説明

ローラシューズ

【課題】安定したローラスケート動作及びその制動動作を得ることが可能であり、初心者であってもローラスケート動作を極めて容易に習得することのできるローラシューズを提供する。
【解決手段】シューズの幅方向に伸長する第1及び第2の軸線をそれぞれ回転中心として互いに並列に配列され一部がシューズの底面から突出している第1及び第2のローラと、シューズの幅方向に伸長し第1及び第2の軸線に対してシューズの前方又は後方に存在する第3の軸線を回転中心とし、一部がシューズの底面から突出している第3のローラとを備えており、第1及び第2のローラ及び第3のローラが、シューズのかかと部に設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、底面に複数のローラが取付けられたローラシューズに関する。
【背景技術】
【0002】
この種のローラシューズの公知技術として、特許文献1には、ソールのかかと部分に第1開口部及び第2開口部を前後方向に並べて設け、これら第1開口部及び第2開口部の中に第1ホイール及び第2ホイールをそれぞれ設けることにより、ホイールのみが地面の表面に接して行われるヒーリング動作(ローラスケート動作)を、初心者や年少者であっても容易に行うことを可能にしようとするマルチホイール型ヒーリング装置が開示されている。
【0003】
また、特許文献2には、シューズ本体のかかと部に、シューズ本体の幅方向に伸びた1つのローラ軸に並列状に支持された複数のローラを備え、シューズ本体のつま先部に少なくとも1つのローラを備え、これにより、通常の歩行にも使用でき、安定姿勢でローラスケートを可能にしようとするローラ付シューズが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特表2005−516651号公報
【特許文献2】実用新案登録第3103086号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に開示されているごとき従来のローラシューズによると、シューズ本体の幅方向には1輪のローラしか存在しないため、横方向の姿勢が安定せず、主たるユーザである年少者や初心者が安心してローラスケート動作を行うには不安があった。
【0006】
また、特許文献2に開示されているごときローラシューズによると、シューズ本体の幅方向に複数輪のローラが存在するため、横方向姿勢の安定性は得られるが、かかと部にはシューズ本体の前後方向に1列のローラしか存在しないため、つま先部とかかと部とのバランスが難しく、通常の歩行動作からローラスケート動作に入る際に前後方向の姿勢が安定せず、初心者がローラスケート動作を習得することは容易ではなかった。また、つま先部にもローラが存在するため、ローラスケート動作時の制動が難しいという問題もあった。
【0007】
従って本発明の目的は、安定したローラスケート動作及びその制動動作を得ることが可能であり、初心者であってもローラスケート動作を極めて容易に習得することのできるローラシューズを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明によれば、シューズの幅方向に伸長する第1及び第2の軸線をそれぞれ回転中心として互いに並列に配列され一部がシューズの底面から突出している第1及び第2のローラと、シューズの幅方向に伸長し第1及び第2の軸線に対してシューズの前方又は後方に存在する第3の軸線を回転中心とし、一部がシューズの底面から突出している第3のローラとを備えており、第1及び第2のローラ及び第3のローラが、シューズのかかと部に設けられているローラシューズが提供される。
【0009】
横方向に並列に配置された第1及び第2のローラと、その前後に配置された第3のローラとが、共にシューズのかかと部に設けられている。このため、つま先を上げずにパラレルの状態でローラスケート動作が可能となり、かかと部分や足首の部分に全身の力が集中するなどして無理な力が印加されることなく、容易にローラスケート動作に入ることができる。従って、かかと部分や足首の部分に傷害を与えることなく、初心者であってもローラスケート動作を極めて容易に習得することができる。しかも、ローラがかかと部のみに設けられているため、つま先部で制動動作を容易に行うことができるから、安全である。もちろん、三輪であるため、直進安定性に優れており、安定したローラスケート動作を行うことができると共に長時間の使用に適している。
【0010】
第1及び第2の軸線が、第3の軸線よりシューズの後方に存在していることが好ましい。
【0011】
第1及び第2の軸線が、第3の軸線よりシューズの前方に存在していることも好ましい。
【0012】
第1及び第2の軸線が、シューズの底面と平行な連続する単一の直線からなることも好ましい。
【0013】
第1及び第2の軸線が、シューズの底面と非平行な互いに非連続の2つの直線からなり、2つの直線のなす上側角が180°未満であることも好ましい。
【0014】
第1及び第2のローラの各々は、内側の径と外側の径とが等しい円筒形状を有していることも好ましい。
【0015】
第1及び第2のローラの各々は、内側の径が外側の径より小さい円錐台形状を有していることも好ましい。第1及び第2のローラをこのような形状とすることにより、両ローラの間に小石が挟まってしまう不都合を防止できる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、つま先を上げずにパラレルの状態でローラスケート動作が可能となり、かかと部分や足首の部分に全身の力が集中するなどして無理な力が印加されることなく、容易にローラスケート動作に入ることができる。従って、かかと部分や足首の部分に傷害を与えることなく、初心者であってもローラスケート動作を極めて容易に習得することができる。しかも、ローラがかかと部のみに設けられているため、つま先部で制動動作を容易に行うことができるから、安全である。もちろん、三輪であるため、直進安定性に優れており、安定したローラスケート動作を行うことができると共に長時間の使用に適している。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明のローラシューズの一実施形態の構成を概略的に示す底面図及び側面図である。
【図2】図1の実施形態のローラシューズにおけるローラ部分の一変更態様を示す底面図である。
【図3】図1の実施形態のローラシューズにおけるローラ部分の他の変更態様を示す分解斜視図である。
【図4】本発明のローラシューズの他の実施形態の構成を概略的に示す底面図及び側面図である。
【図5】図4の実施形態のローラシューズにおけるローラ部分を示す底面図である。
【図6】本発明のローラシューズのさらに他の実施形態の構成を概略的に示す底面図及び側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
図1は本発明のローラシューズの一実施形態の構成を概略的に示す(A)底面図及び(B)側面図である。
【0019】
同図(A)及び(B)に示すように、ローラシューズの底面は、大きく分けて、かかと部10と、土踏まず部11と、つま先部12とから構成されている。
【0020】
かかと部10には、凹部13が形成されており、この凹部13内に例えば硬質プラスチック等の剛性の高い材料で一体成型されたローラ支持部材14が嵌め込まれて固着されている。このローラ支持部材14には、ホイールの外側部分が例えば軟質プラスチックやゴム等の弾性を有する材料で形成され、回転軸を含むホイールの内側部分が例えば硬質プラスチック等の剛性を有する材料で形成された、第1のローラ15、第2のローラ16及び第3のローラ17が着脱自在に取付けられている。ここで、第1のローラ15及び第2のローラ16は、このローラシューズの幅方向(横方向)に並列に配置されており、第3のローラ17はこれら第1のローラ15及び第2のローラ16の前方に配置されている。このように、本実施形態では、前方に一輪の第3のローラ17、後方に二輪の第1のローラ15及び第2のローラ16からなる三輪のローラが、全てかかと部10に設けられている。なお、第1のローラ15、第2のローラ16及び第3のローラ17の積層構造や構成材料は上述した例に限定されるものではない。
【0021】
これら第1のローラ15、第2のローラ16及び第3のローラ17には、軸方向に沿った径(内側の径と外側の径と)が等しい円筒形状を有するホイール15a、16a及び17aが設けられている。また、図1(B)からも分かるように、これら第1のローラ15、第2のローラ16及び第3のローラ17は、そのホイール15a、16a及び17aの一部が底面より突出するように構成されている。
【0022】
ローラ支持部材14は、第1のローラ15のホイール15aを回転自在に受入れるくぼみ14aと、第1のローラ15のこのホイール15aと一体的に形成された回転軸15bの軸受け14bと、第2のローラ16のホイール16aを回転自在に受入れるくぼみ14aと、第2のローラ16のこのホイール16aと一体的に形成された回転軸16bの軸受け14bと、第3のローラ17のホイール17aを回転自在に受入れるくぼみ14aと、第3のローラ17のこのホイール17aと一体的に形成された回転軸17bの軸受け14bとが形成されている。
【0023】
なお、図示されていないが、ローラ支持部材14には、回転軸のロック機構が設けられている。このロック機構は、第1のローラ15の回転軸15b、第2のローラ16の回転軸16b及び第3のローラ17の回転軸17bを軸受け14b、軸受け14b及び軸受け14bにそれぞれ係合させた後、これら回転軸が外れないようにロックするためのものである。
【0024】
軸受け14b及び14bは、本実施形態では、第1のローラ15の回転軸15b及び第2のローラ16の回転軸16bが、従ってそれらの回転中心である軸線が、ローラシューズの幅方向に伸長し底面と平行な連続する単一の直線となるように配置されている。即ち、第1のローラ15のホイール15a及び第2のローラ16のホイール16aの接地面が底面と平行となるように構成されている。また、軸受け14bは、第3のローラ17の回転軸17bが、従ってその回転中心である軸線が、ローラシューズの幅方向に伸長し回転軸15a及び16aの軸線と平行な直線となるように配置されている。
【0025】
なお、第1のローラ15、第2のローラ16及び第3のローラ17の全てを取り外せば、通常のシューズとして使用でき、第3のローラ17のみを取り外せば、二輪のローラシューズとして使用することができる。
【0026】
このように本実施形態では、前方の第3のローラ17、並びに後方の第1のローラ15及び第2のローラ16からなる三輪のローラが設けられているため、直進安定性に優れており、前後左右のバランスを容易に保つことができ、安定したローラスケート動作を行うことができる。即ち、フィギュアスケートの滑り感を得ることができ、バックヒーリング、ターンブレーキ、スラローム、ヒーリングスイッチ、片足走行、惰性走行、ハーフパイプ、ジャンプ等の技を容易に行うことが可能である。また、三輪ゆえに接地面積が大きく安定性がより向上するのみならず、本実施形態のように三輪のローラを別個に回転可能な構成とすれば、ローラスケート動作のコントロールがより簡単に行え、安全性が高くなる。
【0027】
特に、これら三輪のローラがかかと部10に設けられているため、ローラスケート動作時には、かかとに重心を集中させ、つま先を上げずにパラレルの状態でローラスケート動作が可能となる。従って、かかと部分や足首の部分に全身の力が集中するなどして無理な力が印加されることなく、長時間の使用に適している。しかも、容易にローラスケート動作に入ることができるので、かかと部分や足首の部分に傷害を与えることなく、初心者であってもローラスケート動作を極めて容易にかつ短時間で習得することができる。しかも、ローラがかかと部のみに設けられているため、つま先部で制動動作を容易に行うことができるから、安全である。
【0028】
なお、本実施形態では、第1のローラ15の回転軸15b(その軸線)と第2のローラ16の回転軸16b(その軸線)とが底面と平行な連続する単一の直線となるように構成されているが、これら回転軸15b及び16b(その軸線)を、それぞれ、ローラシューズの底面と非平行な互いに非連続の2つの直線となり、これら2つの直線のなす上側角が180°未満となるように構成しても、即ち、第1のローラ15のホイール15a及び第2のローラ16のホイール16aの接地面が底面と平行ではなく外側に傾いた「ハの字」状となるように構成しても良い。後者の場合、ローラスケート動作の安定性がさらに向上する。
【0029】
図2は図1の実施形態のローラシューズにおけるローラ部分の一変更態様を示す底面図である。なお、本変更態様において、図示されていない部分の構成は、図1の実施形態の場合と同様である。従って、図1の実施形態の場合と同様の構成要素については同一の参照番号を使用する。
【0030】
図2に示すように、例えば硬質プラスチック等の剛性の高い材料で一体成型されたローラ支持部材24は、第1のローラ15のホイール15a、第2のローラ16のホイール16a及び第3のローラ17のホイール17aを回転自在に受入れるくぼみ24aと、第1のローラ15及び第2のローラ16に共通の1本の回転軸25の軸受け24bと、第3のローラ17の回転軸17bの軸受け24bとが形成されている。
【0031】
図1の実施形態では、第1のローラ15の回転軸15bと第2のローラ16の回転軸16bとが別個の部材で構成されているが、本変更態様においては、第1のローラ15及び第2のローラ16が、共通の1本の回転軸25を介して一体的に構成されている。
【0032】
本変更態様におけるその他の構成、作用効果及び変形例は図1の実施形態の場合と同様である。
【0033】
図3は図1の実施形態のローラシューズにおけるローラ部分の他の変更態様を示す分解斜視図である。なお、本変更態様において、図示されていない部分の構成は、図1の実施形態の場合と同様である。従って、図1の実施形態の場合と同様の構成要素については同一の参照番号を使用する。
【0034】
図3に示すように、本変更態様において、支持部材は、例えば硬質プラスチック等の剛性の高い材料で一体成型されたローラ支持部材34と、このローラ支持部材34に形成されたくぼみ34a、34a及び34a内にそれぞれ嵌め込まれて固着された、例えば硬質プラスチック等の剛性の高い材料で一体成型された軸受け部材35、36及び37とを備えている。これらくぼみ34a、34a及び34aに、軸受け部材35、36及び37に回転軸15b、回転軸16b及び回転軸17bが軸支された第1のローラ15のホイール15a、第2のローラ16のホイール16a及び第3のローラ17のホイール17aが回転自在に配置されている。
【0035】
第1のローラ15、第2のローラ16及び第3のローラ17は着脱自在に取付けられている。ただし、図示されていないが、ローラ支持部材34には、回転軸のロック機構が設けられている。このロック機構は、第1のローラ15の回転軸15b、第2のローラ16の回転軸16b及び第3のローラ17の回転軸17bを軸受け部材35、36及び37にそれぞれ係合させた後、これら回転軸が外れないようにロックするためのものである。
【0036】
本変更態様におけるその他の構成、作用効果及び変形例は図1の実施形態の場合と同様である。
【0037】
図4は本発明のローラシューズの他の実施形態の構成を概略的に示す(A)底面図及び(B)側面図である。本実施形態において、図1の実施形態の場合と同様の構成要素については同一の参照番号を使用する。
【0038】
図4(A)及び(B)に示すように、ローラシューズの底面は、大きく分けて、かかと部10と、土踏まず部11と、つま先部12とから構成されている。
【0039】
かかと部10には、凹部13が形成されており、この凹部13内に例えば硬質プラスチック等の剛性の高い材料で一体成型されたローラ支持部材14が嵌め込まれて固着されている。このローラ支持部材14には、ホイールの外側部分が例えば軟質プラスチックやゴム等の弾性を有する材料で形成され回転軸を含むホイールの内側部分が例えば硬質プラスチック等の剛性を有する材料で形成された、第1のローラ45、第2のローラ46及び第3のローラ17が着脱自在に取付けられている。ここで、第1のローラ45及び第2のローラ46は、このローラシューズの幅方向(横方向)に並列に配置されており、第3のローラ17はこれら第1のローラ45及び第2のローラ46の前方に配置されている。このように、本実施形態では、前方に一輪の第3のローラ17、後方に二輪の第1のローラ45及び第2のローラ46からなる三輪のローラが、全てかかと部10に設けられている。なお、第1のローラ45、第2のローラ46及び第3のローラ17の積層構造や構成材料は上述した例に限定されるものではない。
【0040】
これら第1のローラ45及び第2のローラ46には、軸方向に沿った径のうち内側の径が外側の径より小さい円錐台形状を有するホイール45a及び46aが設けられている。第1のローラ45及び第2のローラ46をこのような形状とすることにより、両ローラの間に小石が挟まってしまう不都合を防止できる。また、第3のローラ17には、軸方向に沿った径が等しい円筒形状を有するホイール17aが設けられている。さらに、図4(B)からも分かるように、これら第1のローラ45、第2のローラ46及び第3のローラ17は、ホイール45a、46a及び17aの一部が底面より突出するように構成されている。
【0041】
ローラ支持部材14は、第1のローラ45のホイール45aを回転自在に受入れるくぼみ14aと、第1のローラ45のこのホイール45aと一体的に形成された回転軸45bの軸受け14bと、第2のローラ46のホイール46aを回転自在に受入れるくぼみ14aと、第2のローラ46のこのホイール46aと一体的に形成された回転軸46bの軸受け14bと、第3のローラ17のホイール17aを回転自在に受入れるくぼみ14aと、第3のローラ17のこのホイール17aと一体的に形成された回転軸17bの軸受け14bとが形成されている。
【0042】
なお、図示されていないが、ローラ支持部材14には、回転軸のロック機構が設けられている。このロック機構は、第1のローラ45の回転軸45b、第2のローラ46の回転軸46b及び第3のローラ17の回転軸17bを軸受け14b、軸受け14b及び軸受け14bにそれぞれ係合させた後、これら回転軸が外れないようにロックするためのものである。
【0043】
軸受け14b及び14bは、本実施形態では、第1のローラ45の回転軸45b及び第2のローラ46の回転軸46bが、従ってそれらの回転中心である軸線が、ローラシューズの幅方向に伸長し底面と平行な連続する単一の直線となるように配置されている。また、軸受け14bは、第3のローラ17の回転軸17bが、従ってその回転中心である軸線が、ローラシューズの幅方向に伸長し回転軸45a及び46aの軸線と平行な直線となるように配置されている。
【0044】
なお、第1のローラ45、第2のローラ46及び第3のローラ17の全てを取り外せば、通常のシューズとして使用でき、第3のローラ17のみを取り外せば、二輪のローラシューズとして使用することができる。
【0045】
このように本実施形態では、前方の第3のローラ17、並びに後方の第1のローラ45及び第2のローラ46からなる三輪のローラが設けられているため、直進安定性に優れており、前後左右のバランスを容易に保つことができ、安定したローラスケート動作を行うことができる。即ち、フィギュアスケートの滑り感を得ることができ、バックヒーリング、ターンブレーキ、スラローム、ヒーリングスイッチ、片足走行、惰性走行、ハーフパイプ、ジャンプ等の技を容易に行うことが可能である。また、三輪ゆえに接地面積が大きく安定性がより向上するのみならず、本実施形態のように三輪のローラを別個に回転可能な構成とすれば、ローラスケート動作のコントロールがより簡単に行え、安全性が高くなる。
【0046】
特に、これら三輪のローラがかかと部10に設けられているため、ローラスケート動作時には、かかとに重心を集中させ、つま先を上げずにパラレルの状態でローラスケート動作が可能となる。従って、かかと部分や足首の部分に全身の力が集中するなどして無理な力が印加されることなく、長時間の使用に適している。しかも、容易にローラスケート動作に入ることができるので、かかと部分や足首の部分に傷害を与えることなく、初心者であってもローラスケート動作を極めて容易にかつ短時間で習得することができる。しかも、ローラがかかと部のみに設けられているため、つま先部で制動動作を容易に行うことができるから、安全である。また、本実施形態では、第1のローラ45及び第2のローラ46のホイール45a及び46aの各々が内側の径が外側の径より小さい円錐台形状を有するように構成されているため、両ローラの間に小石が挟まってしまう不都合を防止できる。
【0047】
なお、本実施形態では、第1のローラ45の回転軸45b(その軸線)と第2のローラ46の回転軸46b(その軸線)とが底面と平行な連続する単一の直線となるように構成されているが、これら回転軸45b及び46b(その軸線)を、それぞれ、ローラシューズの底面と非平行な互いに非連続の2つの直線となり、これら2つの直線のなす上側角が180°未満となるように構成しても、即ち、第1のローラ45のホイール45a及び第2のローラ46のホイール46aが外側に傾いた「ハの字」状となるように構成しても良い。後者の場合、ローラスケート動作の安定性がさらに向上する。
【0048】
図5は図4の実施形態のローラシューズにおけるローラ部分の一変更態様を示す底面図である。なお、本変更態様において、図示されていない部分の構成は、図4の実施形態の場合と同様である。従って、図4の実施形態の場合と同様の構成要素については同一の参照番号を使用する。
【0049】
図5に示すように、例えば硬質プラスチック等の剛性の高い材料で一体成型されたローラ支持部材54は、第1のローラ45のホイール45a、第2のローラ46のホイール46a及び第3のローラ17のホイール17aを回転自在に受入れるくぼみ54aと、第1のローラ45及び第2のローラ46に共通の1本の回転軸55の軸受け54bと、第3のローラ17の回転軸17bの軸受け54bとが形成されている。
【0050】
図4の実施形態では、第1のローラ45の回転軸45bと第2のローラ46の回転軸46bとが別個の部材で構成されているが、本変更態様においては、第1のローラ45及び第2のローラ46が、共通の1本の回転軸55を介して一体的に構成されている。
【0051】
本変更態様におけるその他の構成、作用効果及び変形例は図4の実施形態の場合と同様である。
【0052】
図6は本発明のローラシューズのさらに他の実施形態の構成を概略的に示す(A)底面図及び(B)側面図である。本実施形態において、図1の実施形態の場合と同様の構成要素については同一の参照番号を使用する。
【0053】
図6(A)及び(B)に示すように、ローラシューズの底面は、大きく分けて、かかと部10と、土踏まず部11と、つま先部12とから構成されている。
【0054】
かかと部10には、凹部63が形成されており、この凹部63内に例えば硬質プラスチック等の剛性の高い材料で一体成型されたローラ支持部材64が嵌め込まれて固着されている。このローラ支持部材64には、ホイールの外側部分が例えば軟質プラスチックやゴム等の弾性を有する材料で形成され回転軸を含むホイールの内側部分が例えば硬質プラスチック等の剛性を有する材料で形成された、第1のローラ65、第2のローラ66及び第3のローラ67が着脱自在に取付けられている。ここで、第1のローラ65及び第2のローラ66は、このローラシューズの幅方向(横方向)に並列に配置されており、第3のローラ67はこれら第1のローラ65及び第2のローラ66の後方に配置されている。このように、本実施形態では、前方に二輪の第1のローラ65及び第2のローラ66、後方に一輪の第3のローラ67からなる三輪のローラが、全てかかと部10に設けられている。なお、第1のローラ65、第2のローラ66及び第3のローラ67の積層構造や構成材料は上述した例に限定されるものではない。
【0055】
これら第1のローラ65、第2のローラ66及び第3のローラ67には、軸方向に沿った径(内側の径と外側の径と)が等しい円筒形状を有するホイール65a、66a及び67aが設けられている。また、図6(B)からも分かるように、これら第1のローラ65、第2のローラ66及び第3のローラ67は、そのホイール65a、66a及び67aの一部が底面より突出するように構成されている。
【0056】
ローラ支持部材64は、第1のローラ65のホイール65aを回転自在に受入れるくぼみ64aと、第1のローラ65のこのホイール65aと一体的に形成された回転軸65bの軸受け64bと、第2のローラ66のホイール66aを回転自在に受入れるくぼみ64aと、第2のローラ66のこのホイール66aと一体的に形成された回転軸66bの軸受け64bと、第3のローラ67のホイール67aを回転自在に受入れるくぼみ64aと、第3のローラ67のこのホイール67aと一体的に形成された回転軸67bの軸受け64bとが形成されている。
【0057】
なお、図示されていないが、ローラ支持部材64には、回転軸のロック機構が設けられている。このロック機構は、第1のローラ65の回転軸65b、第2のローラ66の回転軸66b及び第3のローラ67の回転軸67bを軸受け64b、軸受け64b及び軸受け64bにそれぞれ係合させた後、これら回転軸が外れないようにロックするためのものである。
【0058】
軸受け64b及び64bは、本実施形態では、第1のローラ65の回転軸65b及び第2のローラ66の回転軸66bが、従ってそれらの回転中心である軸線が、ローラシューズの幅方向に伸長し底面と平行な連続する単一の直線となるように配置されている。即ち、第1のローラ65のホイール65a及び第2のローラ66のホイール66aの接地面が底面と平行となるように構成されている。また、軸受け64bは、第3のローラ67の回転軸67bが、従ってその回転中心である軸線が、ローラシューズの幅方向に伸長し回転軸65a及び66aの軸線と平行な直線となるように配置されている。
【0059】
なお、第1のローラ65、第2のローラ66及び第3のローラ67の全てを取り外せば、通常のシューズとして使用でき、第3のローラ67のみを取り外せば、二輪のローラシューズとして使用することができる。
【0060】
このように本実施形態では、前方の第1のローラ65及び第2のローラ66、並びに後方の第3のローラ67からなる三輪のローラが設けられているため、直進安定性に優れており、前後左右のバランスを容易に保つことができ、安定したローラスケート動作を行うことができる。即ち、フィギュアスケートの滑り感を得ることができ、バックヒーリング、ターンブレーキ、スラローム、ヒーリングスイッチ、片足走行、惰性走行、ハーフパイプ、ジャンプ等の技を容易に行うことが可能である。また、三輪ゆえに接地面積が大きく安定性がより向上するのみならず、本実施形態のように三輪のローラを別個に回転可能な構成とすれば、ローラスケート動作のコントロールがより簡単に行え、安全性が高くなる。
【0061】
特に、これら三輪のローラがかかと部10に設けられているため、ローラスケート動作時には、かかとに重心を集中させ、つま先を上げずにパラレルの状態でローラスケート動作が可能となる。従って、かかと部分や足首の部分に全身の力が集中するなどして無理な力が印加されることなく、長時間の使用に適している。しかも、容易にローラスケート動作に入ることができるので、かかと部分や足首の部分に傷害を与えることなく、初心者であってもローラスケート動作を極めて容易にかつ短時間で習得することができる。しかも、ローラがかかと部のみに設けられているため、つま先部で制動動作を容易に行うことができるから、安全である。
【0062】
なお、本実施形態では、第1のローラ65の回転軸65b(その軸線)と第2のローラ66の回転軸66b(その軸線)とが底面と平行な連続する単一の直線となるように構成されているが、これら回転軸65b及び66b(その軸線)を、それぞれ、ローラシューズの底面と非平行な互いに非連続の2つの直線となり、これら2つの直線のなす上側角が180°未満となるように構成しても、即ち、第1のローラ65のホイール65a及び第2のローラ66のホイール66aの接地面が底面と平行ではなく外側に傾いた「ハの字」状となるように構成しても良い。後者の場合、ローラスケート動作の安定性がさらに向上する。
【0063】
さらに、本実施形態においても、図2及び図3に示すごとき変更態様を適用することが可能であり、さらに、第1のローラ65のホイール65a及び第2のローラ66のホイール66aとして、図4に示すごとき形状のホイールを使用することも可能である。
【0064】
以上述べた実施形態は全て本発明を例示的に示すものであって限定的に示すものではなく、本発明は他の種々の変形態様及び変更態様で実施することができる。従って本発明の範囲は特許請求の範囲及びその均等範囲によってのみ規定されるものである。
【符号の説明】
【0065】
10 かかと部
11 土踏まず部
12 つま先部
13、63 凹部
14、24、34、54、64 ローラ支持部材
14a、14a、14a、24a、34a、34a、34a、64a、64a、64a くぼみ
14b、14b、14b、24b、24b、54b、54b、64b、64b、64b 軸受け
15、45、65 第1のローラ
15a、16a、17a、45a、46a、65a、66a、67a ホイール
15b、16b、17b、25、45b、46b、55、65b、66b、67b 回転軸
16、46、66 第2のローラ
17、47、67 第3のローラ
35、36、37 軸受け部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シューズの幅方向に伸長する第1及び第2の軸線をそれぞれ回転中心として互いに並列に配列され一部が該シューズの底面から突出している第1及び第2のローラと、前記シューズの幅方向に伸長し前記第1及び第2の軸線に対して該シューズの前方又は後方に存在する第3の軸線を回転中心とし、一部が該シューズの底面から突出している第3のローラとを備えており、前記第1及び第2のローラ及び前記第3のローラが、該シューズのかかと部に設けられていることを特徴とするローラシューズ。
【請求項2】
前記第1及び第2の軸線が、前記第3の軸線より該シューズの後方に存在していることを特徴とする請求項1に記載のローラシューズ。
【請求項3】
前記第1及び第2の軸線が、前記第3の軸線より該シューズの前方に存在していることを特徴とする請求項1に記載のローラシューズ。
【請求項4】
前記第1及び第2の軸線が、前記シューズの底面と平行な連続する単一の直線からなることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載のローラシューズ。
【請求項5】
前記第1及び第2の軸線が、前記シューズの底面と非平行な互いに非連続の2つの直線からなり、該2つの直線のなす上側角が180°未満であることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載のローラシューズ。
【請求項6】
前記第1及び第2のローラの各々は、内側の径と外側の径とが等しい円筒形状を有していることを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載のローラシューズ。
【請求項7】
前記第1及び第2のローラの各々は、内側の径が外側の径より小さい円錐台形状を有していることを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載のローラシューズ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−234983(P2011−234983A)
【公開日】平成23年11月24日(2011.11.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−110543(P2010−110543)
【出願日】平成22年5月12日(2010.5.12)
【出願人】(500514579)ジェイディジャパン株式会社 (20)
【Fターム(参考)】