説明

ロボット

【課題】先端側のアームの揺動やエンドエフェクタの回転を行わせるために必要な部品点数を削減することによって製造コストを低減することができるロボットを提供すること。
【解決手段】実施形態の一態様に係るロボットは、モータとハイポイドギヤとを備える。モータは、ロボットアームの内部に設けられる。ハイポイドギヤは、モータの駆動力をロボットアームへ連結された先端側のアームへ伝達して先端側のアームの揺動またはエンドエフェクタの回転を行わせる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
開示の実施形態は、ロボットに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ロボットアームへ連結された手首ユニット等の先端側のアームにエンドエフェクタが取付けられ、ロボットアームの内部に設けられたモータによって先端側のアームの揺動およびエンドエフェクタの回転を行って所定の作業を自動的に行うロボットがある。
【0003】
かかるロボットでは、モータに取付けられた駆動プーリと先端側のアームの揺動軸やエンドエフェクタの回転軸に取付けられた従動プーリとが無端ベルトによって連動連結される(例えば、特許文献1参照)。これにより、モータの駆動力が先端側のアームの揺動軸やエンドエフェクタの回転軸へ伝達される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−094749号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記従来のロボットは、先端側のアームの揺動やエンドエフェクタの回転を行わせるために必要な部品点数が多く、製造コストが嵩むという問題があった。
【0006】
実施形態の一態様は、上記に鑑みてなされたものであって、製造コストを低減することができるロボットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
実施形態の一態様に係るロボットは、モータとハイポイドギヤとを備える。モータは、ロボットアームの内部に設けられる。ハイポイドギヤは、該モータの駆動力を前記ロボットアームへ連結された先端側のアームへ伝達して前記先端側のアームの揺動またはエンドエフェクタの回転を行わせる。
【発明の効果】
【0008】
実施形態の一態様によれば、先端側のアームの揺動やエンドエフェクタの回転を行わせるために必要な部品点数を削減することによって製造コストを低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】図1は、第1の実施形態に係るロボットの斜視による模式図である。
【図2A】図2Aは、第1の実施形態に係る先端側のアームおよびロボットアームの内部を示す模式的な説明図である。
【図2B】図2Bは、第1の実施形態に係る先端側のアームおよびロボットアームの内部を示す模式的な説明図である。
【図3】図3は、第2の実施形態に係るロボットの第3アームよりも先端側の構成を示す断面模式図である。
【図4】図4は、第3の実施形態に係るロボットの斜視による模式図である。
【図5A】図5Aは、第3の実施形態に係る先端側のアームおよびロボットアームの内部を示す模式的な説明図である。
【図5B】図5Bは、第3の実施形態に係る先端側のアームおよびロボットアームの内部を示す模式的な説明図である。
【図5C】図5Cは、第3の実施形態に係る先端側のアームおよびロボットアームの内部を示す模式的な説明図である。
【図6】図6は、第4の実施形態に係るロボットの第3アームよりも先端側の構成を示す断面模式図である。
【図7】図7は、第4の実施形態の変形例に係るロボットを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、添付図面を参照し、アーク溶接用のロボットを例に挙げて本願の開示するロボットの実施形態を詳細に説明する。なお、以下に示す実施形態によりこの発明が限定されるものではない。
【0011】
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態に係るロボット1の斜視による模式図である。図1に示すように、ロボット1は、床面等に固定された基台上に取り付けられた基礎部10と、基礎部10から延伸する多軸のロボットアームと、ロボットアームの先端に取り付けられたエンドエフェクタとを備える。ここで、エンドエフェクタは、アーク溶接用のトーチ16である。
【0012】
ロボットアームは、基端側(基礎部10)から先端側(トーチ16)へ向けて第1アーム11、第2アーム12、第3アーム13、第4アーム14および第5アーム15という5本のアームが連結されて構成される。
【0013】
これらの各アームは、内部にアクチュエータが設けられており、図1に両向き矢印で示すように、各アームの連結部を関節として各アクチュエータによりそれぞれ回転駆動または揺動駆動される。
【0014】
具体的には、ロボット1の設置面を水平面とした場合、第1アーム11は、水平面の法線(鉛直方向に伸びる仮想線)と平行な軸Sを回転軸として回転駆動される。第2アーム12は、軸Sに対して延伸方向が90°異なる軸Lを揺動軸として揺動駆動される。
【0015】
また、第3アーム13は、軸Lに対して延伸方向が平行な軸Uを揺動軸として揺動駆動される。第4アーム14は、軸Uに対して延伸方向が90°異なる軸Rを回転軸として回転駆動される。
【0016】
第5アーム15は、軸Rに対して延伸方向が90°異なる軸Bを揺動軸として揺動駆動される。かかる第5アーム15の先端には、エンドエフェクタであるアーク溶接用のトーチ16が連結される。
【0017】
トーチ16は、軸Bに対して延伸方向が90°異なる軸Tを回転軸として回転駆動される。このように、ロボット1は、5軸の自由度を備えた片腕の多軸ロボットである。なお、実施形態に係るロボット1における関節の自由度は5軸に限定されるものではない。
【0018】
また、ロボット1では、アーク溶接の溶加材となる溶接ワイヤがワイヤ用ホースWを経由してロボット1の外部からトーチ16へ供給される。さらに、ロボット1では、アルゴンや炭酸ガス等のシールドガスがガス用ホースGを経由してロボット1の外部からトーチ16へ供給される。
【0019】
ここで、ワイヤ用ホースWは、第2アーム12の側面を経由して第3アーム13の内部へ導入される。一方、ガス用ホースGは、第2アーム12の内部を経由して第3アーム13の内部へ導入される。かかるガス用ホースGの先端は、第3アーム13の内部でワイヤ用ホースWへ連結される。
【0020】
そして、溶接ワイヤおよびシールドガスは、ワイヤ用ホースWを通してトーチ16へ供給される。なお、ガス用ホースGが連結されたワイヤ用ホースWの取り回しについては、図2Aを用いて後述する。
【0021】
かかるロボット1は、所定のロボット制御装置(図示略)による制御にしたがって、第1〜第5アーム11〜15およびトーチ16を動作させ、溶接対象へトーチ16を接近させトーチ16からシールドガスを噴射させながらアークを発生させてアーク溶接を行う。
【0022】
次に、第4アーム14および第5アーム15の構成について図2Aおよび図2Bを用いて説明する。ここで、第5アーム15は、ロボットアームの最も先端側に連結されたアームである。このため、以下では、第5アーム15を便宜上、先端側のアーム15と記載し、第4アーム14を先端側のアーム15と区別するためにロボットアーム14と記載する。
【0023】
図2Aおよび図2Bは、第1の実施形態に係る先端側のアーム15およびロボットアーム14の内部を示す模式的な説明図である。具体的には、図2Aには、軸R、軸Bおよび軸Tが同一平面上となるように先端側のアーム15を揺動させ、軸R、軸Bおよび軸Tを含む平面によって先端側のアーム15、ロボットアーム14およびトーチ16を切断した場合における模式的な断面を示す。また、図2Bには、図2AにおけるX−X´線による模式的な断面を示す。
【0024】
図2Aおよび図2Bに示すように、ロボットアーム14は、ロボットアーム14の基端から先端へ向けて延伸した一対の第1ハウジング部20および第2ハウジング部21を有する筐体22を備える。
【0025】
第1ハウジング部20は、トーチ16を回転させるハイポイドギヤ23およびハイポイドギヤ23を駆動する回転用のモータ24を収納する。ここで、回転用のモータ24は、回転シャフト241の回転軸が第1ハウジング部20の延伸方向(軸Rと平行な方向)となるように配置される。
【0026】
また、ハイポイドギヤ23は、回転用のモータ24の回転シャフト241へ嵌合されたピニオンギヤ231と、ピニオンギヤ231に対して噛合された傘歯車232とを含む。ここで、ハイポイドギヤ23の傘歯車232は、回転軸とピニオンギヤ231の回転軸とのなす角度が90度となる方向(軸Bと平行な方向)となるように配置される。
【0027】
かかるハイポイドギヤ23では、傘歯車232がピニオンギヤ231の回転速度よりも遅い回転速度で回転する。すなわち、ハイポイドギヤ23は、回転用のモータ24の出力を減速する減速機構として機能する。
【0028】
一方、第2ハウジング部21は、先端側のアーム15を揺動させるハイポイドギヤ25およびハイポイドギヤ25を駆動する揺動用のモータ26を収納する。ここで、揺動用のモータ26は、回転シャフト261の回転軸が第2ハウジング部21の延伸方向(軸Rと平行な方向)となるように配置される。
【0029】
また、ハイポイドギヤ25は、揺動用のモータ26の回転シャフト261へ嵌合されたピニオンギヤ251と、ピニオンギヤ251に対して噛合された傘歯車252とを含む。ここで、ハイポイドギヤ25の傘歯車252は、回転軸とピニオンギヤ251の回転軸とのなす角度が90度となる方向(軸Bと一致する方向)となるように配置される。
【0030】
かかるハイポイドギヤ25では、傘歯車252がピニオンギヤ251の回転速度よりも遅い回転速度で回転する。すなわち、ハイポイドギヤ25は、揺動用のモータ26の出力を減速する減速機構として機能する。
【0031】
また、先端側のアーム15は、筒状の筐体31を備える。かかる筒状の筐体31は、回転用のモータ24によって駆動されるハイポイドギヤ23の傘歯車232とともに回転する傘歯車32と、傘歯車32に対して噛合された傘歯車33とを収納する。
【0032】
ここで、ハイポイドギヤ23によって駆動される傘歯車32は、回転軸が軸Bと平行となるように配置される。また、傘歯車33によって駆動される傘歯車33は、回転軸が軸Tと平行な方向となるように配置される。かかる傘歯車33の回転シャフトの先端には、トーチ16が連結される。
【0033】
また、先端側のアーム15における筒状の筐体31は、第2ハウジング部21の内側面と対向する外側面が、揺動用のモータ26によって駆動されるハイポイドギヤ25の傘歯車252における回転シャフトに対して固定される。このように、先端側のアーム15は、ロボットアーム14における第1ハウジング部20および第2ハウジング部21の間に配設される。
【0034】
かかる構成により、ロボット1では、回転用のモータ24の駆動力を、回転シャフト241、ハイポイドギヤ23(ピニオンギヤ231、傘歯車232)、傘歯車32、傘歯車33、トーチ16の順に伝達する。これにより、ロボット1では、軸Tを回転軸としてトーチ16が回転する。
【0035】
また、ロボット1では、揺動用のモータ26の駆動力を、回転シャフト261、ハイポイドギヤ25(ピニオンギヤ251、傘歯車252)、先端側のアーム15における筒状の筐体31の順に伝達する。これにより、ロボット1では、軸Bを回転軸として先端側のアーム15が揺動する。
【0036】
このように、ロボット1では、回転用のモータ24の駆動力をハイポイドギヤ23と傘歯車32と傘歯車33とによってトーチ16へ伝達し、揺動用のモータ26の駆動力をハイポイドギヤ25によって先端側のアーム15へ伝達する。
【0037】
これにより、ロボット1では、無端ベルトを用いることなく回転用のモータ24や揺動用のモータ26の駆動力を先端側のアーム15やトーチ16へ伝達することが可能となる。したがって、ロボット1によれば、トーチ16の回転や先端側のアーム15の揺動を行わせるために必要な部品点数を削減することでロボット1の製造コストを低減することができる。
【0038】
しかも、ロボット1は、無端ベルトを用いる場合に比べて、トーチ16の回転や先端側のアーム15の揺動を行う機構の剛性が高いため、振動等に対する耐久性を向上させることができる。
【0039】
また、ハイポイドギヤ23およびハイポイドギヤ25等のギヤは、無端ベルトに比べて劣化が遅く長寿命の部品である。このため、ロボット1は、無端ベルトを用いる他のロボットに比べてメンテナンス費を低減することができる。
【0040】
また、上記のように、ロボット1では、先端側のアーム15がロボットアーム14における第1ハウジング部20および第2ハウジング部21の間に配設されるので、先端側のアーム15を左右両側から安定して支持することができる。
【0041】
さらに、ロボットアーム14では、回転用のモータ24およびハイポイドギヤ23と、揺動用のモータ26およびハイポイドギヤ25とが、第1ハウジング部20と第2ハウジング部21とに分散配置される。
【0042】
したがって、ロボットアーム14によれば、軸Rを中心とした両側(以下、「左右」と記載する)の重量バランスを均等に近付けることができる。これにより、ロボット制御装置がロボットアーム14に対して行う軸Rを回転軸とした回転制御の容易性および正確性を向上させることができる。
【0043】
また、第1ハウジング部20および第2ハウジング部21は、図2Aに示すように、形状が左右対称となるように形成される。これにより、ロボットアーム14では、回転用のモータ24および揺動用のモータ26として共通のモータを用い、ハイポイドギヤ23およびハイポイドギヤ25として共通のギヤを用いることが可能である。
【0044】
かかる構成とすれば、ロボットアーム14における左右の重量バランスを均一にすることが可能となる。これにより、ロボット制御装置がロボットアーム14に対して行う軸Rを回転軸とした回転制御の容易性および正確性をより一層向上させることができる。
【0045】
また、ロボットアーム14によれば、回転用のモータ24と揺動用のモータ26とを共通化するとともに、ハイポイドギヤ23とハイポイドギヤ25とを共通化して構成部品の種類を減少させることによりロボット1の製造コストを低減することができる。
【0046】
また、ロボット1では、図2Aに示すように、溶接ワイヤおよびシールドガスの通り道となるワイヤ用ホースWが、第1ハウジング部20と第2ハウジング部21とによって挟まれた空間と先端側のアーム15の内部とを経由してトーチ16へ連結される。
【0047】
これにより、ロボット1では、アーク溶接の溶加材となる溶接ワイヤは、第1ハウジング部20と第2ハウジング部21とによって挟まれた空間と先端側のアーム15の内部とを経由してトーチ16へ供給される。
【0048】
かかる構成により、ロボット1を動作させた場合に、ワイヤ用ホースWがロボットアーム14の外部で他の部材と干渉することを防止することができる。したがって、ロボット1によれば、ワイヤ用ホースWの破損にともなう溶接ワイヤの断線やシールドガスの漏出を防止することができる。
【0049】
また、かかる構成により、ロボット1によれば、第1ハウジング部20または第2ハウジング部21の内部を経由させてワイヤ用ホースWをトーチ16へ連結するよりも、ワイヤ用ホースWを短縮することが可能なため、製造コストを低減することができる。
【0050】
また、ハイポイドギヤ23およびハイポイドギヤ25は、回転用のモータ24および揺動用のモータ26の回転速度を減速して出力する減速機構として機能する。これにより、ロボット1によれば、ハイポイドギヤ23およびハイポイドギヤ25よりも高価な既製品の減速機を設ける必要がないので製造コストを低減することができる。
【0051】
しかも、ハイポイドギヤ23およびハイポイドギヤ25は、ピニオンギヤ231およびピニオンギヤ251、傘歯車232および傘歯車252の寸法や組合せを変更するだけで、減速機構のレイアウトを比較的容易に変更することが可能である。
【0052】
すなわち、ロボット1は、既製品の減速機を設ける場合に比べてロボットアーム14内部のレイアウト変更に関する自由度が高い。したがって、ロボット1によれば、ハイポイドギヤ23およびハイポイドギヤ25の寸法や構成を変更することによってロボットアーム14内部のレイアウトを容易に最適化することができる。
【0053】
上述してきたように、第1の実施形態に係るロボット1は、ロボットアーム14の内部に設けられた回転用のモータ24の駆動力をハイポイドギヤ23によって先端側のアーム15へ伝達して先端側のアーム15を回転させる。
【0054】
また、ロボット1は、ロボットアーム14の内部に設けられた揺動用のモータ26の駆動力をハイポイドギヤ25によってトーチ16へ伝達してトーチ16を揺動させる。すなわち、ロボット1では、先端側のアーム15の揺動およびトーチ16の回転のために無端ベルトを設ける必要がない。
【0055】
したがって、第1の実施形態に係るロボット1によれば、先端側のアーム15の揺動およびトーチ16の回転に必要な部品点数を削減することで製造コストを低減することができる。
【0056】
(第2の実施形態)
次に、第2の実施形態に係るロボット1aについて図3を用いて説明する。第2の実施形態に係るロボット1aは、第3アーム13よりも先端側の構成が第1の実施形態に係るロボット1とは異なる。すなわち、第2の実施形態に係るロボット1aの基礎部10、第1アーム11、第2アーム12、第3アーム13の構成は、第1の実施形態に係るロボット1と同様である。
【0057】
このため、以下では、ロボット1aの第3アーム13よりも先端側の構成について説明する。図3は、第2の実施形態に係るロボット1aの第3アーム13よりも先端側の構成を示す断面模式図である。
【0058】
ここで、図3には、軸R、軸Bおよび軸Tが同一平面上となるように先端側のアーム15aを揺動させ、軸R、軸Bおよび軸Tを含む平面によってロボット1aを切断した場合における模式的な断面を示す。
【0059】
なお、図3では、説明を簡略化する観点から、ワイヤ用ホースWの図示を省略したが、ロボット1aにおけるワイヤ用ホースWは、第1の実施形態に係るロボット1と同様の経路を通してトーチ16へ連結される。
【0060】
図3に示すように、ロボット1aは、ロボットアーム14aと先端側のアーム15aとを連結する着脱可能なギヤユニット40およびギヤユニット41を備える。ここで、ギヤユニット40は、トーチ16を回転させるハイポイドギヤ23aを備える。また、ギヤユニット41は、先端側のアーム15aを揺動させるハイポイドギヤ25aを備える。
【0061】
具体的には、ロボット1aのロボットアーム14aは、ロボットアーム14aの基端から先端へ向けて延伸した一対の第1ハウジング部20aおよび第2ハウジング部21aを有する筐体22aを備える。
【0062】
第1ハウジング部20aは、トーチ16を回転させる回転用のモータ24aを収納する。ここで、回転用のモータ24aは、回転シャフト241aの回転軸が第1ハウジング部20aの延伸方向(軸Rと平行な方向)となるように配置される。かかる回転用のモータ24aは、回転シャフト241aが第1ハウジング部20aの先端から回転自在に突出した状態で第1ハウジング部20aに収納される。
【0063】
また、回転用のモータ24aによって駆動されるハイポイドギヤ23aは、ロボットアーム14aにおける第1ハウジング部20aの先端に対して着脱可能なギヤボックス401に収納される。かかるハイポイドギヤ23aは、ベアリング403によって軸支されたピニオンギヤ231aと、ピニオンギヤ231aに対して噛合された傘歯車232aとを含む。
【0064】
これらピニオンギヤ231aおよび傘歯車232aは、各回転軸のなす角度が90度となるように配置される。また、ハイポイドギヤ23aを収納するギヤボックス401は、ピニオンギヤ231aへ嵌合される回転用のモータ24aの回転シャフト241aが挿入される孔部と、傘歯車232aの回転シャフトを外部へ突出させる孔部とを備える。
【0065】
ここで、先端側のアーム15aは、傘歯車32aと傘歯車32aに対して噛合された傘歯車33aとを収納した筒状の筐体31aを備える。かかる筒状の筐体31aに収納された傘歯車32aは、回転用のモータ24aにより駆動されるハイポイドギヤ23aによって駆動され、傘歯車33aを駆動する。これら傘歯車32aおよび傘歯車33aは、各回転軸のなす角度が90度となるように配置される。なお、傘歯車33aの回転シャフトの先端には、トーチ16が連結される。
【0066】
かかるハイポイドギヤ23aが収納されたギヤユニット40をロボット1aへ取り付ける場合には、ギヤボックス401の所定の孔部へ回転用のモータ24aの回転シャフト241aを挿入してピニオンギヤ231aへ嵌合する。そして、ギヤボックス401を第1ハウジング部20aの先端へボルト402によってネジ留めしてギヤユニット40とロボットアーム14aとを連結する。
【0067】
続いて、ハイポイドギヤ23aにおける傘歯車232aの回転シャフトを先端側のアーム15aにおける傘歯車32aの回転シャフトへ嵌合することで、ギヤユニット40に対して先端側のアーム15aを揺動自在に連結する。
【0068】
このようにロボット1aへギヤユニット40を取り付けることにより、回転用のモータ24aの駆動力をギヤユニット40を介して先端側のアーム15aへ伝達し、軸Tを回転軸としてトーチ16を回転させることができる。
【0069】
一方、第2ハウジング部21aは、先端側のアーム15aを揺動させる揺動用のモータ26aを収納する。ここで、揺動用のモータ26aは、回転シャフト261aの回転軸が第2ハウジング部21aの延伸方向(軸Rと平行な方向)となるように配置される。かかる揺動用のモータ26aは、回転シャフト261aが第2ハウジング部21aの先端から回転自在に突出した状態で第2ハウジング部21aに収納される。
【0070】
また、揺動用のモータ26aによって駆動され、先端側のアーム15aを揺動させるハイポイドギヤ25aは、ロボットアーム14aにおける第2ハウジング部21aの先端に対して着脱可能なギヤボックス411に収納される。
【0071】
かかるハイポイドギヤ25aは、ベアリング404によって軸支されたピニオンギヤ251aと、ピニオンギヤ251aに対して噛合された傘歯車252aとを含む。これらピニオンギヤ251aおよび傘歯車252aは、各回転軸のなす角度が90度となるように配置される。
【0072】
また、ギヤボックス411は、ピニオンギヤ251aへ嵌合される揺動用のモータ26aの回転シャフト261aが挿入される孔部と、傘歯車252aの回転シャフトを外部へ突出させる孔部とを備える。
【0073】
かかるギャユニット41をロボット1aへ取り付ける場合には、ギヤボックス411の所定の孔部から揺動用のモータ26aの回転シャフト261aを挿入してピニオンギヤ251aへ嵌合する。そして、ギヤボックス411を第2ハウジング部21aの先端へボルト412によってネジ留めしてギヤユニット41とロボットアーム14aとを連結する。
【0074】
続いて、ハイポイドギヤ25aにおける傘歯車252aの回転シャフトと先端側のアーム15aにおける筒状の筐体31aの側面とをボルト413によって固定することでギヤユニット41に対して先端側のアーム15aを揺動自在に連結する。
【0075】
このようにロボット1aへギヤユニット41を取り付けることにより、揺動用のモータ26aの駆動力をギヤユニット41を介して先端側のアーム15aへ伝達し、軸Bを揺動軸として先端側のアーム15aを揺動させることができる。
【0076】
上述してきたように、第2の実施形態に係るロボット1aでは、回転用のモータ24aの駆動力をトーチ16の回転力へ変換するハイポイドギヤ23aをロボット1aに対して着脱可能なギヤユニット40とした。
【0077】
さらに、ロボット1aでは、揺動用のモータ26aの駆動力を先端側のアーム15aの揺動力へ変換するハイポイドギヤ25aをロボット1aに対して着脱可能なギヤユニット41とした。これにより、ロボット1aの組立作業が簡略化され、1体のロボット1aの組立に要する作業員の作業時間を短縮することが可能となるので、ロボット1aの製造コストを低減することができる。
【0078】
(第3の実施形態)
次に、第3の実施形態に係るロボット1bについて説明する。図4は、第3の実施形態に係るロボット1bの斜視による模式図である。なお、図4では、図1に示す構成要素と同一の構成要素に対して同一の符号を付した。
【0079】
図4に示すように、ロボット1bは、床面等に固定された基台上に取り付けられた基礎部10と、基礎部10から延伸する多軸のロボットアームと、ロボットアームの先端に取り付けられたエンドエフェクタとを備える。ここで、エンドエフェクタは、アーク溶接用のトーチ16である。
【0080】
ロボットアームは、基端側(基礎部10)から先端側(トーチ16)へ向けて第1アーム11、第2アーム12、第3アーム13、第4アーム14bおよび第5アーム15bという5本のアームが連結されて構成される。
【0081】
これらの各アームは、内部にアクチュエータが設けられており、図1に両向き矢印で示すように、各アームの連結部を関節として各アクチュエータによりそれぞれ回転駆動または揺動駆動される。
【0082】
具体的には、ロボット1bの設置面を水平面とした場合、第1アーム11は、水平面の法線(鉛直方向に伸びる仮想線)と平行な軸Sを回転軸として回転駆動される。第2アーム12は、軸Sに対して延伸方向が90°異なる軸Lを揺動軸として揺動駆動される。
【0083】
また、第3アーム13は、軸Lに対して延伸方向が平行な軸Uを揺動軸として揺動駆動される。第4アーム14bは、軸Uに対して延伸方向が90°異なる軸Rを回転軸として回転駆動される。
【0084】
第5アーム15bは、軸Rに対して延伸方向が90°異なる軸Bを揺動軸として揺動駆動される。かかる第5アーム15bの先端には、エンドエフェクタであるアーク溶接用のトーチ16が連結される。
【0085】
トーチ16は、軸Bに対して延伸方向が90°異なる軸Tを回転軸として回転駆動される。このように、ロボット1bは、5軸の自由度を備えた片腕の多軸ロボットである。なお、実施形態に係るロボット1bにおける関節の自由度は5軸に限定されるものではない。
【0086】
また、ロボット1bでは、アーク溶接の溶加材となる溶接ワイヤがワイヤ用ホースWを経由してロボット1bの外部からトーチ16へ供給される。さらに、ロボット1bでは、アルゴンや炭酸ガス等のシールドガスがガス用ホースGを経由してロボット1bの外部からトーチ16へ供給される。
【0087】
ここで、ワイヤ用ホースWは、第2アーム12の側面を経由して第3アーム13の内部へ導入される。一方、ガス用ホースGは、第2アーム12の内部を経由して第3アーム13の内部へ導入される。かかるガス用ホースGの先端は、第3アーム13の内部でワイヤ用ホースWへ連結される。
【0088】
そして、溶接ワイヤおよびシールドガスは、ワイヤ用ホースWを通してトーチ16へ供給される。なお、ガス用ホースGが連結されたワイヤ用ホースWの取り回しについては、図5Aを用いて後述する。
【0089】
かかるロボット1bは、所定のロボット制御装置(図示略)による制御にしたがって、第1〜第5アーム11〜15bおよびトーチ16を動作させ、溶接対象へトーチ16を接近させトーチ16からシールドガスを噴射させながらアークを発生させてアーク溶接を行う。
【0090】
次に、第4アーム14bおよび第5アーム15bの構成について図5A、図5Bおよび図5Cを用いて説明する。ここで、第5アーム15bは、ロボットアームの最も先端側に連結されたアームである。このため、以下では、第5アーム15bを便宜上、先端側のアーム15bと記載し、第4アーム14bを先端側のアーム15bと区別するためにロボットアーム14bと記載する。
【0091】
図5A、図5Bおよび図5Cは、第3の実施形態に係る先端側のアーム15bおよびロボットアーム14bの内部を示す模式的な説明図である。具体的には、図5Aには、軸R、軸Bおよび軸Tが同一平面上となるように先端側のアーム15bを揺動させ、軸R、軸Bおよび軸Tを含む平面によって先端側のアーム15b、ロボットアーム14bおよびトーチ16を切断した場合における模式的な断面を示す。
【0092】
また、図5Bには、図5AにおけるY−Y´線による模式的な断面を示しており、図5Cには、図5AにおけるZ−Z´線による模式的な断面を示す。
【0093】
図5A、図5Bおよび図5Cに示すように、ロボットアーム14bは、ロボットアーム14bの基端部に設けられた基端側ハウジング部20bを備える。さらに、ロボットアーム14bは、基端側ハウジング部20bよりもロボットアーム14bにおける幅が狭く、基端側ハウジング部20bからロボットアーム14bの先端へ向けて延伸した先端側ハウジング部21bを備える。これら基端側ハウジング部20bおよび先端側ハウジング部21bは一体に形成され、内部に空洞を備えた筐体22bである。
【0094】
基端側ハウジング部20bは、エンドエフェクタであるトーチ16を回転させるハイポイドギヤ(ピニオンギヤ246および傘歯車33b)30bを無端ベルト244によって駆動する回転用のモータ24bを収納する。
【0095】
ここで、回転用のモータ24bは、回転シャフト241bの回転軸と軸Rとのなす角度が90度となるように配置される。なお、回転用のモータ24bの回転シャフト241bには、駆動プーリ242が取り付けられる。
【0096】
一方、先端側ハウジング部21bは、先端側のアーム15bを揺動させるハイポイドギヤ25bと、ハイポイドギヤ25bを駆動する揺動用のモータ26bと、無端ベルト244とを収納する。ここで、揺動用のモータ26bは、回転シャフト261bの回転軸が先端側ハウジング部21bの延伸方向(軸Rと平行な方向)となるように配置される。
【0097】
また、ハイポイドギヤ25bは、揺動用のモータ26bの回転シャフト261bへ嵌合されたピニオンギヤ251bと、ピニオンギヤ251bに対して噛合された傘歯車252bとを含む。ここで、ハイポイドギヤ25bの傘歯車252bは、回転軸とピニオンギヤ251bの回転軸とのなす角度が90度となる方向(軸B一致する方向)となるように配置される。
【0098】
なお、ハイポイドギヤ25bでは、傘歯車252bがピニオンギヤ251bの回転速度よりも遅い回転速度で回転する。すなわち、ハイポイドギヤ25bは、揺動用のモータ26bの出力を減速する減速機構として機能する。
【0099】
また、ハイポイドギヤ25bにおける傘歯車252bは、軸Bを軸芯とする円筒状の空洞を備える。そして、かかる空洞には、回転用のモータ24bの駆動力を先端側のアーム15bへ伝達する回転シャフト245が回転自在に挿入される。
【0100】
かかる回転シャフト245における先端側ハウジング部21bの内部へ突出した部位には、従動プーリ243が取り付けられる。そして、従動プーリ243と駆動プーリ242とには無端ベルト244が巻回され、かかる無端ベルト244によって、回転用のモータ24bの駆動力が駆動プーリ242から従動プーリ243を介して回転シャフト245へ伝達される。
【0101】
また、ロボット1bにおける先端側のアーム15bは、先端側ハウジング部21bの側面に面する位置に配置される。かかる先端側のアーム15bは、ハイポイドギヤ30bを収納した筒状の筐体31bを備える。かかる筒状の筐体31bは、周面がハイポイドギヤ25bにおける傘歯車252bの回転シャフト先端面に対して連結固定される。
【0102】
また、ハイポイドギヤ30bは、回転用のモータ24bによって回転駆動される回転シャフト245が嵌合されたピニオンギヤ246と、ピニオンギヤ246に対して噛合された傘歯車33bとを含む。
【0103】
ここで、ピニオンギヤ246および傘歯車33bは、各回転軸のなす角度が90度となるように配置される。具体的には、ピニオンギヤ246の回転軸は軸Bと一致し、傘歯車33bの回転軸は、軸Tと一致する。なお、傘歯車33bの回転シャフトの先端には、トーチ16が連結される。
【0104】
かかるハイポイドギヤ30bでは、傘歯車33bがピニオンギヤ246の回転速度よりも遅い回転速度で回転する。すなわち、ハイポイドギヤ30bは、回転用のモータ24bの出力を減速する減速機構として機能する。
【0105】
かかる構成により、ロボット1bでは、回転用のモータ24bの駆動力を、回転シャフト241b、駆動プーリ242、無端ベルト244、従動プーリ243、回転シャフト245、ハイポイドギヤ30b、トーチ16の順に伝達する。これにより、ロボット1bでは、軸Tを回転軸としてトーチ16が回転する。
【0106】
また、ロボット1bでは、揺動用のモータ26bの駆動力を、回転シャフト261b、ハイポイドギヤ(ピニオンギヤ251b、傘歯車252b)25b、先端側のアーム15bの順に伝達する。これにより、ロボット1bでは、軸Bを回転軸として先端側のアーム15bが揺動する。
【0107】
このように、ロボット1bでは、揺動用のモータ26bの駆動力をハイポイドギヤ25bによって先端側のアーム15bへ伝達する。すなわち、ロボット1bでは、揺動用のモータ26bの駆動力を先端側のアーム15bへ伝達する無端ベルトを設ける必要がない。したがって、ロボット1bによれば、先端側のアーム15bの揺動に必要な部品点数を削減することで製造コストを低減することができる。
【0108】
また、先端側のアーム15bにおけるハイポイドギヤ30bは、回転用のモータ24bの回転速度を減速する減速機構として機能する。また、ロボットアーム14bにおけるハイポイドギヤ25bは、揺動用のモータ26bの回転速度を減速する減速機構として機能する。
【0109】
これにより、ロボット1bによれば、回転用のモータ24bおよび揺動用のモータ26bの回転速度を減速させるために、ハイポイドギヤ25bおよびハイポイドギヤ30bよりも高価な既製品の減速機を設ける必要がないので製造コストを低減することができる。
【0110】
しかも、ハイポイドギヤ25bおよび30bは、ピニオンギヤ251bおよび246、傘歯車252bおよび33bの寸法や組合せを変更するだけで、減速機構のレイアウトを比較的容易に変更することが可能である。
【0111】
すなわち、ロボット1bは、既製品の減速機を設ける場合に比べてロボットアーム14bや先端側のアーム15bの内部のレイアウト変更に関する自由度が高い。したがって、ロボット1bによれば、ハイポイドギヤ25bおよび30bの寸法や構成を変更することによってロボットアーム14b内部のレイアウトを容易に最適化することができる。
【0112】
また、上記のように、ロボットアーム14bは、ロボットアーム14bの基端部に設けられた基端側ハウジング部20bを備える。さらに、ロボットアーム14bは、基端側ハウジング部20bよりもロボットアーム14bにおける幅が狭く、基端側ハウジング部20bからロボットアーム14bの先端へ向けて延伸した先端側ハウジング部21bを備える。そして、先端側のアーム15bは、先端側ハウジング部21bの先端側における側面に面する位置に配置される。
【0113】
これにより、ロボット1bでは、ロボットアーム14bの先端部分が基端部分よりもスリム化されるので、ロボットアーム14bを動作させた場合に、ロボットアーム14bが他の部材と干渉することを防止することができる。したがって、ロボット1bによれば、限られた作業スペースで行う作業内容の幅を広げることが可能となる。
【0114】
また、ロボットアーム14bでは、基端側ハウジング部20bに回転用のモータ24bが収納される。これにより、ロボットアーム14bは、先端部分が軽量化されるので、ロボット制御装置がロボットアーム14bに対して行う軸Rを回転軸とした回転制御の容易性および正確性をより一層向上させることができる。
【0115】
また、図5Aに示すように、溶接ワイヤおよびシールドガスの通り道となるワイヤ用ホースWが、基端側ハウジング部20b、先端側ハウジング部21bおよび先端側のアーム15bによって囲まれる空間を経由して先端側のアーム15bへ導かれる。そして、ワイヤ用ホースWは、先端側のアーム15bの内部を経由してトーチ16へ供給される。
【0116】
より具体的には、ワイヤ用ホースWは、基端側ハウジング部20bにおけるロボットアーム14aの先端側端面と先端側のアーム15bにおける基端側端面とによって挟まれる空間内を先端側ハウジング部21bの側面に沿って先端側のアーム15bへ導かれる。そして、ワイヤ用ホースWは、先端側のアーム15bの内部を経由してトーチ16へ連結される。
【0117】
かかる構成により、ロボット1bを動作させた場合に、ワイヤ用ホースWがロボットアーム14bの外部で他の部材と干渉することを防止することができる。したがって、ロボット1bによれば、ワイヤ用ホースWの破損にともなう溶接ワイヤの断線やシールドガスの漏出を防止することができる。
【0118】
また、かかる構成により、ロボット1bによれば、基端側ハウジング部20bおよび先端側ハウジング部21bの内部を経由させてワイヤ用ホースWをトーチ16へ連結するよりもワイヤ用ホースWを短縮することが可能なため製造コストを低減することができる。
【0119】
上述してきたように、第3の実施形態に係るロボット1bは、ロボットアーム14bの内部に設けられた揺動用のモータ26bの駆動力をハイポイドギヤ25bによってトーチ16へ伝達してトーチ16を回転させる。
【0120】
かかる構成により、第3の実施形態に係るロボット1bは、揺動用のモータ26bの駆動力を無端ベルトによって先端側のアーム15bへ伝達するロボットよりも少ない部品点数で先端側のアーム15bを揺動させることができる。したがって、第3の実施形態に係るロボット1bによれば、製造コストを低減することができる。
【0121】
(第4の実施形態)
次に、第4の実施形態に係るロボット1cについて図6を用いて説明する。第4の実施形態に係るロボット1cは、図4に示すロボット1bにおける第3アーム13よりも先端側の構成が第3の実施形態に係るロボット1bとは異なる。
【0122】
すなわち、第4の実施形態に係るロボット1cの基礎部10、第1アーム11、第2アーム12、第3アーム13の構成は、第3の実施形態に係るロボット1bと同様の構成である。このため、以下では、ロボット1cの第3アーム13よりも先端側の構成について説明する。
【0123】
図6は、第4の実施形態に係るロボット1cの第3アーム13よりも先端側の構成を示す断面模式図である。ここで、図6には、軸R、軸Bおよび軸Tが同一平面上となるように先端側のアーム15cを揺動させ、軸R、軸Bおよび軸Tを含む平面によってロボット1cを切断した場合における模式的な断面を示す。
【0124】
なお、図6では、説明を簡略化する観点から、ワイヤ用ホースWの図示を省略したが、ロボット1cにおけるワイヤ用ホースWは、第3の実施形態に係るロボット1bと同様の経路を通してトーチ16へ連結される。
【0125】
図6に示すように、ロボット1cでは、トーチ16を回転させるハイポイドギヤ25cが、ロボットアーム14cと先端側のアーム15cとを連結する着脱可能なギヤユニット50として構成される。
【0126】
具体的には、ロボット1cにおけるロボットアーム14cは、ロボットアーム14cの基端から先端へ向けて延伸した先端側ハウジング部21cを有する筐体22cを備える。なお、ここでは図示を省略したが、ロボットアーム14cは、図5Aに示すロボットアーム14bと同様に基端側ハウジング部20を備え、基端側ハウジング部20bの内部に回転用のモータ24bを収納する。
【0127】
ロボットアーム14cの先端側ハウジング部21cは、先端側のアーム15cを揺動させる揺動用のモータ26cを収納する。ここで、揺動用のモータ26cは、回転シャフト261cの回転軸が先端側ハウジング部21cの延伸方向(軸Rと平行な方向)となるように配置される。かかる揺動用のモータ26cは、回転シャフト261cが先端側ハウジング部21cの先端から回転自在に突出した状態で先端側ハウジング部21cに収納される。
【0128】
また、先端側のアーム15cを揺動させるハイポイドギヤ25cは、ロボットアーム14cにおける先端側ハウジング部21cの先端に対して着脱可能なギヤボックス501に収納される。
【0129】
かかるハイポイドギヤ25cは、ベアリング502によって軸支されたピニオンギヤ251cと、ピニオンギヤ251cに対して噛合された傘歯車252cとを含む。これらピニオンギヤ251cおよび傘歯車252cは、各回転軸のなす角度が90度となるように配置される。
【0130】
かかるハイポイドギヤ25cを収納したギヤボックス501は、揺動用のモータ26cの回転シャフト261cおよび無端ベルトが挿入される孔部と、傘歯車252cの回転シャフトを外部へ突出させる孔部とを備える。
【0131】
なお、ハイポイドギヤ25cでは、傘歯車252cがピニオンギヤ251cの回転速度よりも遅い回転速度で回転する。すなわち、ハイポイドギヤ25cは、揺動用のモータ26cの出力を減速する減速機構として機能する。
【0132】
また、ハイポイドギヤ25cにおける傘歯車252cは、軸Bを軸芯とする円筒状の空洞を備える。そして、かかる空洞には、回転用のモータ24b(図5A参照)の駆動力を先端側のアーム15cへ伝達する回転シャフト245cが回転自在に挿入される。かかる回転シャフト245cにおけるギヤボックス501の内部へ突出した部位には、従動プーリ243が取り付けられる。
【0133】
そして、従動プーリ243と駆動プーリ242(図5A参照)とには無端ベルト244が巻回され、かかる無端ベルト244によって、回転用のモータ24bの駆動力が駆動プーリ242から従動プーリ243を介して回転シャフト245cへ伝達される。
【0134】
一方、先端側のアーム15cは、軸Tを回転軸としてトーチ16を回転させるハイポイドギヤ30cを収納する筒状の筐体31cを備える。ハイポイドギヤ30cは、ギヤボックス501内部の従動プーリ243とともに回転する回転シャフト245cが嵌合されたピニオンギヤ246と、ピニンオンギヤ246に対して噛合された傘歯車33cとを含む。
【0135】
これらピニオンギヤ246および傘歯車33cは、各回転軸のなす角度が90度となるように配置される。なお、ピニオンギヤ246は、ベアリング505によって軸支され、傘歯車33cの回転シャフトの先端には、トーチ16が連結される。
【0136】
かかるギヤユニット50をロボット1cへ取り付ける場合には、ギヤボックス501の所定の孔部へ揺動用のモータ26cの回転シャフト261cを挿入してピニオンギヤ251cへ嵌合する。さらに、ギヤボックス501の所定の孔部へ無端ベルト244を挿入して従動プーリ243へ巻回する。
【0137】
そして、ギヤボックス501を先端側ハウジング部21cの先端へボルト503によってネジ留めしてギヤユニット50とロボットアーム14cとを連結する。
【0138】
続いて、ハイポイドギヤ25cにおける傘歯車252cを貫通した回転シャフト245cを先端側のアーム15c内部のピニオンギヤ246へ嵌合する。その後、ギヤボックス501内部のハイポイドギヤ25cにおける傘歯車252cと先端側のアーム15cにおける筒状の筐体31cの周面とをボルト504によってネジ留めしてギヤユニット50と先端側のアーム15cとを連結する。
【0139】
このようにロボット1cへギヤユニット50を取り付けることにより、揺動用のモータ26cの駆動力をギヤユニット50を介して先端側のアーム15cへ伝達し、軸Bを揺動軸として先端側のアーム15cを揺動させることができる。さらに、回転用のモータの駆動力をギヤユニット50を介して先端側のアーム15cへ伝達し、軸Tを回転軸としてトーチ16を回転させることができる。
【0140】
上述してきたように、第4の実施形態に係るロボット1cでは、揺動用のモータ26cの駆動力を先端側のアーム15cの揺動力へ変換するハイポイドギヤ25cをロボット1cに対して着脱可能なギヤユニット50とした。さらに、ロボット1cでは、ロボット1cに対して着脱可能なギヤユニット50を介して回転用のモータの駆動力を先端側のアーム15cへ伝達してトーチ16を回転させる構成とした。
【0141】
これにより、ギヤユニット50を取付けるだけでロボットアーム14cと先端側のアーム15cとを連動連結させることが可能となるので、ロボット1cの組立作業が簡略化することができる。したがって、1体のロボット1cの組立に要する作業員の作業時間を短縮することにより、ロボット1cの製造コストを低減することができる。
【0142】
次に、第4の実施形態の変形例に係るロボット1dについて図7を用いて説明する。図7は、第4の実施形態の変形例に係るロボット1dを示す図である。ここで、図7には、ロボット1dの図6に示す構成要素と対応する構成要素の断面を模式的に示す。なお、図7では、図6に示す構成要素と同様の構成要素に対して同一の符号を付した。
【0143】
図7に示すように、本変形例に係るロボット1dは、ロボットアーム14dにおける先端側ハウジング部21dおよび軸Bを揺動軸として先端側のアーム15cを揺動させるギヤユニット51の構成が図6に示すロボット1cとは異なる。このため、以下では、先端側ハウジング部21dおよびギヤユニット51について説明する。
【0144】
図7に示すように、ロボット1dにおけるロボットアーム14dの先端側ハウジング部21dは、軸Bを揺動軸として先端側のアーム15cを揺動させる揺動用のモータ26cを収納する筐体22dと、筐体22dの開口部分を閉塞する蓋体22fとを含む。
【0145】
また、ギヤユニット51は、軸Bを揺動軸として先端側のアーム15cを揺動させるハイポイドギヤ25cを収納したギヤボックス511を備える。かかるギヤボックス511は、揺動用のモータ26cの回転シャフト261cが挿入される孔部およびハイポイドギヤ25cにおける傘歯車252cの回転シャフトをギヤボックス511の外部へ突出させる孔部を備える。
【0146】
さらに、ギヤボックス511は、傘歯車252cの回転シャフトをギヤボックス511の外部へ突出させる孔部と対向する位置に、従動プーリ243とともに回転する回転シャフト245cが挿入される孔部を備える。
【0147】
そして、かかるギヤユニット51をロボット1dへ取り付ける場合には、ギヤボックス511の所定の孔部へ揺動用のモータ26cの回転シャフト261cを挿入してピニオンギヤ251cへ嵌合する。
【0148】
その後、ギヤボックス511の所定の孔部へ回転シャフト245cの一端を挿入し、ハイポイドギヤ25cにおける傘歯車252cを貫通させて回転シャフト245cの一端を回転自在にギヤボックス511から突出させる。続いて、回転シャフト245cの他端へ従動プーリ243を取付ける。
【0149】
そして、ギヤボックス511を先端側ハウジング部21dの先端へボルト503によってネジ留めしてギヤユニット51とロボットアーム14dとを連結する。ここで、従動プーリ243は、ギヤボックス511の外側に露出した状態となる。
【0150】
続いて、回転用のモータ(図5A参照)の回転シャフトに取り付けられた駆動プーリ242(図5A参照)へ巻回された無端ベルト244を、ギヤボックス511から露出した状態の従動プーリ243へ巻回する。その後、先端側ハウジング部21dの開口部分を蓋体22fによって閉塞する。
【0151】
続いて、ギヤボックス511から突出した回転シャフト245cを先端側のアーム15cにおける所定の孔部へ挿入して先端側のアーム15c内部のピニオンギヤ246へ嵌合する。
【0152】
その後、ギヤボックス511内部の傘歯車252cと先端側のアーム15cにおける筒状の筐体31cの周面とをボルト504によってネジ留めしてギヤユニット51と先端側のアーム15cとを連結する。
【0153】
このようにロボット1dへギヤユニット51を取り付けることにより、揺動用のモータ26cの駆動力をギヤユニット51を介して先端側のアーム15cへ伝達し、軸Bを揺動軸として先端側のアーム15cを揺動させることができる。さらに、回転用のモータの駆動力をギヤユニット51を介して先端側のアーム15cへ伝達し、軸Tを回転軸としてトーチ16を回転させることができる。
【0154】
上述してきたように、本変形例に係るロボット1dでは、揺動用のモータ26cの駆動力を先端側のアーム15cの揺動力へ変換するハイポイドギヤ25cをロボット1dに対して着脱可能なギヤユニット51とした。さらに、ロボット1dでは、ロボット1dに対して着脱可能なギヤユニット51を介して回転用モータの駆動力を先端側のアーム15cへ伝達してトーチ16を回転させる構成とした。
【0155】
かかる構成によっても、ギヤユニット51を取付けるだけでロボットアーム14dと先端側のアーム15cとを連動連結させることが可能となるので、ロボット1dの組立作業が簡略化することができる。したがって、1体のロボット1dの組立に要する作業員の作業時間を短縮することにより、ロボット1dの製造コストを低減することができる。
【0156】
しかも、図7に示すギヤユニット51は、図3に示すロボット1aの先端側のアーム15aにおけるボルト413の螺合位置を変更するだけで、図3に示すロボット1a用のギヤユニット41としても流用することができる。
【0157】
これにより、本変形例に係るギヤユニット51を用いれば、図3に示すロボット1aおよび図7に示すロボット1dを製造する場合に、ロボット1a用のギヤユニット41とロボット1d用のギヤユニット51とを個別に用意する必要がない。したがって、本変形例に係るギヤユニット51によれば、ロボット1aおよびロボット1dを製造する場合に、製造コストを低減することができる。
【0158】
さらなる効果や変形例は、当業者によって容易に導き出すことができる。このため、本発明のより広範な態様は、以上のように表しかつ記述した特定の詳細および代表的な実施形態に限定されるものではない。したがって、添付の特許請求の範囲およびその均等物によって定義される統括的な発明の概念の精神または範囲から逸脱することなく、様々な変更か可能である。
【符号の説明】
【0159】
1、1a、1b、1c、1d ロボット
10 基礎部
11 第1アーム
12 第2アーム
13 第3アーム
14、14a、14b、14c、14d 第4アーム(ロボットアーム)
15、15a、15b、15c 第5アーム(先端側のアーム)
16 トーチ
W ワイヤ用ホース
G ガス用ホース
20、20a 第1ハウジング部
21、21a 第2ハウジング部
22、22a、22b、22c、22d 筐体
22f 蓋体
23、25、23a、25a、30b、25b、25c、30c ハイポイドギヤ
24、24a、24b 回転用のモータ
241、261、241a、261a、241b、261b、245、261c、245c 回転シャフト
231、251、231a、251a、246、251b、251c ピニオンギヤ
33、32、232、252、232a、32a、33a、252a、33b、252b、252c、33c 傘歯車
26、26a、26b、26c 揺動用のモータ
31、31a、31b、31c 筒状の筐体
40、41、50、51 ギヤユニット
401、411、501、511 ギヤボックス
413、404、502、505 ベアリング
402、412、503、504、413 ボルト
20b 基端側ハウジング部
21b、21c、21d 先端側ハウジング部
244 無端ベルト
242 駆動プーリ
243 従動プーリ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロボットアームの内部に設けられたモータと、
該モータの駆動力を前記ロボットアームへ連結された先端側のアームへ伝達して前記先端側のアームの揺動またはエンドエフェクタの回転を行わせるハイポイドギヤと
を備えることを特徴とするロボット。
【請求項2】
前記ロボットアームは、
該ロボットアームの基端から先端へ向けて延伸した一対の第1ハウジング部および第2ハウジング部
を備え、
前記先端側のアームは、
前記第1ハウジング部および第2ハウジング部の間に配置される
ことを特徴とする請求項1に記載のロボット。
【請求項3】
前記第1ハウジングは、
前記エンドエフェクタを回転させる前記ハイポイドギヤおよび該ハイポイドギヤを駆動する前記モータを収納し、
前記第2ハウジング部は、
前記先端側のアームを揺動させる前記ハイポイドギヤおよび該ハイポイドギヤを駆動する前記モータを収納する
ことを特徴とする請求項2に記載のロボット。
【請求項4】
前記ハイポイドギヤは、
前記ロボットアームに対して着脱可能なギヤボックスに収納される
ことを特徴とする請求項2に記載のロボット。
【請求項5】
前記エンドエフェクタは、
アーク溶接用のトーチであり、
アーク溶接の溶加材となる溶接ワイヤは、
前記第1ハウジング部と前記第2ハウジング部とによって挟まれた空間と前記先端側のアームの内部とを経由して前記トーチへ供給される
ことを特徴とする請求項2〜4のいずれか一つに記載のロボット。
【請求項6】
前記ロボットアームは、
該ロボットアームの基端部に設けられた基端側ハウジング部と、
前記基端側ハウジング部よりも該ロボットアームにおける幅が狭く、前記基端側ハウジング部から該ロボットアームの先端へ向けて延伸した先端側ハウジング部と
を備え、
前記先端側のアームは、
前記先端側ハウジング部の側面に面する位置に配置される
ことを特徴とする請求項1に記載のロボット。
【請求項7】
前記基端側ハウジング部は、
前記エンドエフェクタを回転させる前記ハイポイドギヤを無端ベルトによって駆動する前記モータを収納し、
前記先端側ハウジング部は、
前記先端側のアームを揺動させる前記ハイポイドギヤと該ハイポイドギヤを駆動するモータと、前記無端ベルトとを収納する
ことを特徴とする請求項6に記載のロボット。
【請求項8】
前記ハイポイドギヤは、
前記ロボットアームに対して着脱可能なギヤボックスに収納される
ことを特徴とする請求項6に記載のロボット。
【請求項9】
前記エンドエフェクタは、
アーク溶接用のトーチであり、
アーク溶接の溶加材となる溶接ワイヤは、
前記基端側ハウジング部、前記先端側ハウジング部および前記先端側のアームによって囲まれる空間と前記先端側のアームの内部とを経由して前記トーチへ供給される
ことを特徴とする請求項6〜8のいずれか一つに記載のロボット。

【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図3】
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【図4】
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【図5A】
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【図5B】
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【図5C】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−52460(P2013−52460A)
【公開日】平成25年3月21日(2013.3.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−191088(P2011−191088)
【出願日】平成23年9月1日(2011.9.1)
【出願人】(000006622)株式会社安川電機 (2,482)
【Fターム(参考)】