説明

ロールペーパーの製造方法及びロールペーパー用紙管の製造方法

【課題】不良ロールペーパーのトレーサビリティーを向上させる。
【解決手段】内面に連続する認識記号を所定間隔毎で変化するように若しくは所定間隔で変化するように付与した長尺の紙管10を製造し、これに連続する衛生薄葉紙2の原紙を巻き付けてログを形成し、その後にログカッター70にて前記認識番号が異なる記号毎に分断されるようにしてログ11を所定間隔で裁断してロールペーパーX1とすることにより解決される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ロールペーパーの製造方法及びロールペーパー用紙管の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
キッチンロールやトイレットペーパー等のロールペーパーはよく知られるところである。
この種のロールペーパーは、帯状の二枚の板紙を一部重ねつつコアワインダーによりシャフトに螺旋状に巻取った後にスリッターで規定長さに裁断して長尺の紙管を製造し、その後に、この長尺紙管に対して、適宜の間隔で切り取り用のミシン目線等が施された幅広の原紙をジャンボロールから繰り出して規定長さ巻付けてログを製造し、その後にログカッターにより製品幅に裁断して製造されている。
前記長尺紙管は、前記原紙幅と同等の長さであり、無駄がないようになっている。
【0003】
ところで、このようなロールペーパーを製造するにあたっては、原紙の巻き取り工程において、ログの幅方向の一部において巻き取り異常やミシン目線裂開などの不良が発生することがある。そして、このような不良は、例えば、ミシン目線を入れるためのパーフォレーションブレードの刃欠けや、ジャンボロールの巻き取り不良などが原因であることがある。
しかしながら、ロールペーパーの製造工程は、個々のロールペーパーに裁断されるまでが一連の流れとされており、裁断後のロールペーパーの状態となってから不良が発覚することもある。そして、この場合に、ロールペーパーとなってしまった後には、ログのどの位置において不良が生じていたが確認できない。
したがって、従来、不良ロールペーパーが発見された場合には、その発見された不良ロールペーパーを含む多量の製品を、正常品も含めて出荷ラインからロットアウトする必要があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−231752号公報
【特許文献2】特開2004−261244号公報
【特許文献3】特開2004−049724号公報
【特許文献4】特開2003−0.4832号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そこで、本発明の主たる課題は、ロールペーパーのトレーサビリティー向上し、製造されたロールペーパーに不良が発見された場合に、当該不良ロールペーパーが、ログ若しくは原紙のどの位置に対応するものであったかを確認できるようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決した本発明とその効果は次記のとおりである。
<請求項1記載の発明>
帯状の衛生薄葉紙が紙管に巻かれたロールペーパーの製造方法において、
二枚の帯状の板紙を短手方向を一部重ねつつコアワインダーによりシャフトに螺旋状に巻付けて、円筒の長尺の紙管とする工程の前段で、
予め前記二枚の帯状の板紙のうち巻き取り内面となる板紙に対して、巻き取り後の紙管状態としたときに、長さ方向に一定間隔毎に変化するように、若しくは一定間隔で変化するようにして、認識記号を付与して長尺の紙管を製造し、
その後にこの長尺の紙管に対して、紙管を実質的に同幅の原紙を、ジャンボロールから繰り出すとともに巻き付けてログを形成し、
その後にこのログを、前記長尺の紙管に付与された認識記号が、それぞれ異なる記号毎に分断されるようにログカッターにて所定幅に裁断してロールペーパーとする、ことを特徴とするロールペーパーの製造方法。
【0007】
(作用効果)
本発明では、ログが裁断された後のロールペーパーから、当該ロールがログ又は原紙の幅方向のどの位置のものであったからが容易に確認できるので、不良品発見時の原因調査が容易となり、また、製品に混入した不良品のみを取り除きやすくなり、不良品混入、製造装置の事故・異常時の被害を最小限に抑えることができる。
【0008】
<請求項2記載の発明>
前記認識記号は、印字、印刷。レーザーマーカー、スタンプ又は型押しによって付与する請求項1記載のロールペーパーの製造方法。
【0009】
(作用効果)
簡易に認識情報を付与できる。
【0010】
<請求項3記載の発明>
前記認識記号を、紙管となったときに、100〜300mmの間隔で変化するように一定間隔で印字・印刷する請求項1又は2記載のロールペーパーの製造方法。
【0011】
(作用効果)
ロールペーパーに認識情報がより配分されるようになる。
【0012】
<請求項4記載の発明>
前記認識記号が、数字、アルファベット、五十音である請求項1〜3の何れか1項に記載のロールペーパー用紙管の製造方法。
【0013】
(作用効果)
認識情報の識別性に優れるようになる。
【0014】
<請求項5記載の発明>
二枚の帯状の板紙を短手方向を一部重ねつつコアワインダーによりシャフトに螺旋状に巻付けて、円筒の紙管とするロールペーパー用紙管の製造方法において、
前記二枚の帯状の板紙のうち巻き取り内面となる板紙に対して、巻き取り後の紙管状態としたときに、長さ方向に一定間隔毎に変化するように、若しくは一定間隔で変化するようにして、認識記号を付与することを特徴とするロールペーパー用紙管の製造方法。
【0015】
(作用効果)
請求項1記載の発明と同様の作用効果を奏する。
【0016】
<請求項6記載の発明>
前記認識記号は、印字、印刷。レーザーマーカー、スタンプ又は型押しによって付与する請求項5記載のロールペーパー用紙管の製造方法。
【0017】
(作用効果)
請求項2記載の発明と同様の作用効果を奏する。
【0018】
<請求項7記載の発明>
前記認識記号を、紙管となったときに、100〜300mmの間隔で変化するように一定間隔で印字・印刷する請求項5又は6記載のロールペーパー用紙管の製造方法。
【0019】
<請求項8記載の発明>
前記認識記号が、数字、アルファベット、五十音である請求項5〜7の何れか1項に記載のロールペーパー用紙管の製造方法。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、ロールペーパーのトレーサビリティー向上し、製造されたロールペーパーに不良が発見された場合に、当該不良ロールペーパーが、ログ若しくは原紙のどの位置に対応するものであったかを確認できる利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】長尺紙管の製造方法の説明図である。
【図2】ロールペーパーの製造工程の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明を実施するための形態を図1及び2を参照しながら以下に説明する。
本発明のロールペーパーX1の製造方法は、長尺の紙管10を製造する工程(A)と、ログ製造工程(B)と、裁断工程(C)を含む。
【0023】
長尺の紙管10を製造する工程(図1中(A))は、図2にも示すように、二枚の帯状の紙管用原紙(板紙)1,1を原反ロール1A,1Aからそれぞれ繰り出しつつ、所定位置に糊付けロール30により糊を付与し、当該糊付けされた部分を重ねつつコアワインダー40によりシャフト41に螺旋状に巻付け、生産品種に合わせた規定長さにスリッター42にて切り揃えることで、円筒の長尺の紙管10を形成する。この方法は、既知の方法である。
【0024】
なお、各紙管用原紙1,1は、各々違う原反を使用してもよく、例えば、一方に印刷を施したり、各々の米坪を変えたりしてもよい。本発明においても、必ずしも紙管原紙1,1は、同様のものである必要はない。
【0025】
本発明においては、特徴的に、原反ロール1A,1Aから繰り出された紙管用原紙1,1に対して、シャフトへの巻き取りを行なう前に、認識情報Pを付与する。
前記認識情報Pは、例えば、数字、アルファベット、五十音が挙げられるが、認識性の点で数字が好適である。図示例では数字である。
【0026】
この認識情報Pの付与は、紙管用原紙1,1のうち巻き取り内面を構成する原紙の一方の、特に長尺の紙管10としたときに内面を構成する部位に対して、その長尺紙管10の長さ方向に、一定間隔毎に変化するように、若しくは一定間隔で変化するようにして、認識記号Pを付与する。
【0027】
認識情報Pを付与する具体的な手段35、としては、インクジェットプリンターが印字精度、印刷品質、設置コストで優れるので好適であるが、その他、レーザーマーカー、スタンプ、型押し(エンボス)加工等によって行なうこともできる。
【0028】
これらの情報Pは、視認できるものであるのがよいが、製造従事者以外の第三者が理解し難いように、バーコードや紫外線等を照射したときにのみ可視化するインクなどによって付与してもよい。
【0029】
このようにして製造された長尺紙管10は、一方端から他方端に向かって順に一定間隔で情報が変化するようにして配列されたものとなる。
【0030】
次いで、この長尺紙管10の製造と平行して又はその後においては、ログ製造工程(図1中(B)にて、ログ11を製造する。なお、ログ11とは、業界においての一般用語であり、最終製品であるロールペーパーX1の径と同径でありかつ幅が最終製品の複数個分ある中間製品である。
【0031】
このログ11の製造は、連続的に又は段階的に、長尺紙管10と実質的に同幅の衛生薄葉紙2,2を、ジャンボロール2A,2Aから繰り出すとともに巻き付けてログ10を形成する。この巻き付けは、既知のワインダー装置50が利用できる。なお、図示例は、二つのジャンボロール2A,2Aから衛生薄葉紙2,2を繰り出して、巻き取り工程の前においてプライボンディング装置或いはエンボス付与後に貼合する装置51を用いた既知の技術によって2プライ構造となるようにしている。
【0032】
なお、図示の形態では、2つのジャンボロールから衛生薄葉紙を繰り出し、積層構造とした2プライ構造の衛生薄葉紙としているが、本発明においては、かかる2プライに限定されず、1プライ若しくは3プライ以上であってもよい。さらには、複数プライ構造とする場合には、各原紙の坪量や物性等は同じである必要はない。
【0033】
次いで、このようにログ11を製造したならば、このログ11を既知のログアキュームレーター60で複数本とストックしつつ後段のログカッター70へと移動させる。そして、その後に図1中(C)に示すように、既知のログカッター70でログ11を製品幅に裁断する。このとき、本発明では、上記長尺紙管の幅方向に配列された認識情報Pが、異なる記号毎に分断されるようにログカッター70にて所定幅に裁断してロールペーパーX1とする。かくして、本発明にかかるロールペーパーX1が製造される。
なお、認識情報Pは、必ずしも、1つのロールX1に対して1箇所でなくてもよく、2箇所入以上であってもよい。
【0034】
また、認識情報Pを付与するときには、製造した紙管10を規定長さに裁断するスリッター42との間のペーパーランを測定し、1本の紙管を製造するのに必要な原紙長さで割り、剰余がある場合、「(先頭のトリム幅÷ロール幅+ログ1本当りのロール数)×刻印の間隔−剰余幅」を遅らせて付与の開始タイミングを計ればよい。
なお、当該認識情報Pの付与のタイミング及び付与間隔は、コアワインダー40と同期を取って、コアワインダースピードより求めることができる。
【0035】
さらには、付与開始タイミング及び付与間隔は理論的には計算で求められるが、紙管原紙1,1の紙質、例えば、紙力、伸び、水分、紙厚等やコアワインダー条件、例えばテンション、重ね合せ状態等に変動要因があり、連続して認識情報を付与すると付与位置にズレが生ずることがあるが、この場合には、例えば、長尺紙管を規定長さに切り分けるスリッターから信号を拾って、長尺紙管1本ごとに連続刻印をキャンセルして調整する。紙管1本単位では、ズレは僅かであるから影響が出ないため、紙管1本ごとに付与の開始タイミング゛を計るようにする。
【符号の説明】
【0036】
X1…ロールペーパー、1…紙管用原紙、1A…紙管用原紙原反、2…衛生薄葉紙、10…(長尺の)紙管、11…ログ、30…糊付けロール、35…認識情報付与手段、40…コアワインダー、41…シャフト、42…スリッター、50…ワインダー装置、P…認識情報、51…プライボンディング装置、60…ログアキュームレーター、70…ログカッター、(A)…紙管製造工程、(B)…ログ製造工程。(C)…裁断工程。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
帯状の衛生薄葉紙が紙管に巻かれたロールペーパーの製造方法において、
二枚の帯状の板紙を短手方向を一部重ねつつコアワインダーによりシャフトに螺旋状に巻付けて、円筒の長尺の紙管とする工程の前段で、
予め前記二枚の帯状の板紙のうち巻き取り内面となる板紙に対して、巻き取り後の紙管状態としたときに、長さ方向に一定間隔毎に変化するように、若しくは一定間隔で変化するようにして、認識記号を付与して長尺の紙管を製造し、
その後にこの長尺の紙管に対して、紙管を実質的に同幅の原紙を、ジャンボロールから繰り出すとともに巻き付けてログを形成し、
その後にこのログを、前記長尺の紙管に付与された認識記号が、それぞれ異なる記号毎に分断されるようにログカッターにて所定幅に裁断してロールペーパーとする、ことを特徴とするロールペーパーの製造方法。
【請求項2】
前記認識記号は、印字、印刷。レーザーマーカー、スタンプ又は型押しによって付与する請求項1記載のロールペーパーの製造方法。
【請求項3】
前記認識記号を、紙管となったときに、100〜300mmの間隔で変化するように一定間隔で印字・印刷する請求項1又は2記載のロールペーパーの製造方法。
【請求項4】
前記認識記号が、数字、アルファベット、五十音である請求項1〜3の何れか1項に記載のロールペーパー用紙管の製造方法。
【請求項5】
二枚の帯状の板紙を短手方向を一部重ねつつコアワインダーによりシャフトに螺旋状に巻付けて、円筒の紙管とするロールペーパー用紙管の製造方法において、
前記二枚の帯状の板紙のうち巻き取り内面となる板紙に対して、巻き取り後の紙管状態としたときに、長さ方向に一定間隔毎に変化するように、若しくは一定間隔で変化するようにして、認識記号を付与することを特徴とするロールペーパー用紙管の製造方法。
【請求項6】
前記認識記号は、印字、印刷。レーザーマーカー、スタンプ又は型押しによって付与する請求項5記載のロールペーパー用紙管の製造方法。
【請求項7】
前記認識記号を、紙管となったときに、100〜300mmの間隔で変化するように一定間隔で印字・印刷する請求項5又は6記載のロールペーパー用紙管の製造方法。
【請求項8】
前記認識記号が、数字、アルファベット、五十音である請求項5〜7の何れか1項に記載のロールペーパー用紙管の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2010−173819(P2010−173819A)
【公開日】平成22年8月12日(2010.8.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−19381(P2009−19381)
【出願日】平成21年1月30日(2009.1.30)
【出願人】(390029148)大王製紙株式会社 (2,041)
【Fターム(参考)】