説明

ローラ式支持装置

【課題】押さえローラが一方の面に接触する薄板状の被クリーニング材の他方の面を、部品などが設けられていても、安定して支持する。
【解決手段】プリント基板Sの、クリーニングローラ4が設けられている側とは反対側に、基板Sを支持する単数若しくは複数の、円板状の下支えローラ11が、基板搬送方向に直交する回転軸14回りに回転可能に設けられている。下支えローラ11は、外周面に基板Sに接触する弾性リング13を有する。下支えローラ11は、支持台16に上下方向に変位可能に、かつ基板S側にコイルスプリング21によって弾性的に付勢されるように支持されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、押さえローラと支持ローラとで被搬送材を挟むことで、前記被搬送材を支持するローラ式支持装置に関するものである。特に、被搬送材(被クリーニング材)の表面にクリーニングローラ(押さえローラ)を押しつけて静電気力あるいは粘着力により付着する異物(塵挨など)を取り除くクリーニング装置に用いるのに適する。
【背景技術】
【0002】
被クリーニング材の表面に接触させつつ回転させながらクリーニングローラを相対移動させ、前記被クリーニング材の表面との間で生じる電位差を利用して、前記被クリーニング材の表面上に付着する前記異物を、静電気力により取り除くクリーニングシステム(清浄化装置)は知られている(たとえば特許文献1,2参照)。
【0003】
そのようなクリーニングシステムを用いて、例えばプリント基板(薄板状の被クリーニング材)をクリーニングすることが考えられる。そして、前記プリント基板をクリーニングする工程は、プリント基板の実装工程において、通常、プリント基板にクリームはんだを印刷する印刷工程の前工程とされる。クリーニングするプリント基板に何も実装されていない生基板の場合は、ローラ式クリーニング装置であっても、ブラシ式クリーニング装置であっても、制約を受けることなく、クリーニングに使用することができる。
【0004】
ところで、両面に実装するプリント基板については、一方の面に部品が実装されたプリント基板について、実装されていないもう一方の面をクリーニングする必要が生ずる場合がある。
【0005】
その一方の面について部品がすでに実装されたプリント基板を、前述したようなクリーニングローラ(押さえローラ)を用いてクリーニングすることを考えると、プリント基板をクリーニングローラに均等に接触させるためにプリント基板のもう一方の面を支持する、いわゆる下支えが困難であったため、ブラシ式のクリーニング装置を用いなければならなかった。
【0006】
しかしながら、ブラシ式クリーニング装置は、一般に、ローラ式クリーニング装置に比べ、クリーニング性能が劣り、品質の安定を維持することが難しい状況であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平8−203851号公報
【特許文献2】特開2010−99565号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ローラ式クリーニング装置において、一方の面について部品がすでに実装されたプリント基板のもう一方の面をクリーニングする場合は、前記一方の面には部品が実装されているため、下支えをする機構は、下支え要素(下支えローラなど)が前記部品に接触しても、前記部品に前記下支え要素から大きな力が作用して前記部品を損傷することがないように、いわゆる逃げる機構を有する必要がある。
【0009】
そこで、発明者は、前述したクリーニング装置に限らず、搬送される薄板状の被搬送材の搬送方向に直交する回転軸回りに回転可能である押さえローラを有し、一方の面に前記押さえローラが接触する前記被搬送材の他方の面を支持する場合に用いることができ、前記他方の面に支持ローラを接触させて前記被搬送材を支持するローラ式支持装置であって、いわゆる逃げ機能を発揮できるものを発明したものである。
【0010】
本発明は、押さえローラが一方の面に接触する薄板状の被クリーニング材の他方の面を、部品などが設けられていても、安定して支持できるローラ式支持装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
請求項1の発明は、搬送される薄板状の被搬送材の搬送方向に直交する回転軸回りに回転可能である押さえローラを有し、一方の面に前記押さえローラが接触する前記被搬送材の他方の面に支持ローラを接触させ、前記押さえローラとの間に前記搬送材を挟むことで前記被搬送材を支持するローラ式支持装置であって、前記支持ローラは、複数個で、前記被搬送材の搬送方向に直交する方向に間隔を存するように配置され、前記各支持ローラはそれぞれ、円板形状で、独立して、上下方向に変位可能に支持されると共に前記被搬送材側に付勢手段によって付勢されていることを特徴とする。ここで、付勢手段としては、後述するコイルスプリングなどのバネのほか、シリンダ、重りによる重力などが含まれ、支持ローラを被搬送材側に付勢できるものであれば、特に制限されない。
【0012】
このようにすれば、支持ローラはそれぞれ、円板形状で幅方向に薄く、独立して、上下方向に変位可能に支持されるので、部品が実装されている等の理由により被搬送材の表面に凹凸があっても、支持ローラは、前記凹凸の形状に従って上下に無理なく変位し、安定した支持ローラによる支持が実現される。また、各支持ローラは、それぞれ独立して前記被搬送材側に付勢手段によって付勢されているので、弾性的な接触となり、部品を含めて被搬送材の損傷を回避できる。
【0013】
請求項2に記載のように、前記支持ローラは、支持台に上下方向に変位可能に支持され、前記支持台は、前記搬送方向に直交する方向に移動可能に設けられていることが望ましい。
【0014】
このようにすれば、支持台を移動させて各支持ローラによって被搬送材を支持する位置を調整することで、支持ローラによる安定した支持を実現できる。つまり、被搬送材の幅が狭い場合には支持ローラの数を減らすことができ、部品が設けられている等の理由で接触を回避したい場合に、支持ローラを接触しない位置に移動させることができる。
【0015】
請求項3に記載のように、前記付勢手段は、前記被搬送材側への付勢力の大きさを調整可能とされていることが望ましい。
【0016】
このようにすれば、被搬送材の種類(形状、材質など)に応じて、前記被搬送材側への付勢力の大きさを調整することで、支持ローラが被搬送材に強く押しつけられるなどして、被搬送材が損傷したり、押しつけ力が弱く支持が不安定になったりするのを回避できる。
【0017】
請求項4に記載のように、前記支持ローラは、ローラ本体と、このローラ本体の外周面に設けられ前記被搬送材の他方の面に弾性的に接触する弾性部とを有することが望ましい。
【0018】
このようにすれば、支持ローラは、外周面に被搬送材に接触する弾性部が設けられているので、被搬送材に弾性的に接触することで、部品や被搬送材を損傷することが回避される。
【0019】
請求項5に記載のように、前記支持台には、支持アームの中間部が回転可能に支持され、前記支持アームの一端部に前記支持ローラが回転可能に設けられる一方、前記支持アームの他端部と前記支持台との間に、前記付勢手段であるコイルスプリングが設けられている構造とすることができる。
【0020】
このようにすれば、支持ローラを、それぞれ独立して、上下方向に変位可能に支持すると共に前記被搬送材側に付勢手段によって付勢する構造を簡単に実現することができる。
【0021】
請求項6に記載のように、前記押さえローラはクリーニングローラで、前記クリーニングローラは、軸部材の外周部に導電性の内層部と絶縁性の外層部とが順に積層されてなる二層構造で、被クリーニング材となる前記被搬送材の表面に接触しつつ回転しながら相対移動することで、前記被搬送材の表面上に付着する異物を静電気力により吸着するための電荷を表面に保持するものとすることができる。
【0022】
このようにすれば、押さえローラとして静電気力により異物を吸着するクリーニングローラを有するクリーニング装置に適用することができる。
【0023】
請求項7に記載のように、前記弾性部は、導電性を有する弾性材料で構成され、接地されていることが望ましい。
【0024】
このようにすれば、帯電によって、例えばプリント基板に実装された部品にダメージを与えないようにすることができる。
【0025】
請求項8に記載のように、前記各支持ローラには、上方向への変位の上限位置を規制する変位規制手段が設けられていることが望ましい。
【0026】
このようにすれば、支持ローラの上方向への変位の上限位置をクリーニングローラ(押さえローラ)に触れる直前に定め、クリーニング作業を行っていない時に、クリーニングローラは、外力による負荷を最小限にすることにより、ローラ寿命を延ばすことができる。また、クリーニングローラが、不要に支持ローラからの汚れを受けないようにすることができる。
【0027】
請求項9に記載のように、前記押さえローラはクリーニングローラで、前記クリーニングローラは、外周部に粘着層を有し、被クリーニング材となる前記被搬送材の表面に接触しつつ回転しながら相対移動することで、前記被搬送材の表面上に付着する異物を粘着力により吸着し外周面に保持するものとすることも可能である。
【0028】
このようにすれば、押さえローラとして粘着力により異物を吸着するクリーニングローラを有するクリーニング装置に適用することができる。
【発明の効果】
【0029】
本発明は、上記のように、支持ローラを、円板形状で、それぞれ独立して上下方向に変位可能に支持するようにしたので、部品が実装されている等の理由により被搬送材の表面に凹凸があっても、前記凹凸の形状に従って上下に無理なく変位し、安定した支持ローラによる支持を実現できる。また、各支持ローラを、それぞれ独立して前記被搬送材側に付勢手段によって付勢するようにしているので、弾性的な接触となり、部品を含めて被搬送材の損傷を回避できる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明に係るローラ式支持装置が用いられるクリーニング装置の一実施の形態を示す説明図である。
【図2】下支えローラの支持構造の説明図である。
【図3】下支えローラの動作の説明図である。
【図4】下支えローラの動作の説明図である。
【図5】他の実施の形態についての、図1と同様の図である。
【図6】別の実施の形態についての、図1と同様の図である。
【図7】レール部とクリーニングローラとの関係の説明図である。
【図8】レール部とクリーニングローラとの関係の説明図である。
【図9】別の実施の形態についての、図1と同様の図である。
【図10】さらに別の実施の形態についての、図2と同様の図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、本発明の実施の形態を図面に沿って説明する。
【0032】
本発明に係るローラ式支持装置が用いられるクリーニング装置1は、図1及び図2に示すように、薄板状の被搬送材(被クリーニング材)であるプリント基板S(以下、単に基板という)は、それの左右両側に配置されたガイドレール2A,2Bに、各側縁部を支持されつつ搬送されるようになっている。つまり、ガイドレール2A,2Bは上レール部2Aa,2Baと下レール部2Ab,2Bbとからなり、上レール部2Aa,2Baと下レール部2Ab,2Bbとの間に設けられたコンベヤベルト3A,3Bの上に、基板Sの左右側縁部がそれぞれ配置され、その状態でコンベヤベルト3A,3Bが回転駆動されることで、基板Sが所定の方向に一定の速度で搬送されるようになっている。基板Sの下面には、下方に突出する部品S,S2が実装されている。
【0033】
そして、基板Sの表面に接触しつつ回転しながら相対移動することで、基板Sの表面上に付着する異物を静電気力により吸着するための電荷を表面に保持する構成とされるクリーニングローラ4を基板Sの上側に有し、基板Sの表面(上面)上に付着する前記異物を、静電気力を利用して取り除くようになっている。
【0034】
クリーニングローラ4は、導電性軸部材である芯金の外周部に導電性を有する円筒状の内層部が積層され、その外側に内層部よりも高抵抗の材料からなる薄い円筒状の外層部が積層されてなる二層構造で、基板Sとの接触帯電によって、基板の表面上に付着する異物を静電気力により吸着するための電荷を表面に保持する構成とされている。
【0035】
左右のガイドレール2A,2Bの間であって基板Sの下側に位置するように、基板Sの下支え手段として、複数の下支えローラ11(支持ローラ)が設けられている。ここで、(クリーニングローラ4(押さえローラ)と下支えローラ11(支持ローラ)とは、基板S(被搬送材)の搬送方向に直交する回転軸回りに回転可能で、基板Sの一方の面にクリーニングローラ4が、他方の面に下支えローラ11がそれぞれ接触するように、両ローラ4,11にて基板Sを挟むことで基板Sを支持するローラ式支持装置が構成されている。
【0036】
下支えローラ11は、円板形状のローラ本体12と、基板Sに接触する弾性接触部となる弾性リング13とを備え、幅が狭いローラとなっている。ローラ本体12の外周部には環状凹溝12aが形成され、その環状凹溝12aに弾性リング13が嵌合している。この弾性リング13は環状凹溝12aより一部が突出し、弾性リング13が基板Sに弾性的に接触するようになっている。この弾性リング13の材質は、部品S1,S2にダメージを与えないように、ゴム等の柔らかい材質とされる。
【0037】
下支えローラ11は、基板Sの搬送方向に直交する方向の回転軸14を有し、基板Sの搬送方向に直交する方向に間隔を存して配置されている。ここで、下支えローラ11を設ける必要があるのは、基板S両端が乗るコンベヤベルト3A,3Bと、基板Sを上側から押さえつけるクリーニングローラ4(図2参照)とで、基板Sが下方に撓むので、下支えされなければ、基板中央位置付近でクリーニングローラ4と接触しなくなるおそれがあるからである。また、基板Sの全幅がクリーニングローラ4に接触するように、幅が狭い、複数の、円板状の下支えローラ11で下支えするようにしている。
【0038】
この下支えローラ11の回転軸14は、支持アーム15の一端部に回転可能に支持され、支持アーム15の中間部分が支持台16に回転軸17を介して回転可能に支持されている。よって、支持アーム15の回転により、下支えローラ11が上下変位できるようになっている。18は回転軸14,17の止め輪である。
【0039】
また、支持アーム15の他端部と、支持台16との間には、コイルスプリング21が設けられ、てこの原理を利用して、下支えローラ11を上方向、つまり基板Sと接触する方向に弾性的に付勢している。これにより、下支えされる基板Sの下面に実装された部品S1があっても、その部品S1に、下支えローラ11が触れると、図3に示すように少し押し下げられるので、部品を損傷することなく基板Sを下支えすることができ、基板Sを幅方向においてほぼ均等にクリーニングローラ4に密着させることができる。
【0040】
なお、下支えローラ11の外周面は、基板との接触で、帯電しないように導電性の材質で形成され、その外周面は接地され、帯電によって、基板に実装された部品にダメージを与えないようにされている。
【0041】
本発明は、前述したほか、次のように変更して実施することも可能である。
【0042】
(i)下支えローラ11は、具体的に図示していないが、周知の固定具や治具を用いて、図4に示すようにローラ位置を大きく下げた状態を保持できる構成とすることも可能である。
【0043】
よって、下支えローラ11が、コンベアベルト3A,3Bの間において、基板Sに接触し有効に働く位置にないとき、下支えローラ11がコンベアベルト3A,3Bより下方となる位置に保持することでコンベアベルト3A,3Bによる、基板Sの搬送動作を邪魔することを回避できるし、下支えローラ11が、クリーニングローラ4等の他の要素との接触で、下支えローラ11あるいはそれと接触する他の機能部品が損傷するのを避けることができる。
【0044】
(ii)支持台は、図示しない周知のスライド機構により基板幅方向に移動可能に設け、隣り合う下支えローラの間隔を調整できる構成とすることも可能である。
【0045】
このようにすれば、図5に示すように、実装された部品の高さが高い場合下支えローラの接触を嫌う部品である場合には、その接触のおそれがある下支えローラを、接触を回避できる位置に移動させて配置することが可能となる。部品が外力に弱く、下支えローラの接触を嫌う部品である場合も同様にできる。また、下支えローラの間隔の調整により、基板の厚み等による剛性、基板の初期状態での歪みによって、基板がクリーニングローラに接触しなくなることを防止することができる。
【0046】
(iii)レール部も、図示しない周知の移動機構により基板幅方向に移動可能に設け、隣り合う下支えローラの間隔を調整できる構成とすることも可能である。
【0047】
図6に示すように、基板の幅に応じて、左右のレール部はそれらの間隔を調整でき、使用しない下支えローラは、支持台をスライド移動させることで、基板の搬送路外に移動させることができるようになっている。この場合、図7に示すように、クリーニングローラ4に対応する、ガイドレール2A(上レール部2Aa)の部位に切り欠き部2Aaaが形成されていることが望ましい。このようにすれば、図8に示すように、ガイドレール2Aを移動させても、クリーニングローラ4との干渉を回避することができる。クリーニングローラの空転時には、クリーニングローラがコンベヤベルトに従動して回転する場合にはそれらを接触させておいてもよいが、クリーニングローラとコンベヤベルトが独立駆動する場合にはそれらを接触させることなく、基板の通過時にクリーニングローラが基板を十分に押さえることができる程度の隙間を保持しておくことが望ましい。
【0048】
さらに下支えローラはコンベアベルトあるいはレール部の下方まで下げることもできるようにしておけば、図9に示すように、レール部(コンベアベルト)間の間隔を変更するためにコンベアベルトを移動するとき、コンベアベルトは、下支えローラをレール部より下方に位置させることで、下支えローラと関係なく、つまり下支えローラを着脱することなく、レール部(コンベアベルト)を移動できる。
【0049】
逆に、クリーニングする基板の幅に合わせて、機能する下支えのローラの数量を変更するときには、下支えローラを、コンベアベルト間において有効に働く位置と、コンベアベルトの間から外の、有効に働かない位置との間で移動させることができる。そのとき、下支えローラを着脱することなく、下支えローラをコンベアベルトあるいはレール部の下方まで下げることで、コンベアベルトの下方をくぐるようにして、移動させすることができる。
【0050】
(iv)また、各下支えローラの、押し付け力(下支えする力)はコイルスプリングによって発生させているが、このコイルスプリングを、他のコイルスプリングあるいは他の付勢手段に交換することで、各下支えローラの、押し付け力(下支えする力)の大きさを変更調整することができ、下支えローラを設ける位置に関係なく、前記押しつけ力を同じにしてもよいし、異なるようにしてもよく、基板毎の調整変更することもできる。この調整により、基板の厚み等による剛性、基板の初期状態での歪みによって、基板がクリーニングローラに接触しなくなることを確実に防止することが可能となる。また、付勢力の調整は、付勢手段の交換だけでなく、たとえばコイルスプリングの場合には、引っ張り長さを変更して調整することもできるし、付勢手段がシリンダである場合には、シリンダの口径や圧力を変更して調整することができ、重りの場合には、重りの大きさを変更して調整することができる。また、前記実施の形態では、てこの原理を利用しているので、力点・支点あるいは支点・作用点の距離を変更できるようにして調整することもできる。なお、基板の両面とも部品が実装されていない場合にも、基板の下支え手段として使用することができるのはもちろんである。
【0051】
(v)前記各支持ローラ(下支えローラ11)に、上方向への変位の上限位置を規制する変位規制手段を設けることも可能である。具体的には、例えば図10に示すように、支持アーム15に当接して支持アーム15の回転を規制するストッパ部材を、コイルスプリング21付近の支持台16に設けることで実現できる。図10においてはストッパ部材をボルト31で構成し、そのボルト31のねじ込み量を変更することで上限位置を調整し、調整後のボルト31の突出量をナット32にて固定するようにしているが、変位規制手段(ストッパ部材)の構造はこれに限定されるものではない。なお、15aはボルト31の頭部との接触部である。
【0052】
これにより、下支えローラ11(支持ローラ)の上方向への変位の上限位置をクリーニングローラ4(押さえローラ)に触れる直前に定め、クリーニング作業を行っていない時に、クリーニングローラ4は、外力による負荷を最小限にすることにより、ローラ寿命を延ばし、また、クリーニングローラ4と下支えローラ11との接触を回避して、下支えローラ11からの汚れを受けないようにすることができる。
【0053】
(vi)使用される下支えローラの数は、基板の幅によって決定され、単独(1つ)の場合もあり複数の場合もある。この下支えローラとして、基板との接触部分が弾性部となっていれば、車輪状、あるいはタイヤ状のローラを用いることも可能である。両面とも実装されていない生基板の場合にも用いることができるのはいうまでもない。
【0054】
(vii)前記実施の形態は、二層構造のクリーニングローラを用い静電気力で異物を除去するクリーニング装置に利用する場合について説明しているが、本発明を用いることができるのはそれに制限されない。つまり、二層構造に限らず、押さえローラとして機能すれば別の構造のクリーニングローラを用いるものに適用することができるし、クリーニングローラも静電気力により異物を除去するものだけでなく、粘着力により除去するものであってもよい。さらに、クリーニング装置に限らず、押さえローラを用いる装置であって下支えが必要なものであれば利用することができる。
【符号の説明】
【0055】
1 クリーニング装置
2A,2B レール部
3A,3B コンベヤベルト
4 クリーニングローラ(押さえローラ)
11 下支えローラ(支持ローラ)
12 ローラ本体
13 弾性リング
14 回転軸
15 支持アーム
16 支持台
21 コイルスプリング(付勢手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送される薄板状の被搬送材の搬送方向に直交する回転軸回りに回転可能である押さえローラを有し、一方の面に前記押さえローラが接触する前記被搬送材の他方の面に支持ローラを接触させて前記被搬送材を支持するローラ式支持装置であって、
前記支持ローラは、複数個で、前記被搬送材の搬送方向に直交する方向に間隔を存するように配置され、
前記各支持ローラはそれぞれ、円板形状で、独立して、上下方向に変位可能に支持されると共に前記被搬送材側に付勢手段によって付勢されていることを特徴とするローラ式支持装置。
【請求項2】
前記支持ローラは、支持台に上下方向に変位可能に支持され、
前記支持台は、前記搬送方向に直交する方向に移動可能に設けられている請求項1に記載のローラ式支持装置。
【請求項3】
前記付勢手段は、前記被搬送材側への付勢力の大きさを調整可能とされている請求項1または2に記載のローラ式支持装置。
【請求項4】
前記支持ローラは、ローラ本体と、このローラ本体の外周面に設けられ前記被搬送材の他方の面に弾性的に接触する弾性部とを有する請求項1〜3のいずれか1つに記載のローラ式支持装置。
【請求項5】
前記支持台には、支持アームの中間部が回転可能に支持され、
前記支持アームの一端部に前記支持ローラが回転可能に設けられる一方、前記支持アームの他端部と前記支持台との間に、前記付勢手段であるコイルスプリングが設けられている請求項2に記載のローラ式支持装置。
【請求項6】
前記押さえローラはクリーニングローラで、
前記クリーニングローラは、軸部材の外周部に導電性の内層部と絶縁性の外層部とが順に積層されてなる二層構造で、被クリーニング材となる前記被搬送材の表面に接触しつつ回転しながら相対移動することで、前記被搬送材の表面上に付着する異物を静電気力により吸着するための電荷を表面に保持するものである請求項1〜5のいずれか1つに記載のローラ式支持装置。
【請求項7】
前記弾性部は、導電性を有する弾性材料で構成され、接地されている請求項6に記載のローラ式支持装置。
【請求項8】
前記各支持ローラには、上方向への変位の上限位置を規制する変位規制手段が設けられている請求項6または7に記載のローラ式支持装置。
【請求項9】
前記押さえローラはクリーニングローラで、
前記クリーニングローラは、外周部に粘着層を有し、被クリーニング材となる前記被搬送材の表面に接触しつつ回転しながら相対移動することで、前記被搬送材の表面上に付着する異物を粘着力により吸着し外周面に保持するものである請求項1〜5のいずれか1つに記載のローラ式支持装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate


【公開番号】特開2012−166149(P2012−166149A)
【公開日】平成24年9月6日(2012.9.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−29381(P2011−29381)
【出願日】平成23年2月15日(2011.2.15)
【出願人】(000005061)バンドー化学株式会社 (429)
【Fターム(参考)】