説明

ロボットハンド

【課題】チャックの開閉を検出するセンサに接続される電線の断線の可能性を低減させるロボットハンドを提供する。
【解決手段】ロボットハンドは、産業用ロボットのアームに装着されるハンド本体部31と、ハンド本体部31に接続されるとともに、被把持物を把持するチャック4の取付けが可能なハンド先端部32とを備え、ハンド先端部32は、チャック4に設けられ当該チャック4の動作を検出可能なセンサSNに電線84を介して接続される副プリント基板64を有し、ハンド本体部31は、副プリント基板64と電気的に接続される主プリント基板61を有している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、産業用ロボットのアームに装着されるロボットハンドに関する。
【背景技術】
【0002】
産業用ロボットのアームにロボットツール(ロボットハンド)を装着して、多点数の部品から構成される組立体を自動的に組み立てる自動組立技術が知られている(例えば特許文献1参照)。
【0003】
このようなロボットのアームに装着されるロボットハンドにおいては、圧縮空気(エアー)を用いた駆動力により部品等を把持するチャックの取付けが可能なものがある。
【0004】
【特許文献1】特開2000−354919号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記のチャックが取付けられたロボットハンドでは、チャックの開閉を検出するセンサへの接続線(電線)が、ロボットハンドの外部に現れるため、ロボットハンドの動作によって当該接続線が断線する可能性がある。
【0006】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、チャックの開閉を検出するセンサに接続される電線の断線の可能性を低減させることが可能な技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するため、請求項1の発明は、産業用ロボットのアームに装着可能なロボットハンドであって、前記アームに装着されるハンド本体部と、前記ハンド本体部に接続されるとともに、被把持物を把持するチャックの取付けが可能なハンド先端部とを備え、前記ハンド先端部は、前記チャックに設けられ当該チャックの動作を検出可能なセンサに電線を介して接続される第1基板を有し、前記ハンド本体部は、前記第1基板と電気的に接続される第2基板を有することを特徴とする。
【0008】
また、請求項2の発明は、請求項1の発明に係るロボットハンドにおいて、前記ハンド本体部と前記ハンド先端部とは、着脱自在に構成されることを特徴とする。
【0009】
また、請求項3の発明は、産業用ロボットのアームに装着可能なロボットハンドであって、前記アームに装着されるハンド本体部と、前記ハンド本体部に接続されるとともに、被把持物を把持する複数のチャックの取付けが可能なハンド先端部とを備え、前記ハンド先端部は、前記複数のチャックそれぞれの動作を検出可能な複数のセンサに第1電線を介して接続される第1基板を有し、前記ハンド本体部は、前記第1電線よりも本数の少ない第2電線を介して前記第1基板に接続される第2基板を有し、前記第1基板は、前記第1電線を前記第2電線に集約させる。
【0010】
また、請求項4の発明は、請求項3の発明に係るロボットハンドにおいて、前記第1電線には、前記複数のセンサそれぞれに動作電力を供給する複数対の電源線が含まれ、前記第2電線には、前記複数対の電源線を集約した一対の電源線が含まれる。
【0011】
また、請求項5の発明は、請求項3または請求項4の発明に係るロボットハンドにおいて、前記ハンド本体部と前記ハンド先端部とは、着脱自在に構成され、前記第1基板は、前記第2電線を接続させるコネクタを有している。
【0012】
また、請求項6の発明は、産業用ロボットのアームに装着可能なロボットハンドであって、前記アームに装着されるハンド本体部と、前記ハンド本体部に接続されるとともに、被把持物を把持する複数のチャックの取付けが可能なハンド先端部とを備え、前記ハンド先端部は、前記複数のチャックそれぞれの動作を検出可能な複数のセンサに第1ケーブルを介して接続される第1基板を有し、前記ハンド本体部は、第2ケーブルを介して前記第1基板に接続される第2基板を有し、前記第1基板は、前記複数のセンサそれぞれに接続される前記第1ケーブルを、当該第1ケーブルよりも本数の少ない前記第2ケーブルに集約させる。
【発明の効果】
【0013】
請求項1または請求項2に記載の発明によれば、センサからの電線は、ハンド先端部の第1基板に接続されるので、センサからの電線を短くすることができ、当該電線の断線の可能性を低減させることができる。
【0014】
請求項3から請求項5に記載の発明によれば、ハンド先端部の第1基板が複数のセンサに接続される第1電線を当該第1電線よりも本数の少ない第2電線に集約するので、ロボットハンドの外部に現れる電線の本数を削減することができる。
【0015】
また、請求項6に記載の発明によれば、ハンド先端部の第1基板が複数のセンサに接続される第1ケーブルを当該第1ケーブルよりも本数の少ない第2ケーブルに集約するので、ロボットハンドの外部に現れるケーブルの本数を削減することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
【0017】
<1.第1実施形態>
<ロボットハンドの要部構成>
図1は、本発明の第1実施形態に係るロボットハンド3Aを備えたロボット1の要部構成を示す外観図である。
【0018】
産業用ロボットであるロボット1は、鉛直軸まわりの3つの旋回自由度の間に、水平軸まわりの3つの回動自由度をアーム結合した6自由度の垂直多関節ロボットとして構成されている。このロボット1では、部品などのワーク(被把持物)9をチャック4で把持して水平方向にワーク9を組み付ける作業や上下方向にワーク9を組み付ける作業が可能である。
【0019】
ロボット1のアーム(腕)2は、その先端にロボットハンド3Aを装着可能な構成となっている。
【0020】
ロボットハンド3Aは、アーム2に装着されるハンド本体部31と、ハンド本体部31に連結するハンド先端部32とを備えている。このハンド先端部32では、ワーク9を把持するチャック4の取付けが可能であり、ハンド本体部31の上部に接続された1本のエアー配管81から、チャック駆動用の圧縮空気であるエアー(駆動エアー)をチャック4に供給できるようになっている。
【0021】
以下では、ロボットハンド3Aの要部構成を詳述する。
【0022】
図2は、ロボットハンド3Aの要部構成を示す外観図である。この図2では、チャック4(図1)が取り外された状態のロボットハンド3Aが示されている。
【0023】
ロボットハンド3Aは、上述のようにハンド本体部31とハンド先端部32とを備えている。
【0024】
ハンド本体部31は、直方体状の外形を有した8つの電磁弁50が配設されるエアー制御部5と、電磁弁50の上方に配置され各電磁弁50の制御およびメインケーブル82を介した外部機器との通信を行う通信制御部6とを備えている。また、ハンド本体部31は、アーム2に連結されるアタッチメント35と、アタッチメント35と通信制御部6との間に介挿されるジョイント36と、電磁弁50とハンド先端部32との間に配置されるアダプタ37とを有している。
【0025】
エアー制御部5は、切換弁(方向制御弁)として働く電磁弁50の群からなる切換手段を有しており、エアー配管81を介してハンド本体部31に供給されるエアーを各電磁弁50のオン・オフ動作により選択的にハンド先端部32に送ることでハンド先端部32に取付けられた各チャック4の開閉動作を制御する。なお、電磁弁50は、例えば3ポートのシングルソレノイドバルブとして構成され、上下方向(Z軸方向)に隣接する一対の電磁弁50(上段の電磁弁50aおよび下段の電磁弁50b)によって1つのチャック4の開動作および閉動作が行われる。
【0026】
通信制御部6は、円筒状の外観を有するケーシング(筐体)60内に、図1に示すメインケーブル82と電気的に接続するプリント基板61(図3参照)が配置されている。なお、メインケーブル82は、例えばプリント基板61に電力を供給するため2本のワイヤと、チャック4の駆動制御に必要な信号を通信するための2本のワイヤとからなる4芯のケーブルとして構成されている。
【0027】
アタッチメント35には、図1に示すエアー配管81が接続されるエアー流入開口(エアー流入口)350が形成されている。
【0028】
ハンド先端部32は、略円柱状の側面を有しており、その下部にチャック4(図1)の取付けが可能な8つのチャック取付け面(チャック取付け部)320が形成されている。なお、チャック取付け面320にチャック4(図1)を取付ける際には、チャック4とチャック取付け面320との間に、チャック4にエアーを供給するための2つのエアー流出開口(エアー流出口)40g,40hが設けられたアダプタ40が介挿される。
【0029】
<ロボットハンド3Aの機能構成>
図3は、ロボットハンド3Aの機能構成を説明するための概念図である。なお、図3中の網掛けハッチングは、ロボットハンド3AにおけるエアーEfの流れを示し、太線は電気配線を示している。
【0030】
まず、ロボットハンド3AにおけるエアーEfの流れを説明する。
【0031】
アタッチメント35のエアー流入開口350から供給されたエアーEfは、アタッチメント35の内部に形成された流路35pを通って、エアー制御部5内に設けられたエアー溜め(空気溜め)5eに導かれる。
【0032】
エアー溜め5eに溜められたエアーEfは、エアー制御部5内に形成された各流路5pを通って、上段の電磁弁50aおよび下段の電磁弁50bの入力ポートまで導かれる。
【0033】
チャック4を駆動するために電磁弁50a,50bの出力ポートから出力されたエアーEfは、エアー制御部5内、アダプタ37内およびハンド先端部32内に形成された各流路5q、37p、32pを通って、ハンド先端部32のチャック取付け面320に設けられたエアー流出口32jに導かれる。
【0034】
そして、チャック取付け面320の各エアー流出口32jに、アダプタ40内に形成された流路40pを介して、チャック駆動用のシリンダCLの各シリンダ室に連通した2本の流路4pを接続すれば、ハンド本体部31のエアー流入開口350から供給されるエアーを用いたチャック4の駆動が可能となる。すなわち、アダプタ40およびチャック4の内部に形成された各流路40p、4pを介してハンド先端部32から供給されるエアーを用い、駆動機構として働くシリンダCLの駆動を行うことにより、ワーク9(図1)を把持するチャック4の開閉動作が行われる。
【0035】
次に、ロボットハンド3Aにおける電気的な構成を説明する。
【0036】
コネクタ63aを介してメインケーブル82から送られるチャック4の駆動制御信号は、プリント基板(「主プリント基板」とも称する)61上の配線61a(破線で図示)を通ってコントローラ62に入力される。
【0037】
コントローラ62は、例えばCPUおよびメモリを備えて通信制御を行う部位として構成されており、標準化されている各ロボットメーカー独自の通信インターフェース機能を搭載している。そして、コントローラ62は、メインケーブル82を介して例えばホストコンピュータなどのロボットハンド3A外部の制御装置(以下では「外部制御装置」とも称する)から入力される電気信号を受信して電磁弁50の駆動信号を生成する。このコントローラ62で生成された駆動信号は、主プリント基板(第2基板)61上の配線61b(破線で図示)を通りコネクタ63bおよびケーブル83を介して電磁弁50に送られる。
【0038】
一方、チャック4の開閉動作を検知するために例えばチャック4に設置されたセンサ(「開閉検知センサ」とも称する)SNから出力される信号(以下では「チャック開閉検知信号」または単に「開閉検知信号」とも称する)は、電線84およびコネクタ63eを介してハンド先端部32の上部に配設されたプリント基板(「副プリント基板」とも称する)64に送られる。
【0039】
副プリント基板(第1基板)64は、主プリント基板61にチャック開閉検知信号を送るための中継基板として機能する。具体的には、副プリント基板64で受け取ったチャック開閉検知信号は、副プリント基板64上の配線64a(破線で図示)を通りコネクタ63dおよび電線85を介して主プリント基板61に送られる。
【0040】
主プリント基板61では、コネクタ63cを介して受け取ったチャック開閉検知信号が配線61c(破線で図示)を通ってコントローラ62に入力される。そして、入力されたチャック開閉検知信号は、メインケーブル82を介してコントローラ62から外部制御装置に送信され、外部制御装置においてチャック4の開閉制御に用いられる。
【0041】
このようにロボットハンド3Aでは、主プリント基板61と電気的に接続された副プリント基板64がハンド先端部32に設けられるとともに、センサSNからの電線84がハンド先端部32の副プリント基板64に接続される。ハンド先端部32に副プリント基板64を設けることによれば、センサSNから比較的近い位置においてセンサSNからの電線84を中継することができるので、センサSNに接続される接続線(電線84)を短くすることができ、ロボットハンド3Aの動作によって接続線が断線する可能性を低減させることができる。
【0042】
なお、電線85は、ハンド本体部31とハンド先端部32とに囲まれた空間内に配置されるので、ロボットハンド3Aの動作によって断線する可能性は極めて低い。
【0043】
また、センサSNからの電線を中継する副プリント基板64をハンド先端部32に設けることにより、電源線および信号線を工夫すれば、副プリント基板64と主プリント基板61との間のインターフェースを標準化することができる。
【0044】
これによれば、例えば、顧客のニーズにより、異なる仕様(チャック数、センサ種別の変更など)のハンド先端部32(副プリント基板64)に交換する場合でも、ハンド本体部31(主プリント基板61)を交換することなく、これに対応することが可能になる。
【0045】
<副プリント基板64について>
ここで、中継基板として機能する副プリント基板64について詳述する。図4は、ロボットハンド3Aの電気的構成を説明するための図である。なお、図4には、ハンド先端部32に4つのチャック4が取り付けられ、各チャック4にセンサSN1〜SN4がそれぞれ設けられたロボットハンド3Aの電気的構成が示されている。
【0046】
図4に示されるように、ロボットハンド3Aでは、ハンド先端部32の副プリント基板64が電線(第1電線)84を介して各センサSN1〜SN4に接続されるとともに、電線(第2電線)85を介して通信制御部6の主プリント基板61に接続されている。
【0047】
各センサSN1〜SN4には、動作電力を供給する正負の電源線(第1電源線)およびセンサからの開閉検知信号を伝送する信号線がそれぞれ接続されている。すなわち、各センサSN1〜SN4と副プリント基板64とを接続する電線84には、複数対の電源線LP1〜LP4,LN1〜LN4と信号線(第1信号線)LS1〜LS4とが含まれている。
【0048】
また、主プリント基板61と副プリント基板64とを接続する電線85には、正負の電源線(「一対の電源線」または「第2電源線」とも称する)LP10,LN10と、各センサSN1〜SN4からの開閉検知信号を伝送する信号線(第2信号線)LS11〜LS14とが含まれている。
【0049】
このような構成を有するロボットハンド3Aでは、各センサSN1〜SN4からの開閉検知信号は、各センサSN1〜SN4に接続された第1信号線LS1〜LS4を介して副プリント基板64に伝送され、副プリント基板64からは、第2信号線LS11〜LS14を介して主プリント基板61に伝送される。そして、各センサSN1〜SN4の開閉検知信号は、メインケーブル82を介して、コントローラ62の制御に応じて外部制御装置に送信される。
【0050】
また、各センサSN1〜SN4には、各センサSN1〜SN4を動作させる動作電力が、副プリント基板64から供給される。具体的には、副プリント基板64は、正負の第2電源線LP10,LN10を介して主プリント基板61から動作電力を受ける。そして、副プリント基板64は、当該動作電力をセンサSN1〜SN4ごとに設けられた正負の第1電源線LP1〜LP4,LN1〜LN4を介して各センサSN1〜SN4に供給する。
【0051】
このように、副プリント基板64は、各センサSN1〜SN4の動作電力を一対の電源線LP10,LN10でまとめて受けるとともに、当該動作電力を各センサSN1〜SN4に分けて供給する。これにより、主プリント基板61から各センサSN1〜SN4までの区間のうち、主プリント基板61から副プリント基板64間においては、各センサSN1〜SN4への電源線を共通化することができるので、電源線の本数を少なくすることができる。より詳細には、副プリント基板64と各センサSN1〜SN4との間では、センサSN1〜SN4ごとに一対の電源線が設けられ、電源線の総本数は8本となるが、副プリント基板64と主プリント基板61との間では、電源線は共通化され総本数は2本となる。
【0052】
なお、電源線の省配線機能を有する上記副プリント基板64をセンサSN側からみると、当該副プリント基板64は、各センサSN1〜SN4からの電線を回路的に集約しているとも表現できる。
【0053】
以上のように、ロボットハンド3Aは、各センサSN1〜SN4に接続される電線を集約する副プリント基板64を有しているので、主プリント基板61と副プリント基板64との間の電線の本数を、副プリント基板64とセンサSNとの間の電線の本数よりも少なくすることができる。これによれば、ロボットハンド3Aの動作によって電線が断線する危険性を軽減させることができる。
【0054】
<2.第2実施形態>
次に、本発明の第2実施形態について説明する。
【0055】
第1実施形態に係るロボットハンド3Aでは、主プリント基板61と副プリント基板64との間、および副プリント基板64と各センサSN1〜SN4との間は、それぞれ電線で接続されていたが、第2実施形態に係るロボットハンド3Bでは、主プリント基板61と副プリント基板64との間、および副プリント基板64と各センサSN1〜SN4との間は、それぞれケーブル185,184で接続される。図5は、第2実施形態に係るロボットハンド3Bの電気的構成を説明するための図である。
【0056】
なお、第2実施形態に係るロボットハンド3Bでは、主プリント基板61と副プリント基板64との間、および副プリント基板64と各センサSN1〜SN4との間が、それぞれケーブル185,184で接続される点以外は、第1実施形態に係るロボットハンド3Aとほぼ同様の構成および機能(図1〜図3参照)を有しており、共通する部分については同じ符号を付して説明を省略する。
【0057】
図5に示されるように、ロボットハンド3Bでは、主プリント基板61と副プリント基板64との間は、6芯のケーブル(第2ケーブル)185で接続される。また、ロボットハンド3Bでは、副プリント基板64と各センサSN1〜SN4との間は、それぞれ3芯のケーブル(第1ケーブル)184で接続される。
【0058】
ロボットハンド3Bでは、副プリント基板64をセンサSN側からみると、当該副プリント基板64は、各センサSN1〜SN4からの4本の第1ケーブルを当該第1ケーブルよりも本数の少ない1本の第2ケーブルに集約しているとも表現できる。
【0059】
このように、ロボットハンド3Bは、各センサSN1〜SN4に接続される第1ケーブル184を集約する副プリント基板64を有しているので、主プリント基板61と副プリント基板64との間の第2ケーブル185の本数を、副プリント基板64とセンサSNとの間の第1ケーブル184の本数よりも少なくすることができる。これによれば、ロボットハンド3Bの動作によってケーブルが断線する危険性を軽減させることができる。
【0060】
<3.第3実施形態>
次に、本発明の第3実施形態について説明する。
【0061】
第3実施形態に係るロボットハンド3Cでは、ハンド本体部31に対してハンド先端部32が着脱自在に構成される。このような構成のロボットハンド3Cについて図6を参照して説明する。図6は、本発明の第3実施形態に係るロボットハンド3Cの要部構成を示す外観図である。
【0062】
なお、第3実施形態に係るロボットハンド3Cでは、ハンド本体部とハンド先端部とが着脱自在に構成される点以外は、第1実施形態に係るロボットハンド3Aとほぼ同様の構成および機能(図1〜図3参照)を有しており、共通する部分については同じ符号を付して説明を省略する。
【0063】
図6に示されるように、ロボットハンド3Cのハンド本体部31cには、上述したハンド本体部31に対して、アダプタ37の底部から突出する短尺の円筒形状の突出部(突起部)38が付加されている。
【0064】
このような構成のハンド本体部31cと、ハンド本体部31cに連結するための特定の構造を有するハンド先端部32cとの着脱動作について、図7を参照して説明する。ここで、図7(a)は、ハンド本体部31cにハンド先端部32cが結合されていない状態を示し、図7(b)は、結合されている状態を示している。
【0065】
突出部38においては、その側面の複数箇所に形成された円形孔のそれぞれの内部に、この円形孔よりも若干大きな径を持つ可動球38sが収容されている。突出部38の内部には上述したエアー溜め5e(図3)からエアーが供給されるようになっており、そのエアー供給のON/OFFによって、可動球38sが突出部38の側面から出没できるようになっている。
【0066】
一方、ハンド先端部32cに設けられた着脱孔32vは、その出口付近が狭まるような逆テーパの傾斜面32aを有する構造となっており、その開口径が、ハンド本体部31c側の突出部38の外径と適合している。
【0067】
そして、図7(a)に示す非結合状態では、可動球38sは突出部38の内部に収容されている。ところが、図7(b)に示す結合状態では、エアーの供給によって可動球38sを移動させて可動球38sの一部を突出部38の外部に突出させることにより、着脱孔32vの傾斜面32aに可動球38sが係合する。これによって、ハンド本体部31cとハンド先端部32cとが連結されることとなる。以上の動作により、組立作業に必要なチャック4の自動交換が容易となる。また、エアーの供給を停止すると可動球38sへの付勢力は消失し、ハンド本体部31cを引き抜くことによってハンド先端部32cをその自重で取り外すことができる。
【0068】
このように、いわゆるATC(オートツールチェンジャー)を備えた構成であって、色々な仕様のハンド先端部32cに交換する場合でも、前述のごとく副プリント基板64と主プリント基板61との間のインターフェースを標準化しておけば、ハンド本体部31(主プリント基板61)を交換することなく、色々な仕様のハンド先端部32c(副プリント基板64)に対応することができる。
【0069】
また、各センサSN1〜SN4からの電線を中継する副プリント基板64をハンド先端部32cに設けることにより、各センサSN1〜SN4からの電線が一旦ハンド先端部32cで完結されることになり、ハンド先端部32cの交換時における断線等の危険性を低減することができ、ハンド先端部32cの着脱が容易になる。
【0070】
そして、各センサSN1〜SN4に接続される電線(ケーブル)が副プリント基板64に集約されていることにより、ハンド先端部32cの交換時における断線等の危険性をさらに低減することができ、ハンド先端部32cの着脱がより一層容易になる。
【0071】
<4.変形例>
以上、この発明の実施の形態について説明したが、この発明は、上記に説明した内容に限定されるものではない。
【0072】
例えば、上記各実施形態では、シングルソレノイド型の8個の電磁弁50で4つのチャック4の駆動制御を行っていたが、これに限定されず、ダブルソレノイド型の4個の電磁弁で4つのチャックの駆動制御を行ってもよい。
【0073】
また、通信制御部6にLED等の発光部を設け、チャック4の開閉に応じて当該発光部の発光/非発光を制御してもよい。これによれば、発光部の発光/非発光を確認することで、チャック4の動作を確認することができる。なお、発光部の発光制御は、主プリント基板61に設けられたコントローラ62によって行えばよい。また、LED等の発光部は、副プリント基板64に設けてもよい。
【0074】
また、上記各実施形態では、チャック4の開閉を検知するセンサとして、3線式のセンサを用いていたが、これに限定されず、2線式のセンサを用いてもよい。この場合、副プリント基板64と各センサSN1〜SN4との間の電線としては、信号線LS1〜LS4と負の電源線(GND線)LN1〜LN4となるが、副プリント基板64によって4本の負の電源線LN1〜LN4から1本の負の電源線LN4に集約されるため、電線の本数としては少なくなる。
【0075】
また、上記各実施形態では、主プリント基板61にコントローラ62を設けたが、このコントローラ62をロボットハンドの外部に設けてもよい。
【0076】
また、上記第2実施形態では、各センサSN1〜SN4への電源線を共通化して第2ケーブル185の芯数を減らしていたが、これに限定されない。図8は、変形例に係るロボットハンド3Dの電気的構成を説明するための図である。
【0077】
具体的には、図8に示されるように、各センサSN1〜SN4に関する電源線を共通化せず、第2ケーブル185として各センサSN1〜SN4に関する電源線および信号線を全て含んだケーブルを用いてもよい。すなわち、ロボットハンド3Dの第1ケーブル185としては、12芯のケーブルが用いられる。この場合においても、副プリント基板64は、各センサSN1〜SN4からの第1ケーブルを当該第1ケーブルよりも本数の少ない第2ケーブルに集約する。
【0078】
また、上記各実施形態のロボットハンド3A〜3Dにおいて、ハンド本体部31とハンド先端部32との接続部(連結部)を図9に示すように被覆部材HJで覆う構成としてもよい。これによれば、主プリント基板61と副プリント基板64とを接続する電線85またはケーブル185が、外部に露出することを防ぐことができるので、電線85またはケーブル185の断線の可能性をさらに低減させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0079】
【図1】第1実施形態に係るロボットハンドを備えたロボットの要部構成を示す外観図である。
【図2】第1実施形態に係るロボットハンドの要部構成を示す外観図である。
【図3】第1実施形態に係るロボットハンドの機能構成を説明するための概念図である。
【図4】第1実施形態に係るロボットハンドの電気的構成を説明するための図である。
【図5】第2実施形態に係るロボットハンドの電気的構成を説明するための図である。
【図6】第3実施形態に係るロボットハンドの要部構成を示す外観図である。
【図7】ハンド本体部とハンド先端部との着脱動作を説明するための図である。
【図8】変形例に係るロボットハンドの電気的構成を説明するための図である。
【図9】ハンド本体部とハンド先端部との接続部を被覆部材で覆う構成を示す図である。
【符号の説明】
【0080】
1 ロボット
2 アーム
3A,3B,3C,3D ロボットハンド
4 チャック
6 通信制御部
31,31c ハンド本体部
32,32c ハンド先端部
50,50a,50b 電磁弁
61 主プリント基板
62 コントローラ
63a〜63e コネクタ
64 副プリント基板
84 第1電線
85 第2電線
Ef エアー
LP1〜LP4,LN1〜LN4 第1電源線
LP10,LN10 第2電源線
LS1〜LS4 第1信号線
LS11〜LS14 第2信号線
SN,SN1〜SN4 センサ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
産業用ロボットのアームに装着可能なロボットハンドであって、
前記アームに装着されるハンド本体部と、
前記ハンド本体部に接続されるとともに、被把持物を把持するチャックの取付けが可能なハンド先端部と、
を備え、
前記ハンド先端部は、前記チャックに設けられ当該チャックの動作を検出可能なセンサに電線を介して接続される第1基板を有し、
前記ハンド本体部は、前記第1基板と電気的に接続される第2基板を有することを特徴とするロボットハンド。
【請求項2】
請求項1に記載のロボットハンドにおいて、
前記ハンド本体部と前記ハンド先端部とは、着脱自在に構成されることを特徴とするロボットハンド。
【請求項3】
産業用ロボットのアームに装着可能なロボットハンドであって、
前記アームに装着されるハンド本体部と、
前記ハンド本体部に接続されるとともに、被把持物を把持する複数のチャックの取付けが可能なハンド先端部と、
を備え、
前記ハンド先端部は、前記複数のチャックそれぞれの動作を検出可能な複数のセンサに第1電線を介して接続される第1基板を有し、
前記ハンド本体部は、前記第1電線よりも本数の少ない第2電線を介して前記第1基板に接続される第2基板を有し、
前記第1基板は、前記第1電線を前記第2電線に集約させることを特徴とするロボットハンド。
【請求項4】
請求項3に記載のロボットハンドにおいて、
前記第1電線には、前記複数のセンサそれぞれに動作電力を供給する複数対の電源線が含まれ、
前記第2電線には、前記複数対の電源線を集約した一対の電源線が含まれることを特徴とするロボットハンド。
【請求項5】
請求項3または請求項4に記載のロボットハンドにおいて、
前記ハンド本体部と前記ハンド先端部とは、着脱自在に構成され、
前記第1基板は、前記第2電線を接続させるコネクタを有していることを特徴とするロボットハンド。
【請求項6】
産業用ロボットのアームに装着可能なロボットハンドであって、
前記アームに装着されるハンド本体部と、
前記ハンド本体部に接続されるとともに、被把持物を把持する複数のチャックの取付けが可能なハンド先端部と、
を備え、
前記ハンド先端部は、前記複数のチャックそれぞれの動作を検出可能な複数のセンサに第1ケーブルを介して接続される第1基板を有し、
前記ハンド本体部は、第2ケーブルを介して前記第1基板に接続される第2基板を有し、
前記第1基板は、前記複数のセンサそれぞれに接続される前記第1ケーブルを、当該第1ケーブルよりも本数の少ない前記第2ケーブルに集約させることを特徴とするロボットハンド。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2010−149236(P2010−149236A)
【公開日】平成22年7月8日(2010.7.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−330518(P2008−330518)
【出願日】平成20年12月25日(2008.12.25)
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)国等の委託研究の成果に係る特許出願(平成20年度独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構「次世代ロボット知能化技術開発プロジェクト・作業知能(生産分野)の開発・世界標準を目指したロボットセル生産用知能ハンドモジュール群とマニュアル作業激減知能モジュール群の開発と検証」委託研究、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願)
【出願人】(000000309)IDEC株式会社 (188)
【Fターム(参考)】