ロッドレンズ、ロッドレンズの加工方法、およびロッドレンズの加工装置
【課題】ロッドレンズに、従来よりも広い画角を与えるようにする技術を提供する。
【解決手段】ロッドレンズの一端側の面を、該ロッドレンズによって得られる画角を広げられるように凹曲面状に形成する。このようなロッドレンズは、熱可塑性の樹脂製のロッドレンズ2であって、従来の製造方法により成形された平滑な端面を有するロッドレンズ2の一端側の平滑面2aを、加熱された型部材の凸曲面に押し付けることで、ロッドレンズ2の平滑な一端側の面2aを凸曲面に対応する凹曲面状に加工することにより得ることができる。
【解決手段】ロッドレンズの一端側の面を、該ロッドレンズによって得られる画角を広げられるように凹曲面状に形成する。このようなロッドレンズは、熱可塑性の樹脂製のロッドレンズ2であって、従来の製造方法により成形された平滑な端面を有するロッドレンズ2の一端側の平滑面2aを、加熱された型部材の凸曲面に押し付けることで、ロッドレンズ2の平滑な一端側の面2aを凸曲面に対応する凹曲面状に加工することにより得ることができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ロッドレンズ、ロッドレンズの加工方法、およびロッドレンズの加工装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ロッドレンズは、その端面が平らに形成されている円柱形状のレンズである。このロッドレンズによって得られる画角を広げるためには、ロッドレンズの端部に屈折率変化量(Δn)の大きなレンズを取り付けることが一般的である。
しかし、このようなレンズの取り付け作業は非常に手間とコストがかかる。このことから、レンズの取り付けを必要としない、広い画角を有するロッドレンズが必要とされている。
【0003】
本願発明者はより広い画角を備えるロッドレンズを得るべく研究を重ね、以下の発明を想到するに至った。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、ロッドレンズに、従来よりも広い画角を与えるようにする技術を提供することをその課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上述の課題を解決するための本願発明は、以下のようなものである。
すなわち、本願発明のロッドレンズは、円筒形に成形されたロッドレンズであって、その一端側の面が、前記ロッドレンズによって得られる画角を広げられるように凹曲面状に形成されてなるロッドレンズである。
このようなロッドレンズによれば、その一端側の面が、ロッドレンズによって得られる画角を広げられるように凹曲面状に形成されているため、画角を広げるためのレンズを取り付ける必要がなく、このような画角を広げるためのレンズの取り付けに必要な手間とコストを削減することができる。
なお、ロッドレンズは照明に用いられる場合があるが(場合によっては、一本のロッドレンズが撮像と照明に用いられる場合もある)、画角の大きなロッドレンズは、広い立体角での照明を行える。つまり、本発明のロッドレンズは、他のレンズを用いずとも広い立体角での照明を得ることができる。
本願発明におけるロッドレンズは、グレーテッドインデックスタイプのものでもよいし、ステップインデックスタイプ(マルチモードのステップインデックスタイプを含む)のものでもよい。
【0006】
上記ロッドレンズは、熱可塑性の樹脂により形成されていてもよい。ロッドレンズはガラスにより形成することもできるが、ガラス製のロッドレンズは折れやすいためその一端側の平滑面を凹曲面状に加工しにくいのに対し、熱可塑性の樹脂により形成したロッドレンズは加熱することで任意の形状に加工することができるため、ロッドレンズによって得られる画角を広げられるようにその一端側の平滑面を凹曲面状に加工しやすい。すなわち、熱可塑性を有する樹脂製のロッドレンズであれば、従来の方法により成形され、平滑な端面を有する一般的なロッドレンズの一端側の平滑面を凹曲面状に加工し易い。
【0007】
以上の本発明のロッドレンズは、例えば、円筒形に成形され、熱可塑性の樹脂により形成されたロッドレンズの一端側の平滑面を凹曲面状に加工する、本発明のロッドレンズの加工方法によって形成することができる。このロッドレンズの加工方法では、加熱された型部材の凸曲面と、前記ロッドレンズの一端側の平滑面とを押し付け合うことで、前記ロッドレンズの一端側の平滑面を前記凸曲面に対応する凹曲面状に加工する。
このように、加熱された型部材の凸曲面と熱可塑性を有する樹脂製のロッドレンズの一端側の平滑面とを押し付け合うようにすれば、型部材の熱により軟化したロッドレンズの平滑面に型部材の凸曲面と対応する凹曲面を転写することができるため、上述したように、一般的なロッドレンズの一端側の平滑面を凹曲面状に加工することができる。
【0008】
前記ロッドレンズまたは前記型部材の少なくとも一方を動かし、前記ロッドレンズの一端側の平滑面と加熱された前記型部材の前記凸曲面とを押し付け合うようにしてもよい。すなわち、ロッドレンズと型部材のいずれか一方の部材を動かして固定した状態の他方の部材に押し付けるようにしてもよいし、両者を動かして押し付け合うようにしてもよい。
【0009】
また、接触させることにより対象物を加熱することができる熱源により前記型部材を加熱し、加熱した型部材の凸曲面と前記ロッドレンズの一端側の平滑面とを押し付け合った後、前記ロッドレンズおよび前記型部材を前記熱源と離反させ、前記型部材を前記ロッドレンズから取り外しても前記ロッドレンズの凹曲面の形状に影響を与えない程度に前記ロッドレンズが硬化した後、前記ロッドレンズから前記型部材を取り外すようにすることができる。
型部材をロッドレンズから取り外してもロッドレンズの凹曲面の形状に影響を与えない程度にロッドレンズが硬化した後にロッドレンズから型部材を取り外すようにすれば、ロッドレンズに転写した凹曲面の乱れを防ぐことができる。また、ロッドレンズを硬化させるためにはロッドレンズに加えて加熱された型部材を冷やす必要がある。ロッドレンズと型部材を迅速に冷やすにはこれらを熱源から引き離せるようになっている必要があるが、本発明においては、接触させることにより対象物を加熱することができる熱源を用いており、加熱した型部材の凸曲面とロッドレンズの一端側の平滑面とを押し付け合った後にロッドレンズおよび型部材を熱源と離反させるようになっているため、加熱された型部材を迅速に冷やすことができる。
【0010】
その内径が前記ロッドレンズの外径と略等しくなるように構成された円筒形の内面を有しており、その軸線が前記凸曲面の軸と一致するガイド部材の前記内面に沿って前記ロッドレンズを動かして前記型部材に押し付け、この押し付けの後、前記ロッドレンズおよび前記ガイド部材を前記熱源と離反させ、前記ガイド部材を前記ロッドレンズから取り外しても前記ロッドレンズの側表面の形状に影響を与えない程度に前記ロッドレンズが硬化した後、前記ロッドレンズから前記ガイド部材を取り外すようにしてもよい。
その軸線が凸曲面の軸と一致するガイド部材の内面に沿ってロッドレンズを動かして型部材に押し付ければ、ロッドレンズの軸と凸曲面の軸との軸合わせを正確に行うことができる。
また、型部材にロッドレンズを押し付ける際、型部材の有する熱がロッドレンズの一端側の面から他端側に向かって伝わるため、この熱によりロッドレンズの側表面が膨張する等して変形するおそれがあるが、本発明では、押し付けの後、ロッドレンズおよびガイド部材を熱源と離反させ、ガイド部材をロッドレンズから取り外してもロッドレンズの側表面の形状に影響を与えない程度にロッドレンズが硬化した後、ロッドレンズからガイド部材を取り外すようになっている。
すなわち、ガイド部材の内面がロッドレンズの側表面の形状を維持する型の役割を果たすようになっているので、ロッドレンズの側表面の形状が熱により変形しないようにすることができる。
【0011】
以上で説明したような本発明のロッドレンズは、例えば、以下に示す本発明のロッドレンズの加工装置によって製造できる。
すなわち、本発明のロッドレンズの加工装置は、円筒形に成形された樹脂製のロッドレンズの平滑な一端側の面を凹曲面状に加工するものであり、軸回りに対称な凸曲面を有する、熱伝導性を備える型部材と、処理対象となるロッドレンズの軸線が前記凸曲面の前記軸と一致するように前記ロッドレンズまたは前記型部材の動きをガイドするガイド部材と、前記ロッドレンズまたは前記型部材を把持できるようにされているとともに、これらを把持した状態で、前記ガイド部材に沿って移動するようにされている把持部材と、を有しており、前記ロッドレンズの平滑な一端側の面と加熱された前記型部材の前記凸曲面は、前記把持部材の移動により押し付け合わされるようになっている。
このロッドレンズの加工装置によれば、上述のように、一般的なロッドレンズの平滑な一端側の面を凹曲面状に加工することができる。
【0012】
この型部材は、円筒形に成形された樹脂製のロッドレンズの平滑な一端側の面を凹曲面状に加工するものであり、軸回りに対称な凸曲面を有し、熱伝導性を備えていればどのような形状、材質のものであってもよい。
この型部材は、例えば、後述するような略球の形状からなるものとすることができるし、金属製とすることができる。
【0013】
ガイド部材は、処理対象となるロッドレンズまたは型部材の動きをガイドするものであり、ロッドレンズの軸線が凸曲面の軸と一致するようにロッドレンズまたは型部材の動きをガイドするようになっていればよい。このガイド部材は、ロッドレンズの軸線が凸曲面の軸と一致するようにロッドレンズまたは型部材の動きをガイドするようになっているので、ロッドレンズの軸と凸曲面の軸との軸合わせを正確に行うことができる。
このガイド部材は、例えば、その内径がロッドレンズの外径と略等しく構成された複数のリング部材と、これらのリング部材を固定する支柱とを含んでおり、これらのリング部材が、各リング部材の中心を結んだ軸線が凸曲面の軸と一致するようにして支柱に固定されたものでもよい。
【0014】
また、このガイド部材はその内径が前記ロッドレンズの外径と略等しくなるように構成された円筒形の内面を有する部材であってもよい。このガイド部材は、押し付け合いの後、ロッドレンズとともに熱源から離反されるようになっていてもよい。
このようなガイド部材とすれば、上述のようにその内面がロッドレンズの側表面の形状を維持する型の役割を果たすようになり、ロッドレンズの側表面の形状が熱により変形しないようにすることができる。
【0015】
前記ガイド部材の形状および重さは、前記押し付け合いの際、前記ロッドレンズの側表面に付着するようなものとしてもよい。
このようなガイド部材であれば、押し付け合いの後、ロッドレンズと熱源を離反させればロッドレンズの側表面に付着したガイド部材も熱源と離反することとなり、ガイド部材と熱源を容易に離反することができる。
また、側表面からガイド部材が離れてもロッドレンズの側表面が変形しない程度にロッドレンズの側表面が硬化した後、自重による落下によってガイド部材がロッドレンズの側表面から離れるようにしてもよい。こうすれば、ロッドレンズの側表面が変形するおそれがなくなった後に自動的に型部材を取り外すことができる。
【0016】
このようなロッドレンズの加工装置は、前記ロッドレンズおよび前記ガイド部材は前記型部材の上方に位置しており、前記型部材は前記熱源の上方に位置しており、前記把持部材は、前記ガイド部材に沿って前記ロッドレンズを下方に移動させて前記ロッドレンズの一端側の平滑面と加熱された前記型部材の前記凸曲面とを押し付け合うようになっていると共に、前記押し付け合いの後、前記型部材の付着した前記ロッドレンズとともに前記ガイド部材を上方に移動させるようになっていてもよい。
【0017】
把持部材は、ロッドレンズまたは型部材を把持し、ガイド部材に沿ってロッドレンズまたは型部材を移動させるものであり、ガイド部材に沿ってロッドレンズまたは型部材を移動させると共に、ロッドレンズの平滑な一端側の面と加熱された型部材の凸曲面とを押し付け合うように構成されており、これによりロッドレンズの平滑な一端側の面が凸曲面に対応する凹曲面状に加工されるようになっていればよい。
この把持部材は、例えばロッドレンズまたは型部材を把持する把持部と、ガイド部材に沿ってロッドレンズまたは型部材を移動させるアーム部と、を有するものであってもよい。
【0018】
前記ロッドレンズの加工装置は、接触させることにより前記型部材を加熱することができる熱源をさらに有しており、前記型部材の重さおよび前記型部材の前記凸曲面の形状は、加熱された前記凸曲面と前記ロッドレンズの平滑な一端側の面とを押し付け合った際、熱により軟化した前記ロッドレンズの前記一端側の面の粘性により、前記型部材の前記凸曲面が前記ロッドレンズの前記一端側の面に付着できるようにされており、前記型部材は、前記押し付け合いの後、前記熱源から離反されるロッドレンズに付着し、これにより前記型部材が前記熱源から離反されるようになっていてもよい。
すなわち、その加熱された凸曲面とロッドレンズの平滑な一端側の面とを押し付け合った際、熱により軟化したロッドレンズの一端側の面の粘性により、ロッドレンズに付着できる程度の形状および重さを有する型部材を用いてもよい。この型部材は、押し付け合いの後、熱源から離反されるロッドレンズの一端側の面に付着するようになっており、これにより熱源から離反されるようになっているため、型部材と熱源を容易に離反することができる。
なお、この型部材は、ロッドレンズの平滑な一端側の面を軟化させることができる程度の熱容量を有するように構成してもよい。こうすれば、熱源と離反した型部材を迅速に冷やすことができる。
【0019】
前記型部材の重さおよび前記型部材の前記凸曲面の形状は、前記型部材が前記ロッドレンズの前記一端側の面から離れても前記ロッドレンズの前記一端側の面が乱れない程度に前記ロッドレンズの前記一端側の面が硬化した後、前記型部材が自重による落下によって前記ロッドレンズの前記一端側の面から離れるようになっていてもよい。
こうすれば、ロッドレンズの面を乱すことなく自動的に型部材を取り外すことができる。
【0020】
このようなロッドレンズの加工装置は、例えば、前記ロッドレンズは前記型部材の上方に位置しており、前記型部材は前記熱源の上方に位置しており、前記把持部材は、前記ガイド部材に沿って前記ロッドレンズを下方または前記型部材を上方に移動させて前記ロッドレンズの一端側の平滑面と加熱された前記型部材の前記凸曲面とを押し付け合うようになっていると共に、前記押し付け合いの後、前記型部材の付着した前記ロッドレンズを前記ガイド部材に沿って上方に移動させるようになっていてもよい。
また、前記ロッドレンズは前記型部材の上方に位置しており、前記型部材は前記熱源の上方に位置しており、前記把持部材は、前記ガイド部材に沿って前記ロッドレンズを下方または前記型部材を上方に移動させて前記ロッドレンズの一端側の平滑面と加熱された前記型部材の前記凸曲面とを押し付け合うようになっており、前記熱源は、前記押し付け合いの後、下方に移動するようになっていてもよい。
【0021】
前記型部材は、前記熱源に対する位置決め部分となる凸部または凹部を有しており、前記熱源は、前記型部材の凸部または凹部に対応する凹部または凸部を有していてもよい。
こうすれば、該加工装置を使用する際、型部材または熱源の凹部に熱源または型部材の凸部を嵌め込むことによって型部材を熱源の所定の位置に配置することができる。
【0022】
また、前記型部材は、略球の形状からなるものとすることができる。
このような型部材は、そのすべての表面部分が、熱源に対する位置決め部分となり得るとともに凸曲面となり得るため、向きを考えることなく熱源の凹部に嵌め込むことができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明のロッドレンズを示す図。
【図2】加工対象となる従来のロッドレンズを示す図。
【図3(a)】本実施形態の熱源上に型部材を載置した状態を示す図。
【図3(b)】型部材および熱源の変形例を示す図。
【図3(c)】型部材および熱源の変形例を示す図。
【図4】本実施形態のガイド部材を示す図。
【図5】本実施形態の熱源上にガイド部材を配置した状態を示す図。
【図6】本実施形態のロッドレンズをガイド部材の内壁に沿って下降させる状態を示す図。
【図7】押し付けによりロッドレンズの一端側の面に凹曲面が転写された状態を示す図。
【図8】ロッドレンズの一端側の面の型部材への押し付けの後、ロッドレンズおよび型部材を引き上げる状態を示す図。
【図9】ロッドレンズが硬化した後、ロッドレンズの一端側の面から型部材が落下した状態を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の好ましい実施形態を、図面を参照しながら説明する。
【0025】
図1は、本発明のロッドレンズ1を示す図である。このロッドレンズ1は、円筒形に成形されるとともに、その一端側の面1aが、ロッドレンズ1によって得られる画角を広げられるように凹曲面状に形成されてなる。
このようなロッドレンズ1によれば、その一端側の面自体がロッドレンズによって得られる画角を広げられるように凹曲面状に形成されているため、画角を広げるためのレンズを取り付ける必要がなく、画角を広げるためのレンズの取り付けに必要な手間とコストを削減することができる。
【0026】
このような形状のロッドレンズ1は、ロッドレンズ自体をこのような形状に製造することによって得ることができる。
また、熱可塑性の樹脂により形成したロッドレンズは加熱することで任意の形状に加工することができることから、熱可塑性の樹脂製のロッドレンズであって、従来の製造方法により成形された平滑な端面を有するロッドレンズの一端側の平滑面を、以下のような加工装置によって凹曲面に加工することによっても得ることができる。
【0027】
以下、図2に示した円筒形に成形された樹脂製のロッドレンズ2の平滑な一端側の面2aを凹曲面状に加工する、本実施形態のロッドレンズの加工装置について説明する。
この加工装置は、図3ないし図6に示すように、ロッドレンズ2の一端側の面2aを凹曲面状に加工する型となる軸回りに対称な凸曲面10aを有する型部材10と、ロッドレンズ2の動きをガイドするガイド部材20と、型部材10を加熱することができる熱源30と、型部材10およびガイド部材20を把持して移動させる第1把持部材40と、ロッドレンズ2を把持して移動させる第2把持部材50と、を有する。
【0028】
図3(a)に示す型部材10は、熱伝導性を備えた金属製の部材であり、略球の形状からなる部材である。この球のうちの半球部分は、その曲面がロッドレンズ2の一端側の面2aを凹曲面状に加工する型となる凸曲面10aとなり、残りの半球部分は、熱源30に対する位置決め部分となる凸部10bとなる。またその直径は、処理対象となるロッドレンズ2の直径と略同一となっている。
本実施形態の型部材10はこのような部材として説明するが、型部材は、円筒形に成形された樹脂製のロッドレンズ2の一端側の面2aを凹曲面状に加工するものであり、軸回りに対称な凸曲面を有し、熱伝導性を備えていれば、上述のような型部材10に限らず、どのような形状、材質のものであってもよい。
例えば図3(b)に示すように、その曲面が凸曲面11aとなる半球部分と、この半球部分の平面に設けられ、凸部11bとなる突起部分と、を有するような型部材11としてもよい。また、熱源に対する位置決めは、型部材の方に凹部、熱源の方にこの凹部と対応する凸部を設けるようにしても可能であるため、例えば図3(c)に示すように、その曲面が凸曲面12aとなる半球部分と、この半球部分の平面に設けられ、熱源32に対する位置決め部分となる凹部12bを有するような型部材12としてもよい。また、このような位置決め部分となる凸部や凹部を有しない型部材としてもよい。
型部材10は、ロッドレンズ2の一端側の面2aを軟化させることができる程度の最小限の熱容量を有するように構成してもよい。こうすれば、熱源30と離反した型部材10を迅速に冷やすことができる。
【0029】
図4に示すガイド部材20は、処理対象となるロッドレンズ2の軸線が凸曲面10aの軸と一致するようにロッドレンズ2の動きをガイドする部材であり、その内径がロッドレンズ2の外径および型部材10の直径と略等しくなるように構成された円筒形の内面を有する、円筒形の部材である。
本実施形態のガイド部材20はこのような部材として説明するが、その内径がロッドレンズ2の外径と略等しくなるように構成された円筒形の内面を有する部材であれば、円筒形の部材でなくてもよい。また、これに限らず、ガイド部材はロッドレンズ2の軸線が凸曲面10aの軸と一致するようにロッドレンズ2の動きをガイドするようになっていればよい。例えば、その内径がロッドレンズ2の外径と略等しく構成された複数のリング部材と、これらのリング部材を固定する支柱とからなり、これらのリング部材が、各リング部材の中心を結んだ軸線が凸曲面10aの軸と一致するようにして支柱に固定されたガイド部材としてもよい。
また、このガイド部材20は、本実施形態では処理対象となるロッドレンズ2の動きをガイドするものとして説明するが、型部材10の方が動くような構成となっている場合に型部材10の動きをガイドするものとして構成してもよい。
【0030】
図3(a)に示す熱源30は、接触させることにより型部材10を加熱することができる、その上表面に半球状の凹部30aが設けられた薄板状のヒータである。
この図3(a)は、第1把持部材40により型部材10の凸部10bとなる半球部分を熱源30の凹部30aに入れた状態を示す。上述のように、本実施形態の型部材10は熱源30に対する位置決め部分となる凸部10bを有しており、熱源30は型部材10の凸部10bに対応する凹部30aを有するので、熱源30の凹部30aに型部材10の凸部10bを嵌め込むことによって型部材10を熱源30の所定の位置に配置することができるようになっている。
本実施形態では、熱源30はこのようなものとして説明するが、型部材10を加熱することができるようなものであればどのようなものであってもよい。
なお、型部材10に位置決め部分が設けられている場合には、熱源30にはこれに対応する位置決め部分が設けられる。例えば型部材の位置決め部分が図3(b)のような形状の凸部11bである場合は、熱源31は、その凸部11bの形状に対応する凹部31aを有するように構成される。また、図3(c)のように、型部材12が凹部12bを有している場合は、熱源32はこの凹部12bに対応する凸部32aを有するように構成される。
【0031】
図3(a)、図5に示す第1把持部材40は、鉛直方向に立設された支柱41と、その一端側が支柱41に取り付けられた、水平方向に伸びるアームであって、その他端側が型部材10やガイド部材20を把持できるように構成された第1アーム42と、を有する部材である。この第1アーム42は、鉛直方向に移動できるとともに、回動可能に支柱41に取り付けられている。この第1アーム42の他端側は、本実施形態ではヒンジを用いて構成されている。
本実施形態では第1把持部材40はこのような構成のものとして説明するが、この第1把持部材40は、型部材10とガイド部材20を把持して移動できるようになっていればよく、型部材10とガイド部材20を1つの把持部材で移動させるようにしてもよいし、それぞれを移動させる2つの把持部材を有していてもよい。また、以下の第2把持部材50により型部材10およびガイド部材20を把持して移動させるようになっていてもよい。
【0032】
図6に示す第2把持部材50は、鉛直方向に立設された支柱51と、その一端側が支柱51に取り付けられた、水平方向に伸びるアームであって、その他端側がロッドレンズ2の他端側の面2bを把持できるように構成された第2アーム52と、を有する部材である。この第2アーム52は、鉛直方向に移動できるように支柱51に取り付けられている。この第2アーム52の他端側は、本実施形態ではヒンジを用いて構成されている。
このような第2把持部材50は、後述のように、ガイド部材20に沿ってロッドレンズ2を移動させると共に、ロッドレンズ2の一端側の面2aを加熱された型部材10の凸曲面10aに押し付けるようになっている。
本実施形態の第2把持部材50はこのような構成のものとして説明するが、この第2把持部材50は、ロッドレンズ2を把持し、ガイド部材20に沿ってロッドレンズ2を移動させるものであり、ガイド部材20に沿ってロッドレンズ2を移動させると共に、ロッドレンズ2の一端側の面2aと加熱された型部材10の凸曲面10aとを押し付け合うようになっており、これによりロッドレンズ2の一端側の面2aが凸曲面10aに対応する凹曲面状に加工されるように構成されていればよい。
また、この第2把持部材50は、本実施形態では、処理対象となるロッドレンズ2を把持して移動させるものとして説明するが、型部材10を把持して移動させるように構成してもよい。
【0033】
次に、以上説明した加工装置を用いて、既存のロッドレンズ2を図1のロッドレンズ1のように加工するためのロッドレンズの加工方法を、図3ないし図9に基づいて説明する。
なお、加工対象となるロッドレンズ2は、従来の製造方法により製造された、平坦な両端面2a、2bを有する円筒形のロッドレンズ2である。このような円筒形のロッドレンズ2は、例えば透明樹脂製の円筒クラッド内に、円筒クラッドを構成する樹脂のモノマーと共に屈折率制御物質が含有された溶液を充填し、当該モノマーに円筒クラッドの壁面の構成樹脂を溶解させながら且つ円筒クラッドの壁面から内部へ同心円状に屈折率制御物質含有ゲル層を順次移動させながら上記のモノマーの重合を行なう方法によって製造することができる。
【0034】
このような円筒形のロッドレンズ2の加工に際し、まず、図3(a)に示すように、第1把持部材40の第1アーム42により型部材10を移動し、熱源30の凹部30aに型部材10を載置する。なお、本実施形態の型部材10は略球の形状からなる部材であるため、そのすべての表面部分が熱源30に対する位置決め部分となる凸部10bとなり得るとともに凸曲面10aとなり得るため、その向きを考えることなく型部材10を熱源30の凹部30aに載置することができる。
このように型部材10を熱源30上に載置した後、熱源30によって型部材10を加熱する。この加熱は、ロッドレンズ2の一端側の面2aを軟化させることができるような熱容量を型部材10が有するようになるまで行われる。
【0035】
次に、図5に示すように、第1把持部材40の第1アーム42により、その一端側に型部材10の凸曲面10aを嵌め込むようにしてガイド部材20を熱源30上に配置する。これによりガイド部材20は、その軸線が凸曲面10aの軸と一致するような状態で熱源30上に配置されることになる。なお、このガイド部材20の配置は、熱源30により型部材10を加熱する前に行ってもよい。
【0036】
それから、第2把持部材50の第2アーム52によりロッドレンズ2を把持し、ロッドレンズ2の一端をガイド部材20の他端側、すなわち上側から挿入する。そして図6に示すように第2アーム52を下降させることでロッドレンズ2をガイド部材20の内壁に沿って下降させ、ロッドレンズ2の一端側の面2aを加熱した型部材10の凸曲面10aに押し付ける。加熱された型部材10の凸曲面10aに押し付けられたロッドレンズ2の一端側の面2aは型部材10の熱により軟化し、この軟化したロッドレンズ2の一端側の面2aに型部材10の凸曲面10aと対応する凹曲面が転写される。図7は、押し付けによりロッドレンズ2の一端側の面2aに凹曲面が転写された状態を示す図である。なお、ガイド部材20によりロッドレンズ2の軸線と凸曲面10aの軸の軸合わせを正確に行うことができ、押し付けの角度はガイド部材20により常に一定となる。
【0037】
ロッドレンズ2の一端側の面2aの型部材10への押し付けの後、第2アーム52によりロッドレンズ2を引き上げる。これによりロッドレンズ2が熱源30から離反される。この引き上げの際、図8に示すように、ロッドレンズ2の一端側の面2aに付着した型部材10も一緒に引き上げられる。
軟化したロッドレンズ2を硬化させるためにはロッドレンズ2の一端側の面2aに付着した型部材10を冷やす必要がある。この型部材10を迅速に冷やすには型部材10を熱源30から引き離せるようになっている必要があるが、本実施形態においては、熱源30は接触させることにより対象物を加熱することができるようになっており、押し付けの後、型部材10と熱源30を離反させるようになっているので、熱源30から離反された型部材10は迅速に冷やされる。また、ロッドレンズ2を引き上げたとき、ロッドレンズ2に付着することで型部材10が自動的に熱源30から離反されるようになっているため、型部材10を熱源30から容易に離反することができる。
【0038】
なお、図8に示すように、ロッドレンズ2の第2アーム52による引き上げの際、第1アーム42によりガイド部材20を引き上げる。
型部材10とロッドレンズ2を押し付ける際、型部材10の有する熱がロッドレンズ2の一端側の面2aから他端側に向かって伝わるため、この熱によりロッドレンズ2の側表面の一部が膨張したりして変形するおそれがあるが、本実施形態のように、ロッドレンズ2の引き上げに伴い、ガイド部材20も引き上げるようにすれば、ガイド部材20の内面がロッドレンズ2の側表面の形状を維持する型となり、ロッドレンズ2の側表面の形状が変形しないようにすることができる。
【0039】
第2アーム52により引き上げられ、その側表面がガイド部材20に覆われた状態のロッドレンズ2および型部材10は、宙づりの状態で放置され、冷やされる。この際、冷風を当てるなどして熱を下げるようにしてもよい。
【0040】
型部材10がロッドレンズ2の凹曲面となった一端側の面2aから離れてもロッドレンズ2の一端側の面2aが乱れない程度に一端側の面2aが硬化すると、ロッドレンズ2の一端側の面2aから型部材10が自動的に落下する。
すなわち、型部材10の重さおよび型部材10の凸曲面10aの形状は、型部材10がロッドレンズ2の凹曲面となった一端側の面2aから離れても該凹曲面が乱れない程度に一端側の面2aが硬化した後、型部材10が自重による落下によってロッドレンズ2の一端側の面2aから離れるようなものとされており、これにより、ロッドレンズ2の一端側の面2aを乱すことなく自動的に型部材10を取り外すことができるようになっている。もっとも、型部材10は、自動的に外れなければ強制的に取り外すようにしてもよい。
その後、第1アーム42によりガイド部材20をロッドレンズ2から取り外す。型部材10が落下する程度までロッドレンズ2が硬化すれば、ガイド部材20をロッドレンズ2から取り外してもロッドレンズ2の側表面が変形しないと考えられるからである。このように本実施形態ではロッドレンズ2から型部材10が落下した後にガイド部材20を取り外すものとして記載するが、ガイド部材20をロッドレンズ2から取り外してもロッドレンズ2の側表面が変形しない程度にロッドレンズ2が硬化していれば、型部材10が落下する前にガイド部材20を取り外すようにしてもよい。
図9は、以上のように型部材10が落下し、ガイド部材20を取り外した後の状態を示す図である。
【0041】
以上のようにして、一般的なロッドレンズ2の一端側の平滑面を凹曲面に加工することができる。
【0042】
なお、本実施形態の加工装置は、ガイド部材20に沿ってロッドレンズ2を下方に移動させてロッドレンズ2の一端側の面2aを型部材10の凸曲面10aに押し付けるように構成されているが、加熱した型部材10をガイド部材20に沿って上方に移動させて型部材10の凸曲面10aをロッドレンズ2の一端側の面2aに押し付けるように構成してもよい。すなわち、ロッドレンズ2と型部材10のいずれか一方の部材を移動させて固定した状態の他方の部材に押し付けるようにしてもよいし、ロッドレンズ2と型部材10の両方を移動させて押し付け合うようにしてもよい。
【0043】
また、本実施形態の加工装置は、ロッドレンズ2の一端側の面2aの型部材10への押し付けの後、ロッドレンズ2およびロッドレンズ2に付着した型部材10をガイド部材20に沿って上方に移動させるように構成されているが、熱源30を下方に移動させるように構成してもよい。
【0044】
ガイド部材の形状および重さは、ロッドレンズ2と型部材10の押し付け合いの際、ガイド部材がロッドレンズ2の側表面に付着するようなものとしてもよい。このようなガイド部材であれば、押し付け合いの後、ロッドレンズ2と熱源30を離反させればロッドレンズ2の側表面に付着したガイド部材も熱源30と離反するため、ガイド部材と熱源30を容易に離反させることができる。なお、押し付け合いの後、ガイド部材と熱源30を離反させるようにしてもよい。ガイド部材と熱源30を離反させればガイド部材に付着したロッドレンズ2も熱源30と離反させることができる。
また、ロッドレンズ2の側表面からガイド部材20が離れてもロッドレンズ2の側表面が変形しない程度にロッドレンズ2の側表面が硬化した後、自重による落下によってガイド部材20がロッドレンズ2の側表面から離れるようにしてもよい。こうすれば、ロッドレンズ2の側表面を乱すことなく自動的に型部材を取り外すことができる。
【符号の説明】
【0045】
1、2 ロッドレンズ
10、11、12 型部材
20 ガイド部材
30、31、32 熱源
【技術分野】
【0001】
本発明は、ロッドレンズ、ロッドレンズの加工方法、およびロッドレンズの加工装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ロッドレンズは、その端面が平らに形成されている円柱形状のレンズである。このロッドレンズによって得られる画角を広げるためには、ロッドレンズの端部に屈折率変化量(Δn)の大きなレンズを取り付けることが一般的である。
しかし、このようなレンズの取り付け作業は非常に手間とコストがかかる。このことから、レンズの取り付けを必要としない、広い画角を有するロッドレンズが必要とされている。
【0003】
本願発明者はより広い画角を備えるロッドレンズを得るべく研究を重ね、以下の発明を想到するに至った。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、ロッドレンズに、従来よりも広い画角を与えるようにする技術を提供することをその課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上述の課題を解決するための本願発明は、以下のようなものである。
すなわち、本願発明のロッドレンズは、円筒形に成形されたロッドレンズであって、その一端側の面が、前記ロッドレンズによって得られる画角を広げられるように凹曲面状に形成されてなるロッドレンズである。
このようなロッドレンズによれば、その一端側の面が、ロッドレンズによって得られる画角を広げられるように凹曲面状に形成されているため、画角を広げるためのレンズを取り付ける必要がなく、このような画角を広げるためのレンズの取り付けに必要な手間とコストを削減することができる。
なお、ロッドレンズは照明に用いられる場合があるが(場合によっては、一本のロッドレンズが撮像と照明に用いられる場合もある)、画角の大きなロッドレンズは、広い立体角での照明を行える。つまり、本発明のロッドレンズは、他のレンズを用いずとも広い立体角での照明を得ることができる。
本願発明におけるロッドレンズは、グレーテッドインデックスタイプのものでもよいし、ステップインデックスタイプ(マルチモードのステップインデックスタイプを含む)のものでもよい。
【0006】
上記ロッドレンズは、熱可塑性の樹脂により形成されていてもよい。ロッドレンズはガラスにより形成することもできるが、ガラス製のロッドレンズは折れやすいためその一端側の平滑面を凹曲面状に加工しにくいのに対し、熱可塑性の樹脂により形成したロッドレンズは加熱することで任意の形状に加工することができるため、ロッドレンズによって得られる画角を広げられるようにその一端側の平滑面を凹曲面状に加工しやすい。すなわち、熱可塑性を有する樹脂製のロッドレンズであれば、従来の方法により成形され、平滑な端面を有する一般的なロッドレンズの一端側の平滑面を凹曲面状に加工し易い。
【0007】
以上の本発明のロッドレンズは、例えば、円筒形に成形され、熱可塑性の樹脂により形成されたロッドレンズの一端側の平滑面を凹曲面状に加工する、本発明のロッドレンズの加工方法によって形成することができる。このロッドレンズの加工方法では、加熱された型部材の凸曲面と、前記ロッドレンズの一端側の平滑面とを押し付け合うことで、前記ロッドレンズの一端側の平滑面を前記凸曲面に対応する凹曲面状に加工する。
このように、加熱された型部材の凸曲面と熱可塑性を有する樹脂製のロッドレンズの一端側の平滑面とを押し付け合うようにすれば、型部材の熱により軟化したロッドレンズの平滑面に型部材の凸曲面と対応する凹曲面を転写することができるため、上述したように、一般的なロッドレンズの一端側の平滑面を凹曲面状に加工することができる。
【0008】
前記ロッドレンズまたは前記型部材の少なくとも一方を動かし、前記ロッドレンズの一端側の平滑面と加熱された前記型部材の前記凸曲面とを押し付け合うようにしてもよい。すなわち、ロッドレンズと型部材のいずれか一方の部材を動かして固定した状態の他方の部材に押し付けるようにしてもよいし、両者を動かして押し付け合うようにしてもよい。
【0009】
また、接触させることにより対象物を加熱することができる熱源により前記型部材を加熱し、加熱した型部材の凸曲面と前記ロッドレンズの一端側の平滑面とを押し付け合った後、前記ロッドレンズおよび前記型部材を前記熱源と離反させ、前記型部材を前記ロッドレンズから取り外しても前記ロッドレンズの凹曲面の形状に影響を与えない程度に前記ロッドレンズが硬化した後、前記ロッドレンズから前記型部材を取り外すようにすることができる。
型部材をロッドレンズから取り外してもロッドレンズの凹曲面の形状に影響を与えない程度にロッドレンズが硬化した後にロッドレンズから型部材を取り外すようにすれば、ロッドレンズに転写した凹曲面の乱れを防ぐことができる。また、ロッドレンズを硬化させるためにはロッドレンズに加えて加熱された型部材を冷やす必要がある。ロッドレンズと型部材を迅速に冷やすにはこれらを熱源から引き離せるようになっている必要があるが、本発明においては、接触させることにより対象物を加熱することができる熱源を用いており、加熱した型部材の凸曲面とロッドレンズの一端側の平滑面とを押し付け合った後にロッドレンズおよび型部材を熱源と離反させるようになっているため、加熱された型部材を迅速に冷やすことができる。
【0010】
その内径が前記ロッドレンズの外径と略等しくなるように構成された円筒形の内面を有しており、その軸線が前記凸曲面の軸と一致するガイド部材の前記内面に沿って前記ロッドレンズを動かして前記型部材に押し付け、この押し付けの後、前記ロッドレンズおよび前記ガイド部材を前記熱源と離反させ、前記ガイド部材を前記ロッドレンズから取り外しても前記ロッドレンズの側表面の形状に影響を与えない程度に前記ロッドレンズが硬化した後、前記ロッドレンズから前記ガイド部材を取り外すようにしてもよい。
その軸線が凸曲面の軸と一致するガイド部材の内面に沿ってロッドレンズを動かして型部材に押し付ければ、ロッドレンズの軸と凸曲面の軸との軸合わせを正確に行うことができる。
また、型部材にロッドレンズを押し付ける際、型部材の有する熱がロッドレンズの一端側の面から他端側に向かって伝わるため、この熱によりロッドレンズの側表面が膨張する等して変形するおそれがあるが、本発明では、押し付けの後、ロッドレンズおよびガイド部材を熱源と離反させ、ガイド部材をロッドレンズから取り外してもロッドレンズの側表面の形状に影響を与えない程度にロッドレンズが硬化した後、ロッドレンズからガイド部材を取り外すようになっている。
すなわち、ガイド部材の内面がロッドレンズの側表面の形状を維持する型の役割を果たすようになっているので、ロッドレンズの側表面の形状が熱により変形しないようにすることができる。
【0011】
以上で説明したような本発明のロッドレンズは、例えば、以下に示す本発明のロッドレンズの加工装置によって製造できる。
すなわち、本発明のロッドレンズの加工装置は、円筒形に成形された樹脂製のロッドレンズの平滑な一端側の面を凹曲面状に加工するものであり、軸回りに対称な凸曲面を有する、熱伝導性を備える型部材と、処理対象となるロッドレンズの軸線が前記凸曲面の前記軸と一致するように前記ロッドレンズまたは前記型部材の動きをガイドするガイド部材と、前記ロッドレンズまたは前記型部材を把持できるようにされているとともに、これらを把持した状態で、前記ガイド部材に沿って移動するようにされている把持部材と、を有しており、前記ロッドレンズの平滑な一端側の面と加熱された前記型部材の前記凸曲面は、前記把持部材の移動により押し付け合わされるようになっている。
このロッドレンズの加工装置によれば、上述のように、一般的なロッドレンズの平滑な一端側の面を凹曲面状に加工することができる。
【0012】
この型部材は、円筒形に成形された樹脂製のロッドレンズの平滑な一端側の面を凹曲面状に加工するものであり、軸回りに対称な凸曲面を有し、熱伝導性を備えていればどのような形状、材質のものであってもよい。
この型部材は、例えば、後述するような略球の形状からなるものとすることができるし、金属製とすることができる。
【0013】
ガイド部材は、処理対象となるロッドレンズまたは型部材の動きをガイドするものであり、ロッドレンズの軸線が凸曲面の軸と一致するようにロッドレンズまたは型部材の動きをガイドするようになっていればよい。このガイド部材は、ロッドレンズの軸線が凸曲面の軸と一致するようにロッドレンズまたは型部材の動きをガイドするようになっているので、ロッドレンズの軸と凸曲面の軸との軸合わせを正確に行うことができる。
このガイド部材は、例えば、その内径がロッドレンズの外径と略等しく構成された複数のリング部材と、これらのリング部材を固定する支柱とを含んでおり、これらのリング部材が、各リング部材の中心を結んだ軸線が凸曲面の軸と一致するようにして支柱に固定されたものでもよい。
【0014】
また、このガイド部材はその内径が前記ロッドレンズの外径と略等しくなるように構成された円筒形の内面を有する部材であってもよい。このガイド部材は、押し付け合いの後、ロッドレンズとともに熱源から離反されるようになっていてもよい。
このようなガイド部材とすれば、上述のようにその内面がロッドレンズの側表面の形状を維持する型の役割を果たすようになり、ロッドレンズの側表面の形状が熱により変形しないようにすることができる。
【0015】
前記ガイド部材の形状および重さは、前記押し付け合いの際、前記ロッドレンズの側表面に付着するようなものとしてもよい。
このようなガイド部材であれば、押し付け合いの後、ロッドレンズと熱源を離反させればロッドレンズの側表面に付着したガイド部材も熱源と離反することとなり、ガイド部材と熱源を容易に離反することができる。
また、側表面からガイド部材が離れてもロッドレンズの側表面が変形しない程度にロッドレンズの側表面が硬化した後、自重による落下によってガイド部材がロッドレンズの側表面から離れるようにしてもよい。こうすれば、ロッドレンズの側表面が変形するおそれがなくなった後に自動的に型部材を取り外すことができる。
【0016】
このようなロッドレンズの加工装置は、前記ロッドレンズおよび前記ガイド部材は前記型部材の上方に位置しており、前記型部材は前記熱源の上方に位置しており、前記把持部材は、前記ガイド部材に沿って前記ロッドレンズを下方に移動させて前記ロッドレンズの一端側の平滑面と加熱された前記型部材の前記凸曲面とを押し付け合うようになっていると共に、前記押し付け合いの後、前記型部材の付着した前記ロッドレンズとともに前記ガイド部材を上方に移動させるようになっていてもよい。
【0017】
把持部材は、ロッドレンズまたは型部材を把持し、ガイド部材に沿ってロッドレンズまたは型部材を移動させるものであり、ガイド部材に沿ってロッドレンズまたは型部材を移動させると共に、ロッドレンズの平滑な一端側の面と加熱された型部材の凸曲面とを押し付け合うように構成されており、これによりロッドレンズの平滑な一端側の面が凸曲面に対応する凹曲面状に加工されるようになっていればよい。
この把持部材は、例えばロッドレンズまたは型部材を把持する把持部と、ガイド部材に沿ってロッドレンズまたは型部材を移動させるアーム部と、を有するものであってもよい。
【0018】
前記ロッドレンズの加工装置は、接触させることにより前記型部材を加熱することができる熱源をさらに有しており、前記型部材の重さおよび前記型部材の前記凸曲面の形状は、加熱された前記凸曲面と前記ロッドレンズの平滑な一端側の面とを押し付け合った際、熱により軟化した前記ロッドレンズの前記一端側の面の粘性により、前記型部材の前記凸曲面が前記ロッドレンズの前記一端側の面に付着できるようにされており、前記型部材は、前記押し付け合いの後、前記熱源から離反されるロッドレンズに付着し、これにより前記型部材が前記熱源から離反されるようになっていてもよい。
すなわち、その加熱された凸曲面とロッドレンズの平滑な一端側の面とを押し付け合った際、熱により軟化したロッドレンズの一端側の面の粘性により、ロッドレンズに付着できる程度の形状および重さを有する型部材を用いてもよい。この型部材は、押し付け合いの後、熱源から離反されるロッドレンズの一端側の面に付着するようになっており、これにより熱源から離反されるようになっているため、型部材と熱源を容易に離反することができる。
なお、この型部材は、ロッドレンズの平滑な一端側の面を軟化させることができる程度の熱容量を有するように構成してもよい。こうすれば、熱源と離反した型部材を迅速に冷やすことができる。
【0019】
前記型部材の重さおよび前記型部材の前記凸曲面の形状は、前記型部材が前記ロッドレンズの前記一端側の面から離れても前記ロッドレンズの前記一端側の面が乱れない程度に前記ロッドレンズの前記一端側の面が硬化した後、前記型部材が自重による落下によって前記ロッドレンズの前記一端側の面から離れるようになっていてもよい。
こうすれば、ロッドレンズの面を乱すことなく自動的に型部材を取り外すことができる。
【0020】
このようなロッドレンズの加工装置は、例えば、前記ロッドレンズは前記型部材の上方に位置しており、前記型部材は前記熱源の上方に位置しており、前記把持部材は、前記ガイド部材に沿って前記ロッドレンズを下方または前記型部材を上方に移動させて前記ロッドレンズの一端側の平滑面と加熱された前記型部材の前記凸曲面とを押し付け合うようになっていると共に、前記押し付け合いの後、前記型部材の付着した前記ロッドレンズを前記ガイド部材に沿って上方に移動させるようになっていてもよい。
また、前記ロッドレンズは前記型部材の上方に位置しており、前記型部材は前記熱源の上方に位置しており、前記把持部材は、前記ガイド部材に沿って前記ロッドレンズを下方または前記型部材を上方に移動させて前記ロッドレンズの一端側の平滑面と加熱された前記型部材の前記凸曲面とを押し付け合うようになっており、前記熱源は、前記押し付け合いの後、下方に移動するようになっていてもよい。
【0021】
前記型部材は、前記熱源に対する位置決め部分となる凸部または凹部を有しており、前記熱源は、前記型部材の凸部または凹部に対応する凹部または凸部を有していてもよい。
こうすれば、該加工装置を使用する際、型部材または熱源の凹部に熱源または型部材の凸部を嵌め込むことによって型部材を熱源の所定の位置に配置することができる。
【0022】
また、前記型部材は、略球の形状からなるものとすることができる。
このような型部材は、そのすべての表面部分が、熱源に対する位置決め部分となり得るとともに凸曲面となり得るため、向きを考えることなく熱源の凹部に嵌め込むことができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明のロッドレンズを示す図。
【図2】加工対象となる従来のロッドレンズを示す図。
【図3(a)】本実施形態の熱源上に型部材を載置した状態を示す図。
【図3(b)】型部材および熱源の変形例を示す図。
【図3(c)】型部材および熱源の変形例を示す図。
【図4】本実施形態のガイド部材を示す図。
【図5】本実施形態の熱源上にガイド部材を配置した状態を示す図。
【図6】本実施形態のロッドレンズをガイド部材の内壁に沿って下降させる状態を示す図。
【図7】押し付けによりロッドレンズの一端側の面に凹曲面が転写された状態を示す図。
【図8】ロッドレンズの一端側の面の型部材への押し付けの後、ロッドレンズおよび型部材を引き上げる状態を示す図。
【図9】ロッドレンズが硬化した後、ロッドレンズの一端側の面から型部材が落下した状態を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の好ましい実施形態を、図面を参照しながら説明する。
【0025】
図1は、本発明のロッドレンズ1を示す図である。このロッドレンズ1は、円筒形に成形されるとともに、その一端側の面1aが、ロッドレンズ1によって得られる画角を広げられるように凹曲面状に形成されてなる。
このようなロッドレンズ1によれば、その一端側の面自体がロッドレンズによって得られる画角を広げられるように凹曲面状に形成されているため、画角を広げるためのレンズを取り付ける必要がなく、画角を広げるためのレンズの取り付けに必要な手間とコストを削減することができる。
【0026】
このような形状のロッドレンズ1は、ロッドレンズ自体をこのような形状に製造することによって得ることができる。
また、熱可塑性の樹脂により形成したロッドレンズは加熱することで任意の形状に加工することができることから、熱可塑性の樹脂製のロッドレンズであって、従来の製造方法により成形された平滑な端面を有するロッドレンズの一端側の平滑面を、以下のような加工装置によって凹曲面に加工することによっても得ることができる。
【0027】
以下、図2に示した円筒形に成形された樹脂製のロッドレンズ2の平滑な一端側の面2aを凹曲面状に加工する、本実施形態のロッドレンズの加工装置について説明する。
この加工装置は、図3ないし図6に示すように、ロッドレンズ2の一端側の面2aを凹曲面状に加工する型となる軸回りに対称な凸曲面10aを有する型部材10と、ロッドレンズ2の動きをガイドするガイド部材20と、型部材10を加熱することができる熱源30と、型部材10およびガイド部材20を把持して移動させる第1把持部材40と、ロッドレンズ2を把持して移動させる第2把持部材50と、を有する。
【0028】
図3(a)に示す型部材10は、熱伝導性を備えた金属製の部材であり、略球の形状からなる部材である。この球のうちの半球部分は、その曲面がロッドレンズ2の一端側の面2aを凹曲面状に加工する型となる凸曲面10aとなり、残りの半球部分は、熱源30に対する位置決め部分となる凸部10bとなる。またその直径は、処理対象となるロッドレンズ2の直径と略同一となっている。
本実施形態の型部材10はこのような部材として説明するが、型部材は、円筒形に成形された樹脂製のロッドレンズ2の一端側の面2aを凹曲面状に加工するものであり、軸回りに対称な凸曲面を有し、熱伝導性を備えていれば、上述のような型部材10に限らず、どのような形状、材質のものであってもよい。
例えば図3(b)に示すように、その曲面が凸曲面11aとなる半球部分と、この半球部分の平面に設けられ、凸部11bとなる突起部分と、を有するような型部材11としてもよい。また、熱源に対する位置決めは、型部材の方に凹部、熱源の方にこの凹部と対応する凸部を設けるようにしても可能であるため、例えば図3(c)に示すように、その曲面が凸曲面12aとなる半球部分と、この半球部分の平面に設けられ、熱源32に対する位置決め部分となる凹部12bを有するような型部材12としてもよい。また、このような位置決め部分となる凸部や凹部を有しない型部材としてもよい。
型部材10は、ロッドレンズ2の一端側の面2aを軟化させることができる程度の最小限の熱容量を有するように構成してもよい。こうすれば、熱源30と離反した型部材10を迅速に冷やすことができる。
【0029】
図4に示すガイド部材20は、処理対象となるロッドレンズ2の軸線が凸曲面10aの軸と一致するようにロッドレンズ2の動きをガイドする部材であり、その内径がロッドレンズ2の外径および型部材10の直径と略等しくなるように構成された円筒形の内面を有する、円筒形の部材である。
本実施形態のガイド部材20はこのような部材として説明するが、その内径がロッドレンズ2の外径と略等しくなるように構成された円筒形の内面を有する部材であれば、円筒形の部材でなくてもよい。また、これに限らず、ガイド部材はロッドレンズ2の軸線が凸曲面10aの軸と一致するようにロッドレンズ2の動きをガイドするようになっていればよい。例えば、その内径がロッドレンズ2の外径と略等しく構成された複数のリング部材と、これらのリング部材を固定する支柱とからなり、これらのリング部材が、各リング部材の中心を結んだ軸線が凸曲面10aの軸と一致するようにして支柱に固定されたガイド部材としてもよい。
また、このガイド部材20は、本実施形態では処理対象となるロッドレンズ2の動きをガイドするものとして説明するが、型部材10の方が動くような構成となっている場合に型部材10の動きをガイドするものとして構成してもよい。
【0030】
図3(a)に示す熱源30は、接触させることにより型部材10を加熱することができる、その上表面に半球状の凹部30aが設けられた薄板状のヒータである。
この図3(a)は、第1把持部材40により型部材10の凸部10bとなる半球部分を熱源30の凹部30aに入れた状態を示す。上述のように、本実施形態の型部材10は熱源30に対する位置決め部分となる凸部10bを有しており、熱源30は型部材10の凸部10bに対応する凹部30aを有するので、熱源30の凹部30aに型部材10の凸部10bを嵌め込むことによって型部材10を熱源30の所定の位置に配置することができるようになっている。
本実施形態では、熱源30はこのようなものとして説明するが、型部材10を加熱することができるようなものであればどのようなものであってもよい。
なお、型部材10に位置決め部分が設けられている場合には、熱源30にはこれに対応する位置決め部分が設けられる。例えば型部材の位置決め部分が図3(b)のような形状の凸部11bである場合は、熱源31は、その凸部11bの形状に対応する凹部31aを有するように構成される。また、図3(c)のように、型部材12が凹部12bを有している場合は、熱源32はこの凹部12bに対応する凸部32aを有するように構成される。
【0031】
図3(a)、図5に示す第1把持部材40は、鉛直方向に立設された支柱41と、その一端側が支柱41に取り付けられた、水平方向に伸びるアームであって、その他端側が型部材10やガイド部材20を把持できるように構成された第1アーム42と、を有する部材である。この第1アーム42は、鉛直方向に移動できるとともに、回動可能に支柱41に取り付けられている。この第1アーム42の他端側は、本実施形態ではヒンジを用いて構成されている。
本実施形態では第1把持部材40はこのような構成のものとして説明するが、この第1把持部材40は、型部材10とガイド部材20を把持して移動できるようになっていればよく、型部材10とガイド部材20を1つの把持部材で移動させるようにしてもよいし、それぞれを移動させる2つの把持部材を有していてもよい。また、以下の第2把持部材50により型部材10およびガイド部材20を把持して移動させるようになっていてもよい。
【0032】
図6に示す第2把持部材50は、鉛直方向に立設された支柱51と、その一端側が支柱51に取り付けられた、水平方向に伸びるアームであって、その他端側がロッドレンズ2の他端側の面2bを把持できるように構成された第2アーム52と、を有する部材である。この第2アーム52は、鉛直方向に移動できるように支柱51に取り付けられている。この第2アーム52の他端側は、本実施形態ではヒンジを用いて構成されている。
このような第2把持部材50は、後述のように、ガイド部材20に沿ってロッドレンズ2を移動させると共に、ロッドレンズ2の一端側の面2aを加熱された型部材10の凸曲面10aに押し付けるようになっている。
本実施形態の第2把持部材50はこのような構成のものとして説明するが、この第2把持部材50は、ロッドレンズ2を把持し、ガイド部材20に沿ってロッドレンズ2を移動させるものであり、ガイド部材20に沿ってロッドレンズ2を移動させると共に、ロッドレンズ2の一端側の面2aと加熱された型部材10の凸曲面10aとを押し付け合うようになっており、これによりロッドレンズ2の一端側の面2aが凸曲面10aに対応する凹曲面状に加工されるように構成されていればよい。
また、この第2把持部材50は、本実施形態では、処理対象となるロッドレンズ2を把持して移動させるものとして説明するが、型部材10を把持して移動させるように構成してもよい。
【0033】
次に、以上説明した加工装置を用いて、既存のロッドレンズ2を図1のロッドレンズ1のように加工するためのロッドレンズの加工方法を、図3ないし図9に基づいて説明する。
なお、加工対象となるロッドレンズ2は、従来の製造方法により製造された、平坦な両端面2a、2bを有する円筒形のロッドレンズ2である。このような円筒形のロッドレンズ2は、例えば透明樹脂製の円筒クラッド内に、円筒クラッドを構成する樹脂のモノマーと共に屈折率制御物質が含有された溶液を充填し、当該モノマーに円筒クラッドの壁面の構成樹脂を溶解させながら且つ円筒クラッドの壁面から内部へ同心円状に屈折率制御物質含有ゲル層を順次移動させながら上記のモノマーの重合を行なう方法によって製造することができる。
【0034】
このような円筒形のロッドレンズ2の加工に際し、まず、図3(a)に示すように、第1把持部材40の第1アーム42により型部材10を移動し、熱源30の凹部30aに型部材10を載置する。なお、本実施形態の型部材10は略球の形状からなる部材であるため、そのすべての表面部分が熱源30に対する位置決め部分となる凸部10bとなり得るとともに凸曲面10aとなり得るため、その向きを考えることなく型部材10を熱源30の凹部30aに載置することができる。
このように型部材10を熱源30上に載置した後、熱源30によって型部材10を加熱する。この加熱は、ロッドレンズ2の一端側の面2aを軟化させることができるような熱容量を型部材10が有するようになるまで行われる。
【0035】
次に、図5に示すように、第1把持部材40の第1アーム42により、その一端側に型部材10の凸曲面10aを嵌め込むようにしてガイド部材20を熱源30上に配置する。これによりガイド部材20は、その軸線が凸曲面10aの軸と一致するような状態で熱源30上に配置されることになる。なお、このガイド部材20の配置は、熱源30により型部材10を加熱する前に行ってもよい。
【0036】
それから、第2把持部材50の第2アーム52によりロッドレンズ2を把持し、ロッドレンズ2の一端をガイド部材20の他端側、すなわち上側から挿入する。そして図6に示すように第2アーム52を下降させることでロッドレンズ2をガイド部材20の内壁に沿って下降させ、ロッドレンズ2の一端側の面2aを加熱した型部材10の凸曲面10aに押し付ける。加熱された型部材10の凸曲面10aに押し付けられたロッドレンズ2の一端側の面2aは型部材10の熱により軟化し、この軟化したロッドレンズ2の一端側の面2aに型部材10の凸曲面10aと対応する凹曲面が転写される。図7は、押し付けによりロッドレンズ2の一端側の面2aに凹曲面が転写された状態を示す図である。なお、ガイド部材20によりロッドレンズ2の軸線と凸曲面10aの軸の軸合わせを正確に行うことができ、押し付けの角度はガイド部材20により常に一定となる。
【0037】
ロッドレンズ2の一端側の面2aの型部材10への押し付けの後、第2アーム52によりロッドレンズ2を引き上げる。これによりロッドレンズ2が熱源30から離反される。この引き上げの際、図8に示すように、ロッドレンズ2の一端側の面2aに付着した型部材10も一緒に引き上げられる。
軟化したロッドレンズ2を硬化させるためにはロッドレンズ2の一端側の面2aに付着した型部材10を冷やす必要がある。この型部材10を迅速に冷やすには型部材10を熱源30から引き離せるようになっている必要があるが、本実施形態においては、熱源30は接触させることにより対象物を加熱することができるようになっており、押し付けの後、型部材10と熱源30を離反させるようになっているので、熱源30から離反された型部材10は迅速に冷やされる。また、ロッドレンズ2を引き上げたとき、ロッドレンズ2に付着することで型部材10が自動的に熱源30から離反されるようになっているため、型部材10を熱源30から容易に離反することができる。
【0038】
なお、図8に示すように、ロッドレンズ2の第2アーム52による引き上げの際、第1アーム42によりガイド部材20を引き上げる。
型部材10とロッドレンズ2を押し付ける際、型部材10の有する熱がロッドレンズ2の一端側の面2aから他端側に向かって伝わるため、この熱によりロッドレンズ2の側表面の一部が膨張したりして変形するおそれがあるが、本実施形態のように、ロッドレンズ2の引き上げに伴い、ガイド部材20も引き上げるようにすれば、ガイド部材20の内面がロッドレンズ2の側表面の形状を維持する型となり、ロッドレンズ2の側表面の形状が変形しないようにすることができる。
【0039】
第2アーム52により引き上げられ、その側表面がガイド部材20に覆われた状態のロッドレンズ2および型部材10は、宙づりの状態で放置され、冷やされる。この際、冷風を当てるなどして熱を下げるようにしてもよい。
【0040】
型部材10がロッドレンズ2の凹曲面となった一端側の面2aから離れてもロッドレンズ2の一端側の面2aが乱れない程度に一端側の面2aが硬化すると、ロッドレンズ2の一端側の面2aから型部材10が自動的に落下する。
すなわち、型部材10の重さおよび型部材10の凸曲面10aの形状は、型部材10がロッドレンズ2の凹曲面となった一端側の面2aから離れても該凹曲面が乱れない程度に一端側の面2aが硬化した後、型部材10が自重による落下によってロッドレンズ2の一端側の面2aから離れるようなものとされており、これにより、ロッドレンズ2の一端側の面2aを乱すことなく自動的に型部材10を取り外すことができるようになっている。もっとも、型部材10は、自動的に外れなければ強制的に取り外すようにしてもよい。
その後、第1アーム42によりガイド部材20をロッドレンズ2から取り外す。型部材10が落下する程度までロッドレンズ2が硬化すれば、ガイド部材20をロッドレンズ2から取り外してもロッドレンズ2の側表面が変形しないと考えられるからである。このように本実施形態ではロッドレンズ2から型部材10が落下した後にガイド部材20を取り外すものとして記載するが、ガイド部材20をロッドレンズ2から取り外してもロッドレンズ2の側表面が変形しない程度にロッドレンズ2が硬化していれば、型部材10が落下する前にガイド部材20を取り外すようにしてもよい。
図9は、以上のように型部材10が落下し、ガイド部材20を取り外した後の状態を示す図である。
【0041】
以上のようにして、一般的なロッドレンズ2の一端側の平滑面を凹曲面に加工することができる。
【0042】
なお、本実施形態の加工装置は、ガイド部材20に沿ってロッドレンズ2を下方に移動させてロッドレンズ2の一端側の面2aを型部材10の凸曲面10aに押し付けるように構成されているが、加熱した型部材10をガイド部材20に沿って上方に移動させて型部材10の凸曲面10aをロッドレンズ2の一端側の面2aに押し付けるように構成してもよい。すなわち、ロッドレンズ2と型部材10のいずれか一方の部材を移動させて固定した状態の他方の部材に押し付けるようにしてもよいし、ロッドレンズ2と型部材10の両方を移動させて押し付け合うようにしてもよい。
【0043】
また、本実施形態の加工装置は、ロッドレンズ2の一端側の面2aの型部材10への押し付けの後、ロッドレンズ2およびロッドレンズ2に付着した型部材10をガイド部材20に沿って上方に移動させるように構成されているが、熱源30を下方に移動させるように構成してもよい。
【0044】
ガイド部材の形状および重さは、ロッドレンズ2と型部材10の押し付け合いの際、ガイド部材がロッドレンズ2の側表面に付着するようなものとしてもよい。このようなガイド部材であれば、押し付け合いの後、ロッドレンズ2と熱源30を離反させればロッドレンズ2の側表面に付着したガイド部材も熱源30と離反するため、ガイド部材と熱源30を容易に離反させることができる。なお、押し付け合いの後、ガイド部材と熱源30を離反させるようにしてもよい。ガイド部材と熱源30を離反させればガイド部材に付着したロッドレンズ2も熱源30と離反させることができる。
また、ロッドレンズ2の側表面からガイド部材20が離れてもロッドレンズ2の側表面が変形しない程度にロッドレンズ2の側表面が硬化した後、自重による落下によってガイド部材20がロッドレンズ2の側表面から離れるようにしてもよい。こうすれば、ロッドレンズ2の側表面を乱すことなく自動的に型部材を取り外すことができる。
【符号の説明】
【0045】
1、2 ロッドレンズ
10、11、12 型部材
20 ガイド部材
30、31、32 熱源
【特許請求の範囲】
【請求項1】
円筒形に成形されたロッドレンズであって、
その一端側の面が、前記ロッドレンズによって得られる画角を広げられるように凹曲面状に形成された凹面を備えてなり、
前記凹面は、その直径が前記ロッドレンズの直径に略等しくその深さが前記ロッドレンズの半径に略等しい、
ロッドレンズ。
【請求項2】
前記ロッドレンズは、熱可塑性の樹脂により形成される、
請求項1記載のロッドレンズ。
【請求項1】
円筒形に成形されたロッドレンズであって、
その一端側の面が、前記ロッドレンズによって得られる画角を広げられるように凹曲面状に形成された凹面を備えてなり、
前記凹面は、その直径が前記ロッドレンズの直径に略等しくその深さが前記ロッドレンズの半径に略等しい、
ロッドレンズ。
【請求項2】
前記ロッドレンズは、熱可塑性の樹脂により形成される、
請求項1記載のロッドレンズ。
【図1】
【図2】
【図3(a)】
【図3(b)】
【図3(c)】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図2】
【図3(a)】
【図3(b)】
【図3(c)】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【公開番号】特開2011−107725(P2011−107725A)
【公開日】平成23年6月2日(2011.6.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−24347(P2011−24347)
【出願日】平成23年2月7日(2011.2.7)
【分割の表示】特願2005−353532(P2005−353532)の分割
【原出願日】平成17年12月7日(2005.12.7)
【出願人】(300053553)スカラ株式会社 (41)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年6月2日(2011.6.2)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年2月7日(2011.2.7)
【分割の表示】特願2005−353532(P2005−353532)の分割
【原出願日】平成17年12月7日(2005.12.7)
【出願人】(300053553)スカラ株式会社 (41)
【Fターム(参考)】
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