説明

ローラベアリングモジュール及びローラベアリング

【課題】剛性の保持器を使用せず、簡単な構造であって作業性に優れ、効率的に製作して材料ロスの少なく、しかもベアリングの耐荷重容量の大きいローラベアリングモジュール及びローラベアリングを提供すること。
【解決手段】保持器がアキシャルローラ110の軸方向に離間して内周側及び外周側に配置されるとともに一対の連結孔を有する多数の内周側リンクプレート120及び外周側リンクプレート130を連結孔に連結ピン140を挿通して環状に連結した無端チェーン状の形状を呈するもので、アキシャルローラ110が中空円筒形状を呈するとともに連結ピン140を挿通されて内周側リンクプレート120及び外周側リンクプレート130の間に保持されているローラベアリングモジュール100。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、風力発電機の主軸を支持する支持構造、シールド掘削機の回転するカッターディスク、カッタフレームをスラスト荷重を受けつつ支持する支持構造、又はパワーショベル、クレーン等において上部回転部を下部フレームに支持する支持構造などに使用されるような大型のローラベアリング構造、特に軸方向荷重を受けるアキシャルローラベアリング構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、上下水道用トンネル、地下鉄用トンネル等の各種のシールド坑をシールド工法により構築するための掘削装置としてシールド掘削機が実用化されていて、このようなシールド掘削機では先端にカッターディスクのような巨大な掘削装置が回転自在に設置されており、これを支持するためにアキシャルローラベアリングが使用されている。
また、パワーショベル、クレーンのような建設機械では、自走機構を備えた下部構造に対し、ショベルアーム、ブームを備えて下部機構に対して回転自在に設置される上部機構を支持するために、アキシャルローラベアリングが使用されている。
これらの機械に使用されるアキシャルローラベアリングは、アキシャル方向に相当に大きな荷重を支持する必要があるとともに、その支持する対象の大きさゆえに、ローラベアリング自体の半径が相当に大きいものである。
【0003】
通常、アキシャル方向(若しくはスラスト方向)の荷重を支持するアキシャルローラベアリングは、図6に示されるように、例えば、上部軌道輪550及び下部軌道輪560のような一対の軌道輪と、当該一対の軌道輪の間に配置される複数のローラ510と、これら複数のローラ510を保持する保持器520とから構成されていて、それぞれは、単独の部品で形成されている(例えば、特許文献1を参照のこと)。
また、図7に示されるように、保持器には切削等の機械加工により多数のポケット521が形成されていて、これら多数のポケット521にそれぞれベアリングを構成するローラ510を保持させて、これを上部軌道輪550、下部軌道輪560の間に挟持して、ローラベアリング500が構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特表2008−517239号公報(図4)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところが、本願発明が前提とするような大型のアキシャルローラベアリング500の場合には、適用される装置が大型であり、ローラベアリング500もその径は非常に大径となって、ローラベアリング500自体に印加される荷重も相当大きくなるが、そこに保持されるそれぞれのローラ510自体はかなり小さく、図7に示されるように、ローラベアリング500の外径が大径となる割には、ローラベアリング500を構成する上下の軌道輪550、560や、保持器520の幅が小さい点において、通常のベアリングとは些か異なる、独特の構造を備えている。
【0006】
したがって、多数のローラ510を保持する保持器520も、径が大径である割に板幅、板厚が薄く、全体としては変形し易いものとなってしまう。特に、通常のベアリングに使用される保持器のように全体を一体として成形すると、その運搬、装着作業時などに変形、破損などが起こり易く、取扱いに細心の注意を要するものであり、作業者の負担が大きいという問題があった。
また、全体構造としてそのような変形しやすい構造であるため、製作において精度を上げることが難しく、加工上も細心の注意を払う必要があり、歩留まりも上がらず作業性を向上し難いという問題があった。
【0007】
さらに、従前、所謂打抜き保持器として知られているように、大きな薄い平板状の材料から円環状の部材を打抜き加工して保持器を形成するものもあったが、このような保持器はもっぱら小型の軸受において使用されるものであり、強度的にも大径の軸受に使用するには不適なものであり、また、中央の円板部など抜き跡として廃棄される材料も多いという問題があった。
加えて、ローラ510を保持するポケット522を切削加工する場合には多くの切り屑が生ずるため、この点も資源の有効活用という面で大きな問題があった。
【0008】
本発明は、前述したような従来技術の問題点を解決するものであって、本発明の技術的課題、すなわち本発明の目的は、剛性の保持器を使用せず、簡単な構造であって作業性に優れ、効率的に製作して材料ロスの少なく、しかもベアリングの耐荷重容量の大きいローラベアリングモジュール及びローラベアリングを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本請求項1に係る発明は、周方向に等間隔で放射状に配置される複数のアキシャルローラと該アキシャルローラを保持する環状の保持器とを備えるローラベアリングモジュールであって、前記保持器が、前記アキシャルローラの軸方向に離間して内周側と外周側とに配置されるとともに一対の連結孔を有する多数の内周側リンクプレート及び外周側リンクプレートを前記連結孔に連結ピンを挿通して環状に連結した無端チェーン状の形状を呈するもので、前記アキシャルローラが中空円筒形状を呈するとともに前記連結ピンを挿通されて前記内周側リンクプレート及び外周側リンクプレートの間に保持されていることにより、前述した課題を解決したものである。
【0010】
請求項2に係る発明のローラベアリングモジュールは、請求項1に係る発明の構成に加えて、前記内周側リンクプレート及び外周側リンクプレートが、アキシャルローラ側にオフセットされたオフセット部と、アキシャルローラから離間する側にオフセットされた基部とを備え、後続する内周側リンクプレート若しくは外周側リンクプレートのオフセット部を先行する内周側リンクプレート若しくは外周側リンクプレートの基部のアキシャルローラ側に配置して前記連結孔に連結ピンを挿通して連結されていることにより、前述した課題をさらに解決したものである。
【0011】
請求項3に係る発明のローラベアリングモジュールは、請求項1に係る発明の構成に加えて、前記保持器の内周側リンクプレートが、前記アキシャルローラの内周側に位置して長手方向に並ぶ一対の連結孔を形成した内周側内リンクプレートと該内周側内リンクプレートと長手方向に交互に配置されて長手方向に並ぶ一対の連結孔を形成した内周側外リンクプレートとにより構成され、前記保持器の外周側リンクプレートが、前記アキシャルローラの外周側に位置して長手方向に並ぶ一対の連結孔を形成した外周側内リンクプレートと該外周側内リンクプレートと長手方向に交互に配置されて長手方向に並ぶ一対の連結孔を形成した外周側外リンクプレートとにより構成され、前記内周側リンクプレートと外周側リンクプレートとが連結孔に連結ピンを挿通して環状に連結した無端チェーン状の形状を呈していることにより、前述した課題をさらに解決したものである。
【0012】
請求項4に係る発明のローラベアリングモジュールは、請求項1乃至請求項3のいずれかに係る発明の構成に加えて、前記リンクプレート及びアキシャルローラの数を変更して径が変更自在であることにより、前述した課題をさらに解決したものである。
【0013】
請求項5に係る発明のローラベアリングは、請求項1乃至請求項4のいずれかに記載のローラベアリングモジュールの両側に環状の軌道輪を配置して、該軌道輪によりローラベアリングモジュールを挟持して形成したことにより、前述したローラベアリングモジュールと同様の課題を解決したものである。
【発明の効果】
【0014】
請求項1に係る発明は、周方向に等間隔で放射状に配置される複数のアキシャルローラとアキシャルローラを保持する環状の保持器とを備えるローラベアリングモジュールであって、保持器が、アキシャルローラの軸方向に離間して内周側及び外周側に配置されるとともに一対の連結孔を有する多数の内周側リンクプレート及び外周側リンクプレートを連結孔に連結ピンを挿通して環状に連結した無端チェーン状の形状を呈するもので、アキシャルローラが中空円筒形状を呈するとともに連結ピンを挿通されてリンクプレートの間に保持されていることにより、従来技術のもみ抜き保持器のような剛性の構造ではなく、多数の部品により構成されて屈曲性の保持器を使用するようにして、従来のように、大型で変形し易い保持器を高精度で製作して注意深く搬送する、というような作業者にとり負担の多い作業を不要として、内周側、外周側リンクプレート及びアキシャルローラなどのシンプルな構造で比較的小型の部品を製作及び取り扱うだけでよいため、プレス、曲げのような製作作業、及び、移送、保管のようなハンドリング作業を大幅に簡易化して、低コスト化及び効率化することができる。
【0015】
すなわち、内周側、外周側ともに、単純な構造のリンクプレートを無端チェーン状を呈するように結合して屈曲可能に構成したことにより、構造の簡易な2種類のリンクプレートを製作及び使用して変形により不具合が生ずることのない保持器を形成するようにしたため、ベアリング保持器の機械加工に高価な切削機械を使用することなく安価なプレス成形装置を使用して、単純な打抜き、曲げなどの加工で製作できるというように、製作工程を極めて簡便かつ低コストのものとできる。また、ベアリングモジュールの移送時においては、完成時のローラベアリング又はローラベアリングモジュールの径に比べて相当に小さく軽量である、内周側リンクプレート、外周側リンクプレート及びアキシャルローラの状態、あるいはこれらの小さな組立体の状態で、梱包、移送などのハンドリング作業を実行するため、移送時における変形の虞をほとんど解消することができて、従前のように神経を消耗するような作業を著しく軽減して、取扱い作業を格段に負担の少なく効率的なものとすることができる。
【0016】
加えて、従来のもみ抜き保持器が備えていたローラポケットのような、各ローラを別個に収容・保持するような余分の構造を一切省略して内周側リンクプレート、外周側リンクプレートのような非常に簡易な構造としたため、簡便かつ低コストで歩留まり高く保持器及びローラベアリングモジュールを製造することができる。また、従来の平板から環状の保持器を打抜き成形していた場合と比べても、円環状の部品を使用することがないため、保持器を打ち抜いた後に残る円板状の打抜き屑やポケットを形成する際に生ずる切削屑などが生ぜず、利用できずに廃棄される材料を大幅に軽減することができる。
【0017】
さらに、従前のローラポケットのようにローラの間に存在した柱状の部分がないので、ローラ相互間の距離を接近させて、同じ大きさの保持部であっても多数のローラを収容、保持するため、全体としてより大きな耐荷重特性を備えるものとできる。
【0018】
その上、アキシャルローラが、それぞれ連結ピンを挿通されて内周側リンクプレートと外周側リンクプレートとの間に保持されることにより、アキシャルローラが一定の回転軸芯の周りに安定して回転するため、アキシャルローラ相互にあるいはアキシャルローラと周囲の内周側リンクプレート又は外周側リンクプレートとで衝突したり摩擦しあうことがなく、長期にわたって安定して使用することができる。
【0019】
さらに、ローラベアリングモジュールが多数の部品により形成されていて、一部が破損した場合には、当該破損箇所のみを交換すれば再度使用が可能となるため、部分が破損しただけで環状モジュール全体を廃棄する必要がなく、無駄を抑えてメンテナンス性を大きく改善することができる。
【0020】
請求項2に係る発明のローラベアリングモジュールは、請求項1に係る発明が奏する効果に加えて、保持器の内周側リンクプレート及び外周側リンクプレートがアキシャルローラ側にオフセットされたオフセット部とアキシャルローラから離間する側にオフセットされた基部とを備え、後続する内周側リンクプレート若しくは外周側リンクプレートのオフセット部を先行する内周側リンクプレート若しくは外周側リンクプレートの基部のアキシャルローラ側に配置して連結孔に連結ピンを挿通して連結されていることにより、内周側リンクプレート及び外周側リンクプレートがそれぞれ一種類のリンクプレートにより構成されるため、部品点数を最小限としてローラベアリングモジュールの製造を簡便化することができるとともに、メンテナンスにおいて保持すべき部品の種類を減少してメンテナンス作業を省スペースでロスの少ないものにできる。
【0021】
請求項3に係る発明のローラベアリングモジュールは、請求項1に係る発明が奏する効果に加えて、保持器の内周側リンクプレートがアキシャルローラの内周側に位置して長手方向に並ぶ一対の連結孔を形成した内周側内リンクプレートと当該内周内リンクプレートと長手方向に交互に配置されて長手方向に並ぶ一対の連結孔を形成した内周側外リンクプレートとにより構成され、保持器の外周側リンクプレートがアキシャルローラの外周側に位置して長手方向に並ぶ一対の連結孔を形成した外周側内リンクプレートと当該外周側内リンクプレートと長手方向に交互に配置されて長手方向に並ぶ一対の連結孔を形成した外周側外リンクプレートとにより構成され、内周側リンクプレートと外周側リンクプレートとが連結孔に連結ピンを挿通して環状に連結した無端チェーン状の形状を呈していることにより、当該ローラベアリングモジュールをあたかも無端チェーンのような構造として、内周側内リンクプレート、内周側外リンクプレート、外周側内リンクプレート、外周側外リンクプレートを長円形平板状の極めて単純な形状で形成するため、これらのリンププレートを、板体から単純な打抜き、曲げ加工などにより製作するため、各リンクプレート及びローラベアリングモジュールの加工において高価な切削機械を使用する必要がなく、安価な工作機械を使用してシンプルな作業で低コストに製作することができる。
【0022】
請求項4に係る発明のローラベアリングモジュールは、請求項1乃至請求項3のいずれかに係る発明が奏する効果に加えて、内周側リンクプレートと外周側リンクプレートとアキシャルローラの数を変更して径が変更自在であることにより、ローラベアリングモジュールの径ごとに専用の部品を多数製作することなく、複数の径を備えるローラベアリングモジュールに共用可能な内周側リンクプレート、外周側リンクプレートを使用して、これらの数を変更することのみで種々の径のローラベアリングモジュールを製作するため、個々の部品の汎用性を高め、むやみに多種類の部品を用意することがなく、より少ない種類の部品であっても多種の径のローラベアリングモジュールを製作することができる。
【0023】
請求項5に係る発明のローラベアリングは、請求項1乃至請求項4のいずれかに記載のローラベアリングモジュールの両側に環状の軌道輪を配置して、軌道輪によりローラベアリングモジュールを挟持して形成したことにより、請求項1乃至請求項4に記載のローラベアリングモジュールと同様に、多数の部品により構成されて屈曲しても問題の生じない保持器を使用するようにして、従来のように作業者にとり負担の多い作業を不要として、シンプルな構造で小型の部品を製作及び取り扱うだけで済むため、プレス、曲げ加工のような製作作業、及び、移送、保管のようなハンドリング作業を大幅に簡易化して、ローラベアリングを低コスト化及び効率化して製作することができるとともに、多数のローラを収容、保持して大きな耐荷重特性を備えることができて、しかもメンテナンス作業についても省スペースでロスの少ないローラベアリングを製作することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の第1実施例であるローラベアリングモジュールの概略斜視図。
【図2】図1に示すローラベアリングモジュールの要部拡大図。
【図3】図1に示すローラベアリングモジュールを半割断面図。
【図4】本発明の第2実施例であるローラベアリングモジュールの要部拡大図。
【図5】図4に示すローラベアリングモジュールの半割断面図。
【図6】従来の大径アキシャルローラベアリングの一部断面概略図。
【図7】従来のもみ抜き保持器の概略図。
【発明を実施するための形態】
【0025】
本発明は、周方向に等間隔で放射状に配置される複数のアキシャルローラと当該アキシャルローラを保持する環状の保持器とを備えるローラベアリングモジュールであって、保持器がアキシャルローラの軸方向に離間して内周側及び外周側とに配置されるとともに一対の連結孔を有する多数の内周側リンクプレート及び外周側リンクプレートを連結孔に連結ピンを挿通して環状に連結した無端チェーン状の形状を呈するもので、アキシャルローラが中空円筒形状を呈するとともに連結ピンを挿通されて内周側リンクプレート及び外周側リンクプレートの間に保持されて、剛性の保持器を使用せず、簡単な構造であって作業性に優れ、効率的に製作して材料ロスの少なく、しかもベアリングの耐荷重容量の大きいものであれば、その具体的な態様はいかなるものであっても何ら構わない。
【0026】
すなわち、ローラベアリングモジュールの軌道輪やアキシャルローラなどの材料は、大径ベアリングに特有の高負荷に耐えるものであれば、通常のローラベアリングに使用されるような材料で構わず、また、保持器の材料としても、炭素鋼(S25C〜S45C)、快削鋼のような鉛若しくは鉛合金を含有する低炭素鋼、高力黄銅鋳物などのような従前保持器に使用されていた材料でも構わないが、加工性、強度、コストなどを考慮すると、一般構造用の圧延鋼材で、俗に鋼帯と呼ばれるような扁平角柱状の線材を使用して板状部材からそれぞれのリンクプレートをプレス打抜き及び曲げ成形するようにすると、原材料の無駄を大きく軽減できて好ましい。
【0027】
また、内周側リンクプレートと外周側リンクプレートとを連結ピンのみで連結してもよいが、一方をブシュにより連結し、他方を当該ブシュに交互に挿通される連結ピンにより連結するというようにして、ブシュの外周にアキシャルローラを配置するようにしてもよい。
【0028】
アキシャルローラは、連結ピンなどに外嵌される中空円筒形状であればよいが、外周側と内周側との径の差を考慮して、外側の径をやや大とした、切頭円錐状の外形を有するものであってもよい。また、単列のみでなく、複数列配置するようにしても構わない。
【実施例1】
【0029】
以下、本発明の第1実施例であるローラベアリングモジュール100について、図1乃至図3を参照して説明する。
図1は、本発明の第1実施例であるローラベアリングモジュール100の概略斜視図であり、図2は、図1に示すローラベアリングモジュール100の要部拡大図であり、図3は、図1に示すローラベアリングモジュール100の半割断面図である。
【0030】
本第1実施例のローラベアリングモジュール100は、全体形状が図1に示されるとおり、多数の軸方向すなわちアキシャル方向の荷重を支持するアキシャルローラ110が、周方向に等間隔で放射状に配置されて、これらのアキシャルローラ110が、アキシャルローラ110の内周側と外周側とに対向して配置された内周側リンクプレート121と外周側リンクプレート131との間に挟持して保持される。
【0031】
先に従来技術の欄でも記述したように、大径のアキシャルローラベアリングの場合には、アキシャルローラ及び保持器からなるローラベアリングモジュール部が、その径に比してアキシャルローラ110及び保持器の寸法が小さく、全体として変形しやすい構造となってしまう。
本発明は、この変形しやすい点に関し、変形しないように剛性を高めるという発想を転換して、逆に変形を許容して、変形する特性を備えた保持器であっても、ローラベアリングとして組み上げた後には、保持器の変形する特性により、アキシャルローラ110のアキシャル力支持特性に全く不具合を生じさせないようにしたことに特徴を有する。
【0032】
本第1実施例であるローラベアリングモジュール100のその具体的構造は、図2及び図3からより明らかであるように、アキシャルローラ110の内周側に内周側リンクプレート120を、アキシャルローラ110の外周側に外周側リンクプレート130を、それぞれ配置し、これら内周側リンクプレート120と外周側リンクプレート130との間に配置されたアキシャルローラ110が、各リンクプレート120、130に穿孔した、連結孔である連結ピン挿通孔125、135に挿通して両端を連結ナット150により固定される連結ピン140及びブシュ160により軸心を挿通されて回動自在に保持されていて、全体として従前のいわゆるオフセットチェーンと類似の形態を呈するものである。
なお、本実施例では連結ナット150をシュー160に埋設したシュー1体型のタイプを使用していて、外側に連結ナット150の角部が露出しないようにしているが、シュー160と連結ナット150とを分離して、シュー160を一部の連結ナット150のみに装着するようにしても、連結ピン140の端部又は連結ナット150の角部により周囲の部材が損傷することを防止することができる。
【0033】
内周側リンクプレート120又は外周側リンクプレート130は、それぞれ、一端側に、基部である略半割長円形状の内周側リンク基部121又は外周側リンク基部131と、当該内周側リンク基部121又は外周側リンク基部131からそれぞれアキシャルローラ110側にオフセットされたオフセット部である略半割長円形状の内周オフセット部123又は外周オフセット部133と、これら内周側リンク基部121又は外周側リンク基部131と内周オフセット部123又は外周オフセット部133とをそれぞれオフセット状に結合する屈曲部122、132とで構成されており、内周側リンクプレート120及び外周側リンクプレート130のそれぞれに、連結孔である、連結ピン140を挿通する連結ピン挿通孔125、135、及び、ブシュ160を嵌合するブシュ挿通孔124、134を設けている。
【0034】
内周側リンクプレート120と外周側リンクプレート130とは基本的な形状において類似の対称的な形状であるが、オフセットチェーンとは異なり、内周側リンクプレート120はアキシャルローラ110と反対側、すなわちローラベアリングモジュール100の中心側を凹とする所望の曲率に屈曲していて、また、外周側リンクプレート130はアキシャルローラ110側、すなわち、これまたローラベアリングモジュール100の中心側を凹とする所定の曲率に屈曲している。さらに、外周側リンクプレート130のほうが、ベアリングモジュール100の組み上がり時においてアキシャルローラ110の軸方向長さだけ大きな半径となる分に応じて長手方向の寸法が大となっている。
【0035】
内周側リンクプレート120及び外周側リンクプレート130の曲率は、ローラベアリングモジュール100の組み上がり時の径にしたがって決定される。
ただし、実際の構造においては、設計された曲率の弧状面とする必要はなく、各オフセット部123、133及び各リンク基部121、131を平面状とし、これらの間の屈曲部122、132において当該オフセット部123、133と基部121、131とを所定の角度を有するように屈曲して、ベアリングモジュール100全体としては正多角形状を呈するようにすると、プレスによる打抜き、曲げなどの成形加工作業や、アキシャルローラベアリング装着などの組立作業を簡便化できて有利である。
【0036】
内周側リンクプレート120の内周オフセット部123を、隣接して配置された内周側リンクプレート120の内周側リンク基部121のアキシャルローラ側110に重ねて配置し、また外周側リンクプレート130についても、内周側リンクプレート120と同様に、隣接する外周側リンクプレート130の外周側リンク基部131のアキシャルローラ110側に外周オフセット部133を重ねて配置し、これらの重ね合わせた部分の間にアキシャルローラ110が配設される。
そして、これらの挿通孔に連結ピン140を挿通して、両端に連結ナットを螺着して全体を順次固定すると、本第1実施例であるローラベアリングモジュールが組み上がる。
【0037】
図示のように、これら内周側リンクプレート120の内周側リンク基部121、内周オフセット部123、アキシャルローラベアリング110、外周側リンクプレート130の外周オフセット部133、外周側リンク基部131の順に位置させるが、予め内周オフセット部123と外周オフセット部133との間にアキシャルローラ110を回動自在に外嵌したブシュ141を嵌合固定して、1つのアキシャルローラ110を外嵌したブシュ141により一対の内周側リンクプレート120及び外周側リンクプレート130とを結合して構成されるアキシャルローラユニットを組み立て、当該アキシャルローラユニットのリンク基部側に後続して結合するアキシャルローラユニットのオフセット部側を挿入して、後続するアキシャルローラユニットのオフセット部側に固定したブシュ141に連結ピン140を挿通して、連結ピン140により先行するアキシャルローラユニットの内周側リンク基部121と外周側リンク基部131とを嵌合する、というようにして、アキシャルローラユニットを順次結合するようにすると、従前のオフセットチェーンと類似の方法で、極めてシステマティックにローラベアリングモジュール100を製作することができる。
この場合、保管、移送などの作業を、このアキシャルローラユニット単位で実行することも可能である。
もちろん組み立ての順序は、この他にも、従前のオフセットチェーン組み立てと類似の方法を採用することもでき、また、内周側あるいは外周側から順次部品を組み付けてゆき、当該ローラベアリングモジュール100を製作してもよい。
【0038】
なお、本実施例では、連結ピン140の外周にブシュ141を外嵌しているが、当該ブシュ141は特に設けなくともよい。特に、軸受の回転速度が低速であって連結ピン140とアキシャルローラ110内面との摩擦が小さい場合には、ブシュ141を配置せずに連結ピン140のみにより連結するようにしたほうが、ローラベアリングモジュール100作成におけるブシュ141の装着作業を省略して、ローラベアリングモジュール100の構造及び組立作業を一層簡素化することができる。
【0039】
また、組み上がり後のローラベアリングモジュール100の外径は、基本的に内周側リンクプレート120及び外周側リンクプレート130の曲率により決定されるが、厳格にこれらの曲率のみにより決定されるものではなく、例えば屈曲部122、132においてある程度屈曲可能であるなど、内周側リンクプレート120又は外周側リンクプレート130において微小の屈曲変形は許容されるので、設計上の基本径であるベアリングモジュール100を製作する際に要する内周側リンクプレート120及び外周側リンクプレート130の数を基本として、両リンクプレート120、130、及びアキシャルローラの幾つかを増減することにより、外径の異なるベアリングモジュール100を製作することができる。
【0040】
そして、本第1実施例のローラベアリングモジュール100が連結ピン140周りに回動して変形可能であるため、たとえ組立て直前においてローラベアリングモジュール100が屈曲していたとしても、ローラベアリング組立て時に両側の軌道輪に間に挟持されると、ローラベアリングモジュール100が両側の軌道輪の表面に倣った形状となって、アキシャルローラ110が軌道輪の表面から浮き上がることなく当接して転動するので、保持器の変形に起因して軌道輪表面とアキシャルローラ110との当接が不十分になるというような不具合を起こすことがなく、アキシャルローラベアリングとして問題なく円滑に機能させることができる。
【0041】
以上のようにして得られた本第1実施例のローラベアリングジュール100は、周方向に等間隔で放射状に配置される複数のアキシャルローラ110と当該アキシャルローラ110を保持する環状の保持器とを備えるローラベアリングモジュール100であって、保持器がアキシャルローラ110の軸方向に離間して内周側及び外周側とに配置されるとともに一対の連結ピン挿通孔125(若しくはブシュ挿通孔124)を有する多数の内周側リンクプレート120及び外周側リンクプレート130を周方向に無端状に連結ピン140(若しくはブシュ141)で連結した無端チェーン状の形状を呈するもので、アキシャルローラ110が中空円筒状の形状を呈するとともに連結ピン140(若しくはブシュ141)を挿通されて内周側リンクプレート120及び外周側リンクプレート130の間に保持されていることにより、従来の発想を転換して、多数の部品により構成されて屈曲性でも確実にアキシャルローラベアリング110を保持するローラベアリングモジュール100としたため、作業者にとり負担の多い作業から開放され、内周側リンクプレート120、外周側リンクプレート130のような簡単な構造の小型の部品を製作、取り扱うだけでよいというように、簡便に製作できて作業性に優れるという顕著な効果を奏するものである。また、簡単な構造でしかも抜き跡として残る材料を僅少とするような形状としているので、これらの作業を簡易で材料ロスの少なく低コストで効率的なものとするとともに、しかもアキシャルローラ110の配置密度を大きくして耐荷重性能を大きくすることができる。
【0042】
さらに、内周側リンクプレート120及び外周側リンクプレート130の2種類のリンクプレートを使用するのみで、それらの数を適宜に変更して径を変更自在であることで、種々の径のローラベアリングモジュール100を製作できるにも係わらず、製作及び保管するリンクプレートの種類をなるべく少なくして製作、取り扱い作業を簡素化することができるとともに、保守用部品の保管スペースを節約することができて、メンテナンス特性に優れるなど、その効果は甚大である。
【実施例2】
【0043】
次に本発明の第2実施例であるローラベアリングモジュール200について、図4及び図5を参照して以下に説明する。
図4は、本発明の第2実施例であるローラベアリングモジュール200の要部拡大図であり、図5は、図4に示すローラベアリングモジュール200の半割断面図である。
なお、前述した第1実施例のローラベアリングモジュール100と本第2実施例のローラベアリングモジュール200とでは、保持器を構成する内周側リンクプレート及び外周側リンクプレートの部分の構造のみ異にし、その他の部分については共通するので、共通する事項については下2桁を共通する200代の符号を付すのみとして、重複的となる詳しい説明は省略する。
【0044】
本第2実施例であるローラベアリングモジュール200では、内周側リンクプレート220を内周側内リンクプレート221及び内周側外リンクプレート222の2種類から構成し、また、外周側リンクプレート230についても内周側リンクプレート220と同様に、外周側内リンクプレート231及び外周側外リンクプレート232の2種から構成するようにしたものであり、構造的には、従前周知の内リンクプレート及び外リンクプレートより構成されるチェーンと類似するものである。
ただ、本第2実施例のローラベアリングモジュールの場合にも、最終的に組み上げられたローラベアリングモジュール200が所定の径の環状構造を呈するものであるため、外周側の外周側内リンクプレート231及び外周側外リンクプレート232のいずれも、アキシャルローラ210側を凹とする所定の曲率で屈曲するものであり、また、内周側の内周側内リンクプレート221及び内周側外リンクプレート222のいずれも、アキシャルローラ210とは反対側、すなわちローラベアリングモジュール200の中心側を凹とする所定の曲率に屈曲するものであって、内側のリンクプレートと外側のリンクプレートとでは完全に対称的な形状ではない点において、チェーンとは構造を異にしている。
【0045】
本第2実施例のローラベアリングモジュール200において、周方向に等間隔で放射状に配置されたアキシャルローラ210の内周側には、アキシャルローラ210に近い側に内周側内リンクプレート221を、アキシャルローラ210から遠い側に内周側外リンクプレート222を配置し、また、アキシャルローラ210の外周側には、アキシャルローラ210に近い側に外周側内リンクプレート231を、アキシャルローラ210から遠い側に外周側外リンクプレート232を配置している。
これら内周側内リンクプレート221及び内周側外リンクプレート222、並びに、外側内リンクプレート231及び外側外リンクプレート232は、いずれも一対の連結ピン挿通孔223、224、233、234、すなわち連結孔、を備えていて、相互に半ピッチずつずらして内リンクプレート221、231の一方の連結ピン挿通孔と外リンクプレート222、232の他方の連結ピン挿通孔とが同軸に重ね合わされて交互に配置され、図1に示されるように、全体として環状を呈するように並設されている。
【0046】
図4及び図5に示されているように、内周側内リンクプレート221及び内周側外リンクプレート222は、ローラベアリングモジュール200の中心方向を凹とするように中央付近で屈曲されていて、また外周側内リンクプレート231及び外周側外リンクプレート232もまた、ローラベアリングモジュール200の中心方向を凹とするように中央付近で屈曲されている。これにより、ローラベアリングモジュール200の組み上がり時には、多角形状を呈する形状となる。
また、第2実施例のローラベアリングモジュール200の場合にも、外周側の内外リンクプレート231、232は、内周側の内外リンクプレート221、222に比して、最終的に環状に組み上げられたときに、アキシャルローラ210の軸方向長さだけ大径となる分、長手方向の寸法が大きくなっている。
【0047】
図4及び図5に示されているように、内周側内リンクプレート221、内周側外リンクプレート222、外周側内リンクプレート231、外周側外リンクプレート232は、中央にアキシャルローラを挟んで、それらの連結ピン挿通孔223、224、233、234に連結ピン240を挿通し、連結ピン240の両端部に連結ナット250を螺着して固定して保持器を構成する。このような内周側内リンクプレート221と内周側外リンクプレート222、及び、外周側内リンクプレート231と外周側外リンクプレート232とは、連結ピン240を軸として相互に回動することが可能である。
【0048】
連結ピン240の一端又は両端には適宜にシュー260が設置されて、連結ピン240又は連結ナット250の角部が周囲の部材とぶつからないように保護している。なお、当該シュー260は、すべての連結ピン240の端部に装着してもよいが、図示のように一部の連結ピン240にのみ装着するようにしてもよい。
アキシャルローラ210は、内周側内リンクプレート221と外周側内リンクプレート231との間に連結ピン240に外嵌して装着され、連結ピン240を回動軸として回動自在である。
【0049】
このように内外一対のリンクプレート221、222、231、232を使用して保持器を構成して組み上げられたローラベアリングモジュール200が変形可能であるため、両側の軌道輪に間に挟持されたときにはローラベアリングモジュール200が当該軌道輪の表面に倣った形状となって、アキシャルローラ210が軌道輪の表面から浮き上がることなく当接して転動するので、保持器の変形に起因して軌道輪表面とアキシャルローラ210との当接が不十分になるというような不具合を起こすことがなく、アキシャルベアリングとして問題なく円滑に機能させることができる。
また、保持器を構成する、内周側内リンクプレート221、内周側外リンクプレート222、外周側内リンクプレート231、外周側外リンクプレート232それぞれの構造が、中央部で屈曲した長円形状と極めてシンプルな形状であり、安価な鋼帯から、打抜き、曲げ成形のような単純な加工のみで製作するので、材料コスト、加工コストを著しく軽減することができるとともに、ドーナツ形状の保持器を打抜き成形する場合と比べても、例えば円板状の廃材を生じないなど、無駄にする部分を大幅に減少して、原材料を効率的に使用することができる。
【0050】
なお、本第2実施例では連結ピン240のみを使用して各リンクプレート221、222、231、232を連結しているが、この他にブシュを併用するようにして連結ピンとブシュとにより各リンクプレート221、222、231、232を連結するようにしてもよい。
第2実施例のローラベアリングモジュール200の場合も、内周側内リンクプレート221及び内周側外リンクプレート222、外周側内リンクプレート231及び外周側外リンクプレート232、並びにアキシャルローラ210の数を調整することにより、種々の径のローラベアリングモジュール200を製作することができる。
【0051】
以上のようにして得られた、本第2実施例のローラベアリングモジュール200は、前述した第1実施例のローラベアリングモジュール100の奏する効果に加えて、保持器の内周側リンクプレート220がアキシャルローラ210の内周側に位置して長手方向に並ぶ一対の連結ピン挿通孔223、224を形成した内周側内リンクプレート221と内周側内リンクプレート221と長手方向に交互に配置されて長手方向に並ぶ一対の連結ピン挿通孔223、224を形成した内周側外リンクプレート222とにより構成され、保持器の外周側リンクプレート230がアキシャルローラ210の外周側に位置して長手方向に並ぶ一対の連結孔233、234を形成した外周側内リンクプレート231と外周側内リンクプレート231と長手方向に交互に配置されて長手方向に並ぶ一対の連結孔233、234を形成した外周側外リンクプレート232とにより構成され、内周側リンクプレート220と外周側リンクプレート230とが連結孔223、224、233、234に連結ピン240を挿通して環状に連結した無端チェーン状の形状を呈していることにより、内周側及び外周側の内外リンクプレート221、222、231、232それぞれを屈曲長円形状と非常にシンプルな形状としているので、製作工程を簡素化して製作コストを大幅に低減できるとともに、材料を無駄なく効率的に使用できるなど、その効果は甚大である。
【符号の説明】
【0052】
100、200 ・・・ ローラベアリングモジュール
110、210 ・・・ アキシャルローラ
120、220 ・・・ 内周側リンクプレート
121 ・・・ 内周側リンク基部(基部)
122 ・・・ 屈曲部
123 ・・・ 内周オフセット部(オフセット部)
124 ・・・ ブシュ挿通孔(連結孔)
125 ・・・ 連結ピン挿通孔(連結孔)
130、230 ・・・ 外周側リンクプレート
131 ・・・ 外周側リンク基部(基部)
132 ・・・ 屈曲部
133 ・・・ 外周オフセット部(オフセット部)
134 ・・・ ブシュ挿通孔(連結孔)
135 ・・・ 連結ピン挿通孔(連結孔)
140、240 ・・・ 連結ピン
141 ・・・ ブシュ
150、250 ・・・ 連結ナット
160 ・・・ シュー
221 ・・・ 内周側内リンクプレート
222 ・・・ 内周側外リンクプレート
223、224 ・・・ 連結ピン挿通孔
231 ・・・ 外周側内リンクプレート
232 ・・・ 外周側外リンクプレート
233、234 ・・・ 連結ピン挿通孔
500 ・・・ ローラベアリング
510 ・・・ ローラ
520 ・・・ 保持器
521 ・・・ ポケット
550 ・・・ 上部軌道輪
560 ・・・ 下部軌道輪

【特許請求の範囲】
【請求項1】
周方向に等間隔で放射状に配置される複数のアキシャルローラと該アキシャルローラを保持する環状の保持器とを備えるローラベアリングモジュールであって、
前記保持器が、前記アキシャルローラの軸方向に離間して内周側及び外周側に配置されるとともに一対の連結孔を有する多数の内周側リンクプレート及び外周側リンクプレートを前記連結孔に連結ピンを挿通して環状に連結した無端チェーン状の形状を呈するものであり、
前記アキシャルローラが中空円筒形状を呈するとともに前記連結ピンを挿通されて前記内周側リンクプレート及び外周側リンクプレートの間に保持されていることを特徴とするローラベアリングモジュール。
【請求項2】
前記保持器の内周側リンクプレート及び外周側リンクプレートが、アキシャルローラ側にオフセットされたオフセット部と、アキシャルローラから離間する側にオフセットされた基部とを備え、
後続する内周側リンクプレート若しくは外周側リンクプレートのオフセット部を先行する内周側リンクプレート若しくは外周側リンクプレートの基部のアキシャルローラ側に配置して前記連結ピンを連結孔に挿通して連結されていることを特徴とする請求項1に記載のローラベアリングモジュール。
【請求項3】
前記保持器の内周側リンクプレートが、前記アキシャルローラの内周側に位置して長手方向に並ぶ一対の連結孔を形成した内周側内リンクプレートと該内周側内リンクプレートと長手方向に交互に配置されて長手方向に並ぶ一対の連結孔を形成した内周側外リンクプレートとにより構成され、
前記保持器の外周側リンクプレートが、前記アキシャルローラの外周側に位置して長手方向に並ぶ一対の連結孔を形成した外周側内リンクプレートと該外周側内リンクプレートと長手方向に交互に配置されて長手方向に並ぶ一対の連結孔を形成した外周側外リンクプレートとにより構成され、
前記内周側リンクプレートと外周側リンクプレートとが連結孔に連結ピンを挿通して環状に連結した無端チェーン状の形状を呈していることを特徴とする請求項1に記載のローラベアリングモジュール。
【請求項4】
前記リンクプレート及びアキシャルローラの数を変更して径が変更自在であることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載のローラベアリングモジュール。
【請求項5】
請求項1乃至請求項4のいずれかに記載のローラベアリングモジュールの両側に環状の軌道輪を配置して、該軌道輪によりローラベアリングモジュールを挟持して形成したローラベアリング。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−237431(P2012−237431A)
【公開日】平成24年12月6日(2012.12.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−108603(P2011−108603)
【出願日】平成23年5月13日(2011.5.13)
【出願人】(000003355)株式会社椿本チエイン (861)
【Fターム(参考)】