説明

ロール紙プリンタ

【課題】本発明は、ロール紙の巻き芯に挿入するコアを用いることなく、ロール紙を載置面に直接載置して保持させても、ロール紙に傷が付くことを防止することができるロール紙プリンタロール紙プリンタを提供することを課題とする。
【解決手段】ロール紙3の周面が載置される載置面131と、載置面131に立設され、載置されたロール紙3の周面に当接するリブ132とを設け、リブ132を、センターラインCに対して線対称のV字またはW字形状に立設されるように構成する。また、複数のリブ132のロール紙3の周面に当接する面にシボ加工133を施す。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ロール紙から引き出した被印字媒体に印字を施すロール紙プリンタに関し、特にロール紙が直接載置されて装填される用紙保持部を有するロール紙プリンタに関する。
【背景技術】
【0002】
ロール紙から引き出した被印字媒体に印字を施すロール紙プリンタにおいては、ロール紙は、一般的に、装置内に設けられた用紙保持部に装填され、用紙保持部から引き出されるように構成され、用紙保持部としては、ロール紙の周面を直接載置面で保持する所謂ドロップイン方式と、ロール紙の巻き芯にコアを挿入し、コアを軸支することで、ロール紙を回転可能に保持する所謂軸受け方式とが存在する(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
しかしながら、ドロップイン方式では、印字に際して引き出されたロール紙が回転するため、ロール紙の周面と載置面とが摺接し、ロール紙に傷がついてしまうという問題点があり、軸受け方式では、ロール紙の巻き芯にコアを挿入しなければならず、装填作業が繁雑なものになってしまうという問題点があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平7−101601号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は斯かる問題点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、ロール紙の巻き芯に挿入するコアを用いることなく、ロール紙を載置面に直接載置して保持させても、ロール紙に傷が付くことを防止することができるロール紙プリンタを提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は上記課題を解決すべく、以下に掲げる構成とした。
請求項1記載の発明の要旨は、ロール紙から引き出した被印字媒体に印字を施すロール紙プリンタであって、前記ロール紙の周面が載置される載置面と、該載置面に立設され、載置された前記ロール紙の周面に当接するリブとを具備し、前記リブは、センターラインに対して線対称のV字またはW字形状に立設されていることを特徴とするロール紙プリンタに存する。
また、請求項2の発明の要旨は、前記リブは複数形成され、前記被印字媒体の搬送方向に等間隔で立設されていることを特徴とする請求項1記載のロール紙プリンタに存する。
また、請求項3の発明の要旨は、前記リブの前記ロール紙の周面に当接する面には、シボ加工が施されていることを特徴とする請求項1または2記載のロール紙プリンタに存する。
【発明の効果】
【0007】
本発明のロール紙プリンタは、ロール紙の周面が載置される載置面と、載置面に立設され、載置されたロール紙の周面に当接するリブとを設け、リブを、センターラインに対して線対称のV字またはW字形状に立設されるように構成することにより、ロール紙の巻き芯に挿入するコアを用いることなく、ロール紙を載置面に直接載置して保持させ、ロール紙が印字に際して引き出されても、上述の立設パターンのリブにロール紙の周面が摺接しながら回転されるため、ロール紙に傷が付くことを防止することができるという効果を奏する。
【0008】
さらに、本発明のロール紙プリンタは、複数のリブのロール紙の周面に当接する面にシボ加工を施すように構成することにより、ロール紙に傷が付くことをより確実に防止することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明に係るロール紙プリンタの実施の形態の構成を示す概略側面図である。
【図2】本発明に係るロール紙プリンタの実施の形態の構成を示す斜視図である。
【図3】図2に示す用紙保持部の載置面に立設されたリブの立設パターンを示す説明図である。
【図4】図2に示す用紙保持部の載置面に立設されたリブの他の立設パターン例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。
【0011】
図1は、本発明に係るロール紙プリンタの実施の形態の構成を示す概略側面図であり、図2は、本発明に係るロール紙プリンタの実施の形態の構成を示す斜視図であり、図3は、図2に示す用紙保持部の載置面に立設されたリブの立設パターンを示す説明図であり、図4は、図2に示す用紙保持部の載置面に立設されたリブの他の立設パターン例を示す説明図である。
【0012】
本実施の形態のロール紙プリンタ10は、図1を参照すると、印字部として、プラテンローラ11と、複数の発熱体が幅方向に形成されている面(以下、印字面と称す)がプラテンローラ11に対向するように配置されたサーマルヘッド12とを有し、複数枚のラベルが帯状台紙に仮着されているラベル連続体等の被印字媒体1とインクリボン2とを重ねてプラテンローラ11とサーマルヘッド12との間に挟持搬送し、サーマルヘッド12の発熱体を選択的に発熱させることにより、被印字媒体1にインクリボン2からインクを転写させて印字を施すように構成されている。
【0013】
被印字媒体1は、紙管等の筒状体にロール状に巻き回された状態、すなわちロール紙3として、用紙保持部13に保持され、用紙保持部13からプラテンローラ11とサーマルヘッド12との間に供給される。また、インクリボン2は、プラテンローラ11に連動して回転駆動されるリボン巻取り軸14とリボン供給軸15との間に架け渡され、リボン供給軸15にロール状に巻き回された状態で支持されたインクリボン2が、プラテンローラ11とサーマルヘッド12との間に被印字媒体1と共に供給され、転写後のインクリボン2が、リボン巻取り軸14によって巻き取られるようになっている。
【0014】
また、ロール紙プリンタ10は、プラテンローラ11および用紙保持部13を備え、上部が解放された本体20と、本体20の上部を覆う上蓋部30と、サーマルヘッド12、リボン巻取り軸14およびリボン供給軸15を備え、本体20と上蓋部30との間に配置された印字ユニット40とからなり、上蓋部30と印字ユニット40とは、印字済みの被印字媒体が排出される排出口16が設けられている手前側から開くように構成されており、本体20の奥側に設けられている支持軸17によって、回動自在に支持されている。
【0015】
図1は、上蓋部30が閉じられた閉状態のロール紙プリンタ10が示されており、閉状態では、印字ユニット40が本体20と上蓋部30とに挟まれて位置決めされ、印字ユニット40に備えられたサーマルヘッド12が本体に備えられたプラテンローラ11に押し当てられて位置決めされる。
【0016】
図2は、上蓋部30が開けられた開状態のロール紙プリンタ10が示されており、上蓋部30は、上蓋部30を開状態に支持する機能を有するガイドプレート31によってガイドされながら開閉されるように構成されている。ガイドプレート31は、支持軸17を中心とする円弧状部材であり、一端部が上蓋部30に固定されていると共に、解放端側が本体20に形成されている開口21に挿通されている。また、ガイドプレート31には、上蓋部ストッパ32が突出して形成され、上蓋部30を所定の角度以上開くと、上蓋部ストッパ32が開口21から引き出されて開口21の縁部の表面側に弾性を有して当接することで、上蓋部30を開状態に支持できるようになっている。
【0017】
一方、印字ユニット40は、図2を参照すると、一方端が支持軸17に支持されたアーム部41の解放端側に、リボン巻取り軸14およびリボン供給軸15が回転可能にそれぞれ架け渡される右リボンフレーム42と左リボンフレーム43とが設けられ、サーマルヘッド12がリボン巻取り軸14およびリボン供給軸15の下方に組み付けられている。また、印字ユニット40は、上蓋部30に対して独立して回動させることができるようになっており、ガイドプレート31に形成されているアームストッパ33にアーム部41が係止され、印字ユニット40を上蓋部30から引き出して独立した状態、すなわち上下に作業空間を確保した状態に支持させることができるようになっている。なお、上蓋部30には、印字ユニット40に弾性を有して当接することで、印字ユニット40を嵌装状態に維持する図示しない当接部材が設けられており、図1に示す閉状態から上蓋部30を開く際には、印字ユニット40も嵌装状態で上蓋部30と共に回動され、上蓋部30から印字ユニット40を引き出すことで、印字ユニット40を上蓋部30から引き出して独立した状態に移行させることができる。
【0018】
ロール紙3の交換に際し、まず、上蓋部30を図1に示す閉状態から上蓋部ストッパ32によって支持されるまで開けると、印字ユニット40も嵌装状態で上蓋部30と共に回動されるため、用紙保持部13の上方が解放され、ロール紙3の装填作業を行うことが可能になる。
【0019】
用紙保持部13は、円柱状であるロール紙3の周面が載置され、載置されるロール紙3の軸心に対して垂直方向の断面が半円状の載置面131を有し、ユーザは、ロール紙3を載置面131に直接載置させることで、用紙保持部13にロール紙3を装填する。載置面131には、載置面131に載置されたロール紙3の周面に当接する複数のリブ132が立設されており、複数のリブ132のロール紙3の周面に当接する面には、シボ加工133が施され、用紙保持部13に載置されて保持されたロール紙3は、印字に際して引き出されると、その周面がリブ132に摺接しながら回転される。
【0020】
リブ132の立設パターンは、図3を参照すると、矢印で示す被印字媒体1の搬送方向に等間隔で立設されていると共に、矢印で示す被印字媒体1の搬送方向に対して、斜め45度の角度に設定されたリブ132が、幅方向の中心であるセンターラインCで屈折して接続されたV字状に、センターラインCに対して線対称に立設されている。このリブ132立設パターンにより、ロール紙3が、印字に際して引き出され、その周面がリブ132に摺接しながら回転しても、ロール紙3に傷が付くことを防止することができる。なお、図3には、曲面である載置面131を平面に延ばした状態が示されている。
【0021】
なお、リブ132の立設パターンとしては、被印字媒体1の搬送方向に等間隔で立設され、且つ被印字媒体1の搬送方向に対して、斜め45度の角度に設定された直線状のリブ132が、センターラインCに対して線対称の形状に立設されていれば良く、例えば、図4に示すように、W字状に立設させるようにしても良く、また、図3および図4に示す立設パターンを上下反対にしても良い。なお、図4には、曲面である載置面131を平面に延ばした状態が示されている。また、ロール紙3には、印字面を外側にして巻き回した表巻きと、印字面を内側にして巻き回した裏巻きとが存在するが、いずれのタイプであっても同様に用紙保持部13に装填することができる。さらに、説明の都合上、リブ132のみにシボ加工133を施した例で説明したが、用紙保持部13全体にシボ加工を施すようにしても良い。
【0022】
以上説明したように、本実施の形態によれば、ロール紙3の周面が載置される載置面131と、載置面131に立設され、載置されたロール紙3の周面に当接する複数のリブ132とを設け、複数のリブ132の立設パターンを、被印字媒体1の搬送方向に等間隔で立設され、且つ被印字媒体1の搬送方向に対して、斜め45度の角度に設定された直線状のリブ132が、センターラインCに対して線対称の形状に立設されるように構成することにより、ロール紙3の巻き芯に挿入するコアを用いることなく、ロール紙3を載置面131に直接載置して保持させ、ロール紙3が印字に際して引き出されても、上述の立設パターンのリブ132にロール紙3の周面が摺接しながら回転されるため、ロール紙3に傷が付くことを防止することができるという効果を奏する。
【0023】
さらに、本実施の形態によれば、複数のリブ132のロール紙3の周面に当接する面にシボ加工133を施すように構成することにより、ロール紙3に傷が付くことをより確実に防止することができるという効果を奏する。
【0024】
なお、本発明が上記各実施の形態に限定されず、本発明の技術思想の範囲内において、各実施の形態は適宜変更され得ることは明らかである。また、上記構成部材の数、位置、形状等は上記実施の形態に限定されず、本発明を実施する上で好適な数、位置、形状等にすることができる。なお、各図において、同一構成要素には同一符号を付している。
【符号の説明】
【0025】
1 被印字媒体
2 インクリボン
3 ロール紙
10 ロール紙プリンタ
11 プラテンローラ
12 サーマルヘッド
13 用紙保持部
14 リボン巻取り軸
15 リボン供給軸
16 排出口
17 支持軸
20 本体
21 開口
30 上蓋部
31 ガイドプレート
32 上蓋部ストッパ
33 アームストッパ
40 印字ユニット
41 アーム部
42 右リボンフレーム
43 左リボンフレーム
131 載置面
132 リブ
133 シボ加工

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロール紙から引き出した被印字媒体に印字を施すロール紙プリンタであって、
前記ロール紙の周面が載置される載置面と、
該載置面に立設され、載置された前記ロール紙の周面に当接するリブとを具備し、
前記リブは、センターラインに対して線対称のV字またはW字形状に立設されていることを特徴とするロール紙プリンタ。
【請求項2】
前記リブは複数形成され、前記被印字媒体の搬送方向に等間隔で立設されていることを特徴とする請求項1記載のロール紙プリンタ。
【請求項3】
前記リブの前記ロール紙の周面に当接する面には、シボ加工が施されていることを特徴とする請求項1または2記載のロール紙プリンタ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2013−91571(P2013−91571A)
【公開日】平成25年5月16日(2013.5.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2013−6038(P2013−6038)
【出願日】平成25年1月17日(2013.1.17)
【分割の表示】特願2008−230934(P2008−230934)の分割
【原出願日】平成20年9月9日(2008.9.9)
【出願人】(307010993)株式会社サトー知識財産研究所 (588)
【出願人】(000130581)サトーホールディングス株式会社 (1,153)
【Fターム(参考)】