説明

ロボット制御システムおよびロボット制御方法

【課題】ロボットの自動組立を継続して行う際に様々な要因によって生じ得る作業対象部品などの位置ずれによる「チョコ停」の未然防止を可能とするロボット制御システムおよびロボット制御方法を提供する。
【解決手段】ロボット制御方法の一実施形態では、X軸方向、Y軸方向および回転角θについて水平移動可能なX−Y−θステージ9上に載置された部品供給トレイ5に搭載された作業対象部品をロボットハンド31に取り付けられた小型カメラで撮像する。撮像された画像の画像処理によって、次の作業対象部品を検出して正確な位置を算出するとともに、正常位置データとの比較によって位置誤差を算出して、その位置誤差を補正するような指令をX−Y−θステージ9に与える。そのようにして位置誤差が補正された後に、次の作業対象部品に対する作業を実行する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ロボット制御システムおよびロボット制御方法に関し、特に、いわゆる「チョコ停」の未然防止を可能とするロボット制御システムおよびロボット制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
産業用ロボットは、一般に、旋回可能かつ上下動可能なロボットアームと、ロボットアームの先端に設けられ、ワーク(部品)を把持するためのチャック部を有するロボットハンドと、ロボットアームおよびロボットハンドを所定の制御プログラムにしたがって駆動制御する制御部とを備えている。また、自動組立装置は、ワークテーブル面上のそれぞれ所定位置に配置された、多数の部品を収容する複数の部品供給トレイと、部品の組立を行うための組立用治具とを有している。
【0003】
自動組立装置の運転時には、ロボットアームを駆動して、ロボットハンドを所定の部品供給トレイの位置まで移動させ、先端のチャック部で部品を把持する。この状態から、ロボットアームを駆動して、ロボットハンドを組立用治具の位置まで移動させ、チャック部に把持されていた部品を組立用治具に組み付ける。以下、同様の動作を繰り返すことにより、所望の機器が自動的に組み立てられることになる。
【0004】
このような産業用ロボットを含む自動組立装置においては、自動運転を開始する前に、ロボットに対して動作基準座標や動作手順等を教示するティーチングという作業が必要になる。従来のティーチング作業では、パソコン上のコンピュータシミュレーションなどにより、概略の座標位置を求めた後、作業者が、ティーチングペンダントやティーチングボックスを用いて実際にロボットハンドをマニュアル操作することにより、正確な座標位置の設定を行うようにしている(例えば、特許文献1および特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2000−354919号公報
【特許文献2】特開2006−043844号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上述のような従来技術では、ティーチング作業において細かな座標位置の設定が非常に煩雑であった。また、ロボットの個体差による誤差、ロボットハンドや部品供給トレイ、組立用治具などの各種モジュールの設置時に生じる誤差、チャック部や組立用治具自体の個体差による誤差があるため、ロボット等を設置し直すごとにティーチングを行わなければならず、ティーチング作業に長時間を要していた。
【0007】
とくに、小さな機器の組立装置の場合には、操作者が装置の中に頭を突っ込んで無理な態勢でティーチング作業を行わなければならない場合もあり、操作者にとって、とても安全かつフレンドリーな作業環境とはいえないものであった。
【0008】
さらに、ロボットの自動組立を継続して行うと、ロボットアーム自身の位置ずれやロボットハンドの位置ずれが発生して累積し、あるいはワークの位置ずれにより、自動運転中に組立を継続して行えないというトラブルが発生して、ロボットが停止するといういわゆる「チョコ停」(すなわち、機械の故障ではなく、一時的なトラブルに起因した機械の停止状態)が発生していた。
【0009】
従来技術のこのような課題に鑑み、本発明の目的は、上記のように様々な要因によって生じ得る作業対象部品などの位置ずれによる「チョコ停」の未然防止を可能とするロボット制御システムおよびロボット制御方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するため、本発明のロボット制御システムは、作業内容を制御可能なロボットハンドを有するロボットと、前記ロボットハンドの作業対象物が搭載されたトレイが載置される載置面が外部からの指令で水平移動可能な可動台と、この可動台の上に載置された前記トレイに搭載された作業対象物を撮像する撮像部と、この撮像部で撮像された画像データから前記作業対象物を検出するとともに、検出された前記作業対象物の正常位置に対する位置誤差を算出する画像処理部と、この画像処理部で算出された前記位置誤差を補正するような移動を前記可動台に指令する位置誤差補正部とを備えることを特徴とする。
【0011】
ここで、作業とは、例えば部品の自動組立などを例示できるが、これには限られない。作業対象物とは、例えば、電気部品や機械部品などの各種部品を例示できるが、これには限られない。前記可動台としては、水平面内においてX軸方向およびこのX軸に直交するY軸方向にいずれも独立移動可能であるとともに回転角θも可変であるX−Y−θステージを例示できるが、これに限るわけではない。
【0012】
このような構成のロボット制御システムによれば、ロボットによる自動組立などの作業を継続して行った場合などに、ロボットハンドなどの位置ずれが発生して累積したり、あるいは部品が搭載されるトレイを載置するときに位置ずれが発生したりしても、それらの位置ずれが前記可動台を使用することで適切に補正される。これにより、いわゆる「チョコ停」の未然防止が可能となって、ロボットやロボット制御システム全体の稼働率が向上する。
【0013】
また、本発明のロボット制御システムにおいて、前記撮像部は、前記ロボットハンドに取り付けられており、前記作業対象物を上方から撮像するようにしてもよい。
【0014】
このような構成のロボット制御システムによれば、撮像データにおいて作業対象物の周辺端部などが明瞭で歪みなども比較的少なく、画像処理による検出がしやすくなって位置精度も高まる。なるべく大きめの倍率となるように、至近距離から撮像すれば、さらに位置検出精度を高めることができる。
【0015】
あるいは、上記目的を達成するため、本発明のロボット制御方法は、作業内容を制御可能なロボットハンドの作業対象物が搭載されたトレイが、外部からの指令で水平移動可能な可動台の上に載置された状態で、前記作業対象物が含まれるように撮像する撮像工程と、この撮像工程で撮像された画像データから前記作業対象物を検出するとともに、検出された前記作業対象物の正常位置に対する位置誤差を算出する画像処理工程と、この画像処理工程で算出された前記位置誤差を補正するような移動を前記可動台に指令する位置誤差補正工程と、前記可動台の前記移動によって前記位置誤差が補正された後に、前記作業対象物への作業を実行する作業実行工程とを含むことを特徴とする。
【0016】
ここで、前記撮像工程では、前記作業対象物のうちで次の作業対象となるべき次作業対象物が含まれるように撮像するとともに、前記画像処理工程では、前記撮像工程で撮像された画像データから前記次作業対象物を検出するとともに、検出された前記次作業対象物の正常位置に対する位置誤差を算出することが好ましい。
【0017】
このような構成のロボット制御方法によれば、ロボットによる自動組立などの作業を継続して行った場合などに、ロボットハンドなどの位置ずれが発生して累積したり、あるいは部品が搭載されるトレイを載置するときに位置ずれが発生したりしても、それらの位置ずれが前記可動台を使用することで適切に補正される。これにより、いわゆる「チョコ停」の未然防止が可能となって、ロボットやロボット制御システム全体の稼働率が向上する。
【0018】
また、本発明のロボット制御方法において、前記撮像工程では、前記作業対象物の形状を検出して正常な形状データと比較する形状検査も行って、前記作業対象物が不良品か否かを識別し、不良品と識別された前記作業対象物については、前記作業実行工程での作業を実行しないようにしてもよい。
【0019】
このような構成のロボット制御方法によれば、作業対象物の変形などに起因する「チョコ停」の未然防止も可能となり、ロボットやロボット制御システム全体の稼働率がさらに向上する。
【発明の効果】
【0020】
本発明のロボット制御システムおよびロボット制御方法によれば、ロボットによる自動組立などの作業を継続して行った場合などに、ロボットハンドなどの位置ずれが発生して累積したり、あるいは部品が搭載されるトレイを載置するときに位置ずれが発生したりしても、それらの位置ずれが前記可動台を使用することで適切に補正される。これにより、いわゆる「チョコ停」の未然防止が可能となって、ロボットやロボット制御システム全体の稼働率が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の第1実施形態に係るロボット制御システム1の平面概略図である。
【図2】ロボット制御システム1で制御されるロボット3の側面斜視図である。
【図3】ロボット3が有するロボットアーム30の先端に設けられるロボットハンド31の拡大斜視図である。
【図4】組立用治具7およびX−Y−θステージ9の概略斜視図である。
【図5】ロボット制御システム1のティーチングに使用されるティーチングペンダント10の正面拡大図である。
【図6】ロボット制御システム1の制御部100のブロック構成図である。
【図7】小型カメラ34によって撮像されて次の作業対象部品Pnがほぼ中央に写っている画像が、パソコン110の画面に表示された一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施形態を、図面を参照して説明する。
【0023】
<ロボット制御システム1の構成>
図1は本発明の一実施形態に係るロボット制御システム1の平面概略図である。図2はこのロボット制御システム1で制御されるロボット3の側面斜視図である。図3はこのロボット3が有するロボットアーム30の先端に設けられるロボットハンド31の拡大斜視図である。図4は組立用治具7およびX−Y−θステージ9の概略斜視図である。図5はロボット制御システム1のティーチングに使用されるティーチングペンダント10の正面拡大図である。
【0024】
図1に示すように、ロボット制御システム1は、ワークテーブル2上に離隔配置された2つの組立用ロボット3、4を備えている。ロボット3、4はいずれも多関節ロボットであって、複数のロボットアーム30、40をそれぞれ有している。先端側のロボットアーム30、40の先端には、ロボットハンド31、41がそれぞれ設けられている。
【0025】
ワークテーブル2上の一側部には、それぞれ多数の部品(ワーク)(図示せず)を収容する複数の部品供給トレイ5、6が整列して配置されている。これらの部品供給トレイ5、6は、図示しない搬入装置によって、ワークテーブル2上に搬入されるようになっている。ワークテーブル面2上において、略中央位置には、各ロボット3、4により部品の組立作業が行われる組立用治具7が取り付けられている。ワークテーブル2の下方には、それぞれロボット3、4を駆動制御するためのコントローラA、Bが設けられている。また、ワークテーブル2の一側方には、ロボットアーム30、40の可動範囲全体を撮影するための可搬型カメラ8が配置されている。可搬型カメラ8は、広角レンズを有し、ズーム機能およびパン機能を有しているものが好ましい。
【0026】
ロボット3は、図2に示すように、先端側のロボットアーム30の先端に着脱自在なロボットハンド31を有している。ロボットハンド31には、複数のワーク把持用チャック部32が設けられている。
【0027】
チャック部32は、図3に示すように、支持台33に支持されている。支持台33には、チャック部32を駆動する駆動機構が内蔵されている。ロボットハンド31は、ベース板31Aを有している。図示された4つの支持台33のうちの一つが、ベース板31A上において図示矢印方向に移動可能に設けられており、この移動可能な支持台33の側面には、チャック部32の先端を撮影するための小型カメラ(例えば、ビジョンカメラまたはCCDカメラ)34が取り付けられている。
【0028】
なお、ロボット4のロボットハンド41についても同様の構成を有しているため、ここでは、説明を省略する。
【0029】
また、本実施形態では、複数の部品供給トレイ5のうちの1つが、図4に示すように、外部からの指令で水平移動可能なX−Y−θステージ9の上面に載置されるようになっている。このX−Y−θステージ9は、例えば、外部から電気信号などによって指令を与えることで、その上面を、水平面内で直交する2方向(X軸方向およびY軸方向)にそれぞれ独立して移動させて精密な位置決めができるとともに、さらに、その水平面内の回転角θも精密に変更できるように構成されている。なお、他の部品供給トレイ5も同様に、それぞれ別のX−Y−θステージに載置するようにしてもよい。
【0030】
また、このロボット制御システム1は、図5に示すようなティーチングペンダント(操作部)10を有している。ティーチングペンダント10は、ロボットハンド31のカメラ34で撮影された画像を表示するためのLCD(液晶)ディスプレイ11と、操作者が握るための左右のグリップ12、13と、非常停止スイッチ14とを備えている。
【0031】
ディスプレイ11は、タッチパネル式のディスプレイである。また、ディスプレイ11の左右両側には、起動、停止、ティーチングなどのロボット操作用の押しボタンスイッチ11aが複数個設けられている。グリップ12の裏面には、ティーチング時や試運転時などの非定常作業時に操作者が危険を回避するための3ポジション方式のイネーブルスイッチ15(図6参照)が設けられている。
【0032】
次に、ロボット制御システム1の制御部について図6を用いて説明する。この図6はロボット制御システム1の制御部100のブロック構成図である。
【0033】
制御部100は、記憶部とコンピュータを含んでいる。記憶部は以下に説明するロボット制御方法を実行するためのコンピュータプログラムが記憶され、コンピュータは当該プログラムを実行する。詳細には制御部100は、ロボット3のコントローラAと、ロボット4のコントローラBと、パソコン110とを含んで構成されている。コントローラA、Bは互いに通信可能に構成されている。
【0034】
コントローラAの入力側には、ティーチングペンダント10がワイヤレスで接続されている。ティーチングペンダント10には、上述したように、タッチパネル式のディスプレイ11、非常停止スイッチ14およびイネーブルスイッチ15が接続されている。また、コントローラAの入力側には、小型カメラ34および可搬型カメラ8が接続されている。
【0035】
コントローラAの出力側には、ロボットアーム30およびロボットハンド31を駆動するためのモータma1〜manが接続されている。また、コントローラAの出力側には、自動運転中の「チョコ停」の発生時に仕掛品をワークテーブル2上から撤去するための撤去装置105が接続されている。この撤去装置105は、ロボットハンド31に設けられており、好ましくは、ロボットハンド31におけるいずれかのチャック部32が撤去装置105として機能している。なお、ワークテーブル2上に向けて圧搾空気を噴出させるためのエアノズルを撤去装置105に設けるようにしてもよいし、このエアノズルをロボットハンド31に設けるようにしてもよい。
【0036】
コントローラAの出力側には、さらにパソコン110が接続されている。パソコン110は、ティーチング時のシミュレーションを行うだけでなく、可搬型カメラ8で撮影した自動運転中の映像をモニターするのに用いられている。パソコン110は、コントローラAに無線LANで接続されている。なお、自動運転中の映像は、ティーチングペンダント10に表示するようにしてもよい。
【0037】
また、コントローラAの出力側には、X−Y−θステージ9も接続されている。
【0038】
一方、コントローラBの入力側には、同様にロボット4において、ロボットハンド41のチャック部の支持台に設けられた小型カメラ44が接続されている。また、コントローラBの出力側には、ロボットアーム40およびロボットハンド41を駆動するためのモータmb1〜mbnと、撤去装置105と同様の撤去装置106とが接続されている。
【0039】
<ロボット制御システム1の処理の流れ>
本実施形態に係るロボット制御システム1では、例えば、部品の組立の主要作業はロボット4によって行われるものとする。その作業中にロボット3によって行われる処理の流れは概ね次の通りである。
【0040】
(1)部品供給トレイ5に搭載された作業対象部品を小型カメラ34で撮像
まず、X−Y−θステージ9上に載置された部品供給トレイ5付近までロボットハンド31を移動させた後、さらに、ロボットハンド31に取り付けられた小型カメラ34が、部品供給トレイ5上に搭載されている複数の作業対象部品Pのうちで次の作業対象となるべき部品Pnの正常位置の真上に来るように移動させる。
【0041】
そして、そこから小型カメラ34が真下を見下ろすようにして次の作業対象部品Pnを中央にして撮影する。こうすれば、撮像データにおいて次の作業対象部品Pnの周辺端部などが明瞭で歪みなども比較的少ないから、画像処理による検出がしやすくなって位置精度も高まる。撮像した画像データから検出可能な次の作業対象部品Pnの位置精度をできるだけ高めるには、なるべく大きめの倍率となるように、至近距離から撮像することが好ましい。
【0042】
このようにして撮像されて次の作業対象部品Pnがほぼ中央に写っている画像が、パソコン110の画面に表示された一例を図7に示す。この画面では、水平方向がX−Y−θステージ9のX軸方向に対応し、垂直方向がX−Y−θステージ9のY軸方向に対応している。また、位置検出や補正などが正常に行われているかどうかを容易に視認できるように、画面上には水平方向および垂直方向の中心線をそれぞれ描画している。ただし、このような表示は任意であって、他の表示形態でもよいし、なくてもかまわない。
【0043】
(2)撮像された画像から作業対象部品の位置誤差を算出
小型カメラ34によって撮像された画像をパソコン110によって画像処理することによって、その画像データから次の作業対象部品Pnを検出する。そして、次の作業対象部品Pnの実際の正確な位置を算出し、正常位置データとの比較によって次の作業対象部品Pnの位置誤差を算出する。
【0044】
図7に示した例では、次の作業対象部品Pnの中心が、画面の中心よりも右上方向にずれているが、回転角θのずれはほとんど生じていないことがわかる。
【0045】
なお、このときの画像処理では、次の作業対象部品Pnの各部形状なども検出して、作業対象部品Pの正常な形状データと比較する形状検査も併せて行うことが好ましい。そして、この形状検査の結果、正常な形状データとの差が一定値以上であれば、次の作業対象部品Pnが不良品であると識別する。このときは、次の(3)、(4)を省き、次の作業対象部品Pnに対してロボットハンド31による作業は実行しない。そして、部品供給トレイ5に搭載されているさらに次の作業対象部品Pを対象として、(1)からの処理を行う。
【0046】
(3)位置誤差を補正するようにX−Y−θステージ9の上面を水平移動
算出された次の作業対象部品Pnの位置誤差に基づいて、その位置誤差を補正してキャンセルするような水平移動させるための指令をX−Y−θステージ9に与える。具体的には、位置誤差の補正量に応じたX軸方向、Y軸方向および回転角θの移動量に対応する信号出力などを送ればよい。
【0047】
水平移動終了後には、もう一度、上記(1)および(2)を繰り返し、次の作業対象部品Pnが正常位置にあって位置誤差がなくなっているかどうかを確認することが好ましい。もし、位置誤差が残存しているようなら、上記(3)も繰り返す必要がある。
【0048】
(4)次の作業対象部品Pnに対する作業の実行
以上のようにして、位置誤差がX−Y−θステージ9によって補正され、次の作業対象部品Pnが正常位置になった後に、ロボットハンド31による次の作業対象部品Pnに対する作業を実行することができる。
【0049】
以上で説明した本実施形態の構成によれば、ロボット3による自動組立などを継続して行った場合などに、ロボットアーム30やロボットハンド31の位置ずれが発生して累積したり、あるいは部品供給トレイ5を載置するときに位置ずれが発生したりしても、それらが集約された位置ずれがX−Y−θステージ9を使用することで適切に補正される。これにより、いわゆる「チョコ停」の未然防止が可能となって、ロボット3やロボット制御システム1全体の稼働率が向上する。
【0050】
また、次の作業対象部品Pnの形状検査も併せて行うことで、作業対象部品Pの変形などに起因する「チョコ停」の未然防止も可能となり、ロボット3やロボット制御システム1全体の稼働率がさらに向上する。
【0051】
また、以上の説明のように、X−Y−θステージ9による位置ずれの補正は、作業対象部品Pn毎に行ってもよいし、最初の作業対象部品に対して位置ずれ補正を行えば、その他の作業対象部品も同じトレイ上に搭載されているので位置ずれ補正されるので、最初の作業対象部品に対してのみ行ってもよい。このように位置ずれの補正を1回だけにすれば、組立工程全体を処理するタクトタイムがあまり影響を受けて長くなることを防止できる。
【0052】
また、ロボット3のロボットハンド31に設けられた小型カメラ34を用いたが、これに代えて可搬型カメラ8を用いてもよい。この場合、可搬型カメラ8は部品供給トレイ5を見下ろすように撮影できるように設置される。このように構成すれば、ロボット3、4の動作とは独立して位置ずれの補正を行うことができるので、組立工程全体を処理するタクトタイムが影響を受けて長くなることを防止できる。
【0053】
本発明は、その主旨または主要な特徴から逸脱することなく、他のいろいろな形で実施することができる。そのため、上述の実施形態や実施例はあらゆる点で単なる例示にすぎず、限定的に解釈してはならない。本発明の範囲は特許請求の範囲によって示すものであって、明細書本文にはなんら拘束されない。さらに、特許請求の範囲の均等範囲に属する変形や変更は、全て本発明の範囲内のものである。
【符号の説明】
【0054】
1 ロボット制御システム
2 ワークテーブル
3 ロボット
30 ロボットアーム
31 ロボットハンド
32 チャック部
33 支持台
34 小型カメラ
4 ロボット
40 ロボットアーム
41 ロボットハンド
44 小型カメラ
5 部品供給トレイ
6 部品供給トレイ
7 組立用治具
8 可搬型カメラ
9 X−Y−θステージ
10 ティーチングペンダント
11 タッチパネル式ディスプレイ
12 グリップ
13 グリップ
14 非常停止ボタン
15 イネーブルスイッチ
100 制御部
105 撤去装置
106 撤去装置
110 パソコン
A、B コントローラ
P 作業対象部品
Pn 次作業対象部品
W ワーク

【特許請求の範囲】
【請求項1】
作業内容を制御可能なロボットハンドを有するロボットと、
前記ロボットハンドの作業対象物が搭載されたトレイが載置される載置面が外部からの指令で水平移動可能な可動台と、
この可動台の上に載置された前記トレイに搭載された作業対象物を撮像する撮像部と、
この撮像部で撮像された画像データから前記作業対象物を検出するとともに、検出された前記作業対象物の正常位置に対する位置誤差を算出する画像処理部と、
この画像処理部で算出された前記位置誤差を補正するような移動を前記可動台に指令する位置誤差補正部と
を備えることを特徴とするロボット制御システム。
【請求項2】
請求項1に記載のロボット制御システムにおいて、
前記可動台は、水平面内においてX軸方向およびこのX軸に直交するY軸方向にいずれも独立移動可能であるとともに回転角θも可変であるX−Y−θステージであることを特徴とするロボット制御システム。
【請求項3】
請求項1または2に記載のロボット制御システムにおいて、
前記撮像部は、前記ロボットハンドに取り付けられており、前記作業対象物を上方から撮像することを特徴とするロボット制御システム。
【請求項4】
作業内容を制御可能なロボットハンドの作業対象物が搭載されたトレイが、外部からの指令で水平移動可能な可動台の上に載置された状態で、前記作業対象物が含まれるように撮像する撮像工程と、
この撮像工程で撮像された画像データから前記作業対象物を検出するとともに、検出された前記作業対象物の正常位置に対する位置誤差を算出する画像処理工程と、
この画像処理工程で算出された前記位置誤差を補正するような移動を前記可動台に指令する位置誤差補正工程と、
前記可動台の前記移動によって前記位置誤差が補正された後に、前記作業対象物への作業を実行する作業実行工程と
を含むことを特徴とするロボット制御方法。
【請求項5】
請求項4に記載のロボット制御方法において、
前記撮像工程では、前記作業対象物のうちで次の作業対象となるべき次作業対象物が含まれるように撮像するとともに、
前記画像処理工程では、前記撮像工程で撮像された画像データから前記次作業対象物を検出するとともに、検出された前記次作業対象物の正常位置に対する位置誤差を算出することを特徴とするロボット制御方法。
【請求項6】
請求項4または5に記載のロボット制御方法において、
前記撮像工程では、前記作業対象物の形状を検出して正常な形状データと比較する形状検査も行って、前記作業対象物が不良品か否かを識別し、
不良品と識別された前記作業対象物については、前記作業実行工程での作業を実行しないことを特徴とするロボット制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−110628(P2011−110628A)
【公開日】平成23年6月9日(2011.6.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−266809(P2009−266809)
【出願日】平成21年11月24日(2009.11.24)
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)国等の委託研究の成果に係る特許出願(平成21年度独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構「次世代ロボット知能化技術開発プロジェクト・作業知能(生産分野)の開発・世界標準を目指したロボットセル生産用知能ハンドモジュール群とマニュアル作業激減知能モジュール群の開発と検証」委託研究、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願)
【出願人】(000000309)IDEC株式会社 (188)
【Fターム(参考)】