造の簡素化を図ることができ、装置の小型化に有利である。また、フォトリフレクタ11を離れた位置で支持する必要がないので、フォトリフレクタ11の検出精度を確保できると共に装置の耐久性の向上が図られる。
【0038】
次に、レンズ駆動装置1におけるレンズ位置検出の制御について説明する。
【0039】
図6〜図8は、レンズ枠9がカメラ停止位置にある状態を示す図である。カメラ停止位置とは、カメラの電源がOFFの場合のレンズ枠9の位置であり、レンズ枠9の初期位置である。また、このカメラ停止位置にレンズ枠9が位置する場合には、レンズ鏡筒Tはカメラ本体に格納された沈胴状態となっている。図9〜図11は、レンズ枠9がストッパ位置にある状態を示す図である。ストッパ位置とは、レンズ枠9が、第1及び第2のガイドシャフト3,4の第1及び第2のストッパ3a,4aに当接している位置であり、レンズ枠9の移動範囲の限界位置である。
【0040】
図6〜図11に示されるように、レンズ駆動装置1では、カメラの電源がONになると、ボイスコイル型モータVの駆動により、レンズ枠9がカメラ停止位置からフォーカスエリアFまで駆動される。フォーカスエリアFとは、撮像対象にフォーカスするために利用されるレンズ位置検出エリアである。レンズ駆動装置1は、カメラの撮像対象にフォーカスするようにレンズNの位置をフォーカスエリアF内で調整する。
【0041】
前述したレンズ駆動装置1にあっては、撮像装置(例えばデジタルカメラなど)の一部に組み込まれて利用されるが、撮像装置の落下衝撃に耐え得る構造が採用され、これについて以下に説明する。
【0042】
図12に示されるように、ベース部材2における第1及び第2のガイドシャフト3,4の基端の周囲と、レンズ枠9における第1及び第2のガイド孔9c,9dの一方の開口側の周囲とで、衝撃吸収部20が構成されている。
【0043】
衝撃吸収部20は、レンズ枠9における第1のガイド孔9cの一方の開口側の周囲に設けられた第1の当接面S1と、ベース部材2における第1のガイドシャフト3の基端の周囲に設けられた第1の被当接面R1と、レンズ枠9における第2のガイド孔9dの一方の開口側の周囲に設けられた第2の当接面S2と、ベース部材2における第2のガイドシャフト4の基端の周囲に設けられた第2の被当接面R2と、で構成されている。そして、第1の被当接面R1に対する第1の当接面S1の当接と、第2の被当接面R2に対する第2の当接面S2の当接とは、同時に行われる(図13参照)。
【0044】
衝撃吸収部20として、更に、レンズ枠9における第1のガイド孔9cの他方の開口側の周囲には、第1の当接面S1に対向する第3の当接面S3が設けられ、第1のガイドシャフト3の先端に設けられた第1のストッパ3aには第3の被当接面R3が形成され、レンズ枠9における第2のガイド孔9dの他方の開口側の周囲には第2の当接面S2に対向する第4の当接面S4が設けられ、第2のガイドシャフト4の先端に設けられた第2のストッパ4aには第4の被当接面R4が形成されている。そして、第3の被当接面R3に対する第3の当接面S3の当接と、第4の被当接面R4に対する第4の当接面S4の当接とは、同時に行われる(図10及び図11参照)。
【0045】
撮像装置の落下衝撃により、強制的にガイドシャフト3,4に沿ってレンズ枠9が移動させられ、レンズ枠9がベース部材2に衝突させられるが、このときに発生するレンズ枠9の変形は、前述した構成の衝撃吸収部20により確実に防止される。これに伴って、レンズ枠9に固定されたレンズNに歪みなどが発生し難く、レンズNに光軸のズレが発生するのを確実に防止することができる。また、落下衝撃により、第1及び第2のストッパ3a,4aにレンズ枠9が衝突した際でも同様の効果を奏す。従って、落下衝撃時にレンズ枠9がガイドシャフト3,4に沿って前進又は後退の何れの方向に移動しても、簡単な構成でしかも確実にレンズ枠9の変形を防止することができる。しかも、このような構成は、レンズ駆動装置1の小型化や軽量化に寄与する。
【0046】
本発明は、前述した実施形態に限定されないことは言うまでもない。
【0047】
例えば、図14に示されるように、衝撃吸収部30は、衝撃吸収材からなる別の部材として、レンズ枠9の第1及び第2のガイド孔9c,9dの一方及び他方の開口側の周囲に固着させられている。なお、衝撃球種部30は、ベース部材2のガイドピン3,4の基端の周囲及び第1及び第2のストッパ3a,4aに固着させられてもよい。このような構成を採用すると、レンズ枠9及びベース部材2の成形精度を上げることなく、撮像装置の落下衝撃によるレンズ枠9の変形を容易に防止することができる。
【0048】
また、本発明に係るレンズ駆動装置1が適用される撮像装置としては、デジタルカメラ、フィルム式カメラの他、撮像機能付きの携帯電話機や携帯用パーソナルコンピュータ、PDAなどの携帯情報端末機なども利用可能である。
【符号の説明】
【0049】
1…レンズ駆動装置 2…ベース部材 3…第1のガイドシャフト 4…第2のガイドシャフト 3a…第1のストッパ 4a…第2のストッパ 9…レンズ枠 9c…第1のガイド孔 9d…第2のガイド孔 20,30…衝撃吸収部 S1…第1の当接面 S2…第2の当接面 S3…第3の当接面 S4…第4の当接面 R1…第1の被当接面 R2…第2の被当接面 R3…第3の被当接面 R4…第4の被当接面 C…光軸 H…位置検出部(位置検出手段) N…フォーカスレンズ T…鏡筒 V…ボイスコイル型モータ(駆動手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
鏡筒内側に配置されるベース部材と、レンズを保持すると共に前記レンズの光軸方向で前記ベース部材に対して移動可能に設けられたレンズ枠と、前記レンズ枠を移動させる駆動手段と、前記レンズ枠の位置を検出する位置検出手段と、を備えたレンズ駆動装置において、
前記ベース部材には、前記レンズ枠の移動を案内する第1及び第2のガイドシャフトが立設され、前記レンズ枠には、前記第1及び第2のガイドシャフトが貫通する第1及び第2のガイド孔がそれぞれ形成され、
前記ベース部材における前記第1及び第2のガイドシャフトの基端の周囲と、前記レンズ枠における前記第1及び第2のガイド孔の一方の開口側の周囲とで、衝撃吸収部が構成されていることを特徴とするレンズ駆動装置。
【請求項2】
前記衝撃吸収部は、
前記レンズ枠における前記第1のガイド孔の前記一方の開口側の周囲に設けられた第1の当接面と、
前記ベース部材における前記第1のガイドシャフトの基端の周囲に設けられた第1の被当接面と、
前記レンズ枠における前記第2のガイド孔の前記一方の開口側の周囲に設けられた第2の当接面と、
前記ベース部材における前記第2のガイドシャフトの基端の周囲に設けられた第2の被当接面と、で構成され、
前記衝撃吸収部における前記第1の当接面と前記第2の当接面は、前記第1の被当接面と前記第2の被当接面に対して同時に当接することを特徴とする請求項1に記載のレンズ駆動装置。
【請求項3】
前記レンズ枠における前記第1のガイド孔の他方の開口側の周囲には、前記第1の当接面に対向する第3の当接面が設けられ、前記第1のガイドシャフトの先端に設けられた第1のストッパには第3の被当接面が形成され、前記レンズ枠における前記第2のガイド孔の他方の開口側の周囲には、前記第2の当接面に対向する第4の当接面が設けられ、前記第2のガイドシャフトの先端に設けられた第2のストッパには第4の被当接面が形成され、
前記第3の当接面と前記第4の当接面は、前記第3の被当接面と前記第4の被当接面に対して同時に当接することを特徴とする請求項2に記載のレンズ駆動装置。
【請求項4】
前記衝撃吸収部は、衝撃吸収材からなる別の部材として、前記レンズ枠と前記ベース部材との少なくとも一方に固着させられていることを特徴とする請求項1に記載のレンズ駆動装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2013−97325(P2013−97325A)
【公開日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−242667(P2011−242667)
【出願日】平成23年11月4日(2011.11.4)
【出願人】(000001225)日本電産コパル株式会社 (755)
【Fターム(参考)】