説明

レーザ着火式点火具

【課題】より小型で、より低価格であり、且つより安全なレーザ着火式点火具を提供する。
【解決手段】偏光性を有した状態で入力されたレーザ光LBを平行光に変換するレンズであるコリメートレンズ31と、平行光に変換されたレーザ光LBを集光するレンズである集光レンズ32と、集光されたレーザ光LBの焦点近傍に配置された点火薬42と、偏光性を有するレーザ光LBの透過と遮断を制御可能であるとともにレーザ光LBが入力される位置から点火薬に至る経路中のいずれかの位置に配置されるシャッタ部材70と、が収容されている、レーザ着火式点火具。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レーザ光を用いて点火薬に着火するレーザ着火式点火具に関し、安全装置を備えたレーザ着火式点火具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、ロケットモータやガスジェネレータ用イグナイタ等、爆発性火工品の点火用として、白金線や抵抗体に電流を流して発熱させて点火薬を発火させる点火具が利用されている。
そして近年では、より確実に点火するために、レーザ光を用いた、種々のレーザ着火式点火具が提案されており、更に、種々の安全装置を備えたレーザ着火式点火具が提案されている。
例えば特許文献1に記載された従来技術では、回転可能に構成されて種々の方向に着火用のレーザ光を反射可能な方向制御装置と、方向制御装置に向けてレーザ光を出射可能なレーザ発振装置と、方向制御装置に向かう側に受光面を向けた単数または複数の光ファイバと、を備えている。そして方向制御装置を制御することで、選択された光ファイバに向けてレーザ光を反射して伝送する、レーザ着火火工品用セーフアーム装置が開示されている。
また特許文献2に記載された従来技術では、光ファイバを収容して光ファイバ端面にレンズが設けられた光ファイバコネクタフェルールを2つ用意して、スリーブの両側から対向するように且つ所定間隔を設けて光ファイバコネクタフェルールの先端部をスリーブ内に固定している。そして一方の光ファイバコネクタフェルールの先端部と他方の光ファイバコネクタフェルールの先端部との間におけるスリーブ部分にシャッタ挿入用穴を穿孔し、当該シャッタ挿入用穴にシャッタ部材を出し入れすることで、レーザ光の伝送と遮断を行うことができる、レーザ着火火工品用セーフアーム装置が開示されている。
また特許文献3に記載された従来技術では、MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)シャッタを用いて、所望の時間や所望の位置で爆発させることができる、起爆制御された砲弾のための起爆器が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−118443号公報
【特許文献2】特開平08−303300号公報
【特許文献3】特許第4652831号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載された従来技術では、レーザ光を反射する方向制御装置は、反射鏡と回転駆動部を有しており、装置が大型化する。また、方向制御装置の反射角度の位置決めを高精度に行うことができるガイドやストッパ等が必要であり、装置が大型化する。
また特許文献2に記載された従来技術では、シャッタ部材を機械的に出し入れする必要があるのでシャッタ部材を出し入れするモータ等の駆動装置が必要であり、大型化する。
また特許文献3に記載された従来技術では、MEMSシャッタを用いており、比較的高価である。
本発明は、このような点に鑑みて創案されたものであり、より小型で、より低価格であり、且つより安全なレーザ着火式点火具を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するため、本発明に係るレーザ着火式点火具は次の手段をとる。
まず、本発明の第1の発明は、偏光性を有した状態で入力されたレーザ光を平行光に変換するレンズであるコリメートレンズと、平行光に変換された前記レーザ光を集光するレンズである集光レンズと、集光された前記レーザ光の焦点近傍に配置された点火薬と、偏光性を有する前記レーザ光の透過と遮断を制御可能であるとともに前記レーザ光が入力される位置から前記点火薬に至る経路中のいずれかの位置に配置されるシャッタ部材と、が収容されている、レーザ着火式点火具である。
【0006】
この第1の発明では、入射されたレーザ光の偏光性を保持する光ファイバ(例えば偏波保持ファイバ)等から入力されたレーザ光を、コリメートレンズと集光レンズを用いて焦点位置に集光してエネルギー密度を高め、当該集光位置に点火薬を配置する。
これにより、例えば比較的出力の低いレーザ光を入力しても確実に着火することができる、より小型で安価、且つ一体型のレーザ着火式点火具を構成することができる。
また、偏光性を有するレーザ光を入力し、点火薬までの経路中にレーザ光の遮断と透過を制御可能なシャッタ部材を設けることで、より安全なレーザ着火式点火具を実現することができる。
【0007】
次に、本発明の第2の発明は、偏光性を有するレーザ光を発生するレーザ発振装置と、前記レーザ光を平行光に変換するレンズであるコリメートレンズと、平行光に変換された前記レーザ光を集光するレンズである集光レンズと、集光された前記レーザ光の焦点近傍に配置された点火薬と、偏光性を有する前記レーザ光の透過と遮断を制御可能であるとともに前記レーザ発振装置から前記点火薬に至る経路中のいずれかの位置に配置されるシャッタ部材と、が収容されている、レーザ着火式点火具である。
【0008】
この第2の発明によれば、偏光性を有するレーザ光を発生するレーザ発振装置を内蔵し、発生させたレーザ光を、コリメートレンズと集光レンズを用いて焦点位置に集光してエネルギー密度を高め、当該集光位置に点火薬を配置する。
これにより、例えば比較的出力の低いレーザ発振装置を用いても確実に着火することができる、より小型で安価、且つ一体型のレーザ着火式点火具を構成することができる。
また、レーザ発振装置から点火薬までの経路中にレーザ光の遮断と透過を制御可能なシャッタ部材を設けることで、より安全なレーザ着火式点火具を実現することができる。
【0009】
次に、本発明の第3の発明は、上記第1の発明または第2の発明に係るレーザ着火式点火具であって、前記シャッタ部材は、前記コリメートレンズと前記集光レンズの間に配置されている。
【0010】
この第3の発明によれば、レーザ光のエネルギー密度が最も低い位置(レーザ光のビーム径が最も大きい位置)にシャッタ部材を配置するので、レーザ光の透過時におけるエネルギーロスを抑制することができるとともに、レーザ光の遮断時におけるシャッタ部材の焼損を防止することができる。
【0011】
次に、本発明の第4の発明は、上記第1の発明〜第3の発明のいずれか1つに係るレーザ着火式点火具であって、前記コリメートレンズと前記集光レンズは、いずれも略球体のボールレンズである。
【0012】
この第4の発明によれば、焦点距離が比較的短く、且つ安価な球状のボールレンズを使用することで、より小型化することが可能な、比較的安価なレーザ着火式点火具を実現することができる。
また、ボールレンズは、レンズ中心をレーザ光の光軸上に配置するだけで良く、特にレンズの光軸の傾きを意識する必要がないので、組み付け性が良い。
【0013】
次に、本発明の第5の発明は、上記第1の発明〜第3の発明のいずれか1つに係るレーザ着火式点火具であって、前記コリメートレンズは略球体のボールレンズであり、前記集光レンズにおいて、前記コリメートレンズの側は球面に形成されており、前記コリメートレンズと反対の側は前記レーザ光の光軸に直交する平面である点火薬側平面が形成されている。
【0014】
この第5の発明によれば、より大きな屈折率を有する集光レンズを用いて、光軸方向における集光レンズの厚さをより薄くすることができるので、レーザ着火式点火具をより小型にすることができる。
【0015】
次に、本発明の第6の発明は、上記第5の発明に係るレーザ着火式点火具であって、前記点火薬側平面と前記点火薬との間には、前記レーザ光が透過可能であるとともに略平板状である平板状透過部材が配置されている。
【0016】
この第6の発明によれば、平板状透過部材を用いることで、集光レンズの焦点距離の長さ等を調節することができるので、便利である。
【0017】
次に、本発明の第7の発明は、上記第1の発明〜第6の発明のいずれか1つに係るレーザ着火式点火具であって、前記平板状透過部材を有している場合、前記点火薬は、前記レーザ光の光軸上であって前記点火薬に対向している前記平板状透過部材の表面に接する位置に配置され、前記レーザ光の光軸上であって前記点火薬における前記平板状透過部材の側の表面の近傍が前記レーザ光の焦点位置となるように前記集光レンズと前記平板状透過部材が構成されている。
また、前記平板状透過部材を有していない場合、前記点火薬は、前記レーザ光の光軸上であって前記点火薬に対向している前記集光レンズの表面に接する位置に配置され、前記レーザ光の光軸上であって前記点火薬における前記集光レンズの側の表面の近傍が前記レーザ光の焦点位置となるように前記集光レンズが構成されている。
【0018】
この第7の発明によれば、点火薬を集光レンズまたは平板状透過部材に接触する位置に配置するので、点火薬の装填位置の位置決めが容易である。
また、点火薬を球面に装填するのでなく平面に装填することができるので、点火薬の装填が容易である。更に、点火薬を圧縮しながら装填する場合、球面でなく平面に装填するので、容易に点火薬の圧力を均一にすることができる。
【0019】
次に、本発明の第8の発明は、上記第1の発明〜第6の発明のいずれか1つに係るレーザ着火式点火具であって、前記平板状透過部材を有している場合、前記点火薬は、前記レーザ光の光軸上であって前記点火薬に対向している前記平板状透過部材の表面から前記光軸に沿って所定距離だけ離れた位置に配置され、前記レーザ光の光軸上であって前記点火薬における前記平板状透過部材の側の表面の近傍が前記レーザ光の焦点位置となるように前記集光レンズと前記平板状透過部材が構成されており、前記平板状透過部材と前記点火薬との間には空間が形成されている。
また、前記平板状透過部材を有していない場合、前記点火薬は、前記レーザ光の光軸上であって前記点火薬に対向している前記集光レンズの表面から前記光軸に沿って所定距離だけ離れた位置に配置され、前記レーザ光の光軸上であって前記点火薬における前記集光レンズの側の表面の近傍が前記レーザ光の焦点位置となるように前記集光レンズが構成されており、前記集光レンズと前記点火薬との間には空間が形成されている。
【0020】
この第8の発明によれば、集光レンズの焦点位置を、集光レンズ(あるいは平板状透過部材)から離れた位置に設定するので、集光されたレーザ光のエネルギーが集光レンズまたは平板状透過部材に伝導されて低下することを防止することができる。
【0021】
次に、本発明の第9の発明は、上記第1の発明〜第6の発明のいずれか1つに係るレーザ着火式点火具であって、前記平板状透過部材を有している場合、前記点火薬は、前記レーザ光の光軸上であって前記点火薬に対向している前記平板状透過部材の表面から前記光軸に沿って所定距離だけ離れた位置に配置され、前記レーザ光の光軸上であって前記点火薬における前記平板状透過部材の側の表面の近傍が焦点位置となるように前記集光レンズと前記平板状透過部材が構成されており、前記平板状透過部材と前記点火薬との間は前記レーザ光が透過可能であるとともに断熱性を有する断熱透過部材にて埋められている。
また、前記平板状透過部材を有していない場合、前記点火薬は、前記レーザ光の光軸上であって前記点火薬に対向している前記集光レンズの表面から前記光軸に沿って所定距離だけ離れた位置に配置され、前記レーザ光の光軸上であって前記点火薬における前記集光レンズの側の表面の近傍が前記レーザ光の焦点位置となるように前記集光レンズが構成されており、前記集光レンズと前記点火薬との間は前記レーザ光が透過可能であるとともに断熱性を有する断熱透過部材にて埋められている。
【0022】
この第9の発明によれば、集光レンズの焦点位置を、集光レンズ(あるいは平板状透過部材)から離れた位置に設定するので、集光されたレーザ光のエネルギーが集光レンズまたは平板状透過部材に伝導されて低下することを防止することができる。また、集光レンズと点火薬との間を、レーザ光を透過するとともに断熱性を有する断熱透過部材で埋めることで、レーザ光のエネルギーロスを抑制するとともに点火薬の位置決めも容易なレーザ着火式点火具を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】(A)は、レーザダイオード20を内蔵したレーザ着火式点火具1を構成する各部材を説明する斜視図であり、(B)は、各部材を組み付けたレーザ着火式点火具1をレーザ光LBの光軸ZLに沿って切断した断面図である。
【図2】(A)は、光ファイバ80からレーザ光を入力するレーザ着火式点火具1Aを構成する各部材を説明する斜視図であり、(B)は、各部材を組み付けたレーザ着火式点火具1Aをレーザ光LBの光軸ZLに沿って切断した断面図である。
【図3】レーザダイオード20から出射されたレーザ光LBを点火薬42に集光するコリメートレンズ31、集光レンズ32、シャッタ部材70の構造の例を説明する図であり、点火薬42と集光レンズ32(または平板状透過部材33)とが接触するように点火薬42を配置した例を説明する図である。
【図4】レーザダイオード20から出射されたレーザ光LBを点火薬42に集光するコリメートレンズ31、集光レンズ32、シャッタ部材70の構造の例を説明する図であり、点火薬42と集光レンズ32(または平板状透過部材33)との間に所定距離D2の空間が形成されている例を説明する図である。
【図5】レーザダイオード20から出射されたレーザ光LBを点火薬42に集光するコリメートレンズ31、集光レンズ32、シャッタ部材70の構造の例を説明する図であり、点火薬42と集光レンズ32(または平板状透過部材33)との間の所定距離D2が断熱透過部材41にて埋められている(充填されている)例を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下に本発明を実施するための形態を、図面を用いて説明する。
●[レーザダイオード20を内蔵したレーザ着火式点火具1の全体構成(図1)]
まず図1(A)及び(B)を用いて、レーザ着火式点火具1の一実施の形態の全体構成について説明する。図1(A)及び(B)に示す例は、偏光性を有するレーザ光を発生させるレーザダイオード20を内蔵した例を示している。
レーザ着火式点火具1は、ダイオードホルダ61、レーザダイオード20(レーザ発振装置に相当)、コリメートレンズ31、シャッタ部材70、集光レンズ32、スペーサ11、断熱透過部材41、点火薬42、点火薬ホルダ62、主装薬50、キャップ63等がケース10内に収容されて構成されている。ケース10内の一方端(図1では左側端部)にレーザダイオード20が収容され、レーザダイオード20のレーザ光出力窓の軸線である光軸ZL上に、コリメートレンズ31とシャッタ部材70と集光レンズ32と点火薬42が収容されている。
また、後述する図3、図4の例に示すように、断熱透過部材41は省略しても良い。
【0025】
レーザダイオード20は、端子20Aに電源が供給されると発光部Fsからレーザ光LBを出射する。また本実施の形態では、偏光性を有するレーザ光LBを出射するレーザダイオード20を用いている。なお出射されたレーザ光LBの光軸を光軸ZLにて示す。そしてレーザダイオード20は、ダイオードホルダ61にてケース10に保持されている。
出射されたレーザ光LBは、所定の拡がり角を有して円錐状に拡がるため、コリメートレンズ31と集光レンズ32にて構成されたレンズ群30を用いて、点火薬42の表面近傍に集光される。
コリメートレンズ31は、レーザダイオード20から出射されたレーザ光LBを平行光に変換する。図1(A)及び(B)に示す例では、コリメートレンズ31は略球体のボールレンズであり、レーザダイオード20の発光部Fsまでの距離が焦点距離f1とほぼ一致するように設定されている。
集光レンズ32は、平行光に変換されたレーザ光LBを、点火薬42の表面近傍と光軸ZLとの交点となる集光位置Fgに向けて集光する。図1(A)及び(B)に示す例では、集光レンズ32は略球体のボールレンズであり、集光位置Fgまでの距離が焦点距離f2とほぼ一致するように設定されている。
【0026】
シャッタ部材70は、例えば電気式の液晶シャッタであり、端子70Aに電源が接続され、偏光性を有するレーザ光LBの透過と遮断を制御可能である。シャッタ部材70は、例えば非通電時ではレーザ光LBを遮断し、通電時ではレーザ光LBを透過するように方向が調整されて配置されている。シャッタ部材70としては、例えば電圧で偏光面を制御可能な液晶板に偏光板が接合された一般的な構造のものが使用される。この場合、液晶板は、電圧を印加した場合に偏光板と偏光方向が一致するように設定されており、電圧を印加しない場合に偏光板に対して偏光方向が90度回転するように設定されている。また、偏光性を有するレーザ光LBを出射するレーザダイオード20を用いることで、互いに偏光方向が直交する2枚のシャッタ部材を必要とせず、1枚のシャッタ部材70にてレーザ光LBの透過と遮断を制御しており、高い透過率を確保している。
なお、図1の例ではコリメートレンズ31と集光レンズ32との間にシャッタ部材70を配置しているが、レーザ光の入力位置(この場合、レーザダイオード20の発光部Fs)から点火薬42までのレーザ光LBの経路中であれば、どの位置に配置しても良く、例えば集光レンズ32と点火薬42との間に配置しても良い。しかし、コリメートレンズ31と集光レンズ32との間ではレーザ光LBが平行光となっているので、シャッタ部材70を配置するためにコリメートレンズ31と集光レンズ32との間隔を任意に設定することが可能であり、焦点距離を考慮する必要がない。また、コリメートレンズ31と集光レンズ32の間はレーザ光LBのビーム径が最も大きくエネルギー密度が最も小さいため、レーザ光LBの透過時ではエネルギーロスがより小さく、且つレーザ光LBの遮断時ではシャッタ部材70の焼損を防止することができるので、より好ましい。
安全装置としてシャッタ部材70を設けることで、誤信号でレーザ光LBが発生した場合であっても(光ファイバ等から入力された場合であっても)、点火薬42の着火を防止することが可能であり、安全性を向上させることができる。
またシャッタ部材70は、薄い板状であって電圧で制御できるのでモータ等の駆動装置を必要とせず、レーザ着火式点火具1に内蔵しても、充分に小型化を実現できる。
【0027】
断熱透過部材41は、レーザ光LBを透過するとともに断熱性を有する部材であり、点火薬42と集光レンズ32との間を埋めるスペーサの役割を果たす。
点火薬42は、レーザ光LBにて直接的に着火される火薬である。
また、断熱透過部材41と点火薬42は、点火薬ホルダ62にてケース10内に保持されている。
主装薬50は、点火薬42の燃焼によって着火燃焼し、イグナイタとして必要な熱量や多量の熱粒子や破片を発生する火薬成分であり、必要な熱量等に応じて適宜分量が調整される。
ケース10は、例えば耐圧性の金属ケースであり、キャップ63は、例えば樹脂製もしくは金属製である。また、ケース10内には、コリメートレンズ31の径、及び集光レンズ32の径の内径を有するスペーサ11が収容されている。
そして点火薬42と主装薬50の燃焼生成物は、ケース10の他方端(図1では右側端部)のキャップ63を破って噴出する構造を有している。
【0028】
レーザ着火式点火具1は、上記に記載したケース10を除く全ての構成部品がケース10内に収容され、レーザダイオード20の端子20Aとシャッタ部材70の端子70Aに電源を接続するだけで良いので、取り扱いが容易である。
なお、レーザダイオード20は、入手が容易で安価な、近赤外から可視光の波長を有するものが好ましい。そしてレーザ光の出力は、短時間で点火薬を着火するエネルギーが必要であるので、例えば0.2[W]以上、好ましくは0.5[W]以上の出力を有するものが必要である。なお、0.5[W]出力のレーザダイオードであっても、5〜6[mm]程度の大きさであり、充分小型である。また、高出力のレーザダイオードほど、レーザ照射の開始から着火までの時間が短く、例えば0.5[W]以上であれば、1[ms]以下の短い着火遅れ時間を実現することができる。
【0029】
また点火薬42は、例えば過塩素酸カリウム・ジルコニウム混合物や、硝酸カリウム・ボロン混合物等、一般的な点火具に使用されている点火薬を使用できる。なお、点火薬にカーボンブラックのような黒色の成分を1[%]〜5[%]程度、含有させると、レーザ光LBの吸収率が向上し、比較的低出力のレーザダイオードであっても、着火遅れ時間をより短くすることができるので、好ましい。
また主装薬50としては、例えば硝酸カリウム・ボロン混合物や、過塩素酸カリウム・アルミニウム混合物等、一般的な点火薬成分のものを使用できる。
またレーザ着火式点火具1をデトネータ(起爆装置、雷管等)として使用する場合は、点火薬42として、例えばアジ化鉛やDDNP(ジアゾジニトロフェノール)のような起爆薬を使用し、主装薬としてペンスリットやHMX(オクトーゲン)のような爆薬成分を使用できる。
また断熱透過部材41は、レーザ光LBの透過に伴う減衰の少ない部材であるとともに断熱性を有する部材である。集光レンズ32と点火薬42との間に所定距離D2を設け、その所定距離D2を、この断熱透過部材41にて埋めることで、集光レンズ32の半径、焦点距離、屈折率の設計自由度を向上(後述の(式1)参照)させることができるとともに、点火薬42の位置決めを容易にすることができる。
また断熱透過部材41の材質としては、例えば透明アクリル樹脂のほか、LEDの封止剤に使用されている透明エポキシ樹脂や透明シリコン樹脂等が使用可能である。
【0030】
図1(A)及び(B)に示す例では、コリメートレンズ31と集光レンズ32の双方をボールレンズとしている。ボールレンズは、球体でない一般的な凸レンズと比較して、曲率が大きいため焦点距離が短く、製造も比較的容易で安価である。また、球体であるため、2個使用してもレンズ中心O1、O2を光軸ZLに合致させるだけでレンズ光軸の傾きを意識する必要が無く、光軸調整が容易である。従って、ボールレンズを用いることで、レーザ着火式点火具1の光軸ZL方向の長さをより短くしてより小型化できるとともに、組み付けも容易とすることができる。また、2個のレンズでレーザ光を集光してエネルギー密度を高くするので、小型のレーザダイオードで良く、さらにレーザ着火式点火具1を小型化することができる。
【0031】
次に図1(B)を用いて、コリメートレンズ31と集光レンズ32の焦点距離、屈折率等について説明する。
一般的なレーザダイオード20は、発光部Fsから透過窓面(レーザダイオード表面)までの距離である発光部距離D1は、約1[mm]である。従って、レーザダイオード20の透過窓にコリメートレンズ31を接触させて配置する場合、レンズ表面から焦点までの距離が1[mm]のレンズが好ましいことになる。
ここで、球状のコリメートレンズ31の屈折率をN1、焦点距離をf1、レンズ半径をR1とすると、以下の式が成立する。
焦点距離f1=屈折率N1*レンズ半径R1/[2*(屈折率N1−1)] (式1)
なおこの場合、焦点距離f1=レンズ半径R1+発光部距離D1=2+1=3[mm]である。
上記の(式1)に、焦点距離f1=3[mm]、レンズ半径R1=2[mm]を代入すると、屈折率N1=1.5が算出され、この屈折率1.5程度の材質でコリメートレンズ31を形成する必要があることがわかる。
なお、屈折率N1<1.5の場合は、焦点距離f1が伸びるが、レンズ半径R1を小さくすれば同等の焦点距離にすることができる。例えばレンズ半径R1=1.75[mm]に設定した場合、焦点距離f1=レンズ半径R1+発光部距離D1=1.75+1=2.75[mm]であり、(式1)から屈折率N1≒1.469となる。この場合、コリメートレンズ31のレンズ半径R1をより小さくできるので、レーザ着火式点火具1を、より小型にすることができる。
【0032】
また、集光レンズ32の屈折率をN2、レンズ半径をR2、焦点距離をf2として、レンズ表面から所定距離D2だけ離れた集光位置Fgが焦点となるように集光レンズ32を設計する。例えば所定距離D2=1[mm]、レンズ半径R2=2[mm]、焦点距離f2=レンズ半径R2+所定距離D2=2+1=3[mm]であり、これらを(式1)に代入して、屈折率N2=1.5を得ることができる。この場合、コリメートレンズ31と集光レンズ32を、同一のボールレンズとすることができるので、組み付け時に混同することもなく、容易に組み付けることができる(径は同じだが屈折率が異なる場合は混同しやすく、誤組み付けが発生しやすい)。
なお、レーザ着火式点火具1を、より小型化するためには、集光位置Fgを集光レンズ32の表面により近い位置にすることが好ましい。例えばレンズ半径R2=2[mm]、集光位置Fgがレンズ表面に接する位置となるように焦点距離f2=2[mm]とした場合(所定距離D2=ゼロ)、(式1)より屈折率N2=2を得ることができる。
また例えば、集光位置Fgを集光レンズ32より0.2[mm]離した位置に設定し、レンズ半径R2=1.75[mm]とした場合、(式1)より、屈折率N2≒1.815を得ることができる。
【0033】
●[光ファイバ80からレーザ光を入力するレーザ着火式点火具1Aの全体構成(図2)]
次に図2(A)及び(B)を用いて、レーザ着火式点火具1Aの一実施の形態の全体構成について説明する。図2(A)及び(B)に示す例は、レーザダイオード20を内蔵する代わりに、光ファイバ80からレーザ光を入力する例を示している。この場合、偏光性を有するレーザ光を発生するレーザ発振装置と、偏光特性を保持する偏波保持ファイバ等と、を使用し、レーザ発振装置から出射されるレーザ光の偏光方向と、光ファイバ80(偏波保持ファイバ等)の偏光方向とを一致させている。そして、偏光方向を保持した状態で、レーザ光を光ファイバ80にて伝播させている。
図1の例に示すレーザ着火式点火具1に対して、図2の例に示すレーザ着火式点火具1Aでは、以下の2点が異なる。
(相違点1)レーザダイオード20が省略されてダイオードホルダ61の代わりに光ファイバホルダ61Aが用いられる点。
(相違点2)先端部に嵌合用のコネクタ81が取り付けられた光ファイバ80が光ファイバホルダ61Aに嵌合され、嵌合された光ファイバ80の先端位置が発光部Fsとなる点。
なお、光ファイバ80の先端の発光部Fsから出射されるレーザ光LBは、偏光方向が保持されており、偏光性を有している。
なお、その他の点については、図1の例に示すレーザ着火式点火具1同様であるので、説明を省略する。
【0034】
また、以下に説明する図3〜図5は、図1(B)に示すレーザ着火式点火具1から、レーザダイオード20、コリメートレンズ31、シャッタ部材70、集光レンズ32、点火薬42、断熱透過部材41を抽出しており、レーザダイオード20から出射されたレーザ光LBを点火薬42に集光するコリメートレンズ31、集光レンズ32の種々の構成の例を説明する図である。なお、図1、図3〜図5において、レーザダイオード20は、全て同じものを用いている。
また、図3〜図5には、参考として、図2(B)に示すレーザ着火式点火具1Aから、光ファイバ80、コリメートレンズ31、シャッタ部材70、集光レンズ32、点火薬42、断熱透過部材41を抽出した模式図も記載している。
【0035】
●[レーザダイオード20から出射されたレーザ光LBを点火薬42に集光するコリメートレンズ31、集光レンズ32、シャッタ部材70の構成の例1(図3)]
図3(A)〜(E)に示す例は、断熱透過部材41が省略され、点火薬42を、集光レンズ32(または平板状透過部材33)に接触する位置に配置した例を示している。点火薬42を集光レンズ32(または平板状透過部材33)の表面に接するように充填すれば良いので、点火薬42の装填位置の微調整が不要であり、点火薬42の位置決めが容易である。
【0036】
図3(A)の例は、コリメートレンズ31と集光レンズ32は、球状のボールレンズでなく、一般的な凸レンズを用いている。一般的な凸レンズは、ボールレンズよりも曲率が小さいので、同じ屈折率であれば、焦点距離f11は図1の焦点距離f1よりも長くなり、焦点距離f21は図1の焦点距離f2よりも長くなる。しかし、より大きな屈折率の部材を選定し、より適切なレンズ半径に選定することで、焦点距離f11、f21を短くすることが可能である。レンズが球状でないため(式1)を適用できないが、屈折率、レンズ半径、レンズ面の曲率等を適切に選定することで、集光レンズ32のレンズ表面に集光位置Fgを設定することができる。
【0037】
以下図3(B)〜(E)の例において、コリメートレンズ31はボールレンズであり、図1の例に示したものと同じである。従って、図3(B)〜(E)の例の説明では、集光レンズ32について説明する。
図3(B)の例は、集光レンズ32がボールレンズであり、点火薬42を、集光レンズ32に接触する位置に配置した例を示している。図2(B)の例では、集光レンズ32の焦点距離f22=集光レンズ32の半径R2であり、半径R2=2[mm]とした場合、(式1)より、集光レンズ32の屈折率N2=2が得られる。
【0038】
図3(C)の例では、集光レンズ32は、コリメートレンズ31の側は球面であり、コリメートレンズ31と反対の側(点火薬42と対向する側)は、光軸ZLに直交する平面である点火薬側平面M1が形成されている。図3(C)の例では、焦点距離f23=1.75[mm]、半径R2=2[mm]とした場合、入射面が球面で焦点位置がレンズ表面であるので(式1)を適用可能であり、集光レンズ32の屈折率N2=2.3が得られる。この場合、点火薬42の装填個所が、球面でなく平面になるので、点火薬42の装填作業が容易となる。
この場合、点火薬側平面M1は集光レンズ32の半径R2よりも内側に位置するため、点火薬42の表面に焦点を合わせるためには、屈折率N2>2(好ましくは2.1〜2.2程度)の材質にて集光レンズ32を形成する必要がある。なお、より大きな屈折率を有する集光レンズ32を用いて、光軸方向における集光レンズ32の厚さをより薄くすることができるので、レーザ着火式点火具をより小型にすることができる。
【0039】
図3(D)の例では、集光レンズ32は、コリメートレンズ31の側は球面であり、コリメートレンズ31と反対の側(点火薬42と対向する側)は、光軸ZLに直交する平面である点火薬側平面M1が形成されており、集光レンズ32と点火薬42との間は、レーザ光LBを透過するとともに平板状である平板状透過部材33にて埋められている。例えば集光レンズ32の屈折率N2と、平板状透過部材33の屈折率N3と、を同じ屈折率に設定することで、焦点距離f24を平板状透過部材33の厚さL3だけ延長させることができる。図3(D)の例では、焦点距離f24=2[mm]、半径R2=2[mm]とした場合、(式1)等を参考にして、集光レンズ32の屈折率N2=2が得られる。また、点火薬42の装填個所が平面(平板状透過部材33の点火薬側平面M2)になるので、装填作業が容易である。また、円柱状の平板状透過部材33の底面の半径を集光レンズ32の球面部分の半径R2と同じにすると、ケース10内に収容した集光レンズ32の光軸の傾き(及び平板状透過部材33の光軸の傾き)を抑制することができる。
【0040】
図3(E)の例では、図3(D)の例に対して、集光レンズ32における点火薬側平面M1が集光レンズ32のレンズ中心O2を通る面であり、円柱状の平板状透過部材33の底面の半径が集光レンズ32の球面部分の半径R2と同じである。図3(E)の例では、集光レンズ32の屈折率N2=平板状透過部材33の屈折率N3、焦点距離f25=2[mm]、半径R2=2[mm]とした場合、(式1)等を参考にして、集光レンズ32の屈折率N2=2が得られる。また、点火薬42の装填個所が平面になるので、装填作業が容易である。また、図3(D)の例に対して、平板状透過部材33の厚さD3が、より厚くなるので、ケース10内における集光レンズ32の収まりが良く、光軸の傾きをさらに抑制することができる。
この場合、ハーフボール状の集光レンズ32と平板状透過部材33の屈折率N2、N3をどちらも屈折率=2に設定すると、平板状透過部材33の厚さD3=レンズ半径R2=2[mm]に設定すれば良い。
【0041】
●[レーザダイオード20から出射されたレーザ光LBを点火薬42に集光するコリメートレンズ31、集光レンズ32、シャッタ部材70の構成の例2(図4)]
図4(A)〜(E)に示す例は、断熱透過部材41が省略され、点火薬42と、集光レンズ32(または平板状透過部材33)との間に所定距離D2の空間を有するように点火薬42を配置した例を示している。レンズの材質はガラスのような熱伝導率が比較的高い物質であるので、レンズ表面にレーザ光LBの焦点位置があると、レーザ光LBで点火薬が加熱されてもレンズを通して一部の熱が失われ、着火までの時間が増大する可能性が考えられる。図4(A)〜(E)の例では、点火薬42と集光レンズ32(または平板状透過部材33)との間に所定距離D2の空間があるので、レーザ光のエネルギーが集光レンズ(または平板状透過部材33)に伝導するエネルギーロスを低減することができる。この所定距離D2の空間は、図1に示す点火薬ホルダ62にて形成することができる。また、この所定距離D2は、適宜設定される。
なお、エネルギーロスの低減とレーザ着火式点火具1の小型化を両立する所定距離D2の好ましい距離は、例えば0.2〜0.3[mm]程度である。
【0042】
図4(A)の例は、図3(A)の例に対して、点火薬42の表面の集光位置Fgと集光レンズ32との間に所定距離D2の空間を有するように構成した例を示している。(式1)に基づいて、所定距離D2を含む焦点距離f26、集光レンズ32の半径、集光レンズ32の屈折率N2が適切に設定されている。
【0043】
図4(B)の例は、図3(B)の例に対して、点火薬42の表面の集光位置Fgと集光レンズ32との間に所定距離D2の空間を有するように構成した例を示している。(式1)に基づいて、所定距離D2を含む焦点距離f27、集光レンズ32の半径R2、集光レンズ32の屈折率N2が適切に設定されている。
【0044】
図4(C)の例は、図3(C)の例に対して、点火薬42の表面の集光位置Fgと集光レンズ32との間に所定距離D2の空間を有するように構成した例を示している。集光レンズ32が球体でないので(式1)等を参考にして、所定距離D2を含む焦点距離f28、集光レンズ32の半径R2、集光レンズ32の屈折率N2が適切に設定されている。
【0045】
図4(D)の例は、図3(D)の例に対して、点火薬42の表面の集光位置Fgと集光レンズ32との間に所定距離D2の空間を有するように構成した例を示している。集光レンズ32が球体でないので(式1)等を参考にして、所定距離D2を含む焦点距離f29、集光レンズ32の半径R2、集光レンズ32の屈折率N2が適切に設定されている。なお、平板状透過部材33の屈折率N3と厚さD3を調整することで、焦点距離f29を調整することも可能である。
【0046】
図4(E)の例は、図3(E)の例に対して、点火薬42の表面の集光位置Fgと集光レンズ32との間に所定距離D2の空間を有するように構成した例を示している。集光レンズ32が球体でないので(式1)等を参考にして、所定距離D2を含む焦点距離f2α、集光レンズ32の半径R2、集光レンズ32の屈折率N2が適切に設定されている。なお、平板状透過部材33の屈折率N3と厚さD3を調整することで、焦点距離f2αを調整することも可能である。
例えば図4(E)の例において、集光レンズ32の屈折率N2=平板状透過部材33の屈折率N3=2に設定した場合、平板状透過部材33の厚さD3を、集光レンズ32のレンズ半径R2よりも小さくすれば、所定距離D2を形成することができる。また、平板状透過部材33の厚さD3=レンズ半径R2の場合、集光レンズ32の屈折率N2<2に設定すれば良い。
【0047】
●[レーザダイオード20から出射されたレーザ光LBを点火薬42に集光するコリメートレンズ31、集光レンズ32、シャッタ部材70の構成の例3(図5)]
図5(A)〜(E)に示す例は、図4(A)〜(E)に対して、集光レンズ32と点火薬42との間に設けた所定距離D2の空間を、断熱透過部材41にて埋めた例を示している。断熱透過部材41は、レーザ光LBの透過に伴う減衰の少ない部材であるとともに、断熱性を有する部材である。これにより、図4(A)〜(E)の例と同様、エネルギーロスを低減することができるとともに、点火薬42を装填する際の位置決めが容易である。なお、この所定距離D2は、図1に示す点火薬ホルダ62にて形成しても良いし、断熱透過部材41にて形成しても良い。また、この所定距離D2は、適宜設定される。
【0048】
図5(A)〜(E)に示す例のそれぞれは、図4(A)〜(E)に示す例のそれぞれに対して、所定距離D2を、断熱透過部材41にて埋めたものである。なお、断熱透過部材41には、レーザ光LBの透過性を有する結晶性の透明な火薬や、透明なアクリル樹脂等を用いることも可能であり、透明な火薬を用いた場合、着火時のエネルギーをより大きくすることができる。
なお、断熱透過部材41の屈折率N4は、焦点距離f2A〜f2Eに影響する。
また、図5(B)に示す例は、図1(A)及び(B)に示すレーザ着火式点火具1の構成と同じである。
【0049】
以上に説明したように、レーザダイオード20と点火薬42との間に、コリメートレンズ31と集光レンズ32、あるいはコリメートレンズ31と集光レンズ32と平板状透過部材33、あるいはコリメートレンズ31と集光レンズ32と断熱透過部材41、あるいはコリメートレンズ31と集光レンズ32と平板状透過部材33と断熱透過部材41、の構成とする。これにより、レーザ光LBを点火薬42に集光してエネルギー密度を高めて着火可能であるので、比較的低出力のレーザダイオード20を使用してより低価格に構成することができる。また、レンズ半径、屈折率、レンズ形状を適切に設定することで、より小型化することが可能であるとともに、点火薬42の装填をより容易にすることができる。
またレーザ光の経路中にシャッタ部材70を設けることで、安全性をより向上させることができる。
【0050】
本発明のレーザ着火式点火具1、1Aは、本実施の形態にて説明した外観、構造、構成、形状等に限定されず、本発明の要旨を変更しない範囲で種々の変更、追加、削除が可能である。
また本実施の形態にて説明したレーザ着火式点火具1、1Aは、ロケットモータやガスジェネレータ用イグナイタの他にも、種々の用途に利用することが可能である。
また、本実施の形態の説明に用いた数値は一例であり、この数値に限定されるものではない。
また、以上(≧)、以下(≦)、より大きい(>)、未満(<)等は、等号を含んでも含まなくてもよい。
【符号の説明】
【0051】
1、1A レーザ着火式点火具
10 ケース
11 スペーサ
20 レーザダイオード
30 レンズ群
31 コリメートレンズ
32 集光レンズ
33 平板状透過部材
41 断熱透過部材
42 点火薬
50 主装薬
61 ダイオードホルダ
61A 光ファイバホルダ
62 点火薬ホルダ
63 キャップ
70 シャッタ部材
80 光ファイバ
81 コネクタ
D1 発光部距離
D2 所定距離
Fs 発光部
Fg 集光位置
LB レーザ光
O1、O2 レンズ中心
R1、R2 レンズ半径
f1、f2 焦点距離
ZL 光軸



【特許請求の範囲】
【請求項1】
偏光性を有した状態で入力されたレーザ光を平行光に変換するレンズであるコリメートレンズと、
平行光に変換された前記レーザ光を集光するレンズである集光レンズと、
集光された前記レーザ光の焦点近傍に配置された点火薬と、
偏光性を有する前記レーザ光の透過と遮断を制御可能であるとともに前記レーザ光が入力される位置から前記点火薬に至る経路中のいずれかの位置に配置されるシャッタ部材と、
が収容されている、
レーザ着火式点火具。
【請求項2】
偏光性を有するレーザ光を発生するレーザ発振装置と、
前記レーザ光を平行光に変換するレンズであるコリメートレンズと、
平行光に変換された前記レーザ光を集光するレンズである集光レンズと、
集光された前記レーザ光の焦点近傍に配置された点火薬と、
偏光性を有する前記レーザ光の透過と遮断を制御可能であるとともに前記レーザ発振装置から前記点火薬に至る経路中のいずれかの位置に配置されるシャッタ部材と、
が収容されている、
レーザ着火式点火具。
【請求項3】
請求項1または2に記載のレーザ着火式点火具であって、
前記シャッタ部材は、前記コリメートレンズと前記集光レンズの間に配置されている、
レーザ着火式点火具。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか一項に記載のレーザ着火式点火具であって、
前記コリメートレンズと前記集光レンズは、いずれも略球体のボールレンズである、
レーザ着火式点火具。
【請求項5】
請求項1〜3のいずれか一項に記載のレーザ着火式点火具であって、
前記コリメートレンズは略球体のボールレンズであり、
前記集光レンズにおいて、前記コリメートレンズの側は球面に形成されており、前記コリメートレンズと反対の側は前記レーザ光の光軸に直交する平面である点火薬側平面が形成されている、
レーザ着火式点火具。
【請求項6】
請求項5に記載のレーザ着火式点火具であって、
前記点火薬側平面と前記点火薬との間には、前記レーザ光が透過可能であるとともに略平板状である平板状透過部材が配置されている、
レーザ着火式点火具。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか一項に記載のレーザ着火式点火具であって、
前記平板状透過部材を有している場合、前記点火薬は、前記レーザ光の光軸上であって前記点火薬に対向している前記平板状透過部材の表面に接する位置に配置され、前記レーザ光の光軸上であって前記点火薬における前記平板状透過部材の側の表面の近傍が前記レーザ光の焦点位置となるように前記集光レンズと前記平板状透過部材が構成されており、
前記平板状透過部材を有していない場合、前記点火薬は、前記レーザ光の光軸上であって前記点火薬に対向している前記集光レンズの表面に接する位置に配置され、前記レーザ光の光軸上であって前記点火薬における前記集光レンズの側の表面の近傍が前記レーザ光の焦点位置となるように前記集光レンズが構成されている、
レーザ着火式点火具。
【請求項8】
請求項1〜6のいずれか一項に記載のレーザ着火式点火具であって、
前記平板状透過部材を有している場合、前記点火薬は、前記レーザ光の光軸上であって前記点火薬に対向している前記平板状透過部材の表面から前記光軸に沿って所定距離だけ離れた位置に配置され、前記レーザ光の光軸上であって前記点火薬における前記平板状透過部材の側の表面の近傍が前記レーザ光の焦点位置となるように前記集光レンズと前記平板状透過部材が構成されており、前記平板状透過部材と前記点火薬との間には空間が形成されており、
前記平板状透過部材を有していない場合、前記点火薬は、前記レーザ光の光軸上であって前記点火薬に対向している前記集光レンズの表面から前記光軸に沿って所定距離だけ離れた位置に配置され、前記レーザ光の光軸上であって前記点火薬における前記集光レンズの側の表面の近傍が前記レーザ光の焦点位置となるように前記集光レンズが構成されており、前記集光レンズと前記点火薬との間には空間が形成されている、
レーザ着火式点火具。
【請求項9】
請求項1〜6のいずれか一項に記載のレーザ着火式点火具であって、
前記平板状透過部材を有している場合、前記点火薬は、前記レーザ光の光軸上であって前記点火薬に対向している前記平板状透過部材の表面から前記光軸に沿って所定距離だけ離れた位置に配置され、前記レーザ光の光軸上であって前記点火薬における前記平板状透過部材の側の表面の近傍が焦点位置となるように前記集光レンズと前記平板状透過部材が構成されており、前記平板状透過部材と前記点火薬との間は前記レーザ光が透過可能であるとともに断熱性を有する断熱透過部材にて埋められており、
前記平板状透過部材を有していない場合、前記点火薬は、前記レーザ光の光軸上であって前記点火薬に対向している前記集光レンズの表面から前記光軸に沿って所定距離だけ離れた位置に配置され、前記レーザ光の光軸上であって前記点火薬における前記集光レンズの側の表面の近傍が前記レーザ光の焦点位置となるように前記集光レンズが構成されており、前記集光レンズと前記点火薬との間は前記レーザ光が透過可能であるとともに断熱性を有する断熱透過部材にて埋められている、
レーザ着火式点火具。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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